ロシアを除く安保理メンバー14か国のコンセンサスに基づく対シリア修正決議案が完成、その内容は西側諸国や一部アラブ諸国による圧力が事実上無力化されたもの(2012年2月2日)

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国連の動き

対シリア決議案に関する国連安保理の非公式会合が続き、ロシアの要求に応じるかたちで、アサド政権への制裁や政権交代、外国の軍事干渉の根拠となる可能性のある文言が修正され、『ハヤート』(2月3日付)によると、安保理メンバー14カ国(ロシアを除く)のコンセンサスに基づく決議案が完成した。

修正決議案は、アラブ連盟の行程表への安保理の支持に関して、「歓迎する」とするか「全面支持する」とするかなど、若干の文言の最終調整が行われるとのこと。

ロシアに近い安保理メンバーの大使によると、中国もこの修正決議案に賛成している、という。

『ハヤート』(2月3日付)によると、修正決議案における主な修正カ所は以下の通り。

1. 「アラブ連盟のイニシアチブ」という文言を「民主的多元的政治体制をもたらすため…、シリア政府とすべての反体制勢力との間の真剣な政治的対話開始など、政治的転換を促すためアラブ連盟が行った決定」に変更。
2. 「挙国一致内閣発足、大統領権限の副大統領への完全なる移譲、自由で透明性のある選挙の実施」といった具体的なプロセスに関する文言を削除。
3. 11月のアラブ連盟による対シリア制裁への同調を求める文言を削除。
4. 「アラブ連盟との協議のためのモスクワでの会合をロシアが提案した」との文言を付記。
5. 「現下のシリアの政治的危機を外国の軍事的介入なしに平和的に解決することへの意思を確認する」との文言を付記。
6. 「シリア政府が改革を宣言したが、その実施に進展が見られていないことへの遺憾の意を示す」との文言の付記。

修正内容は、西側諸国や一部アラブ諸国による圧力を事実上無力化したものとなっている。

国内の暴力

シリア人権監視団によると、ダルアー県、イドリブ県、ダマスカス郊外県で軍・治安部隊による掃討作戦が続いたが、国連を通じた西側のアサド政権バッシングの不調を受け、反体制勢力や一部衛星放送による宣伝・煽動も低調だった。

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ダルアー県では、シリア人権監視団、地元調整諸委員会によると、ジーザ町に軍・治安部隊が侵入し、多数の市民が負傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サラーキブ市で10人の兵士が離反し、軍・治安部隊と交戦した。

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シリア人権監視団は、ダマスカス郊外県ムウダミーヤト・シャーム市で軍・治安部隊が反体制活動家のナースィル・ムハンマド・サイード・サギール氏を身柄拘束したのち処刑し、自宅前に遺体を曝した、と発表した。

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一方、ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハーフィズ・アサド前政権によるハマー市でのシリア・ムスリム同胞団掃討作戦(ハマー虐殺)開始(1982年2月3日)30周年を翌日に控え、ハマー市でゼネストが行われた。

アサド政権の動き

『クッルナー・シュラカー』(2月2日付)は、ダマスカス県内で灯油を購入するため長蛇の列を作る市民の写真を公開した。

Kull-na Shuraka’, February 2, 2012

Kull-na Shuraka’, February 2, 2012

アラブ連盟の動き

アラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長がカイロで記者会見を開き、監視団の活動に「満足」しているとの所見を述べる一方、「一部のメディアが真実をゆがめた」と指摘、ジャズィーラやアラビーヤによる煽動放送を暗に批判した。

レバノンの動き

NNA(2月2日付)は、ダマスカス・ベイルート街道に位置する対シリア国境のマスナア市で、4人の銃をもった男たちが、シリア人ビジネスマンのムハンマド・ジャービー氏を誘拐したと報じた。

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NNA(2月2日付)は、シリアのダマスカス郊外県とレバノンのベカーア県が治安・軍事分科会を開催し、両県の国境監視、武器密輸などについて意見を交わしたと報じた。

諸外国の動き

SANA, February 2, 2012

ロシアの複数の通信社が伝えたところによると、ロシアのアナトリー・アントノフ国防次官は、「今日まで、武器売却に関していかなる制限もない」と述べ、シリアへの武器供与を継続するとのロシアの意思を改めて示した。

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トルコのアブドゥッラー・ギュル大統領は、アサド大統領が退任した場合、同大統領とその家族を受け入れる用意がある、と述べた。

AFP, February 2, 2012、Akhbar al-Sharq, February 2, 2012、al-Hayat, February 3, 2012、Kull-na Shuraka’, February 2, 2012、Naharnet.com, February 2, 2012、NNA, February 2, 2012、Reuters, February 2, 2012、SANA, February 2, 2012などをもとに作成。

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