シリアのアル=カーイダに近いイバー通信がラタキア県でシリア軍が塩素ガス攻撃を行ったと主張、シリア軍はこれを否定(2019年5月19日)

ラタキア県では、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構に近いイバー・ネット(5月19日付)は、シリア軍が早朝、県北部のクルド山地方カッバーナ村近郊のクバイナ丘を塩素ガスを装填した砲弾で攻撃したと伝えた。

イバー・ネットは「ラタキア県北部クルド山のクバイナ丘に対する犯罪者政権と占領者ロシアの民兵による数十回にわたる攻撃の試みが失敗し、同地で戦うジハード戦士が伝説とも言える不屈の抵抗を続けるなか、ヌサイリー軍は塩素ガスで同地を砲撃している」としたうえで、「シリア軍は19日早朝、クバイナ丘への進軍に失敗したことを受け、同地の戦士たちの拠点複数カ所に対して有毒塩素を装填したロケット弾3発で攻撃を行った」と伝えた。

同サイトの特派員によると、この砲撃で反体制派側に死傷者は出なかったが、シリア軍は同地への攻撃を続けているという。

**

イバー・ネットの報道は、反体制系のイナブ・バラディー、ザマーン・ワスル、SNN、ドゥラル・シャーミーヤなどによって拡散された。

また、ベルギーで活動する反体制系NGOの「シリア化学兵器違反記録センター」(CVDCS)も声明を出し、クナイバ丘が有毒ガスを装填したロケット弾3発の攻撃を受けたとしたうえで、複数の目撃者の証言として、砲弾が爆発すると、黄色の煙が上がり、塩素のような刺激臭がしたと発表した。

また、同センターの声明によると、この攻撃後に負傷者4人の治療にあたった医師も、目の充血や呼吸困難といった症状を発症していたと証言しているという。

**

これに対して、シリア軍武装部隊総司令部は、ラタキア県カッバーナ村でシリア軍が化学兵器を使用したとの情報が「捏造された虚偽の報道であり、事実無根」だと否定した。

シリア軍筋は、SANA(5月19日付)に対して、「敗北を喫した後にしてきたように、テロ集団とその配下にある一部メディアは、シリア・アラブ軍がカッバーナ村で化学兵器を使用したとする捏造されたウソのニュースを拡散した…。こうした報道の一切を否定するとともに…、テロとの戦いに邁進すると強調したい」と述べた。

ロシア外務省高官筋もこの情報を否定した。

**

なお、シリア人権監視団によると、ラタキア県では、シリア軍がカッバーナ村およびクルド山一帯を砲撃した。

また、ドゥラル・シャーミーヤ(5月19日付)、イバー・ネット(5月19日付)によると、ラタキア県では、シリア軍がクバイナ丘を砲撃し同地に進攻し、シャーム解放機構が応戦した。

AFP, May 19, 2019、ANHA, May 19, 2019、AP, May 19, 2019、CVDCS, May 19, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 19, 2019、al-Hayat, May 20, 2019、‘Inab Baladi, May 19, 2019、Reuters, May 19, 2019、SANA, May 19, 2019、Shabaka Iba’ al-Ikhbariya, May 19, 2019、SOHR, May 19, 2019、UPI, May 19, 2019、Zaman al-Wasl, May 19, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

SyriaArabSpring

Recent Posts