イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(7月21日付)によると、ホワイト・ヘルメットのメンバーでメディア活動のアナス・ディヤーブ氏がハーン・シャイフーン市に対するロシア軍の爆撃で死亡した。 ディヤーブ氏は、ハーン・シャイフーン市出身で、さまざまな反体制武装集団に戦場カメラマンとして同行した後、数年前からホワイト・ヘルメットの広報部門メンバーとして活動していた。 ** トルコで暮らすホワイト・ヘルメットのラーイド・サーリフ代表は、ディヤーブ氏の死について「彼はシリアで何が起きているのかを世界に見せようとしていた…。大きな損失だ…」と述べた。 AFP(7月21日付)が伝えた。 ** シリア人権監視団によると、ディヤーブ氏は、イッザ軍のメンバー2人と3階建てのビル内に隠れていたところを、ロシア軍戦闘機によって狙われたという。 また、イナブ・バラディー(7月21日付)によると、ディヤーブ氏はハーン・シャイフーン市でのシリア・ロシア軍の爆撃の取材中に狙われたという。 ** イッザ軍は、バラク・オバマ前米政権の支援を受けていたいわゆる「穏健な反体制派」で、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構と一貫して共闘関係にある。 また、今年4月にハマー県北部とイドリブ県南部へのシリア・ロシア軍の攻勢が強まると、このシャーム解放機構に加えて、トルコの支援を受ける国民解放戦線とともに「必勝」作戦司令室を結成、共闘関係を強めていた。 ホワイト・ヘルメットは、シャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握しているイドリブ県などの反体制派支配地域で、これらの武装集団とともに活動を続けていた。 なお、6月に死亡したアブドゥルバースィト・サールート氏もイッザ軍のメンバーだった。 AFP, July 21, 2019、ANHA, July 21, 2019、AP, July 21, 2019、al-Durar al-Shamiya, July 21, 2019、'Inab Baladi, July 21, 2019、Reuters, July 21, 2019、SANA, July 21, 2019、SOHR, July 21, 2019、UPI, July 21, 2019などをもとに作成。 (C)青山弘之 All rights reserved.