ロシア・トルコ軍合同パトロール部隊が反体制派支配下のM4高速道路全区間を初めて巡回(2020年7月22日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから139日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍とトルコ軍がアレッポ市とラタキア市を結ぶM4高速道路で22回目となる合同パトロールを実施した。

合同部隊はタルナバ村からラタキア県のアイン・フール村に至る反体制派支配下の全区間を初めて巡回した。

7月14日に同様のルートで合同パトロールが実施されたが、途中車列が爆弾の爆発に巻き込まれ、ロシア軍兵士3人が負傷、パトロールは中断していた。

合同部隊はアイン・フール村に到着後に解散、ロシア軍部隊はシリア政府支配下のラタキア県北部でパトロールを継続する一方、トルコ軍部隊はイドリブ県内の基地に帰着した。

トルコ軍は前日から、M4高速道路沿線に兵士を展開させ、合同パトロールの安全を確保するための準備を行っていた。

一方、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約30輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

このほか、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のハルーバ村、フライフィル村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のズィヤーラ町、サルマーニーヤ村を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を3件(イドリブ県2件、ラタキア県1件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を2件(イドリブ県2件、ラタキア県0件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認した。

AFP, July 22, 2020、ANHA, July 22, 2020、AP, July 22, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 22, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 22, 2020、Reuters, July 22, 2020、SANA, July 22, 2020、SOHR, July 22, 2020、UPI, July 22, 2020などをもとに作成。

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