【トルコ・シリア大地震】政府、自治体、関係機関、NGOによる救援活動続く(2023年2月7日)

Contents

内閣・閣僚の動き

フサイン・アルヌース内閣は緊急閣議を開催し、6日の大規模地震の被害を受けたアレッポ県、ラタキア県、ハマー県、タルトゥース県での救援活動を実施するための行動計画を策定した。

閣議では、大規模地震の影響に対処するための緊急活動に資金供与の第1弾として500億シリア・ポンドを割り当てることが決定された。

また、被災地への支援物資の配給を一本化し、必要に応じた支援を行うことが決定され、各県知事に被害状況の確認を引きつづき行うよう求めるとともに、高等救済委員会に全国レベルおよび県レベルでの救援活動を任じた。

さらに、国家計画国際協力委員会に関係機関と連携して、被害報告書を作成するよう指示、地方行政環境省に負傷者や被災者への支援の継続を命じた。

**

国防省は声明を出し、6日の大規模地震の被災県などで、輸血に必要なすべての血液型の血液が十分に確保されていると発表した。

**

国内通商消費者保護省は、ダマスカス県から食料品や必需品を積んだ大型冷蔵車輌4輌をアレッポ県とラタキア県に派遣するなど、6日の大規模地震によって避難所に避難した被災者に対するパン、救援物資を提供するための取り組みを継続していることを確認した。

 

**

スハイル・アブドゥッラティーフ公共事業住宅大臣は、報道声明を出し、建物の安全を確認するためのチームが、アレッポ県、ラタキア県、ハマー県で建物の被害状況の調査を開始したと発表した。

**

フサイン・アルヌース首相は、ハサン・ガッバーシュ保健大臣、ムハンマド・サイフッディーン社会問題労働省大臣とともに、ラタキア県を訪れ、6日の大規模地震で建物が倒壊した被害現場、負傷者が搬送されているジャブラ国立病院、ラタキア国立病院、ティシュリーン大学病院を視察した。

視察には、アーミル・ヒラール・ラタキア県知事も同行した。

**

アリー・マフムード・アッバース国防大臣がアレッポ市を訪れ、6日の大規模地震で建物が倒壊した被害現場を視察した。

アッバース国防大臣はまた、救出作業、瓦礫の撤去作業などにあたっている軍の工兵部隊の活動を視察した。

**

ダーリム・タッバーア教育大臣は、教育分野の支援に携わる国際機関の代表らと会談し、被害を受けた学校の復旧の方途について意見を交わした。

自治体の動き

ハマー市消防局のサーイル・ハサン所長は報道声明を出し、同市で倒壊・半壊した建物の下敷きになっていた住民の救出作業を完了したと発表した。

また、倒壊・半壊の危険がある建物の住民についてはハマー県が設置した5ヵ所の避難所に避難させたことを明らかにした。

ハマー市では、アルバイーン地区で8階建ての建物が倒壊し、48人が瓦礫の下敷きとなり、43人が死亡、75人が負傷した。

**

ラタキア県では、6日の大規模地震によって倒壊した建物の瓦礫の下敷きとなった住民の救出作業と瓦礫の撤去作業が続けられ、バアス党ラタキア支部の青年スポーツ局など複数の青年組織のスタッフが民間防衛隊による救援作業、瓦礫の撤去作業に参加した。

ラタキア市議会のフサイン・ザンジャルリー議長によると、ラタキア市では約20棟の建物が倒壊、救出作業が続けられ、16日には約95人が救助されたという。

**

ダマスカス郊外県は、被災者への支援に対応するための委員会を設置するとともに、義援金を受け付けるため口座を開設した。

**

ハマー県は、ハマー市シャリーア地区、サミール・サウワーフ学校、聴覚障害者研究所に被災者を収容するための避難所を開設した。

**

ハサカ県では、市民団体、宗教団体、経済団体が義援金3億シリア・ポンドを被災者のために寄附した。

**

ラタキア県では、ジャブラ市議会がバアス競技場内のサロン2室に被災者を収容するための避難所を開設した。

**

スワイダ―県議会は、被災県に食料、衣服などの救援物資を搬送した。

**

ヒムス市議会は、建物の被害を確認するための委員会を設置、倒壊の危険がある建物の住民を避難させた。

**

タルトゥース県は、バーニヤース市カドムース町の被害状況を確認するための委員会を設置した。

関係機関、NGOの動き

「シリアは私たちを結びつける」財団は、6日の大規模地震の被災県に対する食料などの救援物資約60トンの貨物トラックによる移送を開始した。

医師組合は、医療ボランティア・チームを発足させるとともに、被災県の避難所に食糧パック1,250個を配給した。

**

シリア保険会社連合は、アレッポ県、ラタキア県、ハマー県の被災者に6500万シリア・ポンドを供与した。

**

シリア貿易機構タルトゥース県支部は、同県被災者に食料パック800個を配給した。

**

アラブ作家連合は、すべての文化事業を一時中止し、被災県の支部を被災者のために開放した。

**

ダマスカス大学は、被災県を支援するため、医学、工学を専攻する大学院生からなるボランティア・チームを発足させた。

**

ダマスカス慈善団体連合は社会問題労働省と連携して、被災者を支援するための義援金を集めた。

**

サーミドゥーン協会は、ラタキア県の被災者のために医薬品を移送した。

**

SANA(2月7日付)が伝えた。

AFP, February 7, 2023、ANHA, February 7, 2023、al-Durar al-Shamiya, February 7, 2023、Reuters, February 7, 2023、SANA, February 7, 2023、SOHR, February 7, 2023などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

SyriaArabSpring

Recent Posts