トルコ軍が有毒ガスを装填した砲弾でロジャヴァ支配地域を砲撃か?(2018年2月16日)

アレッポ県では、ANHA(2月16日付)、SANA(2月16日付)、スプートニク・ニュース(2月16日付)などによると、トルコ軍がアフリーン郡シャイフ・ハディード区のマズィーナ村に対して、有毒ガスを装填した砲弾で砲撃を行い、民間人6人が呼吸困難などの症状を訴え、アフリーン市のアフリーン病院に搬送された。

アレッポ県のアフリーン病院のジワーン・ムハンマド院長がSANAに対して明らかにしたところによると、病院に搬送された6人のうち、4人の症状は落ち着いているが、2人は重傷だという。

SANA, February 16, 2018

ANHAによると、中毒症状を訴え、病院に搬送されたのは、ムハンマド・ラシード・ハッスーン氏(33歳)、アフマド・ムハンマド・ハッスー氏(38歳)、ムハンマド・ハッキー氏(47歳)、ワッダーフ・ムスタファー・ハリール氏(35歳)、アドナーン・ウスマーン・シャーリークー氏(35歳)、アブドゥッラフマーン・ムハンマド氏(29歳)。

ANHA, February 16, 2018

西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊(YPG)のビルースク・ハサカ報道官もロイター通信(2月17日付)がトルコ軍が有毒ガスを装填した砲弾で砲撃を行ったと述べた。

ANHA, February 17, 2018

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また「市民ジャーナリスト」のムハンマド・ハサンは、ツイッターのアカウントを通じて患者の写真や画像をアップした。

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英国で活動する反体制系NGOのシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、AFP(2月16日付)に対して、「トルコ、ないしは同国と連携する反体制派が砲撃した」と述べた。

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ロイター通信(2月17日付)によると、トルコ軍はこの攻撃に関してコメントを発表していない。

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なお、スプートニク・ニュース(2月16日付)によると、トルコは6日、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊(YPG)が化学兵器を使用し、自由シリア軍の戦闘員20人が負傷したと非難していた。

これに関して、YPGは「捏造」と否定し、「トルコが塩素ガスを装填した砲弾をクルド人に対して撃ったが、自由シリア軍が被弾した」と反論していた。

トルコ軍が1月20日に開始を宣言した「オリーブの枝」作戦に参加している自由シリア軍「オリーブの枝」作戦司令室は、「PYDのテロ民兵が塩素ガスを装填して撃った迫撃砲1発が、アフリーン(郡)北部のブルブル(区)シャイフ・ハッルーズ村の前線拠点に着弾し、自由シリア軍メンバー20人が負傷、うち7人は重傷となった」との緊急声明を出していた(青山弘之「アサド政権に続いて化学兵器を使用したのは米国が支援するクルド人勢力?」Yahoo! Japan News個人、2018年2月7日)。

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なおアレッポ県シャイフ・ハディード区マズィーナ村は、西クルディスタン移行期民政局/北シリア民主連邦の行政区画ではアフリーン地域アフリーン地区。

ANHA, February 16, 2018、Reuters, February 17, 2018、SANA, February 16, 2018、Sputnik News, February 16, 2018をもとに作成。

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