シリアが反体制派支配下のイドリブ県のハーン・シャイフーン市、ジスル・シュグール市などを爆撃(2019年7月19日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから79日目となる7月19日、シリア・ロシア軍は爆撃を継続、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より8人(民間人2人、シリア軍兵士2人、反体制武装集団戦闘員4人)増えて2,539人となった。

うち、670人が民間人(女性132人、子供173人を含む)、906人がシリア軍兵士、963人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍戦闘機による爆撃回数は75回を記録、ヘリコプターが「樽爆弾」39発を投下、ロシア軍も29回の爆撃を行った。

またシリア軍の地上部隊による砲撃は630発におよんだ。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でマアッラト・ヌウマーン市、ハーン・シャイフーン市、タッル・ナール村、トゥラムラー村、バスィーダー村、マダーヤー村、ラカーヤー・サジュナ村に対して爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでハーン・シャイフーン市、ハーッス村とその一帯、に「樽爆弾」を投下した。

またシリア軍は地上部隊がカフルナブル市、ハーッス村一帯、フバイト村、ナージヤ村一帯を砲撃した。

ロシア軍もカフルサジュナ村、ラカーヤー村、マアッルズィーター村、マアッラト・ハルマ村を爆撃した。

一方、SANA(7月19日付)によると、シリア軍がハーン・シャイフーン市、ジスル・シュグール市にあるシャーム解放機構、トルキスタン・イスラーム党の拠点を砲撃した。

このほか、ドゥラル・シャーミーヤ(7月19日付)によると、イドリブ市で、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が自治を委託しているシリア救国内閣の治安担当者の一人ムハンマド・ナージー警察署長(アブー・ムジャーヒド)が乗った車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、ナージー氏と子供1人が負傷した。

シリア救国内閣の高官が狙われたのは、ムハンマド・カバーキブジー検事長(2019年3月に死亡)に次いで2度目。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でカフルズィーター市、ラターミナ町、ザカート村、ハスラーヤー村に対して爆撃を実施するとともに、地上部隊がタッル・ミルフ村、ジャビーン村、ハスラーヤー村、アルバイーン村、カフルズィーター市、ラターミナ町、ムーリク市、サルマーニーヤ村などを砲撃した。

ロシア軍もドゥワイル・アクラード村一帯を爆撃した。

一方、SANA(7月19日付)によると、シリア軍がカフルズィーター市、ザカート村を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカッバーナ村一帯、フドル丘一帯を砲撃した。

一方、SANA(7月19日付)によると、シリア軍が県北東部の拠点に対する反体制武装集団の攻撃への対抗阻止として、外国人戦闘員らの教練キャンプを砲撃、これを破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がジャズラーヤー村を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を2件(アレッポ県1件、ラタキア県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を5件(ハマー県4件、アレッポ県1件)確認した。

AFP, July 19, 2019、ANHA, July 19, 2019、AP, July 19, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 19, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 19, 2019、Reuters, July 19, 2019、SANA, July 19, 2019、SOHR, July 19, 2019、UPI, July 19, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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