トルコ軍・国民軍の猛攻を受け、シリア軍はハサカ県北東部の前線から撤退(2019年10月30日)

ハサカ県では、シリア人権監視団が人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の複数の司令官筋の話として伝えたところによると、シリア軍が、ダルバースィーヤ市西方からトルコ占領下のラアス・アイン市にいたる国境地帯全域、タッル・タムル町近郊の前線の村々、アブー・ラースィーン(ザルカーン)町から撤退した。

撤退は、トルコの支援を受ける国民軍の激しい攻撃を受けたもので、これによりアリーシャ町などの住民400世帯以上がタッル・タムル町方面に避難した。


SANA(10月30日付)も、シリア軍がラアス・アイン市南東に位置するタッル・ワルド村、タッル・タムル町近郊の牧草地帯でトルコ軍およびその支援を受ける国民軍と激しく交戦、トルコ軍・国民軍が同地の民家などを激しく砲撃、住民が避難を余儀なくされたと伝えた。

一方、タッル・タマル町同地で予定されていたロシア軍憲兵隊のパトロール任務も延期された。

ロシア軍憲兵隊のパトロール任務の撤退は、シリア国防省がシリア民主軍に対して行ったシリア軍への合流の呼びかけにシリア民主軍を応じさせるための圧力をかける動きだと思われる。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、県北部のマルアナーズ村一帯でシリア民主軍とトルコの支援を受ける国民軍が交戦した。

AFP, October 30, 2019、ANHA, October 30, 2019、AP, October 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 30, 2019、Reuters, October 30, 2019、SANA, October 30, 2019、SOHR, October 30, 2019、UPI, October 30, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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