トルコ軍ドローンの爆撃にもかかわらず、シリア軍はサラーキブ市を奪還、トルコ軍兵士1人を砲撃で殺害(2020年3月2日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍無人航空機(ドローン)が、サラーキブ市一帯のシリア軍拠点に対して爆撃を行った。

また、シャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室が、サラーキブ市一帯、同市近郊のジャウバース村、タルナバ村一帯でシリア軍への攻撃を続けた。

しかし、シリア軍地上部隊はシリア・ロシア軍の航空支援を受けて反撃し、「決戦」作戦司令室との激しい戦闘の末、サラーキブ市を再び制圧した。

サラーキブ市は2月5日にシリア軍が制圧したが、トルコの支援を受ける「決戦」作戦司令室は26日にこれを奪還したと発表していた。

シリア軍によるサラーキブ市再制圧を受け、ロシア軍はサラーキブ市に憲兵隊を派遣したと発表した。

これに対して、シャーム解放機構は、精鋭のアサーイブ・ハムラー(赤鉢巻)部隊を同地に派遣した。

シリア軍地上部隊はまた、タフタナーズ航空基地に設置されているトルコ軍の拠点を砲撃し、トルコ軍兵士1人が死亡、3人が負傷した。

シリア軍地上部隊はさらに、シリア・ロシア両軍の航空支援を受けて、県南部で「決戦」作戦司令室に攻勢をかけ、フライフィル村、ダール・カビーラ村、ハザーリーン村を奪還した。

一方、ロシア軍戦闘機は、県南部のほか、フーア市、アドワーン村、サラーキブ市一帯を爆撃し、フーア市で住民2人が死亡、6人が負傷、アドワーン村では国内避難民(IDPs)2人が死亡した。

これに対して、トルコ軍は、カフルルースィーン村に違法に設置されている国境通行所から戦車や装甲車などからなる車列をシリア領内に進入させ、イドリブ県との県境に位置するアレッポ県のバータブー村に新たな拠点を設置した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍地上部隊がカブターン・ジャバル村、アンジャーラ村、シャイフ・アキール山、カフル・ハラブ村を砲撃、「決戦」作戦司令室が同地でシリア軍と激しく交戦した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍防空部隊が、シリア駐留ロシア軍司令室が設置されているフマイミーム航空基地に向かって飛来した無人航空機複数機を撃墜した。

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ハマー県では、SANA(3月2日付)によると、トルコ軍の支援を受ける「決戦」作戦司令室がジューリーン村を砲撃し、女性1人と子ども1人が死亡、住民7人が死亡した。

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シリア人権監視団によると、一連の戦闘でシリア軍兵士11人と「決戦」作戦司令室戦闘員21人が死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を31件(イドリブ県4件、ラタキア県18件、アレッポ県8件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を16件(イドリブ県5件、ラタキア県0件、アレッポ県11件、ハマー県0件)確認した。

AFP, March 2, 2020、ANHA, March 2, 2020、AP, March 2, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 2, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, March 2, 2020、Reuters, March 2, 2020、SANA, March 2, 2020、SOHR, March 2, 2020、UPI, March 2, 2020などをもとに作成。

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