シリア政府がアラブ連盟外相会合の決議が「国民主権への違反、あからさまな内政干渉、連盟憲章代8条への明らかな違反」であるとしこれに対する拒否を表明(2012年1月23日)

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アサド政権の動き

SANA(1月23日付)は、シリア高官の話として、シリア政府がアラブ連盟外相会合の決議を「アラブの行動計画を逸脱している」、「包括的改革計画実施に向けたシリアの努力を無視している」と批判し、「国民主権への違反、あからさまな内政干渉、連盟憲章代8条への明らかな違反」と拒否すると報じた。

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またアラブ連盟常駐代表のユースフ・アフマド大使はカイロで、アラブ連盟外相会合の決議に関して、シリア内政に対する外国の干渉を呼び込むため、カタールを筆頭とする一部のアラブ諸国が数ヶ月にわたって行ってきた方法に沿った内容だとしたうえで、反体制勢力が平和的政治解決を拒否することを助長し、危機回避のための国民対話の可能性を奪うものだと痛烈に批判した。

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進歩国民戦線は声明を出し、アラブ連盟の決議を「敵対的な行為」、「国民主権への侵害」と非難した。

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SANA(1月23日付)は、政党問題委員会がアンサール党、民主前衛党の2党の発足を認可したと報じた。

反体制勢力の動き

シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、大統領権限の副大統領への移行と2ヵ月以内の挙国一致内閣発足などを骨子とするアラブ連盟外相会合の決議に関して、「検討に値する」と姿勢を示した。

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地元調整諸委員会は声明を出し、アラブ連盟外相会合の決議を「体制への新たな猶予であり、新たな時間稼ぎの機会を与え、革命を生き埋めにする体制の狙いを隠蔽する」と拒否した。

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シリア国家建設潮流は声明を出し、大統領権限の副大統領への移譲、20日以内の挙国一致内閣発足などを骨子とするアラブ連盟外相会合の決議に歓迎の意を表明した。

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シリア・クルド国民評議会のアブドゥルハキーム・バッシャール代表は、同評議会とシリア国民評議会が、「国際法・慣習に沿い、シリアの統合を基礎とした、クルド問題をめぐる民主的解決策を案出」することで相互理解に達し、前者が後者に加盟するための政治綱領の修正を行うことで合意したと発表した。

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Kull-na Shuraka’, January 24, 2012

シリア国民評議会執行委員会使節団は、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と会談し、アラブ連盟監視団の活動に関する「パラレル・レポート」を提出した。

同レポートは約100ページからなり、監視団の活動、民間人への犯罪などが詳細に記されている、という。

国内の暴力

シリア人権監視団は、ヒムス県クサイル市で軍・武装部隊と離反兵が交戦し、少なくとも前者の兵士5人が殺害され、13人が負傷したと発表した。

またダマスカス郊外県のドゥーマー市、タルフィーター村、ジスリーン町で治安部隊が市民8人を、イドリブ県で2人を、ヒムス県で1人を殺害したというが、証拠はない。

一方、ドゥーマー市では、23日早朝に殺害された市民12人の葬儀に15万人が参列したという。

しかしドゥーマー市の人口は11万人強に過ぎない。

このほかダイル・ザウル県のクーリーヤ市、ブーカマール市で治安当局が大規模な摘発を行ったという。

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SANA(1月23日付)によると、ヒムス県クサイル地方で武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃し3人を殺害、14人を負傷させた。

またダイル・ザウル県ブーカマール市では、武装テロ集団が仕掛けた爆弾を撤去しようとした処理班が爆発に巻き込まれ、1人が死亡した。

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『ザマーン・ワスル』(1月23日付)は、シリア革命総合委員会が1月21日のイドリブ県でのバス爆破事件に関して、搬送されていた逮捕者が「すでに死んでいた」証拠を示したと報じた。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長がカイロで記者会見を開き、監視団派遣以後、アサド政権と反体制勢力の双方で136人が殺害されたことを確認したと述べ、「監視団が到着したときには明らかな暴力があった、しかし現地で活動を開始すると、暴力は次第に減っていった。これは我々の活動が成功した証拠だ」と強調した。

この数値は在外反体制勢力や国際人権団体が発表する誇張された犠牲者数に比べて少ない。

例えばAvaazは1月19日に700人以上と発表している。

またシリア国民評議会によると、過去1ヵ月間の死者数は759人にのぼるという(なお3月以降の死者数は同評議会によると6,000人)。

またダービー団長は、反体制勢力の批判に対して、「反体制勢力に応える義務はない。言いたいように言わせておこう。想像したいように想像させておこう」と述べた。

レバノンの動き

カイロから帰国したアドナーン・マンスール外務大臣は、アラブ連盟外相会合の決議に関して、「アラブ連盟監視団の報告書と無関係」の内容と批判したうえで、「反体制勢力と政府の対話によって危機は収束するだろう」との見方を示した。

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進歩社会主義党党首のワリード・ジュンブラート議員は機関誌『アンバー』(1月23日付)で、マンスール外務大臣の発言を批判、「シリアの危機をめぐって解決策を提示しようとするより、沈黙しているようがよかった」と述べた。

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レバノン・カターイブ党最高党首のアミーン・ジュマイイル元大統領は「シリア危機のカウントダウンが始まった」としつつ、「他の何よりも先ずレバノンのニーズに対処するというのが「レバノン第一」というスローガンの本文だ」と述べ、反アサド政権の姿勢を明示する3月14日勢力の一部の指導者たちとの姿勢の違いを示した。

諸外国の動き

EUが外相会合で、アラブ連盟の決議を支持するとともに、シリア問題を国連安保理に付託することを支持するよう国際社会に求めた。

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ロシア紙『コメルサント』1月23日付は、シリアとロシアが36機の演習用戦闘機ヤク130の購入などの供与で合意(契約総額は550,000,000ドル相当)に達した、と報じた。

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イスラエル紙『マアレヴ』(1月23日付、『クドゥス・アラビー』紙翻訳)は、アサド政権が地域の不安定化とイスラーム主義者による支配を意味しており、「西側は、アサドによる弱い支配の方が、その崩壊よりましだ…ということを理解せねばならない」と報じた。

AFP, January 23, 2012、Akhbar al-Sharq, January 23, 2012, January 24, 2012、al-Hayat, January 24, 2012、Kull-na Shuraka’, January 23, 2012、Naharnet.com, January
23, 2012、al-Quds al-‘Arabi, January 23, 2012、Reuters, January 23, 2012、SANA, January 23, 2012、Zaman al-Wasl, January 23, 2012などをもとに作成。

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