ヌスラ戦線の指導者が同戦線とイスラーム国との関係について「意見の相違が生じたために離別した」ことを明らかに、アラブ連盟のアラビー事務総長はジュネーブ2会議が11月23日に開催されることを明言(2013年10月20日)

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反体制勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア在外局長は、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が述べた「説得力のある反体制勢力」という言葉に関してロシア・トゥデイ(10月20日付)に、「シリアの友連絡グループ」の介入がなくなれば出現するだろう、と述べた。

マンナーア氏はまた「説得力のある反体制勢力はクルド最高委員会、民主的変革諸勢力古訓民調整委員会、シリア革命反体制勢力国民連立を包摂する」と述べた。

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シャームの民のヌスラ戦線の指導者(アミール)の一人でアブー・アミールを名乗る活動家はジャズィーラ(10月20日付)に、アサド政権崩壊後のシリアでの活動に関して「イスラーム的になれば、国家の一部をなすだろう。しかし、我々は自分たちの意見を押しつけることはせず、よりよい将来を選ぶよう、人々に今教示している」と述べた。

アブー・アミール氏はまた、シリアの反体制武装集団と良好な関係にあると述べる一方、シリア革命反体制勢力国民連立について「我々みなにとって、現地の活動家の方が彼らより重要だ」と非難した。

また自身の経歴については「平和的でも開始以来、革命運動体に属してきた」と述べ、2011年3月に始まった反体制運動に一貫して参加してきたと主張した。

さらにヌスラ戦線の武装活動について、アブー・アミール氏は「戦線は民間人を標的としておらず、彼らの生命…を守るべく個々人が努力している…。我々は殺人者と戦っており、そのために爆破、狙撃などといった手段を駆使している…。我々が民間人を標的にしていると非難する者は嘘つきだ」と強調した。

一方、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との関係については、「意見の相違…が生じたため、ヌスラ戦線はダーイシュから別れ、独立した」と述べるにとどまった。

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ダマスカス県・ダマスカス郊外県で活動する複数の反体制武装集団17組織がビデオ声明を出し、「古都ダマスカスおよび同郊外ムジャーヒディーン連合」を結成すると発表した。

「古都ダマスカスおよび同郊外ムジャーヒディーン連合」はムハンマド・ヒムスィー・アブー・カッスー大尉が司令官を務め、以下の組織が参加を表明した。

シャーム殉教者旅団
ダマスカスの険旅団
シャーグール・ムジャーヒディーン大隊
バッラー・ブン・マーリク大隊
アンサール・シャーム大隊
真実の旗大隊
アール・バイトの末裔中隊
バーブ・ハディード中隊
バーブ・サギール中隊
バーブ・トゥーマー中隊
バーブ・ジャービヤ中隊
バーブ・カイサーン中隊
バーブ・シャルキー地区中隊
バーブ・ワリード中隊
バーブ・サリージャ中隊
バーブ・サラーム中隊
バーブ・ムサッラー地区中隊

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クッルナー・シュラカー(10月20日付)は、アレッポ県アレッポ市内の「解放区」で活動する反体制活動家が衛生テレビ放送「シャフバー・チャンネル」開設を発表したと報じた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ前代表はフェイスブック(10月20日付)で、ジュネーブ2会議参加の条件に関して「政治的でなく、人道的」でなければならないと述べ、刑務所に収監中の女性、子供を釈放するよう求めた。

シリア政府の動き

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、レバノンのアドナーン・マンスール暫定外務大臣と電話会談を行い、アアザーズ市で拉致されたレバノン人巡礼者9人の解放に対して祝辞を述べる一方、「シリアは努力を惜しむことなく、レバノンを支援するあらゆることを行うだろう」との言葉を贈った。

UPI(10月20日付)が報じた。

国内の暴力

ハマー県では、SANA(10月20日付)によると、ハマー市東部入り口に位置する農業機器会社近くで反体制武装集団戦闘員による自爆テロが発生し、市民37人が死亡、約80人が負傷、自動車32台が大破した。

自爆テロは、1.5トンの爆発物が仕掛けられた自動車を用いて行われた。

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ダマスカス郊外県では、SANA(10月20日付)によると、ジャルマーナー市内の住宅地に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、市民21人が負傷した。

また、ザマルカー回廊、ドゥーマー市郊外、TAMICO製薬会社周辺(ムライハ市)、カースィミーヤ市、ダブラ市郊外、ムウダミーヤト・シャーム市、マハッバ村、アドラー市、ヤブルード市西部、カラムーン山地一帯南部、ナバク市北東部で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、シリア人権監視団によると、TAMICO製薬工場のムライハ市郊外一帯を20日にハビーブ・ムスタファー旅団、シャバーブ・フダー大隊、そしてシャームの民のヌスラ戦線が制圧した。

同監視団によると、ヌスラ戦線は、TAMICO検問所に対して爆弾を積んだ車で自爆攻撃を行い、軍兵士16人を殺害した。

戦闘では、反体制武装集団戦闘員15人も死亡したという。

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ダマスカス県では、SANA(10月20日付)によると、カーブーン区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(10月20日付)によると、アレッポ中央刑務所周辺、サフィーラ市、マアスラーニーヤ市、ナイラブ村北部、ラスム・アッブード村、クワイリス村、タッル・ハースィル村・タッルアラン市回廊、アレッポ市ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(10月20日付)によると、ガントゥー市、ヒルブナフサ村、ガースィビーヤ村、ハーリディーヤ村、ダール・カビーラ村、ラスム・スワイド村、キースィーン市、クマイリー村、ナジュマ村、ラスタン市、ガジャル村、ヒムス市バーブ・フード地区、カラービース地区、ハミーディーヤ地区、クスール地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(10月20日付)によると、ハミーディーヤ村、ジャーヌーディーヤ町、アーリヤ村、ハッルーズ村、ハーッジ・ハンムード農場、クマイナース村、サルジャ村、シュワイハ村、アブー・ズフール航空基地周辺、マルイヤーン村、カストゥーン村、ファイルーン村、フータ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(10月20日付)によると、ダルアー市、サマン丘、マアルバ町、西サムダーニーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

諸外国の動き

エジプト訪問中のアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と会談した。

会談後の共同記者会見で、アラビー事務総長は「乗り越えられるべき多くの困難」があるとしつつ、(会談で)11月23日にジュネーブ2会議が開催されることが決定された」と明言した。

これに対して、ブラーヒーミー共同特別代表は「日程はまだ正式には決まっていない」としつつ、11月23日のジュネーブ2会議開催に向けて準備を進めていることを明らかにした。

また反体制勢力の姿勢に関して「シリアの反体制勢力は多くの問題に直面している。シリア国民の重要な一部を代表する説得力のある反体制勢力がいなければ、大会は開催されない」と述べた。

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シリア国内で化学兵器廃棄に向けた準備を行っている化学兵器禁止機関の調査先遣隊が、化学兵器弾頭の破壊のために訪れていた同国内某所での作業を終え、ダマスカスに帰任した。

ロイター通信(10月20日付)が伝えた。

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フランス外務省報道官は、ジュネーブ2会議に関して、「我々は反体制勢力がこの会議で統合されていることを望んでいる」と述べた。

AFP, October 20, 2013、Aljazeera.net, October 20, 2013、al-Hayat, October 21, 2013, October 22, 2013、Kull-na Shuraka’, October 20, 2013,
October 21, 2013、Naharnet, October 20, 2013、Reuters, October 20, 2013、Rihab
News, October 20, 2013、Russia Today, October 20, 2013、SANA, October 20,
2013、UPI, October 20, 2013などをもとに作成。

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