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OPCWはサラーキブ市に対するシリア軍ヘリコプターの「樽爆弾」での攻撃があった2月4日に塩素ガスが使用されていたと結論づける(2018年5月16日)

化学兵器禁止機関(OPCW)は声明(https://www.opcw.org/news/article/opcw-fact-finding-mission-confirms-likely-use-of-chlorine-in-saraqib-syria/)を出し、シリアでの化学兵器使用の実態を調査している事実調査団が15日に発表した報告書のなかで、今年2月4日にイドリブ県サラーキブ市で発生した化学兵器使用疑惑事件に関して、塩素ガスが使用されたと結論づけたと発表した。

調査団は、塩素がサラーキブ市タリール地区での「力学的衝突」(mechanical impact)により、シリンダー複数本から発生したと特定したという。

調査では、塩素が詰められていたと判断し得るシリンダー2本を特定したほか、目撃者の証言に依拠、また環境試料の検査で通常レベルを超えた塩素が検出されたという。

また、事件発生直後に、塩素などによる有毒化学物質による兆候や症状の患者多数が複数の医療施設に搬送されていたという。

アフメト・ウズムジュOPCW事務総長は「いかなる理由、状況であれ、またいかなる当事者が使用したにせよ、有毒ガスの武器としての使用を厳しく非難する」と述べたという。

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同地では、ドゥラル・シャーミーヤ(2月5日付)が複数の現地消息筋の話とし、シリア軍ヘリコプター複数機が夜間に飛来し、塩素ガスを装填した爆弾を投下、民間人11人が呼吸困難などの中毒症状を訴えたと伝えていた。

中毒症状を訴えた11人のなかには、ホワイト・ヘルメットの隊員3人も含まれていた。

ロイター通信(2月6日付)も、シリア米医療協会(SAMS)など複数の医療グループ、救急隊員の話として、化学物質が投下され、11人が「塩素ガスが使用されたことを示す」呼吸困難などの症状を訴えたと伝えたていた。

このほか、シリア人権監視団も、サラーキブ市ではシリア軍のヘリコプターが爆撃した直後、異臭が拡がったと発表したほか、ホワイト・ヘルメットの救急隊に所属するラーディー・サアド氏は、化学物質を装填した「樽爆弾」2発がヘリコプターから投下されたと証言していた。

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これを受け、米国務省は2月6日に声明を出し、イドリブ県サラーキブ市でシリア軍が塩素ガスを使用したとの情報が流れていることに関して、「シリア政府が再び化学兵器を使用したことを確認したら、忌まわしい行為であり、そうしたことを行ってはいけないという道義的、法的な規範に違反していることになる」と懸念を表明していた。

ヘザー・ナウアート報道官は「米国は、シリア政府が無垢の市民に対して塩素ガスを使用していると依然として疑われていること、そして今回はイドリブ県サラーキブ市近郊で使用されたことに重大な懸念を感じている…。この手の攻撃はこの3日で6回目になる」と述べ、シリア軍による塩素ガス使用を断定、そのうえで、ロシア政府に対して、アサド政権とその「支援者」に圧力をかけ、攻撃を停止させるよう呼びかけていた。

AFP, May 16, 2018、ANHA, May 16, 2018、AP, May 16, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 5, 2018、May 16, 2018、al-Hayat, May 17, 2018、Reuters, May 16, 2018、SANA, May 16, 2018、UPI, May 16, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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