アスタナ12会議は制憲委員会メンバー人選で合意に至らないまま閉幕(2019年4月26日)

カザフスタンの首都アスタナ(ヌルスルタン)で25日に開幕したアスタナ12会議は、2日間の日程を終え、閉幕した。

アスタナ会議の保障国であるロシア、イラン、トルコは閉幕声明を発表し、シリアの領土統一、主権尊重、国連憲章の遵守を改めて確認するとともに、ゴラン高原に対するイスラエルの主権を承認したドナルド・トランプ米大統領の決定を非難した。

閉幕声明は、ロシア、トルコ、イランの代表団長(アレクサンドル・ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使、アリー・アスガル・ハージー外務大臣補、セダト・オナル外務大臣補)、ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表らが同席するなかで、カザフスタンのフムタル・ティレウベルディ(Mukhtar Tileuberdi)外務副大臣が読み上げた。

声明は、ゴラン高原に対するイスラエルの主権を承認したトランプ大統領の決定を非難、「テロとの戦い」を口実とした分離の試みを拒否すると強調した。

また、主権と独立を尊重するとの原則のもとにジャズィーラ地方(ユーフラテス川以東地域)の治安と安定を保障すること、イドリブ県を中心とする緊張緩和地帯第1ゾーンに非武装地帯を設置することを定めた2018年9月のソチ(ロシア)での合意の完全履行を強調、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構による同地支配強化の試みに懸念を表明した。

そのうえで、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線(シャーム解放機構)、アル=カーイダやダーイシュとつながりのあるすべてのテロリストの根絶に向けて協力を継続することを確認した。

政治プロセスに関しては、ペデルセン特別代表の支援のもと、制憲委員会の活動を開始する必要が強調され、同氏に全面協力する用意があることが確認された。

このほか、声明は、シリア領内のすべての場所に対して、前提条件なく人道支援を継続する必要があることを強調、国際社会、とりわけ国連と人道帰還に対してさらなる協力を呼びかけた。

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シリア代表団の代表を務めるバッシャール・ジャアファリー国連シリア代表は会議閉幕後に記者会見を開き、トルコがイドリブ県からのテロ組織の排除を定めた2018年9月のソチ(ロシア)での合意を遵守しておらず、シャーム解放機構への支援を続けていると非難、シリア領内に違法に駐留するすべての外国部隊に即時撤退を求めるとともに、シリアが主権や領土統一を侵害されることを認めないと強調した。

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一方、ロシア代表団を率いるアレクサンドル・ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使は、記者会見で、今回の会合で制憲委員会のメンバーについて合意に至らなかったことを明らかにした。

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カザフスタン外務省によると、次回の会議(アスタナ13会議)は6月以降に行われる見込み。

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SANA(4月26日付)、ANHA(4月26日付)、ドゥラル・シャーミーヤ(4月26日付)、AFP(4月26日付)などが伝えた。

AFP, April 26, 2019、ANHA, April 26, 2019、AP, April 26, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 26, 2019、al-Hayat, April 27, 2019、Reuters, April 26, 2019、SANA, April 26, 2019、UPI, April 26, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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