イドリブ県では、SANA(7月1日付)によると、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握るいわゆる「解放区」とシリア政府の支配地を隔てる複数の「人道回廊」を経由して、「解放区」の住民数十人がシリア政府支配地に脱出、アレッポ県アレッポ市方面に向かった。 住民は、ほとんどが女性と子供で、身の回りの品物と資産関連の書類をもって政府支配地に脱出した。 脱出した女性の一人はSANAの記者に対して、「テロリストの支配地域の状況はとても劣悪で、私たちが安全に暮らすことを許さず、彼らは私たちの財産や家を、取るに足らない口実で奪い、こうした行為に背く人たちをいつも投獄したり、殺したりしている」と証言した。 別の女性は「ほとんどの市民は、アレッポ市に移動し、そこで住む場所や仕事を見つけ、子供たちを学校に通わせたいと望んでいる」と述べた。 さらに別の女性は「もっとも恐ろしいのは、彼らが私たちを人間として扱おうとせず、子供たちを拉致し、私たちに身代金を要求してきたことで…、私たちはテントで暮らしてきたが、そこでは、暴行、拷問、悪態が横行していた」と述べた。 記事は住民がどの「人道回廊」を経由して脱出したかは明らかにしていない。 AFP, July 1, 2022、ANHA, July 1, 2022、al-Durar al-Shamiya, July 1, 2022、Reuters, July 1, 2022、SANA, July 1, 2022、SOHR, July 1, 2022などをもとに作成。 (C)青山弘之 All rights reserved.