シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が一方的停戦を宣言してから11日目(爆撃を激化させてから132日目)を迎えた9月11日、シリア・ロシア軍は爆撃を実施しなかったが、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の散発的な戦闘は続いた。 シリア人権監視団によると、シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より2人(民間人2人(うち女性1人)、シリア軍兵士は0人、反体制武装集団戦闘員0人)増えて4,130人となった。 内訳は、民間人1,053人(うち女性187人、子供261人)、シリア軍兵士1,406人、反体制武装集団戦闘員1,671人。 ** イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がマアッラトスィーン村、カルサア村を砲撃、同地上空ではシリア軍ヘリコプターが旋回を続けた。 シリア軍地上部隊はまた、カフルナブル市、ハーッス村、ハザーリーン村、シャイフ・ムスタファー村、マアッラト・ハルマ村、ファッティーラ村一帯、ラカーヤー村を砲撃した。 ** アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がザンマール町、タッル・バージル村、マクハラ村、ズィーターン村、ハラサ村、バルナ村を砲撃した。 ** ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がフドル丘一帯、カッバーナ村一帯を砲撃した。 ** スワイダー県では、スワイダー24(9月11日付)によると、地元の民兵組織のシャイフ・カラーマ軍団と国防対がカフル村で交戦した。 ** ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を30件(アレッポ県10件、ラタキア県10件、イドリブ県8件、ハマー県5件)確認したと発表した。 トルコ側の監視チームは停戦違反を20件(イドリブ県15件、ハマー県2件、ラタキア県3件)確認した。 AFP, September 11, 2019、ANHA, September 11, 2019、AP, September 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 11, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 11, 2019、Reuters, September 11, 2019、SANA, September 11, 2019、SOHR, September 11, 2019、Suwayda 24, September 11, 2019、UPI, September 11, 2019などをもとに作成。 (C)青山弘之 All rights reserved.