安保理で西側および一部アラブ諸国が共同で提出した対シリア制裁決議案が審議されるなか、シリア当局は「(シリアの)主権を侵害したあからさまな内政干渉」を非難(2012年1月31日)

SANA, January 31, 2012
SANA, January 31, 2012

国連の動き

西側および一部アラブ諸国が共同で提出した対シリア制裁決議案が安保理で審議された。

『ハヤート』(2月1日付)が入手した対シリア安保理決議案の骨子は以下の通り。

1. アラブ連盟イニシアチブ(行程表)への完全なる支持の表明。
2. 挙国一致内閣の発足。
3. 大統領権限の副大統領への移譲と、同副大統領による移行期間における挙国一致内閣への強力。
4. アラブ連盟の監視下での自由で透明性のある選挙の実施。
5. 国連加盟国への安保理によるアラブ連盟の対シリア経済決議と同様の措置の奨励。
6. シリア政府が15日以内に決議に従わない場合、アラブ連盟と協議のもと追加措置を検討。
7. シリア政府による人権侵害への非難。
8. シリア政府への暴力停止の呼びかけ。
9. 武装集団を含むすべての当事者による暴力停止の要求。
10. 人権侵害の責任者への制裁。
11. シリア政府への政治犯釈放、軍の都市部からの撤退、アラブ連盟監視団など地域・国際機関の自由な活動保障の要求。

審議には、カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣(アラブ連盟シリア問題閣僚委員会委員長)、ヒラリー・クリントン米国務長官、ウィリアム・ヘイグ英外務大臣、アラン・ジュペ外務大臣らが出席した。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は『ハヤート』(2月1日付)に対して、安保理会合で各国代表らに回付した自身の書簡が、「アラブ連盟の決議を支持する安保理声明を採択することで、アサド政権と反体制勢力の双方に圧力をかけようとしている連盟を支援すること」、「暴力の停止と治安措置に基づく問題解決の拒否の必要の強調」を骨子としていると語った。

またアラビー事務総長はカタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣(シリア問題閣僚委員会議長)とともにロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使、中国の李保东国連大使と会談した。

アラビー事務総長によると、いずれの大使との会談も、決議案に関して「開放的」に対話が行われたという。

また事務局長によると、ロシアが決議案を支持するか否かは「アラブ連盟の行程表をどのように受け入れるか」、すななわち1月22日の連盟外相会合の決議の「政治的解決の達成と治安措置に基づく解決の拒否」という考え方をど捉えるかにかかっているという。

一方、シリアの反対勢力に関しては、「安保理に問題が付託されれば、魔法の杖になる」という「幻想」に陥らないよう警鐘をならした。

そのうえで、「アラブ連盟がめざしているのが、政治プロセスを通じた政治的・国民的和解への到達であり、それによってシリア国民の意思を実現することにある」と述べた。

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『ハヤート』(2月1日付)によると、中国、インド、パキスタンは、アラブ連盟との対立を望ましいとは考えておらず、安保理決議案に関して比較的柔軟だという。

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『ハヤート』(2月1日付Iによると、ロシアのチェルキン代表は、安保理での審議に先立って、「(目標を)明確に設定しないかたちでの政治的移行プロセス」をじっくり支持していく必要があると語り、対リビア安保理決議で「西側に欺かれた」ことを教訓に慎重な姿勢をとっている。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、「弾圧にもかかわらず、恐怖に基づくアサド現政権はいずれ終わり、シリア国民が自らの運命を描きだすだろう…。国際社会は意見対立を払拭し、シリア国民を支持するという明確なメッセージを送る時が来た」と述べ、アラブ連盟のイニシアチブへの支持を表明した。

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SANA(1月31日付)によると、国連安保理会合で、シリアのバッシャール・ジャアファリー常駐代表は、シリアがアラブ連盟の行動計画(11月1日にシリア政府と連盟閣僚委員会が合意)および連盟監視団派遣に関する議定書を逸脱したいかなる決議をも拒否すると述べたうえで、1月22日の連盟外相会合の決議(副大統領への権限移譲、挙国一致内閣発足などが骨子)をシリアの「主権を侵害したあからさまな内政干渉」だと非難、連盟憲章に違反しており無効だと訴えた。

またシリアが監視団の活動延長に合意したにもかかわらず、アラビー事務総長とカタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣が問題を国連に付託しようとしたことを「驚くべき矛盾」と非難した。

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国連の潘基文事務総長は、訪問先のアンマンでの記者会見で、安保理での対シリア決議案に関して、「安保理会合が国際社会の要請に応じたかたちで早急に成果を得ることを望む」と述べ、バランスを欠く西側諸国依りの姿勢を改めて明示した。

国内の暴力

複数の目撃者・活動家によると、軍・治安部隊は、離反兵(自由シリア軍)が撤退したダマスカス郊外県グータ地方東部(ランクース市など)や、ヒムス県(ヒムス市、ラスタン市など)、イドリブ県(サラーキブ市)など各地で大規模な治安回復作戦を継続し、住宅地に向かって激しい「砲撃」を加え、数十人が死傷したという。

またダルアー県では、複数の活動家によると、デモ参加者の葬儀に参列した数千人が反体制デモを行ったという。

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ヒムス県では、SANA(1月31日付)によると、ヒムス市バーブ・アムル地区で精油所に原油を送るための石油パイプラインを武装テロ集団が爆破した。

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『クッルナー・シュラカー』(1月31日付)は、ムスタファー・トゥラース元国防大臣の次男でアサド大統領の友人の一人であるマナーフ・トゥラース准将が殺害されたと報じた。

事実関係に関しての詳細は報じられていない。

SANA, January 31, 2012
SANA, January 31, 2012

アサド政権の動き

SANA(1月31日付)は、アサド大統領がダマスカス県にある殉教者ユースフ・アズマ病院を訪問し、軍・治安部隊の負傷者を見舞ったと報じた。

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『シリア・ステップス』(1月31日付)は、バアス党高官の話として、2月に予定されていたバアス党第11回シリア地域大会が治安状況を理由に延期される見込みだと報じた。

反体制勢力の動き

トルコで避難生活を送る自由シリア軍の司令官リヤード・アスアド大佐は、AFP(1月31日付)の電話取材に対して、軍・治安部隊の大規模掃討作戦に関して「悪党の戦争」と非難する一方、「国土の50%はもはや体制の支配下にない」と誇張した。

しかし「このことは自由シリア軍がいずれかの地域を完全に制圧したことを意味してない」と付言し、その勢力が自らのプロパガンダほど強力でないことを暗に認めた。

一方、自由シリア軍が、イドリブ県のジスル・シュグール市やマアッラト・ヌウマーン市などにある軍・治安部隊の検問所や車輌を標的としていると述べた。

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国連安保理会合に合わせてニューヨークを訪れたシリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は、ロシアのチェルキン代表と会談した。

このほか、ジェフリー・フェルトマン米国務次官補とも会談した。

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民主的変革諸勢力国民調整員会在外事務局のハイサム・マンナーア代表は、『ハヤート』(2月1日付)に対して、「ロシア的な解決策は5月であれば受け入れられたが、今は遅すぎるし、実質的でなく、受け入れられない」と述べた。

また、「安保理で採決されることはないだろう。なぜなら今日(31日)に採決してしまえば、彼ら(西側)の計略は破綻するから」と述べるとともに、「ロシアはシリア政府にアラブ連盟のイニシアチブを強いることができる唯一の当事者」と位置づけたうえで、「アラブとロシアの対話を求める」と述べ、国連主導ではなく、アラブ連盟主導による問題解決への支持を表明した。

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シリア・ムスリム同胞団のリヤード・シャカファ最高監督者は、トルコのアナトリア通信(1月31日付)に対して、ロシアが提案しているアサド政権との対話を拒否するとの意思を明示した。

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パリで亡命生活をしているアブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領は書簡を発表し、米英仏独、および国連事務総長に対して、「シリア救済のための国際的・軍事的連合の結成」を呼びかけるとともに、アサド大統領が「犯罪行為を通じて国を宗派主義的内戦へと追いやり、アラウィー派の国家を作ろうとしている」と警鐘を鳴らした。

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シリア革命調整連合は、「住宅地区保護地元青年諸委員会」の発足を呼びかけた。

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シリア国民評議会は、地元調整諸委員会など反体制勢力とともに、「アサドの専制体制による野蛮な虐殺への犠牲に対する怒りと追悼の日」と宣言し、モスクや教会に服喪を呼びかけた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、オーストラリアのABCチャンネル(1月31日付)に対して、「アサド大統領が政権にとどまることを危機解決の条件としたことなど一度も行ったことはない。我々は解決策がシリア的なものでなければならず、シリアのすべての当事者・集団が対話のテーブルに着いて、誰が去り、誰が来るのかを決めるために合意せねばならないと言ってきた」と述べ、対話に応じようとしない反体制勢力の姿勢を「正しくなく挑発的でよい結果をもたらさない」と批判した。

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ジェームズ・クラッパー米国家情報長官は、アサド政権の崩壊は必然的だと述べた。

しかし同長官は、アサド政権による「シリアの支配が続くとは思わない…。個人的には、時間の問題だと思う。しかし問題なのは長い時間がかかるかもしれないということだ」と付言し、同政権を打倒することが容易でないことを暗に認めた。

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サウジアラビア紙『マディーナ』(1月31日付)は、サルマーン・アンズィーを名のるサウジ人ハッカーがアサド大統領や主要各省のE-mailアカウントをハッキングし、大統領および関係者のスキャンダルを入手したと脅迫している、と報じた。

一国の長であるアサド大統領自身がE-mailで高官と連絡をとり合っているとは到底考えられない。

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アラブ連盟監視団を脱退したアルジェリア人のアンワル・マーリク氏はパリで記者会見を行い、「アースィフ・シャウカトが「監視カメラがなかったら、15分ですべてを終わらせる用意がある」と言った」と述べた。

むろん、シャウカト中将がこのような発言したという証拠はない。

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シリア・パレスチナ国民委員会は、パレスチナ解放軍(ターリク・ハドラー司令官)がシリアの反体制運動弾圧に参加している、と発表した。

AFP, January 31, 2012、Akhbar al-Sharq, January 31, 2012, February 5, 2012、AKI, January 31, 2012、al-Hayat, February 1, 2012、al-Madina, January 31, 2012、Kull-na Shuraka’, January 31, 2012、Reuters, January
31, 2012、SANA, January 31, 2012、Syria Steps, January 31, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

軍・治安部隊が自由シリア軍が制圧していたとされるダマスカス郊外県の各都市を奪還、一方アラブ連盟事務総長はロシアと中国に対し同連盟の行程表を支持するよう求める(2012年1月30日)

国内の暴力

『ハヤート』(1月31日付)は、数日前から自由シリア軍を名のる離反兵が制圧(占拠)していたとされるダマスカス郊外グータ地方東部の県各都市を、軍・治安部隊が奪還したと報じた。

SANA, January 30, 2012
SANA, January 30, 2012
SANA, January 30, 2012
SANA, January 30, 2012

軍・治安部隊が奪還した(ないしは現在も包囲中である)のは、サクバー市、ランクース市、ムウダミーヤト・シャーム市、ハムーリーヤ市、カフルバトナー町、アルバイン市、ドゥーマー市、ハラスター市など。

シリア革命総合委員会によると、ダマスカス郊外県は、戦車、装甲車などを動員した軍・治安部隊の侵入により「被災地区」と化している、という。

シリア人権監視団によると、軍部隊は6日間にわたる包囲のち、ランクース市に侵入し…、離反兵は同市から撤退した」。

ダマスカス県およびダマスカス郊外県革命調整連合の報道官によると、「自由シリア軍は所持している武器で戦車に応戦することはできない。しかし戦車はメインストリートに侵入しただけだ。しかも、自由シリア軍の攻撃でそこから出られなくなっている」と述べた。

AFP(1月30日付)がシリア軍兵士の話として伝えたところによると、ハラスター市、ドゥーマー市、サクバー市につながる道はすべて閉鎖されている。

一方、SANA(1月30日付)によると、内務省は声明を出し、過去3日にわたってドゥーマー市、ハラスター市、サクバー市、ハムーリーヤ氏、カフルバトナー町で武装テロ集団に対する掃討作戦を実行したと発表した。

同声明によると、関係機関は米国・イスラエル製の武器で攻撃を行う武装テロ集団を整髪し、多数のテロリストを逮捕したほか、同集団が使用していた隠れ家を発見、大量の武器、弾薬、爆発物を押収した。

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会によると、ヒムス市バーブ・アムル地区などでも軍・治安部隊と離反兵の激しい戦闘があり、各地での犠牲者数は50人にのぼった。

またシリア人権監視団によると、ヒムス市で医師が暗殺されるなど17人が死亡した。

一方、SANA(1月30日付)によると、タッルカラフ地方でヒムス県とタルトゥース県バーニヤース市を結ぶガス・パイプラインが武装テロ集団によって爆破され、460,000立方メートルのガスが焼失した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、フラーク市で治安部隊のバスが離反兵に襲撃され、6人が殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アウラム・ジャウズ村・カフルナブル市付近で軍・治安部隊と離反兵が激しい戦闘を行った。

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『クッルナー・シュラカー』(1月30日付)によると、ハサカ県ダルバースィーヤ市でロシアのアサド政権支持に反対するデモが発生した。

アサド政権の動き

SANA(1月30日付)は、ラッカ県および近隣アラブ諸国の部族代表が大会を開き、シリアに対する陰謀、テロ行為、経済制裁に抗議したと報じた。

反体制勢力の動き

Akhbar al-Sharq, January 30, 2012
Akhbar al-Sharq, January 30, 2012

シリア人権擁護連盟は、自由シリア軍の初代司令官フサイン・ハルムーシュ大佐が先週処刑されたと発表した。

同連盟の声明および『クッルナー・シュラカー』(1月28日付)がインターネットサイトから得た情報によると、ハルムーシュ大佐はダマスカス県マッザ航空基地の空軍情報部調査課での裁判で有罪判決を受け、処刑された、という。

しかし自由シリア将校運動(フサイン・ハルムーシュ大佐ら離反兵が当初名のっていた組織名)は、この発表に関して「大佐の処刑に関する事実確認がとれていない」との声明を出した。

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ダマスカス郊外県での軍・治安部隊の攻勢が強まるなか、トルコで避難生活を送る自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐はジャズィーラ(1月30日付)の電話取材に応じ、「バッシャール・アサド大隊」の士気は衰退を始め、政府から悪党たちは去り始めた」と述べ、そのことがダマスカス郊外県に対する軍・治安部隊の「無差別攻撃」をもたらした、とのコメントをした。

またシリア革命広報局メンバーを名のるアラーッディーン・ユースフ氏もジャズィーラ(1月30日付)に対して、同様の発言を行った。

一方、自由シリア軍のリヤード・ヌアイミー大佐(トルコ在住)はAFP(1月30日付)に対して、「自由シリア軍からの情報・報告によると、ダマスカス県8キロの地点でも大規模な離反と戦闘が行い、そのことはダマスカスに戦闘が近づいたことを示している」と述べた。

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フェイスブックによると、リヤード・トゥルク弁護士と並ぶシリア人民民主党の重鎮アフマド・ファーイズ・ファウワーズ氏が、民主的変革諸勢力国民調整委員会からの脱会を宣言した。

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『クッルナー・シュラカー』(1月30日付)は、ダルアー県ムフティーでウマリー・モスクのイマームでもあるアフマド・スィヤースィナ氏がヨルダンに避難し、反体制運動に加わったと報じた。

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シリア人権擁護連盟は声明を出し、2011年3月からの反体制運動発生から1月23日までの犠牲者数が6,729人に上ったと発表した。

同声明によると、このうち456人が子供、316人が女性、724人が離反兵だという。

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シリア・クルド民主変革運動、民主改革党、団結党、および無所属の活動家が新たな政治同盟、シリア選択潮流を発足した。

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国内で反体制活動を行う人民意思党のカドリー・ジャミール党首は声明を出し、アサド政権と反体制勢力の対話を提案したロシアの動きを歓迎した。

レバノンの動き

3月14日勢力の指導者の一人でレバノン・カターイブ党最高党首のアミーン・ジュマイイル前大統領は記者会見を開き、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長を含む複数のシリア人高官と接触し、レバノン内戦中などにシリア国内で失踪したレバノン人に関する情報を収集していることを明らかにした。

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3月14日勢力に属するレバノン軍団は、ナジーブ・ミーカーティー内閣に対して、最近シリアで失踪したレバノン人の行方を調査するよう求めた。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟のアフマド・ベンフッリー事務副長は、2月5日にシリア問題に関する閣僚委員会(ハマド・ブン・ジャースィム・カタール首相兼外務大臣が議長)が開催され、国連安保理の審議に出席予定のハマド首相兼外務大臣とナビール・アラビー事務総長の任務内容と、連盟監視団の今後の活動について審議すると発表した。

アラビー事務総長はカイロで、ロシアと中国に対して、西側および一部アラブ諸国が共同作成した決議案とアラブ連盟の行程表を支持するよう求めた。

アラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長は『ハヤート』(1月30日付)の電話取材に応じ、「シリアの反体制勢力には満足できない。彼らは我々に活動して欲しいと思っていない。なぜならこの問題を安保理に付託し、体制を崩壊させようしているからだ」と批判した。

その一方で、シリア政府が最近の治安状況の悪化を、「あらゆる暴力の停止」を求める連盟議定書の文言を乱用した結果だと非難した。

一方、監視団の活動に関しては、「我々は誠実さと透明性をもって活動した」と述べた。

諸外国の動き

ロシア外務省は、アサド政権と反体制勢力の双方に対して、事態収拾のための「非公式対話」を呼びかけ、アサド政権が前向きな姿勢を示していると発表した。

しかし、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は、ロシアがアサド政権と反体制勢力の「非公式対話」の実施を呼びかけてていることに関して、アサド大統領が退任するまではいかなる対話をも拒否するとの姿勢を示した。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、アサド政権による攻撃を改めて厳しく批判するとともに、安保理に対して「国際社会がこのような行為を平和と安全を脅かすものとみなしていることをシリア政府に明確に理解させるべく行動しなければならない」と述べた。

またスーザン・ライス米国連大使は、米国が「アラブ連盟の行程表を完全に支持し、承認する」と述べた。

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イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、アフリカ連合サミットに出席するために訪問中のアジスアベバで、シリアの危機は、政治的対話を通じて解決されるべきと述べるとともに、政治改革には時間が必要だと述べ、憲法改正などアサド政権が一連の改革プログラムを約束していると強調、それをそれを支持するとの姿勢を示した。

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フランス外務省報道官は、アラン・ジュペ外務大臣がシリア問題に関する決議案の審議のための安保理会合に出席するために米国に発ったと発表するとともに、「シリアの政府は去らねばならない」と改めて表明した。

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イスラーム諸国会議機構のエクメレッディン・イフサンオール事務局長は、AFP(1月30日付)に対して、国連安保理がシリアの民間人保護のための責任を果たし、流血停止のための措置を講じるべきだと述べた。

AFP, January 30, 2012、Akhbar al-Sharq, January 30, 2012、AKI, January 30, 2012、BBC, January 30, 2012、al-Hayat, January 31, 2012、Kull-na Shuraka’, January 28, 2012、January 30, 2012, February 1, 2012、Naharnet.com, January 30, 2012、Reuters, January 30, 2012、SANA, January 30, 2012、などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア・クルド国民大会がエルビル市で開催、「自由シリア青年」を名のる集団が声明を出しシーア派宗徒に反体制運動に参加するよう呼びかけ(2012年1月29日)

国内の暴力

シリア人権監視団およびシリア革命総合委員会によると、ダマスカス郊外県、ダルアー県、ヒムス県、ハマー県などの各地で軍・治安部隊と離反兵が交戦し、民間人および双方に60人以上の死者が出た。

Ugarit News Network, January 29, 2012
Ugarit News Network, January 29, 2012

シリア人権監視団によると、イドリブ県、ダルアー県、ヒムス県、ダマスカス郊外県、ハマー県、ダマスカス県ジャウバル区で民間人26人が死亡、ダマスカス郊外県、イドリブ県、ハマー県、ヒムス県で離反兵9人が死亡、イドリブ県、ダマスカス郊外県で軍兵士26人が死亡、ダマスカス郊外県ザバダーニー市、イドリブ県で治安部隊兵士5人が死亡したという。

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ダマスカス郊外県グータ東部では、複数の活動家によると、約2,000人の兵士、戦車・装甲車約50輌が、自由シリア軍を名のる離反兵が占拠するサクバー市、ハムーリーヤ市、カフルバトナー町、ランクーサ市の解放のために動員され、各市を包囲し、一部都市ではライフラインが遮断され、モスクが野戦病院化するなど、「市街戦」の様相を呈している、という。

自由シリア軍のマーヒル・ヌアイミー少佐によると、「体制の激しい攻撃は前例がないほど」と述べる一方、ジスリーン町、アイン・タルマー村、ハムーリーヤ市、サクバー市、ハラスター市、ドゥーマー市、フタイタト・トゥルクマーン市で軍兵士の離反が相次いでいると述べた。

また『クッルナー・シュラカー』(1月29日付)は、アドラー中央刑務所で27日から連日連夜、反体制運動に参加して逮捕された政治犯の釈放を求めるデモが発生していると報じた。

一方、SANA(1月29日付)によると、サフナーヤー市近郊で武装テロ集団が軍部隊に対して爆弾攻撃を行い、中尉2人を含む兵士6人が死亡した。

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ヒムス県では、『ハヤート』(1月30日付)などによると、ラスタン市では前日に引き続き、軍・治安部隊と離反兵との間で激しい戦闘が続いた。

またNNA(1月29日付)は、地元住民などの話として、タッルカラフ地方の対レバノン国境に架かるジャアファリーヤ橋で、レバノン人2人、シリア人1人が殺害され、シリア人2人が負傷したと報じた。

一方、OTV(1月29日付)は、「イラク人に率いられたレバノン人9人からなる武装集団がシリアに潜入し…、待ち伏せしていたシリア軍の攻撃により、メンバー4人が殺害され、複数が負傷した」と報じた。

他方、SANA(1月29日付)は、武装テロ集団がヒムス市農業局に勤務する技師アマル・イーサー女史の車を襲撃し、暗殺したと報じた。

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イドリブ県では、SANA(1月29日付)によると、バルユーン・カムサフラ街道で、武装テロ集団が治安維持部隊に爆弾攻撃を行い、准将1人と兵士1人が負傷した。

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アレッポ県では、複数の反体制活動家によると、アレッポ市東部、とりわけマルジャ地区で厳戒態勢が強化され、地区ごとに検問所が設置された。

アサド政権の動き

シリア暴力テロ犠牲者遺族監視団は、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長による監視団活動停止の発表に関して、「イスタンブール評議会(シリア国民評議会)と武装集団にシリアに対する犯罪行為激化の青信号を出した」に等しいと厳しく非難した。

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SANA(1月29日付)によると、政党問題員会は会合を開き、自由シリア党、祖国シリア党の2党の公認申請を受理することを決定した。

反体制運動の動き

シリア・クルド国民大会がイラクのクルディスタン自治政府の支援のもと、エルビル市で2日にわたって開催された。

同大会には西側諸国など25カ国で暮らすシリア・クルド人活動家約210人が出席し、国内外のシリア・クルド人の運動の統合と反体制デモ支持について議論した。

しかし、現下のシリア国内の危機的状況への対処の仕方、シリア国内のクルド人の将来の処遇に関して、改めて意見の相違が露呈した。

AFP(1月30日付)によると、同大会書記長のジャワード・ムッラー氏は、国際社会の内政干渉に関して、「サッダーム・フセインの体制は外国の介入なしに倒れなかったという経験があるなか、外国の介入は唯一の解決策」と述べ、西側諸国と一部アラブ諸国が進める介入の試みへの支持を表明した。

また「シリアにクルド政府が発足するのは必然だ」と述べつつも、クルド民族主義勢力がこの点に関してコンセンサスに達していないことを認め、アサド政権打倒後に国民投票を行う必要があるとの立場を示した。

シリア国内で活動するクルド民族主義反体制組織の一つ、シリア・クルド民主党(パールティー)のアブドゥルハキーム・バッシャール書記長は、「外国の介入は時期尚早だ。国際社会が政治、経済、情報、外交において圧力をかけることでコンセンサスに達したとしても、国民的な解決の方がよい」と述べ、慎重な慎重な姿勢を示した。

またハキーム書記長は、「シリアのクルド人民は国民投票を通じて何をめざすのか、そして自決権利をどう行使するかを決し、自治と分権主義のいずれを採用するかを決めるだろう」と述べた。

一方、シリア国内で活動するシリア・クルド進歩民主党のアブドゥルハミード・ダルウィーシュ書記長は、アサド政権打倒後のシリアでの「クルディスタン地域」設置の是非に関して、「状況が異なっているので、イラクのクルド人と同じようなもの(自治政府)が作られることはないだろう」と述べた。

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シリア変革大会(アンタリア)は声明を出し、アラブ連盟監視団の活動停止に関して、停止ではなく撤収すべきだとの意思を示した。

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『クッルナー・シュラカー』(1月29日付)は、シリア軍の匿名消息筋の話として、アサド政権による弾圧命令を拒否した上級士官の一団が近く「シリア国民軍」の創設を発表する、と報じた。

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『ミスリー・ヤウム』(1月29日付)は、自由シリア軍がダマスカス国際空港(ダマスカス郊外県)からシリア国外に避難しようとしていたアスマー・アフラス大統領夫人、大統領の3人の子供、アニーサ・マフルーフ氏(大統領の母)らを阻止したと報じた。

しかし、自由シリア軍はこうした作戦を行ったとの声明は出していない。

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「自由シリア青年」を名のるシーア派の活動家(と思われる集団)が声明を出し、シーア派宗徒に反体制運動に参加するよう呼びかけた。

レバノンの動き

ベイルートのロシア大使館前で、アサド政権を支持するシリア人、レバノン人多数が集会を開き、西側および一部アラブ諸国のアサド・バッシングに異議を唱えるロシアに謝意を示した。

諸外国の動き

イタルタス通信(1月29日付)は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣が、「彼らがこのような方法で有益な任務に対処したのか理由が知りたい…。私が彼らの立場だったら、監視団の増員を支持していた」と述べ、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長による監視団活動停止の発表に疑義を呈した。

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フランスの国連代表は国際社会にシリア人の保護に責任を果たすべく「安保理から」国際社会が動くべきだとの声明を発表、各国代表に配布した。

AFP, January 29, 2012, January 30, 2012、Akhbar al-Sharq, January 29, 2012、al-Hayat, January 30, 2012,January 31, 2012、Kull-na Shuraka’,January 29, 2012, February
1, 2012、al-Misriya al-Yawm, January 29, 2012、Naharnet.com, January 29, 2012、Reuters, January 29, 2012、SANA, January 29, 2012などをもとに作成。

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西側諸国および一部アラブ諸国が共同で作成した安保理決議案が提出、クルド民族主義政党および民主統一党がアサド政権との合意のもとハサカ県の暫定自治開始を宣言する見込み(2012年1月28日)

アラブ連盟の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、一部アラブ諸国外相との協議の結果、連盟監視団の活動を停止し、今後の活動に関して2月5日(日曜日)の閣僚委員会会合で審議することを明らかにした。

この決定に関して、アラビー事務総長は、シリアにおける情勢悪化に伴う決定だと述べた。

国内の暴力

複数の反体制勢力筋によると、ダマスカス郊外県各地で軍・治安部隊と離反兵が激しく交戦した。

同筋によると、サクバー市、ジスリーン町、カフルバトナー町は離反兵が制圧(占拠)し、武装した戦闘員が警備にあたっている、という。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、グータ地方東部で軍・治安部隊と離反兵が激しく交戦し、民間人6人、軍・治安部隊兵士16人、離反兵3人が死亡した。

また軍・治安部隊は、離反兵が制圧(占拠)しているとされるカフルバトナー町、サクバー市、ハムーリーヤ市、ジスリーン町、アルバイン市に戦車・装甲車などで突入し、掃討作戦を行ったという。

一方、ハラスター市でも、治安部隊が設置した検問所で青年1人が銃殺された。

これに対して、SANA(1月28日付)は、アドラー市・ドゥーマー市館で武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃し、曹長1人を含む7人を殺害されたと報じた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、フーラ地方で軍・治安部隊と離反兵が激しく交戦し、軍・治安部隊兵士が少なくとも5人死亡した。

またラスタン市でも同様の戦闘があり、離反兵3人が死亡したという。

さらに複数の活動家によると、ハマー市内で頭を撃たれた遺体17体が発見された。

しかし、SANA(1月28日付)によると、ヒムス市郊外で武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃し、兵士1人を殺害した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市郊外で治安部隊の発砲により市民1人が殺害されたという。

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イドリブ県では、SANA(1月28日付)によると、イドリブ・アリーハー街道で武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃し、兵士1人を殺害した。

SANA, January 28, 2012
SANA, January 28, 2012

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、クーリーヤ市で治安部隊の「迫撃」により子供1人が死亡した。

一方、SANA(1月28日付)によると、クーリーヤ市南部の石油パイプラインに対して、武装テロ集団が破壊工作を行い、火災が発生し、約2,000バレルの石油が焼失した。

アサド政権の動き

ムハンマド・シャッアール内務大臣は、国内での掃討作戦に関して、「ならず者と法律違反者の粛清」を行っていると述べた。

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SANA(1月28日付)は、シリア政府が活動期間延長に合意したにもかかわらず、アラブ連盟が監視団の活動中止を決定したことは遺憾であり奇妙だ、とのシリア政府高官の談話を伝えるとともに、この決定が、GCC諸国の監視団撤収決定に同調した動きで、シリア国内の暴力の継続が理由ではなく、シリア内政への外国の干渉を促すための布石だと非難した。

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『クッルナー・シュラカー』(1月28日付)は、PKK系のクルド民族主義政党、民主統一党が12月の統一地方選挙で選出された県議会および地方議会の開会後に、アサド政権との合意のもと、ハサカ県の暫定自治開始を宣言する見込みである、と報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は声明を出し、ブルハーン・ガルユーン事務局長ら使節団がニューヨークに向かい、安保理で民間人保護を保障するよう求めることを明らかにした。

また同声明で評議会は、「自由を求めるシリア国民の殺戮に参与するイラン政府」を批判する一方、世界中のロシア大使館でシリアの体制指示停止を求めるデモを行うよう呼びかけた。

さらに、サウジアラビア、カタールなどのGCC諸国がシリア国民を支援し、流血を止めようとしていると評価し、謝意を示した。

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シリア国民評議会執行委員会のアフマド・ラマダーン氏は『ハヤート』(1月29日付)に対して、「増加し、減少することのない殺戮行為を隠蔽するより、撤収する方がよい」と述べ、アラブ連盟監視団の活動停止への歓迎の意を示した。

国連の動き

西側諸国および一部アラブ諸国が共同で作成した安保理決議案をモロッコ(2011年にレバノンに代わって非常任理事国に選出)が安保理に提出した。

『ハヤート』(1月29日付)によると、同決議案は、シリア政府にあらゆる攻撃と人権侵害への禁止を求めるとともに、武装集団を含むすべての当事者に暴力停止を求めている。

アラブ連盟が11月に決定した経済制裁に関しては、すべての加盟国に同様の措置を講じるよう奨励している。

また、大統領権限の副大統領への権限移譲と挙国一致内閣発足を求めた連盟の行程表についてもこれを「強く支持」し、その実施をシリアに求めているが、強制力は伴っていない。

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ロシアの国連代表は、決議案に関して対話する用意があるとしつつ、その内容に関して「越えてはならない我々のレッドラインを越えている」と非難し、アサド政権への制裁、武器禁輸、体制転換をも拒否するとの意思を示した。

諸外国の動き

イスタンブールで、GCC外相とアフメト・ダウトオール外相が会談し、シリア政府に対して連盟の行程表を受諾し、殺戮を停止するよう求めた。

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SANA(1月28日付)は、ヒムス県のジャンダル発電所で働くイラン人技術者7人が武装テロ集団に誘拐されたことをイラン高官が確認したと報じた。7人はレバノン北部に連れ去られた、という。

また同報道によると、アレッポ・ハマー街道でイラン人巡礼者11人が武装テロ集団に誘拐されたと報じた。

AFP, January 28, 2012、Akhbar al-Sharq, January 28, 2012、al-Hayat, January 29, 2012、Kull-na Shuraka’, January 28, 2012、Reuters, January
28, 2012、SANA, January 28, 2012などをもとに作成。

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ヒムス県、ハマー県、アレッポ県、ダマスカス郊外県、ダルアー県などで大規模な掃討作戦が発生し「過去3日間で暴力が著しくエスカレート」(2021年1月27日)

国内の暴力

シリア革命総合委員会によると、ヒムス県、ハマー県、アレッポ県、ダマスカス郊外県、ダルアー県などで、軍・治安部隊が反体制抗議運動の掃討を目的とする大規模な弾圧を行い、84人が殺害されたという。

SNN, January 27, 2012
SNN, January 27, 2012
SNN, January 27, 2012
SNN, January 27, 2012

シリア人権監視団、地元調整諸委員会など、複数の活動家によると、弾圧は、迫撃砲などが使用された「市街戦」の様相を呈し、また軍・治安部隊が包囲するなか、各地で反体制デモが行われたという。

また別の活動家によると、弾圧は「シャッビーハ」が行っており、そのさまは「離反兵に殺害されたメンバーへの単なる復讐」の様相を帯びていたという。

一方、シリア公式筋は、ヒムス県、ダマスカス県、ダイル・ザウル県などでの武装テロ集団による犯罪行為を大々的に報道した、国際社会に訴えようとする反体制勢力とは別の思惑、すなわち弾圧の正当化という思惑のもと被害を誇張した。

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もっとも暴力が激しかったのは、ヒムス県ヒムス市で、軍・治安部隊が26日夜からバーブ・アムル地区、カラム・ザイトゥーン地区などで大規模な掃討作戦を行い、一家族29人(うち子供8人)が殺害されたという。

一方、SANA(1月27日付)によると、ヒムス市マイダーン地区で武装テロ集団が発砲し、治安維持部隊兵士1人が殺害され、14人が負傷した。

タルビーサ市では、地元調整諸委員会によると、26日夜から大規模な反体制デモが発生し、軍・治安部隊が迫撃砲などを用いて弾圧を試みた。

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ダマスカス郊外県では、地元調整諸委員会によると、ザマルカー町などで金曜礼拝後に反体制デモが発生し、武装部隊が実弾を用いて強制排除したという。

またハラスター市、アルバイン市、ドゥーマー市などでは、軍・治安部隊と離反兵が交戦した。

ドゥーマー調整委員会によると、自由シリア軍がドゥーマー市に突入したほか、ハラスター市、ダマスカス県カーブーン区を「包囲」、またランクース市を襲撃したという。

一方、SANA(1月27日付)によると、カタナー市で武装テロ集団が仕掛けた爆弾が2発爆発し、複数の市民と兵士が負傷した。

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ダマスカス県では、地元調整諸委員会によると、マイダーン地区、カーブーン区で金曜礼拝後に反体制デモが発生し、武装部隊が実弾を用いて強制排除したという。

SANA(1月27日付)によると、マイダーン地区で、武装テロ集団が仕掛けた爆弾の爆発や発砲によって、子供1人が死亡、複数が負傷した。

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SANA, January 27, 2012
SANA, January 27, 2012

ダルアー県では、『ハヤート』(1月28日付)によると、軍・治安部隊の増援部隊が派遣され、各地で離反兵と戦闘し多数を逮捕した。

またSANA(1月27日付)によると、ムザイリーブ町で軍・治安部隊の兵員輸送バス2輌が武装テロ集団のロケット弾攻撃を受け、6人の兵士が殺害された。

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ハマー県では、地元調整諸委員会によると、共和国護衛隊、第4師団がハマー市に突入した。

同市では反体制デモの開始とともに、各地区で爆発音や発砲音が鳴り響いたという。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市にある軍・治安部隊の検問所に車爆弾が突撃し、爆発、6人の兵士が死亡した。

一方、SANA(1月27日付)によると、ジスル・シュグール地方で、関係当局がトルコからの武装テロ集団の潜入を阻止した。

またザーウィヤ山では、レバノンのジャディーダ・チャンネルの特派員の家が武装テロ集団によって破壊されたという。

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アレッポ県では、地元調整諸委員会によると、アレッポ市のマルジャ地区で反体制デモが発生し12人が殺害された。またフィルドゥース地区でもデモが発生し、治安部隊(対テロ部隊約150人)の強制排除の際に複数人が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(1月27日付)によると、ブーカマール市で武装テロ集団が仕掛けた爆弾が爆発し、市民と治安維持軍兵士合わせて6人が死亡した。

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反体制活動家はフェイスブックなどを通じて「自衛の金曜日」と銘打った反体制デモを呼びかけていた。

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『クッルナー・シュラカー』(1月27日付)によると、ハサカ県ラアス・アイン市、ダルバースィーヤ市、アームーダー市、カーミシュリー市、カフターニーヤ市、ダイリーク市で、クルド人青年らが中心となって反体制デモが行われた。

アサド政権の動き

シリア・アラブ・テレビ(1月27日付)は、自由シリア軍ファールーク大隊の声明(イラン人兵士逮捕に関する声明)に関して、「誘拐犯はイランのパスポートを所持していたことをもってイラン人兵士だと述べているが、この物言いは(シリアで滞在する)700万人のイラン人がイランのパスポートを持っていることを踏まえると嘲笑に値する」と批判した。また出入国スタンプに関しては、シリア・イラン間においてすでに廃止されていると付言した。

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ダマスカスのエジプト大使館が主催したフスニー・ムバーラク大統領退任1周年の祝典に、ムハンマド・リヤード・フサイン・イスマト文化大臣、アドナーン・ハサン・マフムード情報大臣、ハッサーン・サーリー国務大臣、ファイサル・ミクダード外務次官が出席した。

またこの祝典にはアラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長も出席した。

反体制勢力の動き

SANA, January 27, 2012
SANA, January 27, 2012

カイロ市カーデン・シティ地区にあるシリア大使館に在外シリア人とエジプト人青年活動家数十人が不法侵入し、エジプト警察部隊と大使館の警備員が空砲などで対抗し排除した。

侵入した若者たちはエジプト人の若者とともに、タハリール広場でエジプトの軍政打倒を求めるデモに参加していたが、その後シリア大使館に向かい、投石を行い、大使館の正門や壁のガラスなどを破壊した。

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シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官は自由シリア軍との関係に関して、「評議会は武器拡充の支援は行わない。なぜなら個人的動機に基づく攻撃に反対しているからだ。しかし、評議会は自由シリア軍が活動を続けられるよう資金を供与したり、出資者を探すだろう。額は決まっていないが」と述べた。

また執行委員会メンバーのアフマド・ラマダーン氏は、サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣とのカイロでの会談で、評議会使節団に対して、サウジアラビアが近く、評議会を「シリア国民の正当な代表」として承認するだろうと述べたことを明らかにした。

一方、ムハンマド・ナッジャール渉外局長は、『ハヤート』(1月28日付)に対して、評議会がトルコとカタールに逮捕されているイラン人5人の釈放のためのアサド政権との交渉を委ねていると述べた。

AFP(1月27日付)は、パリでシリア国民評議会の新指導部の選挙が始まったと報じた。これはブルハーン・ガルユーン事務局長の任期が2月15日に修了するのを受けた動き。

アラブ連盟(監視団)の動き

アラブ連盟監視団のダービー団長は、声明を出し、GCC諸国が監視団を撤収させた「過去3日間で暴力が著しくエスカレートした」と発表した。

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アラブ連盟監視団のアドナーン・ハディール作業部長は、撤収したGCC諸国の監視団に代わって、30人のメンバーが来週にも監視団に合流すると発表した。

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ロイター通信(1月27日付)は、アラブ連盟監視団がダマスカス郊外県の高官らと会見した際、ハラスター市、アルバイン市への視察を治安上の理由に控えるよう進言されたと報じた。

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UPI(1月27日付)は、IAEAの前事務強調のムハンマド・バラーダイー(エルバラダイ)氏がシリア問題をめぐる連名特使への就任を辞退したと報じた。

同人事は1月22日のアラブ連盟閣僚委員会会合で提案された。

レバノンの動き

ムスタクバル潮流は声明を出し、シリア国民評議会の公開書簡に関して「評議会の勇敢な措置はレバノン・シリア関係の新たな章への道を切り開くだろう」と支持を表明した。

諸外国の動き

ロシアのゲンナジイ・ガティロフ外務次官は、「シリアの政治的正常化をめぐる決議はいかなる前提条件も伴わずに決せられねばならない。我々はアサド大統領の退任を求める安保理決議を支持することはできない」と述べ、西側と一部アラブ諸国が準備している安保理決議案を拒否する姿勢を示した。

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『ハヤート』(1月28日付)によると、ダマスカスのイラン大使館筋は自由シリア軍ファールーク大隊の声明(イラン人兵士逮捕に関する声明)の内容を否定した。

その一方で、イラン外務省報道官は、シリアでイラン人巡礼者11人が誘拐され、シリア政府に彼らの釈放のために介入するよう要請していると発表した。

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UNICEFは声明を出し、2011年3月以降、シリア国内で384人の子供が殺害されたと発表した。

一方、国連の潘基文事務総長は、シリア情勢に関して、アサド政権に国民の要求を聞き入れるよう求めるとともに、国際社会に対しては統一的立場で対処するよう呼びかけた。

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シリア国民救済ヨルダン委員会の報道官は、ヨルダン人(27人)が逮捕され、拷問を受けて死亡したと発表した。

AFP, January 27, 2012、Akhbar al-Sharq, January 27, 2012、al-Hayat, January 28, 2012、Kull-na Shuraka’, January 27, 2012, January 28, 2012、Naharnet.com,
January 27, 2012、Reuter, January 27, 2012、SANA, January 27, 2012、UPI, January
27, 2012などをもとに作成。

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アラブ社会主義連合民主党が民主的変革諸勢力国民調整委員会からの脱退を表明するなか、サウジアラビアとカタールが反体制勢力への資金提供を合意していたことが判明(2012年1月26日)

国内の暴力

シリア革命総合委員会によると、離反兵が「制圧」(占拠)していると主張するヒムス県各地、ダマスカス郊外県各地で軍・治安部隊が掃討作戦を継続、少なくとも30人が死亡した。

またシリア人権監視団によると民間人43人、軍人12人を含む62人が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、ドゥーマー市で軍・治安部隊が大規模な掃討作戦を行い、シリア人権監視団によると、200人以上が逮捕された。

またアルバイン市、ハラスター市でも、住民らによると、夜間銃声が鳴り響いていた、という。

「自由シリア軍のフサイン」を名のる男性はロイター通信(1月26日付)に対して、自由シリア軍がドゥーマー市、ハラスター市の大部分を制圧したと語った。

「アブー・サーイル」を名のる別の脱走兵によると、「軍は迫撃砲、対空砲を装備しているが、我々には手榴弾、ロケット弾しかない」と語った。

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ヒムス県では、ワアル地方で、武装テロ集団がルワイユ・ムハンマド・ナクリー大佐を自宅前で襲撃・殺害した、とSANA(1月26日付)が報じた。

またクサイル市でも引き続き軍・治安部隊による掃討作戦が続き、負傷者が出た。

シリア人権監視団によると、ヒムス市でも市民2人が殺害された。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ヒルバト・ガザーラ町近郊で離反兵が武装治安部隊を要撃し、曹長1人(スライマーン・アリー曹長)を含む兵士4人を殺害、5人を負傷させた。

しかしSANA(1月26日付)によると、アリー曹長らは武装テロ集団がしかけた爆弾を撤去作業中に爆発に巻き込まれて死亡した、と報じた。

またシリア人権監視団によると、ナワー市で学生が反体制デモを行い、若者1人が治安当局に殺害された。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市ジャラージマ地区で狙撃兵が女性を射殺した。

SANA, January 26, 2012
SANA, January 26, 2012
SANA, January 26, 2012
SANA, January 26, 2012
SANA, January 26, 2012
SANA, January 26, 2012
SANA, January 26, 2012
SANA, January 26, 2012
SANA, January 26, 2012
SANA, January 26, 2012
SANA, January 26, 2012
SANA, January 26, 2012

アサド政権の動き

ダマスカス郊外県のフサイン・マフルーフ県知事はアラブ連盟監視団と会談、当局が武装集団の一部と停戦に向けた対話を始めたと語った。

マフルーフ県知事は「彼らの誤解は解け、最終的には正しい道に戻るだろう」と述べたうえで、当局がザバダーニー市での停戦と同様の措置を各地で準備していることを明らかにした。

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SANA(1月26日付)によると、アサド政権の改革支持を訴える大規模な集会が各地で開催された。

集会が開催されたのはダマスカス県サブウ・バフラート広場、アレッポ県アレッポ市サアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)、ラタキア県ラタキア市、タルトゥース県タルトゥース市、ハサカ県ハサカ市、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市、ラッカ県ラッカ市など。

反体制勢力の動き

AKI(1月26日付)は、民主変革諸勢力国民調整委員会の執行委員会筋の話として、同調整委員会が2月半ばに新執行部を選出するとともに、新たな政治綱領と政治プログラムを発表すると報じた。

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アラブ社会主義連合民主党は声明を出し、民主的変革諸勢力国民調整委員会からの脱退を発表した。

脱退の理由として、声明は、委員会の政治的立場、広報活動、そして指導部そのものが民主的でなく、党の方針と「革命の目的」と合致していないといった理由を挙げている。

アラブ社会主義連合民主党は民主的変革諸勢力国民調整委員会の代表であるハサン・アブドゥルアズィーム弁護士が書記長を務める。また左派系の反体制政治同盟のシリア国民民主連合(アブドゥルアズィーム弁護士が代表)における指導党でもある。

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エジプト訪問中のシリア国民評議会運営委員会のメンバーはカイロでカマール・ハサン・アリー在エジプト・スーダン大使と会談し、連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長の声明に関して意見を交換した。

Kull-na Shuraka’, January 26, 2012
Kull-na Shuraka’, January 26, 2012

会談内容に関して、ムハンマド・ヤースィーン渉外局長は『ハヤート』(1月26日付)に対して、「ダービー団長の政府は…スーダンの役割を弱化させ、同国の立場をゆがめようとする」ものだと批判した。

またスーダン大使が「シリア革命への支持を確認した」と付言した。

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「民主化のためのシリア人キリスト教徒」を名のる集団が声明を出し、ハマー市郊外のカフルバフム村でのキリスト教神父バースィリユース・ナッサール氏の殺害に関して、アサド政権の犯行だと断じた。

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アブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領は『ル・フィガロ』(1月26日付)に対して、アサド政権が「先ずアラウィー派が住む都市や村々に爆弾、機関銃を配布した…。先月、重火器の搬入が始まり、丘や山に隠されている…」と述べ、同政権が「宗派主義的内戦を発生させようとしている」と批判した。

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アラビーヤ(1月26日付)は、シリアの反体制シャイフ、アブドゥルジャリール・サイード氏が、ウラマーの使節団を近くカイロのアズハル機構に派遣し、シリア人ウラマー約1,000人が署名した共和国フムティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師の宗教的資格停止を求める書簡を提出すると述べたと報じた。

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Kull-na Shuraka’, January 26, 2012
Kull-na Shuraka’, January 26, 2012

自由シリア軍は声明を出し、ヒムス県ヒムス市でイラン人兵士5人を逮捕したと発表、最高指導者アリー・ハーメネイー師に対して、イラン兵のシリア駐留を認め、即時撤退するよう要求した。

声明によると、5人を逮捕したのはファールーク大隊で、彼らは空軍情報部ヒムス支部で活動しており、出入国スタンプの押されていないイランのパスポートを所持していたという。

またこれとは別に、ヒムス市内のジャンダル発電所で働いているイラン人技術者2人も逮捕したと発表した。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は声明を出し、「シリアでの暴力と殺戮の継続」への懸念を表明するとともに、アサド政権に対して「治安・軍事措置のエスカレートを回避」するよう呼びかけた。

レバノンの動き

進歩社会主義党党首のワリード・ジュンブラート議員は訪問先のモスクワでセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談し、シリア情勢などを協議した。

会談後、ジュンブラート議員は、シリアの危機に関して、政治的解決に達することが重要だと指摘するとともに、アラブ連盟のイニシアチブ以外に解決策はないとの見方を示した。

またロシアの姿勢に関して、「ロシアが正しい人々の声を支持することを希望する」と述べた。

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レバノン軍団のサミール・ジャアジャア代表はシリア国民評議会の公開書簡に対して、レバノン・シリア関係を正しい方向に導こうとしていると高く評価した。

またシリア当局によると北部県アッカール郡のレバノン人漁民の拘束・殺害に関して、レバノンの主権を侵害するこうした事態が再発した場合、国連安保理に問題を付託し、レバノンへの攻撃を回避すべきだ、と述べた。

イスラエルの動き

イスラエルのガビ・アシュケナジ前参謀長はテルアビブ大学で講演し、アサド政権の崩壊やシリアの内戦が、イスラエルを困難な状況に追いやると述べた。

アシュケナジ前参謀長は「ヒズブッラーへの最大の武器供給国がイランだとの誤った評価があるが、実際にはシリアがヒズブッラーに武器を供与している…。シリアにはいかなる実行力のある政府も発足しないだろう。ないしは内戦が生じるかもしれないし、失敗国家となるかもしれない。そうなればイスラエルは困難な挑戦に曝されることになるだろう…。エジプトとは異なり、シリア軍は命をかけている…。彼(アサド大統領)が地域の安定の錨だということを無視できない」と述べた。

さらにシリアが国際社会の「陰謀」に曝されていると付言した。

諸外国の動き

『タイムズ』(1月26日付)は、サウジアラビアとカタールがシリアの反体制勢力の武器購入に対して資金援助を行うことを秘密裏に合意していたと報じた。

同報道はシリアの反体制活動家筋の話として、1月22日のアラブ連盟外相会合や閣僚委員会会合後に、サウジアラビアとカタールはシリアの反体制勢力と、GCC諸国の連盟監視団の撤収とともに、武器供与に対する資金援助を秘密裏に合意したという。

また同報道は、『マナール・マクディスィーヤ』紙からの情報として、米国、イスラエル、フランスがトルコとレバノン領内で、カタールの資金援助のもとに、反体制活動家へのリクルート、教練、武器供与を行っていると指摘した。

さらにカタールはハマド・ブン・ハリーファ首長とハマド・ブン・ジャースィム首長の指導のもと、アラブ諸国で「テロリスト」の教練やネットワーク構築を行っているとされ、シリア国境ではレバノンのサアド・ハリーリー前首相とレバノン軍団代表のサミール・ジャアジャア氏がこれに協力している、という。

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ナバネセム・ピレイ国連人権高等弁務官はシリアでの弾圧の被害者の正確な数を提示することはできないと白状した。

プレイ弁務官は、「我々は5,000人という数字を示してきた…。犠牲者数は現在より大きくなっている」と述べる一方で、「ヒムス市内の地域など一部の地域が完全に閉鎖されている」ため正確な数値を把握できないと付言した。

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国際赤十字委員会のベアトレス・メゲヴァンド・ロゴ(Béatrice Mégevand-Roggo)中近東事業局長はシリア情勢に関して、同委員会の内戦の定義にはいまだあたらないと述べた。

一方、同委員会は、イドリブ県ハーン・シャイフーン市での赤新月社イドリブ支部長のアブドゥッラッザーク・ジュバイルー氏の殺害事件の調査と真相究明をシリア政府に求めた。

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ロシア外務省報道官は、シリア問題に関して、自国が作成した決議案を依然として支持していると述べるとともに、現在西側諸国と一部アラブ諸国が作成している決議案を受け入れることができない、との意思を示した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、ロシアのインテルファクス通信(1月26日付)に対して、トルコ政府が武装反体制勢力と接触してないと述べるとともに、反体制勢力に対して平和的方法で活動するよう呼びかけた。

しかし、トルコが、シリアを脱走したリヤード・アスアド大佐(自由シリア軍司令官)をはじめとする上級士官を保護していることは周知の事実である。

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カナダ政府は、治安機関などに所属する政権関係者22人、政府系銀行4行、石油企業3社を追加制裁の対象としたと発表した。

AFP, January 26, 2012、Akhbar al-Sharq, January 26, 2012、Alarabia.net, January 26, 2012、al-Hayat, January 27, 2012、Kull-na Shuraka’, January 26, 2012, January 27, 2012、Le Figaro, January 26, 2012、Naharnet.com, January 26, 2012、Reuters, January 26, 2012、SANA, January 26, 2012、The Times, January 26, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ハマー市で軍・治安部隊による大規模な掃討作戦が続くなか、ムアッリム外務大臣が「シリア情勢の真実が明らかになることを望まない一部当事者による障害」にめげずアラブ監視団への「完全なる協力」を行うと明言(2012年1月25日)

国内の暴力

ハマー県では、地元調整諸委員会によると、ハマー市で24日夜から、軍・治安部隊による大規模な掃討作戦が行われ、反体制勢力が制圧しているとされているバーブ・カルビー地区、ハミーディーヤ地区、マルアブ地区、ジャラージマ地区などで反体制勢力と交戦した。

シリア革命総合委員会によると、この交戦で少なくとも21人が死亡した。しかし、地元調整諸委員会は各地での弾圧で19人が殺害された発表した。

『ワタン』(1月25日付)によると、「関係当局はハマーを武装集団や悪党から解放し、通常の生活を回復するべく、最終的な決定を行った」という。

一方、SANA(1月25日付)は、ハマー市郊外のカフルバフム村でキリスト教神父のバースィリユース・ナッサール氏が武装テロ集団に暗殺されたと報じた。

しかし地元調整諸委員会は武装テロ集団による犯行を否定し、治安部隊に殺害されたと主張した。

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SANA, January 25, 2012
SANA, January 25, 2012

シリア人権監視団によると、ヒムス県クサイル市でも軍・武装部隊による掃討作戦が行われ、市民2人(女性と子供)が犠牲となった。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市で軍・治安部隊と離反形が激しく交戦し、軍の兵員輸送車輌3輌が破壊され、6人が負傷したという。

またイフスィム村では、軍・治安部隊がストライキを解除しようとして発砲した、という。

一方、SANA(1月25日付)は、ハーン・シャイフーン市で、赤新月社イドリブ支部長のアブドゥッラッザーク・ジュバイルー氏が武装テロ集団によって暗殺されたと報じた。

しかし地元調整諸委員会は武装テロ集団による犯行を否定し、治安部隊に殺害されたと主張した。

またSANA(1月25日付)によると、アファーミヤー遺跡で治安維持部隊が武装テロ集団の襲撃を受け、部隊兵士5人が殺害された。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊による大規模な掃討作戦が行われ、ジャラージール町で3人の市民が犠牲となった。

ヤブルード市、フーシュ・アラブ村は戦車で包囲されている、という。

アサド政権の動き

ワリード・ムアッリム外務大臣はダマスカスでアラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長と会談し、「シリア情勢の真実が明らかになることを望まない一部当事者による障害」にめげず、監視団への「完全なる協力」を行うと明言した。

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SANA(1月25日付)は、ダマスカスで宗教関係施設管理者やムフティーらイスラーム教法曹関係者が大会を開き、外国の軍事介入拒否、アラブ軍の介入拒否という姿勢を確認したと報じた。

反体制勢力の動き

シリア国内で反体制運動を行っている国民民主諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表らはダマスカスで記者会見を開き、アラブ連盟のイニシアチブに基づく問題解決への支持を表明し、国連安保理への問題の付託(いわゆる「国際化」)を拒否する姿勢を明示した。

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アラブ言論・表現の自由擁護センター代表のバヒーヤ・マールディーニーの女史は、EUによる制裁において、アサド大統領の姉のブシュラー・アサド女史が対象となっていないと指摘、追加制裁を主唱した。

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トルコで反体制活動を行うシリア変革大会(アンタリア会議)は声明を出し、アラブ連盟外相会合の決議が、大統領のすべての公職からの即時退任を明記しておらず、挙国一致内閣発足への協力を示唆してはいると一定の留保を設けつつも、連盟のイニシアチブを歓迎した。

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ダマスカス国民民主宣言は声明を出し、アラブ連盟外相会議の決議に関して、「注目すべき進展であり、内外において現体制の正統性が失われているなかで、アラブがその正統性を奪う兆候」と評価した。

しかし同評議会は、連盟監視団の撤収と国連安保理への問題の付託を求めている。

一方、レバノン国民宛に公開書簡を発表し、対レバノン関係をめぐるビジョンを明示した。

公開書簡では、レバノン・シリア最高会議が解体され、二国間合意は改訂されるべきだ、と述べ、1990年代のシリアによるレバノン実効支配時代以来の両国間関係を再検討する必要を強調し、「両国の国益を考慮した新たな合意」、「両国の適切な外交関係の樹立」を呼びかけた。

また「レバノンの問題へのシリアの治安・諜報機関の介入」を終わらせ、「武器密輸を摘発」することを約束した。

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反体制活動家のスハイル・アタースィー女史は、大統領権限の副大統領移譲などを骨子とするアラブ連盟外相会合の決議(行程表)に関して、「非常に遅れた」と遺憾の意を明らかにした。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟監視団のアドナーン・ハディール作業部長は、GCC諸国の監視団員55人が撤収、帰国したと発表した。

同作業部長によると、GCCは監視団への資金面での支援は継続し、新規に5,000,000ドルの供与する予定。

レバノンの動き

アドナーン・マンスール外務大臣はシリアのアブドゥルカリーム・アリー大使と会談した。

会談後、アリー大使は、レバノン・シリア間の諸合意に関して、「レバノンにはこれらの合意を履行するより多くの責任がある。なぜなら、シリアに密輸される武器は時にレバノンを経由しているからだ…。シリアはレバノンがこうした活動に勤勉に対処するだろうと考えている」と述べた。

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3月14日勢力事務局は声明を出し、ナジーブ・ミーカーティー内閣がシリアと距離を置こうとしていると非難、「(シリアの)危機の影響からシリアを護るためために活動すべきだ」との意思を示した。

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NNA(1月25日付)は、進歩社会主義党党首のワリード・ジュンブラート議員がロシアへ発ったと報じた。

ロシアではセルゲイ・ラブロフ外務大臣とシリア情勢に関して意見を交わす、という。

諸外国の動き

ニューヨークでは、米仏英独、ポルトガル、サウジアラビア、クウェート、カタール、UAE、ヨルダン、トルコが対シリア国連安保理決議案作成を進めている。

複数の外交筋によると、決議案は、アラブ連盟の行程表の完全履行を求めるとともに、「シリア側が決議採択語15日を経ても行程表を履行しない場合、追加措置をとる」との文言を含むという。

一方、国連の潘基文事務総長は、カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣がアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と連名で提出した文書(会談要請とシリア問題の国連への付託要請)を安保理議長に回付した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はモスクワでトルコのアフメト・ダウトオール外務大臣と会談した。

会談後、ラブロフ外務大臣は、シリア国内での暴力停止のための提案は歓迎するとしながらも、安保理での対シリア制裁決議に反対するとの姿勢を改めて示した。

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サウジアラビアのトゥルキ・ファイサル前米大使はCNN(1月25日付)に対して、「もし彼に優先順位や道徳的評価を感じとる最低限の感覚があったなら」退任すべきだ、と述べた。

AFP, January 25, 2012、Akhbar al-Sharq, January 25, 2012、Alarabia.net, January 25, 2012、CNN, January 25, 2012、al-Hayat, January 26, 2012、Kull-na Shuraka’, January 25, 2012、Naharnet.com, January 25, 2012、NNA, January 25, 2012、Reuters, January 25, 2012、SANA, January 25, 2012、al-Watan, January 25, 2012などをもとに作成。

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ムアッリム外務大臣が記者会見を行いアラブ連盟外相会合および閣僚委員会会合に対する政府の立場を説明、またヒムス県およびハマー県で軍・治安部隊による大規模な掃討作戦が行われる(2012年1月24日)

アサド政権の動き

ワリード・ムアッリム外務大臣が記者会見を行い、22日のアラブ連盟外相会合および閣僚委員会会合に対するシリア政府の立場を明示した。

SANA, January 24, 2012
SANA, January 24, 2012

記者会見でムアッリム外務大臣は、副大統領への権限移譲や2ヵ月以内の挙国一致内閣発足を骨子とする連盟外相会合の決議に関して、「解決策は連盟決議に示されたようなものではない。我々はそれを断固拒否する。なぜなら、我々の内政へのあからさまな干渉だからだ…。シリア的解決策はシリア国民の利益から発しており、それは何よりも先ず、バッシャール・アサド大統領が宣言した包括的改革プログラムの実施に基づいている…。シリア指導部の立場は、内外でシリアが曝されているものに対して断固且つ協力なものである。シリア政府は断固として、武装テロ集団に対処する」と述べた。

そのうえで現下の危機の解決策に関して「アラブ的解決はもはやなく、今後はシリア的な解決になるだろう」と付言し、治安対策を民衆の要請と位置づけ、その必要を強調した。

またシリア・バッシングを主導するカタールやサウジアラビアを示唆するかたちで、「彼らは…、安保理へ向かうべく行動している…。シリアに対抗するための彼らの計画における新段階とは、国際(問題)化をめざすという動きである。彼らは連盟決議の承認を得るため国連に出向くと言った。このことは連盟の決議、そして連盟が役割を果たせないということを彼らが認めているということだ」と述べた。

さらにこれらの国が民主化や憲法改正に関わるシリア内政について言及することに関しては、「ない袖は降れない状態」として、これらの国々に議会や憲法さえないことを暗に非難した。

一方、カタールのハマド・ブン・ジャースィム首長がアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長との連名で国連の潘基文事務総長との会談を求めていることに関して、「彼らがニューヨークに行こうと、月に行こうと、それは彼らの問題だ。我々は彼らの旅費を出さない」と述べ、こうした動きを拒否する姿勢を示した。

しかし、アラブ連盟監視団の活動の延長に関しては、「検討すべき問題」と述べ、これを受諾する方向であることを明らかにした。

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SANA(1月24日付)は、アーディル・サファル内閣がインターネット通信調整情報犯罪撲滅法案を閣議承認したと報じた。

反体制勢力の動き

シリア・クルド国民評議会事務局のアフマド・スライマーン氏は『クッルナー・シュラカー』(1月24日付)に対して、同評議会のシリア国民評議会への参加に関するアブドゥルハキーム・バッシャール氏の発言は「事実と真実から遠い」と述べ、否定した。

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シリア人民民主党の重鎮の一人で反体制活動家のジョルジュ・サブラー氏がシリアを出国しフランスに入った。

『リベラシオン』(1月24日付)の取材に対して、サブラー氏は、「シリア国民は国連の保護を受けるに値する」と述べ、国際社会の介入を是とする姿勢を明示した。

またシリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長に関しては、「理想的な男だが、大学教授としてであって、政治家としてでない」と述べ、「他者との共同行動に不慣れだ」と批判した。

同氏は、人民民主党によってフランスに派遣されたという。

人民民主党(旧シリア共産党政治局派)は国内最大の反体制政治同盟シリア国民民主連合加盟政党で、その「精神的指導者」のリヤード・トゥルク弁護士は、ダマスカス国民民主宣言運動を主導、シリア国民民主連合加盟政党のアラブ社会主義連合民主党書記長で民主的変革諸勢力国民調整委員会代表のハサン・アブドゥルアズィーム弁護士と不仲だと言われている。

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地元調整諸委員会は声明を出し、アラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長の発言に関して、「犠牲者と死刑執行人を十把一絡げにしている」と批判した。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長はアラビーヤ(1月24日付)の取材に対して、シリア問題への国際社会の介入を求めるため国連安保理に使節団を派遣する用意があると述べた。

国内の暴力

地元調整諸委員会によると、ヒムス県およびハマー県で軍・治安部隊による大規模な掃討作戦が行われ、ヒムス市カラム・ザイトゥーン地区ではビル2棟が倒壊し、18人が死亡した。

またこの18人を含めヒムス県、ハマー県、イドリブ県、ダマスカス郊外県などで少なくとも43人が殺害された、という(その後、地元調整諸委員会はヒムス市でのビル倒壊の犠牲者数を19人、死者総数を68人と修正した)。

AFP(1月24日付)によると、ダマスカス県内でも厳戒態勢が強化されている、という。また反体制派によると、ダマスカス郊外県のザマルカー、サクバー、ハムーリーヤ、カフルバトナーが自由シリア軍によって解放されたとのことだが、真偽は定かでない。

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SANA(1月24日付)によると、イドリブ県では、農民総連合イドリブ支部のアブドゥッラティーフ・バックール支部長が武装テロ集団に暗殺された。また歯科医ムハンマド・ザカリヤー・ユースフ氏、治安維持部隊も同県で殺害された。

ヒムス県では、アイマン・ハッルーフ弁護士が武装テロ集団に誘拐・殺害された。

アラブ連盟の動き

GCCは声明を出し、連盟監視団から撤収したと発表した。

これを受け、アラブ連盟は常駐代表級会合を急遽開催し、GCC諸国の監視団への物心面での支援が継続されることを確認した。

GCC諸国の決定により、サウジ人監視員22人とそれ以外のGCC諸国の監視員30人が撤収し、監視団は108人となった。

アフマド・ベンフッリー事務次長によると、シリアによる監視団の活動の1ヵ月延長受諾を受け、監視団の増員が行われるだろうと述べた。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣はアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と連名で国連の潘基文事務総長に書簡を送り、シリアの危機収束のためのアラブ連盟の行動計画に関して安保理の支援を求めるための会談を要請した。

レバノンの動き

ムスタクバル・ブロック(ムスタクバル潮流の国会議員)は会合を開き、北部県アッカール郡アリーダ村の漁師3人の身柄拘束を「シリア政府によるレバノンへの主権侵害」と厳しく非難し、ナジーブ・ミーカーティー内閣に対してアラブ連盟の場でこうした行為を停止させるべく行動するよう求めた。

諸外国の動き

ニューヨークでは23日から米英仏独、ポルトガル、グアテマラ、コロンビア、サウジアラビア、カタール、UAE、ヨルダン、モロッコの国連代表が会合を重ね、シリア問題をめぐる決議案の作成を進めている。

この決議案は、国連憲章第7章に依拠していないが、シリアに対してアラブ連盟の行程表を期限付きで遵守させることを求めるものだという。

また国内の暴力に関しては、これまでのアサド政権に対する一方的非難の姿勢を改め、「シリアのすべての当事者に暴力と殺戮行為の停止」を呼びかける内容となっている、という。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アラブ連盟に対して、国連安保理にシリア問題を付託するよう求めた。

AFP, January 24, 2012、Akhbar al-Sharq, January 24, 2012、al-Hayat, January 25, 2012、Kull-na Shuraka’, January 24, 2012、Naharnet, January 24, 2012、Reuters, January 24, 2012、SANA, January 24, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア政府がアラブ連盟外相会合の決議が「国民主権への違反、あからさまな内政干渉、連盟憲章代8条への明らかな違反」であるとしこれに対する拒否を表明(2012年1月23日)

アサド政権の動き

SANA(1月23日付)は、シリア高官の話として、シリア政府がアラブ連盟外相会合の決議を「アラブの行動計画を逸脱している」、「包括的改革計画実施に向けたシリアの努力を無視している」と批判し、「国民主権への違反、あからさまな内政干渉、連盟憲章代8条への明らかな違反」と拒否すると報じた。

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またアラブ連盟常駐代表のユースフ・アフマド大使はカイロで、アラブ連盟外相会合の決議に関して、シリア内政に対する外国の干渉を呼び込むため、カタールを筆頭とする一部のアラブ諸国が数ヶ月にわたって行ってきた方法に沿った内容だとしたうえで、反体制勢力が平和的政治解決を拒否することを助長し、危機回避のための国民対話の可能性を奪うものだと痛烈に批判した。

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進歩国民戦線は声明を出し、アラブ連盟の決議を「敵対的な行為」、「国民主権への侵害」と非難した。

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SANA(1月23日付)は、政党問題委員会がアンサール党、民主前衛党の2党の発足を認可したと報じた。

反体制勢力の動き

シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、大統領権限の副大統領への移行と2ヵ月以内の挙国一致内閣発足などを骨子とするアラブ連盟外相会合の決議に関して、「検討に値する」と姿勢を示した。

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地元調整諸委員会は声明を出し、アラブ連盟外相会合の決議を「体制への新たな猶予であり、新たな時間稼ぎの機会を与え、革命を生き埋めにする体制の狙いを隠蔽する」と拒否した。

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シリア国家建設潮流は声明を出し、大統領権限の副大統領への移譲、20日以内の挙国一致内閣発足などを骨子とするアラブ連盟外相会合の決議に歓迎の意を表明した。

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シリア・クルド国民評議会のアブドゥルハキーム・バッシャール代表は、同評議会とシリア国民評議会が、「国際法・慣習に沿い、シリアの統合を基礎とした、クルド問題をめぐる民主的解決策を案出」することで相互理解に達し、前者が後者に加盟するための政治綱領の修正を行うことで合意したと発表した。

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Kull-na Shuraka’, January 24, 2012
Kull-na Shuraka’, January 24, 2012

シリア国民評議会執行委員会使節団は、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と会談し、アラブ連盟監視団の活動に関する「パラレル・レポート」を提出した。

同レポートは約100ページからなり、監視団の活動、民間人への犯罪などが詳細に記されている、という。

国内の暴力

シリア人権監視団は、ヒムス県クサイル市で軍・武装部隊と離反兵が交戦し、少なくとも前者の兵士5人が殺害され、13人が負傷したと発表した。

またダマスカス郊外県のドゥーマー市、タルフィーター村、ジスリーン町で治安部隊が市民8人を、イドリブ県で2人を、ヒムス県で1人を殺害したというが、証拠はない。

一方、ドゥーマー市では、23日早朝に殺害された市民12人の葬儀に15万人が参列したという。

しかしドゥーマー市の人口は11万人強に過ぎない。

このほかダイル・ザウル県のクーリーヤ市、ブーカマール市で治安当局が大規模な摘発を行ったという。

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SANA(1月23日付)によると、ヒムス県クサイル地方で武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃し3人を殺害、14人を負傷させた。

またダイル・ザウル県ブーカマール市では、武装テロ集団が仕掛けた爆弾を撤去しようとした処理班が爆発に巻き込まれ、1人が死亡した。

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『ザマーン・ワスル』(1月23日付)は、シリア革命総合委員会が1月21日のイドリブ県でのバス爆破事件に関して、搬送されていた逮捕者が「すでに死んでいた」証拠を示したと報じた。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長がカイロで記者会見を開き、監視団派遣以後、アサド政権と反体制勢力の双方で136人が殺害されたことを確認したと述べ、「監視団が到着したときには明らかな暴力があった、しかし現地で活動を開始すると、暴力は次第に減っていった。これは我々の活動が成功した証拠だ」と強調した。

この数値は在外反体制勢力や国際人権団体が発表する誇張された犠牲者数に比べて少ない。

例えばAvaazは1月19日に700人以上と発表している。

またシリア国民評議会によると、過去1ヵ月間の死者数は759人にのぼるという(なお3月以降の死者数は同評議会によると6,000人)。

またダービー団長は、反体制勢力の批判に対して、「反体制勢力に応える義務はない。言いたいように言わせておこう。想像したいように想像させておこう」と述べた。

レバノンの動き

カイロから帰国したアドナーン・マンスール外務大臣は、アラブ連盟外相会合の決議に関して、「アラブ連盟監視団の報告書と無関係」の内容と批判したうえで、「反体制勢力と政府の対話によって危機は収束するだろう」との見方を示した。

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進歩社会主義党党首のワリード・ジュンブラート議員は機関誌『アンバー』(1月23日付)で、マンスール外務大臣の発言を批判、「シリアの危機をめぐって解決策を提示しようとするより、沈黙しているようがよかった」と述べた。

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レバノン・カターイブ党最高党首のアミーン・ジュマイイル元大統領は「シリア危機のカウントダウンが始まった」としつつ、「他の何よりも先ずレバノンのニーズに対処するというのが「レバノン第一」というスローガンの本文だ」と述べ、反アサド政権の姿勢を明示する3月14日勢力の一部の指導者たちとの姿勢の違いを示した。

諸外国の動き

EUが外相会合で、アラブ連盟の決議を支持するとともに、シリア問題を国連安保理に付託することを支持するよう国際社会に求めた。

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ロシア紙『コメルサント』1月23日付は、シリアとロシアが36機の演習用戦闘機ヤク130の購入などの供与で合意(契約総額は550,000,000ドル相当)に達した、と報じた。

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イスラエル紙『マアレヴ』(1月23日付、『クドゥス・アラビー』紙翻訳)は、アサド政権が地域の不安定化とイスラーム主義者による支配を意味しており、「西側は、アサドによる弱い支配の方が、その崩壊よりましだ…ということを理解せねばならない」と報じた。

AFP, January 23, 2012、Akhbar al-Sharq, January 23, 2012, January 24, 2012、al-Hayat, January 24, 2012、Kull-na Shuraka’, January 23, 2012、Naharnet.com, January
23, 2012、al-Quds al-‘Arabi, January 23, 2012、Reuters, January 23, 2012、SANA, January 23, 2012、Zaman al-Wasl, January 23, 2012などをもとに作成。

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アラブ連盟が「副大統領への権限移譲」や「2ヵ月以内の挙国一致内閣発足」を求める決議を発表するなか、サウジアラビア外相は自国のアラブ監視団からの撤退を宣言(2012年1月22日)

アラブ連盟の動き

アラブ連盟はカイロで外相会合を開き、連盟監視団の活動などシリア情勢を審議し、閉幕声明で、副大統領への権限移譲、2ヵ月以内の挙国一致内閣発足の必要があるとアサド大統領に提言する決議を発表した。

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閉幕声明は、政治犯釈放、暴力の停止、アラブ連盟諸機関やメディアの行動の自由の確保、軍・武装部隊の撤退、平和的デモの保障などを求めるとともに、2ヵ月以内に政府と反体制勢力が合意した人物を首班とする挙国一致内閣を発足し、アラブ連盟の行程表の履行、国会選挙および大統領選挙の準備を行うよう提言した。

またそのためにアサド大統領の権限を副大統領に移譲するよう求めた。

またアラブ連盟監視団の活動に関しては、1ヵ月間を延長することを決定した。

なおアラブ連盟外相会合の決議に従うと、政権支持者、地元民であるダルアー県出身者らの間できわめて不人気のファールーク・シャルア副大統領(政務担当)が大統領権限を移譲されることになる。

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サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣は、会合でアラブ連盟監視団の有効性に疑義を呈し、「(シリアにおける)現状が継続されてはならない。我々はいかなる場合でも、偽証者であってはならないし、シリア国民に対する犯罪を正当化したり隠蔽する者に利用されてはならない」と非難し、「シリア政府がアラブ連盟の打開策をまったく履行しようとしないがゆえ、監視団から撤収する」と宣言した。

また、アラブ連盟の行程表の包括的・迅速な実施の必要をシリアに認めさせるため、イスラーム諸国、ロシア、中国、欧州、米国など国際社会に責任を果たすよう呼びかけた。

シリア問題に関する閣僚委員会メンバーでないサウード・ファイサル外務大臣はその後シリア国民評議会の使節団(ブルハーン・ガルユーン事務局長ら)と会談した。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は会合で、シリアでの流血が依然として続いている状況に対して懸念を表明し、「現在求められているのは、この監視団の活動を包括的に検証したうえで、もたらされた結果を検討し、この結果がこのような状況下での活動継続に値するものか、別の選択を行うことが現実的な要請かを見極めることだ」と述べた。

またハマド・ブン・ハリーファ首長によるアラブ軍派遣案に関しては、「政府側の暴力、反体制勢力に対する暴力の連鎖を停止させるため」であり、「自衛のための反応」と正当化した。

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シリア情勢に関するアラブ連盟閣僚委員会(ハマド・ブン・ジャースィム・カタール首相兼外相が議長、エジプト、オマーン、アルジェリア、スーダンの外相およびアラブ連盟事務局長によって構成)の会合がカイロで開催され、監視団の活動を1ヵ月延長することが決定されるとともに、アラブ軍の派遣が否決された。

会合では連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長が提出した報告書の内容に関して審議が行われた。

『ハヤート』(1月23日付、http://international.daralhayat.com/internationalarticle/353683)によると、報告書における主な提言・指摘内容は以下の通り:

1.監視団の活動の1ヵ月の延長。
2. 監視団の人員を現在の163人(うち10人はすでに帰国)から300人に増員。
3. 監視団の活動妨害などアサド政権による「違反」が見られた。
4. 武装集団が民間人への攻撃を加えた。

カタールのハマド・ブン・ハリーファ首長が米国で示したアラブ軍派遣案も審議されたが、エジプト、アルジェリア、スーダンが反対し、ナビール・アラビー事務総長が態度を保留としたため否決された。

アラブ連盟本部の周辺では在外シリア人活動家が、会合前にリークされた監視団の活動延長の情報を受け、抗議活動を行った。

アサド政権の動き

SANA(1月22日付)は、シリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会が会合を開き、分科会が作成した憲法改正案の各条項を確認し、その内容をめぐって概ねコンセンサスに達したと報じた。

反体制勢力の動き

『ワシントン・タイムズ』(1月22日付)は、シリアの反体制運動指導者の一人(ズフディー・ジャースィルを名のる在米シリア人医師)の話として、アサド政権が崩壊すれば、米国は、イラク戦争に際してサッダーム・フサイン政権がシリアに搬出されたとされる大量破壊兵器や、ダイル・ザウル県キバルの核疑惑施設に関する疑問への答えを得られるだろう、と報じた。

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AFP(1月22日付)によると、反体制活動家のスハイル・アタースィー女史はウェブサイト「メディアパート」で自身がシリアを出国したと語ったと報じた。

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自由シリア軍は声明を出し、『ル・フィガロ』(1月21日付)の報道を否定し、ジル・ジャキエ氏殺害への関与を否定した。

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映画監督のガッサーン・アブドゥッラー氏がダルアー市からダマスカス県に戻る途中に当局に逮捕された。

同氏は英国籍を持つ。

国内の暴力

シリア人権監視団は自由シリア軍がダマスカス郊外県ドゥーマー市のすべての地区を軍・治安部隊との交戦の末に「制圧」したと発表した。

しかし複数の活動家によると、その直後、同反乱軍は軍・治安部隊による反撃を回避するため「撤退」した。

同監視団によると、事の発端は20日(金曜日)の犠牲者の葬儀(21日)に参列していた会葬者約20,000人に治安部隊が発砲したためで、戦闘は21日から続いており、25人が負傷、うち4人が死亡したという。

シリア革命総合委員会によると、ダマスカス郊外県、ダイル・ザウル県、ダルアー県で治安部隊が市民13人を殺害した。

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複数の活動家によると、ダルアー県各地で軍・治安部隊が反体制活動家ら多数を逮捕した。

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複数の活動家によると、ハマー県では、マディーク村に軍・治安部隊が突入した。

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一方、SANA(1月22日付)によると、ダマスカス郊外県タルフィーター・マザーリウ・ランクース地方で電子戦争局長のハサン・アブドゥッラー・イブラーヒーム准将の乗っていた車が職場に向かう途中に武装テロ集団に襲撃され、准将と同乗していたヤームン・ハドゥール中尉が殺害され、複数の士官が負傷した。

またダルアー県郊外の軍の燃料スタンドが武装テロ集団に襲撃され、治安維持部隊兵士1人が殺害された。

ヒムス県でもヒムス市の軍事病院近くで乗り合いバスが武装テロ集団に襲撃され、市民1人が殺害された。

ハマー県ではスーラーン・ハマー街道で武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃し、兵士1人と民間人1人が殺害された。

レバノンの動き

レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣は会合で、連盟監視団の活動継続への支持を表明するとともに、シリアの加盟資格停止や経済制裁に関する決議を解除するための決議を採択するよう求めた。

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1月21日にシリア当局に身柄拘束されたレバノン人2人がレバノン側に引き渡された。またシリア側の発砲で死亡したアフマド・ハマド氏の遺体が遺族に返還された。

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NNA(1月22日付)は、レバノン人1人がシリア・レバノン国境地帯にシリア軍が敷設した地雷に触れて負傷した、と報じた。

諸外国の動き

トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、「もし国連が何らかの行動を開始すれば、我々はそれに協力する用意がある」と述べ、シリア問題の国連での審議を支持する立場を表明した。

またアラブ連盟外相会合の決議に関して、「アラブ連盟や地域のイニシアチブが解決策をもたらさなければ…、問題は国際問題になるだろう」と述べた。

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ロシア作家連合はアサド大統領に「世界的覇権に対する抵抗者」賞を授与した。

AFP, January 22, 2012、Akhbar al-Sharq, January 22, 2012、al-Hayat, January 23, 2012、Kull-na Shuraka’, January 22, 2012, January 23, 2012、Naharnet.com,
January 22, 2012、NNA, January 22, 2012、Reuters, January 22, 2012、SANA,
January 22, 2012、The Washington Times, January 22, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア国民評議会事務総長らがアラブ連盟に対し「シリア問題の安保理への付託」を求める、ヒムス市で殺害された仏人記者の死因が「反体制派による誤爆」と報じられる(2012年1月21日)

アラブ連盟をめぐる動き

アラブ連盟監視団の活動状況をめぐって、西側寄りの姿勢を強める在外の反体制政治連合のシリア国民評議会とアラブ連盟、そして同評議会と国内を主な活動拠点とする反体制政治連合の民主的変革諸勢力国民調整諸委員会の意見の相違が露呈した。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長以下、運営委員会の使節団がアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長らと会談し、「シリア問題の安保理への付託」を求めた。

ガルユーン事務局長は会談後に記者会見を行い、現状において監視団が客観的な報告書を準備できないと協調し、「我々は事務局長に、報告書が非客観的なら、評議会はその形式、内容を拒否するだろうと告げた」と述べた。

またバスマ・カドマーニー報道官は、会談後の声明で、「我々にとって国際社会の介入とは本件の安保理への付託であり、それ以外の何ものでもない」と述べ、評議会が監視団報告書を国連安保理に付託することを支持するとの立場を改めて明示した。

これに対してアラブ連盟のアフマド・ベンフッリー事務副長は『ハヤート』(1月22日付)に対して、最終決定は閣僚委員会が決するとしつつ、監視団の任務が1ヵ月延長される動きがあり、その場合、監視団に対する財政面、ロジ面、情報面での支援を続けると述べた。

また連盟事務局のアリー・ジャーウィーシュ局長は、多くのアラブ諸国がカタールのハマド・ブン・ハリーファ首長が提案したアラブ軍派遣構想を拒否したと述べた。

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民主的変革諸勢力国民調整諸委員会在外事務局のハイサム・マンナーア代表は、『ハヤート』(1月22日付)の電話取材に対して、「我々には三つの要求がある。監視団メンバーを現在の4倍に増員すること…、シリア国内での移動の自由の保障、事務所の増設」としたうえで、連盟監視団の任務延長を支持する姿勢を示した。

国内の暴力

SANA, January 21, 2012
SANA, January 21, 2012

シリア革命総合委員会は、イドリブ県イドリブ公立病院で遺体60体が発見されたほか、イドリブ市・アリーハー市間で逮捕者を搬送していたバスが爆破され16人が死亡するなど、21日だけで94人が殺害されたと発表した。

しかしイドリブ県でのバス爆破に関して、SANA(1月21日付)は、マストゥーマ村で武装テロ集団が逮捕者を搬送したバスを標的に時限爆弾を爆破させ、逮捕者14人を殺害、逮捕者26人と警察官6人を負傷させたと報じた。

また同報道によると、武装集団は現場にかけつけた救急車輌も襲撃したという。

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シリア人権監視団によると、イドリブ県マアッラト・ヌウマーン市では、軍と離反兵が交戦し、軍の士官4人を含む9人と離反兵1人が死亡した。

また同県カフルナブル市でも同様の戦闘が発生し、治安部隊兵士1人が死亡し、イフスィム村・バーラ村間でも戦闘があったという。

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SANA(1月21日付)は、20日深夜(21日未明)、レバノン領内からヒムス県タッルカラフ地方に潜入しようとした武装テロ集団メンバー3人を治安維持部隊が殺害したと報じた。

同報道によると、武装テロ集団は大量の武器をシリア領内に密輸入しようとしていたという。

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『ル・フィガロ』(1月21日付)は、ヒムス県ヒムス市で1月11日に殺害されたフランス人記者ジル・ジャキエ氏に関して、「アラブ連盟は自由シリア軍が過ちを犯したことを知っている」と報じ、同氏の死が反体制武装集団の誤爆による可能性が高いと報じた。

この報道に対して、自由シリア軍のフランス代表部は「強く否定」しているという。

アサド政権の動き

Kull-na Shuraka’, January 21, 2012
Kull-na Shuraka’, January 21, 2012

サウジの日刊紙『シャルク』(1月21日付)は、オランダで会社を経営するシリア人ビジネスマンのフィダー・ナージフ氏の話として、アスマー・アサド大統領夫人がレバノン人の仲介業者を通じて、欧州に本社を置くバージン・オイル製造会社の株を売却しようとしていると報じた。

同報道によると、アスマー氏は同社株の30%を保有しているという。

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『クッルナー・シュラカー』(1月21日付)は、西側の制裁により、国内の生活必需品の物価が急上昇していると報じた。

同報道によると、鶏肉、羊肉、魚、ジャガイモ、バナナ、コーヒー豆、お茶、タバコ、灯油などの物価が50~100%上昇している。

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SANA(1月21日付)は、アサド大統領の恩赦に基づき釈放された逮捕者の人数が5,255人に達したと報じた。

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『サウラ』(1月21日付)は、「ワシントンの命を受けて個人的な目的のためにアラブ連盟監視団を利用しようとしている」とカタールを批判した。

反体制勢力の動き

自由シリア軍のマーヒル・ヌアイミー大佐は逃亡先のトルコで声明を出し、ダマスカス郊外県ザバダーニー市の民間人を防衛するため「奇襲攻撃」と「要撃」を行うだろうと述べ、テロを予告した。

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カイロ在住の反体制活動家らが中心となり、新たな政治組織「シリア国民民主ブロック」を結成した。

レバノンをめぐる動き

SANA, January 21, 2012
SANA, January 21, 2012

SANA(1月21日付)は、シリア海上警備隊がタルトゥース県ハラーバ村沖のシリア領海内で、密輸を試みていた小型ボートを拿捕、載っていたレバノン人3人の身柄を拘束したと報じた。

同報道は警備隊アリー・ユーヌス大佐の話として、この小型ボートがシリア海上警備隊の停戦命令を無視して逃走しようとしていたところに、別のボート5隻が現れ、発砲してきたという。

身柄拘束されたレバノン人3人のうち2人は負傷しており、うち1人がその後死亡した。

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しかし、AFP(1月21日付)は、レバノン領海でシリア側からレバノンの漁船が発砲を受けて拿捕され、乗員レバノン人3人(ファーディー・ハマド氏、ハーリド・ハマド氏、アフマド・ハマド氏)が身柄を拘束され、うち1人(アフマド氏、16歳)が死亡、1人が重態であると報じた。

MTV(1月21日付)によると、これを受けレバノン・シリア国境が閉鎖されたという。

また身柄拘束された3人が暮らす北部県アッカール郡アリーダ村のアリー・アサド・ハーリド村長は「3人を身柄拘束し、シリアへと連行する前に発砲を受けた」と述べた。

諸外国の動き

SANA(1月21日付)はトルコ国会人権委員会のメンバーが、トルコのハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)に脱走兵を教練する特別キャンプがあると述べたと報じた。

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米ホワイトハウスのジェイ・カーニー報道官は、「アサド政権がもはや国を完全に支配しておらず、危険の結末へとシリアを追いやる以外に何もしていないことは明白だ」と述べた。

AFP, January 21, 2012、Akhbar al-Sharq, January 21, 2012、Le Figaro, January 21, 2012、al-Hayat, January 22, 2012、Kull-na Shuraka’, January 21, 2012, January 22, 2012、Naharnet.com,
January 21, 2012、Reuters, January 21, 2012、SANA, January 21, 2012、al-Sharq, January 21, 2012、al-Thawra, January 21, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス郊外県ザバダーニー市で約12,000人が同市の「解放」を祝うデモに参加、クルド民族主義諸政党が近く反体制勢力の政党連合に合流すると報じられる(2012年1月20日)

国内の主な動き

反体制勢力、アサド政権ともに各地で大規模なデモ・集会が行われたと宣伝する一方、前者は軍・治安部隊による弾圧(少なくともが、後者は武装テロ集団による破壊活動が発生したと発表、非難した。

al-Hayat, January 21, 2012
al-Hayat, January 21, 2012

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ダルアー県では、反体制勢力筋によると、政治治安部のアブドゥッラフマーン・バリーディー曹長が暗殺された。

遺体には拷問の跡が見られる、という。

SANA(1月20日付)は、この事件に関して、曹長が武装テロ集団に自宅で誘拐され、殺害されたと報じた。

しかしシリア人権監視団は、軍から離反し、反体制勢力を支援しようとしたために殺害された可能性が高い、と発表した。

一方、複数の活動家によると、ダルアー市のウマリー・モスク周辺には治安部隊が重点的に展開し、金曜礼拝後のデモが阻止された。

反体制勢力筋によると、治安部隊は各地でモスク周辺を中心に厳戒態勢を強化し、金曜礼拝後の反体制デモを阻止したという。

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ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(1月21日付)によると、軍と自由シリア軍との間で停戦合意が成立したザバダーニー市で、約12,000人が同市の「解放」と軍の撤退を祝うデモを行った。

またドゥーマー市では、シリア人権監視団によると、約15,000人が金曜礼拝後にカビール・モスク広場に集まり、反体制デモを行った。

しかし地元調整諸委員会によると、ダーライヤー市内のモスク周辺には治安部隊が多数展開し、デモを阻止した。

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ヒムス県では、ヒムス市ハーリディーヤ地区で大規模なデモが行われた。

『ハヤート』(1月21日付)によると、同地区は自由シリア軍によって完全に制圧されている、という。

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SANA, January 20, 2012
SANA, January 20, 2012
SANA, January 20, 2012
SANA, January 20, 2012

ダマスカス県では、SANA(1月20日付)によると、サブウ・バフラート広場でアサド政権の改革路線支持、外国の干渉拒否を訴える大規模集会が開かれた。

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イドリブ県では、シリア革命総合委員会によると、19日に誘拐された市民6人の遺体が遺族に引き渡された。

またシリア人権監視団によると、アリーハー市などで反体制デモが行われた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市マルジャ地区、ハイヤーン町、ブザーア村で反体制デモが発生した。

一方、SANA(1月20日付)によると、アレッポ市サラーフッディーン地区で武装テロ集団が仕掛けた爆弾が爆発し、治安維持部隊兵士1人が負傷した。

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ハサカ県では、シリア革命総合委員会によると、ダルバースィーヤ市、アームーダー市で反体制デモが発生した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(1月20日付)によると、ダイル・ザウル市ナフル通りで、でアサド政権の改革路線支持、外国の干渉拒否を訴える大規模集会があった。

一方、シリア人権監視団によると、ブーカマール市で市民1人が殺害された。

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ラタキア県、タルトゥース県では、市内に治安部隊が多数展開し、反体制デモが阻止された。

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SANA(1月20日付)によると、ハマー県タッルドゥー市では武装テロ集団がサミーラ・ムスタファー・ラスラーン女医に暴行を加えた。

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なおシリア革命総合委員会など反体制勢力によると、ハマー県、ヒムス県、ダマスカス郊外県で軍・治安部隊と自由シリア軍との間で戦闘があり、また各地での弾圧で17人が殺害された、という。

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反体制活動家はフェイスブックなどで「革命の逮捕者の金曜日」を銘打って反体制デモを呼びかけていた。

反体制勢力の動き

ヨルダンに亡命中の反体制活動家のカマール・ルブワーニー氏はロイター通信(1月20日付)に対して、「シリア国民の大多数は宗教的に厳格だが、彼らはイスラーム教が宗教であって、党派だとは考えていない」と述べ、イスラーム主義への傾倒に警鐘をならした。

ルブワーニー氏はまた、宗派マイノリティやエスニック・マイノリティが「スンナ派のリベラリスト」と連携し、アサド政権に対するインティファーダにおけるイスラーム主義者の台頭に対抗すべきだ、と述べた。

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シリア国民評議会は声明を出し、飛行禁止空域と安全地帯設定のための国連決議を採択するよう呼びかけた。

またアラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長に対して、(22日に提出予定)の報告書で、アサド政権の弾圧を「人道に対する罪」と認定するよう求めた。

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AKI(1月20日付)は、シリア・クルド国民評議会(シリア・クルド国民大会)への参加を凍結したクルド民族主義政党が、シリア国民評議会、民主的変革諸勢力国民調整委員会などといった反体制勢力の政党連合に近くオブザーバーとして参加すると報じた。

複数の消息筋によると、シリア・クルド国民評議会への参加凍結後もクルド民族主義勢力は協調を続け、体制打倒という姿勢を維持するという。

加盟資格を凍結されているクルド民族主義政党とシリア・クルド国民評議会への参加を正式に認められていない政党のうち、民主統一党、シリア・クルド左派党、クルド民主党、クルド・シリア民主党は民主的諸勢力国民調整委員会に、シリア・クルド・アーザーディー党とシリア・クルド・イェキーティー党はシリア国民評議会に参加する見込み。

またシリア・クルド進歩民主党と、シリア・クルド民主党パールティ、シリア・クルド民主統一党はダマスカス民主変革宣言に参加する。

一方、シリア・クルド国民評議会は無所属の活動家らに向けて声明を出し、クルド人の統一ブロックを結成するために現在所属している組織を辞めるよう呼びかけた。

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シリア革命総合委員会は、ダルアー県国立博物館の展示品の一部が「治安部隊兵士」に盗まれたと発表した。

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反体制活動家のニダール・ナイーサ氏は『ヒワール・ムタマッディン』(3613号)で、「シリアの反体制活動家へのメッセージ」と題した論説を発表し、そのなかで反体制勢力がフランス委任統治時代の旗を掲揚していることを「不適切」と批判した。

アサド政権の動き

経済学者のムハンマド・カルクーティー氏はアラビーヤ(1月20日付)に対して、シリア中央銀行の外貨不足により、アサド政権は近く公務員への給与支払いができなくなるだろうと予測した。

レバノンの動き

ムスタクバル潮流のアフマド・ハリーリー事務局長(サアド・ハリーリー代表のいとこ)は『シャルク・アウサト』(1月20日付)に対して、1月11日にアサド大統領がダマスカス県ウマウィーイーン広場の集会に姿を現していた際、ヒズブッラーの護衛隊が大統領を護衛していた、と述べた。

諸外国の動き

フランスのニコラ・サルコジ大統領は在仏各国大使との会合で「私ほどバッシャール・アサドに誠実に手をさしのべてきた人物はいないが…、シリアでのスキャンダルを前に沈黙は続けられない…。抗議運動への野蛮な弾圧は受け入れられない」と述べた。

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米国務省は声明を出し、シリアの治安悪化を理由に在ダマスカス米大使館の閉鎖を検討中だと発表した。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチはアラブ連盟に対する公開書簡を出し、そのなかで監視団の報告書を国連安保理に提出するよう求めた。

AFP, January 20, 2012、Akhbar al-Sharq, January 20, 2012, January 21, 2012、Alarabia.net, January 20, 2012、al-Hayat, January 21, 2012、al-Hiwar al-Mutamaddin, January 20, 2012、Kull-na Shuraka’, January 20, 2012, January 21, 2012、Reuters, January 20, 2012、SANA, January 20, 2012、al-Sharq al-Awsat, January 20, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

軍・治安部隊がハマー市に対して「非常に大規模な治安作戦」を展開するなか、アサド大統領が「シリアへの外国の干渉を拒否し、対話と改革を支持するアラブ人民イニシアチブ使節団」と会談(2012年1月19日)

国内の暴力

ハマー県では、ハマー市で、治安維持部隊のアーディル・ムスタファー准将と治安部隊兵士8人が殺害された。

この事件に関して、SANA(1月19日付)は、「武装テロ集団」の発砲により、同准将と治安維持部隊兵士2人が「戦死」したと報じた。

しかし地元調整諸委員会は、ムスタファー准将が市民への発砲命令を拒否した離反兵に射殺されたと発表した。

また同諸委員会によると、ムスタファー准将は軍事情報局付で、ハマー市内で市民発砲命令など反体制運動弾圧を指揮してきた。

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シリア革命総合委員会によると、軍・治安部隊がハマー市に対して「非常に大規模な治安(回復)作戦」を展開し、民間人5人を殺害した。同市は現在軍・治安部隊によって封鎖されており、各地区で銃声が聞こえている、という。

革命調整諸組織によると、ハマー県ハマー市では軍と離反が激しく交戦市、少なくとも25人が殺害された。

一方、SANA(1月19日付)によると、ムハルダ市で獣医のナビール・サクルージュ氏が武装テロ集団に誘拐され、その遺体が発見された。

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イドリブ県ではシリア人権監視団によると、ザーウィヤ山のバスナクール村での治安部隊の要撃により、4人の反体制活動家が殺害された。

またハントゥーティーン村の離反兵の援護を行っていたファルキヤー村出身の離反兵1人が殺害された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のバーブ・フード地区で市民2人が迫撃砲や狙撃によって死亡した。

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ダルアー県では、複数の活動家によると、ダーイル町で離反兵1人が殺害された。

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アレッポ県では、複数の活動家によると、アレッポ市で大学寮で反体制デモが発生し、治安部隊により強制排除された。

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ダイル・ザウル県では、複数の活動家によると、マヤーディーン市で拷問を跡が残った市民の遺体が発見された。

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SANA(1月19日付)によると、ダマスカス郊外県ダーライヤー市で、武装テロ集団がハサン・ブーシュナーク前市長を狙撃、暗殺した。

またダマスカス郊外県電力課のフィラース・カッダール課長が武装テロ集団に襲撃され殺害された。

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なおシリア革命総合委員会は、治安部隊の発砲で離反兵3人を含む、少なくとも16人が殺害されたと主張している。

また革命調整諸組織によると、またダイル・ザウル県、イドリブ県、ヒムス県の各都市、ダマスカス郊外県キスワ市でも交戦があったという。

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シリア人権監視団は、アラブ連盟監視団派遣後、445人の民間人が殺害されたと発表した。

同監視団によると、加えて治安部隊兵士146人が殺害され、うち27人は離反兵だったという。

(なおこの犠牲者数には1月の自爆テロでの犠牲者は含まれていない)

反体制勢力の動き

自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐(自称)は、声明を出し、自身が「自宅監禁」下に置かれているとのクウェート日刊紙『スィヤーサ』(1月18日付)の報道を否定した。

同声明では自身の階級を「少将」ではなく「大佐」としている。

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シリア・ムスリム同胞団も広報局が声明を出し、クウェート日刊紙『スィヤーサ』(1月18日付)の報道をねつ造と避難し、否定した。

一方、シリア・ムスリム同胞団のムハンマド・リヤード・シャカファ最高監督者はロイター通信(1月19日付)のインタビューに応じ、そのなかで、国連安保理にアサド政権の弾圧に対する「抑止的措置」を講じるようアラブ連盟は圧力をかけるべきだと述べた。

外国の干渉に関しては、「航空禁止空域と安全地帯」の設置を求める一方、軍事干渉には反対との姿勢を示した。

また自由シリア軍を名のる離反兵(脱走兵)の武力行使に関しては、「自衛のみに限定されるべき」と述べた。

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反体制活動家へと転身したイマード・ガルユーン人民議会議員は『デイリー・テレブラフ』(1月19日付)に対して、アサド政権が3ヵ月以内に崩壊するだろうとの見方を示した。

アサド政権の動き

SANA, January 19, 2012
SANA, January 19, 2012

SANA(1月19日付)は、アサド大統領が「シリアへの外国の干渉を拒否し、対話と改革を支持するアラブ人民イニシアチブ使節団」と会談し、「シリア国民は現下の状況を克服し、強力なシリア建設の能力を持っている」と応えたと報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(1月19日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、アサド政権が、ヒズブッラーの拠点であるベイルート郊外(ダーヒヤ)を模した政治的拠点(地盤地域)をダマスカス県南部のマッザ区、オートストラード地区、スーマリーヤ地区、ダマスカス郊外県のラブワ市、ダマスカス国際空港、ムウダミーヤト・シャーム市に建設しようとしている、と報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(1月19日付)は、アサド政権中枢で、アサド大統領の指導力、とりわけ軍事的指導力を疑問視する共和国護衛隊などの軍・治安部隊の高官がアサド大統領を退任させ、弟のマーヒル・アサド大佐(共和国護衛隊)を後任に推すべきだと主張するようになっていると報じた。

同報道によると、アサド大統領退任に向け、マーヒル・アサド大佐、おじのリフアト・アサド前副大統領、マフルーフ家などで調整が行われているという。

(ただし上記報道の真偽は定かではない。)

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スフィヤーン・アッラーウ石油鉱物資源大臣は、西側諸国の経済制裁により国内の石油セクターの損失額が2011年9月以降で2,000,000,000米ドル以上に昇ったことを明らかにした。

アラブ連盟および国際社会の動き

アラブ連盟監視団のアドナーン・ハディール作業部長は、1月22日に開催されるシリア問題閣僚委員会会合と外相会合に関して、監視団の任務延期などに関して依然として何らの指示も受けてないと述べた。

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国際人権団体のAvaazはアラブ連盟監視団派遣後のシリアで746人が殺害され、治安部隊が20以上の反体制デモに攻撃を加えたと発表した。

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アラブ諸国(シリア、エジプト、アルジェリア、サウジアラビア、スーダンなど)の142の人権団体、NGOから構成されるアラブ市民組織連立は共同声明を出し、アラブ連盟に対して監視団をシリアから撤収するよう呼びかけた。

また国連安保理に対して「シリアでの暴力に対処するための決定を下す」よう求めた。

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NATOのバルテレス事務局長は、シリアへの軍事干渉の可能性を改めて否定した。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は『Ouest France』(1月19日付)に対して、カタールのハマド・ブン・ハリーファ首長が提案したシリアへのアラブ軍の派遣に関して、「現下の地域情勢において、我々はこのようなシナリオに動くことはない」と述べた。

そのうえで、アラブ連盟に対して監視団報告書を国連安保理に提出するよう呼びかけた。

AFP, January 19, 2012、Akhbar al-Sharq, January 19, 2012, January 20, 2012、The Daily Telegraph, January 19, 2012、al-Hayat, January 20, 2012、Kull-na Shuraka’, January 19, 2012、Ouest France, January 19, 2012、Reuters, January 19, 2012、SANA, January 19, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス郊外県ザバダーニー市で政府軍と離反兵の間に停戦合意が成立、露外相はシリアへの国連主導の軍事介入を拒否する姿勢を改めて表明(2012年1月18日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県ザバダーニー市(人口約40,000人)で、政府軍と離反兵との間に停戦合意が17日に成立、18日から実施された。

ザバダーニー調整(委員会)とザバダーニー地方総合委員会によると、停戦合意は間接交渉を通じてなされ、シリア軍側からは、アサド大統領の義兄のアースィフ・シャウカト副参謀長(中将)が出席した。

両組織によると、停戦合意は、ザバダーニー市の入り口一カ所の以外からの軍の撤退、同市に135輌の装甲車輌を展開するとされる自由シリア軍による市民保護を骨子とする。

自由シリア軍のハムザ・ブン・アブドゥルムトリブ大隊によると、これによりザバダーニー市の治安が自由シリア軍に移譲されたという。

シリア人権監視団によると、この停戦合意を受け、ザバダーニー市では「砲撃」が行われなかった。

自由シリア軍のマーヒル・イスマーイール報道官は、軍が停戦に応じた理由に関して、ロイター通信(1月18日付)に対して、「山岳地帯であるため、攻撃を行えば、装備の違いにもかかわらず、離反兵よりも多くの犠牲者が出るということを軍が知っている」ためと述べた。

また軍の停戦履行に関しては、軍が新たな攻撃作戦を計画しているだろうと述べた。

アンマンに亡命中の反体制活動家のカマール・ルブワーニー氏によると、軍と離反兵の戦闘で、市民1人が死亡、約50人が負傷したほか、正規軍兵士30人と離反兵多数が戦死した。

ザバダーニー市は、数日前から激しい「砲撃」が行われてきたと反体制勢力が繰り返し主張していた。

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シリア人権監視団によると、軍と離反兵の戦闘などで、ヒムス県で5人、イドリブ県で3人が殺害された。

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シリア革命総合委員会によると、ヒムス県、イドリブ県などで少なくとも17人が殺害された。

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SANA(1月18日付)によると、イドリブ県マアッラ地方で武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃し、同部隊のフサイン・アリー・アッバース中尉を殺害した。

またヒムス県ヒムス市で武装テロ集団に誘拐された医師の遺体が発見された。

さらにハマー県ムハルダ市では電気技師のファーティマ・ハリーファ女史が武装テロ集団によって殺害された、という。

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シリア人権監視団によると、イドリブ県ザーウィヤ山で軍と離反兵が交戦し、離反兵1人と民間人6人が殺害された。

アサド政権の動き

シリアの日刊紙『ティシュリーン』(1月18日付)は、カタールのハマド・ブン・ハリーファ首長がアラブ軍派遣を提案したことを厳しく批判し、カタールがテロリストへの武器支援を行っている疑いがあると主張した。

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AFP(1月18日付)は、シリア・ポンドが2011年3月の反体制運動開始以来51ポンドに下落し、1ドル71ポンドとなったと報じた。

反体制勢力の動き

シリアでもっとも著名で影響力のある反体制活動家の一人、ミシェル・キールー氏は『ル・フィガロ』(1月18日付)に対して、自由シリア軍による武装闘争がシリアを危機に曝し「際限なき混乱」へと陥れると述べた。

キールー氏は「軍として構成されていない数千の兵(離反兵)によって40万の軍(正規軍)を攻撃しようとしている…。国は際限のない混乱に陥るだろう。気が狂っている」と反体制武装集団の行為を批判した。

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反体制活動家でアラブ言論・表現の自由擁護委員会のバヒーヤ・マールディーニー委員長は、アスマー・アフラス大統領夫人、マーヒル・アサド大佐の婦人、ディヤーラー・ハーッジ・アーリフ前社会問題大臣、ラーミー・マフルーフ婦人ら、政権内の女性たちが「国民の財産を海外で預金している」と避難し、西側諸国の制裁リストに加えるよう呼びかけた。

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アラウィー派市民106人がフェイスブック(1月18日)に共同声明を出し、「シリア革命の諸要求」への支持を表明した。

http://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=253277574742238&id=251608528242476

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シリア国民評議会の執行委員会は声明を出し、委員会使節団がカイロを訪問し、アラブ連盟のイニシアチブの進捗状況、監視団の報告書などに関して協議すると発表した。

また別の声明では、評議会使節団がオランダ外相と会談し、同外相よりアサド政権への圧力を強化するとの回答を得たと発表した。

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クウェート日刊紙『スィヤーサ』(1月18日付)は、アフマド・ジュムア氏なる人物の証言をもとに、自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐(自称少将)が避難先のトルコで実質的に「自宅監禁」下に置かれていると報じた。

また同報道は、イランがシリア国民評議会を通じて自由シリア軍への影響力を行使しようとしていると断じた。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟のアフマド・ベンフッリー事務副長は、19日に予定されている連盟監視団報告書提出を前に、「我々は現在、節目にいる」と述べた。

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アラブ連盟監視団を辞任したアルジェリア人のアンワル・マーリク氏はオーストリア紙に対して、「口を噤まなければ、クビを切る」と脅されたと述べた。

レバノンの動き

ヒズブッラーは声明を出し、ザバダーニー市にカチューシャ砲で砲撃を行ったとの一部情報に関して、「まったく根拠がない」と否定した。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は記者会見で、「リビアの先例」を引き合いに出し、「安保理決議の悪しき利用という現象が繰り返されることに満足しない」と述べ、改めてシリアへの国連主導の軍事介入を拒否する姿勢を示すとともに、「暴力を停止させた後、すべての当事者が即時対話を開始し、政治的関係正常化」をめざすべきだと明言した。

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国連安保理ではロシアが提出した決議案(修正案)に関して、専門家による審議が2日目に入った。

安保理筋によると、審議における中心的議題は、「シリア問題において安保理が何らかの役割を引き受けることを認めるか否か」で、ロシアとそれを支持する国際社会のマジョリティは「安保理の外に問題をとどめ、実質的な措置を講じることを回避する」べきだとの立場をとっている、という。

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EUは、英国の提案に従い、対シリア制裁第10弾として、治安関係者22人、関係機関8組織(政府系銀行5行、石油企業3社)を制裁リストに追加した。

アラビーヤ(1月23日付)によると、リストにはジハード・サルターン准将、ムハンマド・マアルーフ准将、ムフスィン・マフルーフ准将が名を連ねている、という。

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中国外交部報道官は記者会見で、「シリアでの暴力を完全に停止させられていないしても、治安状況が改善したことは重要だ」と述べ、アラブ連盟監視団の任務を高く評価した。

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デビッド・キャメロン英首相は議会で、イランとヒズブッラーがアサド政権の弾圧を支援している多くの証拠があると証言した。

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米国訪問中のヨルダンのアブドゥッラー国王は『ワシントン・ポスト』(1月18日付)に対して、国際社会による大規模な介入がない限りシリア情勢に変化はないとの見方を示した。

AFP, January 18, 2012、Akhbar al-Sharq, January 18, 2012, January 24, 2012、AKI, January 18, 2012、Alarabia.net, January 23, 2012、al-Hayat, January 19, 2012、Kull-na Shuraka’, January 18, 2012, January 23, 2012、Reuters,
January 18, 2012、SANA, January 18, 2012、al-Siyāsa, January 18, 2012、Tishrin, January 18, 2012、UPI, January 18, 2012、The Washington Post, January 18, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリアがカタール高官によるアラブ軍派遣の声明に対し「断固たる拒否」の姿勢を表明する一方、シリア・ムスリム同胞団は「弾圧を支援する」イランを強く批判(2012年1月17日)

アサド政権の動き

SANA(1月17日付)は、シリア外務省筋の話として、シリアが「カタール高官によるアラブ軍派遣の声明に驚いている」としたうえで、「こうした呼びかけが事態を悪化させ、連盟の活動を頓挫させ、外国の干渉を誘発する」と「断固たる拒否」の姿勢を示したと伝えた。

Akhbar al-Sharq, January 17, 2012
Akhbar al-Sharq, January 17, 2012

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シリア政府は、議定書に基づきアラブ連盟監視団の増員に合意する用意があると発表した。

反体制勢力の動き

イラン・イスラーム革命防衛隊高官のアラビーヤ(1月17日付)での発言(後述)を受けるかたちでシリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリム報道官は声明を出し、イランがシリア国内の弾圧を支援していると断じて強く批判した。

同声明は「バッシャール・アサド体制は父の体制からシリアをアラブ国家からイラン枢軸に従属する国家に変貌させ…、イランの国益に奉仕し、シリア国民の国益を犠牲にしてきた…。テヘランの政府とそれに従う域内の諸勢力は、この革命を弾圧する実質的当事者となり、我々の国の内政に干渉し、体制を政治、情報、経済において支援し、さらに専門家、装備、武器、兵員を派遣することで治安、技術面でも支援してきた…。イラン高官は今日、革命防衛隊が内政干渉の準備ができていると宣言したが…、こうした声明は無視、黙殺の精神をもって(シリア国民に)受けとられざるを得ない」と述べた。

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シリア・ムスリム同胞団のマフムード・ファールーク・タイフール副監督者が『ハヤート』(1月18日付)の単独インタビューに応え、アサド政権が反体制活動を武装闘争や宗派対立にしようとしていると批判するとともに、国際社会の干渉が不可欠だと主張した。

またイランに関しては、治安面、軍事面、兵站面でアサド政権を支持しているとしたうえで、「狙撃兵のほとんどはイラン、ないしはレバノン出身者だ」と断じるとともに、イランの仲介によるアサド政権との和解提案を拒否したことを改めて明らかにした。

さらにヒズブッラーに関しては、前者がアサド大統領に依存し、弾圧と拷問に荷担していると断じた。

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シリア・クルド人国民イニシアチブのウマル・ウースー代表は、アサド大統領の恩赦を「重要なステップ」と評価、「いわゆる反体制勢力が取引材料としてきた逮捕者のカードが失われた」としたうえで、「シリアに陰謀を企てるアラブ諸国当事者の手からもカードが失われるだろう」と述べた。

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シリア国家建設潮流は声明を出し、アサド政権の恩赦を受けるかたちで、すべての逮捕者の氏名をリストで公表するよう求めた。

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空軍情報部の前ヒムス支部のアブドゥルカリーム・ナッバハーン准将はYoutubeなどで声明を出し、自身が軍を離反したことを明らかにするとともに、シャッビーハが反体制活動家らを脅迫するために女性を誘拐していると暴露した。

http://www.youtube.com/watch?v=E5Sb3yXJHOA

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『ザマーン・ワスル』(1月17日付)は、自由シリア軍のファールーク大隊が空軍情報部ヒムス支部付の曹長を拷問し、デモ参加者2人を殺害した自供させたとのビデオ映像が、ファールーク大隊発足以前に撮影された映像で、自由シリア軍を貶めることを目的としているものだと報じた。

国内の暴力

SANA(1月17日付)によると、イドリブ県イドリブ市で武装テロ集団が警察の車輌を襲撃し、治安維持部隊兵士1人が死亡、イドリブ中央刑務所の女性職員2人が負傷した。

またサラーキブ市とイドリブ市を結ぶ街道に武装テロ集団が仕掛けた爆弾が爆発し、4人の市民が死亡、7人が負傷した。

さらにアリーハー市の墓地で武装テロ集団によって殺害されたと見られる市民の遺体4体が発見された。

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シリア革命総合委員会によると、ヒムス県、イドリブ県、ダマスカス県ザバダーニー市などで少なくとも30人が殺害された。

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シリア革命指導評議会なる組織によると、ヒムス県ヒムス市で子供1人、女性1人を含む6人が殺害された。

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シリア人権監視団によると、イドリブ県内のイドリブ市・アレッポ市を結ぶ街道で何ものかがしかけた爆弾が爆発し、マイクロバスに乗っていた民間人8人が死亡した。

また同県ハーン・シャイフーン市やヒムス県などで少なくとも8人が殺害された、という。

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UPI(1月17日付)は、ダマスカス県マイダーン地区で手榴弾が爆発したと報じた。死傷者はなかった。

アラブ連盟の動き

『フィナンシャル・タイムズ』(1月17日付)は、複数のアラブ連盟監視団メンバーの話として、カタールのハマド・ブン・ハリーファ首長がアラブ連盟を通じたアサド政権への圧力を断念し、自由シリア軍支援など「別の手段」で煽動を継続する方針に転換しようとしていると報じた。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は訪問先のバーレーンの首都マナーマで記者会見で、「すべての考え方が議論のために提示される」と述べ、21日の閣僚委員会会合でアラブ軍のシリアへの派遣の是非が審議される可能性があることを示唆した。

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イラクのホシャル・ゼバリ外務大臣は22日に予定されている連盟外相会合でシリアへのアラブ軍の派遣が審議されるだろうと述べた。

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アラブ人権機構のアラー・シブリー事務局長は、アサド大統領に恩赦において、シリアの人権団体が報告した「革命参加者」が釈放されているのであればきわめて重要な進展だ、と述べ、アラブ軍の派遣に関して「実行不可能」と却下した。

レバノンの動き

レバノン・カターイブ党最高党首のアミーン・ジュマイイル元大統領は『サフィール』(1月17日付)に対して、「我々にはシリアの問題に関してどう対処するかで意見の相違があり、これは秘密ではない」と述べ、3月14日勢力内でアサド政権に対する対応に足並みの乱れがあることを認めた。

ジュマイイル元大統領はまた、「我々は変化を支持するが、レバノン自らがシリアの内政に身を乗り入れることには関心がない」と述べた。

諸外国の動き

AFP(1月17日付)は、イスラエル軍消息筋の話として、アサド政権が崩壊した場合、同政権が保有している生物化学兵器(その多くが東欧製)がヒズブッラーなどに拡散することをイスラエルが懸念していると報じた。

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イラン・イスラーム革命防衛隊筋はアラビーヤ(1月17日付)に対して、シリア情勢を国内問題とみなしつつも、シリアが外圧に曝された場合、イランが防共協定に基づきそれを放置しないと述べ、「少なくともシリアにおける我々の同胞は事態は良好で、2ヵ月以内に事は決着するだろうと言っている」と明らかにした。

イランのアーラム・ニュース・ネットワーク(1月17日付)は、イラン外務双方同官がアラブ諸国および諸外国によるシリアへの干渉の呼びかけを拒否し、対話による問題解決を支持するとの姿勢を改めて強調したと報じた。

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『ハヤート』(1月18日付)によると、ロシアが安保理に提出したシリア問題に関する決議案(修正案)に関して、西側外交筋は「決議案で見たいと思っていたことが文言のなかには存在しない」と述べ、失望感を露わにした。

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バラク・オバマ米大統領は米訪問中のアブドゥッラー・ヨルダン国王と会談し、シリア情勢に関して「受け入れられない暴力のレベルに注目し続けている」と述べ、アサド政権への圧力強化への意思を示した。

AFP, January 17, 2012、Akhbar al-Sharq, January 17, 2012、Alarabia.net, January 17, 2012, January 18, 2012、The Financial Times, January 17, 2012、al-Hayat, January 18, 2012、Kull-na Shuraka’, January 17, 2012、Naharnet.com, January
17, 2012、Reuters, January 17, 2012、al-Safir, January 17, 2012、SANA, January 17, 2012、UPI, January 17, 2012、Zamān al-Wasl, January 17, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア国民評議会が自由シリア軍との協力のもと「連絡局」の設置を正式に発表、アラブ連盟事務総長はシリア問題への外国の軍事干渉に改めて異議を唱える(2012年1月16日)

アサド政権の動き

SANA(1月16日付)によると、スワイダー県シャフバー市で外国の干渉拒否、アサド政権の改革路線支持を訴える大規模集会が開催された。

al-Hayat , January 17, 2012
al-Hayat , January 17, 2012

またダイル・ザウル県各地では、婦人団体のシリア・ジュダーイル協会が女性連合とともに署名活動を行い、アサド政権の改革路線支持を呼びかけた。

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『ワタン』(1月16日付)は、シリアの対イラク輸出額が2011年12月、1日あたり20,000,000ドルに上昇したと報じた。その半分がアレッポから輸出されている、という。

Kull-na Shuraka’ , January 16, 2012
Kull-na Shuraka’ , January 16, 2012

一方、闇レートで1米ドル約70ポンドまで下落し、外貨不足が深刻化していると続けた。

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『クッルナー・シュラカー』(1月16日付)は、西側の制裁対象となり、営利活動からの撤退を宣言していたラーミー・マフルーフ氏(アサド大統領のいとこ)がシリア・インターネット軍への資金援助、石油・電力部門などでの活動を再開した、と報じた。

反体制勢力の動き

自由シリア軍は国連安保理に対して、国連憲章第7章に基づく決議の採択を求めた。

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シリア国民評議会は自由シリア軍との協力のもと、離反兵の反対活動を調整するための「連絡局」の設置を正式に発表した。

同評議会渉外局のムハンマド・ヤースィーン・ナッジャール氏は『ハヤート』(1月17日付)に対して、トルコのイスタンブールで1月15日、シリアのイスラーム教ウラマーが会合を開き、「革命」支援のための「アズハル・バージョン」とでも言うべき糾合に向けた動きを進めていると発表した。

また評議会が自由シリア軍とともに、離反した上級士官から構成される最高軍事評議会の発足をめざしていることを明らかにした。

一方、同評議会のアフマド・ラマダーン氏は、アラブ連盟によるシリアへのアラブ軍派遣への支持を表明した。

Ugarit News Network, January 16, 2012
Ugarit News Network, January 16, 2012

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トルコ領内の対シリア国境で足止めを食い、ハンストを行っていた「シリアへの自由輸送団」はシリアでの反体制抗議運動発生1周年に合わせて3月15日にシリア入国を再び試みると発表した。

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民主変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表は、RT(1月16日付)に対して、アサド大統領の恩赦が「アラブ連盟の要求に何一つ応えていない」としたうえで、「殺戮の停止が最優先であるなかで、(恩赦は)対話の前段階とは捉え得ない」と批判した。

また『ハヤート』(1月17日付)に対しては、委員会が2月6日にロシアと中国に使節団を派遣することを明らかにした。

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『ハヤート』(1月17日付)によると、シリア法律研究センターのアンワル・ブンニー所長は、アサド大統領による恩赦に関して、釈放されたのが少数に過ぎないと批判したうえで、「彼らは表現と平和的デモという基本的人権を行使しただけで、罪は犯していない」と述べた。

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イマード・ガルユーン人民議会議員は政権からの離反と反体制運動への参加を表明した。

Kull-na Shuraka’ , January 16, 2012
Kull-na Shuraka’ , January 16, 2012

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バッカーラ部族のシャイフを自称する反体制活動家でダマスカス民主変革宣言のメンバー、ナウワーフ・バシール氏は、トルコに亡命し、シリア国民評議会に合流すると発表した。

国内の暴力

シリア人権監視団によると、ヒムス県ヒムス市アシーラ地区で武装した親体制派が「無差別発砲」、民間人5人が死亡、9人が負傷した。また同市バーブ・アムル地区でも治安部隊の発砲で1人が死亡した。

このほか各地区で治安部隊による発砲、「砲撃」が行われたという。

またイドリブ県マアッラータ村とアルナバ村間で、兵士約20人が脱走を試み、軍・治安部隊と激しく交戦、脱走兵5人が殺害され、残りの兵士は脱走に成功した。

イドリブ県ではこのほか、アリーハー市で治安部隊が「砲撃」を加えたという。

ダマスカス郊外県ドゥーマー市では、治安部隊が「無差別発砲」を行い、またシャイフーニーヤ村では軍・治安部隊と離反兵が交戦した。

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SANA(1月16日付)によると、ダマスカス郊外県サフナーヤー市近郊で、武装テロ集団の「砲撃」により、治安維持部隊の士官1人と5人が殺害された。

また武装テロ集団は同県グータ地方で通勤途中だったムハンマド・アブドゥルハミード・アウワード准将を暗殺した。

一方、ヒムス県ヒムス市では鉄道技師のハイダル・アッバース・イスマーイール氏が武装テロ集団に殺害された。

また同市ダイル・バアルバ地区では治安維持部隊兵士1人が武装テロ集団によって殺害されたほか、14日に武装テロ集団に誘拐された市民1人が誘拐時に負った傷が原因で死亡した。

諸外国の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は訪問先のUAEで「シリア情勢に対してコソボやリビアで起きたようなシナリオを適用することは許されない」と述べ、外国の軍事干渉に改めて異議を唱えた。

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フランス外務省副報道官は記者会見で、イランによるシリアへの武器供与が国連安保理決議第1747号、第1929号に違反していると述べ、両国に決議の遵守を求めた。

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ロシアは国連安保理にシリア問題に関する決議案(修正案)を回付した。同決議案は17日に審議予定。

またロシア外務省は声明を出し、アサド大統領による恩赦に歓迎の意を示した。

AFP, January 16, 2012、Akhbar al-Sharq, January 16, 2012、al-Hayat, January 17, 2012、Kull-na Shuraka’, January 16, 2012、Reuters, January
16, 2012、SANA, January 16, 2012、al-Watan, January 16, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド大統領が「違法デモ」への参加者や離反兵などへの恩赦を決定するなか、シリア人ウラマーがイスタンブールで「シリア・イスラーム会合」発足大会を開催(2012年1月15日)

アサド政権の動き

アサド大統領は政令第10号を出し、「違法デモ」への組織・参加者、武器密輸関係者、脱走兵など刑法第285、286、287、291、294、307、308、327、328条、平和的デモ調整法第335~339条、2001年政令第51号、軍事刑法第100、101号の違反者への恩赦を決定した。

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SANA(1月15日付)は、各県のバアス党の各支局(地域>支部>支局>班>組)で、2月に予定されている第11回シリア地域大会(党大会)に出席する代表を選出するための選挙が始まったと報じた。

地域大会には約1800人の党員代表が出席する予定で、支局選挙では850人に1人の割合で代表者が選出される。

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SANA(1月15日付)は、政党問題委員会(ムハンマド・シャッアール内務大臣が議長)が、政党法に基づきシリア民主党を正式に認可したと報じた。

反体制勢力の動き

1月13日から15日にかけてイスタンブールでシリアの反体制ウラマーが「シリア・イスラーム会合」発足大会を開催した。

閉幕声明では、ウンマ再興と不正の根絶に果たすべきウラマーの役割が確認されるとともに、「シリア革命」支持・支援の意思が明示され、アラブ諸国、イスラーム諸国、諸外国の政府・国民にシリア国民との連帯が呼びかけられた。

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シリア国民評議会広報局のアフマド・ラマダーン氏は『ハヤート』(1月16日付)に対して、カタールのハマド・ブン・ハリーファ首長によるシリアへのアラブ軍派遣の提案を支持すると述べた。

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『シャルク・アウサト』(1月15日付)は、ジャズィーラに出演したアブドゥルジャリール・サイード師の話として、同師を含むイスラーム教ウラマー数十人が政権を離反し、隣国に亡命したと報じた。

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シリアの造形形術家約70人が反体制団体「シリア無所属造形家連合」の発足を宣言した。

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『ザマーン・ワスル』(1月15日付)は無所属反体制活動家のムハンマド・ハバシュ人民議会議員が政権を離反し、UAEのドバイに亡命した可能性があると報じた。

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作家のリーマー・ファルハーン女史がフェイスブックでシリア国民評議会からの脱会を宣言した。

同声明でファルハーン女史は、シリア国民評議会が革命や若者の希望に奉仕するよう訴えた。

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ムスリム同胞団は声明を出し、アサド大統領の恩赦に関して、「3月15日以降の逮捕者数が6,000人を越える」と述べ、逮捕者釈放が不充分だとの立場を示した。

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シリア・クルド国民評議会執行委員会会合が14、15日に開催されたが、執行部メンバーの選出をめぐって紛糾した。

『クッルナー・シュラカー』(1月16日付)によると、主な争点は以下の通り。

1. 「ミシュアル・タンムー・センター」を名のる民主化勢力の連立組織の評議会参加に伴う執行部メンバーの人事。
2. クルド人青年活動のなかで最有力とされるクルド青年調整連合、AVAHI連立の評議会への参加の是非。
3. ダマスカス民主変革宣言、民主的変革諸勢力国民調整員会、シリア国民評議会への参加をめざしている各党への対応。

上記3点のうち、2に関しては、特別委員会を設置し継続審議することを決定した。

また3に関しては、ダマスカス民主変革宣言、民主的変革諸勢力国民調整員会、シリア国民評議会のクルド問題に対する姿勢が明示されるまで、最終判断を保留し、これらの政党連合への参加を希望する政党のシリア・クルド国民評議会への参加承認を見合わせるとともに、すでにシリア・クルド国民評議会に参加している政党に関しては参加資格を凍結することを決定した。

国内の暴力

シリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県のザバダーニー市、マダーヤー町、ヒムス県ヒムス市に対する治安当局の「砲撃」と包囲が続いた。

ザバダーニー市では数万人が反体制デモを行ったという。

イドリブ市とハーン・シャイフーン市では13日に負傷した市民2(女性1人)が死亡したという。

またアラブ連盟監視団の監視チームが多数の治安機関の車輌を伴ってタルトゥース県のバーニヤース市内の親体制派が住む地区だけを視察した、という。

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シリア革命総合委員会によると、ダマスカス郊外県、ヒムス県、イドリブ県などで27人の市民が軍・治安部隊の発砲で殺害された、という。

ザバダーニー市では、軍・治安部隊の戦車が進入し、50人以上が負傷したという。

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SANA(1月15日付)によると、イドリブ県のアリーハー市とマストゥーマ村を結ぶ街道で武装テロ集団が仕掛けた爆弾が爆発し、労働者6人が死亡、16人が負傷した。

諸外国の動き

英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣はスカイ・ユーズ(1月15日付)に対して、シリアへの飛行禁止空域の設定を検討していない、と述べ、軍事干渉の可能性を改めて否定した。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は滞在先のミャンマーで記者団に対して、シリア情勢への安保理の「沈黙」を改めて批判した。

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チュニジアのムンスィフ・マルズーキー大統領は、アルジェリア日刊紙『ハバル』(1月15日付)に対して、シリアへの外国の干渉を「自殺行為」と評し、地域全体を「爆発」ささせると警鐘を鳴らした。

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『ハヤート』(1月16日付)は、アラブ連盟高官がシリアへのアラブ軍派遣は連盟において提案されていないと述べた。

AFP, January 15, 2012、Akhbar al-Sharq, January 15, 2012, January 16, 2012, January 17, 2012、al-Hayat, January 16, 2012、al-Khabar, January 15, 2012、Kull-na Shuraka’, January 15, 2012, January 16, 2012、al-Quds al-‘Arabi, January 16, 2012、Reuters, January 15, 2012、SANA, January 15, 2012、al-Sharq al-Awsat, January 15, 2012、Zaman al-Wasl, January 16, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

武装テロ集団がイドリブ県で貨物列車を爆破、シリア国民評議会がアラブ連盟に対し連盟監視団の活動に関する報告書を提出(2012年1月14日)

国内の暴力

SANA(1月14日付)は、武装テロ集団がイドリブ県で線路に爆弾をしかけ、貨物列車を爆破し、積載していた燃料(発電所で使用するための燃料)が燃えて、列車の乗務員3人が負傷したと報じた。

事件に関して、シリア人権監視団は、「革命運動家を疑うために当局が爆破を自作自演したと住民は疑っている」と発表した。

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『ハヤート』(1月15日付)は、反体制筋の話として、ダマスカス郊外県ザバダーニー市で軍と離反兵が交戦し、少なくとも40人が死亡したと報じた。

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シリア人権監視団によると、ヒムス県ヒムス市で13歳の少年を含む4人の市民が治安当局によって殺害された。

またイドリブ県クマイナース村出身の男性が13日に治安当局の発砲で受けた傷が原因で死亡した。

ダマスカス郊外県ドゥーマー市でも13日のデモで負傷した若者1人が死亡した、という。

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『クッルナー・シュラカー』(1月14日付)によると、携帯電話会社シリアテルのシステムが午前4時にサイバー攻撃を受け、利用者に「バッシャールの一味は破産した。爆破の真相が露わとなった。国民を殺す裏切り者め」と書かれたSMSが配信されたと報じた。

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ヒムス市で殺害されたフランス人テレビ・レポーターのジル・ジャキエ氏とともに同市で取材していたスイス人ジャーナリストのアフマド・ハンムー氏は『ラ・リベルテ』(1月14日付)で、ジャキエ氏の殺害に関して「多くの疑問点」が浮かぶとしたうえで、「国家犯罪」と断じた。

反体制勢力の動き

シリア軍を離反したムスタファー・アフマド・シャイフ准将は声明を出し「シリア最高軍事評議会」発足の準備があることを明らかにした。

声明によると同評議会は、自由シリア軍との調整のもと反体制軍事作戦の計画を行うという。

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シリア国民評議会はアラブ連盟に対して、連盟監視団のシリア国内での活動に関する報告書を提出した。

22ページからなる報告書には、監視団が秘密の刑務所などを視察できないといった点、都市部からの軍の撤退や逮捕者の釈放が不充分である点などが記されている。

http://issuu.com/love.syria/docs/parallel_report-syria?mode=window&backgroundColor#222222

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民主変革諸勢力国民調整委員会は、メンバーのムハンマド・ジブル・ムサーラマ氏(アラブ社会主義連合民主党ダルアー支部書記長)がダマスカス郊外県キスワ市の空軍情報部の検問所で逮捕されたことを明らかにした。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、「アラブ連盟監視団は、アラブ諸国外相が要請したように、包括的かつ完全なかたちで(連盟イニシアチブが)履行されていない」と述べ、監視団の活動に関して「包括的な再検討」が不可避との立場を初めて明らかにした。

またムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長が「もはや(シリアには)当初あった歓迎の姿勢はなくなっていると報告した」と述べた。

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アラブ連盟監視団を離反したチュニジア人アンワル・マーリク氏はアルジェリアの『シュルーク』紙(1月14日付)の取材に応え、ダービー団長が「シリアの士官らと夕食をとっている」などと述べ、中立的ではないと批判するとともに、監視団の各チームのリーダーたちが証言や報告内容を改ざんしていると断じた。

レバノンの動き

忠誠への改革ブロック代表でヒズブッラーの党員でもあるムハンマド・ラアド議員がレバノンを訪問中のトルコのアフメト・ダウトオール外務大臣と会談し、「シリアにおける変革がいかなる外国の介入もなくなされる必要がある」との意思を伝えた。

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サウジアラビアで事実上の避難生活を送るレバノンのサアド・ハリーリー前首相はツイッターで「シリアで変化が起ころうとしている…。彼(アサド大統領)は終わりだ」とつぶやいた。

諸外国の動き

カタールのハマド・ブンハリーファ首長は米CBS(1月14日付)とのインタビューで、シリアでの「殺戮を終わらせるために」アラブ軍を派遣することを提案した。

またシリアの反体制運動を煽動するジャズィーラが果たしている役割に関して「ポジティブである」と自画自賛した。

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AFP(1月14日付)は、米国の複数の高官がアサド政権による反体制デモ弾圧のためにイランが武器支援を行っていると疑っていると報じた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣がレバノンを訪問し、同じくレバノン訪問中の潘基文国連事務総長と会談した。

事務総長報道官によると、会談で「シリアの危機の危険な軌道」が焦点となったと述べた。

AFP, January 14, 2012、AKI, January 14, 2012、Akhbar al-Sharq, January 14, 2012、al-Shuruq, January 14, 2012、al-Hayat, January 15, 2012、Kull-na Shuraka’, January 14, 2012、Naharnet.com, January
14, 2012、Reuters, January 14, 2012、SANA, January 14, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

各地で金曜礼拝後の大規模反体制デモが組織され死傷者が発生、シリア国民評議会は自由シリア軍との「連絡局」の設置に合意(2012年1月13日)

反体制デモおよび国内の暴力

シリア革命調整委員会によると、ハマー県、ヒムス県、イドリブ県、ダマスカス県(バルザ、カダム、マイダーン、カーブーン)で金曜礼拝後に反体制デモが発生し、数万人が参加、軍・治安部隊と衝突し、子供2人を含む14人が殺害された、という。

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SNN, January 13, 2012
SNN, January 13, 2012
SNN, January 13, 2012
SNN, January 13, 2012
SNN, January 13, 2012
SNN, January 13, 2012

シリア人権監視団によると、イドリブ県、ヒムス県、ハマー県など各地で反体制デモが発生し、イドリブ県カフルナブル市で1人、ハマー県ハマー市で1人が安部隊の発砲により殺害された。

またダマスカス県内の農民総連合ビル前ではデモが発生し、治安部隊が発砲し強制排除、少なくとも15人を逮捕した。

治安部隊はダルアー県ジャースィム市、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市などで発生した反体制デモなどに対して発砲し、参加者を追跡・逮捕したという。

このほか、イドリブ県サラーキブ市では、軍・治安部隊が「戦車や重火器で砲撃」したという。

一方、タルトゥース県バーニヤース市で兵士3人が離反し、治安パトロール隊と交戦、またヒムス県では離反兵が兵員輸送バスを襲撃した。

さらにダマスカス県ドゥーマー市でも離反兵と軍が交戦した。

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フェイスブックなどでは「自由シリア軍支援の金曜日」と銘打って反体制デモが呼びかけられていた。

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一方、SANA(1月13日付)によると、ダマスカス郊外県のムラーフ地方で武装テロ集団の襲撃により治安維持部隊の士官1人を含む兵士3人が殺害され、3人が負傷した。

またヒムス県ヒムス市では、武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃し2人が死亡、12人が負傷した。

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SANA(1月14日付)は、武装テロ集団がダイル・ザウル県とハサカ県を結ぶ高圧電線用鉄塔複数基を破壊したと報じた。

SANA, January 13, 2012
SANA, January 13, 2012

親体制デモ

SANA(1月13日付)によると、ハサカ県カーミシュリー市、ラアス・アイン市でアサド政権の改革路線支持、外国の介入拒否を訴える大規模集会が開催された。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は声明を出し、「シリア革命へのもっとも理想的な寄与を実現する」ための調整関係強化をめざし、自由シリア軍との間に「連絡局を設置し、兵士への政治的指示を行うためのサークルやプログラムを構築するための「直接連絡」を継続し、声明発表などでの協力を行うことに合意したと発表した。

同合意は、ブルハーン・ガルユーン事務局長を団長とするシリア国民評議会の使節団と自由シリア軍指導部(リヤード・アスアド司令官、マーリク・クルディー大佐)との会談で実現した、という。

Kull-na Shuraka', January 13, 2012
Kull-na Shuraka’, January 13, 2012

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ムハンマド・アフマド・シャイフ参謀付准将がシリア軍を離反し、逃亡先のトルコでロイター通信(1月13日付)の電話取材に応じ、これまでにシリア軍兵士約20,000人が離反したことを明らかにした。

同准将によると離反兵のほとんどはイスラーム教スンナ派。

シャイフ参謀付准将はイドリブ県出身でこれまで離反した士官のなかで最高位。

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民主変革諸勢力国民調整委員会のミーラ・ラフビー女史は声明を出し委員会を脱会したと発表した。

脱会の理由に関して、ラフビー女史は、「国民の希望や要求を政治的に表現できない反体制勢力の諸派に絶望した」と述べるとともに、委員会の決定が一部の活動家によって独占され、「民主制や透明性」を欠いている点などをあげた。

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エジプトのバウワーバ・アフラーム(1月13日付)は、反体制活動家がアスマー・アフラス大統領夫人を西側の制裁リストに追加するため努力を行っている、と報じた。

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「シリアへの自由輸送団」は声明を出し、同船団を支援するシリア人および外国人活動家がトルコから陸路でシリアへの入国を試みたが、当局に入国を拒否され、トルコ国境のキリス市でハンストを開始した、と発表した。

自由船団はトラック5台、自動車15台からなる。

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Elaph.com(1月13日付)は、自由シリア軍のアンマール・ワーウィー大尉が、タルトゥースに1月7日に寄港したロシア艦船が化学兵器(VXガス)をシリアに搬入したと述べた、と報じた。

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ヒムス県ヒムス市のバーブ・スィバーア地区でもっとも著名なシャイフの一人アナス・スワイド師はアラビーヤ(1月13日付)の取材に対して、アサド大統領が「無能で、その命令は何も意味をなしていない」と批判した。

アサド政権の動き

共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師はイフバーリーヤ・チャンネル(1月13日付)で、シャイフ・アブドゥルジャリール・サイード師がシリアの法曹界を離反したとのジャズィーラ(1月12日付)の報道に関して、「シリアにファトワー局などない。我々はアブドゥルジャリールなる人物を雇用したことなどない」と述べて否定した。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟監視団からの脱退を宣言したアルジェリア人のアンワル・マーリク氏は声明を出し、ヒムス市で自身が目の当たりにした光景をフェイスブックに綴って以降、10回以上も殺害脅迫の電話を受けたと述べた。

また自身がダービー団長とともに最初にヒムス市バーブ・アムル地区に入った監視団に参加していたと述べ、その映像がシリア・アラブ・テレビなどを通じて放映され、またユーチューブにもアップされていると反論した。

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アラブ議会のアリー・サーリム・ディクバースィー議長はアラビーヤ(1月13日付)のインタビューに対して、アラブ連盟監視団は「もはや不要」との見方を改めて示した。

諸外国の動き

国連の潘基文事務総長はニューヨークからレバノンのベイルートに向かう専用機内で『ハヤート』(1月14日付)の取材に応じ、そのなかでアサド大統領が「正統性を失った。国民の殺戮を止めねばならない…。手遅れになる前に大胆な改革に踏み切らねばならない」と述べた。

また『ナハール』(1月13日付)の取材に対して、シリア情勢に関して国際社会が統一的な姿勢をとる必要があると述べた。

またカタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣のニューヨークでの会談で、シリアをめぐる問題を安保理に付託する意思があることを明らかにしたと述べた。

アラブ連盟監視団に関しては、ナバネセム・ピレイ人権高等弁務官が「来週から監視団の訓練支援を始める」と述べたことを明らかにした。

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フランス司法当局は、テレビ・レポーターのジル・ジャキエ氏の殺害に関して、「殺人」容疑での調査を開始したと発表した。

またフランス・テレビ協会の広報部長は同氏の殺害に関して「疑わしい点がある…。例えば、兵士たちは発砲時になぜ突然と姿を消したのか?」と述べ、シリア政府の関与を暗に示唆した。

一方、フランス外務省報道官はシリア情勢に関して、飛行禁止空域の設定という選択肢が「現在提示されていない」と述べ、シリアへの軍事介入の可能性を改めて否定した。

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ロシア外務次官はシリア情勢への西側諸国の対応に関して、「体制転換をめざしている」と非難し、アサド政権の打倒をめざすような国際的な動きを拒否する姿勢を改めて明示した。

AFP, January 13, 2012、Akhbar al-Sharq, January 13, 2012、AKI, January 13, 2012、Alarabia.net, January 13, 2012、Bawwaba al-Ahram, January 13, 2012、Elaph.com, January 13, 2012、al-Hayat, January 14, 2012、Kull-na Shuraka’, January 13, 2012、al-Nahar, January 13, 2012、Reuters, January 13, 2012、SANA, January 13, 2012, January
14, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アラブ連盟監視団団長は辞任を表明したアルジェリア人メンバーの発言を「事実とは関係がない」として否定、米国務省が在ダマスカス米大使館の人員を削減(2012年1月12日)

アラブ連盟の動き

アラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長は声明を出し、ジャズィーラ(11日)が放映したアンワル・マーリク氏の発言に関して、「事実とは関係がない」ことを明らかにした。

同声明によると、マーリク氏はヒムス市を視察チームに配属されたもの、6日間ホテルに滞在していただけで、現地視察は行わなかった。

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アラブ連盟監視団のアドナーン・ハディール作業部長は、監視団員の人数が現在163人に達し、これまでに辞めたのが2人に過ぎないと発表した。

ハディール作業部長によると、辞職したのはアルジェリア人とスーダン人で、1人は健康上の理由、もう一人は一身上の理由で、監視団はこの辞職を認めた、という。

また監視団が議定書の規定に従い1月19日まで活動を続けると付言した。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はエジプトのハヤート・チャンネル(1月12日付)で、10日のアサド大統領の演説での連盟に対する非難に反論しつつ、国際社会の介入には以下のように述べ、消極的な姿勢を示した。

「武力行使を行うような国にとってシリアには魅力がない…。石油もない。米国は今年大統領選挙を控えており、彼らが軍事的な冒険しようとしているとは思えない…。EUはほとんど破産状態だ…。国際情勢は軍事介入を許さない…。安保理も中国とロシアが反対しているなかでこうした冒険をしようとはしないだろう」。

SANA, January 12, 2012
SANA, January 12, 2012
SANA, January 12, 2012
SANA, January 12, 2012

アサド政権の動き

SANA(1月12日付)は、内務省がダマスカス県マイダーン地区での自爆テロ事件(1月6日)の実行犯の顔写真を公開し、市民に情報を寄せるよう呼びかけたと報じた。

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SANA(1月12日付)は、タルトゥース県タルトゥース市、ハマー県ミスヤーフ市、ヒムス県サラミーヤ市でアサド政権の改革路線支持、テロ反対などを訴える大規模集会が開かれたと報じた。

またダマスカス県ジスル・ライースでは、青年ボランティア団体が「私はシリア人、バッシャール・アサドは私の代表」と書かれた全長150メートルの横断幕への署名運動を行った。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は声明を出し、ヒムス市での外国人記者襲撃を「シリア政府がジャーナリズムの活動や自由な報道を禁止する段階に入った危険な兆候」と非難した。

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ジャズィーラ(1月12日付)は、シャイフ・アブドゥルジャリール・サイード師がシリアの「ファトワー機構」の対応に抗議するため、同機関を離反したと報じた。

国内の暴力

ヒムス市でのフランス人テレビ・レポーターのジル・ジャキエ氏らへの攻撃に関して、取材チームに参加していたベルギー人記者のヤンス・フランセン氏がベルギー放送委員会のサイトに「手榴弾が3、4発着弾し、混乱状態になった」と事件発生時の様子を綴った。

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シリア革命総合委員会によると、ヒムス県、ハマー県、ダマスカス郊外県ハラスター市、ダマスカス県カーブーン区などでの治安部隊の弾圧で市民22人が殺害されたという。

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複数の活動家によると、ダマスカス県バラームカ地区で学生数百人が反体制デモを行い、30~40人が逮捕された。

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変革解放人民戦線代表でシリア共産主義者統一国民委員会書記長のカドリー・ジャミール氏は、ダイル・ザウル市で治安当局がデモ参加者に発砲し14人が死亡、そのなかに委員会メンバーのズハイル・マシュアーン氏が含まれていたと発表した。

同氏によるとデモは10日のアサド大統領の演説中に行われていた、という。

諸外国の動き

キャサリン・アシュトン欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長の報道官は声明を出し、アサド大統領の演説に関して「改革の約束は信用できない」と失望感を示すとともに、アサド政権が「完全に正統性を失った」と述べ、制裁継続の意思を改めて確認した。

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米国務省は在ダマスカス米大使館の外交官の人員を安全上の理由で削減すると発表した。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、アラブ連盟に対してアラブ連盟監視団派遣に関する議定書を履行しないシリア政府を非難する時が来たと発表した。

AFP, January 12, 2012、Akhbar al-Sharq, January 12, 2012、Aljazeera.net, January 12, 2012、al-Hayat, January 13, 2012、Kull-na Shuraka’, January 12, 2012、Reuters, January
12, 2012、SANA, January 12, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ヒムス県で武装テロ集団が外国の取材チームおよび市民に向かって迫撃砲を撃ち複数人が死亡、アサド大統領が政権支持集会に初めて姿を現す(2012年1月11日)

アラブ連盟の動き

アラブ連盟監視団のメンバーの一人でアルジェリア人のアンワル・マーリク氏は監視団を辞すと発表した。

Akhbar al-Sharq, January 11, 2012
Akhbar al-Sharq, January 11, 2012

マーリク氏は「監視団の任務はさらに血塗られた段階を準備するために利用されている。監視団が撤収しなければ、アラブ人は大災難に直面するだろう…。監視団がとどまれば、シリアは内戦に向かってしまう」と述べた。

また「シリアにテロなどない。あるのは民衆革命だ。自由シリア軍は攻撃しているのではなく、人々を守っているのだ」と付言、ヒムス市で「我々は皮がはがされ、ひどい拷問の跡が残る遺体を実際に目にした」と述べた。

マーリク氏のほか、エジプト人のアフマド・アブドゥッラー・ハリール氏、ジブチ人のムハンマド・フサイン・ウマル氏、さらにモロッコ人、チュニジア人、スーダン人なども監視団を辞めたという。

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しかしAFP(1月11日付)は、匿名のアラブ連盟高官の話として、マーリク氏がシリア滞在中にヒムス市を視察するチームには加わっていなかったと報じた。

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AFP(1月11日付)は、アラブ連盟高官筋の話として、9日のラタキアでの監視団襲撃を受けるかたちで、連盟が新たな監視団派遣を凍結したと報じた。

国内の暴力

SANA(1月11日付)は、ヒムス県ヒムス市アクラマ地区で、テロの被害を取材中の外国の取材チームとテロに反対する市民に向かって武装テロ集団が迫撃砲を撃ち、フランス人テレビ・レポーターのジル・ジャキエ(Gilles Jacquier)氏を含む9人が死亡、20人以上が負傷したと報じた。

SANA, January 11, 2012
SANA, January 11, 2012

記者の殺害に関して、情報省、国民情報会議がそれぞれ声明を出し、テロ組織の犯行を強く非難した。

シリア人権監視団はこの襲撃に関して、「迫撃砲の発射元は分からない。しかし同市の活動からは当局を疑っている」と発表し、事件の調査を求めた。

取材チームはフランス人記者、ベルギー人記者、スイス人記者、シリア人同行者などからなっていた。

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SANA(1月11日付)によると、ヒムス県ヒムス市サビール地区でも武装テロ集団がRPG弾や迫撃砲を発射し、市民1人が死亡、16人が負傷した。

一方、ダマスカス郊外県ヤアフール町では、武装テロ集団が仕掛けた爆弾の爆発に軍兵士を乗せたバスが巻き込まれ、兵士4人が死亡、8人が負傷した。

さらにイドリブ県マアッラト・ヌウマーン市では、武装テロ集団が市民1人を自宅で殺害した。

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シリア人権監視団によると、このほかハマー県カフルヌブーダ町で4人の民間人が殺害され、また軍と離反兵が交戦した。

さらにダマスカス郊外県ダーライヤー市では治安当局が実弾などを使用しデモの強制排除を試み、イドリブ県マアッラト・ヌウマーン市では市民がゼネストを行ったという。

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SANA(1月11日付)などシリア公式筋は、アラビーヤ(11月10日付)やジャズィーラ(1月10日付)などが国内の刑務所で拷問により死亡したと報じたアッファーフ・マフムード・サラーキビーちゃん(4ヵ月)の母親シャーディヤ・アブドゥルジャッバール氏が同報道をねつ造と断じ、アッファーフちゃんが心臓病で自然死したと証言した、と報じた。

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『カースィユーン』(1月11日付)は、ダイル・ザウル市での反体制デモを組織していた青年指導者の一人で人民意思党メンバーのズハイル・アリー・マシュアーン氏がデモ参加中に殺害されたと報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(1月12日付)は、ダマスカス郊外県サッブーラ地方で軍兵士を乗せたバス2台がRPG弾で迫撃されたと報じた。

襲撃されたバスには、第14師団の兵士と第4師団の兵士が乗っていたという。

SANA, January 11, 2012
SANA, January 11, 2012
SANA, January 11, 2012
SANA, January 11, 2012
SANA, January 11, 2012
SANA, January 11, 2012

アサド政権の動き

アサド大統領がダマスカス県ウマウィーイーン広場で行われていた大規模集会に「突如」姿を現した。

大統領が政権支持集会に姿を現すのはこれが初めて。

会場に姿を現したアサド大統領は同広場に隣接するアサド図書館から集会参加者に向かって、「私がここに来たのは、手に手を携えて、未来を見、前を、そしてシリアを見つめるためだ。我々が愛するシリアを。強力なシリアを。寛大で誇り高いシリアを。前へ進むために個々にやってきた。片方の手で改革を、そしてもう一つの手でテロとの戦いを握りしめるため」と述べた。

また「我々には将来への信頼がある。あなたたちを信頼している…。なぜなら疑う余地なく、我々が陰謀に勝利するからである…。彼らは今、陰謀の最終段階にある。我々はこの段階を彼ら、そしてその計略の最後とするだろう」と述べた。

会場に集まった市民は、国民統合、外国の内政干渉拒否、アサド政権主導による改革支持を訴えた。

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ダマスカス県以外でも、アレッポ県アレッポ市、ラタキア県ラタキア市、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市、ハサカ県ハサカ市、ダルアー県ダルアー市、スワイダー県スワイダー市、イドリブ県サルキーン市、ジスル・シュグール市、アブー・ズフール町、ヒムス県アフラーム市、ラッカ県ラッカ市などで同様の集会が行われた。

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AFP(1月11日付)は、アレッポのギリシャ・カトリックのヨハンナー・ジンビルト司教はフランス紙の取材に対して、「我々は体制崩壊の影響で、イラクと同じように、多くの信者が移民を余儀なくされるかもしれないことを懸念している…。キリスト教徒は過激なスンナ派による支配を信用しておらず、ムスリム同胞団の覇権を恐れている」と述べたと報じた。

反体制勢力の動き

Akhbar al-Sharq, January 11, 2012
Akhbar al-Sharq, January 11, 2012

西欧で亡命生活を送るリフアト・アサド前副大統領(アサド大統領のおじ)はSAWAラジオ(1月11日付)に対して、アサド大統領の「支配を続けることは不可能なこととなった」としたうえで、「シリアを宗派主義的内乱から救済し、外国の介入を排除したまま流血と破壊を回避するため、家族の介入」が必要であると述べ、「家族の外交」を駆使して大統領の退任を促していることを明らかにした。

しかしR・アサド前副大統領は、ダマスカスがこの努力に耳を傾けようとしないと失望感を露わにした。

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シリア変革大会(アンタリア)は声明を出し、10日のアサド政権の演説が「多くの嘘に彩られ、現地の真実に反している」と批判した。

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変革解放人民戦線は10日のアサド大統領の演説を受けるかたちで声明を出し、「(アサド大統領が)言及した国民和解実現と危機打開に向けたステップ」と評価した。

そのうえで、現体制および反体制勢力を含むすべての政治勢力が参加する挙国一致内閣の早期発足を呼びかけた。

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『ワタン』(1月11日付)によると、変革解放人民戦線のアリー・ハイダル氏は、アサド大統領の演説を「長らく我々が求めてきた抜本的・包括的構造改革を示すものである」と評価した。

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『ワタン』(1月11日付)によると、民主変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表は「優先事項は暴力、殺戮の停止、民間人の補語、軍の都市からの撤退、逮捕者釈放」としたうえで、「現体制下での部分的改革への参加はできない」と述べ、アサド大統領の呼びかけを拒否した。

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『ワタン』(1月11日付)によると、シリア国家建設潮流のルワイフ・フサイン代表は、アサド大統領が演説て述べた挙国一致内閣に関して、「危機解決をもたらさない」と述べたうえで、アサド政権が暫定政府の樹立を受け入れることが問題解決の第一歩になるとの見方を示した。

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シリアの反体制活動家数百人を載せた自由輸送団が人道物資を輸送するためにトルコとヨルダンを出発。

12日に陸路でシリアに入国する予定。

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ジャズィーラ(1月11日付)は、シリアの芸術家たちが「自由のためのシリア芸術創作家連合」の設立を呼びかけたと報じた。

レバノンの動き

ムスタクバル潮流のマイーン・マルアビー議員は『ナハールネット』(1月11日付)に対して、レバノン軍治安当局がシリアに向かおうとしていた複数のシリア人とレバノン人を北部県アッカール郡・ベカーア県ヘルメル郡間のルワイマ検問所で逮捕したことを明らかにした。

『ナハールネット』(1月11日付)によると逮捕されたシリア人は5人で、トリポリ市内の病院で治療を受けようとしていた、という。

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自由国民潮流代表のミシェル・アウン議員(元国軍司令官)は、10日のアサド大統領の演説を踏まえるかたちで、「シリア国民は充分勤勉に内紛を収拾しようとしている」と述べるとともに、「改革を要求する反体制勢力を装って不安定を情勢しようとする試みがある」と反体制運動およびそれを支援する国々を暗に批判した。

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3月14日勢力の事務局が会合を開き、10日のアサド大統領の演説を「体制による虐殺を隠蔽する」内容だと非難し、レバノン政府に対してさらなる弾圧激化が懸念されるシリア情勢と距離を置くよう求めた。

諸外国の動き

フランスのアラン・ジュペ外務大臣はパリで記者会見を開き、10日のアサド大統領の演説を「暴力を奨励」し、「現実を否定する」発言と非難した。

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米国のビクトリア・ヌーランド国務省報道官は、アサド大統領の演説がデモ参加者への暴力から目をそらし、暴力に対する責任逃れだとしたうえで「そのことから、アサドが去るときが来たという我々の考え方が再確認された」と述べた。

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ヒラリー・クリントン米国務長官はカタールのハマド・ブン・ジャースィム首相と会談後の共同記者会見で、アサド大統領の10日の演説を「責任を負う代わりに、諸外国や陰謀を責めただけ」と非難した。

そのうえでアラブ連盟監視団に関しては「無期限に活動警告することはあり得ない」と述べた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣はアンカラで記者会見を開き、9日のラタキアでのアラブ連盟監視団への暴行に関連して、監視団の活動は不可能だとの見方を示した。

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キプロス当局は大量の軍事装備を積載した船舶のシリア、トルコへの出港を許可した。

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アルジェリアのムラード・マドリスィー外務大臣は国連での記者会見で、「問題に直面している一部の都市から重火器を撤退させた…。まだ多くの人が拘束中だが、数千人の逮捕者を釈放した…。不完全だがメディアに対して門戸開放を行ったことも事実だ」と述べ、アサド政権の姿勢を高く評価した。

AFP, January 11, 2012、Aljazeera.com, January 11, 2012、Akhbar al-Sharq, January 11, 2012, January 12, 2012, January 13, 2012、al-Hayat, January 12, 2012、Kull-na Shuraka’, January 11, 2012, January 12, 2012、Naharnet.com,
January 11, 2012、Qasiyun, January 11, 2012、Reuters, January 11, 2012、SANA, January 11, 2012、al-Watan, January 11, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド大統領がダマスカス大学で反体制運動開始以降4度目の演説、シリア国民評議会を含む反体制諸派は「外国の陰謀」をめぐる演説内容を非難(2012年1月10日)

アサド大統領の演説

バッシャール・アサド大統領がダマスカス大学講堂で2時間にわたって演説を行った。

アサド大統領が演説するのは2011年3月の反体制運動開始以降4度目。

アサド大統領は演説で次のように述べた(アラビア語全文はhttp://www.sana.sy/ara/2/2012/01/10/393386.htmを参照)。

SANA, January 10, 2012
SANA, January 10, 2012

「外国の陰謀は誰にとってももはや隠し事ではない…。しかし現在、霧は晴れ、シリアの安定を揺るがそうとしていた(中東)地域や国際社会の当事者たちが現実や事態を欺くことなどできなくなっている」。

「もちろん彼ら(西側メディア)は一つのことを連呼している…。彼らは、国民や西側に対して、この人物(アサド大統領)は繭に閉じこもっていて、何が起きているかを知らない、と言うために、国のトップを標的にしようとしたのだ。彼らは国民、とりわけ在外居住者に対して、国のトップが責任を負っていないのなら…、収拾がつかなくなるのは当然だと言おうとしているのだ…。彼らは地位と責任を混同しているに過ぎない。2000年に、私は(大統領就任演説で)、「地位など望んでいないが、責任逃れはしない。地位に価値はない。それはツールに過ぎない、地位ばかり望む者は尊敬に値しない」と言っている」。

「彼ら(反体制分子)は当初、望まれるような革命をめざした。しかしあなたがたの彼らに対する革命、彼らの破壊行為に対する革命が彼らとそのとりまきたちの道を閉ざした。そしてあなたがたの統合力に衝撃を受けると、彼らはその統合力を解体しようと、宗派主義という武器を持ちだした…。この目的を実現する望みが絶たれると、彼らは今度は破壊・殺戮行為に出た…。彼らのこうした試みのすべてが破綻すると、外国の役割が生じた。外国の干渉以外に選択肢はなかったのだ。我々が通常、外国と言うと、(非アラブの)諸外国が思う浮かぶだろう。しかし残念なことに、この外国には、非アラブ諸国とアラブ諸国が混ざったものとなった。しかもこのアラブ諸国はしばしば非アラブ諸国以上に敵対的で邪悪であった…。アラブ諸国はその政策において統一されていない…。一部のアラブの高官は、我々を心情的に支持していても、政治的に反対してきた。なぜかと問うと、「私はあなたがたを支持していますが、外国の圧力があるのです」と彼らは言う」。

「我々が今日突如目にするようになったアラブの役割とは、これまでにアラブ諸国による関与ではなく…、外国や超大国の関与に際して目にしてきたものである。すなわち多くの場合、諸外国はアラブの国々を犠牲にして特定の国を救済したり、破壊してきた。イラクやリビアで起きたのはこうしたことである。しかし今日我々が目にしているのはアラブがシリアに対してこうした役割を果たそうとしている事態だ。安保理で自らの欺瞞で世界を満足させられなくなった彼らは、アラブという隠れ蓑が必要になった。アラブという地位が必要となった…。こうしてあの(アラブ連盟の)イニシアチブが登場した…。実際のところ、こうしたイニシアチブや監視団の問題をアラブ連盟の使節団に数ヶ月前に提案したのは私だった…。もちろんシリアのこうした提案への関心はまったくなかった。しかし数ヶ月後、突如として我々はこの問題が世界的な関心事になっていることを目にした…。なぜなら外国で監視団の名のもとに計略が始まったからである」。

「我々は今日、アラブ連盟を非難していない。なぜなら我々はその一部だからだ…。また私は、アラブ連盟、ないしは一部のアラブ諸国がシリアの加盟資格を剥奪・凍結したから、連盟について話すのではない…。人々の強い不満を目にしているから話すのだ…。アラブ連盟からの脱退や加盟資格などは問題ではない。問題なのは誰が損をするかだ。シリアが損をするのか、アラブ連盟が損をするのか?アラブ情勢が慢性的に劣悪である限り、我々皆が敗者なのだ…。心のない体が生きることができようか?シリアが鼓動するアラブの心臓だと言ったのはシリア人ではない。ガマール・アブドゥンナースィル(エジプト元大統領)がそういったのであり、この状況は今も続いている…。シリアにとってこうした問題、そしてアラブ性(ウルーバ)は単なるスローガンではなく行為である…。もし一部の国が我々のアラブ性を凍結しようとするなら、我々はこう言おう。彼らは連盟のアラブ性を凍結するが、シリアのアラブ性を凍結することはできないだろう。シリアなき連盟は凍結されたアラブ性となるだろう、と。シリアを連盟から排除できると考えている者がいるとしても、我々からアラブ性を排除することはできない。なぜならアラブ性とは単なる政治的な決定ではなく、遺産であり歴史そのものだからだ…。彼らはシリアを連盟から脱退させることに腐心しているのではなく、連盟にシリアの名を残したまま加盟資格を凍結することに腐心している。しかしそうしたことで、アラブ連盟は連盟でも、アラブ的でもなく、アラブを志向する(ムスタアリブ)連盟に成りさがり、相応しい政策や役割を果たさなくなるだろう…」。

「我々は今日、二つの側面から内政改革に取り組んでいる。第1に政治改革、そしてもう一つが腐敗との戦いである。改革プロセスに関して、今日我々が行っていることは、現下の危機を解決すると考えている者もいる…。しかしこの言葉は正しくない。我々はこうした理由で改革を行っているのではない。改革と現下の危機との間には限定的な関係しかない。破壊目的のために改革を主唱する者と真に改革を望む者を峻別するプロセスを決定した当初は、この関係は重要だったに過ぎない。だが峻別は終わった…。では改革プロセスと外国の計略との関係とはどのようなものか?我々が今日、改革を実行できれば、外国のシリアに対する計略は止むか?私はあなたがたにこう言いたい。外国、とりわけ西側でのシリア情勢に関する話の多くにおいて、犠牲者の数や改革に関心を示す者はほとんどいない。シリアの政策について話しているだけだ…。二つ目のポイントは改革とテロの関係のありように体現されている。我々が改革を実行すれば、テロはなくなるだろうか?殺戮や破壊を行うテロリストは政党法、選挙法、地方自治砲の類を望んでいるのか?テロリストにとって改革は意味はないし、関心事でもない。改革はテロリストがテロを行うことを封じるものではない…。大部分のシリア国民は改革を望み、法に背かず、人を殺さない。我々にとって改革は日常のプロセスなのだ」。

「(戒厳令解除、政党法制定、地方自治方改正、情報法制定などに加えて)、改革のもう一つの軸が憲法だ。(シリア・アラブ共和国憲法草案準備)委員会は最終段階に入り、憲法草案は複数政党制、政治的多元性といった本質的基礎に議論を集中させていると思う。委員会メンバーは憲法第8条について審議するだろう。我々は憲法を抜本的に改正せねばならないといった…。憲法は国家の法であるだけでなく、シリア国民一人一人に関わる問題だ。それゆえ、我々は委員会が任務を完了し、憲法草案を提示した後、それを国民投票にかける。憲法に関する国民投票は3月初めには行えるだろう」。

「現在、我々には危機に対処する新たな政治的行程表がある。また新憲法、政党法とともに、新たな政治勢力が台頭し、我々はこれらの勢力を考慮せねばならない…。私はこう言おう。中道派、反体制派、新体制派などすべての政治勢力を考慮せねばならないと。政府は祖国の政府であって、一政党、一国家機関の政府ではない。政府の拡大は良い発想だ…。どのように名づければよいかは分からないが、国民和解という人もいれば、参加拡大という人もいる。重要なのは我々はすべての勢力の参加を歓迎しているということであり、実際に我々が最近になって対話を開始したということだ…。我々が反体制勢力を含むすべての勢力の参加について話す際の反体制勢力とは誰だろうか?我々は大使館前に座り込み、国家と対話するなと言う外国からの指図を受けるような野党を望んでいるのではない…。国民的な基準、人材が確保できれば…、我々は今すぐにでもそうした政府を発足するために動きだろう…。我々はこの問題をまもなく始めるだろう」。

「戦争状態ないしは対決状態において、国というものはその優先事項を再編する。現下の最優先事項は…、治安の回復である…。これはテロリストを鉄拳で打ちのめすことなしには実現しない。テロとの休戦はなく、罪深い武器を用いて混乱や分裂を助長する者との協力はない。平和な市民を脅迫するものとの妥協もない。祖国と国民に敵対する外国人と結託する者との関係正常化はない」。

アサド政権の動き

SANA, January 10, 2012
SANA, January 10, 2012

『クッルナー・シュラカー』(1月10日付)は、アサド大統領の演説が行われた11時から午後まで全国で停電は一件も発生しなかったが、演説が終わった直後の午後1時に停電した、と報じた。

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SANA(1月9日付)によると、アサド大統領の演説内容を支持し、現政権による包括的改革の推進、挙国一致、外国の干渉拒否を訴える大規模集会が、アレッポ県アレッポ市、ラッカ県ラッカ市、スワイダー県スワイダー市、ダルアー県ダルアー市など各地で開催された。

反体制勢力の動き

パリで亡命生活を送る反体制活動家のアブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領はアラビーヤの単独インタビューに応え、「アサドはレバノン閣僚である私の友人の一人に、いかなる譲歩も行うつもりがないと述べ、もしそうすることを余儀なくされ、圧力が強まったら、国内で宗派間戦争を発生させ、海岸地域に国家を建設するだろうと告げた」と語った。

また国際社会、とりわけ西側諸国に対して、「シリア国民を保護するため、軍事的措置を含む真剣な措置を講じるべく安保理を通じて行動する」よう呼びかけた。

一方、シリア国民評議会に関して、「一部が政府との対話を支持し、政府への参加を狙っている。この点こそが、反体制勢力における最大の内部対立点で、彼らは二つの派閥、すなわち穏健派と、バッシャール・アサド打倒をめざす急進派に分かれてしまっている」と述べた。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長はアサド大統領の演説に関して、「危機の政治的脱却のためのアラブおよびそれ以外の国々のあらゆるイニシアチブへの道を閉ざし、シリアをさらに悪い状態に追いやる」内容と非難し、アラブ連盟に対して、シリアをめぐる問題を国連に付託するよう改めて求めた。

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民主変革諸勢力国民調理委員会在外事務局のハイサム・マンナーア代表は、『ハヤート』(1月11日付)に対して、「(アサド大統領が呼びかけている)対話と我々は何の関係もない。もし明日、彼が私に組閣を要請したとしても、私は彼に、先ず大統領職を退任するよう求めるだろう」と批判した。

Kull-na Shuraka', January 10, 2012
Kull-na Shuraka’, January 10, 2012

シリア革命支援国民連立は声明を出し、アサド大統領の演説に関して、「危機の存在を認めず、殺戮、逮捕といった罪を謝罪せず、陰謀の幻想に身を沈め、アラブ連盟を攻撃し、鉄拳による弾圧を続けることを約束した」と非難した。

国内の暴力

『クッルナー・シュラカー』(1月10日付)は、ハサカ県カーミシュリー市で、PKKに近いクルド民族主義政党の民主統一党に近いクルド人青年3人が殺害されたと報じた。

この3人は兄弟で、父親が民主統一党のメンバーだという。

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シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市で治安部隊がデモを弾圧、10人が殺害され、40人が負傷した。またヒムス県ヒムス市でも市民2人が殺害され、イドリブ県イブリーン村では士官の命令に背いた兵士が逃走しようとして殺害された、という。

さらにダマスカス郊外県ドゥーマー市では、殺害された離反兵の葬儀に数万人が参列したが、治安部隊によって強制排除された。

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シリア革命総合委員会によると、ダイル・ザウル県で反体制デモに対する治安部隊の弾圧で12人が殺害され、35人が負傷した。

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Youtube
Youtube

アラビーヤ(1月10日付)、ジャズィーラ(1月10日付)などは、ヒムス市で暮らすアッファーフ・マフムード・サラーキビーちゃん(4ヵ月)が国内の刑務所で拷問を受け、死亡したと報じ、遺体の映像・写真を公開した。

アラブ連盟監視団

クウェート軍参謀長府は、1月9日にラタキア県ラタキア市で、アラブ連盟監視団に参加しているクウェート軍士官2人が暴行を受け、軽傷を負い、病院に搬送されたと発表した。

ラタキア市を訪問した監視団は、クウェート、UAE、イラク、モロッコ、アルジェリアの士官から構成されていた。

アドナーン・ハディール作業部長は、デモ隊が監視団の車を襲ったことを明らかにしたうえで、この暴行事件によっても監視団の活動を中断することはなかったと述べた。

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、暴行事件に関して強く批判し、「ラタキアなどに展開する監視団の不充分な補語は、シリア政府による本質的・体系的な不履行とみなされる」と述べ、アサド政権の「完全なる責任」を追求した。

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シリア外務省のジハード・マクディスィー報道官は声明を出し、ワリード・ムアッリム外務大臣がアラブ連盟監視団のムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー氏と会談し、「監視団の安全と保護に対する責任を引き続き負い、その任務遂行を妨害するいかなる行動も許さない」ことを確認したと述べた。

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UAEのシャイフ・アブドゥッラー・ブン・ザーイド外務大臣は、アラブ連盟監視団の派遣後も「殺戮行為が減少しているとは思えず、監視団の行動に関してシリア側がコミットしているとも思えない。反体制勢力ではない一部の勢力によって残念ながら監視団は攻撃を受けている」と述べ、GCC諸国も参加している監視団への暴行について審議するよう、アラブ連盟事務総長に呼びかけた。

レバノンの動き

サウジアラビアで実質避難生活を送るレバノンのサアド・ハリーリー前首相はツイッターでアサド大統領の演説を「自分の国で起きていることを陰謀だとみなすことで現実から目を反らしている」と批判し、その姿勢を「滑稽」だとつぶやいた。

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レバノン軍団代表のサミール・ジャアジャア氏はアサド大統領の演説に関して記者団に「アサドは現地で実際に起きていることとは無縁の状態について語った…。陰謀だとしたらなぜ数十万の人々を動員できるのか理解できない…」と非難し、「シリアの事態が本当に陰謀によるものだとするなら、国連のもとで国民投票を行うだけで事は解決する…。そうすれば、アサドの陰謀説は検証される」と述べた。

諸外国の動き

イスラエル国防軍参謀長は、アサド政権が崩壊した場合、ゴラン高原のアラウィー派を難民として受け入れる用意があると述べた。

クネセト外務国防委員会報道官が発表した。

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SANA(1月10日付)は、日本(NHK)、イタリア、スペインの取材チームがダルアー県を訪問し、現地を視察・取材したと報じた。

AFP, January 10, 2012、Akhbar al-Sharq, January 10, 2012、Alarabia.com, January 10, 2012、Aljazeera.net, January 10, 2012、al-Hayat, January 11, 2012、Kull-na Shuraka’, January 10, 2012、Naharnet.com, January
10, 2012、Reuters, January 10, 2012、SANA, January 10, 2012、Twitter、Youtubeなどをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス県で外国の干渉拒否や政権の改革支持を訴える大規模集会が行われる、シリア国民評議会がアラブ連盟監視団の報告書を「真実を反映していない」として非難(2012年1月9日)

アサド政権の動き

『ザマーン・ワスル』(1月9日付)は、反体制活動に与したシリア開発基金職員を解雇してはならないとの決定をアスマー・アフラス大統領夫人が下した、と報じた。

シリア開発基金はシリア国内最大のNGOでアスマー婦人が名誉会長を務める。

massar.sy
massar.sy

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SANA(1月9日付)によると、ダマスカス県サブウ・バフラート広場で、テロ反対、挙国一致、外国の干渉拒否、国民自決、アサド政権の改革支持を訴える大規模集会が開催され、多数の市民が参加したほか、ヨルダンの人民使節団もこれに加わった。

SANA, January 9, 2012
SANA, January 9, 2012
SANA, January 9, 2012
SANA, January 9, 2012
SANA, January 9, 2012
SANA, January 9, 2012

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SANA(1月9日付)は、ダマスカス県内のキリスト教聖十字架教会で1月6日のマイダーン地区での自爆テロ犠牲者の追悼ミサが行われたと報じ、キリスト教、イスラーム教の双方の法曹関係者多数が出席した。

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アラブ連盟シリア代表のユースフ・アフマド大使は、連盟閣僚委員会会合後のカタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外相の記者会見に関して、「シリアの危機に関する偏った事前の立場を反映しており、閣僚委員会議長の立場として相応しくない」とした。

反体制勢力の動き

クウェート日刊紙『スィヤーサ』(1月9日付)は、在カイロの調整諸委員会指導部メンバーの一人の話として、ヒムス県、ダマスカス郊外県、ダルアー県、ダイル・ザウル県などで反体制活動を行っている活動家の多くが、シリア国民評議会に代表される国外の反体制勢力の活動に与せず、また飛行禁止空域の設定などシリア情勢の安保理への付託に反対していると報じた。

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シリア国民評議会執行委員会は、イスタンブールで会合を開き、ブルハーン・ガルユーン事務局長を事務局長に再任した。

事務局長の任期は6ヵ月だが、延長された任期は1ヵ月のみ。

またこれに合わせて、評議会報道官は、イスタンブール事務所の開設を発表した。

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シリア国民評議会は声明を出し、アラブ連盟監視団の報告書を「連盟の努力を後退させ、真実を反映していない」と非難し、「犠牲者と死刑執行を同列に扱うかたちで武装当事者に言及することは、体制による野蛮な殺戮行為を助長するだろう」と述べた。

そのうえでアラブ連盟に対して政権に弾圧の猶予を与えず、シリア国民を保護するよう改めて求めた。

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シリア革命総合委員会は声明を出し、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長およびアラブ諸国閣僚に対して「シリア国民の要求や正義を実現しない(アラブ連盟)イニシアチブの「弔報」を告げる」と非難の意を示し、国連安保理へのシリア問題への付託を呼びかけた。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アラブ連盟監視団の報告書に関して、「犠牲と死刑執行を同じものとみなしている」としたうえで、「シリア政府の犯罪を隠蔽し、我らが国民への殺戮や我々の意思を破壊するためのさらなる時間と機会を政府に与えた」と厳しく非難した。

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民主変革諸勢力国民調整委員会在外事務局のハイサム・マンナーア代表は『ハヤート』(1月10日付)の電話取材に対して、「シリア政府に圧力をかけ、アラブ連盟イニシアチブを履行させる」よう呼びかけた。

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DPA(1月10日付)は、インターネット上に「新バアス党」なる組織が声明を出し、「新地域指導部を発足し、人民のインティファーダへの参加」を表明したと報じた。

同声明によると、「新バアス党」なる組織は2月初めに地域大会の開催をするとしている。

国内の暴力

シリア革命総合委員会によると、アラブ連盟閣僚委員会の声明や監視団の報告書に異議を唱えるデモが、ハマー県(カルナーズ町など)、ダマスカス郊外県、イドリブ県(カフルルーマー村など)、ダイル・ザウル県、ダルアー県の各地で行われ、数千人が参加したという。

諸外国の動き

サウジアラビアのアブドゥッラー・ブン・アブドゥルアズィーズ国王は閣議を招集し、シリア情勢について審議、シリア政府に対してアラブ連盟の議定書に記されたすべての誓約を即時かつ完全に履行するよう求めた。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、記者会見で、シリアが「内戦、宗教間戦争」に陥りかねないと述べ、シリア国内の不安定を煽った。

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ローマ法王ベネディクト16世は、駐バチカン大使に対する新年のあいさつのなかで、シリア情勢について触れ、「すべての政治当事者間で実りある対話」を行うよう呼びかけた。

AFP, January 9, 2012、DPA, January 9, 2012、al-Hayat, January 10, 2012、Kull-na Shuraka’, January 9, 2012、Reuters, January 9,
2012、SANA, January 9, 2012、al-Siyasa, January 9, 2012、Zaman al-Wasl, January 9, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アラブ連盟監視団が83ページからなる報告書を提出、その後の同連盟閣僚委員会ではシリア政府と「さまざまな武装集団」に対し暴力行為の停止が求められる(2012年1月8日)

アラブ連盟の動き

シリア情勢に関するアラブ連盟閣僚委員会(カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣が委員長)がカイロの連盟本部で開かれ、アラブ連盟監視団が提出した報告書の内容に関して審議がなされた。

会合後の声明で委員会は、シリア政府に対して「民間人の保護など…すべての誓約を完全履行、即時実行するよう」求め、監視団の活動が「シリア政府が誓約を即時完全履行するかどうかにかかっている」との姿勢を示した。

また反体制勢力に対しては、「シリアの今後の段階に関する政治的ビジョンを提示するよう努力を集中させる」よう求めた。

一方、国内の暴力に関しては、シリア政府と「さまざまな武装集団」に対して、「すべての暴力行為の即時停止」を求めた。

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監視団(ムハンマド・アフマド・ムスタファー・ダービー団長)が提出した報告書は83ページからなり、『ハヤート』(1月9日付)によると、その報告内容・提言の要旨は以下の通り。

1. シリア政府から3,484人を釈放したとの報告を受けたが、釈放されたのが政治犯なのか刑事犯罪者なのかが明らかではない。
2. 監視団の人員・技術の拡充を通じた監視活動継続が必要。
3. 反体制勢力と政府は監視団の活動を監督せず放置すべき。
4. 反体制勢力は反ダービー団長キャンペーンを同団長のヒムス市訪問当初から行っており、その態度は当初から疑念に満ちていた。
5. 反体制勢力によると、政府は監視団メンバーの電話を盗聴している。
6. 反体制勢力によると、軍は装備や制服を治安維持部隊のものとすることで都市部に潜伏している。
7. 監視団作業班には、シリア政府が国内の移動を禁じたとの11件の通報を受けた。

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ハマド首相兼外務大臣は会合後、「我々が本件を安保理に付託することを多くの人々が望んでいる。しかし、我々はシリアに(議定書の)履行を求めている…。我々は依然としてアラブ監視団が活動」と述べ、アラブ連盟監視団の充分な活動を行い得ると考えている」と述べた。

SANA, January 8, 2012
SANA, January 8, 2012

アサド政権の動き

SANA(12月8日付)によると、アレッポ県アレッポ市で、部族代表の会合が開かれ、約1,000人が出席、外国の干渉拒否、アサド政権の改革プログラム支持を確認した。

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SANA(12月8日付)によると、ムハンマド・ディーブ・マクタリン特別司法事件調査委員会委員長は、反体制運動に関わる各県での犯罪件数が4076件にのぼり、それらは関係司法当局に送検されると述べたと報じた。

反体制勢力の動き

変革解放人民戦線のアリー・ハイダル氏(シリア民族社会党インティファーダ派党首)は記者会見を行い、同戦線指導部が中国訪問に関する正式な回答を得たと発表し、近く使節団を派遣することを明らかにした。

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アラブ連盟閣僚委員会の声明を受け、シリア国民評議会のムハンマド・ヤースィーン・ナッジャール渉外局長は、「アラブ連盟がシリア問題に劇的に対処するとシリア国民が考えているがゆえに、衝撃的であり内容に乏しい」と述べ、「犠牲者と死刑執行人を同列に扱う姿勢にシリア国民は失望した」と批判した。

Kull-na Shuraka’, January 8, 2012
Kull-na Shuraka’, January 8, 2012

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民主変革諸勢力国民調理委員会在外事務局のアブドゥルアズィーズ・ハイイル情報局長は『シャルク・アウサト』(1月9日付)に対して、同委員会がイラン外務省の高官らと会談し、シリア情勢について意見を交換していることを明らかにした。

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ハマー県で、アフィーフ・マフムード・スライマーン大佐が空軍の物資供給師団の兵士50人が離反したと発表した。

国内の暴力

シリア人権監視団によると、ダルアー県ブスル・ハリール市で軍・治安部隊と離反兵9人の間で激しい戦闘が発生し、軍兵士11人が死亡した。軍・治安部隊の戦闘は同県ダーイル町、ダマスカス郊外県でも発生し、またダイル・ザウル県、ヒムス県、イドリブ県など各地で治安部隊の「砲撃」により民間人数十人が死傷した、という。

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一方、SANA(1月8日付)によると、ヒムス県各地で治安維持部隊兵士1人が武装テロ集団の襲撃を受け死亡、20人が負傷した。

諸外国の動き

トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、イスタンブールでシリア国民評議会の使節団と会談した。

会談でダウトオール外務大臣は、反体制勢力に対して「平和的方法」でのアサド政権への運動を継続するよう呼びかけた。

AFP, January 8, 2012、al-Hayat, January 9, 2012, January 10, 2012、Kull-na Shuraka’, January 8, 2012, January 9, 2012、Reuters, January 8, 2012、al-Sharq al-Awsat, January 9, 2012、SANA, January 8, 2012、al-Watan, January 8, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド大統領はトルコの至福党使節団と会談、同党首が「シリアの内政問題へのいかなる外国の干渉をも完全に拒否する」との姿勢を確認(2012年1月7日)

自爆テロ葬儀

6日にダマスカス県マイダーン地区で発生した自爆テロの犠牲者の集団葬儀が同地区のモスクで執り行われ、数千人が参列した。

SANA, January 7, 2012
SANA, January 7, 2012
SANA, January 7, 2012
SANA, January 7, 2012
SANA, January 7, 2012
SANA, January 7, 2012

葬儀にはアーディル・サファル首相、ムハンマド・サイード・バヒーターン・バアス党シリア地域指導部副書記長ら要人も参列した。

アサド政権の動き

アサド大統領はトルコの至福党使節団(ムスタファ・カマラク党首が団長)と会談した。

SANA(1月7日付)によると、会談では、6日の自爆テロなどを含むシリア情勢に関して意見が交換され、カマラク党首は「シリアの内政問題へのいかなる外国の干渉をも完全に拒否する」との姿勢を示した。

一方、アサド大統領は、「シリア・トルコ両国民の関係の深さ」を強調し、「この国民の関係に対して誰も影響を及ぼすことはできない」と述べた、という。

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SANA(1月7日付)によると、ダルアー県ダルアー市、ハサカ県ハサカ市、カーミシュリー市、タルトゥース県タルトゥース市などで、自爆テロの犠牲者追悼、テロ反対を訴える集会が開かれた。

SANA, January 7, 2012
SANA, January 7, 2012

反体制勢力の動き

シリア人権監視団によると、治安部隊の発砲によりヒムス県で4人、ダマスカス郊外県ハラスター市で3人が殺害された、という。

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シリア国民評議会のムハンマド・ヤースィーン・ナッジャール渉外局長は、1月6日のハマド首相兼外相の発言に関して、監視団に関する評議会の立場に合致していると評価した。

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シリア国家建設潮流は自爆テロを受けるかたちで声明を出し、すべての反政府勢力に対して「早急に国民的な解決策を案出するためのイニシアチブを発揮」するよう呼びかけた。

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「アフバール・シャルク」(1月7日付)は、シリア国民人権機構(SWASIAH)の報道官でドゥルーズ派名望家の子息であるムンタハー・アトラシュ女史が、レバノンのタウヒード潮流のウィアーム・ワッハーブ代表(ドゥルーズ派)がシリア国内の貧しいドゥルーズ派宗徒に金銭と金銭を与え、「シャッビーハ」に加わらせていると述べたと報じた。

アトラシュ女史はまた、レバノンの進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首(ドゥルーズ派)に、ワッハーブ代表のこのような行為を止めさせるよう呼びかけた。

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『クッルナー・シュラカー』(1月7日付)は、自爆テロがあったダマスカス県マイダーン地区では、6日早朝から治安関係者が同地区に入ることを禁止していたと報じ、アサド政権の自作自演を示唆した。

アラブ連盟監視団の動き

「アフバール・シャルク」(1月7日付)は、アラブ連盟監視団がダマスカス郊外県アルバイン市で治安部隊の発砲を受け、同市からの撤収を余儀なくされたと報じた。

国内の暴力

SANA(1月7日付)はヒムス県ヒムス市内の複数地区で治安部隊が武装テロ集団に襲撃され、15人が負傷したと報じた。

諸外国の動き

トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は「ハバル・テュルク」チャンネル(1月7日付)でのインタビューで、アサド大統領に関して「たびたび、改革を行うか絶対的な権力を行使するかで躊躇し、後者を選び、地域における手本となるような改革志向の指導者へと転身を遂げる機会を逸してきた」と述べ、トルコがアサド政権に圧力を強化し続ける容易がある意思を示した。

AFP, January 7, 2012、Akhbar al-Sharq, January 7, 2012、al-Hayat, January 8, 2012、Kull-na Shuraka’, January 7, 2012、Reuters, January 7,
2012、SANA, January 7, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス県内で犠牲者を伴う自爆テロが発生、各国政府が事件を非難するなか複数の反体制勢力がアサド政権の関与を疑う(2012年1月6日)

自爆テロ

ダマスカス県マイダーン地区で自爆テロが発生し、SANA(1月6日付)によると、26人が死亡、63人が負傷した。

SANA, January 6, 2012
SANA, January 6, 2012
SANA, January 6, 2012
SANA, January 6, 2012

自爆テロは治安要員を載せたバスを狙ったもので、反体制デモが行われる金曜日礼拝に先だって断行された。

マイダーン地区は2011年8月(ラマダーン月)には連日反体制デモが行われていた地区。

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SANA(1月6日付)によると、ヒムス県からハマー県およびイドリブ県へと至る灯油のパイプラインが、ハマー県ムーサー・フーラ村とヒムス県タラス村の間で武装テロ集団によって爆破された。

アサド政権の動き

自爆テロに関して、バアス党シリア地域指導部が声明を出し「シリアへの陰謀の一環」をなし、シリアをめぐる問題の「国際化」を目的としていると非難、「シリアとアラブ民族の利益を標的としたシオニズム・米の計略に断固として対抗することで、危機を脱却する」と宣言した。

またシリア・アラブ・テレビなどシリアの主要メディアは自爆テロの現場や被害者の映像を大々的に報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(1月6日付)は、ダマスカス郊外県の灯油の価格が、同地の「下士官」の指示で1リットルあたり23シリア・ポンドに設定されていると報じた。

現在、シリア国内の灯油は1リットルあたり15ポンドに設定されており、同報道によると、反体制運動が激しいダマスカス郊外県ではこれに8ポンドの価格の上乗せが行われている、という。

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『クッルナー・シュラカー』(1月6日付)は、レバノン系米国人ビジネスマンのジルベルト・シャーグーリー氏がレバノンを訪問し、1月4日にブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報担当報道官およびルストゥム・ガザーラ准将(軍事情報局ダマスカス支部長)と会談したと報じた。

シャーグーリー家からの情報によると、この会談でシャアバーン報道官側はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相宛のアサド大統領の親書を手渡したという。

この親書には和平交渉再開などに関する大統領のメッセージが記されているという。

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Elaph.com(1月6日付)は、アサド大統領の家族がシリア国内での「内戦」から避難するため、大統領一家の地元であるアンサーリーヤ山脈(ヌサイリー山脈)に避難したとイスラエル諜報機関がリークしたと報じた。

反体制勢力の動き

自由シリア軍のリヤード・アスアド司令官は、ジャズィーラ(1月6日付)に対して「自由シリア軍が政府軍への攻撃再開を宣言したことを受け、離反兵を欺くためにシリア政府がこの行為(自爆テロ)を行った」と断じた。

また「自由シリア軍はこのような作戦を実行する技術的人的能力を持っていない」と述べ、関与を否定した。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、自爆テロを「新たに作り出された爆破」と形容、「政府、政府機関、そしてそれに与する悪党やシャッビーハのみが爆破から利を得る」と述べ、アサド政権の自作自演を疑った。

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民主変革諸勢力国民調整委員会のアブドゥルアズィーズ・ハイイル情報局長は『ハヤート』(1月7日付)の電話取材に対して「あらゆる基準から見ても犯罪的で罪深い」と非難、「国内で活動する国民の間に恐怖心を煽る」ことが目的だと断じた。

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シリア国民評議会の情報局は声明を出し、「混乱を拡大し、残忍な殺戮行為から目をそらす」ことを目的とした行為を非難した。

また「シリア領内での流血のすべての責任は政府にある」としたうえで、自爆テロが「デモ活動を抑える」ことを目的としているとアサド政権の関与を示唆した。

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民主変革諸勢力国民調整委員会の使節団がチュニジアに到着した。同地ではチュニジアの要人らと会談する予定。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長はアラビーヤ(1月6日付)とのインタビューで、「反体制勢力はアラブ連盟の決議の履行とバッシャール・アサドの退任を条件に移行期間における国民への権力移譲に関して交渉を開始する用意がある。退任が対話による解決の開始となる」と述べた。

一方、レバノンのヒズブッラーに関して、「シリアの現体制が崩壊すれば、ヒズブッラーはこれまでと同じではあり得ないだろう」と述べ、自身がヒズブッラーとの断交を意図していないことを明らかにした。

またハサン・ナスルッラー書記長による批判(「シリア国民評議会はイスタンブールで結成され、一部の西側・アラブ諸国が支持するシリア国民評議会は、米国とイスラエルへの信任状を提示した」)に関しては、「レジスタンス運動の指導者の発言としては不適切」と述べた。

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AKI(1月6日付)によると、自由シリア軍に属すとされるアブドゥッラッザーク・トゥラース大佐はドイツ雑誌『シュテルン』に対して、「ヒムス市でイランのパスポートを所持する男性5人を逮捕した」ことを明らかにした。

トゥラース大佐によると、この5人は清掃夫の服を着いたが、イラン・イスラーム革命防衛隊のIDを所持していたという。

親体制デモ

SANA, January 6, 2012
SANA, January 6, 2012
SANA, January 6, 2012
SANA, January 6, 2012
SANA, January 6, 2012
SANA, January 6, 2012

SANA(1月6日付)によると、自爆テロ発生を受け、犠牲者追悼、テロ反対を訴える大規模集会が各地で開催された。

大規模集会が開催されたのはダマスカス県サブウ・ハブラート広場、タルトゥース県タルトゥース市、アレッポ県アレッポ市、スワイダー県マズラア町、ヒムス県ヒムス市(ザフラー地区)、シーン区(ヒムス郡)、ハサカ県ラアス・アイン市、ラタキア県ラタキア市、ラッカ県ラッカ市。

反体制デモ

金曜日の礼拝後、ハマー県、ヒムス県、イドリブ県、ダマスカス郊外県、ダルアー県などの各地で合わせて数万人が反体制デモを行い、シリア人権監視団によると、ハマー市(4人)、ダマスカス郊外県のハラスター市(2人)、ドゥマイル市(2人)、クドスィーヤー市(1人)で治安部隊が市民を殺害した。

同監視団などによると、ダマスカス郊外県ドゥーマー市には、5万人の市民がカビール・モスク広場で金曜礼拝後に反体制デモを行ったという。またダルアー県のインヒル市、サナマイン市でも大規模な反体制デモが発生した。

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『クッルナー・シュラカー』(1月7日付)によると、ハサカ県のアームーダー市では民主統一党(PKK系)によるデモ(約500人が参加)、シリア・クルド国民評議会による反体制デモ、そして地元調整委員会などによる反体制デモが発生した。またラアス・アイン市、カーミシュリー市、ダルバースィーヤ市、ダイリーク市でも反体制デモが発生した。

SNN, January 6, 2012
SNN, January 6, 2012
SNN, January 6, 2012
SNN, January 6, 2012
SNN, January 6, 2012
SNN, January 6, 2012

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反体制活動家らはフェイスブックで「汝らがアッラーを救えば、アッラーは汝らを救う。国際問題化が我々の要求である」と銘打った反体制デモが呼びかけられていた。

レバノンの動き

ヒズブッラーはダマスカス県での自爆テロに関して声明を出し、「邪悪なる米国勢力と同国に従属する我らが域内の諸勢力の計略の第二弾」と非難、米国とイスラエルの関与を指摘した。

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アドナーン・マンスール外務大臣は、ダマスカス県での自爆テロに関して「テロ行為を厳しく非難する」と述べた。

諸外国の動き

ロシア外務省が声明を出し、ダマスカス県での自爆テロを「テロ行為」と断じ、強い非難の意を示した。

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ビクトリア・ノーランド米国務省報道官は記者団に対して、「我々はこの攻撃を断固として非難する」と述べた。

Facebook
Facebook

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、アラブ連盟監視団に関して、「正しく活動を行う能力がない」と述べた。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はカイロでパレスチナのハマースのハーリド・ミシュアル政治局長と会談、アサド大統領への親書(アラブ連盟監視団派遣に関する議定書の履行に関する親書)を手渡した。

また「シリアでの暴力の連鎖を食い止めるため、信頼と透明性をもって行動する必要がある」と述べた。

ミシュアル政治局長は同日、ダマスカスに帰国した。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣(アラブ連盟閣僚委員会議長)は、ジャズィーラを通じて、「監視団が滞在を続けることはできない。殺戮は続いている」と述べ、軍、狙撃兵、そしていわゆる「シャッビーハ」が依然として弾圧を続けており、監視団の活動がアサド政権に制限されていることを非難、8日に予定されている閣僚委員会で、監視団に関する議定書をシリア政府が遵守していないことを追求する姿勢を暗に示した。

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トルコ日刊紙『ミッリイェト』(1月6日付)は、トルコ軍がハタイ県にホーク地対地ミサイルを配備したと報じた。

同紙によると、この動きは、シリア軍がハサカ県のカーミシュリー市とアイン・ディーワール市にスカッド・ミサイルを配備したことへの対抗措置だという。

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イスラーム教ウラマー世界連盟のユースフ・カラダーウィー議長は、シリア軍士官に対して自由シリア軍に参加するよう呼びかけた。

AFP, January 6, 2012、Akhbar al-Sharq, January 6, 2012, January 7, 2012、AKI, January 6, 2012、Alarabia.net, January 7, 2012、Aljazeera.net, January 6, 2012、Elaph.com, January 6, 2012、Facebook、al-Hayat, January 7, 2012, January 8, 2012、Kull-na Shuraka’, January 6, 2012, January
7, 2012、Naharnet.com, January 6, 2012、Reuters, January 6, 2012、SANA, January
6, 2012、SNN, January 6, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

カタール首相兼外相が国連事務総長と会談し事態を国際問題化させる意思があることを暗示するなか、自由シリア軍司令官も「国連への問題の付託を支持」(2012年1月5日)

アラブ連盟の動き

カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣はニューヨークで国連の潘基文事務総長と会談した。

クウェート通信(1月5日付)によると、ハマド首相は、アラブ連盟監視団が経験不足ゆえに「いくつかの失敗」を犯したと断じたうえで、「すべての側面から評価したうえで、監視団の活動継続の可能性の是非やその方法などを連盟が決するだろう」と述べた。

また「我々は国連事務総長とその問題(シリア情勢)について議論した。我々は、技術支援を得て、国連が持つ経験に依拠すべくここにやってきた」と付言し、「我々は常にアラブ連盟においてこの危機を解決しようとしてきた。しかしそれはシリア政府次第である」と述べ、事態を国際問題化させる意思があることを暗示した。

カタールおよびジャズィーラ・テレビは、アサド政権から反体制運動を煽動し、問題の国際問題化を通じて地域全体の不安定化を助長する急先鋒と目されている。

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アラブ連盟監視団のアドナーン・ハディール作業部長は、カイロの連盟本部で1月6日にダマスカスに向かう予定の監視員らと会談した。

ハディール作業部長は会談に合わせて声明を出し、監視団の活動が完了するまでに少なくとも1ヵ月はかかるとしたうえで、「現時点で監視団の任務の成否を誰も断言できない」と述べ、シリアの反体制勢力やカタールなどの姿勢を牽制した。

また第2人の監視員に関して、その人数が140人にのぼり、うち1月6日に派遣されるのが、アルジェリア人、クウェート人、サウジ人、エジプト人、イラク人など約50人であると明らかにした。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はジェフリー・フェルトマン米国務次官補と会談した。

フェルトマン米国務次官補はシリア情勢に関して、国連安保理が本件に関心を示しており、1月8日に予定されているアラブ連盟閣僚委員会での監視団の報告を待っている、と述べた。

アサド政権の動き

SANA, January 5, 2012
SANA, January 5, 2012

『ワタン』(1月5日付)は、シリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会のメンバーで反体制組織の人民変革解放人民戦線議長のカドリー・ジャミール氏が、現在改正案が審議されている新憲法において、これまでバアス党シリア地域指導部書記長の信任投票によって選ばれてきた大統領が「複数候補の選挙」を通じて選ばれることになるだろうと述べた、と報じた。

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SANA(1月5日付)は、シリア司法当局が「最近の事件に関与したが、その手を血で染めていない」逮捕者552人を釈放したと報じた。

この措置は12月30日の912人の釈放に続くもの。

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『クドス・アラビー』(1月5日付)は、アサド大統領が1月2日に政令を出し、バアス党員および人民諸組織メンバー約2,500人を省庁機関職員へと異動したと報じた。

同紙によると、『バアス』紙を発行するバアス機構の職員約400人が情報省の外郭団体などに異動となったほか、人民諸組織の職員約2,000人が国家機関に転属となった、という。

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SANA(1月5日付)によると、ダマスカス県サブウ・バフラート広場、ラタキア県ラタキア市で国民統合、外国の干渉拒否を訴える大規模集会が開催され、多数の市民が参加した。

SANA, January 5, 2012
SANA, January 5, 2012

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トルコの至福党使節団がダマスカスを訪問し、ナジャーフ・アッタール副大統領、ワリード・ムアッリム外務大臣らと会談した。

SANA(1月5日付)によると、使節団団長を務めるムスタファ・カマラク党首がシリア情勢への内政干渉拒否を支持する姿勢を示したのに対し、アッタール副大統領は「シリア国民とトルコ国民の繁栄を望む者が殺人集団をかくまったりはしない」と応え、自由シリア軍などに潜伏先を提供しているAKP政権を暗に批判した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長はBBC(1月5日付)に対して、アラブ連盟監視団が提出する報告書が「悪しきもので、民間人に対して政府が行っていることに対する反体制勢力のイメージを表していないなら、彼らの即時撤退を要求し…、シリアの危機解決をめぐるアラブ連盟の任務が失敗に終わった場合、安保理に向かう」と述べた。

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自由シリア軍のリヤード・アスアド司令官はAFP(1月5日付)に対して、「我々はアラブ連盟が脇に退き、国連に責任を委ねることを望んでいる。なぜなら、国連の方が事態解決の能力があるからだ。我々は国連への問題の付託を支持する」と述べた。

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民主変革諸勢力国民調整委員会在外事務局のハイサム・マンナーア代表はベルギーの副首相兼外相と会談した。また同委員会使節団はEUの中東課長、欧州議会議長と会談した。

マンナーア代表は『ハヤート』(1月6日付)に対して、EUなどによる外国の軍事干渉を拒否するとの意思を伝えたと述べた。

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シリア・ムスリム同胞団のアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー前最高監督者は、アルジェリアの『ハバル』(12月5日付)で、民間人保護のため外国の介入を「道徳的、人道的問題」として支持する姿勢を示すとともに、アラブ連盟監視団の活動がシリア国内での弾圧を止めることに失敗したと断じた。

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シリア救援最高委員会が声明を出し、ヒムス県ヒムス市が「人災」に見舞われているとしたうえで、国際社会に救援のための支援を呼びかけた。

国内の暴力

SANA(1月5日付)によると、ヒムス県ヒムス市で武装テロ集団の発砲により退役大佐とその息子の中尉が襲撃され、死亡した。

またダルアー県スール村の警備隊を武装テロ集団が襲撃し、警備隊長1人が死亡、警備員6人が負傷した。

さらにダルアー県アムキーヤ村長のファウワーズ・アブドゥルフサイブ・ムスタファー村長が武装テロ集団によって暗殺された。

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シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル県(4人)などで約30人が治安部隊の弾圧によって殺害された。

また、ダルアー県のサナマイン市で大尉1人を含む兵士14人が軍を離反し、軍・治安部隊との交戦の末、「逃走に成功した」という。

さらに治安部隊がダルアー県ジャースィム市で若者らを「人間の盾」として離反兵からの攻撃をかわそうとしている、という。

諸外国の動き

ロシアのドミトリー・メドヴェージェフ大統領とイランのマフムード・アフマディーネジャード大統領が電話会談を行い、シリア情勢を含む中東地域の諸問題が関係当事者間の対話の奨励を通じた政治的手段によってのみ解決し得るとの立場で一致した、とロシア大統領府が発表した。

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フランス外務省副報道官は記者団に対して、アラブ連盟監視団の任務強化のため可能なあらゆる手段を駆使するべきだと述べた。

AFP, January 5, 2012、Akhbar al-Sharq, January 5, 2012、al-Hayat, January 6, 2012、al-Khabar, January 5, 2012、Kull-na Shuraka’, January 5, 2012、al-Quds al-‘Arabi, January 5, 2012、Reuters, January 5, 2012、SANA, January 5, 2012、al-Watan, January 5, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アラブ連盟監視団がヒムス市で自由シリア軍の士官らと面談、シリア国民評議会が破棄された合意文書案にかわって新たな文書の作成に着手(2012年1月4日)

アラブ連盟監視団

アラブ連盟監視団はヒムス市で自由シリア軍の士官・兵士と面談し、同軍が保有していた装甲車・装備の一部を回収した。

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またバーブ・アムル地区とワアル地区の市民から逮捕者のリストを受け取った。

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シリア革命総合委員会は、またアラブ連盟監視団のイドリブ県訪問に先立って、イドリブ刑務所が拘置所の一部をイドリブ街道沿いの焼却施設に移転したと発表した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のムフイーッディーン・ラーズカーニー氏は『ハヤート』(1月5日付)に対して、同評議会と民主変革諸勢力国民調整委員会の合意文書(案)が「死んだ。なぜなら国内の革命運動家たちはそれに同意していないからである。そもそも文書でもなく、議論のためのペーパーに過ぎなかった」と述べた。

そのうえでシリア国民評議会が新たな文書の作成を準備しており、そのなかでは「国内の革命運動家」の損際が重視されていると述べた。

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シリア国民評議会は公式ウェブサイトhttp://www.syriancouncil.orgを立ち上げたと発表した。

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ジャズィーラ(12月4日付)は、内閣府財務監督中央機関の第1調整官を自称するムハンマド・スライマーン・ハッジ・ハマド氏なる人物の証言を放映した。

同氏は証言のなかで、80%の高官や公務員が弾圧の恐怖がなければ離反するだろうと述べた。

なおこれに先立ち、ハマド氏はカイロの「革命の明日」党本部で記者会見を開いていた。

アサド政権の動き

SANA(1月4日付)によると、ダマスカス県サブウ・バフラート広場で国民統合と外国の干渉拒否を訴える大規模集会が開かれ、数千人の市民が参加した。

『クッルナー・シュラカー』(1月4日付)は、「自由と正義のための運動青年」を名のる反体制活動家がダマスカス県サブウ・バフラート広場で反体制デモを組織しようとしたが、「午後2時半に座り込みを始め、アラブ連盟監視団が広場に到着したが、突如として体制支持者で広場があふれかえった」と報じた。

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アドナーン・マフムード情報大臣は情報法(2011年8月28日施行)に基づき、民間ラジオ局設立申請が11件、民間テレビ局設立申請が20件、日刊紙創刊申請が15件、雑誌創刊申請が35件提出されたと発表した。

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「アフバール・シャルク」(1月4日付)は、シリア中央銀行のアディーブ・マイヤーラ総裁が各市中銀行に対して、外貨とシリア・ポンドの両替を停止するよう告知したと報じた。

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外務省のジハード・マクディスィー報道官は、ビクトリア・ヌーランド米国務省報道官の発言(1月3日)がアラブ連盟の「活動と加盟国の主権へのあからさまな介入」だと非難した。

国内の暴力

SANA, January 4, 2012
SANA, January 4, 2012

SANA(1月4日付)はヒムス県、ハマー県、ラタキア県などで武装テロ集団による市民などの殺害が相次いだと報じた。

それによると、ヒムス県ヒムス市の工業地区で武装テロ集団が市民2人と治安維持部隊兵士1人を殺害した。

またハマー県ハマー市で武装テロ集団が市民2人を殺害した。

さらに、ラタキア県ジャブラ市でサミーフ・シャフワーン氏が武装テロ集団に暗殺された。

このほか、イドリブ県イドリブ市で武装テロ集団2人が自身の仕掛けた爆弾の爆発に巻き込まれ死亡した。

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一方、シリア革命総合委員会によると、ヒムス県(8人)、イドリブ県(2人)、ダルアー県(1人)、ハマー県(1人)で12人が治安部隊の発砲で死亡したという。

またシリア人権監視団によると、ヒムス県ヒムス市で2人、ハマー県ハマー市で1人が殺害されたという。

このほか、シリア革命総合委員会によると、ハマー県カフルルーマー村、ダマスカス郊外県カルナーズ町などで反体制デモが発生したという。

諸外国の動き

在ダマスカス・イラン大使館は、ヒムス県で12月に誘拐されたイラン人技術者の釈放を改めて求めた。

イラン国営通信が在シリア・イラン大使館の発表として伝えたところによると、12月20日に5人のイラン人技術者が誘拐され、その後21日にこの5人を探していた2人の技術者が誘拐された。

AFP, January 4, 2012、Akhbar al-Sharq, January 4, 2012, January 5, 2012、Aljazeera.net, January 4, 2012、al-Hayat, January 5, 2012、Kull-na Shuraka’, January 4, 2012、Reuters, January 4,
2012、SANA, January 4, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア国民評議会の執行委員会が民主変革諸勢力国民調整委員会の合意文書案を拒否することを正式決定(2012年1月3日)

アラブ連盟監視団

サウジアラビアの『イクティサーディーヤ』(1月3日付)は、アラブ連盟監視団のある監視員の話として、多くの監視団が何者かによって脅迫を受けていると報じた。

SANA, January 3, 2012
SANA, January 3, 2012
SANA, January 3, 2012
SANA, January 3, 2012

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アラブ連盟のアフマド・ベンフッリー事務副長は『ハヤート』(1月4日付)に対して、アラブ連盟監視団の人選がシリアの反体制勢力によって押しつけられたものではなく、各国の推薦のもとに事務局が選定したと述べた。

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エジプトのアフィーフィー・アブドゥルワッハーブ連盟代表は、エジプトが連盟監視団への監視員の派遣を見合わせたとの一部報道を否定しつつ、シリア情勢に関して外国の干渉や軍事的解決に反対し、アサド政権と反体制勢力の対話に基づく政治的解決を支持するとの姿勢を明示した。

アサド政権の動き

『バアス』(1月3日付)は、バアス党シリア地域指導部が第11回シリア地域大会を2月の第1週に開催することを決定したと報じた。

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SANA(1月3日付)によると、ダマスカス県サブウ・バフラート広場およびダイル・ザウル県クーリーヤ市で、外国の干渉拒否、国民統合を訴える集会が開催され、それぞれ数千人の市民が参加した。

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インターネット紙『アルワタン・オンライン』は1月3日付で、過去2ヵ月間に270以上のサイバー攻撃に曝され、また同紙が利用している米国のサーバーにおいて技術的に困難な状況に置かれたため、サイトを一旦閉鎖すると発表した。

『アルワタン・オンライン』は『ワタン』とともにラーミー・マフルーフ氏が資金・運営面で大きな影響力を持っている。

反体制勢力の動き

「シリア・シーア派拡大抵抗運動」を名のる組織が12月のヒムス県でのイラン人技術者5人の誘拐の犯行声明を出した。

同運動はまた、イランとレバノンのヒズブッラーに対して、アサド政権への支援を止めるよう警告を発した。

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自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐(自称少将)は、ロイター通信(1月3日付)に対して、アラブ連盟の監視団の活動に関して、「シリアでの殺戮行為を停止させられない」と非難した。

そのうえで「数日、多くて数週間待とう。そしてもし監視団が真剣でないと感じられたら、我々は何らかの決定を下し、体制そして世界中を驚かせるだろう」と警告を発した。

また「都市から軍が撤退した」とのアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長の発言(1月2日)を否定し、「政府は(連盟との)合意を一切履行していない」と非難した。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長はブルガリア外相との会談後、アラブ連盟監視団に関して、「我々はこの監視団が有用だとみなしている。それがアラブ連盟の計画実施をもたらさないとしても。政治的、心理的に有用だ」と述べた。

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地元調整諸委員会は声明を出し、「アラブ連盟は議定書という罠にかかった。同議定書によって監視団は(シリア)政府の視点から事態を見て、その意思に従って行動することを余儀なくされている」と非難した。

また監視団が「暴力を停止し、独立した方法で(事態を)評価し続ける能力はない」と付言した。

さらに「警察官の制服を着た兵士や士官が潜伏し、その装備をカムフラージュし、展開地点を変更しただけで、軍は撤退しておらず、議定書の規定を政府が履行していない」と述べた。

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シリア国民評議会の執行委員会は、民主変革諸勢力国民調整委員会の合意文書(案)を拒否することを正式に決定した。

国内の暴力

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で治安部隊の発砲により民間人3人が殺害されたという。

SANA, January 3, 2012
SANA, January 3, 2012

一方、SANA(1月3日付)によると、武装テロ集団がラスタン市近くを通るガス・パイプラインへの破壊工作を行った。

このパイプラインはズィヤーラ火力発電所(ハマー県)、ザイズーン火力発電所(イドリブ県)に燃料を供給している。また同市に通じる橋も武装テロ集団によって破壊されたという。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市クスール地区で治安部隊の発砲により9人の民間人が殺害された。またカフナーナ村では2日に負傷した市民1人が死亡したという。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ジャースィム市で軍から数十人の兵士が離反、この離反兵が軍・治安部隊と交戦し、後者の兵士18人を殺害した、という。

一方、SANA(1月3日付)によると、治安部隊が武装テロ集団に襲撃され、兵士1人が殺害された。

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イドリブ県では、SANA(1月3日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市で歯科医師のアドナーン・シュハイダ氏が武装テロ集団に誘拐された。

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なおシリア革命総合委員会によると、イドリブ県(2人)、ヒムス県(1人)、ダルアー県(1人)、ハマー県(1人)などで治安部隊の発砲により9人が殺害された、という。

レバノンの動き

ワリード・ジュンブラート進歩社会主義党党首は年始の声明を出し、そのなかで「ロシアとイラン・イスラーム共和国の指導部がシリアの現状に対応する際に「弱者の力」の原則を念頭に置き、治安的解決が危機解決をもたさず、体制の抜本的な転換以外に解決策がないということを認めなければならないことを理解していれば」と述べ、シリアの反体制運動に理解を示した。

また「シリアのバニー・マアルーフ」(シリアのドゥルーズ派宗徒)に「シリア国民への弾圧を行う警察や軍への参加を控える時が来た」と呼びかけた。

諸外国の動き

『ワシントン・タイムズ』(1月3日付)は、2011年10月にイランの最高指導者アリー・ハーメネイ師がトルコのイスタンブールに特使3人を派遣し、シリア・ムスリム同胞団に「政治的取引」を持ちかけていたと報じた。

それによると、特使は同胞団に対して、シリア政府内の高官ポスト4つと引き替えにアサド政権を支持するよう求めたという。

この要求をシリア・ムスリム同胞団は拒否した。

http://www.washingtontimes.com/news/2012/jan/3/iran-broker-syria-deal-assad-muslim-brotherhood/

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米国のビクトリア・ノーランド国務省報道官は、「約7週間前に受諾した誓約のすべてを履行していないことを懸念している。例えば政府は暴力を停止していない」と述べた。

一方、ロバート・フォード在シリア米大使は同大使館のFacebookのページでシリア国内の燃料不足問題は、政府の供給体制における汚職と軍による大量消費が原因だと綴った。

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フランスのニコラ・サルコジ大統領は、アラブ連盟監視団の権限が曖昧になり、現地で起きている事のすべてを視察できない恐れがあるとしたうえで、アサド大統領が「権力を去り…、国民が自由にその運命を決する」べきだとの姿勢を改めて示した。

またアラン・ジュペ外務大臣はシリア政府が「監視団を欺く」ことを防ぐことが肝要であると述べた。

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アルジェリアのムラード・マドリスィー外務大臣は、アラブ連盟監視団に関して、一部の批判にもかかわらず、シリア情勢に対する「より高い信頼性」のある評価を下せるだろう、と述べた。

AFP, January 3, 2012、Akhbar al-Sharq, January 3, 2012, January 4, 2012、al-Ba‘th, January 3, 2012、Alwatan Online, January 3, 2012、Facebook、al-Hayat, January 4, 2012、al-Iqtisadiya, January 3, 2012、Kull-na Shuraka’, January 3, 2012, January 4, 2012、Reuters,
January 3, 2012、Syria News, January 4, 2012、SANA, January 3, 2012、The Wasington Times, January 3, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア国民評議会議長がアラブ連盟事務総長の発言を非難、また合意文書案のリークをめぐり同評議会と国民調整委員会の間の不和が深刻化(2012年1月2日)

アラブ連盟監視団

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は記者会見を開き、シリアでの監視団の活動に関して、「監視団訪問中、シリアの諸都市から軍は撤退した」、「とりわけヒムス市において国民への食糧支援、遺体の収容に成功した」としつつ、「依然として発砲や狙撃がなされている」としつつも、「誰が誰に発砲しているのかを言うのは困難だ」と述べた。

またアサド政権が3,484人の逮捕者を釈放したことを確認する一方で、連盟が反体制勢力に対して、逮捕者の名簿提出を求めており、その一部が1月2日に提出されたと述べた。

そのうえで、監視団の任務遂行を評価するための外相会合を来週にも開催すると述べた。

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アラブ連盟のアフマド・ベンフッリー事務副長は、アラブ合同軍のシリアへの派兵の可能性を否定した。

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「アフバール・シャルク」(1月2日付)は、アラブ連盟の諮問機関であるアラブ議会のアリー・サーリム・ディクバースィー議長が連盟内でシリア問題に関する審議を強く求めてきたために、シリアの体制から脅迫を受けたと暴露したと報じた。

アサド政権の動き

SANA(1月2日付)によると、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市、ヒムス県カッブー村でアサド政権の改革を支持する大規模集会が開催され、それぞれ数千人の市民が参加した。

SANA, January 2, 2012
SANA, January 2, 2012
SANA, January 2, 2012
SANA, January 2, 2012
SANA, January 2, 2012
SANA, January 2, 2012

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アナトリア通信(1月2日付)は、ガジアンテプ市のシリア領事館が1月2日付で閉館となったと報じた。領事館は12月26日に領事業務の停止を宣言していた。

国内での暴力の応酬

SANA(1月2日付)は、ジャーナリストのシュクリー・アブー・ブルグル氏がダマスカス郊外県ダーライヤー市の自宅で武装テロ集団に撃たれて死亡したと報じた。

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イドリブ県では、SANA(1月2日付)によると、イドリブ市でハーリド・ムスタファー警部が武装テロ集団に襲撃され死亡した。

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ヒムス県では、SANA(1月2日付)によると、クサイル市の衛生センターを武装テロ集団が襲撃、破壊した。

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ダルアー県では、SANA(1月2日付)によると、ダルアー市で武装テロ集団がしかけた爆弾が爆発し、1人が負傷した。

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一方、シリア革命総合委員会によると、ダマスカス郊外県のドゥーマー市、イドリブ県ザーウィヤ山で離反兵と軍の交戦が続いたという。

またシリア革命総合委員会および調整諸委員会によると、イドリブ県、ヒムス県、ダマスカス郊外県で合わせて20人が軍・治安部隊の発砲で殺害されたという。

さらにシリア人権監視団によると、離反兵がイドリブ県内の軍の検問所二カ所を制圧し、兵士数十人を捕縛した。

またこれとは別の検問所では離反兵と軍の戦闘で軍側に複数の死傷者が出たという。

反体制勢力の動き

ヌーリー・ジャッラーフ(詩人)、サーディク・ジャラール・アズム(思想家)、タイイブ・ティーズィーニー(社会学者)、ブルハーン・ガルユーン(シリア国民評議会事務局長)、アリー・カナアーン(作家)ら内外のシリア人有識者約110人がシリア作家連盟の発足を宣言し、現体制下の文学・思想関連の団体から離反するよう呼びかけるとともに、「国民の革命支援における活発かつ公然たる役割を担い、シリアの将来のために真の役割を演じる」と宣言した。

http://www.syrianswa.com

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国民民主変革諸勢力国民調整委員会の在外事務局のハイサム・マンナーア代表は『ハヤート』(1月3日付)に対して、「シリア政府が国民に対して行っている軍事的・治安的解決を停止させねばならないなら、アラブ合同軍はシリアに進駐するべき」との立場を示した。

一方、シリア国民評議会との合意文書(案)を「リークした」との評議会メンバーらによる非難に対して、「開会文書のリークにいかなる意味があるのか。秘密文書でもないのに」と反論した。

そのうえで「外国の軍事介入などの問題は17日前に、国民評議会の極右から穏健右派の面々によって合意されていた」と付言した。

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シリア国民評議会のワリード・ブンニー氏は『ラアユ』(1月2日付)に対して、国民民主変革諸勢力国民調整委員会の合意文書は「草稿に過ぎず、最終版ではない」と述べた。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長はSAWAラジオ(1月2日付)で「都市から軍が撤退した」とのアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長の発言に関して、「ナビール・アラビーが言ったことは現実をまったく表していない」と非難した。

レバノンの動き

サアド・ハリーリー前首相はツイッターで、アラブ連盟監視団の視察活動が行われるなかでアサド政権が弾圧を続けることを「信じられない」とつぶやき、「監視団はアサド体制が望むようなかたちでなく、真実を語る時が来た」と述べた。

諸外国の動き

イスラエルのエフド・バラク国防大臣は、クネセトで「アサド家がシリアの権力の座にいられるのは数週間しかなかろう」と述べた。

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エジプトのサフワト・ヒガーズィー師はアサド政権支持者の一部が「イスラームを逸脱している」と述べた。

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ヨルダン・ムスリム同胞団は、イラン政府がアサド政権による弾圧を支援しているとの理由で、テヘランでの開催を呼びかけている「イスラーム諸派間対話大会への参加をボイコットするとの声明を出した。

AFP, January 2, 2012、Akhbar al-Sharq, January 2, 2012, January 3, 2012、Alarabia.net, January 2, 2012、Damas Post, January 2, 2012、al-Hayat, January 3, 2012、Kull-na Shuraka’, January 2, 2012、al-Ra’y, January 2, 2012、Reuters, January 2, 2012、Twitter、Naharnet.com, January 2, 2012、SANA, January 2, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.