アラビー・ジャディード(3月8日付)は、シリアの反体制派を監視追跡する部隊に勤務する複数筋の話として、ロシアがワグナー・グループの傭兵と民兵組織「ダーイシュ(イスラーム国)・ハンター(サーイドゥー・ダワーイシュ)」の戦闘員多数とシリアからウクライナに転戦させたと伝えた。 同筋によると、ロシアはこの15日間で、ヒムス県タドムル市東の第3石油ステーション(T3)周辺の油田地帯、同県東部のシャーイル油田、ダイル・ザウル県の油田地帯に展開していたファンゲル、の戦闘員約500人を、ウクライナでの戦闘に参加させるため、ラタキア県のフマイミーム航空基地からイリューシンII-76輸送機でロシア領内に移送した。 [embed]https://twitter.com/Najdat567/status/1499012996756127744[/embed] これに加えて、ロシアは「ダーイシュ・ハンター」の戦闘員約300人も、シリア中部の砂漠地帯から撤退させたという。 「ダーイシュ・ハンター」は2017年にロシア軍とワグナー・グループの監督のもとに結成された民兵で、兵力は約1,500人、そのほとんどがロシア人で、一部シリアの沿岸地方出身者も参加している。 タドムル市、ヒムス県、ダイル・ザウル県の砂漠地帯でロシア軍とともにダーイシュに対する「テロとの戦い」に参加、その後はロシア軍に油田地帯の防衛任務を任されていたという。 また、一部はリビアに派遣され、ハリーファ・ハフタル将軍率いるリビア国民軍を支援する任務にあたっていた。 同筋によると、ウクライナでの任務完了後は、シリアに帰国し油田防衛の任務に再びあたる予定だという。 その一方、同筋は、ロシア軍が親政権民兵をウクライナでの戦闘、とりわけ市街戦に参加させるために募集しているとする一部報道を否定した。 AFP, March 8, 2022、ANHA, March 8, 2022、al-'Arabi al-Jadid, March 8, 2022、al-Durar al-Shamiya, March 8, 2022、Reuters, March 8, 2022、SANA, March 8, 2022、SOHR, March 8, 2022などをもとに作成。 (C)青山弘之 All rights reserved.