イドリブ県、ハマー県ではシャーム解放機構などからなる反体制派とシリア軍が激しく交戦、民間人4人を含む121人が死亡(2019年6月8日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから39日目となる6月8日も、シリア・ロシア軍が爆撃を実施、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より121人(民間人4人、シリア軍兵士65人、反体制武装集団戦闘員51人)増えて1,348人となった。

うち、361人が民間人(女性77人、子供87人を含む)、442人がシリア軍兵士、545人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は120回、投下した「樽爆弾」の数は40発を記録、ロシア軍戦闘機も42回の爆撃を実施した。

また、シリア軍地上部隊による砲撃は750発におよんだ。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でジャバーラー村、ハーン・シャイフーン市、フバイト村、ハーッス村、カルサア村一帯、スフーフン村、マアッラト・ハルマ村、カフル・ウワイド村に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでシャイフ・ムスタファー村、ナキール村、マアッラト・ヌウマーン市に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊が、県南部の戦闘地域を砲撃した。

ロシア軍もトゥラムラー村、カウカブ村を爆撃した。

シリア軍の爆撃で、カフルナブル市では民間人4人が、マアッラト・ヌウマーン市では女児1人が死亡した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でハスラーヤー村、ムーリク市、カフルズィーター市に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでハスラーヤー村、アブー・ライーダ村、タッル・ミルフ村に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊が、県北部の戦闘地域やカフルズィーター市を砲撃、ジャルマ一帯で反体制武装集団と交戦を続けた。

ドゥラル・シャーミーヤ(6月8日付)によると、砲撃はムーリク市近郊にあるトルコ軍の監視所一帯にも及んだ。

ロシア軍もザカート村、ハスラーヤー村、アルバイーン村、ラトミーン村、カフルズィーター市を爆撃した。

一方、SANA(6月8日付)によると、反体制武装集団がシリア政府支配下のシャイザル町を砲撃し、住民1人が死亡、3人が負傷した。

シャーム解放機構などからなる反体制武装集団はまた、前日に続いてタッル・ミルフ村、カフル・フード村に対する攻勢を続けたが、シリア軍がこれを撃破した。

他方、ドゥラル・シャーミーヤ(6月8日付)によると、シャーム解放機構は7日に開始した「必勝」の戦いの一環として、ジャルマ村内のシリア軍拠点に対して爆弾を積んだ車で攻撃を行い、シリア軍兵士多数を殺傷、戦車6輌を破壊したという。

トルコの支援を受ける国民解放戦線もカルナーズ町、シャイフ・ハディード村などにあるシリア軍の拠点を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がヘリコプターでカッバーナ村一帯に「樽爆弾」を投下、地上部隊が同地を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を12件(ラタキア県10件、ハマー県2件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を16件(アレッポ県1件、イドリブ県1件、ハマー県14件)確認した。

AFP, June 8, 2019、ANHA, June 8, 2019、AP, June 8, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 8, 2019、al-Hayat, June 9, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, June 8, 2019、Reuters, June 8, 2019、SANA, June 8, 2019、SOHR, June 8, 2019、UPI, June 8, 2019などをもとに作成。

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