ダマスカス県執行局メンバーのサミール・ジャザーイルリー氏は、2018年半ばまでに解放された県南部および隣接するダマスカス郊外県の旧反体制派・ダーイシュ(イスラーム国)支配地域への住民の帰宅に向けた新たな措置を開始したことを明らかにした。 『ワタン』(9月4日付)が伝えた。 ジャザーイルリー氏によると、県の委員会が最近になって、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ(ヤルムーク区)、タダームン区、カダム区、アサーリー地区、カーブーン工業地区、カーブーン住宅地区、バルザ区を訪問し、これらの地域に提供すべきサービス内容を確定し、そのリストを作成したという。 このうち、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプについては、旧市街地の土地所有権は居住者に帰属していなかったため、法律第10号の適応対象外になるという。 法律第10号(都市再開発法)は、2019年3月19日に施行された法律で、開発地域内の私有地を接収し、同地域での新規プロジェクトにかかる収益の一部を配当金として所有者に支払い、補償を行うことなどを定めている。 同法では、シリア政府による開発地域設定後、1ヶ月以内に当局が域内の土地所有者に配当金補償についての告知を行い、これを受諾した所有者は配当金を受け取る一方、この申し出を拒否する所有者は30日以内に土地の所有権を証明する必要がある。 ジャザーイルリー氏はまた、同地への住民の帰還に関して、安全が確保された段階で行われるとしつつ、キャンプ内には違法に建築されていた建物・住居があり、同地での戦闘で破壊されたこれらを違法なかたちで再建することは許されず、法律が適用されねばならないと述べた。 安全が確保され、居住が可能と判断された建物・住居については、改めて正確な調査・測量などを行い、その所有権を文書で確認したうえで、所有者に引き渡すという。 AFP, September 5, 2019、ANHA, September 5, 2019、AP, September 5, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 5, 2019、Reuters, September 5, 2019、SANA, September 5, 2019、SOHR, September 5, 2019、UPI, September 5, 2019、al-Watan, September 5, 2019などをもとに作成。 (C)青山弘之 All rights reserved.