ダイル・ザウル県では、ANHA(3月23日付)によると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあり、米軍が駐留するウマル油田で、ダーイシュ(イスラーム国)の最後の支配地だったバーグーズ村を人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が完全制圧(2019年3月23日)してから2年が経ったのを記念して、祝典が催され、シリア民主軍代表(ルクマーン・ハリール東部地区司令官ら)、有志連合代表、ダイル・ザウル民政評議会代表、市民社会諸団体、メディア関係者が参加した。 ダイル・ザウル軍事評議会のアフマド・アブー・ハウラ司令官は祝辞のなかで「ダーイシュの終わりでさらなる行動が求められる」としたうえで、「キャンプ、とりわけフール・キャンプにある時限爆弾の問題を解決するため行動しなければならない…。有志連合と世界には、ダーイシュの逮捕者とこの地域の復興の問題を解決するために責任を負わねばならない」と述べた。 ダイル・ザウル民政評議会のガッサーン・ユースフ共同議長は「今も、テロ組織に対する取り組みは終わっておらず、根絶に向けてさらに努力しなければならない」としたうえで、我々民政評議会は我が住民に復興支援の手を差し伸べたい。だが、我々にはさらなる努力が必要だ」と述べた。 また、「シリア北部と東部を構成する社会成員はシリアの問題解決の一部で…、我々は皆の権利が保障される政治的解決を望んでいる。北・東シリア自治局なしにシリアの危機の解決はないと明言したい」と強調した。 さらに、アカイダート部族(アラブ部族)のハンムード・フーファル族長は「我々は、クルド人とアラブ人がともに寄り添い、ダーイシュの思想の根絶とその細胞の殲滅をめざす」と述べた。 また、有志連合は、ダイル・ザウル県特殊部隊のアフマド・ナースィル大佐が英語で以下のように祝辞を述べた。 我々の協力関係は、治安と安定を実現するためにともに血を流すことで深められた。我々がここまで到達したことは、こうした犠牲のおかげである。 クルド人やアラブ人らが連帯したおかげで達成されたものは、我々がともに行動すれば、奇跡を作り出すことができることを示している。我々はこうした関係を続けねばならない。 ダーイシュに対する行動は終わっておらず、最後まで続けられる。彼らを根絶するまで我々が安らぐことはない。我々はダーイシュを倒すために前進し、我々が戦争で勝ち取ったものを失わないようにすると明言したい。 シリア民主軍、民政評議会、地元評議会、部族とともに、我々はこの地域の住民のために明るい未来を築く。 ** シリア民主軍のマズルーム・アブディー総司令官もバーグーズ村解放2周年を記念してツイッターのアカウント(https://twitter.com/MazloumAbdi/)を通じて、「復興の努力がダーイシュの復活を阻止する」と表明した。 ツイッターでのアブディー総司令官のメッセージは以下の通り。 我々は、2年前にバーグーズ村でダーイシュと戦ったシリア民主軍と有志連合の英雄的行為を覚えている。 戦争は終わっていない。復興の努力はダーイシュの復活を阻止するために不可欠だ。 勝利は第一歩に過ぎず、次は我々のコミュニティの再建と北・東シリア自治局への国際社会の支援増だ。 https://twitter.com/MazloumAbdi/status/1374409011060113410 AFP, March 23, 2021、ANHA, March 23, 2021、al-Durar al-Shamiya, March 23, 2021、Reuters, March 23, 2021、SANA, March 23, 2021、SOHR, March 23, 2021などをもとに作成。 (C)青山弘之 All rights reserved.