国連安保理緊急会合:ムンズィル国連シリア副代表は米軍のミサイル攻撃を「米国をダーイシュ、ヌスラ戦線などのテロ組織のパートナーとする行為」と非難、西側各国は攻撃支持、ロシア、ボリビアは反対(2017年4月7日)

国連安保理は、米軍によるヒムス県シャイーラート航空基地一帯へのミサイル攻撃を受け、事態への対応を協議するための緊急会合が開催された。

会合はロシアとボリビアの要請によって開催された。

会合でムンズィル・ムンズィル国連シリア副代表は、米軍によるミサイル攻撃の被害について報告、「この凶悪な攻撃は国連憲章、すべての国際法、慣例への重大な違反で、米国は、真実を承知しないままに、シリア軍がハーン・シャイフーン市で化学兵器を使用したというこじつけとねつ造した口実で、この違反を正統化しようとした。この口実を、テロ組織、そして米国、トルコ、サウジアラビア、カタール、イスラエル、英国、フランスの手先、そしてこれらの国の情報機関が拡散した」と非難した。

そのうえで「シリア・アラブ共和国は、シリア軍がそもそも化学兵器を保有しておらず、こうした兵器をテロ組織に対する作戦において使用したことがないと明言する」と改めて嫌疑を否定した。

また「非難に値する米国の攻撃は、米国が言うところの穏健な反体制武装勢力に対してあらゆる支援を行うことで6年前に開始された米国の誤った戦略そのものの一環で…、この戦略はシリア軍やその同盟国が行う「テロとの戦い」に悪影響を及ぼし、米国をダーイシュ(イスラーム国)、ヌスラ戦線(現シャーム解放機構)などのテロ組織のパートナーとするもの」と非難した。

SANA(4月7日付)が伝えた。

SANA, April 7, 2017

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ニッキー・ヘイリー米国連大使は、「昨夜は非常に慎重な措置を取った。もっとやる用意があるが、その必要がないことを望む」と追加攻撃を警告した。

ヘイリー米国連大使はまた、ロシアやイランを名指しで糾弾し、「ロシアはシリアの化学兵器排除の保証人のはずだが、明らかに実現できていない」と批判し、アサド政権の化学兵器使用を見過ごす「日々は終わった」と宣言し、シリア政府や同政府の支援国に国連主導の和平プロセスに誠実に取り組むよう要請、「化学兵器の使用や拡散を防止することは国家安全保障上の不可欠な利益だ。攻撃は完全に正当化される」と強調した。

米国の姿勢に対して、英仏、など西側諸国が支持を表明した。

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これに対して、ロシアのヴラジーミル・サフロンコフ国連次席大使は「言語道断の国際法違反で侵略行為だ」と強く非難し、「侵略の即時停止」を要求した。

また、ミサイル攻撃は「地域や国際社会の安定に極めて深刻な結果をもたらす可能性がある」と指摘し、米英仏からの相次ぐロシア非難に対しては「植民地時代の偽善者」、「わが国を侮辱しないでほしい。そのような道徳的権限はない」と反論した。

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NATOのヤンス・ストルテンベルグ事務総長は、米軍によるヒムス県シャイーラート航空基地一帯へのミサイル攻撃に関して、「こうした展開の全責任はシリア政府にある…。化学兵器の使用は受け入れられず、その責任者は報復、制裁を免れ得ない」と述べ、支持を表明した。

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EUのドナルド・トゥスク欧州理事会常任議長はツイッターを通じて「こうした兵器(化学兵器)の使用には報復が必要」と綴り、支持を表明した。

また、フェデリカ・モゲレーニEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は「国連の枠組みのなかで、(化学兵器使用の)責任者は処罰されるべき」と述べた。

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このほか、カナダ、日本、ヨルダン、サウジアラビア、バーレーン、カタールが米軍の攻撃への支持を表明した。

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エジプト外務省は声明を出し、米軍によるヒムス県シャイーラート航空基地一帯へのミサイル攻撃に関して「ハーン・シャイフーン市での危機の悪影響に強く懸念を表明する」と発表した。

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イラクのヌーリー・マーリキー副首相が代表を務める法治国家連合は、米軍によるヒムス県シャイーラート航空基地一帯へのミサイル攻撃に関して「主権侵害であり、イラクでのダーイシュ(イスラーム国)に対する戦いの行方に悪影響を及ぼすだろう」と非難した。

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国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、米軍によるヒムス県シャイーラート航空基地一帯へのミサイル攻撃に関して、シリア国民の被害拡大を抑止するため、すべての紛争当事者に自制を促した。

AFP, April 7, 2017、AP, April 7, 2017、ARA News, April 7, 2017、Champress, April 7, 2017、al-Hayat, April 8, 2017、Iraqi News, April 7, 2017、Kull-na Shuraka’, April 7, 2017、al-Mada Press, April 7, 2017、Naharnet, April 7, 2017、NNA, April 7, 2017、Reuters, April 7, 2017、SANA, April 7, 2017、UPI, April 7, 2017、共同通信などをもとに作成。

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