イランのライースィー大統領のシリアへの公式訪問終了に合わせ、シリア、イラン両国政府は共同声明を発表(2023年5月5日)

イランのエブラーヒーム・ライースィー大統領のシリアへの公式訪問(5月3~4日)の終了に合わせ、シリア、イラン両国政府は共同声明を発表した。

共同声明の内容は以下の通り:

  • 両国大統領は、戦略的兄弟関係に基づく二国間関係の発展強化の方途に力点を置いて深淵な議論を行うとともに、地域および世界規模での情勢の進展について議論した。
  • 両国は、国連憲章の目的や原則に沿って、両国の主権、独立、領土の一体性を尊重することを確認した。
  • 両国は、政治、経済、領事などの協力継続を通じて二国間関係を強化することの意義、ハイレベルでの使節団の訪問の継続の意義を確認した。
  • 両国は、高等共同委員会を含む既存の仕組みを通じて、貿易経済関係を発展させるためのすべての措置を実施する用意、および意思を表明した。また、シリアの復興にかかる既存の協力を継続することを確認した。
  • 両国は、テロおよび過激派との戦いにおける両国の協力関係に安堵の意を表明、すべてのテロ組織を最終的に根絶するための共同の協力を継続することを強調した。
  • 両国は、シオニスト政体のシリアへの攻撃を、地域の安定を揺るがす行為として厳しく非難し、こうした攻撃に対して適切な方法へのシリアの正当な報復権を確認した。
  • 両国は、ゴラン高原の占領継続、同地の併合、国際法違反などシオニスト政体のあらゆる行為を非難、米政府による併合承認を国連の原則への違反として厳しく非難した。
  • 両国は、シリア領内における違法な外国部隊の駐留、占領を非難、主権、領土保全への侵害であるこうした状況を終わらせ、シリアが全土における主権を回復する必要を確認した。また、米国によるシリアの資源の盗奪を非難、国際社会に断固たる姿勢を示すよう求めた。
  • 両国は、米国やEUのシリアとイランに対する一方的で違法な制裁措置を国際法、国際人権法への違反として厳しく非難、こうした手法が無辜の住民の苦しみを与えることに懸念を表明、非人道的な行為を即時に廃する必要があることを確認した。
  • イランは、シリアに寄り添うこと、さらにはトルコ・シリア大地震の被害に対応するため連帯することを改めて宣言した。
  • 両国は、地震発生後も西側諸国がシリア国民に対する違法な制裁や封鎖を続けていることを非難、被災地の復興のために国際的な支援促進に向けてこの封鎖を即時に解除する必要を確認した。
  • 両国は、地域における政治的な好転、とりわけ、シリアとアラブ諸国の建設的な連絡、中国の仲介によるイランとサウジアラビアの合意に歓迎の意を表し、同合意がさらなる好転に向けた重要なステップであ、中東の安定に資するものと評価した。また、地域諸国が、課題に対処し、安全保障、繁栄、安定を増進させるために域内で連帯・結束する必要を確認した。
  • 両国は、「テロとの戦い」におけるシリアの勝利に際して犠牲となった殉教者の血を価値あるものと評価した。
  • イランは、シリア難民の帰還を促進するにふさわしい状況を作り出そうとする取り組みを高く評価するとともに、両国は国際社会にこの分野における支援を提供し、一部諸外国が自らの政治的計画のために難民の苦難に乗じることを辞めさせることを求めた。
  • 両国は、占領国であるシオニスト政体が地域の危機、平和と安全への脅威の主因であることを確認、聖地エルサレムに対する敵対的措置を拒否するとともに、パレスチナでの違法な入植、占領を国際法、国際人道法への違反として非難した。同時に、占領に対するパレスチナ人民の正当な抵抗権、エルサレムを首都とする統一独立国家樹立を支持すると表明した。

SANA(5月5日付)が伝えた。

AFP, May 5, 2023、ANHA, May 5, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 5, 2023、Reuters, May 5, 2023、SANA, May 5, 2023、SOHR, May 5, 2023などをもとに作成。

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