シリア革命反体制勢力国民連立がジュネーブ2会議への参加を決定したと発表するも、同決定がなされた総合委員会会合ではジャルバー議長と自由シリア軍参謀委員会のミクダード政治広報調整官が激しく対立(2013年11月11日)

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反体制勢力の動き

イスタンブールで総合委員会会合を続けていたシリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、ジュネーブ2会議への対応に関する決定を発表した。

同声明のなかで、シリア革命反体制勢力国民連立は「審議のうえ、連立は、大統領顕現、軍・治安機関に関わる権限のすべてを有する移行期統治機関への権力移譲を行うことを基本として、またバッシャール・アサドおよびシリア人の血でその手を汚した側近らが移行期とシリアの将来においていかなる役割も担わないことを基本として、ジュネーブ2会議への参加準備を行うことを了承した」と発表した。

また「大会開催に先立って、包囲されている地域に赤十字社、赤新月社などの人道支援車輌が入ること、政治犯、とりわけ女性、子供の釈放を保障する」ことを求めた。

そのうえで「連立は、複数のメンバーからなる委員会が、国内外の革命諸勢力と必要な協議を行い、連立の決定に関する姿勢を説明する」と付言した。

連立はまた、移行期政府閣僚人事に関する採決を行い、12人の閣僚候補のうち9人を承認した。

『ハヤート』(11月13日付)によると、承認された各閣僚の獲得票は以下の通り:

1. イヤード・クドスィー副首班:71票
2. アスアド・ムスタファー国防大臣:64票
3. ヤースィーン・ナッジャール通信産業大臣:66票
4. イブラーヒーム・ミールー財務経済大臣:72票
5. タグリード・ハジャリー文化家族大臣:62票
6. ファウワーズ・ザーヒル法務大臣:65票
7. ウスマーン・バディーウィー地方自治大臣:67票
8. ワリード・ズウビー水資源インフラ大臣:63票
9. イリヤース・ワルダ・エネルギー天然資源大臣:67票

また以下の閣僚候補は過半数の賛成を得られなかったという。

10. アンマール・カルビー内務大臣:30票
11. ムハンマド・ジャミール・ジャッラーン保健大臣:59票
12. アブドゥッラフマーン・ハーッジ教育高等教育大臣:59票

この3閣僚については、引き続き人選などの調整が続けられる。

なお、シリア革命反体制勢力国民連立の消息筋は『ハヤート』(11月13日付)に対し、トゥウマ暫定政府に関して、湾岸諸国やトルコが資金供与などを通じて支持していると述べる一方、ムスタファー・サッバーグ前事務局長のブロック、ダマスカス宣言、シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー議長、サミール・ナッシャール氏が発足を延期するよう求めたが、総合委員会(定数122人)で採決が断行されことを明らかにした。

移行期政府の発足は、全権を有する移行期政府の発足を協議するとしたジュネーブ2会議の最大の議題の一つである。

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ジュネーブ2会議に関するシリア革命反体制勢力国民連立総合委員会の声明に関して、ムンズィル・アークビーク氏(議長局長)は、「ほぼ全会一致だった…。シリア国民評議会が主張を変えたことは確かだ。だから採決に応じた」と述べた。

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なお、『ハヤート』(11月12日付)によると、シリア革命反体制勢力国民連立の総合委員会会合では、自由シリア軍参謀委員会(最高軍事評議会)のルワイユ・ミクダード政治広報調整官が、アサド大統領の退陣に関して合意した旨、声明に盛り込むよう強く訴えるとともに、交渉期間の期限設定、国連憲章第7章に基づく制裁決議を要求すべきだと主張し、アフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長と鋭く対立したという。

また連立における参謀委員会の代表ポストの増加を求めた。

これに関して、クッルナー・シュラカー(11月11日付)は、10日深夜から11日未明にかけて、ジャルバー議長がミクダード氏を平手打ちするまでに両者の対立が激化したと報じた。

殴られたミクダード氏は会場にいたトルコ警察に助けを求めたが、議長局のメンバーたちが阻止、両者を仲裁したという。

またカマール・ルブワーニー氏は、クッルナー・シュラカー(11月12日付)に、両者の対立の最大の原因は、採決が秘密投票によって行われなかったことで、一部のメンバーが投票時に圧力を受けたことにあったと述べた。

このほか、総合委員会においてシリア・クルド国民評議会の連立への参加が承認され、総合委員会に同評議会のメンバー8人が参加した(これにより、総合委員会の定数は114人から122人となり、シリア・クルド国民評議会メンバーは11人となった)。

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また、クッルナー・シュラカー(11月11日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立の総合委員会がジュネーブ2会議への対応、移行期政府閣僚人事などを了承したことに関して、シリア・クルド国民評議会のアブドゥルハキーム・バッシャール代表が「クルド人は政治的存在ではなく、民族的存在だ」としたうえで、「採決ではなく全会一致で承認されるべきだった」と不満を表明したと報じた。

シリア・クルド国民評議会が、移行期後のシリアの政体に関して連邦制を樹立すべきと主張し、地方分権をめざす連立と対立していることが不満表明の背景にあるという。

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ロイター通信(11月12日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・トゥウマ暫定内閣に参画した閣僚の一人の話として、「米国は暫定政府に反対している。なぜなら、ジュネーブ2会議の対話を損なうと考えているからだ」と報じた。

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タウヒード旅団は声明を出し、アレッポ市(西部一帯)の武装集団との調整の末、「市民の安全保護と革命家の軍事作成成功」のために同市全域に外出禁止令を出したと発表した。

同声明によると、毎日午後7時から翌朝7時までの12時間、市民の外出は禁止される。

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『ラアユ』(11月11日付)は、シリア治安筋の話として、シリア国内でテロ活動を行っている外国人戦闘員の内訳を紹介した。

同報道によると、現在、シリアには約80カ国からサラフィー主義戦闘員が流入しており、もっとも多いのがサウジアラビア人(4,800人)で、次いでイラク人(4,500人)、パレスチナ人(3,000人)、チュニジア人(2,700人)、アルジェリア人(2,000人)、インドネシア人(1,100人)、チェチェン人(800人)、アフガニスタン人(400人)、クウェート人(350人)などが続くという。

また米国、西欧諸国出身のサラフィー主義戦闘員の数は1,300人に及ぶという。

一方、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)は、その90%が欧米のサラフィー主義者からなり、現在国土の約30%を占拠しているのだという。

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『ハヤート』(11月11日付)は、イスラーム軍の広報機関が、国内外で自らの活動を取材・撮影する記者を募集している、と報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市、ヤルダー市、フジャイラ村で、軍が、国防隊、ヒズブッラー、アブー・ファドル・アッバース旅団の支援を受け、反体制武装集団と交戦し、砲撃を加えた。

一方、SANA(11月11日付)によると、アルバイン市、マディーラー市、ミスラーバー市、ナシャービーヤ町周辺、マイダアー町周辺、スバイナ町周辺、ヤブルード市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区で、軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(11月11日付)によると、カッサーア地区のダマスカス・ヨハネ学校に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、子供9人が死亡、27人が負傷した。

また同地区にある聖十字架教会、キルリース教会も被害を受けた。

さらにバーブ・トゥーマー地区でも、児童を乗せた通学用バスに迫撃砲弾が着弾し、子供5人を含む7人が負傷した。

このほか、SANA(11月11日付)によると、バルザ区、カーブーン区、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点、装備、地下トンネルを破壊した。

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アレッポ県では、AFP(11月11日付)がシリア軍消息筋の話として伝えたところによると、アレッポ国際空港の「南東部全域を軍が奪還し…同空港の再開の準備が可能になった」。

またシリア人権監視団によると、軍はサフィール市北部のタッルアラン市を制圧、アレッポ市とサフィーラ市を結ぶ街道を再制圧した。

一方、『ワタン』(11月11日付)は、トルコ経由でアレッポ県の北部、東部に延びる反体制武装集団の兵站線を最終的に掌握するための「最後の軍事作戦」を軍が準備している、と報じた。

このほか、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が未明に、アフリーン市郊外にあるカスタル・ジンドゥー村の人民防衛隊拠点複数カ所を襲撃した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、民主統一党人民防衛隊が制圧しているラアス・アイン市の赤十字施設の近くで、爆弾を積んだ自動車が自爆し、建物が全壊し、少なくとも5人が死亡、数十人が負傷した。

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イドリブ県では、SANA(11月11日付)によると、サフーハン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(11月11日付)によると、マヒーン町、フワーリーン村、ハダス村、ダール・カビーラ村、タルビーサ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(11月11日付)によると、ラビーア町一帯、サーキヤト・カルト村、カフル・アジューズ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(11月11日付)によると、ダルアー市マンシヤ地区、ハマーディーン地区、キャンプ地区、タファス市、ナワー市、イズラア市、アトマーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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リハーブ・ニュース(11月11日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員約40人がラタキア県トルクメン山(ラビーア町一帯)の野戦病院を襲撃し、「自由シリア軍」の拠点を奪おうとしたが、「自由シリア軍」がこれを撃退した。

この戦闘で、ダーイシュは、クルド山シャリーア委員会メンバーのジャラール・バーヤルリー氏を殺害したという。

この戦闘に関して、クッルナー・シュラカー(11月12日付)は以下のような経緯で発生したと報じた。

1. ダーイシュがシャリーア委員会メンバー(ジャラール・バーヤルリー氏)を殺害(10月10日)。
2. 「アッラーのための聖遷大隊」本部をダーイシュが襲撃し(日付は不明)、司令官のアブー・ラッハール氏を殺害。戦闘で双方に死傷者が出たという。
3. 11月11日に、シュグル・ダム近くのシャーム自由人運動の検問所近くで戦闘があり、ダーイシュの増援部隊が同地に集結。12日、「アッラーのための聖遷大隊」の戦闘員6人の惨殺体が発見された。

一方、シリア人権監視団は、ダーイシュがラタキア県ラビーア町で反体制武装集団の戦闘員6人を処刑した、と発表した。

同監視団によると、処刑を行ったのは、アブー・アイマン・イラーキー氏が率いる部隊で、ダーイシュがこの武装集団の拠点を征圧した後に行われ、また両者の停戦を仲介しようとしたシャリーア委員会のメンバー1人も殺害されたという。

諸外国の動き

ジュネーブ2会議に関するシリア革命反体制勢力国民連立総合委員会の声明に関して、ジョン・ケリー米国務長官は、アブダビでの記者会見で、「シリアの反体制勢力はジュネーブに行くと採決した。これは大きなステップだ」だと高く評価した。

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ヨルダンの国家治安裁判所は、シリアに違法に潜入し、シャームの民のヌスラ戦線に参加しようとしていたヨルダン人サラフィー主義者2人に、2年半の禁固刑を宣告した。

AFP(11月11日付)が報じた。

AFP, November 11, 2013、al-Hayat, November 11, 2013、November 12, 2013, November 13, 2013、Kull-na Shuraka, November 11, 2013, November 12, 2013、Naharnet, November 11, 2013、al-Ra’y, November 11, 2013、Reuters, November 11, 2013、Rihab News, November 11,
2013、SANA, November 11, 2013、UPI, November 11, 2013、al-Watan, November 11, 2013などをもとに作成。

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