シリア国民評議会がハッファ地方、ヒムス県各都市などでの軍・治安部隊の砲撃を非難、仏外相が同評議会のスィーダー新事務局長に対し「全面支援」する意向を伝える(2012年6月11日のシリア情勢

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国内の暴力

ラタキア県では、シリア人権監視団などによると、反体制武装集団が潜伏するハッファ地方への軍・治安部隊の攻撃が続いた。

SANA, June 11, 2012

同地域の住民約30,000人はそのほとんどが既に避難し、「離反兵と武装した市民が残る」だけだという。

一方、SANA(6月11日付)によると、アフバーリーヤ・チャンネルの特派員とカメラマンが武装テロ集団の発砲を受け負傷し、ラタキアの国立病院に搬送された。

また治安維持部隊がサルマー町で武装テロ集団の攻撃を受けたが、応戦し、テロリスト多数を殺害した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ガーブ平原で反体制武装集団の戦闘員3人が殺害され、また別の地域でも民間人8人が殺害された。

またイドリブ市では、治安維持部隊を標的とした爆弾攻撃が行われ、民間人8人と兵士7人が犠牲となった。

ジスル・シュグール地方のダルクーシュ町近郊のタッル・ザハブでも、軍・治安部隊兵士6人が爆弾攻撃を受けて死亡した。

一方、SANA(6月11日付)によると、ザーウィヤ山など各地で、村々の市民と治安維持部隊が武装テロ集団の襲撃を受けたが、治安維持部隊は住民の支援のもと応戦し、テロリスト数十人を殺害した。

また同報道によると、ユーヌスィーヤの森林への武装テロ集団の砲火により発生したとされる火災を消防隊が鎮火した。

反体制勢力はこの火災が軍・治安部隊によってトルコからの戦闘員の潜伏経路や避難民の避難経路を絶つための焼き討ちの結果だと主張している。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団が籠城するラスタン市で軍・治安部隊が砲撃を加え、子供1人を含む4人が死亡した。

またヒムス市のジャウラト・シヤーフ地区に対しても軍・治安部隊が砲撃を加え、ハーリディーヤ地区などでは軍・治安部隊が突入し、1人が死亡した。

さらにクサイル市、東ブワイダ村でも2人が死亡した。

一方、SANA(6月11日付)によると、ラスタン市で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト全員を殺害した。

またタッルカラフ地方では、レバノン領内からの潜入を試みた武装テロ集団を国境警備隊が拘束した。

なおUNSMIS報道官によると、ラスタン市、タルビーサ市で軍・治安部隊が迫撃砲、ヘリコプターを投入し、大規模な掃討作戦を行ったという。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、アシャーラ市で離反兵5人が軍・治安部隊の砲撃を受け死亡した。

また同市では軍・治安部隊と反体制武装集団が激しく交戦し、前者の兵士6人が犠牲となった。

一方、SANA(6月11日付)によると、ザバーリー村・サアルー村間でユーフラテス石油社のガス・パイプラインを武装テロ集団が爆破した。

またダイル・ザウル市では武装テロ集団が運搬していた爆弾が爆発し、テロリスト5人が死亡した。

他方、シリア人権委員会によると、ダイル・ザウル市内で治安当局に押収された政治犯の車が爆発し、車の持ち主で身柄拘束中だった政治犯が死亡、遺体が家族に引き渡された。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ガーブ平原のカストゥーン地方、シャーグーリート地方、ラッジュ地方で軍・治安部隊の掃討作戦により、民間人3人と兵士1人が死亡した。

またハマー市でも、軍・治安部隊の発砲により1人が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市で民間人1人が射殺された。

またダーライヤー市のバアス党幹部が何者かによって未明に暗殺された。

一方、SANA(6月11日付)によると、ドゥーマー市郊外で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト全員を殺害した。

治安維持部隊の兵士1人も死亡した。

またジャルマーナー市近郊で700キロの爆弾を積載した車が取り押さえられた。

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SANA, June 11, 2012

ダマスカス県では、SANA(6月11日付)などによると、武装テロ集団がバルザ区で車の下に仕掛けた爆弾が2カ所で爆発し、軍兵士1人が死亡、民間人2人が負傷した。

一方、『クッルナー・シュラカー』(6月11日付)によると、治安当局はマッザ区とカフルスーサ区の果樹園を焼き討った。

マッザ区調整の活動家によると、この焼き討ちは、反体制武装集団が果樹園に隠れて軍・治安部隊に対する攻撃を行ったことに対処するためだという。

また『クッルナー・シュラカー』(6月11日付)によると、軍事情報局次長のアリー・ユーヌス少将といとこがマサーキン地区で暗殺未遂に遭ったと報じた。

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スワイダー県では、『クッルナー・シュラカー』(6月12日付)によると、シャフバー市で反体制デモが発生した。

また、ダーマー村で軍・治安部隊と自由シリア軍のウマリー大隊が激しく交戦した。

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シリア人権監視団によると、軍兵士23人、民間人44人、離反兵7人が各地で死亡した、という。

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SANA(6月11日付)によると、イスラエルが占領するシリア領ゴラン高原で大規模な火災が発生した。

クナイトラ県のフサイン・アルヌース知事は、この火災をイスラエルの放火と断じた。

国内の主な動き

バアス党シリア地域指導部の複数の消息筋によると、バアス青年前衛機構が、各支部に向けて、若者を教化するための「サマー・キャンプ」の実施を例年通り呼びかけた。

SANA, June 11, 2012

『クッルナー・シュラカー』(6月11日付)が報じた。

反体制勢力の動き

自由シリア軍国内合同司令部(カースィム・サアドッディーン大佐)は三つの声明を発表し、ヒムス県での戦果を鼓舞した。

第1の声明では、ヒムス県各地で軍の装甲車4輌、戦車6輌(T-62)などを破壊したと発表された。

第2の声明では、10日に離反した第72防空旅団が、ウンム・サフル村のミサイル大隊を制圧したと発表された。

第3の声明では、第72防空旅団がガントゥー市に駐留するミサイル大隊を制圧したと発表された。

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自由シリア軍のアブドゥッラー・バフブーフ大尉は、ユーチューブ(6月11日付)を通じて、制圧したヒムス県クサイル軍ガントゥー市のミサイル大隊本部の映像を発信した。

http://www.youtube.com/watch?v=zJQb6HIi0ds

 

Youtube, June 11, 2012

Youtube, June 11, 2012

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トルコで避難生活を送り、自由シリア軍司令官を名のるリヤード・アスアド大佐は、サウジ日刊紙『ワタン』(6月11日付)に対して、自由シリア軍にはアル=カーイダ戦闘員や外国人は含まれていないと断じた。

国内で反体制活動を行う自由シリア軍国内合同司令部は、トルコで活動するアスアド大佐らの指導を拒否している。

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シリア国民評議会は声明を出し、ハッファ地方、ヒムス県各都市などでの軍・治安部隊の砲撃に関して、「宗派主義に基づいて住民の強制退去政策を断行している」と非難した。

レバノンの動き

NNA(6月11日付)によると、北部県アッカール郡ワーディ・ハーリド地方で拘束され、シリア領内に連行されていたスライマーン・アフマド氏が釈放され、レバノン・シリア最高会議に身柄を引き渡された。

Naharnet.com, June 11, 2012

これに先だって、ワーディ・ハーリド地方の住民は、身柄拘束していたヒクマト・ユースフ氏(アラウィー派)を釈放した。

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国民対話会合が開催され、シリア情勢に関して、国境地帯における緩衝地帯設置と、シリアへの武器密輸の経路としてのレバノン領の使用を拒否する閉幕声明を発表した。

国民対話会合はミシェル・スライマーン大統領の呼びかけのもと、3月14日勢力、3月8日勢力の指導者が出席して開催された。

しかしレバノン軍団のサミール・ジャアジャア代表、ムスタクバル潮流のサアド・ハリーリー元首相は会合をボイコットした。

諸外国の動き

米国務省のビクトリア・ヌーランド報道官は、「シリア国内で政府が今度はハッファ市で別の虐殺を行おうとしているとの報告があることを大いに懸念している」と述べた。

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レオン・パネッタ米国防長官は、シリアの悲惨で複雑な状況を解決するには、「奇跡の治療法」が必要だと述べた。

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アナン特使付の報道官アフマド・ファウズィー氏はジュネーブで声明を出し、ハッファ市やヒムス市への軍・治安部隊と反体制武装集団との交戦に関して、「両市で多数の民間人が包囲されている兆候がある」と述べ、懸念を表明した。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー新事務局長と電話会談し、「全面支援」するとの意思を伝えた。

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国連は、「子供と武力紛争に関する年次報告」を公表し、軍・治安部隊、シャッビーハ、自由シリア軍などが子供を戦闘員として動員し、「人間の盾」として利用していると指摘し、シリア軍とシャッビーハをいわゆる「不名誉のリスト」(List of Shame)に加えた。

同報告書(”Children and Armed Conflict: Report of the Secretary-General” (A/66/782-S/2012/261、2012年4月26日付)のシリアに関する指摘は以下の通り:

1. 子供の犠牲者のほとんどは、政府軍、自由シリア軍、治安部隊、シャッビーハの軍事作戦によるもので、恣意的逮捕、拘束、拷問、強姦、「人間の盾」として利用されている。
2. 政府軍は、自由シリア軍や反体制武装集団が占拠する村で暮らす子供ら市民を標的としている。
3. 政府軍が18歳以下の子供を徴兵している証拠はないが、自由シリア軍やシャッビーハには子供(8歳から10代前半の子供)を動員し、人間の盾として利用されているとの報告がある。

以下報告書抜粋。

Syrian Arab Republic

119. The United Nations has received reports of grave violations against
children in the Syrian Arab Republic since March 2011 and throughout the
reporting period, continuing into 2012. In response to the need for United
Nations verified information, my Special Representative for Children and
Armed Conflict sent a technical mission to the region to conduct interviews
with victims and witnesses in refugee camps, villages and hospitals in
the region in March 2012. In almost all recorded cases, children were among
the victims of military operations by Government forces, including the
Syrian Armed Forces, the intelligence forces and the Shabbiha militia,
in their ongoing conflict with the opposition, including the Free Syrian
Army (FSA). Children as young as 9 years of age were victims of killing
and maiming, arbitrary arrest, detention, torture and ill-treatment, including
sexual violence, and use as human shields. Schools have been regularly
raided and used as military bases and detention centres. Information obtained
by the technical mission is in line with the findings of the independent
international commission of inquiry on the Syrian Arab Republic.

120. Interviews with former members of the Syrian Armed Forces and the
intelligence forces indicated that civilians, including children, were
targeted by Government forces if they were residing in villages where members
of FSA or other armed opposition groups were believed to be present or
where deserters were hiding, or if they were seen fleeing the country seeking
refuge. In one instance, a former member of the Syrian Armed Forces stated
that, during protests in Tall Kalakh in December 2011, he was given an
order by his commander to shoot without distinction, although the soldiers
were aware that there were women and children among the protesters. During
the armed break-up of the demonstrations, the witness saw three girls between
approximately 10 and 13 years of age who had been killed by the Syrian
Armed Forces. In another similar incident in Aleppo in the fourth quarter
of 2011, a former member of the intelligence forces witnessed the killing
of five children in a secondary school during demonstrations.

121. The grave violations continued into 2012 and although this is beyond
the reporting period, the gravity of the incidents requires their inclusion
in the report. Witness accounts described a particularly grave incident
in the village of Ayn l’Arouz in the Jabal Azzawiyah in Idlib province.
On 9 March 2012, Syrian Armed Forces, together with the intelligence forces
and the Shabbiha militia, surrounded the village for an attack that lasted
over a period of four days. Government forces entered the village on the
first day and killed 11 civilians, including three boys aged

between 15 and 17 years. Thirty-four persons, including two boys aged 14
and 16 years, and one 9-year-old girl, were arrested for interrogation
about the suspected presence of deserters. Eventually, the village was
reportedly left burned and 4 out of the 34 detainees were shot and burned,
including the two boys aged 14 and 16 years.

122. There is no evidence of Government forces formally conscripting or
enlisting children under the age of 18 years. However, the Syrian Armed
Forces and its associated Shabbiha militia used children as young as 8
years on at least three separate occasions within the reporting period.
In the incident mentioned above in the village of Ayn l’Arouz in March
2012, a witness stated that several dozen children, boys and girls ranging
between the ages of 8 and 13 years, were forcibly taken from their homes.
These children were subsequently reportedly used by soldiers and militia
members as human shields, placing them in front of the windows of buses
carrying military personnel into the raid on the village.

123. The United Nations collected dozens of accounts of eyewitnesses of
both children as young as 14 years of age who were tortured while in detention,
as well as former members of the Syrian Armed Forces who themselves were
forced to torture or witness torture. The Shabbiha militia was also involved
in the detention and torture of children, especially during military operations
and often in makeshift detention cells in schools. Most child victims of
torture described being beaten, blindfolded, subjected to stress positions,
whipped with heavy electrical cables, scarred by cigarette burns and, in
one recorded case, subjected to electrical shock to the genitals. At least
one witness said that he had seen a young boy of approximately 15 years
of age succumb to his repeated beatings. Children were detained and tortured
because their siblings or parents were assumed to be members of the opposition
or FSA, or they themselves were suspected of being associated with FSA.
On one occasion, in May 2011, a 15-year-old boy was taken into custody
by intelligence forces in the municipal building in Jisr Ash-Shughur and
repeatedly beaten with heavy electrical cables during interrogation. The
boy stated that there were at least 20 other children his age or younger
held in detention.

124. The United Nations has received some credible allegations of the recruitment and use of children by armed opposition, including FSA and other armed groups, although FSA has a stated policy of not recruiting any child under 17 years of age. Various sources reported on young children association with FSA carrying guns and wearing camouflage uniforms. My Special Representative for Children and Armed Conflict reminded all parties of their obligations under human rights and international humanitarian law.

125. The United Nations recorded multiple accounts of the use of schools
by Government forces, including the Syrian Armed Forces, the intelligence
forces and the Shabbiha militia as military staging grounds, temporary
bases, detention centres, sniper posts and centres for torture and the
interrogation of adults and children. Several witnesses stated that the
intelligence forces and the Shabbiha militia had Accounts also indicated
that, on a number of occasions, children were killed or injured by Government
forces during military operations on school grounds, and schools were looted
and burned as retribution by Government forces in response to student protests.

126. Reports also pointed out that, during the reporting period, hospitals
were struck by heavy artillery by Government forces. Aside from the conduct
of military operations that prevent civilians from accessing hospitals,
reports also indicated that injured persons, including children and their
families, were afraid to seek medical treatment out of fear of reprisals
by the Government for suspected association with the opposition. Similarly,
reports were also received of medical workers being intimidated and threatened
by Government forces for having provided or being suspected of providing
medical assistance to members of the opposition.

http://www.un.org/children/conflict/_documents/A66782.pdf

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ラディカ・クマラスワミー子どもと紛争問題に関する国連特使はAFP(6月11日付)に対して、「シリアで起きているような子供に対する蛮行をほとんど目のあたりにしたことはない。少年・少女が逮捕、拷問、処刑され、人間の盾として利用されている」と非難した。

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潘基文国連事務総長は、報告書に関して子供に対する「重大な侵害」の一つと非難した。

AFP, June 11, 2012、Akhbar al-Sharq, June 11, 2012, June 12, 2012、al-Hayat, June 12, 2012、Kull-na Shurakaʼ, June 11, 2012, June 12, 2012、Naharnet.com,
June 11, 2012、NNA, June 11, 2012、Reuters, June 11, 2012、SANA, June 11,
2012、Youtube, June 11, 2012、al-Watan (Riyad), June 11, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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