人民防衛隊がヌスラ戦線・イスラーム国との戦闘の末にハサカ県ヤアルビーヤ町を完全制圧、トルコ外相は民主統一党が「シリアのすべてのクルド人を代表していない」としつつ同党がシリア革命反体制勢力国民連立に合流するべきだと主張(2013年10月27日)

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反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(10月27日付)は、ダルアー県タファス市の複数の活動家の話として、イスラエル製の小型スパイ偵察機器が同市で発見されたと報じた。

Kull-na Shuraka’, October 27, 2013。

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イスラーム軍広報局は、ヒムス県スフナ市で死亡したスライマーン・カナアーン大佐(故ガーズィー・カナアーン元内務大臣の弟)が、ダマスカスで粛正され、スフナ市に遺体を捨てられたと断じた。

イスラーム軍によると、カナアーン大佐は自由シリア軍の協力者で、離反を計画していたために軍によって殺害されたのだという。

シリア政府の動き

欧州を訪問中のシャリーフ・シハーダ人民議会議員は、離反し欧州に逃亡したとの一部反体制サイトの報道に関して、AFP(10月27日付)に「離反はあり得ない…。私はシリア国民を代表するジャーナリストで、いかなる国にも入国する権利がある」と述べ、否定した。

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シャファーフ・ネット(10月27日付)は、シリア政府が北朝鮮軍の戦闘ヘリコプター・パイロット15人に反体制武装集団の拠点空爆の支援を求めたと報じた。

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クッルナー・シュラカー(10月27日付)によると、当局はアレッポ県のアレッポ中央刑務所の収監者8人を釈放した。

国内の暴力

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、民主統一党人民防衛隊がシャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)などとの交戦の末、ヤアルビーヤ町を制圧した。

人民防衛隊は前日には、対イラク国境のヤアルビーヤ国境通行所を制圧していた。

これに関して、シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、イラク軍が、民主統一党人民防衛隊と連携し、ヤアルビーヤ国境通行所に対して越境砲撃を行ったと断じ、非難した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、サダド市、スフナ市などの周辺で軍と反体制武装集団(サラフィー主義者)が交戦した。

両市をめぐる攻防戦では、軍とサラフィー主語戦闘員の双方に合わせて100人以上の戦死者が出たという。

一方、SANA(10月27日付)によると、サダド市で軍が反体制武装集団の追撃を続け、聖テオドロス教会、ブルジュ広場などを占拠していた複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またカルアト・ヒスン市、キースィーン村、ウンム・サフリージュ村、サラーム・ガルビー村、ヒムスしバーブ・フード地区、クスール地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、クッルナー・シュラカー(10月27日付)が、サイイダ・ザイナブ町近郊にあるアブー・ファドル・アッバース旅団とヒズブッラー戦闘員の拠点を「自由シリア軍」が爆破することに成功したと報じた。

一方、SANA(10月27日付)によると、アルバイン市、ハラスター市、フタイタト・トゥルクマーン市周辺、カースィミーヤ市郊外、ムライハ市郊外、ドゥーマー市郊外、ナバク市郊外、ラアス・アイン市、リーマー農場、ヤブルード市東部、マアルーラー市郊外、ルハイバ市東部、アドラー市南東部で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またジャルマーナー市では、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、市民7人が負傷した。

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ダマスカス県では、SANA(10月27日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(10月27日付)によると、アレッポ市ライラムーン地区、カスタル・ハラーミー地区、タッラト・アッザーン村、ジュダイダ地区、マルジャ村、アルバイド村、クワイリス村、アレッポ中央刑務所周辺、カースティールー街道で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(10月27日付)によると、ダイル・ザウル市ラシュディー地区、工業地区、ウルフィー地区、ジュバイラ地区、ジャウラ地区、クスール地区、マリーイーヤ村、ジャフラ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)、イブン・カイイム旅団、シャーム自由人運動の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(10月27日付)によると、シュアサ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(10月27日付)によると、アイン・カンタラ村、グマーム村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(10月27日付)によると、アブー・ズフール航空基地周辺、マアッラト・ヌウマーン市、カフルルーマー村、サラーキブ市、ナイラブ村、ナフリヤー市、ザアラーナ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(10月27日付)によると、ダルアー市各所、アトマーン村、タファス市、タッル・サマン周辺、ブスル・ハリール市、マスィ-カ市、ハワービー村などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

NNA(10月27日付)によると、武装集団どうしの衝突が続いていた北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区、ジャバル・ムフスィン地区などに軍が展開し、事態を収拾した。

諸外国の動き

化学兵器禁止機関は声明を出し、「10月24日木曜日、シリア・アラブ共和国が化学兵器プログラム(およびその廃棄)に関する当初計画を提出した」と発表し、同国が「期限を遵守した」ことを高く評価した。

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イランのアーラム・チャンネル(10月27日付)によると、ハサン・ロウハーニー大統領がイランを訪問中のアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表と会談し、「イランは、ジュネーブ2会議であれ、シリア安定化のためのそれ以外のいかなるイニシアチブであれ、あらゆる努力を行い、積極的な役割を担う用意がある」と伝えた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣はTRT1(10月27日付)のインタビューで、民主統一党が「シリアのすべてのクルド人を代表しておらず…、同党の圧力を不快に思う複数の集団が案からに支援を求めに来た」としつつ、同党がシリア革命反体制勢力国民連立に入るべきだと主張した。

またダウトオール外務大臣は、トルコがアル=カーイダとつながりのあるいかなる集団も支援していないと強調した。

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ロシア連邦議会下院のアレクセイ・プシュコフ国際問題委員長は、ツイッター(10月27日付)で、イスラーム軍など19の武装集団が声明でジュネーブ2会議を拒否したことについて「シリアをめぐる国際会議を頓挫させようとしている当事者」と批判した。

AFP, October 27, 2013、al-Hayat, October 28, 2013、Kull-na Shuraka’, October 27, 2013、Naharnet, October
27, 2013、NNA, October 27, 2013、Reuters, October 27, 2013、Rihab News, October
27, 2013、SANA, October 27, 2013、alshafaf.com, October 27, 2013、UPI, October
27, 2013などをもとに作成。

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