国民民主変革諸勢力国民調整委員会がシリア国民評議会と体制転覆後のビジョンに関して合意に達したと発表するも、後者はこれを否定したうえで自由シリア軍に対し「完全なる支援」を提供する意思を改めて明確にする(2011年12月31日のシリア情勢

アラブ連盟監視団

クウェートの『アンバー』(12月31日付)のシリア人特派員フダー・アッブード氏は、「信頼できるシリアの複数の消息筋の話」としてダマスカス郊外県ハラスター市で30日、金曜礼拝後にアラブ連盟監視団の1人がデモ参加者に対して武器を持って反体制活動を行うよう煽動し、武器が配布されたと報じた。

SANA, December 31, 2011
SANA, December 31, 2011

『クッルナー・シュラカー』(12月31日付)によると、アッブード氏はシリアの総合情報部付大佐の妻だという。

反体制勢力の動き

国内で反体制活動を行う国民民主変革諸勢力国民調整委員会は声明を出し、在外のシリア国民評議会と体制転覆後の移行期間に関する行程表に関して合意に達したと発表した。

合意は29日にカイロで調印され、合意文書への署名はシリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長と国民民主変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア氏が行った。

合意文書は、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長に1月1日午後に提出される予定。

合意文書の骨子は以下の通り。

1. 主権、独立に抵触する外国の軍事干渉、アラブ連盟の干渉の拒否。
2. 民間人の保護。
3. 宗派主義的非難、扇動の拒否。
4. 民間人への発砲命令に対する士官・兵士の拒否の奨励・支持。
5. 現体制打倒から新憲法制定、国会選挙、大統領選出にいたるまでの移行期間を始動し、民主的市民的多元的体制を確立。
6. 現体制打倒後に暫定連立政権を樹立。暫定連立政権の任期は1年とし、一度だけ1年間任期を延長できる。
7. 国民主権、シリアの主権、独立、統合の維持、三権分立、市民的民主主義の確立。
8. シリア国民の基本的歴史的一員としてのクルド民族の存在の承認。
9. 基本的人権の保障、民族、宗教、宗派、人種に基づく暴力・差別の禁止。
10. 国際法の順守。

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しかし、シリア国民評議会における最大勢力のシリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリム報道官はロンドンで声明を出し、両組織の合意に関して、「文書の文言の議論、採否、宣言は、シリア国民評議会の諸機関において決定された原則・規則に従っていない」と非難し、それが依然として「議論の余地を残したヴィジョンに過ぎない」と却下した。

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これを受けるかたちで、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は声明を出し、合意文書の発表に関して、「国民民主諸勢力国民調整委員会が、文書案を双方の関係指導部での審理を経ずして最終合意として発表した」と述べ、「これは共同行動全体の基礎に反しており、今後の相互理解プログラムに対する最初の違反である」と非難した。

合意(案)そのものに関して、「シリアの領土保全と独立に抵触するような陸上部隊による外国の介入を拒否しているが、飛行禁止空域、航行禁止海域の設定を通じた緩衝地帯を設置するための外国の介入については合意している」と述べた。

またシリア国民評議会が「シリア・ファイルの国際問題化と、同ファイルの早急な安保理への付託」をめざすとともに、自由シリア軍への「完全なる支援」を行うとの立場を確認した。

一方、国民民主変革諸勢力国民調整委員会については「広範な大衆基盤を持っていない」と非難した。

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ガルユーン事務局長の声明を受け、国民民主変革諸勢力国民調整委員会在外事務局のハイサム・マンナーア代表は声明を出し、「シリアの民主的反体制勢力、アラブ同胞、国際世論に対して、事態に関する詳細な報告を提示し、とりわけ最近の会談の内容や国民調整委員会の使節団の視点について明らかにする必要が生じた」としたうえで近く反論する意思を示した。

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シリア国民評議会内のクルド・ブロックは声明を出し、同評議会と国民民主変革諸勢力国民調整委員会の合意文書成立の報道に関して、評議会の総合委員会がその内容を確認しないまま発表され、しかもこれまでの評議会の決定に反した内容を含むとして、同文書を不当なものとして拒否するとの意思を示した。

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シリアの俳優、音楽家、芸術家ら約160人が「自由のためのシリア芸術家・創作家連合」の名で共同声明を出し、アサド政権による弾圧を抑止するよう国際社会に呼びかけるとともに、市民的不服従を呼びかけた。

Kull-na Shuraka’, December 31, 2011
Kull-na Shuraka’, December 31, 2011

反体制運動掃討

シリア人権監視団によると、ダマスカス県ドゥーマー市で12月29日に死亡した犠牲者の葬儀に参列していた市民数千人が反体制デモを行い、治安当局が空砲などを発射し、強制排除を試みた。

また同監視団によると、イドリブ県イドリブ市で12月30日に死亡した犠牲者の葬儀に参列していた会葬者が反体制デモを行い、治安当局の発砲を受けた。

一方、ヒムス県でもタイバ村で12月30日に治安当局の発砲で負傷していた青年が死亡した。

SANA(12月31日付)によると、関係当局はヒムス県内の対レバノン国境のジスル・スワイド村で武装テロ集団が保有する大量の武器、弾薬、麻薬を押収した。

諸外国の動き

パレスチナのハマースのイブラーヒーム・ハニーヤ首相は、スイス滞在中にシリアの反体制活動家に対して、「我々の心はあなたたちとともにある、我々の本質的立場はあなたたちへの支持である」と述べた映像がYoutube(12月31日付)から配信された。

http://www.youtube.com/watch?v=fT_SBNsc2lA&feature=share

AFP, December 31, 2011、Akhbar al-Sharq, December 31, 2011, January 2, 2012、al-Anba’, December 31, 2011、al-Hayat, January 1, 2012, January 2, 2012、Kull-na Shuraka’, December 31, 2011、Reuters, December 31, 2011、SANA, December 31, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

アラブ監視団がヒムス、ハマー、ダルアー、イドリブ、ダマスカス郊外県で視察活動を行うなか、イドリブ、ヒムス、ダマスカス郊外、ハマー、ダルアー、ダイル・ザウル、ハサカ、アレッポなどで反体制デモが発生し「数十万人が参加」(2011年12月30日)

アラブ連盟監視団

アラブ連盟監視団のアドナーン・ハディール作業部長は、「現在までの事態は落ち着いている」とのムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダーニー団長の発言(12月28日)に関して、「シリア政府が監視団に対して真摯に対応しているという意味であり、現地情勢について言ったものではない」と述べた。

反体制デモと親体制集会

アラブ監視団がヒムス、ハマー、ダルアー、イドリブ、ダマスカス郊外県で視察活動を行うなか、イドリブ、ヒムス、ダマスカス郊外、ハマー、ダルアー、ダイル・ザウル、ハサカ、アレッポなどで反体制デモが発生し、反体制勢力の発表によると数十万人が参加した。

反体制勢力によると、デモに対して、治安当局は催涙弾、釘爆弾、実弾で強制排除を試み、少なくとも35人が死亡、数百人が負傷したという。

フェイスブック上の「シリア革命2011」など反体制サイトは、「自由広場への行進の金曜日」のデモを呼びかけた。

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一方、SANA(12月30日付)によると、ダマスカス県、ダマスカス郊外県、アレッポ県、ヒムス県、ラタキア県、タルトゥース県、スワイダー県、ハサカ県など各地で、外国の干渉拒否、アサド政権の改革支持を訴える大規模な集会が開催された。

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ダマスカス郊外県のドゥーマー市では、カビール・モスク前に集まり、「彼らに自由がどのようにして成るのかを見せるためあらゆる場所で監視団の存在を利用」(Facebook)しようとするデモ参加者に対して、拡声器で「我々の任務は監視であって…、バッシャール・アサド大統領の退任では決して、決してない。我々の目的は事態を収拾することだ」と述べた。

監視団メンバーらは、住民らに写真撮影や録音をしないよう求めたが、住民らは彼らの要請に応じず、ジャズィーラなどに映像を配信した。

活動家らによると、ドゥーマー市でのデモ参加者は60,000人に及んだという。

またハラスター市、ムウダミーヤト・シャーム市、ダマスカス県バルザ区、カダム区でも、数万人がデモを行い、複数の活動家によると治安部隊の催涙弾などで複数が負傷した。

「アフバール・シャルク」(12月30日付)は、パレスチナのイスラーム・ジハード運動創設者の故ファトヒー・シカーキー氏の息子のイブラーヒーム・シカーキー氏が12月30日、ダマスカス県内のデモに参加して逮捕されたと報じた。

 

Sham News Network, December 30, 2011
Sham News Network, December 30, 2011

一方、SANA(12月30日付)によると、ダマスカス県サブウ・バフラート広場、ダマスカス郊外県サフナーヤー市で、外国の干渉拒否、アサド政権の改革路線を訴える集会が行われた。

SANA, December 30, 2011
SANA, December 30, 2011
SANA, December 30, 2011
SANA, December 30, 2011

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イドリブ県では、シリア人権監視団など活動家らによると、25万人がデモに参加し、治安部隊が発砲したという。

またハーン・シャイフーン市、サラーキブ市ではアラブ連盟監視団の訪問に合わせて、「戦車」が市街地から撤退した、という。

Sham News Network, December 30, 2011
Sham News Network, December 30, 2011

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ヒムス県では、反体制活動家らによると、ヒムス市で10万人がデモに参加し、治安部隊が発砲したという。

またダイル・バアルバ地区で未明に、5人の遺体が発見され、早朝にはバーブ・ドゥライブ地区で1人が殺害されたという。

シリア人権監視団によると、タッルカラフ市近くでは離反兵(脱走兵)が軍を要撃し、離反兵2人を含む4人が死亡した。

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ハマー県では、活動家らによると、ハマー市で数万人がデモに参加し、治安当局の発砲で5人が殺害されたという。

一方、SANA(12月30日付)によると、タクスィース村でアブドゥルジャッバール・カヒース退役准将の乗った車が武装テロ集団に襲撃され、乗っていた娘が死亡、家族が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、活動家らによると、ダイル・ザウル市で数万人がデモに参加したという。

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ダルアー県では、活動家らによると、ダルアー市で数万人がデモに参加し、治安当局の発砲で5人が殺害されたという。

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ハサカ県では、活動家らによると、ハサカ市で数万人が、カーミシュリー市で数千人が反体制デモに参加したという。

一方、SANA(12月30日付)によると、ハサカ市、カーミシュリー市で、外国の干渉拒否、アサド政権の改革路線を訴える集会が行われた。

SANA, December 30, 2011
SANA, December 30, 2011
SANA, December 30, 2011
SANA, December 30, 2011

タルトゥース県では、活動家らによると、バーニヤース市で数万人がデモに参加したという。

一方、SANA(12月30日付)によると、タルトゥース市で、外国の干渉拒否、アサド政権の改革路線を訴える集会が行われた。

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アレッポ県では、活動家らによると、アレッポ市で数万人がデモに参加したという。

シリア人権監視団によると、ハナーヌー地区のモスクで反体制デモがあったが、強制排除された。

一方、SANA(12月30日付)によると、アレッポ市サアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)で、外国の干渉拒否、アサド政権の改革路線を訴える集会が行われた。

SANA, December 30, 2011
SANA, December 30, 2011

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スワイダー県では、SANA(12月30日付)によると、スワイダー市で、外国の干渉拒否、アサド政権の改革路線を訴える集会が行われた。

SANA, December 30, 2011
SANA, December 30, 2011

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ラタキア県では、SANA(12月30日付)によると、ラタキア市で、外国の干渉拒否、アサド政権の改革路線を訴える集会が行われた。

アサド政権の動き

政党関係委員会は、国民成長党を新たに公認した。

同党は、アイマン・サイイド氏らが設立し、国民の意思のもとに強力で進歩的なシリアを建設することをめざしている。党のスローガンは「自由、公正、開発」。

反体制勢力の動き

自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐(自称少佐)は声明を出し、アラブ連盟監視団の訪問中は軍・治安部隊への攻撃を行わないよう命令を発した。

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シリア国民評議会の渉外局代表のムハンマド・ヤースィーン・ナッジャール氏はアラブ連盟に対して、監視団に監視活動と並行して救援活動を行わせるよう求めた。

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シリア国民評議会のウバイダ・ナッハース氏はクウェートの『ワタン』(12月30日付)に対して、アラブ連盟監視団の活動が失敗に終われば、シリアに関する問題は国連安保理に付託されるだろうと述べた。

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シリア国民評議会内のクルド・ブロックは声明を出し、トルコ軍による対イラク国境地域への誤爆を非難した。

レバノンの動き

北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方の対シリア国境近くでシリア人反体制活動家とレバノン人約500人がアサド打倒を求めるデモを行った。

また北部県トリポリ市内では、イスラーム主義者約500人が、アサド政権による弾圧に抗議する座り込みを行った。

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ミシェル・スライマーン大統領はアリー・アブドゥルカリーム在レバノン・シリア大使と会談し、二国間関係、シリア情勢などについて意見を交換し、北部県アッカール郡ワーディー・ハーリドでのシリア軍によるレバノン人ら3人の殺害事件の調査と、国境警備隊策を通じた事件再発防止の必要を確認した。

諸外国の動き

ロシア外務省は、アラブ連盟監視団の任務開始に安堵感を表明した。

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フランス外務省報道官は、アラブ連盟監視団の活動に関して、「結果を判断するには時期尚早」と述べるとともに、「自由且つ独立したかたちでの任務遂行」が重要との立場を示した。

AFP, December 30, 2011、Akhbar al-Sharq, December 30, 2011、Alarabia.net, December 30, 2011、Facebook、al-Hayat, December 31, 2011、Kull-na Shuraka’, December 30, 2011, December 31, 2011、Naharnet.com, December 30, 2011、Reuters, December 30, 2011、SANA, December 30, 2011、al-Watan (Kuwait), December 30, 2011などをもとに作成。

 

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アラブ連盟監視団がダマスカス郊外県ドゥーマー市に抜き打ち訪問を実施、米国務省副報道官はシリア情勢に関して「民主的な体制転換」が不可避であるとの見解を述べる(2011年12月29日)

アラブ連盟監視団

アラブ連盟監視団はダマスカス郊外県のドゥーマー市に予告なく訪問した。

Ugarit News Network, December 29, 2011
Ugarit News Network, December 29, 2011

住民の一部によると、監視団が乗った車を見たが、誰も監視団と面談できなかった、という。

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『ハヤート』(12月30日付)によると、ハマー県ハマー市やドゥーマー市の住民らは、治安当局が厳戒態勢を敷き、民間人が包囲されるなかで、住民が監視団と面談することが困難になっていると不満を漏らしている、という。

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アラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ダーニー団長は、『ハヤート』(12月30日付)に対して、監視団の活動が順調に行われていると述べたうえで、「ヒムス情勢が平穏だと述べた」との一部報道を否定した。

反体制運動掃討

シリア人権監視団など反体制活動家らは、ヒムス県、ハマー県、ダルアー県、ダマスカス郊外県(ドゥーマー市)、イドリブ県で反体制デモが発生し、治安部隊が実弾を発射し強制排除を試み、少なくとも40人が殺害されたと発表した。シリア革命総合委員会によると死者数は34人。

シリア人権監視団は、監視団の訪問に合わせるかたちで、ダマスカス郊外県ドゥーマー市のカビール・モスク広場に約30,000万人が集まったが、治安部隊が発砲し、6人が殺害されたと発表した。

また反体制筋によると、ハマー市では、治安部隊の発砲により少なくとも6人が殺害された。

ハマー市の活動家によると、「住民は使節団到着を待って街頭に出たが、治安部隊や狙撃手が多数展開・配置されていた」と述べた。

イドリブ県ではシリア人権監視団によると、ハーン・シャイフーン市、マアッラト・ヌウマーン市などで6人が殺害された。

しかしSANA(12月29日付)によると、ヒムス県ではヒムス市グータ地区の軍事工場に勤務するナーディル・ダイリー氏(技師)が武装テロ集団に襲撃、殺害された。

また同市ブスターン・ディーワーン地区で武装テロ集団が仕掛けた爆弾3発を爆弾処理班が撤去した。

反体制組織の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は、カイロでアラブ連盟監視団のナビール・アラビー事務総長と会談し、監視団がより大規模であるべきだったとの意見を述べた。

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シリア国民評議会メンバーで活動家のウサーマ・ムナッジド氏は、AP(12月29日付)に対して、アラブ連盟監視団が「何の権限も権威もない歯の抜かれた状態で…、政府は日々の犠牲者数を減らそうとすら感じていない」と非難した。

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カイロで反体制活動を行うムハンマド・マアムーン・ヒムスィー元人民議会議員は国連に対して、民間人の保護、暴力停止のための実質的な措置を求めた。

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国内で反体制活動を行うシリア国家建設潮流は声明を出し、アラブ連盟監視団に報道関係者を同行させるよう求めた。

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シリア言論犯良心犯擁護センターのハリール・マアトゥーク代表は、AKI(12月29日付)に対して、アラブ連盟監視団の「活動計画を我々は知らない」と述べ、不信感を露わにした。

マアトゥーク代表は「彼らはシリアの一部の活動家と接触していたが、その組織構成、活動プログラムはまだ知られていない。彼らはまずシリアの人権団体と接触し、会合すべきだった」と批判した。

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ダマスカス国民民主宣言事務局はAKI(12月29日付)に対して、国際的な利害対立や中東地域内の利害対立がアサド政権を延命させ、国民の抗議運動弾圧のための時間的猶予を政権に与えていると述べ、国際社会、アラブ諸国の対応を批判した。

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シリア人有識者約100人が連名でアラブ連盟監視団に対して書簡を送り、監視団本部のダマスカスでの設置、各地での事務所設置、ホットライン開設などを通じた市民との連絡経路の確保、インターネット開設などを通じた情報公開などを提言した。

レバノンの動き

最高国防委員会が開催され、レバノン領内外への武器密輸の抑止、国境地域の治安強化などの必要を確認した。

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アリー・アブドゥルカリーム在レバノン・シリア大使は『インティカード』(12月29日付)の取材に対して、武器密輸抑止のためレバノンの治安当局による国境警備の強化を求めた。

諸外国の動き

『ハヤート』(12月30日付)は、国連安保理の西側消息筋が、アラブ連盟監視団の活動が国際機関によって「監視、フォローアップ」されており、監視団がシリア各地に「自由に、そして妨害なく」訪問する必要があると述べたと報じた。

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中国外交部報道官は定例記者会見で「中国はアラブ連盟監視団がシリアで客観的な調査を行っていることを歓迎する」と述べた。

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米国務省のマーク・トナー副報道官は、シリア情勢に関して「民主的な体制転換」が不可避だとの立場を示した。

AFP, December 29, 2011、Akhbar al-Sharq, December 29, 2011、AKI, December 29, 2011、AP, December 29, 2011、al-Hayat, December 30, 2011、al-Intiqad, December 29, 2011、Kull-na Shuraka’, December 29, 2011、Naharnet.com, December
29, 2011、Reuters, December 29, 2011、SANA, December 29, 2011などをもとに作成。

 

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アラブ連盟監視団がヒムス市各地区の視察を行う一方、仏外務省報道官は「短期間の訪問では、ヒムスの状況を調査できない」としてアラブ連盟による一連のイニシアチブを非難(2011年12月28日)

アラブ連盟監視団

アラブ連盟監視団は前日に引き続き、もっとも激しい弾圧が行われていると反体制勢力が主張してきたヒムス県ヒムス市のバーブ・アムル地区、バーブ・スィバーア地区の視察を行った。

Ugarit News Network, December 28, 2011
Ugarit News Network, December 28, 2011

ヒムス市バーブ・アムル地区の住民は当初、シリア軍士官が動向する連盟監視団との面談を拒否し、監視団は一旦同地区を去った。

しかしその後、監視団は同地区に入り、視察を行った。

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アラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダーニー団長は、ヒムス市の状況に関して、「疲弊した状態の地区はあるが、監視団は恐ろしい状況を見ることはなかった」と述べた。

また戦車ではなく装甲車を数両見ただけだとしてうえで、「現在までの事態は落ち着いている」と付言した。

一方、ヒムス市を訪問したアラブ連盟監視団メンバー4人が逮捕されたとの一部報道に関しては、市街地での発砲を受けて、監視団が隣接する建物に退避しただけだと述べ、否定した。

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ヒムス市バーブ・アムル地区を訪問した監視団に対して、住民は、治安当局に殺害されたとされる遺体を見せ、その窮状を訴えようとした。

アラブ連盟監視団の対応(ダーニー団長の発言など)に対して、ヒムス市住民の一人は、「彼らは自分たちが見た真実を認めようとしない。おそらく感情を表に出さないよう命令されているのだ。彼らは人々の話に熱心に耳を傾けようとしていない」と批判した。

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アラブ連盟監視団は、ヒムス市に続いて、ダルアー県、イドリブ県、ハマー県の視察を開始した。

反体制運動掃討

シリア革命総合委員会によると、アラブ連盟監視団の到着に合わせてハマー市アースィー広場などでデモが発生、治安部隊が催涙ガスや実弾を用いて強制排除を試み、子供1人を含む7人が殺害されたという。

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会によると、ヒムス市で子供1人を含む6人が殺害され、1人が拷問で死亡したという。

一方、SANA(12月28日付)によると、ヒムス市バーブ・アムル地区で当局が武装テロ集団の保有していた大量の武器・弾薬を押収した。

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アレッポ県では、シリア革命総合委員会によると、2人が殺害された。

うち1人はデモ参加者への発砲を拒否した兵士だという。

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イドリブ県では、シリア革命総合委員会によると、3歳児1人を含む4人が殺害された。

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タルトゥース県では、シリア革命総合委員会によると、バーニヤース市でゼネストを解除しようと治安部隊が商店などを攻撃したという。

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ダマスカス郊外県では、シリア革命総合委員会によると、マアダル村に50輌以上の軍車輌が展開したという。

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ダイル・ザウル県では、シリア革命総合委員会によると、ダイル・ザウル市内で激しい砲撃が行われたという。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ヒルバト・ガザーラ町・ダーイル町間で離反兵が軍・治安部隊を要撃し、軍・治安部隊4人を殺害したという。

一方、SANA(12月28日付)によると、武装テロ集団がダルアー県とスワイダー県にある発電所2カ所に爆弾を仕掛け、電力供給を停止させた。復旧までに1週間はかかる、という。

またSANA(12月28日付)によると、ヒルバト・ガザーラ町近くで武装テロ集団が軍の工科部隊を襲撃し、応援に駆けつけた治安部隊との交戦で、武装テロ集団メンバー1人が死亡、複数が負傷・逮捕された。治安治安部隊兵士1人も死亡した。

アサド政権の動き

SANA, December 28, 2011
SANA, December 28, 2011

アサド大統領は、トルコ製品に対して30%の関税を課すことを定めた2011年法律第28号(27日に人民議会で可決)を発動した。

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SANA(12月28日付)などシリアの各メディアは、「最近の事件に関与したものシリア人の血にその手を染めていない」755人が釈放されたと発表した。

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シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は、国連事務局に書簡を提出し、そのなかで、「武装テロ集団によりシリア軍・治安部隊兵士が2,000人殉職したことを明らかにし、潘基文事務総長が武装テロ集団を非難しないことが、民間人、軍人に対するその攻撃と殺戮行為を助長している」と非難した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のアフマド・ラマダーン氏(事務局メンバー)がロンドンで記者会見を行い、アサド政権がヒムス市での「虐殺」によりアラブ連盟イニシアチブを実質的に無に帰したと批判した。

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シリア・ムスリム同胞団が声明を出し、アラブ連盟監視団の視察活動が行われているなかでのアサド政権による弾圧の継続を批判した。

レバノンの動き

北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方で、シリア軍がライダーニー通行所の54メートルレバノン両側で発砲し、レバノン人1人、シリア人2人が射殺された。

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サアド・ハリーリー前首相の事務所は、ワーディー・ハーリド地方でのシリア軍による3人の殺害に関して、「レバノン国民およびレバノン領に対するシリアの最近の侵犯」の責任はナジーブ・ミーカーティー首相にあると非難した。

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ナジーブ・ミーカーティー首相は、「アル=カーイダがアルサール地方にいるとの確固たる証拠はない」と述べ、ファーイズ・グスン国防大臣の発言内容を否定した。

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しかしワリード・ダーウーク情報大臣は、グスン国防大臣がアル=カーイダのアルサールおよびシリア領への潜入に関する情報を治安当局から得たと述べ、この問題を審議するためミーカーティー内閣に対して最高国防委員会の召集を求めた。

諸外国の動き

フランスのベルナール・ヴァレロ外務省報道官は記者会見で「(アラブ連盟)監視団の短期間の訪問では、ヒムスの状況を調査できない…。彼らの滞在は、この都市の血塗られた弾圧継続を抑えることができない」と非難し、監視団の自由な移動とすべての住民との接触を呼びかけた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は記者会見で「シリア高官と常に接触し、アラブ連盟監視団への完全なる協力を行うよう、そして可能な限りの自由を与えるよう呼びかけている」と述べた。

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ドイツ外務省報道官は、緑の党のフェルハード・アフマー氏襲撃(12月27日)に関して、シリア大使を呼び出し事情を聴取したと発表した。

Akhbar al-Sharq, December 28, 2011、AFP, December 28, 2011、al-Hayat, December 29, 2011、Naharnet.com, December 28, 2011、Reuters, December 28,
2011、SANA, December 28, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アラブ連盟監視団がダマスカス市バーブ・アムル地区を視察、一方ダマスカス大学では構内で発砲事件が発生し複数の死傷者が発生(2011年12月27日)

アラブ連盟監視団

アラブ連盟監視団の第1陣がミウハンマド・アフマド・ムスタファー・ダーニー団長とともに、ヒムス市のバーブ・アムル地区を視察した。

Ugarit News Network, December 27, 2011
Ugarit News Network, December 27, 2011

ダーニー団長は同日中にダマスカスに戻ったが、使節団は引き続き現地で調査を続ける。

バーブ・アムル地区は数日前から軍・治安部隊と離反兵(脱走兵)から構成される自由シリア軍の戦闘が激しく行われたとされる地区。

監視団が同地区に入ると、「自由シリア軍のみが民間人を護る」、「国際的保護を望む」といったシュプレヒコールが住民によって連呼された、という。

また女性が監視団に近寄り、「逮捕者(の釈放)を望んでいる」と陳情した、という。

監視団はこれに先だって、ガッサーン・アブドゥルアール・ヒムス県知事と会談し、ヒムス国立病院を訪問した。

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アラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダーニー団長は『ハヤート』(12月28日付)に対して、監視団の目的が「監視であり、査察や真相究明ではない」と述べた。

ダーニー団長はまた、監視団のなかに偽名を使った人物が入り込んでいるとの一部衛星テレビ局の報道(26日)に関して、「ねつ造された情報」と否定した。

そのうえで「メディアに報告書の詳細をリークすることはない。我々はアラブ連盟に報告書を提出する」と付言した。

反体制(武装)運動

Ugarit News Network, December 27, 2011
Ugarit News Network, December 27, 2011
Ugarit News Network, December 27, 2011
Ugarit News Network, December 27, 2011

SANA(12月27日付)は、ダマスカス大学の2年生の学生アンマール・バールーシュ氏が校内で発砲し、フサイン・ガンナーム氏とハドル・ハーズィム氏が死亡、複数が負傷したと報じた。

これに関して、シリア人権監視団は当初、電気機械工学部内で親体制派の学生らの発砲により死傷者がでたと発表した。

しかしその直後、バールーシュ氏が反体制運動支持者だったと訂正したうえで、出身地のダマスカス郊外県ランクース市では、「軍部隊が11月27日に軍事作戦を行い、村人18人を殺害した」、「12月8日に同学部内で行われた反体制デモに参加した学生らに暴行・拷問を加えた親体制派の学生に発砲した」と同氏の殺人を正当化するような発表を行った。

一方、AFP(12月27日付)は、地元調整諸委員会が、タイスィール・ハーズィム氏、ハドル・ハーズィム氏、フサイン・ガンナーム氏の3人の学生が「治安部隊の無差別発砲」により、同学部内で殺害されたと報じていた。

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『ハヤート』(12月28日付)は、シリア人権監視団など複数の活動家の話として、アラブ連盟監視団のヒムス市到着と時を一にして、シリア軍・治安部隊が「撤退、ないしは政府施設に身を隠した」と報じた。

同記事はまた、シリア人権監視団の話として、約70,000人が市内(大時計広場)で反体制デモを行ったのに対して、治安部隊が催涙ガスを使用して強制排除を試みたが、「治安当局がデモ参加者に発砲しなかったのはデモ開始以降では稀なことだった」と付言した。

一方、シリア人権監視団や地元調整諸委員会によると、ヒムス県(6人)、ダマスカス郊外県(ドゥーマー市)など各地で軍・治安部隊の弾圧により35人が殺害された。

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SANA(12月27日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール地方のトルコ国境付近で、シリア領内への潜入を試みた武装テロ集団と治安部隊が交戦し、武装テロ集団メンバー多数が死傷し、大量の武器弾薬が押収された。

また県アリーハー市内で武装テロ集団がしかけた爆弾2発が爆発、旅客バスが巻き添えとなり、6人が死亡、4人が負傷した。

一方、ヒムス県では、ムフターリーヤ村を通るガス・パイプラインに対して、武装テロ集団が爆弾をしかけて破壊、150,000立方メートルのガスが漏出した。

またラッカ県サウラ市で当局が大量の密輸武器・弾圧を押収した。

さらにSANA(12月28日付)によると、ハマー県カフルヌブーダ町で武装テロ集団が住民8人を殺害、5人を誘拐した。

アサド政権の動き

SANA(12月27日付)は、シリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会が会合を開き、行政府、司法府に関する条項についての審議を行ったと報じた。

反体制勢力の動き

シリア情報表現の自由センターは声明を出し、2009年12月27日に逮捕された女性ブロガーのタッル・マルーヒー女史が自らの釈放を求め無期限のハンストを開始したと発表した。

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シリア国家建設潮流は声明を出し、アラブ世界および諸外国のメディアに対して、シリア国内での取材を敢行し、殺戮を停止させるよう呼びかけた。

レバノンの動き

マロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教はビキルキーでシリアのタルトゥース市からの使節団と会談し、「あなたたちとともに、我々はシリアが必要としている憲法の抜本改革の実施を待ち望んでいる。そして私は(アサド)大統領がそれを3月に開始するということを知っている」と述べた。

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ムスタクバル・テレビ(12月27日付)は、北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方でレバノン人3人がシリア領からの発砲によって射殺されたと報じた。

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マルワーン・シルビル内務大臣は、ファーイズ・グスン国防大臣が27日の閣議で、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方におけるアル=カーイダの潜伏に関する調査の報告を行うと述べた。

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ベカーア県バアルベック郡アルサール地方の市議会使節団がナジーブ・ミーカーティー首相と会談し、同地方の対シリア国境地帯への軍の展開を陳情した。

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『サフィール』(12月28日付)によると、アドナーン・マンスール外務大臣は、ナジーブ・ミーカーティー首相が「いかなるアラブ諸国の内政にも干渉することを避けるため」、アラブ連盟監視団にレバノン人メンバーの参加を見合わせたことを明らかにした。

諸外国の動き

ドイツの緑の党は、反体制活動を行っている党員のフェルハード・アフマー氏が自宅で2人の男に暴行を受け、負傷したと発表、事件の背後にシリアのムハーバラートがいると疑った。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、アサド政権が逮捕者400人から600人を12月21、22日にアラブ連盟監視団が視察できない立ち入り禁止区域へと移送したと発表した。

http://www.hrw.org/news/2011/12/27/syria-detainees-hidden-international-monitors

AFP, December 27, 2011、Akhbar al-Sharq, December 28, 2011、al-Hayat, December 28, 2011、Kull-na Shuraka’, December 27, 2011、al-Mustaqbal Channel, December 27, 2011、Naharnet.com, December 27, 2011, December 28, 2011、Reuters, December 27, 2011、al-Safīr, December 28, 2011、SANA, December 27, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アラブ連盟第1次監視団を構成するメンバーの詳細が発表される一方、人民議会がすべてのトルコ製品に対して30%の関税を課すことを決定(2011年12月26日)

アラブ連盟監視団

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は記者団に対して、連盟監視団のシリア国内での活動は12月27日に開始されると述べた。

第1次監視団は70人から構成される。

メンバーは各国外交官・治安関係者・人権関係者、アラブ人権機構、アラブ人権委員会(駐フランス)、アラブ医師連合救援委員会、人権国民協会の代表から構成される。

各国外交官・治安関係者・人権関係者の国別の内訳は、アルジェリア人6人、サウジアラビア2人、チュニジア5人、モロッコ11人、モーリタニア5人、スーダン16人、イラク3人、オマーン1人、アラブ連盟職員2人(イエメン人、ヨルダン人)。

アラブ人権機構代表の国別の内訳は、ヨルダン1人、エジプト5人、スーダン2人、UAE1人、モーリタニア2人、イラク2人。

アラブ人権委員会(駐フランス)代表の国別の内訳は、エジプト1人、モロッコ1人、チュニジア1人、アルジェリア1人。

アラブ医師連合救援委員会の代表はエジプト人、人権国民協会の代表はサウジ人。

なお団長はムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダーニー。

アサド政権の動き

人民議会は、すべてのトルコ製品に対して30%の関税を課すことを承認した。

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SANA(12月26日付)はダマスカスの同時自爆テロの犠牲者41人の身元を発表した。

それによると、被害者のうち民間人は7人、総合情報部員は19人(うち大尉6人、軍曹5人、兵卒など8人)、軍治安機関工作員など軍人は15人(うち准将1人、大尉2人、軍曹、兵卒など12人)。

またこのほか14人が身元不明のままだという。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は『シャルク・アウサト』(12月26日付)に対して、「アサドの対ヒズブッラー、対イラン関係は正常なものとなり、今のような戦略的なものではななくなるだろう」と述べた。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アラブ連盟監視団に対して、ヒムス市での虐殺に備えるよう警鐘を鳴らした。

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シリア人権監視団はアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長に対して、「(ヒムス市バーブ・アムル地区に近い)ヒクマ病院への突入と負傷者逮捕を即時に停止させる」よう呼びかけた。

また同監視団は、イドリブ県ザーウィヤ山一帯の複数の村々で地名・標識などが変更されていると発表した。これはアラブ連盟監視団の調査を攪乱するためだという。

反体制運動掃討

シリア人権監視団など反体制勢力は、ヒムス県ヒムス市奪還をめざし、軍・治安部隊が大規模攻勢を行っていると警鐘を鳴らした。

シリア人権監視団によると、軍・治安部隊の激しい「砲撃」で20人以上が殺害されたという。

またハマー県ハッターブ村では14歳の子供1人を含む3人が殺害された。

さらにダイル・ザウル県ダイル・ザウル市、ブーカマール市、アレッポ県アレッポ市のサラーフッディーン地区、スワイダー県スワイダー市(女性の座り込み)では反体制デモが発生したという。

なおシリア人権監視団はその後、ヒムス県(34人)などで44人の民間人が殺害され、イドリブ県とダマスカス郊外県では離反兵(脱走兵)12人が殺害される一方、治安部隊兵士15人も死亡したと発表した。

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SANA(12月26日付)によると、ダルアー県ラジャート高原で治安維持部隊と武装テロ集団が交戦し、治安維持部隊の軍曹1人と武装テロ集団メンバーのメンバー1人が死亡、双方に多数の負傷者が出たものの、治安維持部隊は武装テロ集団多数を逮捕し、大量の武器、携帯機器などを押収した。

またダルアー県内の発電所近くに武装テロ集団が仕掛けた爆弾を爆弾処理班が撤去した。

諸外国の動き

レバノンのサアド・ハリーリー前首相は、シリア国内での「虐殺」を止めるため「あらゆることがなされねばならない」としたうえで、アラブ連盟がトルコとともに「飛行禁止空域」の設定をめざすべきだと、ツイッターでつぶやいた。

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フランスのヴェルナール・ヴァレロ外務省報道官は、シリア政府に対してアラブ連盟監視団のヒムス市訪問を認めるよう求めた。

AFP, December 26, 2011、Akhbar al-Sharq, December 26, 2011、al-Hayat, December 27, 2011, December 28, 2011、Naharnet.com, December 26, 2011、Reuters, December 26, 2011、al-Sharq al-Awsat, December 26, 2011、SANA, December 26, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

西側の制裁によってシリアの石油生産量が例年の30%強にまで落ち込むなか、シリア国民評議会はヒムス市各地区が「虐殺と人道に対する罪の真の脅威」に曝されているとの声明を発表(2011年12月25日)

反体制(武装)運動をめぐる動き

複数の活動家、目撃者によると、ヒムス県ヒムス市、タルビーサ市、ラスタン市において、軍・治安部隊が攻勢を強め、離反兵による抵抗運動の掃討をめざした。

地元調整諸委員会によると、ヒムス市では子供3人を含む8人が殺害された。

またシリア革命総合委員会によると、市内各地区への「砲撃」で、36人が死傷した。

シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル県ジャルズィー村で治安部隊の弾圧で市民4人が負傷、27人が逮捕された。

シリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県サイイダ・ザイナブ町で25日に死亡した民間人の葬儀の参列者に武装部隊が発砲し、5人が負傷した。

シリア革命総合委員会によると、アレッポ県アレッポ市のアル-バーブ地区で治安部隊が大規模な逮捕が行われた。

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SANA(12月25日付)によると、ダマスカス県、ダマスカス郊外県、ダルアー県で軍・治安部隊兵士14人が任務遂行中に武装テロ集団に殺害された。

またハラスター市で当局が武装テロ集団を追跡し、多数を逮捕、大量の武器を押収した。

ヒムス県でもタッルドゥー地方で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、多数を逮捕、大量の武器を押収した。

一方、ヒムス市では武装テロ集団がヒムス国立病院の救急車を襲撃し、運転手を殺害した。

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バアス党シリア地域指導部は、武装テロ集団によって暗殺されたガーズィー・ズガイブ中央委員会メンバー(前ヒムス市局長)に哀悼の意を表する声明を発表した。

アサド政権の動き

SANA, December 25, 2011
SANA, December 25, 2011

ロイター通信(12月25日付)は、カイロでのアラブ石油大臣会合に出席したシリアのスィフヤーン・アラーウ石油大臣は記者団に対して、シリアの石油生産量が西側の制裁によって30~35%に落ち込み、260,000バレル/日しか生産していないと述べたと報じた。

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「アフバール・シャルク」(12月25日付)は、シリア国内の複数の火力発電所で、イラクからの陸路での燃料の供給が滞り、1日6時間の稼働停止を強いられている、と報じた。

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SANA(12月25日付)は、白い手キャンペーン、シリアのためにキャンペーンなど市民団体が、ダマスカスとエルサレムでの犠牲者を追悼するための集会をダマスカス県バーブ・トゥーマーで開催したと報じた。

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進歩国民戦線中央指導部が声明を出し、ダマスカスでの同時自爆テロに関して、「可能なあらゆる手段を通じて事態悪化に対抗」するよう呼びかけた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は声明を出し、ヒムス市各地区を軍・治安部隊数千人が包囲、脅迫、また数日前から激しい「砲撃」を加え、「虐殺と人道に対する罪の真の脅威」に曝されていると発表した。

またアラブ連盟監視団(26日に100人の団員がダマスカスに入る予定)に対して、ヒムス市にただちに向かい、包囲されている地区において任務を行うよう呼びかけた。

一方、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン理事長は、ヒムス市での反体制運動に身を投じることなく、安全なフランスからクリスマスに合わせてビデオ声明を出し、シリア人が「恐怖の壁を打ち破った。今日、ダマスカスで革命が起き、アレッポで蜂起が起きるだろう。我々はこの二つの都市にさらに多くを期待する」と述べた。

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シリア人権擁護連盟のアブドゥルカリーム・リーハーウィー所長は声明を出し、アサド政権がアラブ連盟監視団の活動を惑わすため、使節団が訪問を予定していた地区や街路の名称を変更し、逮捕者を監視団が訪問できないような場所に移送している、と非難した。

オガレット・ニュース・ネットワークによると、当局はタバンナフ村入口に「ジャースィム市」という標識を設置し、使節団が弾圧の激しかった同村に入ったと錯覚させようとしている、と報じた。

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シリア国民協議会のアブドゥルフサイン・ジャービリー氏は声明を出し、シリア危機解決のためのイラク・イニシアチブについて話合うために予定されていた使節団の訪問が「技術的理由」で延期になった、と発表した。

『ハヤート』(12月26日付)によると、ターリク・ハーシミー副大統領への逮捕状発行、バグダードの治安悪化などが理由だという。

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シリア・クルド民主諸勢力連合事務局が声明を出し、アサド政権打倒後の移行期間においてシリア国民評議会との協力のもと、地方評議会を発足し「クルド人地区」の安全保障を担当するとの意思を示した。

レバノンの動き

『シャクル・アウサト』(12月25日付)は、マルワーン・シルビル大臣が、ベカーア県バアルベック郡アルサールからアル=カーイダのメンバーがシリア領内に潜入したとのことをファーイズ・グスン国防大臣から確認していたと報じた。

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ムスタクバル・ニュース(テレビ)(12月25日付)は、シリア空軍のヘリコプター数機がベカーア県バアルベック郡アルサール地方上級を旋回し、シリアの空軍基地に帰還した、と報じた。

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『ムスタクバル』(12月25日付)は、レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣は、レバノンがアラブ連盟監視団への参加を見合わせたと発表したと報じた。

同報道によると、この決定はミシェル・スライマーン大統領の決定によるものだという。

諸外国の動き

ロシアのRIAノーヴォスチ通信(12月25日付)は、ロシアのタト石油が声明を出し、ダイル・ザウル県ブーカマール市での採掘を停止すると発表したと報じた。

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ローマ法皇ベネディクト16世はクリスマスを記念して信者の前で演説し、シリアにおける暴力行為の停止を呼びかけた。

AFP, December 25, 2011、Akhbar al-Sharq, December 25, 2011, December 29, 2011、al-Hayat, December 26, 2011、Kull-na Shuraka’,December 25, 2011、al-Mustaqbal, December 25, 2011、Naharnet.com, December 25, 2011、Reuters, December 25, 2011、SANA, December 25, 2011、al-Sharq al-Awsat, December 25, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス県での同時自爆テロによる犠牲者の葬儀に数千人が参列、国連安保理はテロ攻撃を非難したうえでアサド政権に弔意を示す声明を採択(2011年12月24日)

同時自爆テロ犠牲者の葬儀

23日のダマスカス県カフルスーサ区での同時自爆テロの犠牲者の葬儀がウマイヤ・モスクで行われ、数千人が参列した。

ウマイヤ・モスクに続くハミディーヤ市場の商店は喪に服して営業を自粛した。

SANA, December 24, 2011
SANA, December 24, 2011
SANA, December 24, 2011
SANA, December 24, 2011
SANA, December 24, 2011
SANA, December 24, 2011
SANA, December 24, 2011
SANA, December 24, 2011
SANA, December 24, 2011
SANA, December 24, 2011
SANA, December 24, 2011
SANA, December 24, 2011

会葬者はアサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を求めるデモ行進を行い、「アメリカに死を」とのシュプレヒコールを連呼した。

葬儀にはイスラーム教、キリスト教法曹界、バアス党シリア地域指導部メンバー、ムハンマド・ムハンマド・アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣などが参列した。

SANA(12月24日付)によると、ムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティー師は「ブルハーン・ガルユーンとその友人らからのシリアへのプレゼント」と述べ、シリア国民評議会の関与を疑った。

SANA(12月24日付)によると、バアス党シリア地域指導部が声明を出し、テロを「挙国一致を揺るがす試み」、「米・シオニズムの植民地主義的計略」、「シリアを分断し…、啓蒙的改革プログラムを破壊する試み」と非難するとともに、アラブ連盟監視団に「武装犯罪集団による殺戮、脅迫の真の証拠」を示したと主張した。

SANA(12月24日付)は、犠牲者葬儀に合わせて、タルトゥース県、スワイダー県、ダマスカス郊外県で自爆テロに抗議するとともに、アサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を訴えるデモが各地で実施されたと報じた。

またダマスカス県カールストーン・ホテル広場、バーブ・シャルキー地区、ラタキア県ラタキア市では犠牲者を追悼するロウソク集会が夜間に開かれた。

反体制(武装)運動をめぐる動き

シリア国内調整諸委員会は、各地で治安当局によって25人が殺害されたと発表した。

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SANA(12月25日付)によると、ダマスカス郊外県のハラスター病院に勤務する軍医(耳鼻科医)のハイサム・ユースフ・ユーヌス大佐(ハマー出身)が武装テロ集団によって暗殺されたと報じた。

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「アフバール・シャルク」(12月25日付)は、治安当局がバアス党ヒムス支部前書記長で中央委員会メンバーのガーズィー・ズガイブ氏とラジャー・バッカール婦人をヒムス市バーブ・アムル地区の自宅で暗殺したと報じた。

息子のアブー・クサイ氏がアラビーヤ(12月25日付)に語ったところによると、暗殺後、「シャッビーハ」がテレビに出演して、父が「武装テロ集団」に暗殺されたと証言するよう求めたが、拒否したという。

また殺されたズガイブ氏は、ムハンマド・シャッアール内務大臣、ディーブ・ザイトゥーン政治治安部長、スブヒー・ハルブ・ヒムス支部書記長と会談した際、指名手配中の息子(アブー・クサイ氏)を引き渡すよう求められた、という。

そのうえで、「武装テロ集団が暗殺した」とのシリア公式筋の発表は偽の情報である、と述べた。

反体制勢力の動き

「アフバール・シャルク」(12月24日付)は、http://www.ikhwan-sy.comというシリア・ムスリム同胞団の偽サイトから、同時自爆テロへの犯行声明が出されたと報じた。

同報道によると、このサイトの管理人であるアミール・カッス・ナスルッラーは共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師の顧問であるバースィル・カッス・ナスルッラーの兄弟で、同サイトは11月30日に立ち上がったばかりだという。

なおシリア・ムスリム同胞団の公式サイトのURLはhttp://www.ikhwansyria.com

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シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリム報道官は声明を出し、同時自爆テロの犯行声明を出したことを否定した。

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シリア国民評議会の使節団がカナダの外務大臣と会談し、「安全保障地域」設定の必要を強調した。

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シリア人権監視団は声明を出し、アラブ連盟監視団に対して、ヒムスを訪問し、人権侵害状況を調査・記録するよう求めた。

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国内で反体制運動を行うシリア国家建設潮流は声明を出し、テロを非難するとともに、「先導的メディアの言説」に惑わされないよう国民に呼びかけ、社会的分断を回避するよう訴えた。

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同じく国内で反体制運動を行う国民民主イニシアチブも声明をだし、テロ非難を非難し、「犯罪行為は平和的政治運動を貶め、民主的市民国家建設をめざす包括的政治改革への要求に挑むもの」と述べた。

諸外国の動き

国連安保理は、シリアでのテロ攻撃を非難し、アサド政権に弔意を示す声明を採択した。

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イラン外務省が声明を出し、自爆テロに関して、「シリアの国家安全保障に対する脅威」と非難する一方、それがシリアだけでなく地域の国々にとっても脅威となる、との立場を示した。

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イラクのジャラール・ターラバーニー大統領は、自爆テロを非難、国際社会に「犯罪勢力の包囲」を呼びかけた。

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反体制運動への弾圧が続くなか、シリア情勢へのコメントを控えてきたパレスチナのハマースは、同時爆破テロへの非難し、「政治的解決を通じて困難な危機を親愛なるシリアが脱却すべく支援を継続」するとの意思を示した。

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アラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長がダマスカスに到着した。

監視団先遣隊はワリード・ムアッリム外務大臣と会談した。

サミール・サイフ・ヤザル先遣隊長によると、監視団本隊は12月26日にシリア入りする予定。

AFP, December 24, 2011、Akhbar al-Sharq, December 24, 2011、AKI, December 24, 2011、al-Hayat, December 25, 2011、Kull-na Shuraka’, December 24, 2011、Reuters, December 24, 2011、SANA, December 24, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス県中心部で連続自爆テロが発生、各当事者らが蛮行を強く非難するなか一部の反体制勢力はアサド政権による自作自演を疑う(2011年12月23日)

ダマスカス県内で自爆テロ

ダマスカス県カフルスーサ区で自爆テロが2件連続して発生した。

Kull-na Shuraka’, December 23, 2011
Kull-na Shuraka’, December 23, 2011

SANA(12月23日付)は、「二つのテロ行為は、爆弾がしかけられた車2台の自爆によるもので、国家治安課と治安関連施設の一つを標的とした」、「多数の民間人と軍人が犠牲となり、そのほとんどが民間人である」と報じた。

また「初動調査はこれらのテロ行為がアル=カーイダの犯行であることを示している」と付言した。

国家治安課は内務省所轄の総合情報部内の組織。

また現場の近くには、孤児院、高等教育省、『サウラ』紙本社が隣接する。

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ジハード・マクディスィー外務省報道官は爆発におり民間人と軍人合わせて40人が死亡し、150人が負傷したと述べた。

またシリア治安当局筋によると、死者数は44人、負傷者数は166人にのぼった。

またレバノン当局が22日に、アル=カーイダに属する組織がベカーア県バアルベック郡アルサール地方からシリア領に潜入したとの通告を受けたことを明らかにした。

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BBC(12月23日付)によると、二つの爆発から20分後にシリア政府はアル=カーイダの犯行だと断じる声明を出した。

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SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011

事件発生後、アラブ連盟監視団の先遣隊(サミール・サイフ・ヤザル団長)がファイサル・ミクダード外務次官とともに現場を視察した。

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ミクダード外務次官は現場で記者団に対して、シリアが「真のテロ行為に曝されている」と述べるとともに、欧米諸国、そして一部のアラブ当事者が「殺戮」の背後にいると疑った。

SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011

また政府の自作自演との反体制勢力の主張に関して、「あいつらは犯罪者で、そのようなことを言う者たちは犯罪者になり、テロや殺戮を根本から支援するような人間だ」と強く非難した。

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『ダマス・ポスト』(12月23日付)は、軍事情報局のルストゥム・ガザーラ少将がダマスカス県での同時自爆テロに関して「二つの事件の背後にいるのはアル=カーイダだけに限られない。別のテロ組織が背後にいるかもしれない」と述べたうえで、近くあらゆる可能性を踏まえたかたちでこの問題に関して公式声明を出す予定であることを明らかにしたと報じた。

反体制運動(掃討)

金曜礼拝後に各地で反体制デモが行われ、『ハヤート』(12月24日付)によると、数万人が参加した。

デモはヒムス県、ハマー県、ダマスカス郊外県、ダルアー県、イドリブ県、ダイル・ザウル県、アレッポ県、ハサカ県、ラタキア県の各地で行われ、アラブ監視団の派遣への抗議の意が示された。

シリア革命総合委員会によると、デモに対する治安維持部隊の弾圧で、ヒムス県(3人)、ハマー県(2人)、ダマスカス郊外県(5人)、ダルアー県(5人)、イドリブ県(5人)、ダイル・ザウル県(5人)、ラタキア県(5人)で少なくとも25人が死亡した。

弾圧では「戦車」や装甲車が多数投入され、「無差別砲撃」や発砲が行われたという。

一方、シリア人権監視団によると、ヒムス市(8人)、ハマー県(2人)、ダマスカス郊外県(1人)で11人が殺害された。

反体制活動家らはFacebookで「殺しの議定書の金曜日」と銘打ってデモを呼びかけていた。

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SANA(12月23日付)によると、ハマー県では、治安維持部隊がハマー市バールーディーヤ地区に潜伏する武装テロ集団を追跡し、メンバー多数を逮捕、大量の武器を押収した。

また同市内で武装テロ集団がしかけた爆弾が爆発し、治安維持部隊の兵士4人が負傷した。

一方、ヒムス県ヒムス市では、治安維持部隊がインシャーアート地区で武装テロ集団と交戦し、1人を殺害し、10人を逮捕した。

また22日に武装テロ集団が誘拐したアブドゥルカリーム・ナッバハーン退役准将の釈放に当局が成功した。

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『クッルナー・シュラカー』(12月23日付)によると、住民、青年調整諸組織、シリア・クルド国民会議などがアームーダー市、ダルバースィーヤ市、ハサカ市、ラアス・アイン市、カーミシュリー市で反体制デモを行った。

しかし、アイン・アラブ市、アフリーン市、ダイリーク市では、西クルディスタン人民議会を主導する民主統一党(PKK系のクルド民族主義組織)との衝突を回避するため反体制デモは控えられた。

SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011
SANA, December 23, 2011

アサド政権の動き

SANA(12月23日付)は、ダマスカス県内での同時自爆テロ事件発生を受け、ダマスカス県サブウ・バフラート広場、スワイダー県スワイダー市、タルトゥース県サフサーファ村、アレッポ県アレッポ市、ダルアー県ダルアー市、ラタキア県ラタキア市など各地で、テロ行為拒否、アサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を訴える大規模集会が開催されたと報じた。

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『ワフド』(12月23日付)は、在カイロ・シリア大使館がカイロ市内ドッキー地区から転出したと報じた。移転先は不明だという。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会はダマスカス県での自爆テロに対して、アサド政権が「ダマスカスの犯罪的爆破事件の直接の責任を負っている」と非難、同事件が「政府の行動や思考を表現している…。アラブ監視団到着と時を一にして発生した」と政府による自作自演を示唆した。

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『ハヤート』(12月24日付)によると、レバノンを拠点に反体制活動を扇動するウマル・イドリビー氏(シリア国民評議会)は、事件に関して「曖昧な点が多すぎる。なぜなら事件は車で侵入することが困難な厳重警戒区域で発生したからだ」と述べた。

また「アラブ連盟監視団がいるなかで、政府はこの事件を利用して、アラブ連盟閣僚委員会がシリアをめぐって行動することに恐れを抱かそうとしている…。アラブ連盟と国際社会の世論に、シリアがアル=カーイダのメンバーのテロ行為に曝されていると信じさせようとしている」と断じ、アサド政権の自作自演であることを示唆した。

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リーナー・ティービー女史(シリア国民評議会)もまた、『ハヤート』(12月24日付)に対して、「シリア政府にこのような行為を行わせる理由がいくつもある。第1にアラブ連盟監視団先遣隊の到着…、第2に街頭での平和的デモの阻止」と述べ、アサド政権の犯行だとの見方を示した。

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シリア革命情報局を名のる組織は声明を出し、事件に関して、アサド政権がアラブ連盟監視団メンバーの暗殺の意思を示すとの極論を示した。

しかし反体制勢力は「殺しの議定書の金曜日」を呼びかけるなど、アサド政権がアラブ連盟監視団の訪問を受け入れたことに反対しており、監視団メンバーを標的とするという言説は反体制勢力を貶めることにも利用可能である。

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オガレット・ニュース・ネットワーク(12月23日付)は、ある目撃者の話として、「ダマスカスの総合情報部の工作員の一人と連絡した際、早朝に爆発現場の近くに近寄らないよう指示を受けたと明かしていた」と報じた。

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反体制派系ジャーナリストのムハンマド・マンスール氏はFacebookで同時自爆テロの現場に関して、総合情報部内務治安課施設に対する爆弾搭載車による自爆攻撃と軍事情報局地域課の施設「内」での爆破が、アサド政権による自作自演だと綴った。

過去数度にわたって内務治安課の施設に出頭した経験を持つというマンスール氏は、厳重な警備ゆえに自爆攻撃の現場に到達することが事実上不可能であることをその理由としてあげた。

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シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリム報道官が声明を出し、「アラブ監視団に対する血塗られた歓迎式典」を行ったとして、アサド政権の自作自演であると示唆した。

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AKI(12月23日付)は、ジャズィーラ地方(ユーフラテス川東岸)のキリスト教諸派の代表は、反体制運動弾圧の被害者に哀悼の意を表して、クリスマスの祝祭を自粛することを決定したと報じた。

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占領地ゴラン高原のマジュダル・シャムス村でアサド政権打倒とゴラン高原解放を求めるデモが発生した。

またイスラエルに身柄拘束中のウィアーム・アンマーシャ氏は獄中で「シリア革命ゴラン調整」組織の結成を宣言した。

レバノンの動き

ミシェル・スライマーン大統領は、アサド大統領と電話会談を行い、「爆破テロ」への非難の意を示すとともに、「監視団先遣隊のシリア到着と時を一にして行われた犯行は、シリアとアラブ連盟の合意に基づくアラブによる収拾を覆そうとするものである」と述べた。

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一方、サウジアラビアで事実上の亡命生活を送るサアド・ハリーリー前首相は、ツイッターで政権がアラブ監視団を標的としたことが「もっとも可能性が高い」とつぶやいた。

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レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣は、「シリアは同国領からのテロリストの潜入に関してレバノン側に正式に通達していないが、ファーイズ・グスン国防大臣が本件に関して2日前に述べたことは、両国間をこうした武装集団が移動していると指摘し得るということである」と述べた。

またハリーリー前首相のツイッターの書き込みに関して、「証拠がないまま疑いを向けることは許されない」と一刀両断した。

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ヒズブッラーは声明を出し、ダマスカスでの自爆テロに関して「米国と(中東)地域におけるその手先がダマスカスの爆破事件の背後にいる…。女性や子供など多数の死者を出したこれらの爆破は、テロの母である米国の専門だ」と非難した。

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アサド政権を支持するマラダ潮流のスライマーン・フランジーヤ代表、シリア民族社会党のアスアド・ハルダーン党首もダマスカスでの自爆テロを厳しく非難した。

パレスチナ・レジスタンスの動き

『ハヤート』(12月23日付)はイスラーム主義者筋の話として、ハマース指導部がシリア国外への移転を検討していると報じた。

同消息筋によると、ハマースとアサド政権はシリア国内での反体制運動への対応をめぐり関係がぎくしゃくしており、ハーリド・ミシュアル政治局長以外の幹部はすでにシリアを去っている、という。

またアサド大統領は、アラブの春がシリアに波及する前にミシュアル政治局が改革を主唱したことに不信感を抱き、面談を拒否しているという。

その後、ミシュアル政治局長はレバノンを極秘訪問し、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長と会談し、反体制運動弾圧で犠牲が出るなかでアサド政権を支持できないと伝えたとのこと。

これに対して、ナスルッラー書記長は自身を交えた三者会談をアサド大統領に申し入れたが、会談は実現しなかった。

諸外国の動き

ロシアは爆破テロを受けて、国連安保理に二つの決議案を提出した。

第1の決議はアラブ連盟監視団の展開を歓迎する決議案で、西側外交筋によると、同決議案はその内容がシリア情勢を部分的にしかとりあげていないとの理由で、西側諸国により却下されるものと予想される。

第2の決議は12月15日に提出された決議案の修正案で、ダマスカスでのテロを非難する文言が付記されているという。

一方、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はロイター通信(12月23日付)に対して、イエメンでの事態収拾に向けた努力とシリア情勢を比較し、「イエメンでは…すべての外国のアクターは忍耐強く、最後通告を発することなくすべての当事者と対峙し、関係正常化を促している。シリアの問題においてもこのようにすることが必要だ」と述べた。

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米国は、爆破テロを強く非難しつつ、「こうした攻撃によって監視団の活動が妨害されないようにする必要がある」との姿勢を示した。

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国連の潘基本事務総長は、爆破テロに関して「ダマスカスでの暴力の激化」を非難した。

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ドイツ外務省はシリア国内での「野蛮な」弾圧に抗議するため駐シリア・ドイツ大使を召還したと発表した。

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欧州議会の緑グループがシリアの反体制勢力支持とシリア国民評議会の承認を呼びかけた。

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スイス経済省は、対シリア制裁の一環として同国内の5,000万スイス・フランの資産を凍結したと発表した。

Akhbar al-Sharq, December 23, 2011, December 24, 2011, December 25, 2011、AKI, December 23, 2011、BBC, December 23, 2011、Damas Post, December 23, 2011、Facebook、al-Hayat, December 23, 2011, December 24, 2011、Kull-na Shuraka’, December 23, 2011、Naharnet.com, December 23, 2011、NNA, December 23, 2011、SANA, December 23, 2011、Ugarit News Network, December 23, 2011、al-Wafd, December 23, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アラブ連盟の監視団の第1次先遣隊がダマスカスに到着する一方、日本政府がアサド政権関係者の資産凍結対象を拡大する追加制裁措置を実施(2011年12月22日)

アサド政権の動き

シリア政府は国連総会、国連安保理、国連人権理事会に対して書簡を送り、3月以降の抗議行動で軍兵士および治安部隊要員が2,000人以上殺害されたことを報告するとともに、国連の調査委員会が発表した被害報告は政治化されており、シリアを破壊しようとする国の意図に沿った内容と指摘し、政府によるデモ弾圧に関する一連の報道や非難を否定した。

SANA, December 22, 2011
SANA, December 22, 2011
SANA, December 22, 2011
SANA, December 22, 2011

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SANA(12月22日付)によると、政党問題委員会が複数の新政党発足申請書の内容を検討、団結党の申請を受理した。

またアラブ民主団結党の申請書、アラブ民主党が再提出した申請書の内容を審議した。

同委員会によると、近日中に、民主前衛党、アンサール党の申請が受理されるという。

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SANA(12月22日付)は、アサド大統領がダイル・ザウル県、ラッカ県、ハサカ県の部族長使節団と会談し、「治安と安定の維持」のため努力を行うよう求めたと報じた。

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SANA(12月22日付)は、選挙最高委員会のハラフ・アッザーウィー議長が統一地方選挙(12月12日投票)に関して、「シリアが直面する困難で異常な状況にもかかわらず、清潔・公正、自由、民主のなかで実施された」と述べ、その完了を宣言した、と報じた。

反体制運動の動き

シリア革命支援国民委員会は声明を出し、イドリブ県ザーウィヤ山で「集団虐殺」が行われていると非難した。

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『ハヤート』(12月23日付)、AFP(12月22日付)は、地元調整諸委員会の報道官で国外(レバノン)から反体制運動を扇動しているウマル・イドリビー氏が、アラブ監視団の受け入れが「アラブ連盟のイニシアチブを回避し、その内容を無実化しようとする政府側の新たな試み」と非難したと報じた。

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反体制活動家のハーリド・マハーミード氏はフェイスブックで、ヒムス県で誘拐されたイラン人技術者がイラン・イスラーム革命防衛隊とヒズブッラーのメンバーだと綴った(真偽は定かでない)。

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『クッルナー・シュラカー』(12月22日付)は、クルド民族主義運動筋の話として、イラクを訪問したシリア・クルド国民評議会のメンバーが一人あたり10,000米ドルを支給されたと報じた。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アラブ連盟監視団派遣に関する議定書への署名後もアサド政権が弾圧を続けていると非難、アラブ連盟のイニシアチブを有名無実化しようとしていると糾弾した。

反体制(武装)運動掃討

シリア革命総合委員会によると、イドリブ県で16人、ヒムス県で10人(うち6人がヒムス市で殺害)、ダマスカス郊外県で1人、ダルアー県(タファス市)で1人が弾圧により殺害された。

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複数の活動家によると、イドリブ県のハーン・シャイフーン市に軍・治安部隊車輌が離反兵の潜伏先を制圧するために進入した。

またイドリブ県のマアッラト・ヌウマーン市、ダイル・ザウル県のスバイハーン市などでは、軍・治安部隊が「砲撃」を行っている、という。

しかし、軍・治安部隊が使用している車輌、火器の詳細は明らかではない。

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複数の活動家によると、アレッポ県アレッポ市にあるアレッポ大学構内(理学部、電気工学部など)で学生が反体制デモを行った。

Kull-na Shuraka’, December 22, 2011
Kull-na Shuraka’, December 22, 2011

このデモで女学生1人が負傷し、死亡した。この女学生は21日のデモで負傷していたという。

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『クッルナー・シュラカー』(12月22日付)は、ダマスカス県中心に位置するアルヌース広場で爆弾が爆発したと報じた。被害者はでなかったという。

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SANA(12月22日付)によると、武装テロ集団がヒムス県にあるヒムス石油精製所の技術者を暗殺した。

またダイル・ザウル県のクーリーヤ市で武装テロ集団多数を逮捕した。

諸外国の動き

アラブ連盟の監視団の第1次先遣隊(サミール・サイフ・ヤザル連盟事務次長が団長、11人より構成)がダマスカスに到着した。

ナビール・アラビー連盟事務局長によると、監視団は日報を発表し、シリア政府はそれを閲覧する権限を持つが、修正を求めることはできないとという。

また先遣隊がアラブ連盟の行程を順守しているかどうかを判断するのに1週間はかかるとのこと。

なお監視団の本隊(ムハンマド・ムスタファー・ダービー団長)約150人は今月末のシリア入りを予定している。

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国連総会のナースィル・アブドゥルアズィーズ・ナスル議長は、「アラブ連盟がシリア政府の殺戮行為と暴力停止の努力に失敗した場合、連盟は国連に問題を付託するだろう」と述べた。

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ロシア外務省は、セルゲイ・ラブロフ外務大臣がアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と電話会談を行い、アラブ監視団の活動がシリア政府との調整のもと客観的になされるよう求めたと発表した。

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「アフバール・シャルク」(12月22日付)は、ロシア高官がシリア政府に対して、アラブ連盟のイニシアチブが国連に付託された場合、ロシアは拒否権を発動しない旨伝えたと報じた。

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ドイツのアンゲラ・メルケル首相はアラブ連盟のイニシアチブを評価するとともに、シリア国内での弾圧に改めて懸念を表明した。

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『日本経済新聞』(12月22日付)によると、日本政府はシリアのアサド政権関係者の資産凍結対象を拡大する追加制裁措置を決め、即日実施した。

対象は9月の制裁措置と合わせて18人、12団体となった。

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国際人権団体Avaazは、3月以降、6,237人以上が治安部隊によって殺害されたと発表した。

同団体によると、うち617人は拷問で殺害され、400人以上が子供だという。

AFP, December 22, 2011、Akhbar al-Sharq, December 22, 2011, December 23, 2011、Facebook、al-Hayat, December 23, 2011、Kull-na Shuraka’, December 22, 2011、Reuters, December 22, 2011、SANA, December 22, 2011、『日本経済新聞』2011年12月22日などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

レバノン治安当局がシリア政府に対して「ベカーア県からシリア領内にアル=カーイダのメンバーが潜入している」との連絡を行う(2011年12月21日)

反体制(武装)運動掃討

在外の反体制組織、西側およびアラブ各紙は、12月20日以降のアサド政権による離反兵(脱走兵)などへの掃討作戦の被害者数を累積して報じることで、被害を誇張した。

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シリア人権監視団は、イドリブ県カフルウアイド市での「虐殺」などで12月20日に少なくとも111人が殺害され、うち56人の身元を確認したと改めて発表した。

またトルコ国境地帯で離反兵が12月18日以降、軍用車輌17台を襲撃・破壊したと発表した。

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シリア革命総合委員会は、ヒムス県のヒムス市、タルビーサ市、クサイル市など、ダマスカス郊外県のハラスター市、ドゥーマー市で軍・治安部隊が激しい発砲を行ったと発表した。

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地元調整諸委員会はウェブサイトなどを通じて、ヒムス県、ラタキア県、ダマスカス郊外県各都市、ダルアー県などで反体制デモが行われたと発表した。

しかしこれらの反体制組織の情報の真偽は確認できない。

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『読売新聞』(12月22日朝刊)は、「シリア政府軍は20日、北部イドリブ県で反体制派に対する攻撃を強め、AFP通信が伝えた人権団体の情報によると、市民ら少なくとも111人が死亡した」と誇張したが、アラブ各紙によると殺害されたほとんどは離反兵(脱走兵)である。

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一方、SANA(12月21日付)は、ヒムス県クサイル市で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、武装テロ集団メンバー1人を殺害したと報じた。

Kull-na Shuraka’, December 22, 2011
Kull-na Shuraka’, December 22, 2011

またSANA(12月21日付)によると、ヒムス市シャンマース地区で武装テロ集団が治安維持部隊の車輌を襲撃し、乗っていた大佐が重傷を負った。

また同市内の乗り合いタクシーが襲撃され、市民1人が死亡した。

さらにイドリブ県、ダルアー県では、治安当局が武装テロ集団掃討を続け、数十人の指名手配者を逮捕した。

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『クッルナー・シュラカー』(12月22日付)はアレッポ市内で弁護士3人が誘拐されたと報じた。

反体制運動の動き

シリア人権監視団による被害状況の累計発表と時を一にするかたちで、シリア国民評議会は声明を出し、「政府が行う恐るべき虐殺」を停止するための緊急会合を開催し、「治安維持地域」を設定するよう国連安保理に呼びかけた。

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共産主義行動党メンバーで国民民主変革諸勢力国民調整委員会執行部メンバーのアブドゥルアズィーズ・ハイイル氏が当局に渡航を禁止され、逮捕された。

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シリア人権委員会がザーウィヤ山での虐殺の被害者の氏名を発表した。

アサド政権の動き

SANA, December 21, 2011
SANA, December 21, 2011
SANA, December 21, 2011
SANA, December 21, 2011

SANA(12月21日付)は、「家を守る者たちよ、あなたがたのもとに平安あれ」(シリア国家の最初の句)という名を冠した団体が主催するかたちで、ダマスカス県ウマウィーイーン広場で「シリアに対する陰謀」に抵抗して命を落とした軍の戦死者を追悼し、アサド政権による改革支持、外国の干渉反対を訴える大規模集会が開催された、と報じた。

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SANA(12月21日付)は、シリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会が20日に引き続いて会合を開き、大統領、首相の権限など行政府に関する条文案の審議を完了したと報じた。

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SANA(12月21日付)は、アレッポ県アレッポ氏サアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)で「シリアの母、愛のキャラバン」と名づけられた団体が外国の介入拒否への賛同を求める署名運動を開始した、と報じた。

レバノンをめぐる動き

SANA(12月21日付)は、レバノン政府筋の話として、レバノン治安当局がシリア政府に対して、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方からシリア領内にアル=カーイダのメンバーが潜入しているとの連絡を行ったと報じた。

これに先だって、20日にはレバノンのファーイズ・グスン国防大臣が、アル=カーイダが「シリアの反体制活動家を装って」シリア領からベカーア県バアルベック郡アルサール地方を経由してレバノン領内に潜入していると述べていた。

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これに対して、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方議会および知事が声明を出し、アル=カーイダが潜入しているとのファーイズ・グスン国防大臣の発表を否定し、シリア軍によるレバノン領への侵害を阻止するためむしろ国軍を国境地帯に展開させるべきだと主張した。

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『サフィール』のムハンマド・ダフヌーン特派員がダマスカス県マイダーン地区で反体制抗議行動を取材中に治安機関に身柄を拘束された。同紙筋が明らかにした。

諸外国の動き

在ダマスカス・イラン大使館は、21日のSANAなどの報道を受けるかたちで、ヒムス県内の発電所でイラン人技術者5人が何者かに誘拐されたと発表し、釈放を要求した。

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イラクのアリー・ムーサウィー首相付広報顧問は、『ハヤート』(12月22日付)に対して、来週、シリアの反体制勢力指導者を招聘し、その要求をとりまとめるための拡大会合を開催すると発表した。

同情報顧問によると、この動きは、イラクによる事態打開のためのイニシアチブの一環をなす。

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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は声明を出し、アサド大統領が政権を去ることがシリア国民の求める変化を実現する唯一の方法」と述べるとともに、「アラブ連盟イニシアチブを完全履行しない場合、国際社会がさらなる措置を講じる」と脅迫した。

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フランスのベルナール・ヴァレロ外務省報道官は、シリア人権監視団などによる累積被害の報告を受けるかたちで、シリア軍による離反兵掃討を「前例のない虐殺」と非難した。

AFP, December 21, 2011、Akhbar al-Sharq, December 21, 2011, December 22, 2011、al-Hayat, December 22, 2011、Kull-na Shuraka’, December 21, 2011, December 22, 2011、Naharnet.com,
December 21, 2011、Reuters, December 21, 2011、SANA, December 21, 2011、UPI,
December 21, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会が会合を開き大統領候補者の立候補資格などを審議する一方、国連ではロシアが提出した安保理決議案に対して西側諸国が修正案を提示(2011年12月20日)

アサド政権の動き

SANA(12月20日付)は、シリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会が会合を開き、大統領候補者の立候補資格、大統領の任期について審議したと報じた。

SANA, December 20, 2011
SANA, December 20, 2011

同報道によると、立候補資格はシリアに10年以上居住し、40歳以上で、シリア人を両親に持つ、2割以上の国会議員の支持といった条件が盛り込まれるという。

また任期は7年という案が有力だが委員の間で意見の一致には至っていない。

また立法機関の名称に関して、「人民議会」、「代議員議会」、「人民代議員議会」、「民族議会」などの呼称が候補となり、継続審議となった。

『クッルナー・シュラカー』(12月21日付)が地元各紙の報道として伝えたところによると、委員会メンバーの一人で反体制活動家のカドリー・ジャミール氏(人民変革解放人民戦線議長)は、会合への報道関係者の傍聴を求めたが、傍聴は最初の10分しか認めらず、議事は非公式なかたちで進められた。

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アサド大統領は武器の密輸者らに対する厳罰を定めた2011年法律第26号を発した。

同法律は、武器密輸を行った者に対して15年の懲役刑、密売やテロ行為を目的として武器密輸を行った者に対して無期懲役刑を科すことを定めているほか、テロ行為目的で武器を提供・配給した者およびその共犯者に対しても同様の処罰を科している。

http://www.sana.sy/ara/2/2011/12/20/389447.htm

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『バアス』(12月20日付)は、アーディル・サファル首相が関係機関に対して2012年度の歳出を25%削減するよう指示したと報じた。

反体制勢力の動き

シリア国家建設潮流は声明を出し、アラブ監視団派遣に関するシリア政府とアラブ連盟の合意に関して、「政権による暴力を抑止し、闘争を平和的な政治闘争とする」には「ささいなチャンス」ではあるが、「シリアのインティファーダにとっての成果」とみなしえると評価した。

そのうえで、流血停止、国際問題化回避、平和的な政治解決を実現するため、すべての個人、勢力が「国民的責任」を負うよう呼びかけた。

反体制(武装)運動

軍・治安部隊がイドリブ県、ヒムス県、ダルアー県での脱走兵(離反兵)の潜伏先に対する作戦を強化した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ザーウィヤ山に近いカフル・ウワイド村、ファッティーラ村間のトルコ国境地域で軍と脱走兵(離反兵)の間で激しい戦闘があり、軍が脱走兵約100人を包囲し、多数が死傷した。

シリア人権監視団によると、カフル・ウワイド村では活動家多数を含む市民数十人が軍・治安部隊に包囲された。

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シリア革命総合委員会は、ダルアー県、ヒムス県(うちヒムス市で6人)、ハマー県、イドリブ県などで合わせて25人が殺害された。

またハサカ県では士官1人を含む脱走兵(離反兵)8人が殺害された。

シリア人権監視団によると、軍と脱走兵との戦闘に加えて、民間人3人が殺害された。

複数の活動家によると、イドリブ県、ヒムス県で民間人2人が殺害され、ダマスカス県・ヒムス市間の幹線道路に検問所が多数設置された。

彼らによると、ヒムス市上空に戦闘機が旋回しているというが、その任務が市民の脅迫は通常の訓練かは定かでない。

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複数の活動家・目撃者によると、アレッポ県アレッポ市のサラーフッディーン地区、サーフール地区など各地区および同市郊外、ハマー県ハマー市のハミーディーヤ地区および同市郊外で反体制デモが発生した。

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一方、SANA(12月20日付)によると、ハマー県で軍と武装テロ集団が交戦し、軍の大尉1人が戦死した。

またヒムス県ヒムス市などでも軍が武装テロ集団と交戦し、バーブ・スィバーア地区では指名手配者6人を殺害した。

さらにダルアー県郊外でも軍が武装テロ集団と交戦し、バーブ・スィバーア地区では指名手配者5人を殺害した。

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電力省は、ヒムス県ヒスヤー市にあるジャンダル発電所に派遣されている外国人技師8人が武装テロ集団に誘拐されたと発表した。

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SANA(12月20日付)は「政府が21人の士官を処刑した」との一部衛星放送の報道を否定した。

諸外国の動き

レバノンのファーイズ・グスン国防大臣は、アル=カーイダが「シリアの反体制活動家を装って」シリア領からベカーア県バアルベック郡アルサール地方を経由してレバノン領内に潜入していると述べ、警鐘を鳴らした。

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ロシアと中国の外務大臣が電話会談を行い、その後共同声明を発表、アラブ監視団派遣に関するシリア政府とアラブ連盟の合意への歓迎の意を示した。

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サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣は、湾岸諸国首脳会議後の記者会見で、アラブ監視団がシリアの危機打開のための連盟イニシアチブと不可分だと述べるとともに、アサド政権に対して改めて弾圧停止を求めた。

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アラブ連盟のアフマド・ベンフッリー連盟事務次長は、各国代表級会合後に、ムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー氏をアラブ使節団の団長に任命したと発表した。

ダービー氏はスーダンの軍人・外交官で、スーダン政府とダルフールのアフリカ連合・国連合同PKOの調整官を務めていた。

なおエジプトの外交官サミール・サイフ・ヤザル氏ら12人がアラブ使節団先遣隊として21日にダマスカス訪問予定。

エジプト日刊紙『シュルーク』(12月20日付)は、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長のインタビュー記事を掲載、そのなかアラビー事務総長は、西側諸国がシリアへの介入の意思がないと述べるとともに、シリアの反体制勢力のビジョンが「成熟していない」との見解を示した。

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ニューヨークの国連安保理では、ロシアが提出した安保理決議案に対して西側諸国が修正案を提示した。

『ハヤート』(12月21日付)によると、修正案は、シリアへの武器禁輸禁止、アラブ連盟と同様の対シリア制裁発動、シリア政府による人権侵害の指摘などを骨子とするという。

AFP, December 20, 2011、Akhbar al-Sharq, December 20, 2011、al-Ba‘th, December 20, 2011、al-Hayat, December 21, 2011、Kull-na Shuraka’, December 20, 2011, December 21, 2011、Naharnet.com, December 20, 2011、Reuters, December 20, 2011、SANA, December 20, 2011、al-Shuruq, Decemeber 20, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア政府高官らがアラブ連盟本部でアラブ監視団の派遣に関する議定書に署名、一方シリア国民評議会事務局長は同評議会大会閉幕に際しアラブ連盟に対し軍事介入を求める可能性を示唆(2011年12月19日)

アラブ監視団派遣に関する議定書をめぐる動き

カイロのアラブ連盟本部で、シリアのファイサル・ミクダード外務次官とアフマド・ベン・ヒッリー事務副長がアラブ監視団の派遣に関する議定書に署名した。

SANA, December 19, 2011
SANA, December 19, 2011
SANA, December 19, 2011
SANA, December 19, 2011

ナビール・アラビー事務総長は、署名にあたって、「孤立した民間人」という文言が「孤立した市民」と改められるなど、議定書の文言に若干の修正がなされたことを明らかにした。

また議定書の表題も「法的地位およびシリアへのアラブ連盟監視団任務議定書」から「シリア政府およびアラブ連盟の間で署名されたシリアへの連盟監視団議定書」に改められた。

アラビー事務総長はまた、現在提案されている監視団の人数が100人であり、議定書原案の500人から大幅に減少したことを明らかにした。

また監視団は、アラブ連盟関連の機関、アラブ各国の機関、NGOからなり、それぞれの組織が10人程度の代表を送り、各国を視察する。

また監視団にはジャーナリストも同行するという。

ベン・ヒッリー事務副長によると、これらの修正は12月17日のドーハでのアラブ連盟閣僚委員会で合意されていたという。

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ワリード・ムアッリム外務大臣は議定書署名後にダマスカスで記者会見を開き、監視団を「歓迎する」との意向を示した。

ムアッリム外務大臣は、議定書の内容に関して、シリアの「要求を考慮して修正が加えられたのち」に署名されたことを明らかにし、「我々の修正が議定書案に加えられなければ、我々はいかなる状況でも署名しなかった」と述べ、この修正によって「シリアの主権が議定書において維持された」ことを強調した。

またロシアが12月15日に国連安保理にシリア情勢に関する決議案を提出したことに関連して、「その忠告に基づき」、監視団受け入れを受理したと述べた。

一方、議定書署名に至るまでのアラビー事務総長のやりとりに関して、一部のアラブ諸国が議定書の署名の有無にかかわらず問題を安保理に付託しようとしている意思を持っていたと疑念を述べ、そうした意思に基づく文言が議定書に付記されることを一貫して拒否したことを明らかにした。

アサド政権の動き

SANA(12月19日付)は、ダマスカス県サブウ・ブハラート広場で、アサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を訴える大規模集会が行われた。

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SANA(12月19日付)によると、政党問題委員会が複数の新政党発足申請書の内容を検討、国民成長党、国民民主団結党の申請を受理した。

SANA, December 19, 2011
SANA, December 19, 2011

またアラブ民主団結党、国民社会党の2党に関しては、書類に不備があったため、申請書を差し戻した。

一方、シリア民主党に関しては、結党に必要な党員数を満たしていなかったため、申請を却下した。

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『シュルーク』(12月19日付)は、国軍兵士に警察の制服を着て弾圧にあたるよう指示した軍の秘密文書を入手したと報じた。

同文書にはムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣の署名がなされているという。

反体制運動の動き

シリア国民評議会のチュニジア大会が閉幕した。

『シャルク・アウサト』(12月19日付)によると、チュニジア大会では4点を採択した。

1. 民間人の収容と政府軍の排除を目的とした安全保障地域の設定。
2. 国際人権監視団の派遣。
3. アサド政権打倒後の行動計画の作成。
4. 軍事介入拒否と民間人保護。

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大会閉幕後、ブルハーン・ガルユーン事務局長が記者会見を行い、「我々はアラブ抑止軍の介入について検討を始めた」と述べ、アサド政権が弾圧を継続する場合、アラブ連盟に軍事介入を求める可能性を示唆した。

ガルユーン事務局長は、また「評議会は国が軍どうし、宗派どうしの内戦に陥ることを回避すべく活動するだろう」と述べ、自由シリア軍の活動がデモ参加者を守ることに限定されていると指摘した。

SANA, December 19, 2011
SANA, December 19, 2011

一方、シリア政府による議定書の署名に関して、問題の国連安保理への付託を回避するための「インチキに過ぎない」と述べ、「アラブ連盟はシリア政府に責任回避の余地を与えた」と非難した。

なおガルユーン事務局長の記者会見の閉幕声明はムアッリム外務大臣の記者会見を待って約2時間遅れた。

シリア国民評議会チュニジア大会閉幕声明の主な内容は以下の通り。

1. 組織に関して、反体制勢力の統合に向けた努力を継続し、国民的共同行動の枠組みの拡大をめざす。
2. 現体制の完全な打倒をめざし、多元的、民主的市民国家の建設をめざす。
3. シリアの国民統合を前提として、憲法においてクルド人の民族的アイデンティティを承認し、クルド問題を国民の全般的な問題の一部と位置づけ、現体制のもとでの被害の補償などに務める。
4. 同様に、アッシリア教徒の民族的アイデンティティを憲法において承認する。
5. 宗教、教義、民族に基づく差別に反対する。
6. 平和的革命の継続を努力する。
7. アラブ連盟、国連などの国際機関に対して安全保障地域の設定など、民間人保護のために必要な措置を求める。
8. 平和的な革命の保護を監督する役割を果たす自由シリア軍を認め、その支援拡充を誓約する。
9. ゴラン高原回復に務め、パレスチナ人の権利を支持し、中東地域の真の安定要因としての役割を果たす。

http://www.levantnews.com/index.php?option=com_content&view=article&id=10299:2011-12-20-11-23-33&catid=78:civil-society-releases&Itemid=79

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『クッルナー・シュラカー』(12月19日付)は、国民民主諸勢力国民調整委員会とシリア国民評議会の代表が、アラブ連盟使節団同席のもと先週、カタールの首都ドーハで会合を開き、両組織の活動方針の調整を行ったと報じた。

同報道によると、会合には、国民民主諸勢力国民調整委員会からハイサム・マンナーア、アブドゥルアズィーズ・ハイイル、サーリフ・ムスリム・ムハンマド、ラジャー・ナースィル、サイイド・ヒジャーズィーの5人、シリア国民評議会からアフマド・ラマダーン、ジャブル・シューフィー、ハイサム・マーリフ、ウバイダ・ナッハース、ワリード・ブンニーが参加した。

会合では、以下7点において合意がなされるとともに、移行期間の方針を盛り込んだ政治文書を作成することで意見の一致を見た。

1. 反体制勢力間の意見の相違を尊重する。
2. 国際法上合法とされるあらゆる手段を通じて民間人保護をめざす。
3. 外国の軍事介入を拒否する。
4. 国民統合を維持し、宗派主義を拒否する。
5. 軍の士官・兵士の離反を支持する。
6. 移行期間を原則1年、最長2年とする。
7. 移行期間の内容に関して、継続審議する。

しかし反体制勢力糾合のための大会や、両組織の作業文書の公開の是非に関して意見の相違があるという。

すなわち、国民調整委員会は、すべての反体制勢力の大会参加と文書公開を主張しているのに対して、シリア国民評議会は両組織のみの大会参加と文書の非公開を求めている。

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シリア政府の議定書署名に関して、エジプト在住の反体制活動家のムハンマド・マアムーン・ヒムスィー元人民議会議員は、「新たな茶番」と形容し、アラブ連盟がアサド政権による弾圧に猶予を与えたと非難した。

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シリア革命支援国民委員会のムハンマド・ダーマース・キーラーニー情報局長も、議定書署名に関して、アラブ連盟がシリア国内での流血の責任を負うことになる、と非難した。

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『アフラーム』(12月19日付)は、シリアの反体制活動家は、アラブ世界内外のメディア、人権団体、慈善団体などに対して、外国メディアに対する取材規制の解除、支援物資の提供を行うための「自由船団」を2012年にシリアに派遣することを呼びかけた。

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自由シリア軍のリヤード・アスアド「少将」は声明第3号を出し、主要メンバーの昇進を決定したと発表した。

同声明で昇進が発表された士官は以下の通り

少将への昇進:リヤード・アスアド大佐、マーリク・アブドゥルハリーム・クルディー少佐、アフマド・ヒジャーズィー・ヒジャーズィー大佐、アラファート・ラシード・ハンムード大佐、アーリフ・ムハンマド・ヌール・ハンムード大佐。

准将への昇進:12月15日までに自由シリア軍に参加した大佐多数。

大佐への昇進:12月15日までに自由シリア軍に参加した少佐多数。

中佐への昇進:12月15日までに自由シリア軍に参加した大尉多数。

少佐への昇進:12月15日までに自由シリア軍に参加した中尉多数。

大尉への昇進:12月15日までに自由シリア軍に参加した少尉多数。

中尉への昇進:12月15日までに自由シリア軍に参加した准尉多数。

少尉への昇進:12月15日までに自由シリア軍に参加した曹長、軍曹多数。

反体制(武装)運動掃討

イドリブ県では、シリア人権監視団、シリア革命総合委員会によると、ザーウィヤ山のカンスフラ村とカフル・ウワイド市を結ぶ街道で離反兵(脱走兵)が銃撃を受け、72人が「大量虐殺」された。

地元調整諸委員会によると、ザーウィヤ山を軍・治安部隊が包囲した。

一方、SANA(12月19日付)によると、ザーウィヤ山のブナイン村で軍・治安部隊と武装テロ集団が交戦し、武装テロ集団メンバー多数が死傷、また大量の武器弾薬が押収された。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、アジャミー村で治安部隊が発砲し、青年1人が殺害された。

シリア人権監視団によると、フラーク市で治安部隊が発砲し、2人が殺害された。

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ダマスカス県では、地元調整諸委員会によると、マイダーン地区で治安部隊が18日に死亡した子供2人の葬儀の参列者を強制排除しようとして発砲し、3人を殺害した。

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ダイル・ザウル県では、地元調整諸委員会とシリア人権監視団によると、治安部隊がクーリーヤ市で離反兵と交戦し、3人を殺害した。

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反体制勢力筋によると、ヒムス県ヒムス市各地、アレッポ県農村で反体制デモが発生、また各地でゼネストが続けられた、という。

諸外国の動き

シリアとアラブ連盟の仲介を行ったイラクのファーリフ・ファイヤード国家安全保障首相顧問に近い匿名筋は『ハヤート』(12月20日付)に対して、イラクの仲介によって、議定書署名と対シリア制裁発動が回避されたことを明らかにした。

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レバノンのミシェル・スライマーン大統領は、シリア政府による議定書署名に関して、「現下の危機に対処し、民主的な制度を完全なかたちで機能させ、安定と平和を回復するための基盤を作り出す」と述べ、安堵感を示した。

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『ハヤート』(12月20日付)は、イランがシリア政府による議定書署名に関して、アラブ連盟のイニシアチブを「許容し得る」と評価していると報じた。

一方、イラン国営通信は、「地域の一部の国は、(シリアに対して)冗談と思えるような行動をとっている…。これらの国は、その歴史において一度も選挙をしたことがないにもかかわらず、別の国に対して、なぜ選挙を実施しないのか、と非難する声明を発している」と非難した。

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フランス外務省は、議定書に関して「現地での早急な任務」の遂行を求めるとの声明を報道官を通じて出した。

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米国務省高官は『ハヤート』(12月20日付)に対して、議定書が実行に移された時に署名を歓迎する、と述べた。

同高官は、「シリアのあらゆる場所に(監視団が)無制限で入る権利」を定めた議定書第4条が実行される必要を強調するとともに、すべての暴力行為の停止、政治犯の釈放、軍・治安部隊の撤退を改めて求めた。

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ニューヨークの国連本部では、シリア情勢に関して、「シリアの民間人に対する体系的かつ身体的な人権侵害」を非難する決議が採択された。

決議は133カ国が賛成、11カ国が反対、43カ国が危険した。

AFP, December 19, 2011、al-Ahram, December 19, 2011、Akhbar al-Sharq, December 19, 2011, December 20, 2011、al-Hayat, December 20, 2011, December 21, 2011、Kull-na Shuraka’, December 19, 2011, December 20, 2011、NNA, December 19, 2011、Reuters, December 19, 2011、SANA, December 19, 2011、al-Sharq al-Awsat, December 19, 2011、al-Shurūq, December 19, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス県で外国の内政干渉拒否と国内の安定支持を訴える集会が行われるなか、ジュンブラート氏はシリアにおける「多元的民主主義」の存在の必要性を強調(2011年12月18日)

SANA, December 18, 2011
SANA, December 18, 2011
SANA, December 18, 2011
SANA, December 18, 2011

アサド政権の動き

SANA(12月18日付)によると、ダマスカス県ヒジャーズ駅前で、外国の内政干渉拒否と国内の安定支持を訴える集会が行われ、レバノン人およびトルコ人青年組織が参加した。

またダマスカス郊外県のサイイダ・ザイナブ町でも同様の集会が開かれた。

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親政権の日刊紙『ワタン』(12月18日付)は、統一地方選挙に関して、多くの立候補者と有権者が、投票結果の操作や買収が行われていると考えており、結果に対して多くの異議申し立てが行われている、と報じた。

反体制勢力の動き

シリア救援最高委員会は、国連人権委員会の報告書をもとに、民衆の弾圧を指示した士官57人の氏名をフェイスブック上で公開した。

http://ar-ar.facebook.com/HCFSR

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『スィヤーサ』(12月18日付)は、西側諜報機関筋の話として、ラフィーク・ハリーリー元首相などの暗殺への関与したとのムハーバラート・メンバーや政治家の証言を収録した文書、さらにはレバノン内戦時代の暗殺に関する文書を離反兵が持ち出し、レバノン特別法廷に提出したと報じた。

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国内で反体制活動を行うフサーム・ミールー(ジャーナリスト)、ハウラ・ハディード(国民ブロック)、ムハンマド・ハーッジ・バクリー(詩人)、ムハンマド・タマーム・バザーリー(「共に」運動)が、内戦(宗派対立)への危機感を回避するため、「シリア世俗主義勢力連立」の結成を呼びかけた。

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「アフバール・シャルク」(12月21日付)などによると、反体制活動家で12月15日に逮捕されたアブドゥッラー・ハリール氏のラッカ県内の自宅が当局によって破壊された。

反体制(武装)運動

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市、タドムル市、ガントゥー市、タルビーサ市で7人の市民が殺害され、負傷していた1人が死亡した。

またクサイル市では、離反兵との戦闘で軍・治安部隊の少佐1人、兵士5人が死亡するなど人的被害が出たほか、装甲車輌3台が破壊された。

一方、SANA(12月18日付)によると、ヒムス市で武装テロ集団と治安部隊が交戦し、武装テロ集団メンバー2人が死亡、4人が負傷した。

また、SANA(12月18日付)によると、武装テロ集団がヒムス市内で技師のズィヤード・タウフィーク・ブールス氏を暗殺した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、離反兵との戦闘で、軍・治安部隊の中尉1人が捕らえられた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、離反兵との戦闘で、軍・治安部隊の中尉1人が捕らえられた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カフルナブル市で市民3人が殺害された。

またサラーキブ市で負傷していた1人が死亡した。

またザーウィヤ山に近いイブリーン村、アブディーター村に対して軍・治安部隊が激しい砲撃を加える一方、複数の町で離反兵と軍・治安部隊が激しい戦闘を行った。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で市民1人が殺害された。

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シリア人権監視団などによると、ゼネストはダルアー県、イドリブ県などで続いており、ライフラインなどが遮断されている、という。

Kull-na Shuraka’, December 18, 2011
Kull-na Shuraka’, December 18, 2011

諸外国の動き

レバノンの進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、レバノン民主党のタラール・アスラーン党首が呼びかけたシュワイファートでの外交で、シリア情勢に関して、「私とタラール(・アルスラーン・レバノン民主党党首)、そしてハサン・ナスルッラー氏が気にしているのは、シリアが統合され続け、内戦の亡霊を遠ざけることだ…。シリアは多元的民主主義であるべきだ」と述べた。

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ヨルダンの慈善団体が、同国北部で避難生活を送るシリア人避難民数百人のために支援物資を送った。

AFP, December 18, 2011、Akhbar al-Sharq, December 21, 2011、al-Hayat, December 19, 2011、Kull-na Shuraka’, December 18, 2011, December 19, 2011、Naharnet.com,
December 18, 2011、Reuters, December 18, 2011、SANA, December 18, 2011、al-Siyasa, December 18, 2011、al-Watan, December 18, 2011などをもとに作成。

 

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ファイヤード国家安全保障担当首相顧問を含むイラクの使節団がアサド大統領と会談、ドーハで開かれたアラブ連盟閣僚委員会でシリアへの監視団派遣についての議定書問題が審議される(2011年12月17日)

アサド政権の動き

イラクのファーリフ・ファイヤード国家安全保障担当首相顧問らイラクの使節団がシリアのダマスカスを訪問し、アサド大統領と会談した。

SANA, December 17, 2011
SANA, December 17, 2011

『ハヤート』(12月17日付)によると、同使節団は、ヌーリー・マーリキー首相によるシリア情勢打開のためのイニシアチブを携えてアサド大統領と会談した。

またシリアに次いで、エジプトのカイロを訪問し、アラブ連盟首脳と会談し、シリアの反体制勢力にイラクのイニシアチブを提示する予定。

マーリキー内閣筋によると、使節団は国民同盟ブロックのメンバーからなっているという。

これに対してクルディスタン民主党のアブドゥッサラーム・ブルワーリー氏は、「シリアの反体制勢力は、対話ではなく、体制打倒を支持する人たちに耳を傾けたいと考えている」と述べ、マーリキー首相のイニシアチブに消極的な姿勢を示した。

またイラーキーヤ・ブロックのハイダル・ムッラー氏は、マーリキー首相のイニシアチブが政府のコンセンサスに基づいていないと述べ、疑義を呈した。

反体制勢力の動き

シリア国家建設潮流は声明を出し、ロシアの国連安保理決議案に関して、弾圧停止を求めるBRIC諸国の忠告をアサド政権が無視した結果であると評価した。

反体制(武装)運動

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、カフルシャムス町に治安部隊が突入し、民間人6人を殺害した。

一方、SANA(12月17日付)によると、マアルバ町を武装テロ集団が襲撃し、市民1人を殺害した。

また治安部隊が県北西部で武装テロ集団と交戦し、指名手配者10人を殺害、数十人を逮捕、大量の武器を押収した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル市で民間人4人が殺害された。

また隣接する村でも1人が殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カフルサジュナ村で治安部隊が発砲し、子供2人を含む3人が殺害された。

またシリア人権監視団によると、150台以上の軍の装甲車輌がアブディーター村に侵入し、市民1人、離反兵1人を殺害した。

市内では離反兵が軍・治安部隊と激しく交戦し、軍・治安部隊の戦車・兵員輸送車輌4輌を破壊したという。

一方、SANA(12月17日付)によると、マストゥーマ村で武装テロ集団がしかけた爆弾が爆発し、治安維持部隊の士官1人が死亡した。

アラブ連盟の動き

カタールのドーハでアラブ連盟閣僚委員会が開かれ、アラブ監視団のシリアへの派遣に関する議定書問題について審議した。

会合後、議長のハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣が記者会見を開き、シリア情勢をめぐるアラブ・イニシアチブや連盟の決議を国連に提出することを連盟に要請するための決議案を、12月21日にカイロで開催予定のアラブ連盟外相緊急会合に提出することが合意されたと発表した。

そのうえで「安保理における他国の決議に代えてこれを採用することをめざす」と述べ、ロシアが提出した決議案に対抗させることを暗示した。

諸外国の動き

レバノンの北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方で、シリア領内のヒート村からレバノン領内のクナイスィー村に向かって越境しようとしたレバノン人が敷設されていた地雷に触れ、爆死した。

またベカーア県バアルベック郡アルサール地方でシリア軍がレバノン人青年に発砲・殺害した。

AFP, December 17, 2011、Akhbar al-Sharq, December 17, 2011、al-Hayat, December 18, 2011、Kull-na Shuraka’, December 17, 2011、Nahar.net, December 17, 2011、Reuters, December 17, 2011、SANA, December 17, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

各地で「過去数週間で最大」規模の反体制デモが発生、チュニジアでは3日間にわたるシリア国民評議会の大会が開催(2011年12月16日)

反体制デモ

ダルアー県、ヒムス県、イドリブ県、ダイル・ザウル県、ダマスカス郊外県などで金曜礼拝後に反体制デモが発生した。

反体制勢力によると、ゼネストと並行して敢行された反体制デモは過去数週間のなかでは最大規模だという。

『ハヤート』(12月17日付)によると、ジャーナリストのシリア入国が規制されているため、デモ参加者の実数を知ることはできないが、「過去数週間で最大」だという点は確かだと報じた。

Sham News Network, December 16, 2011
Sham News Network, December 16, 2011
Sham News Network, December 16, 2011
Sham News Network, December 16, 2011

しかし、ゼネストに関して言うと、休日にあたる金曜日に就労するシリア人はそもそもほとんどいない。

なおこの動きに関して、フェイスブック上の反体制ページは「アラブ連盟が我々を見殺しにしている金曜日」と銘打った。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハーリディーヤ地区、ダイル・バアルバ地区、ジャウラト・シヤーフ地区、インシャーアート地区、バーブ・アムル地区など各所で合わせて20,000人以上がヒムス市で金曜礼拝後に反体制デモに参加した。

これに対して治安部隊が発砲し、複数が死亡した。

地元調整諸委員会によると、ヒムス市では9人が殺害された。

複数の活動家によると、クサイル市への治安部隊の砲撃で1人が死亡した。

シリア人権監視団によると、フルクルス町、タッルカラフ市、タルビーサ市、カルティーン市、フーラ地方、タッルドゥー市でもデモが発生した。

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ダイル・ザウル県では、複数の活動家・目撃者によると、ダイル・ザウル市での金曜礼拝後のデモに対して治安部隊が発砲し、複数が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、各都市で数万人が街頭で抗議行動を行ったという。地元調整諸委員会によると、これにより2人が殺害された。

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ハマー県では、地元調整諸委員会によると、3人が殺害された。

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ダルアー県では、地元調整諸委員会によると、3人が殺害された。

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ハサカ県では、シリア革命総合委員会によると、カーミシュリー市にシャッビーハが侵入し、活動家らを逮捕した。

SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011

親体制デモ

一方、SANA(12月16日付)によると、ダマスカス県サブウ・バフラート広場、ヒジャーズ駅前、アレッポ県アレッポ市のサアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)、タルトゥース県タルトゥース市、ドゥライキーシュ市、バーニヤース市、ハサカ県マーリキーヤ市、スワイダー県マフアラ市、ヒムス県ヒムス市アクラマ地区、ヒルバト・ティーン・ヌール町などで、国民統合と自決を確認し、アサド政権の改革支持と外国の干渉拒否を訴える大規模集会が開催された。

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またSANA(12月16日付)によると、「複数地区で武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃したにもかかわらず、数名が死傷したに過ぎなかった」。

事実、先月半ば以来、金曜日ごとに軍・治安部隊を襲撃・要撃してきた離反兵は、目立った「戦果」を発表していない。

反体制勢力の動き

チュニジアでシリア国民評議会の大会が開催された。

開会の辞でブルハーン・ガルユーン事務局長は、「アサド政権は終わった。いかなる代償を払っても、シリアは民主的になるだろう。また国民は自由になるだろう」と述べ、体制転換への意思を強調した。

一方、反体制勢力の活動に関しては「さらなる力を得るため、反体制勢力を統一せねばならない。この大会を通じて、より大きな組織、より明確な方向性、そしてより大きなエネルギーを得ねばならない」と述べた。

大会には、シリア国民評議会メンバー約200人のほかに、各国大使、チュニジア国会議員、各国人権団体らも出席した。

またチュニジアのムンスィフ・マルズーキー大統領が会場を訪問し、ガルユーン事務局長と会談した。

大会は3日間の予定。

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『ラアユ』(12月16日付)は、12月初めのスイスでの会談で、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長がヒラリー・クリントン米国務長官に対して15ページからなる英語の報告書を渡し、そのなかで民間人保護を名目に、イドリブ県ジスル・シュグール地方から地中海岸地域を「安全地帯」に設置し、そこを反体制勢力の政治・軍事活動の基地とすることを提案したと報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(12月22日付)および『サウト・クルード』(12月19日付)は、ハサカ県(ダルバースィーヤ市で「西クルディスタン人民議会」が12月16日に初めて召集され、選出議員359人中335人が出席し、現下のシリア情勢について審議するとともに、暫定政府(ディーワーン)を選出した、と報じた。

会合では、体制の抜本的変革に向けた平和的、民主的な民衆運動への支持、外国の干渉拒否、暴力と宗派主義の拒否、クルド民族主義政治運動の統合、シリアの反体制勢力糾合に向けた努力の継続、クルド人の地方議会設立などが確認された。

同会合には元PKK戦闘員多数が傍聴していたという。

西クルディスタン人民議会は、PKKに近いクルド民族主義者たちによって構成され、アサド政権はその活動を黙認している。

http://sawtalkurd.blogspot.com/2011/12/blog-post_5844.html

対シリア制裁に向けたアラブ連盟の動き

シリア情勢を審議するためにカイロで17日に開催が予定されていたアラブ連盟外相会議が無期延期となり、代えてドーハで閣僚委員会会合を開催することが決まった。

『ハヤート』(12月17日付)によると、外相会議延期は、シリア政府がナビール・アラビー事務総長に返信したアラブ監視団派遣にかかる議定書受諾に対する回答を再審議するため。この再審議により、複数の消息筋は、シリア側による議定書署名の場所、時期が確定する、という。

一方、複数のアラブ外交筋によると、再審議は、ロシアが国連安保理に提出したシリア問題に関する決議案への対応を協議するためだという。

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諸外国の動き

フランス外務省報道官は、「シリア情勢の混乱に対して安保理決議を採択する必要があることを認めたロシアの決定は大きな進展」としつつ、「安保理は人道に対するこの罪を非難せねばならない」との意思を示した。

フランスの国連代表は、ロシアの決議案に関して、「偉大な出来事」と評価しつつも、「陰謀だ。なぜならロシアは一歩一歩前進しているように見せようとしているが、決議案はバランスを欠いており、中身がない」と批判、「多くの修正を必要とする」と述べた。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、「この問題は安保理内で検討する必要がある」と評価しつつ、「支持できない要素を含む」と述べ、ロシアの決議案が体制による弾圧と国民の抵抗を同列に扱っていることに異議を唱えた。

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ロシア外務省報道官は、西側諸国による安保理決議案の評価を受けて、「この決議は客観的でバランスがとれており、アラブ連盟の提案に従って対話を行う必要があることを政府と反体制勢力双方に明確に示している」と述べ、決議案の肝である政府、反体制勢力双方の暴力への批判的姿勢を改める意思がないことを改めて示した。

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トルコ通商省は声明を出し、トルコがシリアを回避してアラブ諸国への輸出品の搬出することで、シリアは年間100,000,000ドル損失するだろうと述べた。

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UNHCRは、シリアからの避難民の数が4,510人に達したと発表した。

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イスラーム諸国会議(OIC)のエクメレッディン・イフサン・オグル事務局長は『ハヤート』(12月17日付)に対して、シリアへの軍事介入には反対の意思を示しつつ、国連安保理で事態打開のための審議がなされるべきとの立場を示した。

AFP, December 16, 2011、Akhbar al-Sharq, December 16, 2011、al-Hayat, December 17, 2011、Kull-na Shuraka’, December 16, 2011, December 22, 2011、Naharnet.com,
December 16, 2011、al-Ra’y, December 16, 2011、Reuters, December 16, 2011、SANA, December 16, 2011、Sawt al-Kurud, December 19, 2011、Sham News Network, December 16, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダイル・ザウル県、ハサカ県、ラッカ県の部族長代表らがアサド大統領の改革支持・挙国一致を掲げる大会を開催、ロシアと中国がシリア情勢に関する安保理決議案を審議するための緊急会合の開催を求める(2011年12月15日)

アサド政権の動き

SANA(12月15日付)は、ダイル・ザウル県、ハサカ県、ラッカ県の部族長代表が、ダイル・ザウル市で大会を開き、アサド大統領の改革支持、挙国一致のための結束を確認したと報じた。

SANA, December 15, 2011
SANA, December 15, 2011

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SANA(12月15日付)は、ナジャーフ・アッタール副大統領がエジプトのメディア関係者の使節団と会談し、シリアの反体制運動に関して、「改革や民主主義とは関係ない」と述べたと報じた。

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人民議会は2012年度の予算を可決した。

SANA(12月15日付)によると、同予算は総額1,326,550,000,000シリア・ポンドで、前年度(835,000,000,000シリア・ポンド)より15.6%増。

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ロイター通信(12月15日付)によると、西側の経済制裁により、シリア・ポンドが下落していると報じた。

同報道によると、公定レートは3月時点の1ドルあたり47シリア・ポンドから54シリア・ポンドに下落、また闇レートは1ドルあたり59~62シリア・ポンドとなっている、という。

また外貨準備高は反体制運動発生以前の170億ドルから数十億ドルとなっており、また2011年のシリアの輸入総額は19億ドルに達するという。

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DPI(12月17日付)がカイロの複数の消息筋から得たところによると、アーディル・サファル内閣顧問のミハイル・サリーム・カースーハ氏がエジプトの著名な法律家とともに自家用ジェット機でカイロを訪問した。

『クッルナー・シュラカー』(12月17日付)によると、「ミハイル・サリーム・カースーハ」という名前は、総合上表局外務課のミシェル・カースーハ准将の外交パスポートに記載された氏名で、最近までフランスの大使館に勤務していたが、国外追放処分を受けたという。

同筋によると、カースーハ准将は、エジプトの左派やリビアのカッザーフィー政権支持者、さらにはシリア・ムスリム同胞団と接触し、アサド政権への支持強化、反体制勢力の弱体化の工作活動を行っているとされる。

反体制運動の動き

自由シリア軍のマーヒル・イスマーイール・ヌアイミー少佐は離反兵と軍・治安部隊との戦闘に関して、「軍であれ、治安機関であれ、シャッビーハであれ、民間人に対して武器を向けるあらゆる者に対して、我々は応戦し、可能な限りの損害を与える」と述べた。

また軍人への攻撃を行わないよう離反兵に呼びかけたシリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長の声明に関しては、「この体制の軍の基盤に関する情報不足」に基づく内容と非難した。

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SANA(12月15日付)は、シリア外務省がムハンマド・バッサーム・アマーディー前大使(在スウェーデン、~2009年)を懲戒処分としたと報じた。

Kull-na Shuraka', December 15, 2011
Kull-na Shuraka’, December 15, 2011

同報道によると、アマーディー前大使は、英『タイムズ』紙とのインタビューでアサド政権を批判、これを受けるかたちで監督検査中央委員会が2008年以降の前大使の執務状況を調査し、大使在任中の汚職と違反の事実をつきとめ、3月18日付で職務停止処分と予防的措置として資産凍結を決定したという。

これに対して、アマーディー前大使は、トルコのイスタンブールで声明を出し、アサド政権による弾圧を非難、革命諸勢力、調整者、書評議会のための「国民会合」の発足を宣言した。

前大使によると、この新組織には地元調整諸委員会などからなり、反体制勢力の多数派を代表しているという。

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『イクティサーディー』(12月15日付)は、ヌーファル・アブドゥッラー人民議会議員が政党問題委員会に新党結成にかかる申請書を提出したと報じた。

新党の名は「民主前衛党」。「労働者人民勢力の同盟」をスローガンとし、平等、自由の実現をめざすとともに、自らを民族主義勢力と位置づけている。

新党結成にかかる申請は、シリア民主党、団結党に続いて3件目。

http://all4syria.info/web/wp-content/uploads/2011/12/Aliqtisadi.com-TaliaaPartyFounders.pdf

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クルド国民行動憲章連立加盟組織、シリア・クルド・ムスタクバル潮流、革命運動家や調整諸委員会の代表が新たなクルド人の政治的ブロックを発足することで合意したとの声明が発表された。

この声明は、シリア・クルド民主合意によるシリア・クルド国民評議会(シリア・クルド国民大会)への参加表明に対抗した動きと見られる。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アサド政権の存続に言及することは、国民の要求と革命の目的からの逸脱であるとの姿勢を示し、「マイノリティ、マジョリティといった概念を廃することをめざす」と述べた。

反体制(武装)運動掃討

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ムサイフラ町・ジーザ町・ブスラー・シャーム市間の交差点にある軍・治安部隊検問所で軍・治安部隊と離反兵が激しく交戦し、軍・治安部隊の兵士が少なくとも27人殺害された。

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ハマー県では、SANA(12月15日付)によると、ハマー市で、当局が、武装テロ集団の武器、弾薬、爆発物、電子機器などを大量に発見・押収した。

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ヒムス県では、SANA(12月15日付)によると、ヒムス市で、ムーサー・リファーイー退役空軍准将が武装テロ集団に誘拐された。

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ダマスカス郊外県では、SANA(12月15日付)によると、マダーヤー町で武装テロ集団がしかけようとしていた爆弾が爆発し、テロリスト1人が死亡、3人が負傷した。

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シリア人権監視団によると、イドリブ県、ヒムス県、ハマー県で軍・治安部隊と離反兵の戦闘で民間人、軍人合わせて33人が死亡した。

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地元調整諸委員会は、反体制運動が10ヵ月目に突入した12月15日、フェイスブック(http://ar-ar.facebook.com/LCCSy)で犠牲者数を発表した。

それによると、死者数は5,216人で、うち1,872人がヒムス県で殺害され、968人が離反兵だという。

諸外国の動き

ロシアと中国はシリア情勢に関する安保理決議案を国連安保理メンバー各国に回付、同決議を審議するための緊急会合を呼びかけた。

複数の消息筋によると、緊急会合は16日に開催される予定。

ロシアのヴィタリー・チュルキン国連代表は記者会見で決議案の内容に関して詳述しなかったが、複数の消息筋によると、それは、アサド政権による弾圧を非難し、制裁を科そうとするに西側諸国の決議に対抗するもので、アサド政権を含む「すべての当事者」の暴力を非難、その停止を呼びかける内容、だという。

なお制裁に関しては言及されていない。

西側消息筋が『ハヤート』(12月16日付)に語ったところによると、EUはロシアに対して、シリアに関する国連決議採択の必要を力説したのに対し、ロシアは外国の介入を認めないとの条件でこれを受け入れたという。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は訪問中のリビアのトリポリで、「日々行われる人道に対する犯罪」を改めて非難し、アサド大統領に退任を求めた。

フランス外務省のベルナルド・ヴァレロ報道官は、ヒムス県とレバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール地域の間の国境地帯でのシリア軍による市民への発砲(14日)に関して、「シリアの当局はレバノンの主権と領土を尊重せねばならない」と警鐘を鳴らした。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、「By All Means Necessary」と題した報告書を発表した。

同報告書は軍・治安部隊の離反兵約60人へのインタビューをもとに、アサド政権による弾圧の実態を批判的に評価している。

http://www.hrw.org/sites/default/files/reports/syria1211webwcover_0.pdf

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イラーキーヤ・ブロックのウサーマ・ヌジャイフィー代表は、テレビでのインタビューで、シリア情勢打開に向けたマーリキー首相のイニシアチブを「前向きでない」と非難、アラブ連盟のイニシアチブを支援すべきだと述べた。

AFP, December 15, 2011、Akhbar al-Sharq, December 15, 2011, December 17, 2011、DPI, December 17, 2011、al-Hayat, December 16, 2011、al-Iqtisadi, December 15, 2011、Kull-na Shuraka, December 15, 2011, December 17, 2011、Naharnet.com,
December 15, 2011、al-Quds al-‘Arabi, December 15, 2011、Reuters, December 15, 2011、SANA, December 15, 2011などをもとに作成。

 

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イラン・シリアの経済協力フォローアップ委員会会合が閉幕、イスラエル国防軍公式ラジオの記者が「アサド大統領の指導下での民主化を国際社会が支持すべき」との見解を述べる(2011年12月14日)

アサド政権の動き

SANA(12月14日付)はイラン・シリアの経済協力フォローアップ委員会会合が閉幕したと報じた。

会合では、シリアからイランへの輸出品68品目の関税率を60%引き下げる優遇措置が合意された。

SANA, December 14, 2011
SANA, December 14, 2011

会合後、アーディル・サファル首相がイランのアリー・ネクザード運輸大臣と会談し、シリア・イラン関係の維持強化を確認したと報じた。

反体制(武装)運動

ロイター通信(12月14日付)は、元政治犯でアラウィー派のムハンマド・サーリフ氏が、同氏の親戚4人がヒムス県ヒムス市で過去数週間の間に武装したスンナ派によって殺害されたと語ったと報じた。

サーリフ氏によると、親戚はアラウィー派であったために殺害されたという。

サーリフ氏はシリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長が11月に発表した宗派主義的殺戮に反対する声明の作成にあたった人物。

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ハマー県では、複数の活動家によると、軍・治安部隊の発砲で13人が殺害された。

またシリア人権機構、シリア人権監視団によると、アシャーリナ村近くで離反兵が軍のジープ4台を要撃し、兵士8人を殺害した。

この要撃は、軍がハッターブ村で市民が乗った車を攻撃し、5人を殺害したことへの報復だという。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ラジャート高原で離反兵と軍・治安部隊が交戦し、後者の兵士3人が負傷した。

また軍・治安部隊がフラーク市に侵入し、逮捕・追跡作戦を行った。

このほか、ブスル・ハリール市、ジャースィム市ではシリア革命総合委員会によると、軍・治安部隊による砲撃が行われた。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ゼネスト解除のためにルクンッディーン区に治安部隊が多数展開した。

シリア革命総合委員会によると、バルザ区で、ゼネスト解除のために治安部隊が展開した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市で電話が不通となり、総合情報部施設近くで銃声が聞こえた。

ムウダミーヤト・シャーム市では、複数の活動家によると、治安部隊が家々に発砲した。

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イドリブ県では、サラーキブ市で活動家多数が逮捕された。

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ヒムス県とレバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール地域の間の国境地帯で軍・治安部隊が市民に発砲し、レバノン人2人(羊飼い)、シリア人5人が負傷した。負傷者たちはレバノン領内に搬送された。

MTV(12月14日付)によると、シリア軍はレバノン領内で発砲した。

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ラタキア県では、SANA(12月14日付)によると、ラタキア市で武装テロ集団がしかけた爆弾2発が発見され、爆発物処理班が撤去した。

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シリア人権監視団は、14日の死者が24人に達したと発表した。

24人中13人はハマー県で、5人はヒムス県ヒムス市、3人がイドリブ県マアッラトミスリーン市、1人がダルアー県、1人がダイル・ザウル県、1人(イラク人)がダマスカス郊外県ザバダーニー市で殺害されたという。

反体制勢力の動き

シリア・クルド民主合意は、シリア・クルド国民評議会(シリア・クルド国民大会)への参加を表明した。

シリア・クルド国民評議会(シリア・クルド国民大会)に関してはhttp://www.ac.auone-net.jp/~alsham/2011_10/27.htmlを参照。

レバノンの動き

レバノンの3月14日勢力事務局は定例会合を開き、UNIFIL(フランス軍)の攻撃に関して、アサド政権が事件の背後にいると主張するとともに、「ヒズブッラーも攻撃の責任を負っている。なぜなら同組織は南部とUNIFIL展開地域の治安を掌握しているからだ…。同組織が疑わしい活動に気づかないことなどあり得ない」と非難した。

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レバノンのヒズブッラーとアマル運動はサイダー市で幹部会合を開き、UNIFIL(フランス軍)に対する攻撃を非難するとともに、関係当局による事件の調査と容疑者逮捕を求める一方、UNIFILに対して国連安保理決議第1701号に従い、引き続きレバノン国軍の支援を行うよう強調した。

諸外国の動き

イラン外務省のアラブ・アフリカ問題担当のフセイン・ホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン次官補は、カタールのハーリド・ビン・ムハンマド・アティーヤ外務担当国務大臣と会談し、シリア情勢に関して、国民の殺戮を支持しないとしつつも、アサド政権への圧力を拒否すると述べた。

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トルコ外交筋はAFP(12月15日付)に対して、キリス市にシリア人避難民を収容するキャンプ(総面積31.5ヘクタール)を建設中で、現在国境地帯に点在するキャンプで避難生活を送るすべてのシリア人を一カ所に収容すると述べた。

同報道によると、現在トルコで避難生活を送るシリア人の数は8,525人。

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国連の潘基文事務総長は記者会見で、シリア情勢に関して、「5,000人以上がシリアで命を落とした…。現状が続くことがあってはならない」と述べ、国際社会に対して行動を呼びかけた。

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米国務省でシリア問題を担当するフレデリック・ホフ氏は米議会の公聴会で、アサド政権を「生ける屍の集団」と形容、アラブ連盟のイニシアチブが失敗した場合、国際社会が体制による弾圧からシリア国民を保護するために行動すべきだと証言した。

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ヨルダンの首都アンマンで、シリア国民支援アラブ委員会(アリー・アブー・スッカル議長)が発足した。

同委員会はシリア国内での反体制運動の支援、シリア国民への救援などを目的とする。

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『フィナンシャル・タイムズ』(12月14日付)は、中化集団公司(シノケム)の傘下にあるエメラルド・エナジー社がEUの対シリア経済制裁に従うことに同意したと報じた。

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ガレイ・ザハル(イスラエル国防軍のラジオ)のアラブ問題記者ジャッキー・ホーギー氏はグローブス(12月14日付)に寄稿し、アサド大統領の指導下での民主化を国際社会が支持すべきだと述べた。

同記事によると、ホーギー氏は「彼(アサド大統領)が去れば、整然とその権威を継承する者などいないし、誰がどのように支配するかも分からなくなる…。アサドの退任を切望する者は、アラブ世界の心臓部分にあらたな不安定地点を生み出すことを主唱しているようなもので…そこにはリアルポリティクスが考慮されていない」と述べた。

また「シリアのバッシャール・アサド大統領が支援を必要としているのなら、西側は危機解決策を案出するため真摯な外交努力を行うべきだ」と付言した。

http://www.globes.co.il/serveen/globes/docview.asp?did=1000706768&fid=4111

AFP, December 14, 2011、Akhbar al-Sharq, December 14, 2011, December 15, 2011、The Financial Times, December 14, 2011、Globes-Onlines, December 14, 2011、al-Hayat, December 15, 2011, December 16, 2011、Kull-na Shuraka, December 14, 2011、MTV,
December 14, 2011、Naharnet.com, December 14, 2011、Reuters, December 14,
2011、SANA, December 14, 2011などをもとに作成。

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イドリブ県で治安部隊による反体制武装勢力掃討が行われるなか、ダマスカスでイラン・シリアの経済協力フォローアップ委員会会合が開始(2011年12月13日)

反体制(武装)運動

イドリブ県では、ロンドンを活動拠点とするシリア人権監視団によると、イドリブ市で殺害された市民の葬儀に参加した数千人に治安部隊が発砲し、6人が死亡した。

ファッティーラ村・カフル・ムーサー村間で拷問の跡が残った遺体が発見された。

ヒーシュ村で13人の兵士が離反、装甲兵員輸送車輌に放火したのに対し、軍が激しい発砲を加えた。

カフル・ヤフムール村を車で移動中のトルコ人(トルコ系サウジ人)のムニール・ムハンマド・ドゥーラール氏が治安部隊に射殺された。

これに対して、SANA(12月13日付)は、イドリブ県での反体制武装闘争掃討に関して以下の通り報じた。

アイン・バイダー村の国境警備隊が、トルコ領内からの潜入を試みた武装テロ集団15人を殺害した。

サラーキブ市近くでガーニム・イブラーヒーム・ハサン准将(アサド軍事工科大学付)が暗殺された。

マアッラトミスリーン市、カフル・ヤフムール村、ハザーヌー町で武装テロ集団が公共財産、私有財産を破壊し、住民を脅迫、うちハザーヌー町では軍・治安部隊が武装集団と交戦し、武装集団メンバー1人を殺害、武器を押収した。

アリーハー地方のムハムバル村近くでスーマル運輸刊行者のバスが武装テロ集団によって放火された。

ハザーヌー町で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、武装テロ集団1人を殺害、多数を負傷させたと報じた。

カフルタハーリーム村では、武装テロ集団がしかけた爆弾3発を爆弾処理班が撤去した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で老人1人を含む2人が殺害された。

ラスタン市では大きな爆発が起こり、市内が完全に停電した。

12日深夜から13日未明にかけて、ラスタン市・タルビーサ市間でガス・パイプラインが爆破された。負傷者はなかった。

SANA(12月13日付)は、武装テロ集団の犯行と報じたが、シリア人権監視団は、「革命運動家、離反兵とは無関係」と発表し、シリア軍・治安部隊が同地域を空爆していたと反論した。

一方、『クッルナー・シュラカー』(12月13日付)は、ヒムス県ヒムス市内でアサド政権支持者が多く住む(アラウィー派地区の)ザフラー地区で配布されるはずであったマフルカート社のプロパンガスが、反体制活動が激しく続くバイヤーダ地区で、道路封鎖を行っていた若者らによって接収され、同地区住民に配給されたと報じた。

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ダルアー県では、複数の活動家によると、ヒルバト・ガザーラ町で爆発とともに激しい銃撃戦が起きた。

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なお、シリア革命総合委員会によると、約30人が軍・治安部隊によって殺害された。

アサド政権の動き

SANA(12月13日付)は、ダマスカスでイラン・シリアの経済協力フォローアップ委員会会合が始まったと報じた。

会合はシリアのムハンマド・シャッアール経済大臣、イランのアリー・ネクザード運輸大臣が各国の代表を務めた。

会合では、経済、通商、投資関係強化を目的として四つの分科会を設置することで合意した。

なおSANA(12月13日付)は、この動きと並行して、イランの国会でシリア・イランの自由貿易協定に関する二国間合意が承認された、と報じた。

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ダマスカス県のサブウ・バハラート広場とヒジャーズ駅前で、アラブ連盟の対シリア経済制裁決議に反対する集会が開かれた。

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共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師は『ラアユ』(12月13日付)の取材に対して、報酬と引き替えに共和国ムフティーを辞任するよう反体制勢力に求められたことを明らかにした。

ハッスーン師はこれに対して、反体制勢力に改革プログラムを提示するよう求めたが、「だれも何も私に与えなかった」と述べた。

また息子の殺害に関して、「革命運動家たちは、大学から出てきた息子を殺した。なぜなら、私が彼らに加わることを拒んだからだ。彼らは私を殺すと脅迫している…」と明らかにした。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会の使節団がカイロでアラブ連盟の高官と会談し、シリアへの監視団派遣に関する議定書、対シリア経済制裁、体制転換などに関して意見を交換した。

バスマ・カドマーニー報道官は、会談後の記者会見で、アラブ連盟が議定書に対するアサド政権の修正要求の一切を拒否したことを明らかにした。

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シリア・クルド国民大会(シリア・クルド国民評議会)の加盟組織、共同行動憲章の加盟組織、アファーヒー青年連立、クルド青年調整連合が一同に介して、クルド民族主義運動の統一に関して意見を交換した。

しかし、シリア・クルド国民大会(シリア・クルド国民評議会)へのクルド民族主義勢力の糾合、反体制運動への対応などで意見の統一には至らなかった。

SANA, December 13, 2011
SANA, December 13, 2011

諸外国の動き

ナバネセム・ピレイ国連人権高等弁務官は、安保理でシリアの人権状況について報告し、死者数が5,000人に達したと語った。

また安保理に対して、シリアにおける「人道に対する罪」を国際刑事裁判所に付託するよう提言した。

ピレイ国連人権高等弁務官は、約230人の証言をもとに、14,000人以上が逮捕され、少なくとも12,000人が周辺諸国で難民申請を行い、数万人が国内で避難していると報告し、またヒムス市の惨状に警鐘を鳴らした。

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ピレイ国連人権高等弁務官の報告を受け、西側諸国から対シリア圧力強化を主唱する発言が相次いだ。

ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣は、「躊躇を続ける安保理諸国は見解を変える必要があると考える」と述べ、国連安保理がシリア政府による反体制勢力への弾圧を非難するための行動をとるべきだとの立場を示した。

またフランスの国連代表は、シリアの現状に関して、安保理が「シリアで現在起きていることに関して道義的責任を負う」べきと述べた。

米国の国連副代表も、「安保理が数ヵ月間沈黙してきたことは非合理的だと考える」と述べた。

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これに対してシリアのバッシャール・ジャアファリー代表は、「人道的介入へと事態を導き、シリアの人権状況が危機的であるとの言説を定着させ、自らの干渉を正当化しようとしている」と述べ、ピレイ国連人権高等弁務官の報告を厳しく非難した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、チュニジアのムラード・マドリスィー外務大臣とモスクワで会談した。

会談後の記者会見でラブロフ外務大臣は、「反体制勢力内の武装過激派への圧力を拒否する者が、安保理の活動をロシアが妨害していると非難するなら、こうした立場は非道徳的だ」と述べた。

また、西側諸国の偏向した姿勢に関して、「シリアの合法的な当局に対する過激な武装集団の暴力を非難することを臨んでいない」と非難した。

さらに武装闘争を行う一部の反体制運動に関して、「彼らの目的が人道的な惨劇をもたらし、外国の介入を要求する際の口実にしようとしていることは疑う余地がない」と述べた。

他方、西側の制裁に関しては、「国民に悪影響が及ぶだけ」と拒否の姿勢を示した。

そのうえで「シリアへの外国の干渉は内戦とさらなる犠牲者をもたらすだけ」と述べるとともに、8月の国連での声明が「シリア人自身の対話を通じた政治的プロセスによって事態を正常化することを強調している」と指摘、「一部の安保理諸国がシリアに対する言動を変更することで、ダマスカスの体制転換について云々し、対話から手を引くよう呼びかけている」と非難した。

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バーレーンのハマド・ビン・イーサー国王は、『デイリー・テレグラフ』(12月13日付)に掲載されたインタビュー記事で、「我々の政府に反対する多くのバーレーン人が、シリアで教練を受けている複数の証拠がある」と暴露した。

ハマド国王によると、シリアによるバーレーン反体制派の支援は、シリアおよびイランをめぐる問題の関心をバーレーン、サウジアラビア、クウェートに反らすことが目的だというが、同国王のシリア・バッシングもまた、バーレーンの反体制勢力弾圧に対する不満や関心をシリア、イランへと反らそうとする動きとみなすことができよう。

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サウジアラビアに滞在するレバノンのサアド・ハリーリー前首相は、レバノン南部でのUNIFIL(フランス軍)攻撃やカチューシャ砲発射に関して、ツイッターで「レバノンの子飼いを通じたバッシャールからのシリアのメッセージだ」と綴った。

AFP, December 13, 2011、Akhbar al-Sharq, December 13, 2011、The Daily Telegraph, December 13, 2011、al-Hayat, December 14, 2011、Kull-na Shuraka, December 13, 2011, December 15, 2011、Naharnet.com, December 13, 2011、al-Ra’y, December 13, 2011、Reuters, December 13, 2011、SANA, December 13, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア全国で統一地方選挙の投票が実施されるなか、イラクのマーリキー首相がオバマ米大統領と会談しシリア情勢について議論(2011年12月12日のシリア情勢

統一地方選挙

統一地方選挙の投票が全国で実施された。

これに関して、SANA(12月12日付)は、約1400万人が投票を行ったと報じる一方、「選挙法にかかる2011年政令第101号の初めての実質的実施と見なし得るもので、人民議会および地方議会の議員選出を調整するための礎石となり、健全な選挙プロセス、立候補者の権利…、有権者の投票の自由…を保障する」動きだと評価した。

SANA, December 12, 2011
SANA, December 12, 2011

しかしSNN、オガレット・ニュース・ネットワークといった反体制メディアや調整連合などは、ダルアー県、スワイダー県ハウラーン地方、ヒムス県、イドリブ県の各都市では、ゼネストによって投票は完全にボイコットされたと反論した。

またシリア人権監視団は、「イドリブ県では数十人が投票場に行っただけ」と発表した。

反体制(武装)運動掃討

シリア革命総合委員会によると、イドリブ県で市民3人、ハマー県で3人、ヒムス県で1人が治安部隊の弾圧で殺害された。

またシリア人権監視団によると、軍・治安部隊と離反兵による戦闘がイドリブ県、ダルアー県で続いた。

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これに対して、SANA(12月12日付)は、イドリブ県アイン・バイダー村の国境警備隊が、トルコ領内からの潜入を試みた武装テロ集団15人を殺害したと報じた。

またサラーキブ市近くでガーニム・イブラーヒーム・ハサン准将(アサド軍事工科大学付)が暗殺された。

さらに軍・治安部隊とシャッビーハが、トルコ国境に近いマアッラトミスリーン市とカフル・ヤフムール村に突入し、17人を殺害した。

住民はこの突入に対して幹線道路を封鎖して対抗、また軍・治安部隊に離反兵が反撃したほか、イドリブ・バーブ・ハワー街道を巡回する治安部隊を襲撃し、士官1人を含む7人を殺害した。

一方、ダルアー県では、武装テロ集団がスィフム・ジャウラーン地方の治安維持部隊を襲撃し、隊員3人を殺害したと報じた。

またこれに対して、軍・治安部隊が応戦し、テロリスト4人を殺害したと報じた。

さらにヒムス県タッルカラフ地方で武装テロ集団が投票所を襲撃し、投票箱を奪ったが、関係当局がこれを奪還したと報じた。

またヒムス市内各所で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、テロ集団の指導者など多数を逮捕したと報じた。

ハマー県では、ムハルダ市近郊の街道に武装テロ集団がしかけた爆弾3発が爆発したと報じた。

反体制勢力の動き

武装闘争の是非をめぐって、シリア国民評議会と自由シリア軍の見解の相違が改めて浮き彫りになった。

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シリア革命支援委員会のマフムード・ハムザ代表はRT(12月12日付)に対して、シリア国民評議会が民間人保護のために国連での対シリア非難決議の採択を求めていると述べた。

また反体制抗議行動に関して「個人的に行われる一部の事件を除いて、100%平和的だ」と断じつつ、シリア国民評議会が自由シリア軍に「民間人支援のための政治的な支援」を求めていることを明らかにした。

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自由シリア軍メンバーでトルコのアンタキアで避難生活を送るアイハム・クルディー大尉はロイター通信(12月12日付)に対して、同軍がさらなる武器弾薬を必要としているとしたうえで、シリアが内戦、ないしは長期的紛争に突入することを回避するために外国の介入が不可避だとの見方を示した。

また同大尉によると、現在も小隊、連隊レベルでの離反が相次いでおり、その数は10,000人以上に達しているという。

レバノンをめぐる動き

レバノン南部県のUNIFIL展開地域のマジュダル・スィリム村のカースィーヤ渓谷からイスラエル領に向かってカチューシャ砲が発射された。

砲弾はイスラエル領に達せず、レバノン領内のフーラー村に着弾、女性1人(55歳)が負傷した。

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外務省のジハード・マクディスィー報道官は、フランスのアラン・ジュペ外務大臣が12月9日のUNIFIL襲撃へのアサド政権とヒズブッラーの関与を推定したことに「外務省はシリアとのこの行為とのいかなる関係をも断固として否定する」反論した。

またジュペ外務大臣の発言およびそれに類する発言が「いかなる証拠も書いており、シリアをめぐる事実のねつ造」をねらっていると指摘した。

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ヒズブッラーはフランスのアラン・ジュペ外務大臣の発言に関して声明を出し、そのなかで、「ジュペはシリアとヒズブッラーを露骨に非難した。しかし彼自身、自分の言葉を裏付ける証拠を持っていないと認めている」と述べ、UNIFIL(フランス軍)攻撃への嫌疑を否定した。

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レバノンの進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首はムフタール市での党祝典で、UNIFIL(フランス軍)の攻撃に関して、「我々は昨日ロケット弾によるメッセージを受け取った。これは危険なメッセージであり、レバノン領を経由し、レバノンの安定、南部、レバノン全土を犠牲として我々の隣国からフランスに対して送られたものだと思われる」と述べ、アサド政権の関与を示唆した。

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イスラエルの国営ラジオ(12月13日付)は、イスラエル治安筋の話として、ロケット弾がイスラエル領内のキルヤト・シュモナを標的としていたと述べるとともに、「ヒズブッラーの継続的な火遊びは治安悪化をもたらす」と非難したと報じた。

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『サフィール』(12月13日付)は、ナジーブ・ミーカーティー内閣閣議で、3月8日勢力の一部閣僚が、UNHCRが検討しているシリア人避難民の難民登録およびキャンプ設営措置に関して、「政治、行政、財政、治安、人口的」な負担との立場を示し、拒否したと報じた。

アサド政権の動き

『クドゥス・アラビー』(12月12日付)は、シリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会において、大統領の資格要件として、一部の委員が「大統領の宗教はイスラーム教である」との規定を削除することを求める一方、大多数の委員はこの提案に反対していると報じた。

同報道は複数の消息筋の話として、このほか大統領の任期は1期7年とし、資格年齢は40歳に戻されることが濃厚だという。

一方、公用語に関してアラビア語以外の言語を認定しないというのが委員全員の意見で、宗派マイノリティ、エスニック・マイノリティに関する規定も盛り込まない方針だという。

「バアス党は国家と社会を指導する党である」と定めた憲法第8条は廃止され、多党制が明記されるという。

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ファールーク・シャルア副大統領はムハンマド・リダー駐シリア・イラン大使と会談した。

複数のイラン消息筋によると、会談でシャルア副大統領は、イランとシリアの戦略的関係の重要性を強調するとともに、「米国と西側の各国体制は腐敗しており、中東地域の国民にアイデンティティを押しつけようとしている」と非難した。

一方、アラブ連盟によるイニシアチブに関して、「我々はアラブ連盟との対話に合意しているが、彼らはシリアにおける外国の干渉を拒否せねばならない」と述べた。

諸外国の動き

イラクのヌーリー・マーリキー首相が米国を訪問し、バラク・オバマ大統領と会談した。

両首脳は、米軍のイラク撤退後の両国間の戦略合意の活性化に関して確認した。

だが、シリア情勢に関しては、認識の違いが浮き彫りになった。

すなわち、マーリキー首相は、アサド政権とシリアの反体制勢力の仲介におけるイラクのイニシアチブを強調し、アサド大統領に退任を要求する権利はないとの姿勢を明示したのに対し、オバマ大統領は、アサド政権の正統性が「国民を殺したことで失われた」と述べた。

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ガルフサンズ石油社によると、同社および中国シノケム社が西側諸国の対シリア経済制裁強化を受けるかたちで、シリア国内での操業を停止した。

またこれに先立ち、カナダのサンコール・エナジー社もシリア国内での操業中止を発表した。

Akhbar al-Sharq, December 12, 2011、AFP, December 12, 2011、al-Hayat, December 13, 2011、Kull-na Shuraka, December 12, 2011、Naharnet.com, December
12, 2011, December 13, 2011、al-Quds al-‘Arabi, December 12, 2011、al-Safir, December 13, 2011、SANA, December 12, 2011、Reuters, December 12, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

軍・治安部隊がイドリブ県やダルアー県などの離反兵の拠点に激しい攻撃を加えるなか、地元調整諸委員会などが「尊厳のストライキ」と銘打たれたゼネストを各地に呼びかけ(2011年12月11日)

反体制(武装)運動掃討

『ハヤート』(12月12日付)によると、軍・治安部隊が対トルコ国境のイドリブ県ザーウィヤ山、ヒムス県内の対レバノン国境地域、ダルアー県の対ヨルダン国境地帯などの離反兵の拠点に対して激しい攻撃を加えた。

攻撃は離反兵の包囲、寸断を目的としているとされる。

もっとも激しい掃討作戦が行われたのはダルアー県のブスル・ハリール地方で、多数の離反兵が結集していたとされる。

同地は離反兵が身を隠すことができる丘、洞窟があり、ダマスカス郊外県へのアクセスも容易で、「生きた神経」と目されてきた。

軍・治安部隊が西側と南側から砲撃を行い、離反兵数百人がこれに応戦、多数の死者が出た模様。

なおイドリブ県ザーウィヤ山の戦闘では、シリア人権監視団によると、兵員輸送車2台が炎上した。

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『ザマーン・ワスル』(12月11日付)は、シリア軍の第18師団内で大規模な兵士の離反が発生したと報じた。

同師団は、ヒムス県内のヒムス市およびその郊外で反体制運動の弾圧活動を行ってきた部隊で、司令官はワジーフ・ハビーブ准将が務める機甲師団。

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一方、SANA(12月11日付)は、ヒムス県内、ヒムス・ファカルシュ街道で、アブー・リバーフ・ガソリン・スタンドのマーヒル・ガディール所長が武装テロ集団に暗殺されたと報じた。

またタッルカラフ地方で、軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、武装テロ集団メンバー1人を逮捕、複数を逮捕、武器を押収したと報じた。

ゼネスト

Kull-na Shuraka’, December 12, 2011
Kull-na Shuraka’, December 12, 2011

地元調整諸委員会などが「尊厳のストライキ」と銘打ってゼネストを呼びかけたが、市民の反応は二分された。

反体制勢力が続く、ヒムス県各地、ハマー県各地、イドリブ県ザーウィヤ山、ダルアー県各地、ダイル・ザウル県各地、ハサカ県カーミシュリー市など、ダマスカス郊外県各地(ハラスター市など)では呼びかけに答えて、商店主らが店を閉め、学生らは授業をボイコットした。

だが、ダマスカス県、アレッポ県アレッポ市、ラタキア県ラタキア市など主要都市を含むそれ以外の地域では、ゼネストの呼びかけに応える動きはほぼ見られなかった。

なおゼネストに応えた地域は、過去数ヵ月間にわたる弾圧によって、多数の住民が避難、逮捕、そして殺害され、都市機能が麻痺しており、同地域の市民らがゼネストに応えたのか、そもそも日常生活を送ることすらままならないのかを判断することは(反体制勢力が配信する映像からは)判断できない。

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地元調整諸委員会によると、治安部隊が、ゼネストを行う市民に対して、店を開けるよう脅迫、また「無差別発砲」を行い、民間人14人が殺害した。

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SANA(12月11日付)など、シリアの各メディアは、ほとんどの地域で市民が反体制勢力のゼネストに応じず、平常通りの日常を過ごしたと報じた。

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なお反体制勢力によると、尊厳のストライキは、以下6つの段階からなっている。①職場閉鎖、作業停止、携帯電話使用停止、②商店でのストライキ、③大学など教育機関でのストライキ、④交通機関のストライキ、⑤公共機関のストライキ、⑥国際幹線道路の封鎖。

Kull-na Shuraka’, December 12, 2011
Kull-na Shuraka’, December 12, 2011

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は『シュピーゲル』(12月11日付)に対して、「反体制勢力はもはや殺人者らと交渉する準備はしてない」と述べ、アサド政権との交渉・和解の可能性を否定した。

しかしその一方、「政府を代表せず、国家機関を代表している文民・軍当局と対話する準備はある…。我々はイラクが犯した過ちを繰り返したくない。我々は公共機関を維持したいと考えており、そのなかには治安機関、社会機関などがある」と述べた。

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シリア国民評議会の使節団はイタリアを訪問し、ジュリオ・テルツィ・ディ・サンタガータ外務大臣と会談した。

団長を務めたブルハーン・ガルユーン事務局長は、国際社会およびアラブ連盟に対してロシアに圧力をかけ、可能な限り早期に国連安保理決議採択を実現するよう呼びかけた。

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反体制活動家のミシェル・キールー氏は、RT(12月12日付)に対して、「国際問題化は国内の役割を廃し、弱化させる」と述べ、シリア情勢への諸外国の干渉に改めて疑義を呈した。

そのうえで、「3月に始まった大衆運動の原点に戻り、単一の人民という考え方に戻り、自由、民主主義、市民性、市民国家をめざす必要があり、いかなる理由であれ、内紛を回避しせねばならない。それが宗派的性格を持っているとしたらなおさらだ」と述べた。

一方、アサド政権との交渉の是非に関して、「移行期間の考え方を開放的にする必要がある…。十把一絡げに体制転換と要求するのではなく、国民的危機の解決策を案出するため政権幹部も参与する道が残されているということを納得させるためには」と述べたうえで、シリア国民評議会が「移行期間に関して交渉すること、さらには軍機関と協力することに同意したと発表した」と付言し、反体制勢力とアサド政権の交渉の可能性への期待感を示した。

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アルジェリア当局は、シリア国民評議会、シリア革命支援総合委員会が予定していた会合の開催を中止した。

同会合は、アルジェリア国内のシリア革命支援委員会が主催した連帯週間の一環として予定されていた。

アサド政権の動き

外務省のジハード・マクディスィー報道官は、「シリア軍は、国家に対して武器を向ける者たちから民間人を保護し、体制・治安を維持するために存在している」と述べた。

また「一部地域で起きている事に関して、平和的抗議行動という言葉はもはや当てはまらない」と付言した。

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ヨルダンのシリア大使館は声明を出し、首都アンマンにある領事部が委任統治領シリアの旗を持った集団に襲撃され、参事官、副大使、領事ら、侵入を阻止した大使館員数名が負傷したと発表した。

しかし反体制勢力はシャッビーハが暴行を加えたと主張している。

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『クッルナー・シュラカー』(12月11日付)は、バアス党が党員に対して統一地方選挙での投票を義務づける支持を通達したと報じた。

同報道はまた、携帯電話会社のシリアテルとMTNがSMSを通じて「あなたの投票が明日を作る」というメッセージを発信し、投票を促した。

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SANA(12月11日付)は、選挙最高委員会のハラフ・アリ=アッザーウィー委員長が第10期統一地方選挙の投票に合わせて定例会合を開催すると発表するとともに、立候補者、開票結果などを公開するためのウェブサイト(www.hce.gov.sy)を開設したことを明らかにした。

諸外国の動き

フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、フランス国際放送(12月11日付)に対して、レバノン南部県でのUNIFIL(フランス軍)襲撃に関して、「我々はシリアがおそらく(攻撃の背後に)いると考えているが、証拠はない」と述べ、シリアの関与を推定した。

またヒズブッラーがアサド政権の代わりに攻撃したと考えているのかとの問いに対して、「もちろんだ。ヒズブッラーは(レバノンにおける)シリアの武装部門だ」と応えた。

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『ハヤート』(12月12日付)は、イラク高官の話として、イラク政府がアサド政権とシリアの反体制勢力双方から、イラクの仲介を活性化させるための「前向きなシグナル」を待っていると報じ、イラクがすでにアサド政権に仲介のための使節団をすでに派遣したとの一部報道を否定した。

なお同報道によると、シリアの反体制勢力は、イラクの仲介を「中立的」とみなしていない。

Akhbar al-Sharq, December 12, 2011、AFP, December 11, 2011、AKI, December 11, 2011、al-Hayat, December 12, 2011, December 14, 2011、Kull-na Shuraka’, December 11, 2011、Reuters,
December 11, 2011、SANA, December 11, 2011、Zaman al-Wasl, December 11, 2011などをもとに作成。

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PKKのオジャラン前党首がアサド政権に対し反体制運動弾圧を支援するため「1000人の戦闘員を派遣する」とのメッセージを送付したと報じられる(2011年12月10日)

反体制運動掃討

シリア人権監視団によると、ヒムス県で民間人3人、ダルアー県(農村)で2人、イドリブ県(マアッラト・ヌウマーン市での葬儀)で4人が治安部隊の弾圧で殺害された。

またダマスカス郊外県のハラスター市では治安機関の拷問の末、市民3人(3週間前に逮捕されていた)が死亡した。

一方、ハマー県では、活動家によると、7人が負傷した。またシリア人権監視団によると、ダイル・ザウル県ハジーン市に武装部隊が突入し、13人を逮捕した。

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一方、SANA(12月10日付)は、イドリブ県マアッラ・ニウマーンの発電ユニット救急センターを武装テロ集団が襲撃したと報じた。

またSANA(12月11日付)は、イドリブ県のハーン・シャイフーン地方で、軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、武装テロ集団指導者3人を殺害した。

さらにカフルタハーリーム町で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、武装テロ集団メンバー多数を殺害、逮捕、武器を押収したが、軍・治安部隊兵士1人が戦死、6人が負傷したと報じた。

一方、ジスル・シュグール地方のアリーハー市内の行動を武装テロ集団が封鎖しようとして、軍・治安部隊と交戦した。

これにより、武装テロ集団メンバー1人が死亡、複数が負傷、軍・治安部隊兵士も複数名が負傷した。

ヒムス県では、軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、フーラ地方で誘拐されていた男女11人を釈放した。他方、ヒムス市で消火活動に向かっていた消防車が武装テロ集団に襲撃された。

ハマー県では、当局が指名手配中の武装テロ集団メンバーと交戦し、3人を殺害し、8人を逮捕した。

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NNA(12月10日付)は、10日未明にシリアからレバノン領内(北部県アッカール郡)に負傷して避難してきたシリア人女性が搬送先の病院で死亡した、と報じた。

諸外国の動き

『シャルク・アウサト』(12月10日付)は、トルコの複数の消息筋の話として、PKKのアブドゥッラー・オジャラン前党首(トルコで収監中)がシリア政府に宛てたメッセージをトルコの諜報機関が入手したと報じた。

同報道によると、このメッセージは「2週間前にクルド民族主義者の拠点の一つで押収された文書の一つ」、そのなかでオジャラン前党首は、アサド政権による反体制運動弾圧を支援するため1,000人の戦闘員を派遣すると記されているという。

なお複数のトルコ筋によると、PKKの現指導部メンバーのほとんどはシリア出身のクルド人であり、またイラク領内のキンディール山地にはシリア出身のクルド人戦闘員が多く潜伏し、同地からトルコに対する武装闘争を行っている、という。

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AFP(12月10日付)は、トルコのアンタキア市(シリア領アレキサンドレッタ地方)で暮らす住民の多くは、アサド政権の改革を支持していると報じた。

同市の住民の多くはアレヴィー派。

トルコ国内のアレヴィー派の数は推計で数十万人で、その多くがハタイ県(アレキサンドレッタ)のアンタキア市などに暮らしている。

ハタイ県(アレキサンドレッタ地方)は1930年代、当時シリアを委任統治していたフランスからトルコに割譲され、現地住民らによる激しい抵抗が行われた。

この運動を指導したザキー・アルスーズィー氏はその後、ダマスカスでアラブ・バアス党(現在のアラブ社会主義バアス党)を結成した。

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『ハヤート』(12月11日付)は、対シリア経済制裁を審議するためにカタールのドーハで開催予定だったアラブ連盟外相会議が延期となったと報じた。

延期の理由は、ナビール・アラビー事務総長からワリード・ムアッリム外務大臣へのメッセージの回答を待つため。

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潘基文国連事務総長はジャズィーラ(12月11日付)で、「アサド大統領はシリアの大統領として、現在起きていることすべてに対する責任を負っている。彼は、国民保護という重要な責任を果たさねばならない。改めて、国民殺戮を直ちに停止するよう求める」と述べた。

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フランスのベルナール・ヴァレロ報道官は、シリア情勢に関して「ヒムスに対する治安部隊の軍事攻撃準備に関する情報に深い懸念」を表明し、アサド政権による民間人弾圧を強く非難した。

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米国のヴィクトリア・ノーランド報道官は、ヒムスへの「攻撃が行われた場合、シリア政府は責任を免れない。アサド大統領は、行われるあらゆる殺戮作戦の責任者とみなされるだろう」と述べた。

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英国の中東担当大臣も同様の懸念を表明した。

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サウジアラビア滞在中のサアド・ハリーリー・レバノン前首相は、UNIFIL(フランス軍)の攻撃に関して、ツイッターで「バッシャールからの別のメッセージだ」と綴り、アサド政権の関与を疑った。

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米国務省のジェニファー・ラサミマナナ中東・北アフリカ局担当報道官は、反体制テレビ局のオリエント・ニュースのインタビュー(12月10日付)に応え、米国がシリア国民評議会をシリア国民の正当な代表として承認するだろうと述べた。

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アラブ議会連盟のアリー・サーリム・ディクバースィー議長はシリア情勢に関して「集団虐殺」が行われていると非難した。

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アサド大統領との単独インタビューを行ったABCの取材チームは、アサド政権が国内での自由な取材を約束したにもかかわらず、ダルアー県への訪問を「武装集団の攻撃の危険がある」との理由があるとして認めなかったことを明らかにした。

反体制勢力の動き

『クッルナー・シュラカー』(12月10日付)は、反体制運動弾圧で負傷した市民をヒムス市で治療してきたイブラーヒーム・ナーヒル・ウスマーン医師がトルコ国境で治安部隊によって殺害されたと報じた。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長はオーストリア外相と会談した。

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シリア国民評議会メンバーでアラウィー派のムンズィル・マーフース氏は、シリア国内のアラウィー派の大多数は反政府だ、と断じた。

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3月15日革命殉教者委員会は、反体制運動弾圧で死亡した4,300人の氏名を公開した。

http://all4syria.info/web/wp-content/uploads/2011/12/Torture-Victims-in-Syria.xls

アサド政権の動き

『クッルナー・シュラカー』(12月10日付)は、統一地方選挙においてバアス党が作成した立候補者のリスト「国民統合リスト」に進歩国民戦線加盟政党のシリア共産党ユースフ・ファイサル派の立候補者が記載されていないと報じた。

ファイサル派排除の背景に関して、同報道は、反体制デモに同派の青年組織が参加しているためと報じ、メンバーの一人バッシャール・アフマド氏が8月1日に逮捕され、刑事裁判所ダマスカス第三法廷で裁判を受けていることを明らかにした。

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SANA, December 10, 2011
SANA, December 10, 2011

SANA(12月10日付)は、ダマスカス県のサブウ・バハラート広場で数千人の市民がロウソク集会を開き、軍・治安部隊の犠牲者を追悼したと報じた。

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SANA(12月10日付)は、タルトゥース県タルトゥース市で、青年らが組織する社会団体が、バアス党タルトゥース支部前に国内で2番目に大きい垂れ幕を掲揚し、会場に多くの支持者が集まったと報じた。

SANA, December 10, 2011
SANA, December 10, 2011

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『クッルナー・シュラカー』(12月10日付)は、国内の灯油、ガス供給状況に関してレポートした。

同レポートによると、灯油の価格は15シリア・ポンドから27シリア・ポンドに上昇しているという。

またプロパンガスは、反体制運動が行われている地域では、1ボンベあたり、270シリア・ポンドから1,000シリア・ポンドに上昇している。

しかし、共和国護衛隊隊員などが多く住む地域には十分な供給がなされているという。

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フェイスブックはシリア・アラブ・テレビのページを閉鎖した。これに関してシリアのラジオ・テレビ機構は声明を出し、真実を隠蔽する試みだと非難した。

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『クッルナー・シュラカー』(12月10日付)は、アーディル・サファル首相がスワイダー県知事に宛てた書簡で、「デモ抑止基金」を設置し、デモ参加者の反体制活動を抑止するため可能な限りの物的支援、金銭的支援を行うよう指示したと報じ、文書のコピーを掲載した。

AFP, December 10, 2011、Akhbar al-Sharq, December 10, 2011、al-Hayat, December 11, 2011、Kull-na Shuraka’, December 10, 2011、NNA, December 10,
2011、Reuters, December 10, 2011、SANA, December 10, 2011, December 11, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

レバノン南部でUNIFIL偵察車輌を標的とする爆弾攻撃が発生する一方、米国・NATOの軍事専門家がトルコ領内で離反兵に対する軍事教練を行っていると報じられる(2011年12月9日)

反体制(武装)闘争掃討

『ハヤート』(12月10日付)によると、ダルアー県、ヒムス県、ハマー県、ダイル・ザウル県など各地で金曜礼拝後に反体制デモが発生し、数千人が参加した。

シリア人権監視団、地元調整諸委員会によると治安部隊の発砲で少なくとも35人が殺害された。

シリア革命総合委員会によると離反兵3人を含む40人が殺害された。

一方、SANA(12月9日付)は、ヒムス県、ダルアー県、イドリブ県、ラタキア県で、武装テロ集団の襲撃により、少女1人を含む市民2人、大佐1人が殺害され、市民4人と治安維持部隊13人が負傷したと報じた。

なお反体制勢力は「尊厳のストライキの金曜日」と銘打って、12月11日日曜日にゼネストを呼びかけた。

al-Hayat, December 10, 2011
al-Hayat, December 10, 2011

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で子供2人(10歳、12歳)を含む9人が殺害され、アクラブ町で14歳の少年が殺害された。

またクサイル市、タールドゥー市でも治安部隊がデモ参加者に発砲した。

一方、SANA(12月9日付)によると、シンシャール村で武装テロ集団によって士官1人が暗殺された。

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ハマー県では、シリア革命総合委員会によると、2人が殺害された。

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アレッポ県では、アレッポ市のサラーフッディーン地区などでデモが発生した。治安部隊はモスクに続く道を封鎖するなどの対抗措置をとっていたという。なおシリア革命総合委員会によると、1人が殺害された。

al-Hayat, December 10, 2011
al-Hayat, December 10, 2011

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、女性1人と12歳の少女が殺害された。

一方、SANA(12月9日付)によると、タファス市で、武装テロ集団の襲撃によって少女1人が殺され、治安維持部隊兵士5人と市民4人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市で1人が殺害された。

またサクバー市、ドゥーマー市で離反兵と治安部隊が激しい交戦を行い、クドスィーヤー市のモスクでデモが発生し、ヒムス市包囲に抗議した、という。

一方、SANA(12月9日付)によると、ドゥーマー市で、爆発物処理班が武装テロ集団のしかけた爆弾3発を撤去したが、別の3発は撤去前に爆発した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市で1人が殺害された。

一方、SANA(12月9日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市では、「関係機関」が、武装テロ集団に拉致されていたアウドゥッラー・アブー・ヌクタ准将を釈放した。

またサラーキブ市で電力省の貨物車輌3輌が武装テロ集団に襲撃されたという。

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ダイル・ザウル県では、複数の活動家によると、ダイル・ザウル市で治安部隊が催涙弾を使用し、デモ排除を試みた。

アサド政権の動き

SANA, December 9, 2011
SANA, December 9, 2011
SANA, December 9, 2011
SANA, December 9, 2011

SANA(12月9日付)は、ダマスカス県、タルトゥース県のタルトゥース市、バーニヤース市、アレッポ県のアレッポ市、スワイダー県のサルハド市、ヒムス県ヒルバト・ハマーム村、ヒムス市ワーディー・ザハブ地区、ダーヒヤト・ハーリド・ブン・ワリード地区、カラム・ザイトゥーン地区、ハサカ県のハサカ市などでアサド政権を支持する大規模集会が開催されたと報じた。

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シリア外務省のジハード・マクディスィー報道官は記者会見を開き、ABCが放映したアサド大統領のインタビューに関するニュースと、アサド大統領のインタビューでの実際の発言を比較し、ABCのニュースがアサド大統領の発言の内容をゆがめていると批判した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は、ロイター通信(12月9日付)に対して、民間人の保護のための軍事作戦を控え、「自衛的措置」に活動を限定するよう自由シリア軍に要請したと述べた。

この発言に関して、『ハヤート』(12月10日付)は、国内で政権の弾圧に実際に対抗し、武装闘争をしている自由シリア軍のメンバーとシリア国民評議会の間に「緊張が高まっている」と報じた。

シリア国民評議会と自由シリア軍は先日、両組織の活動を調整することで合意しているが、こうした緊張の高まりは、国内で活動する離反兵、戦闘員を両組織(とりわけ自由シリア軍)が掌握していないことを示すものと考えられる。

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シリア国民評議会は、声明を出し、ヒムス市での「虐殺」の危険に警鐘を鳴らした。

UNIFIL襲撃

レバノンの南部県スール市の街道で走行中のUNIFIL偵察車輌を標的とする爆弾が爆発し、フランス兵5人と民間人2人が負傷した。

爆発現場には深さ1メートルのクレーターができた。

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ミシェル・スライマーン大統領は、「テロ行為」と非難し、犯人逮捕と事件再発防止への意思を示した。

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ナジーブ・ミーカーティー首相も「国際平和維持軍のだけでなく、レバノンおよび南部県の治安と安全を標的としている」と強く非難した。

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ナビーフ・ビッリー国民議会議長(アマル運動書記長)は、「UNIFILに対するテロ攻撃はレバノンと南部県の不安定化をねらったものだ…。爆破はイスラエル人に資するだけだ」と非難した。

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ヒズブッラーは声明を出し、「レバノンの治安当局がこのような攻撃を終わらせるため最大の努力を行うことを求める」と発表した。

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マルワーン・ハマーダ国民議会議員(民主会合ブロック)はAFP(12月9日付)に対して、「シリアが今日起きたことの背後におり、メッセンジャーがヒズブッラーであることは明白だ…。この地域ではヒズブッラーの同意なしに何も起きない」と断じた。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は「卑劣な行為」と非難した。

一方、ベルナール・ヴァレロ外務省報道官は、「我々は今のところ、特定の勢力を批判するような情報を得ていない」と述べ、事件とシリアでの反体制運動弾圧の関係を断言するには至っていないことを明らかにした。

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国連の潘基文事務総長は、報道官を通じて強い批判の意を表した。

諸外国の動き

『ミッリイェト』(12月9日付)は、米国とNATOの軍事専門家が、トルコのハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)で離反兵に対して軍事教練を行っていると報じた。

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アラブ連盟のアフマド・ベンフッリー事務副長は『ハヤート』(12月10日付)に対して、ナビール・アラビー事務総長が、アラブ監視団のシリアへの派遣受諾に関してシリア政府が示した条件への回答をワリード・ムアッリム外務大臣に送り、それに対するシリア側の再回答を待っていることを明らかにした。

『ハヤート』(12月10日付)によると、アラビー事務総長の回答のなかで、シリアの条件の是非を判定するにはアラブ外相会議で審議する必要があるとの立場を示しているという。

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アラブ連盟のハーリド・ブン・ナーイフ・ハッバース事務総長顧問は『ハヤート』(12月10日付)に対して、アラブ諸国、諸外国が、アサド大統領とその家族の亡命先提供を条件に、アサド大統領に退任を受け入れさせようと努力している、と述べた。

UAEが受け入れに応じる姿勢を示しているほか、東欧が候補となっているという。

なおシリア外務省のジハード・マクディスィー報道官は「事務局長からの回答を受け取った。現在検討中である」と述べた。

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BBC(12月9日付)は、シリア政府が対トルコ国境通過地点2カ所を閉鎖したと報じた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、シリアの内政に干渉することを望まないとしつつ、「地域の安全保障が危機に曝されれば、沈黙してはいられないだろう」と述べた。

またダウトオール外務大臣は、アサド大統領に対して「もし誠実であるのなら」、デモ参加者に対する殺戮を「処罰」するよう求めた。

一方、アサド大統領のABCでのインタビューに関して「治安部隊が過ちを犯す可能性があることを認めているようなものだ」と評した。

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レバノンの進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、『マジャッラ』(12月9日付)のインタビューに応え、シリアのドゥルーズ派は反体制抵抗運動の抑圧に関与すべきでないと述べた。

またヒズブッラーに関して、「ヒズブッラーの武器はイスラエルに対抗することが主たる任務だ…。シリアの体制と何から何まで連帯するべきでない」と述べた。

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イラクのホシャル・ゼバリ外務大臣は、イラーキーヤ・チャンネルのインタビュー(10月9日付)で、イラク政府が「シリア国内外の反体制勢力と接触しているが、武装集団と我々は関係がない」と述べた。

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国連の潘基文事務総長は、アサド大統領のABCでのインタビューでの「国連が信頼できる機関だと誰が言ったのか?」という発言に対して、「信頼性のある重文な情報が政府軍の手で4,000人以上が殺害されたことを示している。人権理事会はそのことを様々な出所を通じて実際に明示した。これらの出所は完全に信頼できるものだ」と反論した。

また、ナバネセム・ピレイ人権高等弁務官も記者会見で「実際に目撃した証人の証言、スカイプを通じて国外に発信された多くの情報」に依拠した被害報告だとしたうえで、「シリア大統領に易々とこれらのことを拒否する資格などない」と反論した。

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サウジアラビアのトゥルキー・ファイサル前総合情報庁長官は、シリア情勢に関して、アサド大統領は自ら権力の座を去ることはないだろうとしつつ、アラブ連盟がシリアでの虐殺に手をこまねいている訳にはいかないと述べた。

AFP, December 9, 2011、Akhbar al-Sharq, December 9, 2011, December 10, 2011、BBC, December 9, 2011、al-Hayat, December 10, 2011、al-Majalla, December 9, 2011、Naharnet.com, December 9, 2011、Reuters, December 9, 2011、SANA, December 9, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア国民評議会と国民民主変革諸勢力国民調整委員会が反体制勢力の統一大会の開催などに関して原則合意、アラブ連盟事務総長が訪問先のバグダードでイラク政府に対しシリア制裁をめぐる姿勢変更を求める(2011年12月8日)

反体制(武装)闘争

SANA(12月8日付)は、ヒムス県のヒムス精油所北西に位置するスルターニーヤ地方で、シリア石油輸送社が所有する石油パイプラインが犯罪破壊集団に破壊されたと報じた。

しかし地元調整諸委員会は、軍の砲撃によるものと非難した。

SANA, December 8, 2011
SANA, December 8, 2011

ヒムス石油精製所は、政府の発表によると380,000バレル/日の石油を生産し、国内の需要の多くをまなかっている。

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ヒムス県では、SANA(12月8日付)によると、タッルカラフ地方で当局が武装テロ集団が隠していた大量のPRG弾や中距離迫撃砲などを押収した。

またサダド地方で、税関当局が武装テロ集団と交戦し、テロ集団メンバー複数と税関当局職員1人が負傷した。

一方、シリア人権監視団、シリア革命総合委員会などによると、ヒムス市で少なくとも9人が治安部隊の攻撃で殺害され、フーラでは8人が負傷した。

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イドリブ県では、サラーキブ市の放送局近くで離反兵と軍・治安部隊が交戦し、軍の兵員輸送車輌が爆破された映像が公開された。

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ダルアー県では、複数の活動家によると、離反兵を逮捕するためタイバ町に治安部隊が突入した。

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ダマスカス郊外県では、複数の活動家によると、ドゥーマー市、マダーヤー町で離反兵と治安部隊が交戦した。

アサド政権の動き

SANA, December 8, 2011
SANA, December 8, 2011

アサド大統領はダマスカスを訪問したレバノン・ドゥルース派聖職者の使節団(レバノン民主党のタラール・アルスラーン党首を団長とする約70人)と会談した。

SANA(12月8日付)によると、使節団は、シリアと地域を分断しようとする陰謀に対抗するシリアの政府、国民を支持するとの立場を表明した。

これに対して、アサド大統領は「シリアは国民のおかげで、そしてまた同胞である友好的な人々の支援ゆえに協力である…。シリアは現状を克服し、いかなる圧力のもとでもその姿勢、原則、そして主権を放棄しない」と述べたという。

使節団はその後、ドゥルーズ派が多く住むスワイダー県を訪問した。

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『クッルナー・シュラカー』(12月8日付)は、12月12日投票予定の統一地方選挙の投票会場となるダマスカス県内の学校に、投票用紙が詰め込まれた投票箱が運ばれたと報じた。

反体制勢力の動き

AKI(12月8日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、カイロで続けられている在外の反体制組織であるシリア国民評議会と、シリア国内で活動を行う国民民主変革諸勢力国民調整委員会の間で行われている準備会合で、アラブ連盟主催による反体制勢力の統一大会の開催などに関して原則合意に達したと報じた。

同合意によると、統一大会には100人から150人が参加し、うち20%の参加者は両組織にいずれにも属さない無所属活動家とし、残り80%は両組織で等分するという。

また、現体制の完全な打倒、外国の軍事介入の拒否、国際法に基づく民間人の保護、すべての政治犯釈放、平和的デモ継続に向けた行動といった一般原則に関しても合意した。

さらに多元的民主制を確立するための体制転換期をめぐっても合意した、という。

Kull-na Shuraka', December 8, 2011
Kull-na Shuraka’, December 8, 2011

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シリア国内で活動する反体制勢力の重鎮リヤード・トゥルク氏(シリア人民民主党前書記長)は声明を出し、イランとヒズブッラーに対して、アサド政権を支持しないよう呼びかけた。

同声明でトゥルク氏は、「ヒズブッラーの戦略的な的はイスラエルであって、アラブ諸国、とりわけシリアの革命ではないはずだ…。この党がシリア革命の行方にいかなるかたちで介入しても、シリアの革命、党自体、そして同党をシリアと結びつけるであろう将来にまったく資さない…。私は、この党の指導部に対して、専制的で崩壊が避けられない体制を支援するのでなく、ハマースの指導部のように沈黙していて欲しいと考えていた」と述べた。

一方、イランに関しては「イラン政府には、シリア国民の正当な要求を見て見ぬふりをし、シリアの独裁体制や国民に対する犯罪行為を無条件で支持している者がいる」。

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ジャズィーラの女性キャスターのルーラー・イブラーヒーム氏は、フェイスブックの自らのページで以下のようにつづりシリア国民評議会など反体制勢力のメディアへの対応を非難した。

「シリア国民評議会や反体制勢力のメンバーの多くが、早朝にメディアと話すことを拒んでいます。電話でもです。今日も、その一人が我々の同僚に「真夜中に電話してくるな」と怒鳴りました。6時45分だったのに。あなたたちにはまぶたを閉じて寝る権利はあります。あなたたちがくつろぐことが大事だと思っています…。不愉快な思いをさせてすみません」。

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Kull-na Shuraka', December 8, 2011
Kull-na Shuraka’, December 8, 2011
Kull-na Shuraka', December 8, 2011
Kull-na Shuraka’, December 8, 2011

シリア・クルド青年調整連合は声明を出し、アサド政権が国籍を取得したクルド人に徴兵義務にただちに服すよう求めていることを明らかにし、すでに徴兵年齢を越えた国籍回復者の徴兵免除と、国籍回復者への補償を求めた。

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『インディペンデント』(12月8日付)は、トルコ領内の対シリア国境地域を取材し、自由シリア軍がイドリブ県内の対トルコ国境沿いに位置するアイン・バイダー村を拠点に反体制武装闘争を行っていると報じた。

同報道によると、自由シリア軍のメンバーのなかには、離反兵だけでなく、反体制デモを行ってきた民間人も参加している、という。

また「トルコで多くの人々がアスアド(自由シリア軍司令官)の召集を待っている」という。

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『シャルク・アウサト』(12月8日付)は、自由シリア学生連盟の話として、アレッポ大学での学生の反体制デモで150人以上の学生が逮捕されたと報じた。

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俳優のムハンマド・アール・ラシー氏が、反体制デモに参加したとの容疑で、ダマスカス県内の自宅で逮捕された。

諸外国の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は訪問先のバクダードで会見し、アラブ連盟監視団のシリアへの派遣に関する議定書をめぐる問題に関して、「イラク政府は…我々はシリア政府と接触し、問題を終わらせると述べた」と述べ、イラク政府が問題解決において「重みと能力」を持っていることを強調した。

また「ボールは今、シリアのコートにある…。もし経済制裁を停止して欲しいなら、署名せねばならない…。彼らはいつでも来て署名できる」と付言した。

イラク政府筋によると、アラビー事務総長はヌーリー・マーリキー首相との会談で、対シリア経済制裁に関するイラクの姿勢変更を求めるための提案を示した。そのなかには、1990年のクウェート侵攻以降の対イラク国連制裁決議など、イラクと一部アラブ諸国の関係改善を疎外する問題の撤廃などが含まれていたという。

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一方、イラクのホシャル・ゼバリ外務大臣は、イラクがアラブ連盟の大多数の国々の決定に反対しないとしつつ、イラクの立場を理解して欲しい、と述べた。

また対シリア制裁をめぐる姿勢が、マーリキー内閣のイラン寄りの姿勢によるものだとの見方に関しては、これを否定し「これは、自由で、独立した、主権に基づく決定で、我々の国益に基づいている」と述べた。

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アラビーヤ(12月8日付)は、アラブ監視団のシリアへの派遣にかかるアラブ連盟議定書の署名に関して、ロシアがアサド政権に圧力をかけ、条件付きでの署名を求めたと報じた。

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フランスのベルナール・ヴァレロ外務省報道官は記者会見で、アサド大統領のABCでのインタビューに関して、「正義を逸脱している」と述べ、弾圧・殺戮の責任はないとした大統領の発言を厳しく批判した。

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エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣は、シリア情勢に関して、軍事的解決はないとの見方を示した。

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国連安保理で、シリア情勢に関する会合が開かれ、フランスがナバネセム・ピレイ人権高等弁務官を招聘し、シリアにおける人道に対する犯罪に関して意見を聴取することを提案した。

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ジェフリー・フェルトマン米国務次官補は訪問中のレバノンでマロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教と会談し、「シリア国民に対するシリア政府の蛮行を終わらせるべく国際社会と地域の努力を支援」するよう求めた。

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サウジアラビアに「避難」中のレバノンのサアド・ハリーリー前首相は、ツイッターでアサド政権に関して「余命は限られていると思う…。自発的、ないしは力ずくかでシリアを去らざるを得ない」と綴った。

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イスラーム教ウラマー世界連盟は、シリア国民評議会への支持を改めて表明した。

AFP, December 8, 2011、Akhbar al-Sharq, December 8, 2011, December 9, 2011、AKI, December 8, 2011、Alarabia.com, December 8, 2011、Facebook、al-Hayat, December 9, 2011、The Independent, December 8, 2011、Kull-na Shurakā’, December 8, 2011、Naharnet.com, December
8, 2011、Reuters, December 8, 2011、SANA, December 8, 2011、al-Sharq al-Awsaṭ, December 8, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド大統領が米ABCによるインタビューに答え「我々は国民を殺していない」と断言、反体制勢力「共に」運動がダマスカスで第1回大会(2011年12月7日)

シリア・アラブの春(シリア革命2011)顛末記

2011年12月7日のシリア情勢

アサド政権の動き

米ABCがバッシャール・アサド大統領との単独インタビューを報じた。

アサド大統領の主な発言は以下の通り。

SANA, December 7, 2011
SANA, December 7, 2011

「率直に言うと…、あなた(アサド大統領にインタビューしたバーバラ・ウォルター氏)はここ(シリア)に住んでいない。どのようにこれらのこと(子供を含む民間人の弾圧や拷問)を知ったのか?ここに来て実際に見てみなければならない…。それ(子供の拷問)は正しいニュースではない…。私は(拷問された子供の)父親と会った。子供の父親も子供もメディアで言われているように拷問されたことはなかったと言っている」。

「国連が信頼できる機関だと誰が言ったのか?」(国連人権理事会がシリアでの死者数が4,000人を越え、人道に対する罪が行われているとの決議を採択したことに関して)

「殺害された人の多くは政府を支持していた、その逆ではない…。(治安機関などによる)蛮行のすべては個人によるものでもなく、特定機関によるものでもないということを理解しなければならない…。弾圧政策と一部の高官による過ちとの間には違いがある。大きな違いがあるのです」。

「我々は国民を殺していない。国民を殺す政府などない。もし政府が狂った人間に指導されていれば別だが」。

「我々は自分たちが民主的国家だなどと言ったことはない…。我々は計画に向かって進んでいる…。完全な民主制になるには時間と成熟が必要だ」。

「国民を守るために最善を尽くしてきた…。最善を尽くしているときに罪悪感など感じることはできない。失われた命に対して済まないとは感じる。しかし人を殺していないのに有罪だと感じるだろうか。つまり有罪に関わる問題ではない」。

http://abcnews.go.com/International/defiant-syrian-president-bashar-al-assad-denies-ordering/story?id=15098612#.Tt9a8XK3Nv8
http://abcnews.go.com/International/bashar-al-assad-interview-defiant-syrian-president-denies/story?id=15098612&page=2

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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、アサド大統領のインタビューでの発言に冠して、「合衆国をはじめとする多くの国々はシリアでの悲惨な暴力とアサド政権が犯したことを非難することで一致しており、何が起きているか、そして誰がそれに責任を負っているかをよく知っている」と非難した。

カーニー報道官はまた「インタビューを観た人のなかにアサド氏の答えに信頼に値するものがあったと考える者がいるとは思えない」と付言した。

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これに対してシリアのジハード・マクディスィー外務省報道官はただちに記者会見を開き、「シリアには憲法に基づき国の治安と安全を守る任務に就く部隊がある。すべての者が責任のもとに行動しており…、これは司法のしくみに従っている」と述べ反論した。

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SANA, December 7, 2011
SANA, December 7, 2011
SANA, December 7, 2011
SANA, December 7, 2011

アサド大統領は法律第23号を発止、一部食糧品、サービスに対する消費支出税の税率引き下げを決定した。

対象となったのは、ホテル、食堂などでのサービス料、植物油、動物油など。

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『クッルナー・シュラカー』(12月7日付)は、ダマスカス県の複数の情報筋の話として、県職員幹部に対して、統一地方選挙でバアス党、さらにはアサド政権支持者を支援するよう口頭で要請があったと報じた。

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SANA(12月7日付)は、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市で、アラブ連盟の経済制裁に反対する集会が実施されたと報じた。

SANA, December 7, 2011
SANA, December 7, 2011

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サーイル・クドスィー人民議会議員はフェイスブックで12月1日の人民議会の会合で現政権と反体制勢力からなる挙国一致内閣の発足を提案した、と綴った

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AKI(12月7日付)は、アラブ連盟の対シリア経済制裁やEUの追加制裁により、シリア・ポンドが闇レートで1ドル60ポンドまで下落した、と報じた。

反体制勢力の動き

「共に」運動はダマスカスで第1回大会を開催した。

国民民主変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役、ダマスカス国民民主宣言のリヤード・サイフ前人民議会議員、タイイブ・ティーズィーニー氏、ムハンマド・ムリッス氏、マイ・スカーフ女史が来賓として招かれた。

大会は来賓による講演のち、国内の平和やマイノリティの役割を保障するための各委員会、他の政治組織との調整を行うための各委員会を設置、それそれが部会を開き、審議を行った。

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AKI(12月7日付)は、アレッポのカルディア派司教区のアントワーン・ウードゥー区長がイタリア司教会議のメディアを通じて、「シリアはアサドとともにあろうがなかろうが、自らの路を進み続けることができるだろう…。国民はリビアで起きたような暴力を回避する路を選択せねばならない」と述べたと報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(12月7日付)は、ハサカ県カーミシュリー市で、取材した市民に「灯油危機など存在しない」と言わせようとしたドゥンヤー・チャンネルの特派員が市民によって追放されたと報じた。

これ以前にも、反体制デモを取材しようとした同チャンネルのカメラマンがデモ参加者の若者に殴打され、追放されていたという。

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シリア国民評議会渉外担当責任者で在米のラドワーン・ズィヤーダ氏は、アサド大統領が国連人権高等弁務官事務所が発表した犠牲者数に疑義を呈したことに関して、「自身が犯した刑事犯罪への責任を否定する前兆」と非難した。

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AFP(12月7日付)は、トルコに避難しているシリア人の多くが、トルコ当局の一部が避難民をシリアに引き渡していることに恐怖を感じていると報じた。

反体制(武装)闘争

イドリブ県では、複数の目撃者によると、サラーキブ市の対トルコ国境付近で離反兵と軍・治安部隊が交戦した。シリア人権監視団によると、同地での軍・治安部隊の逮捕・追跡活動により、少なくとも3人の活動家が逮捕された。

またシリア人権監視団によると、ザーウィヤ山に近いラーミー村に軍・治安部隊の車輌約50輌が突入した。これにより、16歳の少年1人が殺害され、20人が負傷した、という。

このほか、トルコに向かう国際幹線道路での軍と離反兵との戦闘での負傷者複数名がハーン・シャイフーン市で死亡した。

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ヒムス県では、複数の目撃者・活動家によると、過去2日間にわたる軍・治安部隊の大規模な砲撃により、多数の住民が避難した。

シリア人権監視団によると、市内の離反兵が兵員輸送車輌を破壊した。離反兵は民間人によってかくまわれ、市内で活動しているという。

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ハマー県では、複数の目撃者・活動家によると、ハマー市のスィバーヒー交差点に軍・治安部隊の戦車・装甲車が多数展開、また市内各所で軍・治安部隊が大規模な逮捕・追跡活動を行った。

ハマー市郊外で離反兵と軍・治安部隊が交戦し、離反兵3人が殺害された。またハマー市のフーラ地区で女性1人が射殺された。

一方、SANA(12月8日付)は、シリア軍がハマー県内でアレッポ街道を寸断しようとしていた武装テロ集団と交戦し、「テロリスト」1人を殺害したと報じた。

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アレッポ県では、複数の活動家によると、治安部隊がアレッポ大学の工学部に突入し、反体制デモを行った学生多数を逮捕した。

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ダマスカス郊外県では、ハラスター市、カフルバトナー町で治安部隊が大規模な逮捕活動を行った。

諸外国の動き

トルコの通商大臣はNTVで「シリアからの商品に対して30%の関税を科すだろう」と述べ、追加制裁の発動を示唆した。

またトルコ政府は、エジプト製品の海路による直接輸入と、イラク製品に陸路よる直接輸入を開始したと発表した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は訪問中のリトアニアで記者団に対して、アラブ連盟によるシリア危機解決に向けたイニシアチブは「シリアをめぐるアラブ連盟の計画に関して、忍耐と責任を示す必要がある」と述べた。

また「我々は連盟のイニシアチブを支持するが…、このイニシアチブが警告になることにはきっぱりと反対する」と述べ、それが外国の干渉の口実になることへの警戒感を示した。

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イラクのアブドゥルハリーム・ズハイリー首相顧問(政務担当)は、シリア・イラク関係に関して「イラクはその運命をアサド大統領と共にはしない。すべての可能性に対処し、そのなかには体制崩壊も考慮されている。しかしこの可能性の影響を恐れている」と述べた。

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レバノンのマロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教はのマロン派司教会議後に「地域の緊張や分断をレバノンにもたらすことでは、アラブの大義との結束を示すことにはならない」と述べ、シリアの混乱がレバノンに波及することへの警戒感を示した。

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『ラアユ』(12月7日付)は、米高官が、ロバート・フォード米シリア大使のシリア帰国に関して、「アサド体制はいつ崩壊する」か分からないなか、「ポスト・アサド段階におけてシリア人の国家建設を支援するためだ」と述べたと報じた。

ABC, December 7, 2011、AFP, December 7, 2011、Akhbar al-Sharq, December 7, 2011、AKI, December 7, 2011、al-Hayat, December 8, 2011, December 9, 2011、Kull-na Shuraka’, December 7, 2011、Naharnet.com, December 7, 2011、al-Ra’y, December 7, 2011、Reuters, December 7, 2011、SANA, December 7, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ナスルッラー書記長が3年超ぶりに大衆の前に姿を現しアサド政権への支持を改めて表明、シリア国民評議会のメンバーらがジュネーブでクリントン米国務長官と会談しポスト・アサド体制について議論(2011年12月6日)

ヒズブッラー書記長の演説

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長がアーシューラーを記念してベイルート郊外(ダーヒヤ)に姿を現し、支持者らの前で演説、アサド政権への支持を改めて表明、シリアの反体制勢力を非難した。

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ナスルッラー書記長が大衆の前に姿を現すのは、2008年7月以来初めてで、会場には数十万人が集まった。

演説で、ナスルッラー書記長はシリア情勢に関して以下のように述べた。

「我々の立場は当初から明確だ。我々はシリア政府が同意し、シリア国民が主唱している改革を支持している…。また我々はレジスタンスを行い…、レジスタンス運動を支援してきた国家を支持する…。しかしシリアで改革、安全、治安、対話、国民の平和を望まず、破壊を望んでいいる者がいる…。イスタンブールで結成され、一部の西側・アラブ諸国が支持するシリア国民評議会は、米国とイスラエルへの信任状を提示した…。シリアにおいて(反体制勢力によって)求められているのは、改革、汚職撲滅、多元主義などではない。裏切りと屈服の体制だ…」。

http://www.youtube.com/watch?v=l30bz-9R-48

http://www.youtube.com/watch?v=l30bz-9R-48

反体制(武装)闘争

イドリブ県では、SANA(12月6日付)によると、アイン・バイダー村のシリア・トルコ国境地域において、トルコ側から武装テロ集団約35人が潜入を試み、国境警備隊が交戦の末にこれを阻止した。

同報道によると、この交戦によって、武装テロ集団メンバー多数が負傷し、一部はトルコ側に逃げ去った。

また逃げ去ったトルコ領内では、逃げ帰った負傷者らを搬送する車の音が聞こえた、という。国境警備隊側に死傷者はなかった。

しかし、トルコ外務省は、シリア側のこの報道を否定した。

またシリア革命総合委員会によると、県内で1人が治安部隊によって殺害された。

このほか、複数の活動家によると、カフルタハーリーム村に、17台の軍車輌が侵入し、弾圧を行った。

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会によると、ヒムス市で21人が治安部隊によって殺害された。

複数の活動家によると、ヒムス市ダイル・バアルバ地区では、12回にわたった爆発音が聞こえ、激しい銃声が鳴り響いた。

一方、シリア人権監視団によると、ヒムス市ズハラー地区でシャッビーハに誘拐されたとされる市民34人の遺体が発見された。ズハラー地区はアサド政権支持者が多く住む地区。

これに対し、SANA(12月6日付)は、武装テロ集団が、空軍パイロットのクサイ・ハーミド・ムスタファー大佐をヒムス市マサーキン・ミスファー地区にある自宅前で襲撃、暗殺したと報じた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団と地元調整諸委員会によると、ダーイル町で離反兵と軍が激しい交戦を行う一方、治安部隊が同市周辺地域で大規模な逮捕・追跡活動を行った。

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ハマー県では、シリア革命総合委員会によると、1人が治安部隊によって殺害された。

一方、SANA(12月6日付)によると、ハマー県郊外で、武装テロ集団が、教員2人を誘拐、殺害した。

またこのほかにも市民3人を惨殺したという。

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ダマスカス郊外県では、複数の活動家によると、ハラスター市で共和国護衛隊に援護された治安部隊が逮捕・追跡活動を行った。

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アレッポ県では、シリア・クルド青年調整連合アレッポ調整委員会は声明を出し、アレッポ大学経済学部前で学生が反体制デモを行ったと発表した。

しかしまもなく治安部隊が排除し、学生数十人を逮捕したという。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長はパリでCNN(12月6日付)のインタビューに応え、イランがシリア国民の弾圧に「荷担している」と非難し、アサド政権支持を止めるよう求め、「これが、シリア・イラン関係に関して我々が望んでいない結末を回避する最後のチャンスだ」と警告した。

ガルユーン事務局長はまた、レバノンのヒズブッラーに関して「シリア国民は、ヒズブッラーを完全に支持していた。しかし今日、国民はヒズブッラーがこの善意に答えず、自由のためのシリア国民の闘争を支持していないことに驚いている」と述べた。

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シリア国民評議会メンバー7人からなる使節団がヒラリー・クリントン米国務長官とジュネーブで会談した。

使節団は、ブルハーン・ガルユーン事務局長、バスマ・カドマーニー報道官、ハイサム・マーリフ弁護士ら。

会談でクリントン米国務長官は、「体制打倒以上の内容の民主的平和的プロセス」を保障し、ポスト・アサド体制において、「法による支配、人権尊重を宗派、人種を問わず保障する」ことを反体制勢力に求めた。

シリア国民評議会のナジーブ・ガドバーン氏(在米)は、ヒラリー・クリントン米国務長官との会談で、評議会の使節団が、「ボスニア紛争時のようにシリアの民間人を保護するための回廊の設置を求めた」と述べたうえで、同回廊の設置が「ある種の航空禁止空域の設定」をもって始動するべきだとの考え方を示した。

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その後、シリア国民評議会の使節団(ガルユーン事務局長ら)はアルジェリアへと発った。

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シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官は、評議会のメンバーがEU議会でのシリア情勢に関するシンポジウムで、300万人の生活必需品が不足しているとしたうえで、事態が「急速に悪化し、深刻な人道的危機に達しつつある」と窮状を訴えたと述べた。

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トルコのアンタリアを拠点とするシリア変革大会のアンマール・カルビー事務局長とウマル・ミクダード氏は、アンカラのドイツ大使館の招きで西側諸国10カ国の代表と会談した。

カルビー事務局長はこの会談で、アサド政権打倒や反体制勢力統合の必要を訴えた。

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12月6日、英国のスカイ・ニュースがヒムス県への潜入ルポを放映した。

http://www.youtube.com/watch?v=j4OtU7ZqaFs&feature=player_embedded

http://www.youtube.com/watch?v=j4OtU7ZqaFs&feature=player_embedded

アサド政権の動き

AFP(12月6日付)は、ABCがアサド大統領に単独インタビューを行ったと報じた。西側のテレビ局が大統領にインタビューするのは3月以降で初めて。12月7日に放映予定。

諸外国の動き

イスラエルのエフド・バラク国防大臣は、占領地ゴラン高原での軍事演習後に、アサド政権の崩壊は「数週間ないしは数ヶ月」という時間の問題だと述べた。国防相が明らかにした。

またアサド政権が崩壊し、シリアの反体制勢力が先進兵器を接収しないよう、ヒズブッラーがこれらの兵器をシリアから持ち出そうとしていると警鐘をならした。

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『サバフ』(12月6日付)は、トルコがシリアに対シリア経済制裁と合わせて、シリアの諜報機関との協力を停止したと報じた。

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ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、ヨルダン上院外交委員会で、シリア情勢に関して「アラブの家の枠組みのなかでシリア情勢を解決する」ことを支持すると述べ、西側諸国や国連の介入に消極的な意思を示した。

またアラブ連盟の対シリア経済制裁に関しては、「ヨルダンにはシリアと経済的な利益をともにし、国境、水をめぐる問題を共有し、シリアには多くのヨルダン人学生がいる。それゆえ、経済制裁に関する例外を近隣諸国に設けるよう求めた」と述べた。

ヨルダン公式筋によると、ヨルダン政府は、対シリア経済制裁の被害を抑えることを任務とした経済セクター最高委員会を設置した。

一方、信頼できる消息筋が『ハヤート』(12月7日付)に述べたところによると、ヨルダンの銀行は、連盟の制裁発動前にシリア中央銀行やシリア商業銀行との取引を停止していたという。

これは西側諸国などがすでに科している対シリア経済制裁の被害が及ぶことを回避するための措置だとのこと。

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米高官は、10月下旬にシリアから「避難していた」ロバート・フォード米大使が12月7日にダマスカスに戻ることを明らかにした。

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『ハヤート』(12月7日付)は、アラブ連盟のアフマド・ベン・ヒッリー事務副長の話として、ナビール・アラビー事務総長がシリア政府からの議定書調印に関するメッセージへの対応として、事務局長による回答、緊急外相会議の会合という二つの選択肢があり得ると報じた。

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ロシアのミハイル・ボグダノフ外務次官は、イタル・タス通信(12月6日付)に対して、ロシアがシリアに監視団を派遣する準備があることを明らかにした。

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フランスの石油会社Total社は、EUによる対シリア追加制裁に応じるかたちで、「授業員の安全を何よりも確保するため」、ダイル・ザウル県でのガス開発計画など、シリア国内での操業を停止したと発表した。

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アルジェリアのムラード・マドリスィー外務大臣は、フランス議会で演説し、シリア情勢に関して内戦突入への懸念を表明し、アラブ連盟イニシアチブに「完全なる機会」を与えるべきだとしたうえで、「我々はシリア政府に対して圧力をかける一方で、反体制勢力に対話にふさわしい状況を準備するよう話している」と述べた。

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『タイムズ』(12月6日付)は、複数のパレスチナ高官の話として、ハマースがダマスカスから事務所やメンバーを退避させようとしていると報じる。

同報道によると、この動きは、ハマースがアサド政権への支持を控えるようになったことをうけたもので、これと関連してイランがハマースへの資金供与を停止すると脅迫している、という。

AFP, December 6, 2011、Akhbar al-Sharq, December 6, 2011, December 8, 2011、al-Hayat, December 7, 2011、Kull-na Shuraka’, December 7, 2011、Naharnet.com, December 6 ,2011、Reuters, December 6, 2011、SANA, December 6 ,2011、al-Shuruq, December 6, 2011、The Times, December 6, 2011、Youtubeなどをもとに作成。

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アラブ連盟事務総長がアラブ監視団派遣に関する議定書をシリアが「条件付きで受諾」したと述べる一方、アサド政権は12月12日に控える統一地方選挙への各県ごとの立候補者数を公表(2011年12月5日)

アラブ連盟をめぐる動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は12月4日(日曜日)にワリード・ムアッリム外務大臣から受け取ったメッセージに関して、「これまで聞いたことのない新たなことが含まれている」と述べ、シリア側がアラブ監視団派遣に関する議定書を条件付きで受諾する意思を示したことを明らかにした。

アラビー事務総長はこの「条件」に関してアラブ諸国の外務大臣と検討中で、現在まだのところ結論には達してないとしつつ、対シリア経済制裁に関しては、10月27日の決議で発動が決定済みで、その解除には新たな決議を採択する必要があると述べた。

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シリアのジハード・マクディスィー外務省報道官は、ムアッリム外務大臣のメッセージに関して、「条件」を示したのではないとしたうえで、シリア側の理解に基づきアラブ連盟の行程表に協力する意思を改めて明らかにした。

SANA, December 5, 2011
SANA, December 5, 2011

マクディスィー外務省報道官は「条件とは協力の構造や本質が変わったときに示されるべきものだが、シリアが提示したものはその構造、本質のいずれにも抵触していない」と述べた。

なお『ハヤート』(12月6日付)によると、ムアッリム外務大臣が12月4日にアラビー事務総長に伝えたメッセージは、①議定書の署名をカイロの連盟本部でなく、ダマスカスで行う、②シリアの内政問題への外国の介入拒否という姿勢を議定書案と不可分なものとする、③シリアの加盟資格停止など、シリアの代表不在のなかで採決された決議・決定を破棄する、④合意内容を文書化する、といった内容が含まれている。

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ヨルダン外務省のムハンマド・カーイド報道官は、アラブ連盟の対シリア経済制裁に関して、同国が通商部門、航空機乗り入れを制裁対象から除外することを求めたと述べた。

ヨルダンの公式統計によると、2000年以来、ヨルダンはシリアに対して1,400,000ディーナール(2,000,000,000ドル相当)を輸出、シリアからは35,000,000,000ディーナール(5,000,000,000ドル相当)を輸入しており、サーミー・カムーフ産業通商大臣によると、ヨルダンの貿易収支の60%をシリアに依存している。

アサド政権の動き

『クッルナー・シュラカー』(12月5日付)は、統一地方選挙に関して、12月12日の投票日を1週間後に控えているにもかかわらず、各地での選挙運動はほとんど行われていないと報じた。

同報道によると、ダマスカス県で選挙運動を行っているのは、ハイサム・アブー・ハルブ氏(第4区)、シリア共産党バクダーシュ派のジュムア・ミッリー氏(第3区)だけだという。

また一部の県では反体制(武装)運動により選挙そのものも実施できないという。

なおSANA(12月5日付)が発表した各県の立候補者数は以下の通り:

立候補者総数:42,889人
ダマスカス県数1,926人
ダマスカス郊外県:4,146人
ヒムス県:3,655人
アレッポ県:7,850人
ラタキア県:3,083人
タルトゥース県:3,040人
イドリブ県:2,706人
ダイル・ザウル県:3,245人
ハマー県:1,921人
ラッカ県:2,473人
ハサカ県:4,353人
ダルアー県:2,127人
スワイダー県:1,603人
クナイトラ県:828人

また選挙区総数は1,335(153市、501村、681自治体)。

一方、内務省のハサン・ジャラール民事担当次官は、ハサカ県の外国人(クルド人)に対して、同県などで身分証明書取得申請を済ませ、統一地方選挙の投票登録を行うよう呼びかけた。

シリア商業銀行は、シリア・ポンドの為替レートを1米ドル=54シリア・ポンドに引き下げると発表した。

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SANA(12月5日付)は、ヒムス県東部のラカーマー村および同村周辺の住民が外国の介入拒否、アサド政権の改革支持を訴えるデモ行進を行ったと報じた。

SANA, December 5, 2011
SANA, December 5, 2011

反体制(武装)闘争をめぐる動き

シリア人権擁護連盟は、治安当局がシリア軍の士官・兵士64人を逮捕し、サイドナーヤー軍事刑務所(ダマスカス郊外県)に収監したと発表し、その氏名を公開した。

逮捕者の内訳は、大佐2人、中佐2人、少佐3人、大尉7人、中尉18人、少尉12人、軍曹4人、兵卒16人。

また同連盟は、11月初めにタドムル軍事刑務所(ヒムス県)に収監されていた逮捕者に対して「体系的な集団粛清」が行われたと発表した。

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シリア人権監視団などは、アサド政権による反体制運動弾圧に関して、以下の通り発表した。

ヒムス県:ヒムス市のダイル・バアルバ地区で、犠牲者の葬儀に参列していた会葬者に対して、治安部隊が発砲、市民4人が殺害され、5人が負傷した。また市内の国立病院近くで治安部隊の発砲により市民1人が殺害された。

ダルアー県:ダーイル町で離反兵が、中尉1人、警官1人を含む3人の軍・治安部隊要員を殺害した。また学生30人が逮捕された。

ダマスカス郊外県:ハラスター市での反体制デモに参加した学生10人が治安機関に逮捕された。反体制派の学生は親体制派の学生や治安当局の嫌がらせを受けているという。

ラタキア県:ジャブラ市でアサド大統領を侮辱したとされる高校生8人が逮捕された。またラタキア市のティシュリーン大学の学生60人が退学となった。

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一方、SANA(12月5日付)は以下の通り報じた。

ヒムス県:ヒムス市ハーリディーヤ地区で、治安維持部隊が武装テロ集団メンバー3人を殺害し、7人を負傷させ逮捕。市内の国立病院に向けて武装テロ集団が発砲する一方、農業局職員を乗せたバスを襲撃。ラスタン市で指名手配者8人を逮捕し、武器を押収。フーラ地方で1人を殺害。

イドリブ県:ザーウィヤ山でテロリスト11人を逮捕。

ラタキア県:ラタキア市スライバ地区で爆発物処理班が武装テロ集団のしかけた爆弾を撤去。

反体制勢力の動き

『クッルナー・シュラカー』(12月5日付)は、トルコ政府がシリア国民評議会や自由シリア軍への支援を強めるなかで、PKK系のクルド民族主義反体制組織である民主統一党が、アサド政権の打倒をめざす反体制勢力支持と、アサド政権支持という二つの路線に備えて準備を始めた、と報じた。

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シリア国民評議会は声明を出し、国内各地の調整委員会などが12月11日からの開始を呼びかけているゼネストに関して、シリア国民に対して参加を呼びかけた。

なお12月12日は統一地方選挙投票日。

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『クッルナー・シュラカー』(12月5日付)は、「シャッビーハ」がダルアー県選出の者フィーク・ハリーリー人民議会の息子を誘拐し、身代金500,000ドルを要求したと報じた。

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シリア情報表現の自由センターは、映画監督のフィラース・ファイヤード氏が、11月30日から12月1日にかけて、訪問中のUAE(ドバイ)からシリアに空路で帰国する途中失踪した、と発表した。

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国連の潘基文事務総長は、クナイトラ県ゴラン高原のUNDOF展開地域内の村々で反体制デモが発生していることを明らかにした。

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『シュルーク』(12月5日付)は、シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サリーム報道官に対するインタビュー記事を掲載した。

同記事によると、サリーム報道官は「大国は、ゴラン高原における対イスラエル国境を保護者である政権(アサド政権)に代わり得る体制を探せないでいる」と述べる一方、イランが、アサド政権延命のためにイラクのヌーリー・マーリキー内閣、サドル潮流、そしてレバノンのヒズブッラーとともに結んでいる「宗派主義的結束」は「役にたたない」との見方を示した。

諸外国の動き

ジョー・バイデン米副大統領は、滞在中のイスタンブールで記者団に対して、アサド政権の崩壊は必ずしも大規模な宗派紛争にはならないとの見方を示した。

またアサド政権崩壊後、シリアへの支援のありようを再検討する旨合意したが、具体的な内容については議論しなかったと述べた。

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フランスのエリック・シュヴァリエ在シリア大使は12月5日、ダマスカスに戻った。

AFP, December 5, 2011、Akhbar al-Sharq, December 5, 2011、al-Hayat, December 6, 2011, December 7, 2011、Kull-na Shuraka’, December 5, 2011、Reuters, December 5, 2011、SANA, December 5, 2011、al-Shuruq, December 5, 2011などをもとに作成。

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イドリブ県内の空軍情報部の複合施設で兵士複数名による離反が発生するなか、サファル内閣がトルコによる対シリア経済制裁発動への4点の対抗措置を承認(2011年12月4日)

アサド政権の動き

SANA(12月4日付)は、アーディル・サファル内閣が閣議を開き、トルコによる対シリア経済制裁発動への対抗措置に関して審議したと報じた。

同報道によると、この審議で以下4点が承認された。

1. シリア・トルコ自由通商協定の停止
2. トルコからのすべての輸入品に対する30%の課金
3. トルコに出国するディーゼル車輌に対して、排気量に応じて、灯油1リットルあたり80シリア・ポンドを徴収。
4. トルコの貨物車輌に対して、積載可能重量×総今日距離×0.02ユーロを徴収。

反体制勢力の動き

シリア国家建設潮流は声明を出し、アサド政権に対してアラブ監視団受け入れに関するアラブ連盟の議定書を受諾するよう改めて求めた。

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『ワタン』記者のムハンマド・アミーン氏が12月4日付で声明を出し、「革命支持」を表明した。

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シリア情報表現の自由センターは、シリア・ヨルダン国境で反体制活動家のラッザーン・ガザーウィー女史が逮捕されたと発表した。

同女史はアンマンで開催されるアラブ世界報道の自由擁護会合に出席する予定だった。

反体制武装闘争をめぐる動き

複数の活動家によると、イドリブ県にある空軍情報部の複合施設で、3日晩から4日未明にかけて複数の工作員が離反し、施設を脱走した。

脱走に際して離反工作員と治安当局の間で交戦があったという。

イドリブ市のある活動家によると、離反兵が同複合施設近くに集結し、逃走を支援した模様。

『ハヤート』(11月5日付)によると、「秘密警察」における離反はこれが初めてだという。(筆者注:しかし、諜報機関や治安維持機関などからの離反は、フェイスブックなどで配信されている離反兵の映像などによるとたびたび行われている)

またシリア人権監視団によると、イドリブ県マアッラ・ニウマーン地方北部の検問所で治安当局が小型バスに発砲し、8人を殺害した。

一方、SANA(12月5日付)は、イドリブ県で治安維持部隊が武装テロ集団を追跡し、多数を殺害、逮捕し、大量の武器を押収したと報じた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で治安機関が車に発砲し、子供3人を含む4人を殺害した。

またラスタン市近郊のイッズッディーン町でも民間人2人が殺害された。

一方、SANA(12月5日付)は、ヒムス市ハーリディーヤ地区でバアス大学のミヤーダ・スユーフィー教授が武装テロ集団の襲撃で殺害されたと報じた(シリア人権監視団は市内の検問所で殺害されたと発表している)。

また同報道によると、ヒムス市の別の地区でも市民複数が武装テロ集団によって殺害された。

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SANA(12月5日付)は、ダイル・ザウル県で爆弾を仕掛けようとしていた武装テロ集団のメンバーを治安維持部隊が発見し、殺害したと報じた。

諸外国の動き

トルコのザフェル・チャーラヤン経済大臣はシリア・トルコ自由通商協定停止などのシリアによる対抗措置に関して、「シリア国民、工場主、輸出業者、プロジェクト関係者を制裁している」と非難した。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は『ハヤート』(12月5日付)の取材に対して、シリアのワリード・ムアッリム外務大臣がアラブ監視団受け入れに関する議定書の署名の是非に関して「2、3日の猶予」を求めてきたことを明らかにした。

アラビー事務総長はそのうえで「とにかく、彼らには好きなだけ時間はある。しかしアラブ諸国はあらゆる分野、セクターでシリアをボイコットすることを決定した…。ボイコットはすでに始まっている」と述べた。

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イラクのヌーリー・マーリキー首相は、ジョー・バイデン米副大統領の訪問を受けるかたちで、シリア情勢に関して、シリア国民評議会にバグダード訪問を呼びかけた。

法治国家ブロックのイフサーン・ヤースィーン議員は『ハヤート』(12月5日付)に対して、「シリアの体制が誰からも明らかなように、鉄拳支配を行う権威主義体制である現下において、イラクはシリアのデモ参加者の要求を支持している…。しかしこの問題にいかに対処するかをめぐるイラクの視点は他の国の視点とは異なっている」と述べた。

そのうえで同議員は「イラクはシリア国民評議会などのシリアの反体制勢力にバクダード訪問と危機の平和的解決のための対話を呼びかける」と述べつつ、「経済制裁は体制ではなく、シリア国民に打撃を与える、我々はイラクで同じような経験をした」と述べ、制裁に疑義を呈した。

**

ジェフリー・フェルトマン米国務次官補は訪問先のアンマンで記者団に対して、シリアでの「野蛮な弾圧」を停止させるための平和的な方法を検討している、と述べた。

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レバノンの進歩社会主義党党首、ワリード・ジュンブラート議員は、自身の誕生日に合わせて声明を出し、レバノン特別法廷をめぐる3月14日勢力と3月8日勢力との対立そのものを批判、シリアでの危機をめぐりレバノンが内戦に陥る危険に対処するべきだと主唱した。

AFP, December 4, 2011、Akhbar al-Sharq, December 4, 2011、al-Hayat, December 5, 2011, December 6, 2011、Kull-na Shuraka’, December 3, 2011,
December 4, 2011、Naharnet.com, December 4, 2011、Reuters, December 4, 2011、SANA,
December 4, 2011などをもとに作成。

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各地で軍・治安部隊による治安作戦が継続し死傷者が発生するなか、アラブ連盟外相会議において対シリア経済制裁に関する実行技術委員会の提言が審議される(2011年12月3日)

反体制武装闘争

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市内の県庁、政治治安部支部、警察署などが隣接する中心街で軍・治安部隊と離反兵が3時間にわたって交戦し、軍・治安部隊兵士および警察官7人と、離反兵5人、民間人3人、合わせて15人が死亡した。

またアリーハー市では治安部隊がデモ参加者に発砲し、2人が殺害され、サラーキブ市で軍・治安部隊の兵員輸送車輌が爆破された、という。

しかしSANA(12月3日付)によると、サラーキブ市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト2人を殺害、多数を負傷させた。

またジスル・シュグール市南部のジャーヌーディーヤ町で、武装テロ集団が市民を襲い、1人が殺害され、2人が負傷し、ジスル・シュグール街道で武装テロ集団が旅客バスを襲撃し、市民1人を殺害した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、タファス市で、軍・治安部隊が突入し、民間人1人が死亡した。

しかしSANA(12月3日付)によると、治安維持部隊が治安関連施設を襲撃した武装テロ集団と交戦し、1人を殺害した。

また爆弾処理班がヌアイマ村のモスク前に武装テロ集団がしかけた爆弾を撤去した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のバーブ・アムル地区で治安部隊の狙撃により、民間人6人が殺害された。

またラスタン市でも同様に2人が殺害され、タッルカラフ市では少なくとも27人が逮捕されたという。

しかしSANA(12月3日付)によると、関係当局がタッルカラフ市で武器・麻薬密輸で指名手配中の容疑者数十人を逮捕した。

また民間人と軍人を殺害・誘拐してきた武装集団メンバー14人を逮捕したという。

さらに、ヒムス市郊外で武装集団メンバー3人を逮捕し、大量の武器を押収し、ヒムス街道ズフーリーヤ交差点で労働者を載せたバスが武装テロ集団に襲撃され、女性労働者1人が死亡、10人が負傷した。

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ハマー県では、SANA(12月3日付)によると、関係当局はハマー市郊外で武装集団メンバー36人を逮捕し、大量の武器を押収した。

またハマー市では爆弾処理班が武装テロ集団がしかけた爆弾2発を撤去した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(12月3日付)によると、ドゥーマー市で爆弾処理班が武装テロ集団のしかけた爆弾を撤去した。

その他の反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は訪問先のブルガリアの首都ソフィアで「我々が安保理に何よりもまず求めているのは、無実の民間人を保護するしくみを構築することである」と述べた。

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反体制活動家のムハンマド・シャウワーフ氏はフェイスブックで、妻がイタリアで「シャッビーハ」に誘拐され、拷問を受けていると発表した。

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シリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表は、RT(12月3日付)に対して、国連人権理事会による対シリア非難決議を「客観性をもった決議」と述べた。

アサド政権の動き

SANA(12月3日付)は、ラタキア県ジャブラ市で市民数千人が外国の内政干渉拒否、アサド政権改革支持を訴える集会に参加した。

またラタキア市ではハールーン広場での若者による座り込みが3日目に入った。

彼らは外国の内政干渉拒否、アサド政権改革支持を訴えている。

SANA, December 4, 2011
SANA, December 4, 2011

アラブ連盟の動き

アラブ連盟外相会議がカイロのアラブ連盟本部で開催され、対シリア経済制裁に関する実行技術委員会の提言を審議した。

会合では委員会が作成した制裁対象リストを承認したうえで、シリア国民に対する弾圧に関与した疑いのあるビジネスマン、アリー・マムルーク総合情報部長、ディーブ・ザイトゥーン政治治安部長をリストに加えるよう求めた。

これにより制裁リストには以下19人が列記された:

ダーウド・アブドゥッラー・ラージハ国防大臣
ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣
アブドゥルファッターフ・クドスィーヤ軍事情報局長
アースィフ・シャウカト副参謀長(中将)
ルストゥム・ガザーラ准将(軍事情報局ダマスカス支部長)
マーヒル・アサド大佐(共和国護衛隊)
アイマン・ジャービル
ムハンマド・ジャービル
ジャミール・ハサン空軍情報部長
ジャーミア・ジャーミア准将(軍事情報局ダイル・ザウル支部長)
ハーフィズ・マフルーフ大佐(総合情報部)
アーティフ・ナジーブ前政治治安部ダルアー支部長
ドゥールヒンマ・シャーリーシュ共和国護衛隊大統領治安局長
ファイサル・クルスーム前ダルアー県知事
ムンズィル・アサド
ファウワーズ・アサド
ラーミー・マフルーフ
アリー・マムルーク総合情報部長
ディーブ・ザイトゥーン政治治安部長

またシリア政府に対してアラブ監視団派遣に関する議定書および危機解決に向けたアラブ・イニシアチブを4日(日曜日)までに受諾するよう改めて求めた。

また近隣諸国が示した戦略物資などの対象除外品目リストに関しても承認し、リストを完成させるとともに、トルコ、ヨルダン、湾岸諸国を経由した通商路確保を検討するよう委員会に求めた。

加えて、シリアへのあらゆる武器輸出の禁止、シリアへの航空機乗り入れの50%削減を12月15日から実施することを決定した。

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アラブ連盟のアフマド・ベンヒッリー事務副長は、外相会議に先立って、アラブ連盟がシリアでの流血の停止と内戦回避のために行動していると述べた。

諸外国の動き

ジョー・バイデン米副大統領はイスタンブールで記者会見を行い、「我々はシリアでの野蛮な弾圧について議論した。この問題に関する我々の意見はトルコと一致している。我々は忍耐を失った。我々はアサド大統領に去るよう求める、という意見だ」と述べた。

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フランスのクロード・ゲヤン内務大臣は、フランス国内のシリア人反体制活動家が脅迫を受けているとしたうえで、彼らを保護する意思を明らかにした。

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国連のシリア情勢調査委員会の委員長は、2011年11月だけで56人の子供がシリアの治安当局に殺害されたと発表した。

なお同発表によると、3月以降の子供の犠牲者数は307人。

AFP, December 4, 2011、Akhbar al-Sharq, December 2, 2011, December 3, 2011、December 4, 2011、al-Fajr, December 2, 2011、al-Hayat, December 5, 2011、Kull-na Shuraka’, December 3, 2011、Reuters, December 4, 2011、SANA, December 4, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド政権の改革支持を訴える集会が各地で実施され散発的な反体制デモを圧倒するなか、国連人権理事会がシリア情勢をめぐって国連各機関に対し「適切な措置を講じる」よう求める決議を採択(2011年12月2日)

シリア国内各地で、外国の干渉拒否、アサド政権の改革支持を訴える集会が各地で実施、離反兵による武装闘争や金曜礼拝後の散発的な反体制デモを圧倒した。

アサド政権の治安維持能力が改めて示されるなか、国連人権理事会は、国内の混乱を助長するかのように、反体制運動弾圧を「人道に対する罪」と非難する決議を採択した。

外国の内政干渉拒否、アサド政権の改革支持を訴える集会

SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011

SANA(12月2日付)は、外国の干渉拒否、アサド政権による改革指示を訴える集会が各地で開催されたと報じた。

同報道は、ダマスカス県サブウ・バフラート広場、タルトゥース県タルトゥース市、サーフィーター市、ラタキア県ラタキア市、スワイダー県スワイダー市、シャフバー市、ダマスカス郊外県ワーフィディーン・ゴラン高原難民キャンプ、サフナーヤー市、ハサカ県ラアス・アイン市での集会の写真を公開した。

各県での写真を見る限り、過去数週間の親体制集会と比して小規模ではあるが、地方都市で同時に親体制集会が行われたのはこれが初めてで、金曜礼拝後の散発的な反体制デモを圧倒したかたちとなった。

反体制デモ

シリア人権監視団とシリア革命総合委員会によると、金曜礼拝後に各地で反体制デモが各地で実施され、治安部隊の弾圧で民間人11人が殺害された。

フェイスブックでは「孤立地域の金曜日」の名のもとにデモが呼びかけられていた。

シャーム・ニュース・ネットワークなどは、ヒムス県ヒムス市、イドリブ県郊外などでデモが行われている映像を配信した。

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『クッルナー・シュラカー』(12月3日付)は、ハサカ県のラアス・アイン市で反体制デモが発生したと報じた。

デモではクルドの旗、独立期のシリア国旗が掲げられ、他の都市との連帯が訴えられたという。

SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011

デモが終わる頃、アサド政権の支持者が今度は体制支持デモを行ったが、同報道によると、その数は50人にも満たなかった。

一方、ダルバースィーヤ市、アームーダー市、カーミシュリー市、ダイリーク市でも反体制デモが行われた。

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レバノンの北部県アッカール郡の対シリア国境に位置するワーディー・ハーリド地方でシリア領内から発砲があり、4人が負傷した。

この発砲は、ヒムス県タッルカラフ地方での混乱を背景にしているという。

Sham News Network, December 2, 2011
Sham News Network, December 2, 2011
Sham News Network, December 2, 2011
Sham News Network, December 2, 2011

反体制武装集団の動き

シリア人権監視団によると、離反兵の一団が、イドリブ県ジスル・シュグール市とラタキア県ラタキア市にある空軍情報部施設を襲撃、数時間にわたって交戦し、空軍情報部兵士8人を殺害し、13人を負傷させた。離反兵側は1人が負傷したという。

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自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐はロイター通信(12月2日付)に対して、シリア軍部隊への物資の供給を絶つため、軍車輌を集中的に攻撃している、と述べた。

アスアド大佐は、自由シリア軍の活動の詳細について言及せず、「離反兵は3ヵ月間に調整を初めて以降、戦術を変更した」としたうえで、兵舎を標的と述べ、その攻撃が対人ではなく軍の兵站を標的としていることを強調した。

なおこうした発表・映像に関して、SANA(12月2日付)は、イドリブでの民間人殺害の報道は「ねつ造」だと反論した。

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これに対してSANA(12月2日付)は以下の通り報じた。

ハマー県では、ハマー市サーブーニーヤ地区に武装テロ集団がしかけた爆弾2発を爆弾処理班が撤去した。また同市内の医療センターを武装テロ集団が襲撃した。

ダルアー県では、武装テロ集団が複数の治安機関施設を襲撃した。またヌアイム市では爆弾処理班が武装テロ集団のしかけた爆弾を撤去した。

イドリブ県では、ハーン・シャイフーン市で治安維持部隊と武装テロ集団が交戦した。

その他の反体制勢力の動き

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月2日付)は、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長と単独インタビューを行い、その内容を報じた。

同報道は、アサド政権の高官がシーア派の一派のアラウィー派であり、シーア派のイランと同盟関係にあるとしたうえで、ガルユーン事務局長がこの状態をシリアの多数派を占めるスンナ派アラブにとって「異常だ」と述べたと伝えた。

またガルユーン事務局長は、アサド政権が崩壊した場合、「イランとの特別な関係はないだろう…。例外的な関係を清算することは、戦略的、軍事的同盟を解消することを意味する…。シリアの体制崩壊後は、ヒズブッラーとの関係もこれまでと同じものではなくなるだろう」と続けたという。

一方、イスラーム主義の台頭の可能性に関しては、「シリアでイスラーム主義者が独占する恐怖はないと思う…。彼らへの支持は10%にも満たない。ムスリム同胞団は30年にわたってほぼ亡命状態で、国内での調整はできない」と述べた。

一方、イスラエルが不当に占領するゴラン高原に関しては、その回復の必要を強調しつつ、武装闘争や武装組織の支援ではなく、交渉を通じて実現をめざすとの姿勢を示した。(筆者注:この姿勢はパレスチナのファタハの姿勢に類し、西側諸国が過去数年にわたって後押ししているものである)

http://online.wsj.com/article/SB10001424052970204397704577070850124861954.html?KEYWORDS=burhan

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アルジェリアの『ファジュル』(12月2日付)は、マラフ・ビカーイー女史らシリアの反体制女性活動家らが声明で、シリア国民評議会が女性の代表者を周縁化(過小評価)していると非難したと報じた。

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反体制活動家のアクサム・バラカート氏はElpha.com(12月2日付)に対して、シリア国民評議会の活動が「高く評価でき、そのことを活動結果が証明している」と述べた。

バラカート氏は、「反体制活動家のなかには、事を妨害使用とし続けるシャッビーハも多くいるが、彼らの試みは失敗している」と付言した。

またイスラエルとの関係があるとの一部指摘に関しては、それを否定した。

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Elpha.com(12月2日付)は、シリア国内で反体制活動を行うワリード・ブンニー氏が、シリア国民評議会から脱退し、「シリアのすべての反体制勢力を包摂するため、評議会にメンバー拡大を受け入れさせる努力が失敗に終わったため、今後は反体制勢力統一のため無所属として活動を続ける」と宣言したと報じた。

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シリア国民評議会の使節団(ブルハーン・ガルユーン事務局長ら)がブルガリアの首相、外相と会談した。

諸外国の動き

国連人権理事会は特別会合を開き、シリアでの反体制デモ弾圧を「重大かつ体系的」人権侵害と非難、「人道に対する罪」と断じ、国連各機関に「適切な措置を講じる」よう求める決議を採択した。

決議には西側諸国、サウジアラビア、クウェート、カタール、ヨルダン、リビアなど37カ国が賛成し、ロシアと中国を含む4カ国が反対、6カ国が棄権した。

シリアのファイサル・ハマウィー代表は、「人権理事会はその任務を逸脱した」と述べ、シリア側が提示した情報や文書のすべてを無視していると、その姿勢を非難した。

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EUが官報で追加制裁の対象となる政府関係者、機関を公表した。

リストに記載された主な政府関係者、機関は以下の通り:

ムハンマド・ジャラーラーティー(財務大臣)
ムハンマド・ニダール・シャッアール(経済通商大臣)
ファフド・ジャースィム・フライジュ(一等中将、参謀長)
イブラーヒーム・ハサン(少将)
ハリール・ザグラフィーヤ(准将)
アリー・バラカート(准将)
タラール・マフルーフ(准将、共和国護衛隊、ワリード・アッカーウィー、ハサン・M・ユースフの義理の兄弟)
ナズィーフ・ハッスーン少将(総合情報部次長)
マアン・ジャディード(大尉、共和国護衛隊大統領治安局)
ムハンマド・シャッアール
ハーリド・タウィール
ガイス・ファイヤード(反体制デモ弾圧に関与、シャフィーク・ファイヤードの息子)

『ワタン』
シャーム・プレス
科学研究調査センター
Syronics
Sytrol(石油会社)
石油公社
ユーフラテス石油会社

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ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使はアラブ連盟による対シリア経済制裁に関して、「シリア危機解決における建設的役割を果たすための機会をアラブ連盟はつかみ損ねた」と非難した。

チュルキン国連大使は「シリアへの監視団派遣というアラブ連盟の計画は重要だが、シリア政府の修正提案は考慮・審議し得るものだった」と述べた。

また「シリアだけでなくイランをも対象としたかたちでの対決のシナリオがますます懸念されるようになっている」と付言した。

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ジョー・バイデン米副大統領はトルコの『ヒュッリイェト』(12月2日付)に対して、「合衆国の姿勢は明確だ。シリアの現体制は国民に対する蛮行を止め、アサド大統領は国民の意思を尊重する平和的転換を可能とするべく去らねばならない」と述べた。

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ロイヤルダッチ・シェル社はシリアへの追加制裁発動を受け、シリア国内での操業を停止するだろう、と発表した。

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SANA(12月2日付)は、イランのヌーリー・マーリキー首相がバクダードでの戦略研究会議で、出席者を前にして、「いかなる国に対しても経済制裁を科すことに拒否する。なぜならそれは体制ではなく国民に被害を与えるからだ」と述べた、と報じた。

AFP, December 2, 2011、Akhbar al-Sharq, December 6, 2011、Elpha.com, December 2, 2011、al-Hayat, December 3, 2011、Kull-na Shuraka’ , December 2, 2011, December 3, 2011、Reuters,
December 2, 2011、SANA, December 2, 2011、The Wall Street Journal, December 2, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.