反体制政治連合体「国民民主的変革諸勢力国民調整委員会」の発足が発表される、「ダマスカス宣言」はこれに参加せず(2011年6月30日)

反体制勢力の動き

反体制活動家のハサン・アブドゥルアズィーム弁護士(シリア国民民主連合スポークスマン、アラブ社会主義連合民主党書記長)が、反体制組織の政治連合体「国民民主的変革諸勢力国民調整委員会」を発足すると発表した。

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アブドゥルアズィーム弁護士によると、この組織は「国内の反体制勢力の努力を統合し、国外の反体制勢力を国内の反体制勢力の一部と位置づける」もので、シリアの左派系政治連合(4組織)、シリア国民民主連合加盟政党、11のクルド民族主義政党、反体制活動家が加わっているという。

しかし、2005年に発足した反体制政治同盟の「ダマスカス宣言」運動は、委員会には参加していないという。

記者会見で発表された政治文書において、委員会は、「治安・軍事的選択肢の停止」、「逮捕者、政治犯全員の釈放」、「非常事態および戒厳令の実質的解除」、「平和的デモ権の承認」、憲法第8条廃止の必要性の承認など8項目の実施を掲げた。

これらを実施するため、委員会は「全国規模の包括的国民大会」を開催し、「包括的な政治・憲政上の変革の行程」の策定を進める必要があると強調した。

そのうえで、移行期政府に一連の改革措置の実施を委託し、新憲法制定などを進めるとの方針を示した。

また「クルド民族をシリアの国民構成の基本的・歴史的一部とみなす」とともに、「領土および国民といった面での国の統合」を保障する策の案出が目標として掲げられた。

委員会はまた、「国民誓約」と題した別の文書も発表し、「騒乱や対立を助長するようないかなる言動も非難する」、「国益、主権、領土および国民といった面での国の統合を損ねる外国の干渉を拒否する」と主張した。

アブドゥルアズィーム弁護士は、これらの文書での提案を「政治的解決にふさわしい基礎」と位置づけ、国民対話を促したいと述べた。

なお、民主的変革諸勢力国民調整委員会は、執行部、(総合)調整委員会、運営委員会の三つの機関から構成されているという。

執行部を構成する活動家は以下19人:ハサン・アブドゥルアズィーム弁護士(総合調整役)、フサイン・アウダート氏、(副調整役)、ブルハーン・ガルユーン氏(在外担当副調整役)、アーリフ・ダリーラ氏、ミシェル・キールー氏、ファイーズ・サーラ氏、ハーズィム・ナハール氏、アブドゥルアズィーズ・ハイイル氏、ラジャー・ナースィル氏、ムニール・ビーダール氏、イリヤース・ダッバーナ氏、ムハンマド・サイイド・ラッサース氏、ジャマール・ムッラー・マフムード氏、ムハンマド・ムーサー氏、サーリフ・ムスリム・マフムード氏、ルーザー・ブー・アリー・ヤースィーン氏、バッサーム・マリク氏、ムハンマド・アンマール氏。

運営委員会には、アブドゥルアズィーム代表、国内担当副調整役のアウダート氏、国外担当副調整役のガルユーン氏などからなる。

シリア政府の動き

DP-News(6月30日付)によると、アサド大統領はダマスカスの大統領公邸で、「我々と最大のシリア国旗を掲げよう、手に手をとって、明日は我々のもの」キャンペーン(6月15日)を発案した若者らと会談した。

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SANA, June 30, 2011
SANA, June 30, 2011

SANA(6月30日付)によると、アレッポ市サアドゥッラー・ジャービリー広場、マーリア市(アレッポ県)、タルトゥース市、ハドル村(クナイトラ県)、サフナーヤー市(ダマスカス郊外県)、ダルバースィーヤ市(ハサカ県)で、アサド大統領の包括的改革プログラムを支持するデモが行われ、各会場には数千人の市民が集まった。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権連盟によると、アレッポ市複数の地区で、一般的自由と民主主義を求めるデモが発生した。

同連盟によると、デモが発生したのは、サラーフッディーン地区、サイフ・ダウラ地区、アアザミーヤ地区、バーブ・ファラジュ地区、ブスターン・カスル地区、マシャーリカ地区、シャッアール地区、ファイイド地区、裁判所前で、参加者は数百人程度だった。

しかし複数の目撃者によると、治安部隊が警棒を用いてデモを強制排除し、参加者複数を逮捕して、事態を収拾、デモの一部は「ほどなく政権を支持するデモにとって代わられてしまった」という。

また活動家のラーマーン・カンジュー氏は「目的は公共の広場での集会だった。だが参加者は体制支持者に排除されてしまった」としたうえで、「数十人が負傷し、10人以上が逮捕された」と述べた。

一方、SANA(6月30日付)によると、アレッポ市内のサアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)で「改革方針を支持し、単一の人民の騒乱と分断の試みを拒否するための大規模行進」が行われた。

同通信はまた「アレッポのさまざまな国民・青年諸団体が車で行進を行い、参加した車は3,000台に及んだ。行進はアレッポからダマスカス、すなわち国の北部から南部へと向かった」と報じた。

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イドリブ県では、『ハヤート』(7月1日付)によると、軍の戦車約60輌、兵員輸送車輌100輌がカフルナブル市とカンスフラ村に進入した。

複数の活動家・目撃者によると、軍の展開によってバーラ村、ラーミー村、マルイヤーン村、カフルラーハー市から南部およぶ西部へと住民は避難し、イドリブ市での死者数は16人に増加したという。

一方、SANA(6月30日付)によると、ザーウィヤ山で28日に反体制武装集団の要撃を受け、拉致され炊いた軍・治安部隊兵士を解放するための特殊作戦が行われ、兵士の解放に成功、武装集団メンバーを殺傷、逮捕した。

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ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(6月30日付)によると、ダマスカス大学学生寮で多数の学生が治安当局に一時身柄を拘束された。

諸外国の動き

アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長は、アサド政権による民間人への暴力行使に反対の意を示しつつも、NATOがシリアに介入する意思がないと明言した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、アラブ世界の体制転換をめざす西側の呼びかけが「無責任で、人類の利益に反している…。革命ではなく発展的方法で変革はなされねばならない」と述べた。

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『ガーディアン』(6月30日付)は、反体制勢力筋の話として、米国務省高官が、反体制勢力に対し、アサド政権との対話に応じるよう求めていると報じた。

AFP, June 30, 2011、Akhbar al-Sharq, June 30, 2011、DP-News, June 30, 2011、The Guardian, June 30, 2011、al-Hayat, July 1, 2011, July 2, 2011、Kull-na Shuraka’, June 30, 2011、Naharnet, June 30, 2011、Reuters, June 30, 2011、SANA, June 30, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制活動家がFacebook上でアレッポ市における「100万人行進」を呼びかける一方、仏外務大臣がシリア問題をめぐる会談のためにモスクワを訪問(2011年6月29日)

反体制勢力の動き

反体制活動家はインターネットで、30日を「6月30日アレッポ噴火に備えよ金曜日」と名づけ、各地で反体制デモを呼びかけるとともに、29日にアレッポ市に向けて「100万人行進」を行うよう呼びかけた。

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フェイスブックの「シリア革命2011」では「アレッポ、イドリブ、北部、中部そして東部の諸都市農村のすべての革命家たちへ…。君たちは明日(今日)木曜日、灰色の町(シャフバー、アレッポの愛称)の中心地へと向かい、デモを発生させ、灰色の町アレッポで革命の炎をともさねばならない。すべての友、家族、そして君たちの町でデモを組織する若者たちとともに行こう…。アレッポへの100万人行進を成功させよう」と呼びかけている。

シリア政府の動き

SANA(6月29日付)によると、ヒムス市、アアザーズ市(アレッポ県)、ハサカ市、ダマスカス県ジャラー公園で、アサド大統領の包括的改革プログラムを支持するデモが行われ、多数の市民が参加した。

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シリア・アラブ・テレビ(6月29日付)は、ラタキア市でのデモに乗じて治安部隊に発砲したとする武装集団メンバーの証言を放映した。

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍の戦車・兵員輸送車両が、アレッポ市に通じる高速道路に面するラーミー村、マルイヤーン村、イフスィム村、バーラ村に突入し、少なくとも11人が死亡、数百人が村から避難した。

またシリア人権国民機構のアンマール・カルビー代表によると、治安部隊はラーミー村で無差別発砲し、4人を殺害したという。

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アレッポ県では、『ハヤート』(6月30日付)によると、アレッポ市の裁判所で弁護士約300人が、軍・治安部隊によるデモ弾圧に抗議して、座り込みを行い、政治犯釈放などを求めた。

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シリア人権監視団は、アレッポ県のアラブ社会主義連合民主党の指導者1人とハサカ県のシリア・クルド・ムスタクバル潮流の指導者1人が逮捕されたと発表した。

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AFP(6月29日付)は、複数の活動家の情報として「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」に参加した反体制作家のムンズィル・ハッダーム氏が体制を支持するデモ参加者に襲撃されたと伝えた。

諸外国の動き

米国務省は、シリアの治安機関、イラン警察、イスマーイール・アフマディー・ムカッダム同長官、アフマド・リダー・ラーダーン副長官に対して、米国内の資産凍結、米系企業および個人との取引禁止などからなる制裁を科した。

財務省の制裁担当高官のディビッド・コーヘン氏は「この措置は、シリア大統領とその体制への圧力をかけるための努力を強化し、野蛮な暴力行使を制限し、シリア国民の生存権を尊重する体制への転換プロセスを開始するためのものである」と述べた。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、シリア情勢を協議するため、2日間の予定でロシアを訪問した。

フランス外務省によると、ジュペ外務大臣はサンクトペテルブルグに向かい、その後モスクワ入りし、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談する予定。

フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は昨日、「我々はシリアなどについて、とりわけシリアの現状が地域の安定や治安にもたらす影響への我々の懸念について話し合う」と述べた。

また「我々は毎日、ロシア側とニューヨークの安保理で会合を持ち、世界の情勢について議論している」と述べ、フランスがシリア非難決議に向けた努力を継続していることを明らかにした。そのうえで「降伏すべきでない」と続けた。

AFP, June 29, 2011、Akhbar al-Sharq, June 29, 2011、al-Hayat, June 30, 2011、Kull-na Shuraka’, June 29, 2011、Naharnet, June 29, 2011、Reuters,
June 29, 2011、SANA, June 29, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍を離反した士官らがトルコで「自由将校運動」の結成を発表、在外反体制活動家の使節団がロシアを訪問しロシア政府に「歴史の正しい側につく」よう求める(2011年6月28日)

反体制勢力の動き

シリア軍を離反した士官・兵士がトルコで「声明第1号」を出し、「自由将校運動」を結成したと発表した。

「自由将校運動司令評議会」の名で出された声明では、国内外の反体制勢力との協調、統合を通じて、「平和的な政権移譲」を目出すと表明する一方、国連安保理に対して民間人保護のための飛行禁止空域の設定を呼びかけた。

またフサイン・ハルムーシュ大佐を報道官に任命すると発表した。

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3月半ばに反体制抗議行動を開始した活動家のグループ(の一つ)と目されるシリア革命調整連合は声明を出し、「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」に疑義を呈した。

声明で調整連合は「誰一人として、殉教者の血や逮捕者の痛みを犠牲にして、体制に正統性を付与してはならない」と主張、「シリアの街頭で行動を続ける」と強調した。

また「革命家のなかに会合を望む者がいるのなら、逮捕、拷問、あるいは粛清を免れるために行うべき治安・予防措置が数十とある…。街頭活動に身を置いていると主張する会合の開催の仕方が疑問を呈されるのは当然のことだ。我々は(「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」開催許可を通じて)シリア政府が…対話に基づく文明的で合法的な存在だとのイメージを作り出そうとしていると見ている。政府にはそうした資質がまったくないにもかかわらず、である」と続けた。

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人権活動家のアンワル・ブンニー氏は、「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」に関して、「大会は二つの真実を確立することに成功した。第1に、すべてのシリア人が祖国において合法的かつ公に集う権利があるということ。そして第2にすべてのシリア人が、体制に反するものであったとしても、逮捕や脅迫を受けずに自らの意見を明確かつ率直に表明する権利があるということ」と述べた。

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米国などで活動する在外反体制活動家の使節団(シリア変革大会使節団)が、ロシアを訪問し、ミハイル・マルゲロフ・アフリカ担当大統領特別代表兼ロシア連邦議会国際委員会議長と会談、シリア情勢について協議した。

al-Hayat, June 29, 2011
al-Hayat, June 29, 2011

使節団は、ラドワーン・ズィヤーダ氏、ムルヒム・ダルービー氏、ナジーブ・ガドバーン氏、ラドワーン・バーディーニー氏、サリーム・ムンイム氏からなっている。

反体制活動家は会談で、ロシア政府に「歴史の正しい側につく」よう求め、国連安保理でのシリア非難決議採択を拒否し続けるロシア政府の姿勢が、アサド政権に「間違ったシグナルを与える」とのメッセージを伝えた。

これに対してマルゲロフ特別代表は、「ロシアにとってシリア国民こそが友人である」と強調、「指導者は現れては消える」と述べるとともに、シリアでの「あらゆる形態の暴力」の停止と政治的交渉の実施を支持するとの立場を示した。

一方、使節団はリア・ノーヴォスチ(6月28日付)の取材に対し、27日にダマスカスで開催された反体制活動家の「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」大会に関して、「政権と集う者は我々を代表していない」と批判した。

シリア政府の動き

ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官はスカイ・ニュース(6月28日付)に、「我々は暴力を非難しているが、反体制勢力も軍・治安部隊への武装集団の暴力を非難しなければならない」と述べるとともに、政府が平和的デモを問題視しておらず、民主化に向けた改革に向けた準備はできている、と強調した。

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SANA(6月28日付)によると、ダマスカス県ユースフ・アズム広場、ザバダーニー市(ダマスカス郊外県)、ダルアー市、ハサカ市、アフリーン市(アレッポ県)で、アサド大統領の包括的改革プログラムを支持するデモが行われ、各会場には数千人の市民が集まった。

またタルトゥース市では、デモ弾圧の任務中に殺害された治安部隊隊員の遺族が座り込みデモを行い、国民統合を訴えた。

国内の暴力

シリア人権監視団によると、ヒムス県、ハマー県、イドリブ県、ラタキア県、ダイル・ザウル県などの複数の都市で、「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」に抗議するデモが行われ、数千人が参加し、アサド政権との対話に拒否の姿勢を示し、アサド政権の打倒が主唱された。

ヒムス市では数千人が、ハマー市では7.000人から10,000人が、ダイル・ザウル市では5,000人から7,000人がデモに参加したという。

またラタキア県ではジャブラ市、ラタキア市でデモが行われ、ダマスカス県のカーブーン区、バルザ区でも当局との対話拒否の行進が行われたという。

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これに対して、治安当局はダマスカス郊外県、イドリブ県、そしてトルコ国境の村々で数十人を逮捕、軍はイドリブ県の対トルコ国境地帯の軍備を増強し、数百人の兵士をさらに展開させた。

諸外国の動き

米国務省は、「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」に関して、「正しい方向への一歩」だと述べつつ、「さらなる実行が求められる」との留保を設けた。

そのうえで、多くの反体制活動家が在シリア米大使館と連絡をとっていることを明らかにした。

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英外務省報道官は「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」に関して、『ハヤート』(6月29日付)に対して「慎重ながらも歓迎する」と述べた。

そして「集会の自由、表現の自由は、あらゆる政治的対話の基礎をなす。我々はシリアの当局にこれらの権利を尊重するよう強く求めてきた」と続けた。

しかし、英国外務省は、抗議行動を支援した駐英シリア人活動家がシリア当局の脅迫を受けたとの報道を受けて、サーミー・ハイミー駐英シリア大使を呼び出し、抗議を行った。

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フランスは「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」に関して「前向きな一歩」と評し、「国民対話の出発点」の設定により、危機解決の余地が生まれることへの期待感を表明した。

AFP, June 28, 2011、Akhbar al-Sharq, June 28, 2011、al-Hayat, June 29, 2011、Kull-na Shuraka’, June 28, 2011、Naharnet, June 28, 2011、Reuters,
June 28, 2011、SANA, June 28, 2011、Sky News, June 28, 2011などをもとに作成。

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反体制活動家・有識者の会合「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」が開催、既存の体制内における一連の改革が提案される(2011年6月27日)

反体制勢力の動き

ダマスカス県のシェラトン・ホテルで「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」と題された反体制活動家・有識者の会合が開催され、約200人が出席した。

al-Hayat, June 28, 2011
al-Hayat, June 28, 2011

シリア国営メディア、米国のCNNやNBC、英国のスカイ・ニュースなど外国のメディアが取材するなかで行われた。

ホテルのビュッフェにはフランスの外交官が現れたが、主催者は大会会場への入場を認めなかった。

またホテルの入り口では、数百人の青年がアサド大統領の写真やシリア国旗を掲げて集まった。

会合はシリア国家斉唱で開会し、大会運営者の一人で反体制活動家のルアイユ・フサイン氏が「祖国の土となった民間人および軍人の殉教者の魂」に哀悼の意を示すための1分間の黙祷を求めた。

フサイン氏は開会の辞で会合の目的が、政党に属さない出席者が一丸となって自由な市民国家へと移行する方途を検討することと「民主的市民国家へ確実に移行する青写真」を提示することにある、と述べた。

フサイン氏はまた、会合に疑義を呈する在外の反体制活動家らの批判に暗に応えるかたちで、「国家や社会を崩壊させることなく」変化を実現することが重要だと強調した。

また参加者たちが「望ましい国家への平和的移行の青写真を示そうとしており、我々は、みにくい嫌疑を向ける当局に対して自己弁護するために集まったのではない。軽率な行為や責任を非難する者に対して自己弁護するためでもない、無実を訴えるためでもない。無制限に自由な発言を行うために集まったのだ」と付言した。

反体制活動家のムンズィル・ハッダーム氏は会合の開催が重要な進展で、「シリアが変わっている」ことを示していると評価した。

そして、数ヶ月前、このような大会がダマスカスで開催でき、「我々のもとに成功以外の選択肢はない」と思っていた人がいただろうかと付言、「二つの道が描かれている。一つは我々の政治体制を平和的・確実に転換するため、すなわち民主制に向けて妥協の余地のない明確な路線をとり、国民と国を救済すること。もう一つは、未知へと路線を進め、皆が破壊に苛まれること」と述べた。

また在外活動家らの批判に対して、ハッダーム氏は「我々は国民の一部であり、国民とともに一つの未知を進むことを選ぶと決めた。我々と歩みたくないからといって、その道が地獄へ通じるわけではない」と述べた。

『ハヤート』(6月28日付)によると、会合では反体制作家のミシェル・キールー氏が移行期の諸特徴について報告を行った。

キールー氏は報告のなか、治安対策によって危機を解決することが「シリアに破壊をもたらす」と警鐘を鳴らしたうえで、危機は知性、施策、法律を通じて対処されるべきだ。シリアの危機は…深刻だ。治安対策や弾圧によっては解決しない。なぜならこの危機はその本質において治安とは関係がないからだ」と付言し、弾圧を通じた解決ではなく、失業、貧困、経済の問題の解決を呼びかけた。

そのうえでキールー氏は一連の改革措置を提案した。この改革措置は、国内で活動する非公認の政党を「合法的で、国を織りなす要素の一部とみなす」決定を下すこと、憲法を「多元的、代議的」なものとすべく、第8条を「凍結」する決定を下すことなどを骨子としていた。

また、参加者の一人ジョルジート・アティーヤさんは、「私は軍に対して大いなる敬意を表しています。兵士が命を落とすたびに、心が痛みます」としたうえで、反体制デモのなかに「武装集団がいる」との言説に同意すると発言、軍の役割を尊重すべきだと主張した。

他方、作家のナビール・サーリフ氏は在外の反体制活動家について「アンタルヤやブリュッセルで集まった人々が西側諸国の呼びかけに応え、国益に沿っていないことは明確である。我々の反体制運動こそが、疑いなく愛国的な運動である」と述べた。

また「改革は既存の体制の枠内で行う」と付言し、「改革実施の猶予」を(体制に)与えねばならないと主張した。

「数年を要する改革を数日で行うことなど不可能だ。抜本改革をしたいと考えている者もいる。部分的改革をしたいと考えている者もいる。すべての改革が必ずしもよい訳ではない。我々は変革のための変革をしたいのではない。よりよいものをめざして変革したいのだ」と述べた。

一方、移行期における有識者の役割については、ハッサーン・アッバース博士が報告を行った。

なおロイター通信(6月28日付)によると、大会に出席していたアーリフ・ダリーラ氏は、途中で退場、脱会した。

「当局が集団殺戮・逮捕を続けるなかで、大会を利用している」というのが脱会の理由だという。

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クウェート日刊紙『カバス』(6月27日付)は、在外反体制活動家筋の話として、ラタキア県カルダーハ市出身の大佐1人、中佐1人、少佐、大尉、中尉ら合わせて12人(うち少なくとも6人がアラウィー派)が軍を離反し、近く「自由将校団運動」を宣言すると報じた。

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自由シリア革命青年連立は声明を出し、「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」大会への支持を表明した。

シリア政府の動き

大統領府は声明を出し、アサド大統領が英米国会議員使節団と会談し、「人々の正当な要求」と「混沌をもたらし、安定を損ねる」ためにこの要求を利用する「武装集団」(の要求)を区別するとの立場を伝えた。

アサド大統領は昨日、デニス・クシニッチ米議員と英保守党のブルークス・ニューマーク議員とそれぞれ会談、「シリアで発生している問題の実像、現在実施中の包括的改革措置」を説明し、「制定された政令や法律を通じて国家が応えるべき人々の正当な要求と、国に混沌をもたらし、安定を損ねるためにこの要求を利用する武装集団を区別することが重要だ」と強調した。

これに対して、クシニッチ議員とニューマーク議員はともに「地域の安定の主柱とも言えるシリアの治安と安定への熱意を表明した」と述べたという。

また『ハヤート』(6月29日付)などによると、クシニッチ議員はアサド大統領との会談で「国民対話と民主的文民国家への移行をめざす政府の強い意思」を感じとることができた、とアサド大統領を称えた。

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SANA, June 27, 2011
SANA, June 27, 2011

ファールーク・シャルア副大統領が議長を務める国民対話委員会が会合を開き、20日のアサド大統領の演説に従い、包括的対話大会開催を準備する協議会の活動日程を協議した。

会合には9人の委員が出席し、7月10日を協議会開催日とすること、「すべての愛国的思想・政治勢力および個人」に会合への出席を呼びかけること、「憲法、とりわけ第8条の改正審議を日程に含めること」などを承認した。

委員会は「さまざまな次元で政治的に対処し、すべてのシリア国民に門戸を大きく開き、シリア国民の要求に沿った民主的で多元的な社会建設への参加を求める以外に選択肢はない」との立場を確認したという。

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SANA, June 27, 2011
SANA, June 27, 2011

SANA(6月27日付)によると、ヒムス市、ハサカ市、ダーライヤー市(ダマスカス郊外県)、ジャブラ市(ラタキア県)でアサド大統領の包括的改革プログラムを支持するデモ行進が行われ、多数の市民が参加した。

ラタキア市では数千人が参加し、全長2キロのシリア国旗が広げられた。

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SANA, June 27, 2011
SANA, June 27, 2011

SANA(6月27日付)によると、ダマスカス県バラダー・スポーツ・クラブで「小さな手で偉大な私の国の旗を作ろう」と銘打った企画が行われ、全長40メートル、幅1.4メートルの白い布に、絵の具で手形を押し、シリア国旗を作った。

国内の暴力

アフバール・シャルク(6月27日付)などによると、アレッポ大学学生寮で反体制デモを行い治安当局に拘束された学生約400人が、暴動煽動、大統領侮辱の容疑で起訴された。

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シリア人権監視団によると、ヒムス市、ハマー市、ダイル・ザウル市、ダマスカス県カーブーン区、バルザ区、ルクンッディーン区、ラタキア市、ジャブラ市(ラタキア県)で、反体制活動家が、ダマスカスの反体制活動家による民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」大会を拒否する派の大会に反対する夜間デモを行い、政権との対話に拒否の姿勢を示した。

同監視団によると、ヒムス市では数千人、ハマー市では1万人、ダイル・ザウル市では5,000~7,000人が参加したという。

イラクの動き

イラクのヌーリー・マーリキー首相はバグダードでシリア人ビジネスマンからなる使節団と会談し、シリア情勢などについて協議した。

AFP(6月27日付)によると、会談でマーリキー首相は、シリアの治安が地域の安定と直結している、と述べ、事態の混乱への懸念を示した。

諸外国の動き

アナトリア通信(6月27日付)によると、トルコの内閣非常事態災害局は、トルコ領内に設置されたキャンプ5カ所で避難生活を送るシリア人の数が11,122人に達すると発表した。

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『ハヤート』(6月28日付)によると、イラク・クルディスタン地域で避難生活を送るシリアのクルド人数百人がアルビル市で反体制デモを行った。

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中国の温家宝首相(国務院総理)は英国を訪問し、デヴィッド・キャメロン首相と会談、シリア情勢への対応などについて協議した。

『ハヤート』(6月28日付)などによると、温首相は会談で、国連安保理での対シリア非難決議採択に難色を示し、シリア政府と反体制勢力の対話による危機解決を支持するとの姿勢を示したという。

AFP, June 27, 2011、Akhbar al-Sharq, June 27, 2011、June 28, 2011、al-Hayat, June 28, 2011、June 29, 2011、Kull-na Shuraka’, June 27, 2011、Naharnet, June 27, 2011、al-Qabas, June 27, 2011、Reuters, June 27, 2011、June 28, 2011、SANA, June 27, 2011などをもとに作成。

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アサド大統領が在米シリア人居住者の使節団と面会する一方、シリア軍がクサイル市に展開される(2011年6月26日)

反体制勢力の動き

シリア革命調整連合は、27日にダマスカス県のシェラトン・ホテルで開催予定の反体制活動家による大会「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」に関して、「アサド・シャッビーハ体制の耳目の届くところでのこの手の大会は、正統性を失った体制を救済する助け船を出しようとするものでしかない」と非難した。

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シリア変革大会執行部は、使節団がロシアを訪問し、モスクワでロシア政府高官らと会談すると発表した。

使節団は、ラドワーン・ズィヤーダ氏、ムルヒム・ダルービー氏、ナジーブ・ガドバーン氏、ラドワーン・バーディーニー氏、サリーム・ムンイム氏からなっている。

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駐英シリア革命調整委員会、シリア民主革命支援国民委員会、シリア反体制勢力アンタルヤ大会顧問委員会が共同声明を出し、アサド政権が呼びかける国民対話を拒否すると発表、退陣を要求した。

シリア政府の動き

SANA, June 26, 2011
SANA, June 26, 2011

大統領府は声明を出し、アサド大統領が、在米シリア人居住者の使節団と「シリアが直面している出来事、外国でシリアが曝されている偽りのメディア・キャンペーン…、在外シリア人が真相究明に果たすべき役割、国外への真相発信への貢献」などについて検討したと発表した。

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シリア国防大臣のアリー・ハビーブ一等中将はアサド大統領の代理として、軍の士官参謀コースおよび国防コースの卒業式で祝辞を述べ、シリアが「さまざまなかたちの陰謀に曝され、国際問題化、外国の干渉、分断支援、そして内紛を企図した圧力が断続的に増している」と警鐘を鳴らした。

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SANA(6月26日付)によると、ダマスカス県のヒジャーズ駅前で、アサド大統領の包括的改革プログラムを支持するデモが行われ、市民数百人が参加した。

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シリア・アラブ・テレビ(6月26日付)は、ヒムス市バーブ・アムル地区で破壊活動を行ったとする武装集団メンバーの自供映像を放映した。

国内の暴力

『ハヤート』(6月27日付)によると、シリア軍は、ダマスカス県バルザ区、ダマスカス郊外県キスワ市、ザバダーニー市、ブルーダーン村に検問所を設置した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、シリア軍がクサイル市に展開し、負傷者を多数含む数百人がレバノンに越境避難したという。

クサイル市では夜も銃声が聞こえているという。

これに関して、レバノン北部県アッカール郡カニーサ村のアリー・ハンムード村長はAFP(6月26日付)に対して「350人から400人がシリア領からカニーサ村にやって来た。彼らはカニーサ村をはじめとする近隣の村に分かれて避難している」と述べた。

ハンムード村長によると、シリア人避難民の多くはヒムス県ヒート村、ドゥワイク村の住民だという。

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イドリブ県では、シリアの複数の高官によると、軍がジスル・シュグール市での「武装集団追跡作戦」を継続、対トルコ国境のヒルバト・ジャウズ村を「制圧」したことを明らかにした。

シリア軍のリヤード・ハッダード報道官はCNN(6月25日付)に対し、700人以上のテロリスト」がヒルバト・ジャウズ村から家族とともに逃走、越境したと述べた。

諸外国の動き

イラン外務省報道官は声明を出し、EUによる対シリア追加制裁に関して、イラン・イスラーム革命防衛隊がシリアでのデモ弾圧を支援しているとの「EUの主張は根拠がない」と批判した。

AFP, June 26, 2011、Akhbar al-Sharq, June 26, 2011、al-Hayat, June 27, 2011、Kull-na Shuraka’, June 26, 2011、Naharnet, June 26, 2011、Reuters, June 26, 2011、SANA, June 26, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アムネスティ・インターナショナル会長がアラブ連盟に対し、シリアに対する措置を講じるよう求める(2011年6月25日)

反体制勢力の動き

反体制作家・出版者のルアイユ・フサイン氏は、27日にダマスカス県で「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」と銘打って反体制活動家・有識者の会合を開催すると発表した。

フサイン氏は「月曜日に、無所属の公開国民対話がダマスカスのホテルで開催され、国情や民主的市民国家への移行方法について審議する」と述べ、「招待されているのはいかなる政党、政党ブロックにも所属していない個人だ」と強調した。

また反体制作家で参加者の一人ファーイズ・サーラ氏は「会合という発想は危機の所在を特定し、その解決策を案出するのにいかに貢献できるかということにつながる」と述べた。

シリア政府の動き

SANA(6月25日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市への避難民の帰国が続き、トルコ領内に批難していた約730人が帰宅した。

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SANA(6月25日付)によると、ダマスカス県カダム区で24日に武装テロ集団に殺害された治安部隊隊員の葬儀がティシュリーン軍事病院で行われた。

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SANA(6月25日付)によると、イドリブ県マルアンド村、ダルクーシュ町で、アサド大統領による包括的改革プログラムを支持するデモが行われ、住民が参加した。

国内の暴力

アナトリア通信(6月25日付)によると、シリア赤新月社のアブドゥッラフマーン・アッタール会長は、「シリア人避難民が帰国を決心した際、その安全は保障する」と発表した。

アッタール会長はまた「赤新月社の名において、我々はシリア政府が彼らを処罰せず、また治安部隊の処罰に曝されないことを保障する」と伝えた。

アッタール会長はさらに、トルコ当局に対してトルコ領内の避難民キャンプへの訪問を許可することを期待していると述べたうえで、シリアへの帰国を望んでいる人たちが圧力に曝されないようにして欲しいと付言した。

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『ハヤート』(6月26日付)は、人権活動家の話として、戦車や兵員輸送車輌に支援された軍部隊が早朝、イドリブ県ナージヤ村に進入・展開したと報じた。

ナージヤ村は、イドリブ県ジスル・シュグール市とラタキア市を結ぶ要衝に位置する。

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『ハヤート』(6月26日付)によると、各地で24日のデモの犠牲者約20人の葬儀が行われる一方、治安当局による摘発活動が続き、100人以上が未明までに逮捕された。

逮捕者のうち80人はアレッポ市マーリア市で拘束されたという。

また複数の活動家がAFP(6月26日付)に述べたところによると、治安部隊がキスワ市での葬儀に発砲し、2人が死亡した。

レバノンの動き

『フィガロ』(6月25日付)は、イラン・シリア関係を研究する専門家が西側諜報機関から得た情報として、ヒズブッラーが、イラン製のロケット弾ズィルザール、ファジュル3、ファジュル4をシリア国内からベカーア県に移送している、と報じた。

諸外国の動き

アムネスティ・インターナショナル会長はアラブ連盟に対して、リビアと同様、シリアに対しても措置を講じるよう求めた。

同会長は、シリア情勢について行動しようとしないその対応を「ダブル・スタンダード」を非難、「シリアの状況は、さらに悪化している」と述べ、対応を求めた。

AFP, June 25, 2011, June 26, 2011、Akhbar al-Sharq, June 25, 2011、Le Figaro, June 25, 2011、al-Hayat, June 26, 2011, June 27, 2011、Kull-na Shuraka’, June 25, 2011、Naharnet,
June 25, 2011、Reuters, June 25, 2011、SANA, June 25, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

各地で抗議行動開始以来「最大規模」の反体制デモが発生し、「数万人が参加」(2011年6月24日)

反体制勢力の動き

複数の目撃者によると、大佐2人を含むシリア軍の士官4人が離反し、イドリブ県ヒルバト・ジャウズ村からトルコへと越境した。

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シリア政府の動き

シリア軍当局は、ダマスカス郊外県キスワ市郊外に駐留する第1師団内で将兵が離反し、師団が分裂したとの「度重なる報道」を「根拠がない」と否定した。

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SANA(6月24日付)は、軍がイドリブ県ジスル・シュグール市周辺地域への展開を完了、住民の歓迎を受けたと報じた。

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SANA, June 24, 2011
SANA, June 24, 2011

SANA(6月24日付)によると、ダマスカス県バーブ・トゥーマー地区、ダマスカス郊外県ジュダイダト・アルトゥーズ町、ダイル・ザウル市で、アサド大統領による包括的改革プログラムを支持する集会が開かれ、市民数万人が参加した。

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シリア・アラブ・テレビ(6月24日付)は、「武装テロ集団のメンバー3人がジスル・シュグール市(イドリブ県)で殺戮・脅迫行為を行い、治安本部を攻撃したと自供したと報じ、証言ビデオを放映した。

メンバーの一人は「治安本部のスタッフを殺害し、彼らの遺体を傷つけ、検問所を設置し、市民を脅迫した」と自供した。

治安拠点を攻撃した武装集団の数は700人と推計されるという。

国内の暴力

『ハヤート』(6月25日付)によると、ダマスカス県(バルザ区、カーブーン区、マイダーン地区)、ダマスカス郊外県(キスワ市、ザバダーニー市など)、アレッポ県(アレッポ市)、イドリブ県(カフルナブル市、ジャルジャナーズ町、サラーキブ市、ビンニシュ市など)、ヒムス県(ヒムス市、ラスタン市)、ハマー県、ダイル・ザウル県(ダイル・ザウル市、マヤーディーン市など)などの各所に、シリア軍が展開し、治安当局が検問所を設け、幹線道路が封鎖されるなか、金曜礼拝後に反体制デモを行い、当局による暴力行使や対トルコ国境地帯での治安維持活動に反対を表明した。

al-Hayat, June 25, 2011
al-Hayat, June 25, 2011

シリア人権監視団によると、デモは抗議行動開始以来「最大規模」で「数万人が参加した」という。

同監視団によると、ダイル・ザウル市では3万人以上、ハマー市では数万人、マヤーディーン市では数千人、イドリブ県カフルナブル市、ジャルジャナーズ町、サラーキブ市、ビンニシュ市では約1万人、ヒムス県ラスタン市では約5,000人、ダマスカス郊外県のザバダーニー市では約700人、ドゥーマー市では1,500人、ダマスカス県カーブーン区では約1万2,000人がデモに参加した。

また活動家のアブドゥッラー・ハリール氏によると、ラッカ県のラッカ市とタブカ市で数百人規模のデモがあった。

さらにハサカ県の活動家ハサン・バッルー氏はAFP(6月24日付)に対して、カーミシュリー市で5,000人以上、アームーダー市で3,000人以上、ラアス・アイン市で訳1,500人がデモを行ったと述べた。

彼らは体制打倒を求めるスローガンを叫んでいたが、治安部隊との衝突はなく、ラアス・アイン市ではアサド大統領を支持するデモも行われたという。

しかし、複数の活動家と目撃者によると、治安部隊が実弾などを使用し、デモの強制排除を試み、子供2人(ダマスカス郊外県とヒムス県で1人ずつ)を含む15人以上が死亡した。

またシリア人権機構のムハンマド・イナード・スライマーン氏はAFP(6月24日付)に対して「治安部隊がデモ参加者に発砲し、キスワ市では5人が死亡、6人が負傷した」と述べた。

さらに、ダマスカス県バルザ区の人権活動家の一人は「治安部隊がデモ参加者に発砲し、3人が死亡、25人が負傷した」と指摘した。

ロイター通信(6月24日付)によると、バルザ区の住民の話として「治安部隊は最初、催涙ガスを使っていたが、その後、シュプレヒコールが続くなかで、屋上から発砲を始めた…。3人の若者が殺害され、頭と胸を撃たれた遺体2体を見た」と伝えた。

ヒムス市の別の人権活動家も「同市で3人のデモ参加者が殺害された」としたうえで、「20人以上が負傷した」と述べた。

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これに対して、シリア・アラブ・テレビ(6月24日付)は、体制を支持する行進の映像を放映する一方、ダマスカス県バルザ区で武装集団が治安部隊に発砲し、市民3人が死亡、士官1人と複数の治安要員が負傷したと報じた。

レバノンの動き

ナハールネット(6月24日付)によると、北部県トリポリ市でアサド政権の支持者と反対者の双方が座り込みデモを行い、軍・治安当局が厳戒態勢を敷いた。

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AFP(6月24日付)によると、北部県アッカール郡に負傷したシリア人8人が不法入国、その後病院に搬送された。

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ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はテレビ演説を行い、アサド政権に関して「地域唯一のレジスタンス体制」だと位置づけたうえで、「アサド大統領は、武装した反乱分子がいるにもかかわらず、二度にわたって恩赦を実施し、改革を開始した。しかし彼ら(欧米諸国)は満足していない。一方、バーレーンに目を向けると、反体制派の指導者たちはナイフ1本も持っていなかったにもかかわらず、禁固刑を受けている」と述べた。

諸外国の動き

トルコのアフメット・ダウトオール外務大臣は、アサド大統領の22日の演説が「改革に向けた積極的な要素を含んでいるが、重要なのは具体的な措置をどこで実施するかであり、我々はこうした考え方のもとで(シリアとの)連絡を継続している」と述べた。

そのうえで「我々はシリアが改革実施を通じて、現状から全力で脱却することを望んでいる」と続けた。

アナトリア通信(6月24日付)が伝えた。

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『ハヤート』(6月25日付)は、トルコ当局が過去24時間で1,500人以上のシリア人がトルコ領内に避難し、これによりシリア人避難民の数が1万2,000人に達したと発表した、と報じた。

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EU首脳は共同声明を出し、「アサド政権は…自らが示した大規模改革の約束を履行せず、弾圧を選んだことで、正統性を失った」と厳しく非難した。

また「シリア政府が国民に対して行う弾圧を決して受け入れることはできず、嫌悪感をもたらす暴力行使を非難する」と続けるとともに、「トルコ国境のヒルバト・ジャウズ村でのシリア軍の作戦に大いなる懸念」を表明した。

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米『タイムズ』(6月24日付)は、軍・治安部隊によるイドリブ県ジスル・シュグール市制圧を受けてトルコに避難した住民らが、軍・治安部隊による「集団レイプ」が行われたと証言していると報じた。

AFP, June 24, 2011、Akhbar al-Sharq, June 24, 2011、al-Hayat, June 25, 2011、Kull-na Shuraka’, June 24, 2011、Naharnet, June 24, 2011、Reuters,
June 24, 2011、SANA, June 24, 2011、The Times, June 24, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

タルトゥース県で「包括的改革プログラム」を支持する大規模デモが行われる、NATO事務局長はシリアへの軍事介入を否定(2011年6月23日)

反体制勢力の動き

反体制活動家らは、インターネットを通じて、「アラブの春」に呼応するかたちで反体制デモが始まってから100日を迎える24日を「正統性打倒の金曜日」と銘打って、各地で反体制デモを行うよう呼びかけた。

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またその前日にあたる23日にすべての都市でのゼネストを行うよう呼びかけ、『ハヤート』(6月24日付)によると、ダマスカス郊外県、アレッポ県、ハマー県、ヒムス県、ダイル・ザウル県、ダルアー県、イドリブ県(サラーキブ市)、タルトゥース県(バーニヤース市内南部)、ラタキア県、カーミシュリー市(ハサカ県)で、「大規模なスト」が行われた。

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地元調整委員会は声明を出し「100日(が経った)。我々の革命は続く。それがあらゆる形態の平和的闘争の継続とともに求められている」と宣言した。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アサド政権による抗議デモ弾圧を「人道に対する犯罪」と非難、「存在理由と正統性を失った」と糾弾した。

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シリア共産主義者統一国民委員会は機関紙『カシオン』(6月23日付)を通じて声明を出し、24日にハサカ県カーミシュリー市で予定されている抗議デモに参加すると発表した。

シリア政府の動き

SANA(6月23日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市で発見された「集団墓地」で発見された軍・治安部隊隊員26人の葬儀がヒムス市軍事病院で行われた。

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SANA(6月23日付)によると、ダマスカス県のキリスト教各派の呼びかけに応じるかたちで、キリスト教徒、イスラーム教徒が、カッサーア地区の聖十字架に集まり、シリアに対する陰謀の拒否と平和を求める集団礼拝を行った。

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SANA, June 23, 2011
SANA, June 23, 2011

SANA(6月23日付)によると、タルトゥース県ミスヤーフ市で、アサド大統領による包括的改革プログラムを支持するデモが行われ、数万人の住民が参加、全長1,000メートル、幅5メートルの巨大なシリア国旗を広げた。

国内の暴力

イドリブ県では、『ハヤート』(6月24日付)によると、シリア軍の戦車部隊が、対トルコ国境に位置するヒルバト・ジャウズ村に突入した。

al-Hayat, June 24, 2011
al-Hayat, June 24, 2011

トルコ領内の複数のトルコ人目撃者によると、シリア軍戦車と兵士が、トルコから1キロも離れていない丘にまで到達したのが見え、AFPとロイター通信はともに、シリア人避難民がトルコへの謝意を示すため、数日前にこの丘にある建物に掲げていたトルコ国旗が下ろされ、シリア国旗が再び掲げられたと報じた。

これを受け、同村に避難していたシリア人数百人がトルコに避難した。

トルコ赤新月社のティキン・クジョカリ会長は「国境で新たな動きが生じている」と述べ、「600人以上今日(23日)、避難してきた」ことを明らかにした。

一方、SANA(6月23日付)によると、軍・治安部隊による掃討作戦を受けて、ジスル・シュグール市外に避難していた住民約270世帯が帰宅した。

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アレッポ県では、複数の目撃者によると、装甲車に支援された軍歩兵部隊がアレッポ県とトルコを結ぶ街道に検問所を設置し、数十人を逮捕した。

シリア人権監視団はまた、治安機関が過去2日間で、タッル・リフアト市およびその郊外で120人を逮捕したと発表した。

諸外国の動き

トルコ外務省高官は、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣がシリアのワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣と電話会談し、シリア情勢に関して意見を交わしたと述べた。

ロイター通信(6月23日付)によると、トルコ第二軍司令官がグフィチの国境地帯を視察訪問した。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、シリア軍によるヒルバト・ジャウズ村への攻勢に関して「もしそれが本当だとすれば、こうした敵対行為がトルコ領内のシリア人避難民の暮らしを不安定化させる」と懸念を表明した。

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米国防総省のアレクサンダー・バーシュボウ安全保障担当次官補は、シリア・トルコ関係に関して、アサド政権はトルコ政府が求めていることを「考慮して…、暴力を停止し、改革を始めねばならない」と述べた。

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EUによる対シリア制裁第3弾が発効した。

EU官報で発表された追加制裁リストには、イラン・イスラーム革命防衛隊のモハンメド・アリー・ジャアファリー少将、その補佐官のガーセム・ソレイマーニー少将、フセイン・タイイブ諜報担当副司令官の3人が含まれている。

また制裁リストには、大統領のいとこで弾圧に関与したとされるズー・ヒンマ・シャーリーシュ氏、その弟でシリアの体制に資金援助をしている(とされる)リヤード・シャーリーシュ氏、ハーリド・カッドゥール氏、リヤード・クーワトリー氏の4人にビジネスマンが名を連ねている。

追加制裁ではまた、アサド政権に資金援助しているとされる企業4社(企業とは建設不動産会社、マシュリク投資基金、ハムシュー国際機構、そして国防省所管の公営企業の軍住宅機構)の資産凍結が定められている。

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NATOのアナス・フォー・ラスムセン事務局長は『フィガロ』(6月23日付)に、アサド政権による反体制運動弾圧に関して「この状態は我々がリビアで見たものとは異なっている…。私の経験から、シリアに飛行禁止空域は設定されず、シリア内政への外国の軍事介入はないと考える」と述べた。

AFP, June 23, 2011、Akhbar al-Sharq, June 23, 2011、Le Figaro, June 23, 2011、al-Hayat, June 24, 2011, June 25, 2011、Kull-na shuraka’, June 23, 2011、June 26, 2011、Naharnet, June 23, 2011、Reuters, June 23, 2011、SANA, June 23, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

EUがシリア政府への追加制裁を決定へ、ムアッリム外務大臣はただちにこれを批判(2011年6月22日)

シリア政府の動き

シリアのワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は記者会見で、「アサド大統領の演説を聞き、背を向けた友人たちは、自らの立場を再考せねばならない」と述べた。

SANA, June 22, 2011
SANA, June 22, 2011

ムアッリム外務在外居住者大臣は、西側諸国がシリアに「混乱と内乱を植え付けようとしている」としたうえで、EUの制裁が「シリア国民の生活を標的としており、戦争に等しい」と厳しく批判した。

また「我々は欧州が地図上にあることを忘れ、地中海連合のメンバーシップを凍結することを提言する」と述べる一方、ラフィーク・ハリーリー元首相暗殺事件後の西側諸国のバッシングに対抗して「東と南に目を向けてきたことで…孤立を打破した」のと同じように、現状を「克服」し得ると自信を示した。

そのうえでアサド大統領の演説に対する欧州諸国首脳の反応に関して、「なかには全文を読まないで反応した者もおり…、そのことは推し進めたい計略があることを示している」と「不快感」を示した。

ムアッリム外務在外居住者大臣はまた、シリア政府が「隣国トルコとのより良い関係を望んでおり…、数年にわたってアサド大統領がトルコとの戦略的・特権的関係構築のために指導してきた努力を無に帰したくない」と述べ、トルコ政府に、シリア情勢への対応を再考することを求めた。

このほかムアッリム外務在外居住者大臣は、イランやヒズブッラーの支援に関して「シリアが危機を克服するための政治的支援、アサド大統領が発表した改革への支援はあるが…、軍事的支援はない」と述べた。

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クッルナー・シュラカー(6月22日付)によると、ダマスカス県ラウダ地区のトルコ大使館前で、アサド政権支持者がレジェップ・タイイップ・エルドアン首相の姿勢に抗議するデモを行い、数十人が参加した。

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Naharnet, June 22, 2011
Naharnet, June 22, 2011

アサド大統領は、レバノン民主党のタラール・アルスラーン党首とダマスカスで会談した。

国内の暴力

シリアの複数の人権活動家によると、治安部隊がダイル・ザウル市、タルトゥース市、ダマスカス県など複数の都市で逮捕を継続し、首都のダマスカス大学ではアサド政権の演説に反対してデモを行った「100人以上の学生」が逮捕された。

諸外国の動き

西側外交筋はAFP(6月22日付)に、EUがシリア政府への追加制裁を22日に正式に承認することに「加盟27カ国の専門家は原則合意した」と述べた。

追加制裁は、シリア政府高官4人、イラン政府高官3人、そしてデモ参加者への治安弾圧に関与したとする軍関係の企業4社の資産凍結、EU諸国内の渡航禁止を定めているという。

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国連の潘基文事務総長は、シリア大統領が改革実施やデモ参加者との対話を誓約したことに関して、「彼の発言には、言及に値するだけの信用がない。なぜなら状況は悪化し続けている。いつまでこのような状況は続くのか?」と述べた。

また「彼は、具体的措置をとるべきだ…。重要なのは、自らが宣言した諸措置を国民との包括的・建設的対話へと導くことだ」と続けた。

潘事務総長は、アサド大統領との電話会談を常に試み、「改革と現状にどのように支援できるか」を協議しようとしていると述べた。

そのうえでシリア政府が、シリアの現状を評価するための人権委員会の調査団や人権チームの訪問を許可する必要があると改めて強調した。

潘事務総長はまた、アラブ世界の指導者たちに「一般的自由、政治改革、民主主義強化のための包括的・建設的対話の開始」を呼びかけた。

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フランス外務省はシリア政府が「盲目的暴力の論理」に従って行動していると批判した。

AFP, June 22, 2011、Akhbar al-Sharq, June 22, 2011、June 23, 2011、al-Hayat, June 23, 2011、Kull-na Shuraka’, June 22, 2011、Naharnet, June 22, 2011、Reuters,
June 22, 2011、SANA, June 22, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

サファル内閣が政党の認可に関する法案を発表、ダマスカス県ではアサド大統領を支持するデモが行われ「数百万人」が参加(2011年6月21日)

反体制勢力の動き

反体制人権活動家のハイサム・マーリフ氏はロイター通信(6月21日付)に対して「体制が市民に対して殺戮と無差別逮捕を続けているこうした悲惨な状況下でどうして対話が行えようか」と述べ、アサド大統領の20日の演説を批判した。

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地元調整委員会のアーディル・ウスマーン報道官は、アサド大統領の20日の演説に関して、BBC(6月21日付)に対して「体制に多くを期待していない。なぜなら我々はその行動を見てきたからだ…。彼らは何よりもまず治安対策による問題解決を狙っている」と述べた。

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シリア人権委員会は、2011年3月半ばから6月11日までの抗議デモ弾圧などによる犠牲者が1,724人に上ると発表し、全員の氏名を公表した。

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シリア・クルド・イェキーティー党は声明を出し、アサド大統領の演説を「暴力停止に向けた実務的な措置を欠いている」と批判した。

シリア政府の動き

アサド大統領が6月20日以前の犯罪を対象とした新たな恩赦(2011年政令第72号)を発令した。

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大統領府声明によると、アサド大統領は、イドリブ県マアッラト・ヌウマーン市住民の使節団と会談した。

アサド大統領は会談で、「生命の危険にさらされつつも、殺戮から市民を守ろうと決心した住民の大いなる勇気、崇高な愛国心」に敬意を表したという。

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SANA(6月21日付)によると、アーディル・サファル内閣は政党法準備制定委員会(ファールーク・アブー・シャーマート委員長)が作成した政党法案を発表し、国民に意見を寄せるようインターネットを通じて呼びかけた。

同法案は38条からなり、宗教政党、エスニック政党などを禁じているほか、公認申請にあたって、50人の発起人の署名、2,000人以上の党員、各県で党員が5%以上いること、などが条件として定められている。また、外国からの支援や武装の禁止などが明記されている。

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『ハヤート』(6月22日付)によると、国民対話委員会会合がファールーク・シャルア副大統領のもとで開催され、対話会合の日程などについての審議がなされた。

国内の暴力

SANA(6月21日付)によると、ダマスカス県のウマウィーイーン広場で、アサド大統領を支持するデモが行われ、「数百万人」が参加した。

またダマスカス県以外でも、ヒムス県、アレッポ県、ラタキア県、ダイル・ザウル県、イドリブ県、ダルアー県の各所で同様のデモが行われ、SANAによると「数千人のシリア人が参加し…包括的改革計画を支持した」。

SANA, June 21, 2011
SANA, June 21, 2011

 

SANA, June 21, 2011
SANA, June 21, 2011

 

SANA, June 21, 2011
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SANA, June 21, 2011
SANA, June 21, 2011

 

SANA, June 21, 2011
SANA, June 21, 2011
SANA, June 21, 2011
SANA, June 21, 2011
SANA, June 21, 2011
SANA, June 21, 2011
SANA, June 21, 2011
SANA, June 21, 2011
SANA, June 21, 2011
SANA, June 21, 2011

これに対し、反体制活動家らも各地で反体制デモを組織して対抗しようとした。

だが、『ハヤート』(6月22日付)は、複数の活動家の情報として、ヒムス市、ハマー市、マヤーディーン市(ダイル・ザウル県)でアサド政権支持者と反体制派が衝突、これに治安部隊が介入し、11人が死亡、複数が負傷したと伝えた。

これに関して、シリア人権国民機構のアンマール・カルビー代表は、「シャッビーハ」がヒムス市、ハマー市、マヤーディーン市で反体制デモの参加者に発砲したと主張した。

ロイター通信(6月21日付)は、マヤーディーン市住民の話として「どちらが(暴力行為を)始めたのか言うのは難しいが、軍の装甲兵員輸送車が反体制デモ参加者のなかに突入し、人々に発砲した。1人が死亡したことが確認され、7人が重傷を負っている」と伝えた。

またヒムス市の住民2人も、体制支持派の集会に対抗するために反体制デモを組織した人々が発砲されたと述べた。

一方、ダルアー県でも、複数の目撃者によると、治安部隊がダルアー市ダルアー・バラド地区で抗議行動を行う数千人を排除するために発砲した。

この抗議行動は、マハッタ地区での政権支持者による集会に対抗するかたちで行われたという。

またアレッポ県では、ロイター通信(6月21日付)が複数の目撃者や住民の情報として、アレッポ市でも治安部隊が展開し、市内の主要道路を封鎖したと伝えた。

さらに複数の人権活動家によると、アレッポ大学で学生数十人が逮捕され、またタッル・リフアト市のモスク前で反体制デモを行った複数の住民も逮捕された。

諸外国の動き

フランスのフランソワ・フィヨン首相は、シリア情勢に関して「安保理が長らく沈黙することはあり得ない」と述べた。

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ロシアのウラジーミル・プーチン首相は訪問先のパリで、ロシアがシリアへのいかなる介入にも反対しているとの立場を繰り返し、重要なのは暴力の停止と政治改革の実施であると明言した。

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国連の潘基文事務総長はアサド大統領に、自らが宣言した改革の「早急な実施」を呼びかけた。

潘事務総長は、改革が「実質的で信頼できるものでなければならない…。それは、変革、民主主義拡大という広範なプロセスのなかで行われなければならず、いかなる当時者も排除してはならない」と述べた。

AFP, June 21, 2011、Akhbar al-Sharq, June 21, 2011、June 24, 2011、al-Hayat, June 22, 2011、Kull-na Shuraka’, June 21, 2011、June 23, 2011、Naharnet,
June 21, 2011、Reuters, June 21, 2011、SANA, June 21, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサド大統領がダマスカス大学講堂で演説し、「国民対話」を呼びかけるとともにシリアを取り巻く「陰謀」に対して警鐘を鳴らす(2011年6月20日)

SANA, June 20, 2011
SANA, June 20, 2011

反体制勢力の動き

地元調整委員会は、アサド大統領の演説を受けて声明を出し、「現体制に平和的なイメージを与えて幕引きしようとするいかなる対話も拒否し、すべての国民のための新たなシリア、民主的で自由な国家への変革をめざす」と発表した。

地元調整諸委員会はまた、アサド大統領による対話の呼びかけを「単なる時間稼ぎ」だと批判、演説内容を「シリアが3ヶ月にわたって身を置いてきた国民的危機をめぐる演説とはほど遠かった」と一蹴した。

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『ハヤート』(6月21日付)などは、アサド大統領の演説後、ダマスカス郊外県、ハマー県、ヒムス県、ラタキア県、イドリブ県、アレッポ県、ハサカ県各所で、その内容に抗議するデモが行われたと報じた。

しかしSANA(6月20日付)は、各地で大統領の演説を支持するデモが行われたと伝えた。

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『アフバール』(6月20日付)は、イドリブ県ヒルバト・ジャウズ村で19日に発表された「国民評議会」に関して、スハイル・アタースィー氏が「いわゆる革命指導国民議会に関して承知していないし、関係がない」と述べ、自身がメンバーであることを否定したと報じた。

シリア政府の動き

アサド大統領はダマスカス大学講堂で演説し、新憲法の制定と現下の危機からの脱却を図るための「国民対話」を呼びかけた。

アサド大統領は演説で、シリアが「困難な日々」のなかで「決定的な瞬間」に身を置いているとしたうえで、「陰謀」を前にシリアの「力と抵抗力」が増していると述べた。

またアサド大統領は抗議行動で命を落とした「殉教者の家族」に弔意を示し、「命を落とした殉教者は、家族、祖国、さらには私個人にとっても大きな損失である」と述べた。

そのうえで「血を流したすべての人々」、すなわち「流血をもたらした」すべての人々は処罰を受けるだろうと明言、「すべての人が損害を被った。処罰は…国家が行使する権利である」と強調した。

シリアに対する「陰謀」に関して、アサド大統領は「陰謀は細菌のように撲滅はできない…。それゆえ我々は自らの身体の抵抗力を強めねばならない」と述べた。

そして「独立前も独立後も、シリアは依然として陰謀を免れるような段階にはないと考えていない」との見方を示した。

事態収拾の方途をめぐって、アサド大統領は、危機から脱却するための「国民対話」を呼びかけ、この対話が新憲法制定につながると明言、「対話は次の時期のスローガンとなるだろう」と強調した。

さらに「シリアの未来の成功を我々が望むのなら、それはこの対話に基づくものとなる」と付言、「国民対話委員会は100人を招聘して近く会合を開くだろう」と述べた。

しかし「武器を持った者との間に政治解決はない」と述べ、武装勢力との対話を拒否する姿勢を示した。

そして「国民対話は限られたエリートによるものでもなければ、体制や親体制勢力と反体制勢力との対話も意味しない。政治に限定されるものではなく、祖国に関するすべての問題をすべての国民諸集団と対話することを意味する」と強調した。

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SANA(6月20日付)によると、アサド大統領の演説を支持するデモが各地で行われ、数万人の市民が参加した。

国内の暴力

イドリブ県では、SANA(6月20日付)によると、ジスル・シュグール市のアブヤド川河畔で、反体制武装集団に殺害された治安部隊隊員らが遺棄された第3の「集団墓地」をシリア当局が発見した。

諸外国の動き

EU外相会議がルクセンブルグで開かれ、対シリア制裁強化に向けた準備を「活発に」進めることを確認した。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、シリア大統領の演説に関して、「引き返すことのできない地点」まで来たと評し、国民に対して「恐るべき」弾圧を行った後で、大統領が名声を回復できないと断じた。

ジュペ外務大臣は、ルクセンブルグでのEU外務会談の後、「変革と改革プロセス開始の時間はまだ残されていると考える者もいる」としつつ、「だが私はそうだとは思っていない。彼(アサド大統領)は引き返すことのできない地点に来てしまった」と述べた。

またジュペ外務大臣は「すべての状況を踏まえた場合、今日の発言(アサド大統領の演説)は状況を変えるものではない…。弾圧が1,000人以上の死者をもたらしている…。アサド大統領の暴力は恐るべきもので、受け入れることができず、何らかのリアクションが求められる」と述べた。

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ドイツのギド・ウェスターウェレ外務大臣は、アサド大統領の演説に関して「シリアからの報道は懸念に値する。我々には非人道的な状況が伝えられている」と述べた。

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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表は、アサド大統領の演説に関して、「アサド大統領は誠実さをもって真の包括的対話を始めねばならない…。シリア国民は、改革への希望に包まれている。しかし第一印象は今日の演説が失望に値するものだったと言わざるを得ない」と述べた。

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ロシアのドミトリー・メドヴェージェフ大統領はアサド大統領の演説に関して、「シリアはきわめて困難な選択肢に直面している。私個人は、アサド大統領に遺憾の意を感じている。アサド大統領は自分がきわめて困難な立場にあると考えており、私が思うに、彼は国の政治の改編に取り組み、改革をしたいと考えているはずである」と述べた。

そのうえで、国連安保理でのシリア非難決議の採択を拒否するとの立場を改めて示し、シリアの反体制勢力に対しては、危機解決のため当局との対話に入るよう呼びかけた。

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イスラエルのエフード・バラク国防大臣は『フィガロ』(6月20日付)に対し、「アサドが倒れれば、イランとヒズブッラーにとって厳しい打撃を与え、「シーア派の弧」を弱体化させるだろう」と述べた。

バラク国防大臣はまた、アサド大統領が正統性を失ったと主張するとともに、「トルコがアサド支援を止めたことはとても重要だ」と付言した。

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トルコのギュル・トルコ大統領は記者団に対し、アサド大統領が演説で、複数政党制への移行など、改革についてより具体的な発言をすることを期待していたと述べ、失望感を露わにした。

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AFP(6月20日付)は、シリア当局が各国外交官らによるイドリブ県ジスル・シュグール市の視察訪問を手配し、ロバート・フォード米大使らが参加したと報じた。

AFP, June 20, 2011、Akhbar al-Sharq, June 20, 2011、al-Hayat, June 21, 2011、Kull-na Shuraka’, June 20, 2011、Naharnet, June 20, 2011、Reuters,
June 20, 2011、SANA, June 20, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

国外で活動する反体制活動家らが「国民評議会」の設置を宣言、サファル内閣の汚職撲滅特別委員会が汚職撲滅のための35の施策を発表(2011年6月19日)

反体制勢力の動き

『ハヤート』(6月20日付)によると、国外で活動する反体制活動家が中心となって「シリア革命自由青年の名において」と題した共同声明を発表し、「国民評議会」の宣言を発表した。

声明発表の記者会見は、イドリブ県の対トルコ国境に位置するヒルバト・ジャウズ村で開かれた。

声明において、活動家らは「政権が丸腰の国民に対して行った虐殺、平和的デモに対する弾圧を行い…、アラブ世界、国際社会の沈黙が続くなか…、我々は「シリア革命」を指導するため、内外のすべての愛国的な集団、個人、勢力、政党からなる国民会議を設置することを宣言する…。この声明は国内外のすべての自由を求める人々に開かれた扉のようなものである」と述べた。

共同声明署名者の代表を務めるジャミール・スアイブ氏によると、この「国民会議」がアブドゥッラー・トゥラード氏、マアムーン・ヒムスィー、シャイフ・ハーリド・ハラフ氏、ハイサム・マーリフ氏、スハイル・アタースィー氏、アーリフ・ダリーラ氏など著名な反体制活動家からなっているという。

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このうちマーリフ氏、アタースィー氏、ダリーラ氏はシリア国内にいるが、それ以外の活動家は国外で活動している。

スアイブ氏はAFP(6月19日付)に対して、「この会議の目的は革命を支援するためすべての反体制勢力を糾合」し、国際機関にその声を伝えることにあると強調した。

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シリア人権監視団によると、2011年3月半ば以降の抗議デモと弾圧による死者数は、1,600人以上にのぼる。

うち民間人は民間人1,309人、治安要員は341人。

シリア政府の動き

al-Hayat, June 20, 2011
al-Hayat, June 20, 2011

SANA(6月19日付)は、アーディル・サファル内閣の汚職撲滅特別委員会が改革実施に向けた決定(2011年5月5日決定第6080号)を作成し、汚職撲滅のための35の施策を提言したと発表した。

35の施策は、包括的改革の加速、透明性の確保、行政制度、経済制度、税制、報道体制、司法制度などの改革、汚職撲滅に向けた具体仕組み(11の仕組み)、中央検査管理委員会に新たな機関としての汚職撲滅委員会設置などからなる。

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シリア・アラブ・テレビ(6月19日付)は、イドリブ県ジスル・シュグール市で破壊活動を行ったとする武装集団メンバーの証言映像を放映した。

国内の暴力

イドリブ県では、複数の目撃者によると、軍がビダーマー町にいたる街道街道に検問所を設置し、抗議行動に参加した住民の摘発を行う一方、同村の住民はほぼ全員が避難した。

シリア人権国民機構のアンマール・カルビー代表はロイター通信(6月19日付)に対し、シリア人避難民数千人が街道に検問所が設置されているために、ビダーマー町に戻ることもできなければ、トルコ側に逃れることもできず、国内で「足止め」を食らっていると述べた。

カルビー代表はまた、避難民への食糧・医療支援を行おうとする活動家に対しても、軍・治安部隊が攻撃を加えていると非難した。

諸外国の動き

国際赤十字委員会のヤコブ・ケーレンバーガー会長は、シリアの人権状況について協議するため、2日間の予定でダマスカスを訪問した。

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『ハヤート』(6月20日付)は、トルコ当局がインターネットで声明を出し、「シリア側国境地域で待機するシリア人避難民に緊急食糧物資を提供するための人道支援を開始した」と発表したと伝えた。

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フランスのミシェル・アリヨ=マリー前外務大臣はフランスの「カナル・プリュス」との対談で、国際社会がシリアの体制に対してさらなる「行動力と決意」を示さねばならないとの見解を述べた。

前外務大臣は、シリア情勢に関する質問に応え「軍事的に介入すべきかどうかは分からないが、間違いなくさらなる行動力を示すべきだ…。国際社会は無関心であるわけにはいかず、これが悪いと言うべきである…。人々が自分たちの考えを述べることで殺害されている状況においては」と述べた。

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パリでは、シリア人とシリア系フランス人など約100人が、シリアでの反体制派に対する弾圧停止と、国際社会の「無関心の解消」を求めてデモを行った。

主催者である「シリア民主主義のための3月15日連合」代表のアブドゥッラウーフ・ダルウィーシュ氏はAFP(6月19日付)に対して「アサド政権は都市を攻撃するために装甲車やヘリコプターを使用し、住民に対して狙撃兵を動員している」と非難、「5日前から、シリアからトルコへの越境はほとんど不可能になっている。あらゆる場所に検問が設置されている。住民がいなくなった村もあるが、人が避難できる場所などない。国際社会は行動するべきだ」と訴えた。

AFP, June 20, 2011、Akhbar al-Sharq, June 20, 2011、al-Hayat, June 21, 2011、Kull-na Shuraka’, June 20, 2011、Naharnet, June 19, 2011、Reuters,
June 20, 2011、SANA, June 20, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ県で治安作戦が継続するなか、同県ジスル・シュグール市では国民統合を支持し諸外国の陰謀の拒否を訴えるデモ行進が行われる(2011年6月18日)

反体制勢力の動き

フェイスブックのグループ「シリア革命2011」は、ダマスカス郊外県でのゼネストを呼びかけた。

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シリア政府の動き

SANA(6月17日付)は、17日の反体制デモで、市民人と警官合わせて9人が死亡し、70人以上が負傷したと伝えた。

同報道によると、犠牲者のほとんどは、金曜礼拝後の市民の「集まり」に乗じて武装集団が行った公共施設への破壊行為によるものだという。

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SANA(6月18日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市で、国民統合支持とシリア国民に対する諸外国の陰謀拒否を訴えるデモ行進が行われ、多数の住民が参加した。

またアレッポ市のアレッポ城周辺でも同様のデモ集会が行われ、住民数万人が参加した。

SANA, June 18, 2011
SANA, June 18, 2011

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SANA(6月18日付)によると、ヒムス市で治安維持活動中に武装テロ集団によって殺害された治安部隊隊員の葬儀がヒムス軍事病院で行われた。

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、シリア軍が早朝、ジスル・シュグール市に隣接するビダーマー町に突入し、激しい銃声が聞こえた。

同代表によると、ビダーマー町入口には、複数の戦車、軍用車輌、兵員輸送車、軍用バス、ジープが展開しているという。

またサーリハ・ハンムーダ弁護士は、戦車9輌、兵員輸送車10輌、ジープ20輌、軍用バス10輌がビダーマー町に入るのを目撃したと述べるとともに、「シャッビーハ」が家々に発砲していると付言した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、17日のデモでの犠牲者1人の葬儀がダイル・ザウル市で行われ、約20,000人が参列した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、17日のデモでの犠牲者1人の葬儀がドゥーマー市で行われ、参列者がその後、カビール・モスク前で抗議の座り込みを行った。

諸外国の動き

アナトリア通信(6月18日付)は、ハタイ県にトルコ赤新月社が設置したキャンプにシリア人避難民421人が新たに収容され、シリアからトルコ領内に避難したシリア人の数が10,100人を越えたと報じた。

また『ハヤート』(6月19日付)は、トルコ政府が初めて、外国人(エジプト人)記者団にハタイ県のシリア人避難民キャンプ(ボインヨーウン)への訪問を許可したと報じた。

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英国外務省は声明を出し、在留英国人に対して、渡航の自粛とシリア国外への退去を求めた。

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エジプトの有識者や政治勢力は共同声明を出し、「民主主義を求める現下のシリア国民の運動」との連帯を宣言した。

声明のなかで彼らは「我々エジプト人は、シリア国民を全面支持し、治安部隊の銃弾により平和的デモ会場で連日命を落としている自由の殉教者の魂に敬意を表することを宣言する」と述べた。

同声明はまた「シリア治安部隊の国民への抑圧と連日続く殺戮のなか、この野蛮な抑圧を逃れ数千人の市民が国外へ避難しており、それは武装集団や外国の陰謀など、(シリア)公式筋が行う主張と矛盾している」と述べた。

AFP, June 18, 2011、Akhbar al-Sharq, June 18, 2011、al-Hayat, June 19, 2011、Kull-na Shuraka’, June 18, 2011、Naharnet, June 18, 2011、Reuters,
June 18, 2011、SANA, June 18, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ヒムス県、ハマー県、ダイル・ザウル県を含む各都市で大規模反体制デモが発生、レバノン・トリポリ市では住民どうしが衝突し死傷者が発生(2011年6月17日)

シリア政府の動き

SANA(6月17日付)は、サーリフ・アリーの子孫らが声明を出し、「サーリフ・アリーの金曜日」と銘打って反体制活動家が抗議デモを呼びかけたことに関して、「祖国の象徴を傷づける」と非難した。

SANA, June 17, 2011
SANA, June 17, 2011

またタルトゥース県シャイフ・バドル市一帯の住民も、「サーリフ・アリーの金曜日」と銘打って反体制活動家が抗議デモを呼びかけたことに抗議、ムライキブ村のサーリフ・アリー廟広場でデモを行った。

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SANA(6月17日付)によると、ハマー県サラミーヤ市で、国民統合支持を目指すデモが行われ、アサド政権支持者多数が参加した。

国内の暴力

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複数の活動家・目撃者によると、ヒムス県、ハマー県、ダイル・ザウル県、バーニヤース市(タルトゥース県)、ダルアー県、ドゥーマー市(ダマスカス郊外県)、カーミシュリー市(ハサカ県)、タルビーサ市(ヒムス県)、ラスタン市(ヒムス県)、ラタキア県などで大規模なデモが発生した。

人権活動家によると、「ハマー、ヒムスは一丸となって街頭行動を行い、ヒムスでは約10万人、ハマーでは数万人が街に出た」という。

反体制活動家はインターネットを通じて「殉教者サーリフ・アリーの金曜日」と銘打ったデモを呼びかけていた。

これに関して、地元調整委員会は、治安部隊の弾圧により少なくとも16人を殺害したと発表した。

また同委員会によると、犠牲者の1人はアレッポ市でのデモ参加者で、アレッポ市で犠牲者が出たのは2011年3月以降これが初めてだという。

なお地域別の犠牲者の内訳は、ヒムス県が9人、ダマスカス郊外県が3人、ダイル・ザウル県が2人、そしてアレッポ県が1人など。

一方、別の活動家らによると、ダルアー県ダーイル町でも2人が殺害されたという。

また『ハヤート』(6月18日付)によると、「数千人が負傷した」。

しかし、SANA(6月17日付)は、各地での抗議デモで、武装集団が警官、治安部隊隊員、住民多数を襲撃し、民間人と警官合わせて9人が死亡、70人以上が負傷したと報じた。

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アレッポ県では、シリア人権国民機構のアンマール・カルビー代表によると、アレッポ市サイフ・ダウラ地区で金曜礼拝後に発生した反体制デモの参加者数百人に向けて、治安部隊が発砲し、少年1人が死亡した。

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タルトゥース県では、シリア人権監視団によると、治安部隊はバーニヤース市で発生した反体制デモを強制排除するために発砲し、複数のデモ参加者が負傷した。

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イドリブ県では、『ハヤート』(6月18日付)によると、軍がマアッラト・ヌウマーン市を完全制圧し、同市とアレッポを結ぶ街道を閉鎖した。

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ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(6月18日付)によると、アルバイン市でのデモでは、国連でのロシアの対応に抗議するかたちで、ロシア国旗が焼かれた。

al-Hayat, June 18, 2011
al-Hayat, June 18, 2011

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(6月17日付)によると、カーミシュリー市、アームーダー市、ラアス・アイン市で反体制デモが行われ、カーミシュリー市では4,000人、アームーダー市では3,000人、ラアス・アイン市では1,000人が参加した。

Kull-na Shuraka', June 17, 2011
Kull-na Shuraka’, June 17, 2011

レバノンの動き

北部県トリポリ市のバーブ・タッバーナ地区・ジャバル・ムフスィン地区で、住民どうしが衝突し、5人(うち兵士1人)が死亡、10人あまり(うち兵士2人)が負傷した。

衝突に先立って、トリポリ市クッバ地区、ヌール広場(アブドゥルハミード・カラーミー広場)では、「ムスリム学生連盟」とトリポリ市内の「レバノン大学在学シリア人学生」が呼びかけて金曜礼拝後に「シリア国民との団結」を訴えるデモが行われていた。

このデモにバーブ・タッバーナ地区でデモを行っていた参加者が合流、アサド政権打倒を呼びかけるシュプレヒコールを連呼する一方、ウマル・カラーミー元首相とその息子のファイサル・カラーミー青年スポーツ大臣の写真やプラカードを破るなど次第に過激化していった。

その後、バーブ・タッバーナ地区のデモ参加者は、同地区とジャバル・ムフスィン地区を隔てるシリア街道に移動し、抗議行動を継続、これに対してジャバル・ムフスィン地区の青年たちがアサド大統領の写真を掲げて対抗すると、両者の緊張が高まり、罵り合い、投石へと発展、その後突然、シリア通りのデモ参加者のただなかに手榴弾が投げ込まれ、交戦状態に入ったという。

al-Hayat, June 18, 2011
al-Hayat, June 18, 2011

複数の治安筋によると、この衝突でアラブ民主党の治安部門責任者のアリー・ファーリス氏が負傷、またバーブ・タッバーナ地区のハドル・ファーリス氏も重傷を負い、アリー・ファーリス氏は搬送先の病院で死亡した。

また休暇中だったレバノン国軍のムハンマド・アブドゥルハミード兵卒も衝突が発生した地区にある自宅近くで死亡した。

さらに一般市民のムンズィル・リファーイー氏も銃撃戦に巻き込まれ頭を打たれて死亡した。

このほか、一般市民のムハンマド・シャクラー氏も死亡したという。

その後軍が両地区に展開し、事態を収拾した。

諸外国の動き

フランスのニコラ・サルコジ大統領はベルリンでドイツのアンゲラ・メルケル首相と会談した。

会談後の記者会見で、サルコジ大統領は「フランスは、ドイツとともに、沈黙が許されず、受け入れられない弾圧行為を国民に対して行うシリア政府への制裁を強化することを呼びかけるだろう」と述べた。

またメルケル首相は、両国が安保理での対シリア避難決議支持をロシアに求めるために圧力をかける、と述べた。

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フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は、EUによる対シリア制裁対象の内容に関して「企業、銀行」などを対象にすることも検討されていると述べるとともに、既に制裁対象となっている政権高官に加えて、新たに複数の個人に制裁を科す可能性も示唆した。

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人権活動家によると、トルコに逃れたシリア人避難民が、トルコ当局による隔離政策に抗議してハンストを開始した。

同活動家は「ヤイラダーイ(ハタイ県)・キャンプで避難民たちは金曜礼拝後からハンストを始めた」と述べた。

また「彼らは(親戚・知人などへの)訪問を禁じ、アサド政権に反対するデモを禁じ、外国に連絡できないようにしており、これに抗議している」と付言、さらにトルコの警備兵が避難民に暴行を加えていると非難した。

AFP, June 17, 2011、Akhbar al-Sharq, June 17, 2011、al-Hayat, June 18, 2011、Kull-na Shuraka’, June 17, 2011、Naharnet, June 17, 2011、Reuters, June 17, 2011、SANA, June 17, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

タルトゥース市で国民統合と治安・安定回復を支持するデモが行われるなか、ラーミー・マフルーフ氏が「慈善開発事業に専念するための…一連の措置」を実施する意思を表明(2011年6月16日)

反体制勢力の動き

反体制活動家は、フェイスブックの「シリア革命2011」などで、17日を「シャイフ・サーリフ・アリーの金曜日」と名付け、反体制デモを呼びかけた。

サーリフ・アリー、「第1次シリア革命」(反仏独立闘争)の指導者の名前。

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アナトリア通信(6月16日付)は、シリア軍の中佐1人を含む離反兵5人がトルコに逃れてきた、と報じた。

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カーミシュリー・アラブ革命自由人運動を名乗る集団が声明を出し、反体制デモへの支持を表明した。

また声明では、2004年3月の「カーミシュリーの春」の首謀者が、アラブ系のタイイ部族のムハンマド・ファーリス氏、アブドゥルマスィーフ・カルヤーキス・アブー・ディーマー氏だったとしたうえで、クルド系住民に対して正式に謝罪すると付言、アラブ系部族とクルド人の連帯を求めた。

シリア政府の動き

アサド大統領のいとこでビジネスマンのラーミー・マフルーフ氏は記者団を前に「慈善開発事業に専念するための…一連の措置」を実施すると発表した。

マフルーフ氏は「私はシリアや国民に負担をかけたくないし、大統領にも今後は負担をかけない」と述べ、「個人的な利益をもたらすようないかなる新規事業にも参入せず、慈善・開発・人道事業に専念する」と明言した。

マフルーフ氏はまた「陰謀者たちは潜入し、虚偽の情報を発信することで大統領閣下を貶めようとしているが、これらの情報には根拠がない。彼らがこれらの情報を利用する唯一の目的は、この国(シリア)とその指導部を貶め、各地に混乱をもたらすことにある」と強調した。

そのうえで、「我々が持っているシリアテル携帯会社の株式の一部を低所得者層のために可能な限り広範に株式公開し、販売価格の一部の融資を充て、彼らに株式を取得する機会を与える」と表明した。

さらに「ラーミー・マフルーフは、シリアテル株式利益の約40%をダルアー(南部)からカーミシュリー(東部)にいたる地域で(支援を)必要としている階層を対象とした福祉、人道、開発事業に充てる」と付言、「ブスターン慈善協会」の活動を活動するなどして慈善事業を支援していくと述べた。

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SANA, June 16, 2011
SANA, June 16, 2011

SANA(6月16日付)のよると、タルトゥース市コルニーシュ地区で、国民統合と治安・安定回復を支持するデモが実施され、周辺地域の住民数十万人が参加した。

国内の暴力

イドリブ県では、『ハヤート』(6月17日付)によると、軍の戦車が反体制抗議行動沈静化をめざしてハーン・シャイフーン市に突入した。

また反体制活動家によると、治安部隊がザーウィヤ山を包囲し、マアッラト・ヌウマーン市に突入した。

また人権活動家のムスタファー・ウースー氏がAFP(6月16日付)に述べたところによると、治安部隊はジスル・シュグール市、マアッラト・ヌウマーン市などで数百人を逮捕、また軍による発砲があったという。

シリア・トルコ国境の複数の消息筋によると、シリア軍がジスル・シュグール市近郊の村々(ジャーヌーディーヤ町など)を早朝攻撃、これを受け数十人が対トルコ国境に向かって避難した。

なお、シリア人権監視団によると、イドリブ県住民は、トルコ領内だけでなく、アースィー川が流れるガーブ渓谷に向かってハマー県、ヒムス県にも避難しているという。

これに関して、SANA(6月16日付)は、軍がハーン・シャイフーン市、マアッラト・ヌウマーン市近郊に展開し、アレッポ市とハマー市を結ぶ国際幹線道路を閉鎖しようとした武装テロ集団を排除、同地の治安と安定を回復したと報じた。

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AFP(6月15日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市郊外の対トルコ国境地帯の村々をシリア軍が攻撃した。

避難民数十人がトルコ領内に入ろうとするのを阻止するための攻撃だったという。

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ロイター通信(6月16日付)は、西側外交筋の話として、「当局はダマスカス郊外から治安部隊のほとんどを撤退させ」、抗議行動が続く北部と南部に(再)展開していると伝えた。

諸外国の動き

トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、トルコがシリア・トルコ国境地域に避難しているシリア人数千人への人道支援を決定したと発表するとともに、アサド政権に改めて「緊急改革のための行動を開始する」よう呼びかけた。

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米国務省はバラク・オバマ政権が「シリア内外で政策遂行をめざす人々とのさらなる接触を行う」と発表した。

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国連の潘基文事務総長はアサド大統領と電話会談し、「国民殺戮の停止」と対話開始を求めるとともに、シリア情勢について「協調的に」話し合うとの姿勢を示した

AFP, June 16, 2011、Akhbar al-Sharq, June 16, 2011、al-Hayat, June 17, 2011、Kull-na Shuraka’, June 16, 2011、June 17, 2011、Naharnet, June 16, 2011、Reuters, June 16, 2011、SANA, June 16, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス市で数万人の市民が巨大なシリア国旗を掲げ、アサド大統領とシリアを支持するシュプレヒコールを連呼(2011年6月15日)

シリア政府の動き

アサド大統領は、オマーンのユースフ・ビン・アラウィー外務大臣と会談し、シリア情勢などについて協議した。

大統領府声明によると、会談でアサド大統領は、「武装集団」によるシリア国内の殺戮行為や治安への悪影響を説明する一方、自らが主導する一連の改革によって「シリア国民の危機脱却能力への信頼はより深まっている」と述べた。

ビン・アラウィー外務大臣は、アサド大統領に「イエメン、リビアなど地域情勢の近況に関するカーブース・ビン・サイード国王の書簡」を手渡すとともに、アサド政権による改革への全面支援を表明するとともに、「シリアの安定を標的とし、国民を脅かす試みに反対し、シリアを支持する」と述べた。

会談にはワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣も同席した。

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ハサン・トゥルクマーニー副大統領補は、アブドゥルファッターフ・アムーラ外務在外居住者省次官とともにトルコのアンカラを訪問し、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相と会談した。

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ダマスカス県では、数万人の市民が、マッザ・オートストラード地区からダマスカス中心のウマウィーイーン広場に向かって巨大なシリア国旗を広げた。

SANA(6月15日付)によると、この巨大な旗は、ダマスカス以外の都市でも広げられたのち、最終的にはカシオン山に飾られるという。

旗の全長は2,300メートル、幅は18メートルで、26人の男女からなる若者たちがフェイスブック上に立ち上げた「我々と最大のシリア国旗を掲げよう、手に手をとって、明日は我々のもの」と名づけられたキャンペーンでの提案を受けるかたちで作成された。

キャンペーンを組織した女性の一人マイス・アリーさんは『ハヤート』(6月15日付)に対して、同キャンペーンの目的が「シリアの安定を見出そうとするすべての者たちに対抗し、私たちが外国の介入を断固拒否するという姿勢を明確に表明することにある…。偉大な祖国のための小さな発想です」と述べた。

生地はアレッポ県からダマスカス郊外県ヤブルード市に運ばれ、そこで旗として縫い合わされたという。

またアリーさんは、あらゆるシリア人が「一体となって、私たちの国に対するすべての陰謀に立ち向かう意思を確認するために参加した」と述べた。

巨大国旗掲揚の祝典は、シリア国家斉唱をもって始まり、シリア国旗の色(赤、白、黒、緑)の風船がシリア首都の空に放たれ、参加者はアサド大統領の写真、シリア国旗、シリアの地図、政治的なスローガンがプリントされたシャツを身につけ、小さな国旗を振り、顔に国旗の柄を描いて行進した。

シリア・アラブ・テレビ(6月15日付)は、会場とその上空に複数のカメラを設置し、祝典を報じた。

また地元ラジオ局も生放送で、参加者や他の都市からの来賓へのインタビューを放送した。

インタビューに答えた一人は、アラビア語とロシア語でモスクワに向けて、ダマスカスを支持するロシアの立場への謝辞を述べ、マッザ・オートストラードの通り沿いに集まる人々の喝采を浴びる一方、参加者は、「アッラー、シリア、バッシャールのみ」、「国民はバッシャール・アサドを望む」、「アッラーが軍を祝福せんことを、アッラーが軍を祝福せんことを」、(暴徒の鎮圧は)「終わった、終わった」など、アサド大統領とシリアを支持するシュプレヒコールを連呼した。

SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011
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SANA, June 15, 2011
SANA, June 15, 2011

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SANA(6月15日付)と、軍によるジスル・シュグール市完全制圧を受け、市外に避難していた住民が帰宅している、と報じた。

国内の暴力

SANA(6月15日付)は、イドリブ県ジスル・シュグール市郊外に、「反体制テロ集団」によって殺害さあれた軍・治安部隊兵士の遺体が遺棄された新たな集団墓地が発見されたと報じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は「シリアをめぐる国連安保理決議の採択をロシアが拒否する立場を決めた」と述べた。

ラブロフ外務大臣は、カザフスタンの首都アスタナで記者団に対して「シリア情勢は一部の人々が考えているように簡単には収まらない。シリアでは多数の武装集団によって複数の町や居住地区が支配され、シリア軍は現在これらの町から武装集団を掃討するための任務についている」と述べた。

そのうえで「シリアで多数の武装破壊分子がおり、シリアの治安武装部隊が平和的デモ参加者と対峙しているというような事態をイメージすべきではない」とし、「こうした武装反乱を黙認する国など世界中どこにもない」と指摘した。

ラブロフ外務大臣はモスクワが「アサド大統領が宣言した改革が実行される機会を与えるべく、あらゆる破壊行為の停止が不可欠だ」との立場を確認し、「反体制勢力や、政府部隊・施設への武力攻撃を行う人々は対話の呼びかけに応えるか、発表された改革についての議論を求めるあらゆる提案を拒否し続けるしかない」と指摘した。

また「武装集団が行う暴力・破壊行為」を非難し、「破壊分子は自らの行動の責任を負うことを悟るべきだ」と付言した。

SANA(6月15日付)が伝えた。

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アフバール・シャルク(6月15日付)は、トルコ赤新月社が、ハタイ県のヤイラダーウ村、アルトゥノズ村で、シリア人避難民のための新たなキャンプの建設を開始したと報じた。

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AFP(6月15日付)は、ヨルダン高官の話として、4月以降閉鎖されていたラムサー国境通行所(ダルアー県)を、シリア当局が部分再開したと報じた。

AFP, June 15, 2011、Akhbar al-Sharq, June 15, 2011、al-Hayat, June 16, 2011、Kull-na Shuraka’, June 15, 2011、Reuters, June 15, 2011、SANA,
June 15, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア北西部の治安対策地域が拡大するなか、アラブ連盟のシリア常駐代表が同連盟事務局長の発言に対して「懸念と驚き」を表明(2011年6月14日)

反体制勢力の動き

イドリブ県ジスル・シュグール市での作戦中(6月9日)に離反したフサイン・ハルムーシュ大佐なる人物は、逃走先のトルコ・ハタイ県ギュヴェッジ村近郊で、AFP(6月14日付)に対し「私は民間人を護ろうとした」と証言した。

ハルムーシュ大佐は「私とともにいたのは数名の脱走兵だ、軽火器と地雷を所有していただけだった…。シリア軍の進軍を遅らせるために罠を仕掛け、民間人がジスル・シュグール市を去り、逃げられるようにした」という。

また離反の理由については「オリーブの小枝しか持っていない無実の民間人を軍が攻撃する命令」を受けたためと説明、「彼ら(軍上層部)は、デモが続いた場合、発砲するよう命令してきた…。私は命令に従うことができなかったが、一部の兵士がやったことを目にした…。戦車が都市に発砲するのを目にした…。シリア軍は民間人を殺し、人々を家から追放した」と述べた。

そのうえで「多くの将兵が脱走したいと考えているが、家族とともに殺されることを恐れ、脱走できないでいる」と付言した。

一方、ハルムーシュ大佐は、「ダマスカス(郊外県)のサクバー市で、人々がデモを行っているとき、建物の上層階にイラン人とヒズブッラーの狙撃手がいて、群衆に発砲したのを今でもよく覚えている」と証言した。

しかし、ハルムーシュ大佐はどのように上層階にいる狙撃手がイラン人、レバノン人であると識別できたのかについては触れなかった。

シリア政府の動き

アラブ連盟のシリア常駐代表を務めるユースフ・アフマド大使は、シリア情勢に関するアムル・ムーサー事務局長の発言に対して「懸念と驚き」を表明した。

SANA(6月14日付)によると、アフマド大使はムーサー事務局長の発言が「バランスを欠いており、シリアが外国の標的に曝されているという真実を無視している。外国勢力はシリア国内の問題に乗じて、治安と安定を揺るがし、シリアの立場を貶め、国民的・民族主義的な自決を奪おうとしてきた」と述べた。

また「ムーサー氏のエジプト大統領選挙をめぐる野望…につき従い、シリアが曝されている現実を前に目を閉じようとしている…。国連決議のもとNATO軍の攻撃に曝されているリビアの血がいまだ乾かずいるこの時期に、である。この国連決議は残念ながら、アラブの要請のもとに採択され、そこではアムル・ムーサー(事務局長)がリビア上空に飛行禁止区域を設定するのに大いに尽力した。そしてこれがきっかけとなり、数千人が犠牲となっている大規模な軍事行動が行われ、リビアは破壊され、領土の統一性が標的にされている」と続けた。

国内の暴力

『ハヤート』(6月15日付)によると、反体制活動家らは未明に、イドリブ県ジスル・シュグール市などでの軍の掃討作戦で犠牲となった市民らとの連帯を訴えるための「ろうそくの行進」を呼びかけた。

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シリア人権監視団によると、軍・治安部隊が治安対策地域を拡大し、イドリブ県ジスル・シュグール市一帯からマアッラト・ヌウマーン市、さらにはアレッポ市、ハマー市に向かった。

ロイター通信(6月14日付)は、マアッラト・ヌウマーン市の住民が、反体制デモの参加の有無にかかわらず、当局の指名手配者リストに記載されていることを恐れていると伝えた。

なおイドリブ県では、活動家によると、マアッラト・ヌウマーン市近郊の農村で、軍・治安部隊が作戦を継続、アリーハー市では、市民6人が殺害されたという。

またシリア人権監視団は、住民の話として、男性1人とその妻、そして子供2人の4人が未明にジスル・シュグール市に設置された軍の監視地点から100メートル離れた場所で銃殺された、と発表した。

一方、SANA(6月14日付)によると、軍がジスル・シュグール市および同市一帯の「武装テロ集団」を追撃し、武器弾薬、軍服、旅券、トルコの携帯電話カードなどを積んだ自動車を押収した。

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ダイル・ザウル県では、AFP(6月14日付)によると、軍が複数の地域に展開し、対イラク国境のブーカマール市周辺には、戦車10輌、兵員輸送車15~20輌が配備された。

諸外国の動き

AFP(6月14日付)によると、国連人権高等弁務官事務所の専門家多数がシリアの「避難に関する調査」を行うべく、トルコのハタイ県に入った。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、アサド大統領と電話会談し、「暴力の停止と混乱の収束」を求めるとともに、「早急に改革の日程を確定し、ただちに実施するべき」だと強調した。

アナトリア通信(6月14日付)が伝えた。

しかし、シリア公式筋は会談について一切の報道を行っておらず、会談があったことを認めていない。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は声明で「シリアの野蛮な当局の弾圧が行われている…。今日、イランは平和的なデモ参加者に対するアサド政権の野蛮な攻撃や、シリアの都市への軍事攻撃を支援している」と述べた。

クリントン国務長官はまた「シリアの治安部隊によって拷問を受け、傷つけられた13歳のシリア人少年(ハムザ・ハティーブくん)の映像に世界は驚愕した」と述べ、これらの映像が「人々が見るなかで2年前に街頭で殺害されたイラン人少女(ナダー・アーガー・スルターンさん)を思い出させる」と指摘した。

さらに「一方でイランの弾圧によるテロや悲劇を思い出し、他方でアサドと彼の体制への圧力を強めるべく国際社会とともに行動するなか、我々は改めて、自由を求め、世界的な人権を行使しようとするシリアやイランの国民を含む各国国民を支持する」と続けた。

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フランスのアラン・ジュペ外相は、採択に必要な多数票獲得が確実になるまで安保理でシリア非難決議の採決を求めないだろうと述べた。

AFP, June 14, 2011、Akhbar al-Sharq, June 14, 2011、al-Hayat, June 15, 2011、Kull-na Shuraka’, June 15, 2011、Naharnet, June 14, 2011、Reuters,
June 14, 2011、SANA, June 14, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

英国とトルコが国連安保理でシリア非難決議の採択をめざすことで合意(2011年6月13日)

シリア政府の動き

暴力調査委員会(5月末にアサド大統領の指示を受け設置)は、ダルアー県でのデモ参加者への対応をめぐって、政治治安部ダルアー支部長のアーティフ・ナジーブ少将とファイサル・クルスーム前県知事に渡航制限を科した。

同委員会の委員長を務めるムハンマド・ディーブ・マクタリン判事は、ダルアー県で100人以上に聴取を行ったと発表し、同委員会支部が現在も活動を続けていると述べた。

またラタキア県の委員会支部は200件以上の事件を、タルトゥース県の支部はバーニヤース市での事件50件以上を、そして委員会本部も約60件の事件を調査していると付言した。

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SANA, June 13, 2011
SANA, June 13, 2011

シリア・アラブ・テレビ(6月13日付)やSANA(6月13日付)は、軍が完全制圧したイドリブ県ジスル・シュグール市で、武装集団によって殺害された軍・治安部隊兵士多数が遺棄されている「集団墓地」が発見されたと報じ、その映像、写真を公開した。

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また、シリア・アラブ・テレビは軍による治安回復を歓迎する市民のインタビュー映像を放映した。

国内の暴力

12日に軍が「完全制圧」したとされるイドリブ県ジスル・シュグール市および同市周辺の状況に関して、『ハヤート』(14日付)は、子供や女性を含む市民が殺害され、多数が逮捕されたとの複数の目撃者の証言を伝えた。

al-Hayat, June 14, 2011
al-Hayat, June 14, 2011

トルコ国境に逃れた避難民たちによると、シリア軍は12日、ジスル・シュグール市東部から掃討を開始し、18歳から40歳の男性数百人を逮捕したという。

またロイター通信(6月13日付)は、避難民からの情報として、軍の戦車が12日の掃討作戦で、ジスル・シュグール市内の二つのモスクを砲撃し、逃げようとした住民3人(男性1人、女性1人、子供1人)が死亡したと伝えた。

レバノンの動き

レバノン国軍のハサン・アイユーブ准将は、シリア・レバノン国境に違法な武装集団が展開しているとの情報を否定した。

『リワー』(6月13日付)が報じた。

諸外国の動き

国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長は、シリア人避難民10,000人以上がトルコ、レバノンへの避難を余儀なくされていると述べ、警鐘を鳴らした。

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アナトリア通信(6月13日付)は、イドリブ県ジスル・シュグール市一帯からトルコに逃れた避難民の数が6,817人に増えたと報じた。

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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、米国がシリアでの新たな暴力行使を「強く非難する」と発表、アサド政権に「政治的対話」を行い、シリア国民にその退陣の是非についての意見を表明させるよう求めた。

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al-Hayat, June 14, 2011
al-Hayat, June 14, 2011

スコットランド在住の米国人学生は、自らがシリア人反体制女性ブロガーでレズヴィアンのアミーナ・アブドゥッラー・アッラーフになりすましていたと発表した。

この「女性ブロガー」については、CNNなどが6月8日にダマスカスで治安当局によって誘拐されたと大々的に報じていた。

この学生は謝意を述べつつ、アミーナ・アブドゥッラー・アッラーフというシリア人女性が実在せず、自らがネット上でねつ造した架空の人物であることを認めた。

ねつ造を認めたのは、エジンバラ大学修士課程に在籍するトム・マクマスターさん(40歳、妻帯)。

マクマスターさんは今月7日(火曜日)、アミーナのいとこを名のる男性だと偽って、インターネット上に、彼女が外出中に3人の武装した男たちに誘拐されたと書き込んでいたという。

これを受け、反体制活動家らは、フェイスブック上に「アミーナ・アブドゥッラーを解放せよ」というグループを立ち上げ、約15,000人が賛同していた。

『ハヤート』(6月14日付)によると、ねつ造の事実を知った反体制活動家や賛同者は怒りを露わにしており、サーミー・ハマウィーを名のる男性は、自らが編集するgaymiddleeast.comで「恥を知れ、マクマスター…。お前がしたことは、多くの人々に迷惑をかけ、我々全員を危険にさらすことになった」と記したという。

またアミーナ釈放を求めるフェイスブック上のグループにコメントした一人は、「激しい怒りを感じる」と書き込んだ。

また別の一人は「シリア情勢は悪化しており、このような遊びの余地はない」と書き込んだ。

さらに別の一人は「シリアで起きている非常に重要な出来事に割くべき時間と努力を無駄にされた」と書き込んだ。

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アラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長は記者団に対し、シリア情勢に関して「民間人の犠牲者が増えるなか、すべてのアラブ諸国の懸念と怒り」を高めているとしたうえで「事態がこのまま放置されることは受け入れられない」と述べた。

UPI(6月13日付)が伝えた。

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英国のデヴィッド・キャメロン首相はトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相と電話会談し、国連安保理でシリア非難決議の採択をめざすことで合意した。

AFP, June 13, 2011、Akhbar al-Sharq, June 13, 2011、al-Hayat, June 14, 2011、Kull-na Shuraka’, June 13, 2011、al-Liwa’, June 13, 2011、Naharnet, June 13, 2011、Reuters, June 13, 2011、SANA, June
13, 2011、UPI, June 13, 2011などをもとに作成。

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シリア軍がジスル・シュグール市を「完全制圧」、同作戦を受け約10,000人の避難民がトルコ・シリア国境地帯に流入(2011年6月12日)

反体制勢力の動き

一方、シリア人権監視団は、2011年3月半ば以降の死者数が1,626人に達していると発表した。

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同監視団によると、このうち1,289人が民間人で、残りが軍、治安部隊隊員、警官だという。

またイドリブ県ジスル・シュグール市への軍の突入で、123人が死亡したと主張した。

シリア政府の動き

アナトリア通信(6月13日付)によると、ダマスカス県のラウダ地区にあるトルコ大使館前で、アサド政権支持者が、シリア国内の混乱に対するトルコ政府の姿勢に抗議してデモを行った。

一部が壁を乗り越えて大使館敷地内に入ろうとしたが、治安部隊がこれを阻止したという。

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SANA(6月12日付)によると、イドリブ県で11日に殺害された軍・治安部隊の兵士の葬儀が、ヒムス県、アレッポ県、イドリブ県の軍病院で行われた。

国内の暴力

イドリブ県では、SANA(6月12日付)によると、シリア軍がジスル・シュグール市を「完全制圧」した。

同通信社によると、軍は同市の「国立病院を武装組織から奪還し、橋や街道に武装組織が敷設した爆発物やダイナマイトを撤去したのち市内に進入した」としたうえで、市内およびその周辺で「武装集団と激しく交戦し、武装集団メンバー2人を殺害、多数を逮捕し、彼らの武器を押収された」という。

また軍は「周辺の山林で武装テロ集団残党を追跡している」という。

同通信社はさらに「武装集団によって殺害・遺棄されたジスル・シュグール市の治安機関要員の集団墓地が発見された…。集団墓地で回収された遺体から武装集団が残虐行為を行ったことが分かる」ことを明らかにするとともに、「武装テロ集団メンバーの一人は、ジスル・シュグール市で虐殺を行い、警察・治安要員を集団墓地に遺棄したことを証言した」と付言、「集団墓地から10体の遺体が回収されたが、そのほとんどが頭や四肢を刃物で切り落とされ、身体中に弾痕が残っていた」と指摘した。

これに対し、AFP(6月12日付)は、複数の活動家・住民の情報として、軍が「今朝7時前に、戦車と重火器によってジスル・シュグール市への集中砲火を開始し、その後東部および南部からも攻撃を行った」と伝えた。

これらの活動家・住民によると、「爆発音が聞こえ、機関銃を搭載したヘリコプターが同市の上空を旋回」、戦車約200輌が同市一帯に展開していたという。

またロイター通信(6月12日付)などは、ジスル・シュグール市掃討時に、複数の兵士が住民への発砲を拒否して離反し、住民側に立って戦ったと報じた。

これに関して、シリア調整委員会は、士官1人と兵士15人が治安部隊を離反し、住民側についたと発表したが、その真偽は確認できていない。

レバノンの動き

ナハールネット(6月12日付)によると、ベイルート県内のクウェート大使館前でアサド政権を支持するデモが行われ、約30人参加した。

諸外国の動き

『ハヤート』(6月13日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市一帯でのシリア軍の治安維持掃討作戦を受け、トルコ・シリア国境地帯に約10,000人の避難民が流入した。

これに関連して、アナトリア通信(6月12日付)は、トルコ領内に避難したシリア人の数が5,051人に達していると伝えた。

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国連安保理で、シリア非難決議案の審議が予定されていたが、西側外交筋によると、審議の必要がないとする露中がこれをボイコットした。

ロイター通信(6月12日付)が伝えた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、スカイ・ニュース(6月12日付)に対して、安保理がシリア問題をめぐって非難決議を採択することで「明確な姿勢」を示すべきだと述べた。

ヘイグ外務大臣はまた、非難決議がアサド政権に「合法的な(国民の)要求に応え、言論犯を釈放し、インターネットを解禁し、人権高等弁務官に協力する」よう求めるものでなければならないと付言した。

AFP, June 12, 2011、Akhbar al-Sharq, June 12, 2011、al-Hayat, June 13, 2011、Kull-na Shuraka’, June 12, 2011、Naharnet, June 12, 2011、Reuters, June 12, 2011、SANA, June 12, 2011などをもとに作成。

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イドリブ県で衝突が発生、米ホワイトハウスはシリア情勢に関して、「蛮行と暴力の即時停止」を呼びかける(2011年6月11日)

反体制勢力の動き

AFP(6月11日付)は、イドリブ県の部隊を離反しトルコへと脱走した兵士4人が「我々は武装集団がいると言われていたが…、彼らが普通の民間人だということが分かった。彼ら(士官)は彼らに発砲を命じた…。家々に突入し、老人であれ、子供であれ、そこにいた全員に発砲した…。夫や子供の前で女性を強姦する命令さえ出ていた」と証言していると報じた。

シリア政府の動き

シリアのワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、国連の潘基文事務総長に充てた書簡で、安保理で審議中のシリア非難決議案が「過激派やテロリスト」の活動を勢いづかせるだけだと警告し、「シリアの内政問題へのあからさまな干渉で、シリアの安定を揺るがし、現時点および将来における決定や国民の運命を支配しようとするもの」と反論した。

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SANA(6月11日付)によると、ダルアー県で武装集団に殺害された治安部隊隊員2人の葬儀がラタキア県で行われた。

国内の暴力

イドリブ県では、SANA(6月11日付)によると、武装集団がマアッラト・ヌウマーン市内の裁判所、燃料貯蔵施設などを襲撃、これに治安部隊が応戦し、複数名を逮捕した。

この戦闘で、警官1人が死亡、1人が負傷した。

諸外国の動き

『ハヤート』(6月12日付)は、金曜日(10日)に開始されたイドリブ県ジスル・シュグール市などに対する軍の掃討作戦を受け、シリア避難民がトルコに脱出を、その数は4,600人を越えたと伝えた。

トルコ当局はシリア国境近くのキャンプに彼らを収容する一方、数千人と新たに面談し、避難民としての受け入れを進めているという。

キャンプはトルコ軍警察によって監視され、負傷者はハタイ県の病院に搬送されているという。

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トルコ外務省のハーリド・シャフィーク次官補は、トルコがさらなる避難民を受け入れる用意があり、彼らのほとんどがヤイラダギにあるキャンプに収容される、と述べた。

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米ホワイトハウスはシリア情勢に関して、「蛮行と暴力の即時停止」を呼びかけるとともに、アサド大統領が「国民を「危険な道」に導いている」と非難した。

そのうえで、シリア国民に対して、「国民統合を維持し、宗派対立を回避するべく行動する」よう呼びかけた。

AFP, June 11, 2011、Akhbar al-Sharq, June 11, 2011、al-Hayat, June 12, 2011、Kull-na Shuraka’, June 11, 2011、Naharnet, June 11, 2011、Reuters, June 11, 2011、SANA, June 11, 2011などをもとに作成。

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イドリブ県で治安作戦が継続、トルコのエルドアン首相はアサド政権が「虐殺」を行っていると断言(2011年6月10日)

シリア政府の動き

反体制活動家が呼びかけた「部族の金曜日」に対抗して、シリア・アラブ・テレビ(6月10日付)は、ハサカ県のアリー・ジャースィム・アーズィル氏ら主な部族の長や名士のインタビューを放映した。

インタビューのなかで、部族長らは、暴動に意義を唱える一方、アサド政権主導による改革への支持を表明した。

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SANA(6月10日付)は、ジスル・シュグール市を占拠していた武装犯罪集団メンバー多数を軍・治安部隊が逮捕し、同地の治安と安定を回復、住民の歓迎を受けたと報じた。

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シリア・アラブ・テレビ(6月10日付)は、イドリブ県ジスル・シュグール市などで軍・治安部隊が住民を殺害したとの外国メディアなどの報道がウソだと証言する住民らのインタビュー映像を放映した。

国内の暴力

フェイスブックの「シリア革命2011」などが「部族の金曜日」と銘打って反体制デモを呼びかけるなか、『ハヤート』(6月11日付)などによると、ダマスカス県、アレッポ県、ヒムス県、ハマー県、カーミシュリー市(ハサカ県)、ダルバースィーヤ市(ハサカ県)、ダイル・ザウル市、ブーカマール市(ダイル・ザウル県)、バーニヤース市(タルトゥース県)、ダルアー県各所で金曜礼拝後にデモが発生した。

『ハヤート』(6月11日付)は、複数の活動家や目撃者の情報として、治安部隊はデモ参加者に対して実弾で発砲し、強制排除を試み、少なくとも市民22人が死亡したとする一方、死者数が28人を越え、そのうちの11人がイドリブ県で殺害されたとする別の活動家の情報もあると報じた。

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しかし、SANA(6月10日付)は、各地での金曜礼拝後の暴動で、多くの警官、治安部隊隊員が武装集団に銃やナイフで殺害されたと報じた。

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イドリブ県では、『ハヤート』(6月11日付)が、人権活動家の情報として、治安部隊がマアッラト・ヌウマーン市での大規模デモに発砲し、少なくとも11人が死亡したと報じた。

同市で殺害されたムハンマド・ダギーム氏(30歳)の父親はAFP(6月10日付)に対して、軍はヘリコプターを投入して弾圧したと証言した。

これに関して、シリア人権監視団は、治安部部隊がマアッラト・ヌウマーン市のデモ参加者を包囲する一方、「群衆によって包囲された警官の応援に駆けつけようとした軍の増援部隊を阻止すべく、デモ参加者は道路を封鎖していた」と発表した。

同監視団はまた「ヘリコプターが町の上空を旋回していた」と指摘した。

別の活動家はAFP(6月10日付)に対して「ヘリコプターが町を空爆した」と述べた。

しかし、SANA(6月10日付)は、マアッラト・ヌウマーン市内の「武装テロ集団」が治安機関本部に集中砲火を浴びせ、警察治安部隊に複数の死傷者が出たと伝えた。

一方、ジスル・シュグール市の情勢に関して、シリア・アラブ・テレビ(6月10日付)は、軍の部隊が「ジスル・シュグール直前」まで到達し、複数の「武装テロ集団」メンバーを逮捕したと報じた。

しかし、目撃者の一人はAFP(6月10日付)に対して、治安部隊がジスル・シュグール市周辺の村々を戦車で砲撃していると証言した。

またジスル・シュグール市の南15キロに位置するズィヤーラ村では、兵士が発砲し、住民を弾圧したという。

al-Hayat, June 11, 2011
al-Hayat, June 11, 2011

さらにトルコ国境を通過した避難民の一人は「ジスル・シュグール市は事実上無人と化した」と述べた。

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ラタキア県では、『ハヤート』(6月11日付)によると、ラタキア市で、治安部隊がデモ参加者に発砲し、6人が死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ブスル・ハリール市で、市民2人が軍の発砲で負傷し死亡した。

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ダマスカス県では、人権活動家が撮影・公開したビデオによると、カーブーン区で夜間デモが発生し、市民3人が治安部隊に殺害された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で反体制デモが発生し、数千人が参加した。

レバノンの動き

ヒズブッラーは声明を出し、「一部のアラブ諸国とイスラエルのメディアは、ヒズブッラーがシリア一部地域で発生している武力衝突に関与しているとの噂を吹聴している」としたうえで、こうした喧伝が、「シリアとレジスタンス運動を標的とした同一の陰謀」であり「宗派間の緊張を高める」ものだと非難した。

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ナハールネット(6月10日付)によると、北部県トリポリ市で金曜の集団礼拝後にシリアのアサド政権に抗議するデモが発生し、学生ら数百人が参加した。

諸外国の動き

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はATV(6月10日付)に対し、アサド政権が「虐殺」を行っていると非難、抗議行動参加者への弾圧を「受け入れられない」と述べた。

エルドアン首相は「残念ながら、彼ら(シリア当局)は人道的に振る舞っていない」と述べた。

エルドアン首相はまた、アサド大統領の弟で共和国護衛隊の実質的司令官であるマーヒル・アサド大佐が人道的に振る舞っていないと批判した。

そのうえでエルドアン首相は、女性や子供を踏みつけるシリア軍兵士の映像を例に出し、「このような映像は解説する余地はなく、耐えられないものだ」と述べた。

一方、エルドアン首相はアサド大統領と電話会談し、トルコに逃れてきたシリア人避難民の状況をありのままに説明したが、大統領はシリア国内の現実とまったく矛盾した話を返してきたことを明らかにし、「アサド大統領と4、5日前に話したが、彼らは問題の深刻さを評価できていない」と付言、「こうした状況では、我々は国際社会においてシリアを擁護できない」と述べ、アンカラが国連安保理でのダマスカス非難決議を支持する可能性を示唆した。

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トルコのアブドゥッラー・ギュル大統領は、トルコの文民・軍指導部が「最悪のシナリオ」に対処する準備をしている、と述べた。

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国連の潘基文事務総長は、シリア国内での暴力停止を求めるためアサド大統領との電話会談を試みたが、「大統領は不在」との解答を受けたと発表した。

また潘事務総長によると、アサド大統領は事務総長からの再三にわたる電話会談の申し出に不快感を示し、最後には「あなたはなぜ私と連絡をとりたいのか」と述べたのだという。

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ロバート・ゲーツ米国防長官は「アサドの正統性に疑問の余地が生じた」と述べた。

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ジュネーブでは、赤十字国際委員会のヤコブ・ケレンベルガー総裁がシリア政府に対して、暴力が発生している地域への医療チームの「即時派遣」の申し出を行い、個人的にシリアを訪問し、当局と会見する用意があるとの意思を表明した。

AFP, June 10, 2011、Akhbar al-Sharq, June 10, 2011、al-Hayat, June 11, 2011、Kull-na Shuraka’, June 10, 2011、Naharnet, June 10, 2011、Reuters, June 10, 2011、SANA, June 10, 2011などをもとに作成。

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レバノンのワリード・ジュンブラート進歩社会主義党党首がアサド大統領と会談、改革プログラムへの確信を表明する(2011年6月9日)

反体制勢力の動き

フェイスブックの「シリア革命2011」は、金曜日(10日)を「部族たちの金曜日」と名づけ、反体制デモを呼びかけ、「すべての部族は当初から革命家を支持してきた。部族は屈辱、誹謗、攻撃を拒んできた。権利を求め、非難を恐れない」と主唱した。

同ページによると、クナイトラ県、ダルアー県、スワイダー県の部族が「シリア革命」を支持しており、またアレッポ県、ダイル・ザウル県、ラッカ県、ヒムス県の部族に対して「体制打倒」を呼びかけているという。

シリア政府の動き

SANA, June 9, 2011
SANA, June 9, 2011

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首はシリアのダマスカスを訪問し、アサド大統領と会談した。

会談後に進歩社会主義党が出した声明によると、ジュンブラート党首は会談で「大統領が開始した改革プログラムの実施を通じて、歴史的危機状況を克服できるだろうと確信している」と伝える一方、アサド大統領から改革実施を確約したという。

またジュンブラート党首はシリア情勢への外国の干渉に拒否の姿勢を示した。

国内の暴力

イドリブ県では、AFP(6月9日付)によると、民間人数千人がオートバイや貨物車輌でジスル・シュグール市から避難した。

また、複数の目撃者によると、金曜日(10日)の反体制デモに備えて、軍の貨物車輌、兵員輸送車、戦車がジスル・シュグール市からアレッポ県方面に進軍、活動家の一人によると、軍の車列に投石した1人が殺害され、6人が負傷した。

al-Hayat, June 10, 2011
al-Hayat, June 10, 2011

一方、『ハヤート』(6月10日付)によると、シリア軍部隊が、ジスル・シュグール市周辺の幹線道路に展開、封鎖した。

トルコ国境に向かう幹線道路だけは住民を避難させるために封鎖されていないという。

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ヒムス県では、『ハヤート』(6月10日付)によると、金曜日(10日)の反体制デモに備えて、ヒムス市バーブ・アムル地区など市内各所に軍が戦車を展開させた。

諸外国の動き

NTV(6月8日付)によると、トルコのアフメット・ダウトオール外務省は、トルコにシリア人避難民約600人が新たに避難した。避難民の総数は2,500人に達したと発表した。

ダウトオール外務大臣は「シリア情勢に多大な懸念を抱いている。30分前、正確な数字を得た…。2,400人以上が現在トルコに避難民として入国している」と述べた。

そのうえで、シリアが政治改革に関して「重大な決断」を行うべき時が来たと明言した。

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ナバメセム・ピレー国連人権高等弁務官はシリア政府に対して民間人への攻撃を停止するよう呼びかけ、「いかなる政府であれ、国民を沈黙させるため弾圧を行うこと」に遺憾の意を表明した。

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ロシア外務省報道官は、国連安保理に英仏が提出したアサド政権への非難決議案に関して、シリア情勢をさらに悪化させると指摘し、「強く反対する」と発表、シリア政府が国民に約束している改革を実施するための時間を与えるべきとの見解を示した。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、アサド政権による民間人虐殺を「受け入れられない」と非難した。

ジュペ外務大臣は「シリアの姿勢は受け入れられない。国民がさらなる自由と民主主義を求めているなか、民間人惨殺が続けられてはならない」と述べた。

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IAEA理事会は、2007年9月にイスラエルが空爆で破壊したダイル・ザウル県キバルの原子炉とされる施設に関して、シリア政府が建設を申告せず、加盟国に対する包括的保障措置協定を遵守しなかったとして、同問題への対応を国連安保理に付託する決議を採択した。

決議案は米国が提出し、賛成17カ国、反対6カ国、棄権11カ国、欠席1カ国で採択した。

ロシアと中国は反対票を投じた。

決議採択を受け、シリアのバッサーム・サッバーグ大使は「遺憾な動き」と非難しつつも、「シリアは常に誓約と義務を守ってきたし、そうあり続けると考える」と述べ、IAEAへのシリアの協力姿勢に影響はないとの姿勢を示した。

米国のグリン・デービーズIAEA大使は理事会の非公式会合で採決に先だって「ウラン製造のための未申告の秘密施設を建設しようとするシリアの試みは何らの平和的な目的を持っておらず、保障措置協定に対するもっとも申告な違反の一つだ」と述べた。

また「ダイル・ザウルでシリアが核開発を行おうとしていることは明らかだ。同地において原子炉が建設され、おそらく核兵器に転用するためのウランを製造するという明確な目的があった」と付言した。

これに対し、複数の外交筋によると、ロシアのグレゴリー・ベルデンニコフ大使はこの動きを「壊滅的攻撃」と非難したという。

これに先だって、ベルデンニコフ大使はIAEAのシリアに対する決議案が「不適切な時期に提起されており、客観的でない」と非難、「それゆえ、もし(決議案の)採決がなされたら、我々は反対する」と述べていた。

また同大使は「シリア側に過ちがあるかもしれないが、(キバルの)施設が破壊されてしまった今となっては、国際安全保障を脅かすものではない」と続けたという。

他方、新華社通信(6月9日付)によると、中国のIAEA代表の王英凡大使も採決に先立って、「現状において、シリアの核(疑惑)問題をめぐって決議を採択する必要はなく、同問題を安保理に提訴する必要もない」と述べ、この問題がIAEAの枠内で解決されるべきとの中国の立場を示した。

AFP, June 9, 2011、Akhbar al-Sharq, June 9, 2011、al-Hayat, June 10, 2011、Kull-na Shuraka’, June 9, 2011、Naharnet, June 9, 2011、Reuters, June 9, 2011、SANA, June 9, 2011などをもとに作成。

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英仏が露・中をけん制しつつ、アサド政権による反体制運動弾圧を非難する国連安保理決議案(修正決議案)を提出(2011年6月8日)

反体制勢力の動き

シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリム報道官は『ラアユ』(6月8日付)に、イスラーム運動がシリア社会の一部をなしてているとしたうえで、立憲的、文民的、多元的国家建設をめざしていると述べた。

シリア政府の動き

SANA(6月8日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市で7日に殺害された治安部隊隊員の葬儀がラタキア市の軍事病院で行われた。

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シリア・アラブ・テレビ(6月8日付)は、当局によって傍受されたイドリブ県ジスル・シュグール市での武装集団の電話での通話の内容を公開した。

公開された通話で、武装集団メンバーらは、殺害した警官や治安部隊隊員の遺体を遺棄し、集団墓地に見せかける方法などについて話し合っていた。

国内の暴力

イドリブ県では、『ハヤート』(6月9日付)によると、ジスル・シュグール市の住民数千人が、同市への進入と制圧を準備しているとされる軍(第4機甲師団)の攻撃を恐れ、周辺の村々やトルコに避難した。

また、複数の住民によると、住民は攻撃に備えて、市内各所に障害物を設置したという。

複数の活動家や目撃者がAFP(6月8日付)に述べたところによると、ジスル・シュグール市周辺の村々は、モスク、教会、学校を開放し、避難民を受け入れているという。

人権活動家のムスタファー・ウースー氏が、複数の目撃者の情報として、AFP(6月8日付)に対し、第4師団などからなる軍部隊数千人がイドリブ県に向かっていると述べた。

レバノンの動き

AFP(6月8日付)によると、負傷したシリア人3人が北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方に搬送された。

うち1人は搬送先の病院で死亡したという。

諸外国の動き

英仏は、アサド政権による反体制運動弾圧を非難し、弾圧の責任者への制裁と人道支援を求める国連安保理決議案(修正決議案)を提出した。

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英仏が提出した安保理決議案に関して、デヴィッド・キャメロン英首相は議会で「この決議に反対票を投じたりする国が出た場合、事態はそのまま放置されることになってしまう」と述べ、安保理でアサド政権への非難決議に反対するロシアと中国を暗に牽制した。

キャメロン首相はまた「1000人が死亡し、10,000人以上が逮捕され、平和的なデモ参加者が暴力に曝されていることを示す信頼できる報告がある。こうした状況は決して受け入れられない…。こうした行き過ぎに沈黙していてはならず、沈黙しないだろう」と述べた。

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マーク・トナー米国務省報道官は、米国が英仏による安保理決議案を支持すると宣言し、「我々は安保理の他のメンバーに米国支持の姿勢を説得するよう試みる」と述べた。

トナー報道官は、こうした決議が「アサド政権にさらなる圧力をかけるものであり、シリア国民への暴力による弾圧を制限する国際社会の試みを促進する」との考えを示した。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、シリア人避難民に対してトルコが門戸を閉ざすことが「想定され得ない」と述べた。

エルドアン首相はまた「我々の懸念は増している…。シリア政府が改革に向けて早急にステップを踏み、市民を安堵させるよう願いたい」と述べた。

一方、アフメット・ダウトオール外務大臣はシリア政府に対して「国民が妥当だと考えられるような期限を設け、広範な政治改革に向かって」進むよう呼びかけた。

ダウトオール外務大臣はまた「シリア人は危機収束を望んでいる…。ダマスカスは(人々を満足させるような)行動計画を発表せねばならない」と強調した。

AFP, June 8, 2011、Akhbar al-Sharq, June 8, 2011、al-Hayat, June 9, 2011、Kull-na Shuraka’, June 8, 2011、Naharnet, June 8, 2011、al-Ra’y,
June 8, 2011、Reuters, June 8, 2011、SANA, June 8, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

クルド調整委員会を名乗る3党が予定されていたアサド大統領との会談を辞退、駐フランス・シリア大使が辞意を表明したとの報道も(2011年6月7日)

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(6月8日付)は、6日から開催されているアサド大統領とクルド民族主義政党12組織の代表との会談に関して、クルド調整委員会を名乗るシリア・クルド・アーザーディー党、シリア・クルド・イェキーティー党、シリア・クルド・ムスタクバル潮流の3党が声明を出し、アサド大統領との会談を辞退した、と報じた。

各地で軍・治安部隊の弾圧が続くなかで、政権と対話できないというのが理由。

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シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリム報道官はイドリブ県ジスル・シュグール市での戦闘に関して声明を出し、アサド政権に対する抗議運動が「平和的」だと主張する一方、被害の原因を「武装集団」の暴力に帰せようとするアサド政権の姿勢を「さらなる暴力・殺戮行為を正当化する」口実だと非難した。

声明で同胞団は「我々は…シリア革命が平和的で、国民主義的であることを強調する。ジスル・シュグール地域で市民を脅迫する武装集団が存在するというシリア内務大臣の声明の言説のなかに、罪のない市民へのさらなる弾圧・殺戮行為を正当化する口実があると見ている」と主張している。

また「我らが祖国の民に内務大臣の声明に煽られず…いかなる状況下でも自らの革命を平和的かつ国民主義的に保つよう」呼びかけ、「愛国的な血は汚れなきものであり…、シリア国内における唯一の殺戮者が、分裂と内紛に喘ぐ治安機関の悪党であることを強調する…。我々は国民の平和がレッドラインで、いかなる状況であれ、それに抵触することは誰にも許されないと考える。いかなる勢力、いかなる名目であれ、祖国を内戦に引き込もうとする無責任なすべての呼びかけを非難する」と強調した。

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フェイスブックのグループ「シリア革命2011」は、6月7日を「ナフダの火曜日」と銘打って、反体制抗議行動を呼びかけた。

シリア政府の動き

西側諸国メディアは、ラーミヤー・シャックール駐フランス・シリア大使が、フランス24に宛てた声明のなかで、シリア国内での「一連の暴力」に抗議して辞意を表明し、「民主主義と自由をめざす国民の要求の正当性」を承認すると発表したと一斉に報じた

シャックール大使は声明のなかで、「政府の反応は適切ではない。一連の暴力を支持できない…。デモ参加者の殺害が無視されており、多くの家族が痛みに耐えて暮らしている…。アサド大統領の私設秘書に辞意を伝え、さらなる民主主義と自由に向けた国民の要求の正当性を認め…、私の辞意は直ちに受理されるだろう」と述べた。

SANA, June 7, 2011
SANA, June 7, 2011

しかしBBC(6月7日付)は、シャックール大使が辞意表明に関する報道を否定したと報じた。

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SANA(6月7日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市で7日に殺害された警官の葬儀がダマスカス県の警察病院で行われた。

国内の暴力

AFP(6月7日付)は、イドリブ県ジスル・シュグール市での6日の戦闘で治安要員・警官120人が殺害されたとするSANAなどの報道に関して、目撃者らの情報として、「戦闘は軍の部隊と脱走兵との間で発生」し、住民や活動家らが「市内での治安機関本部での反乱」で殺害されたと報じた。

同通信社によると、戦闘の発端となった兵士らの離反は、「自由の子供たちの金曜日」(5月31日)で犠牲者の葬儀に対するさらなる弾圧(30人が死亡)が行われた6月1日に表面化したという。

しかし、ロイター通信(6月7日付)は複数の消息筋の話として「治安部隊脱走の話は真実ではない。警察官や治安要員は破壊行為が行われている最中に武装集団の手によって殺害され、銃弾に曝された。地域住民のなかに武装している者がいる…。同地域で起きているのは武装反乱だ」と伝えた。

またSANA(6月7日付)は、「ジスル・シュグール周辺の村々の住民は武装集団から逃れるため村を離れた。彼が話す残虐行為、犯罪行為は筆舌に尽くしがたく、住民は軍・治安部隊による断固たる介入とこれらの組織への厳罰を求めている」と伝えた。

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アフバール・シャルク(6月7日付)は、ダマスカス県ヤルムーク区で親シリアのパレスチナ組織に殺害されたと見られるパレスチナ人の遺体11体が発見されたと報じた。

SANA, June 7, 2011
SANA, June 7, 2011

諸外国の動き

英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アサド大統領が「正統性を失い、改革するか退任せねばならない」と述べた。

ヘイグ外務大臣はまた、アサド政権による弾圧が続いた場合を想定して、英国がEUの加盟国とともにさらなる制裁を科す可能性を検討していると述べた。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣はニューヨークの国連本部で、イドリブ県ジスル・シュグール市での激しい戦闘を非難し、「弾圧の停止」を呼びかる一方、「アサド大統領が統治の正統性を失った」と断じた。

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アムネスティ・インターナショナルは国連安保理に対して、シリアを国際刑事裁判所に提訴するよう改めて求めた。

AFP, June 7, 2011、Akhbar al-Sharq, June 7, 2011、al-Hayat, June 8, 2011、Kull-na Shuraka’, June 7, 2011、June 8, 2011、Naharnet, June
7, 2011、Reuters, June 7, 2011、SANA, June 7, 2011などをもとに作成。

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イドリブ県ジスル・シュグール市およびその周辺一帯での反体制勢力による要撃・襲撃により、治安要員と警官約120人が殺害される(2011年6月6日)

al-Hayat, June 7, 2011
al-Hayat, June 7, 2011

シリア人、パレスチナ人のイスラエルへの越境デモ

クナイトラ県、ダマスカス県などで、ナクサ記念日に有刺鉄線を越え、占領下ゴラン高原に入ろうとしてイスラエル軍に射殺された若者23人の葬儀が行われた。

SNS(6月6日付)によると、このうち、ダマスカス県ヤルムーク区で行われた犠牲者8人の葬儀では、パレスチナ諸派の無策に抗議する会葬者が、参列したパレスチナ諸勢力の指導者らを排除しようとして衝突に発展し、PFLP-GCの民兵が会葬者に発砲した。

SANA, June 7, 2011
SANA, June 7, 2011

クッルナー・シュラカー(6月7日付)によると、これによりパレスチナ人約20人が死亡したという。

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米国務省は、ナクサ記念日(5日)にシリア人パレスチナ人の若者が占領下ゴラン高原に入ろうとしてイスラエル軍に射殺された事件に関して、「シリアがこの手の攻撃を煽動していることは明白だ…。国内の問題から目をそらそうとしている」と批判した。

また「イスラエルは、他のあらゆる主権国家と同様、自衛権がある」と付け加えた。

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フランス外務省は、ナクサ記念日(5日)にシリア人パレスチナ人の若者が占領下ゴラン高原に入ろうとしてイスラエル軍に射殺された事件に関して、シリア当局にイスラエルとの緩衝地帯を尊重するよう求めたと発表、「同地帯への侵害」とイスラエル側の「過度の力の行使による応戦」への「強い遺憾の意」を示した。

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ロシア外務省は、ナクサ記念日(5日)にシリア人パレスチナ人の若者が占領下ゴラン高原に入ろうとしてイスラエル軍に射殺された事件に関して、「新たな緊張につながりかねない事態への強い懸念」を表明するとともに、懸念が「この抗議行動で多くの平和的なデモ参加者が死傷したこと」で高まっていると強調した。

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国連の潘基文事務総長は、ナクサ記念日(5日)にシリア人パレスチナ人の若者が占領下ゴラン高原に入ろうとしてイスラエル軍に射殺された事件に関して、「イスラエルによる実弾発砲が負傷者をもたらした」としたうえで、国連監視団が「事実の確認を行っている」と述べた。

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イスラエルのエフード・バラク国防大臣とマタン・ヴィルナイ国防副大臣は、ナクサ記念日(5日)にシリア人パレスチナ人の若者が占領下ゴラン高原に入ろうとしてイスラエル軍に射殺された事件に関して、「アサド大統領とシリアの政権が背後にいる」と指摘、シリア国内での抗議行動弾圧から目を反らそうとしていると批判した。

シリア政府の動き

Damas Post(6月6日付)は、ハサカ県でクルド人への国籍付与申請を違法に仲介していた業者が摘発されたと報じた。

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『ハヤート』(6月7日付)は、アサド大統領とクルド民族主義政党代表との会談が6日に行われたと報じた。

会談は当初6月4日に予定されていた。

これに関して、クッルナー・シュラカー(6月6日付)は、大統領に招待された政党12組織を明らかにした。

同報道によると、招待されたのは、1. シリア・クルド左派党、2. シリア・クルド民主党アル・パールティ・アブドゥルハキーム・バッシャール派、3. 同ナスルッディーン・イブラーヒーム派、4. シリア・クルド・イェキーティー党、5. 民主統一党、6. シリア・クルド・アーザーディー党、7. シリア・クルド国民民主党、8. シリア・クルド平等民主党、9. シリア・クルド民主統一党イェキーティー、10. クルド・シリア民主党、11. シリア・クルド進歩民主党、12. シリア・クルド・ムスタクバル潮流。

シリア・クルド人国民イニシアチブのウマル・ウースー代表は『ハヤート』(6月7日付)に対し、イラクのジャラール・ターラバーニー大統領(クルディスタン愛国同盟書記長)、イラク・クルディスタン知事政府のマスウード・バールザーニー大統領(イラク・クルディスタン民主党党首)が、クルド人の状況改善のためシリア政府との対話に望むことを後押ししていたと述べた。

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SANA(6月6日付)によると、進歩国民戦線中央指導部が会合を開き、国民対話プロセスなどについて協議した。

議長は、スライマーン・カッダーフ副書記長が務めた。

国内の暴力

イドリブ県では、『ハヤート』(6月7日付)によると、ジスル・シュグール市およびその周辺一帯での反体制勢力による要撃、襲撃などにより、治安要員と警官約120人が殺害された。

SANA(6月6日付)によると「複数の攻撃で治安要員・警官40人が殺害され、うち20人が要撃により殺害された。またジスル・シュグール市内の郵便局が爆破され、施設の守衛8人が殉職した」。

また「第一報によると、治安部隊と警察は、市民の救援要請に応えるべく、ジスル・シュグール市向かって街道を進んでいた。市民は恐怖にさらされ、家を離れ、警察や治安機関の本部に向かって避難する途中だった」が、武装集団が郵便局のガス管に放火し、同施設を爆破した。

さらに「治安部隊と警察が要撃を受けたジスル・シュグール市の現場に向かっていた増援部隊は、途中で民間人を保護して現場に向かい…、20人がすでに戦死していた」という。

治安部隊と警察は一方、「武装集団が立て籠もる複数の家を包囲」したが、「複数の情報によると、武装集団は戦闘訓練を受けており、中火器や手榴弾で武装し、住民を脅迫し、彼らを人間の盾としていた…。警察・治安部隊はジスル・シュグール市で数百人の武装集団と対峙し、彼らが占拠していた市内の一地区の道路封鎖を解除した」という。

しかし、ジスル・シュグール市にある複数の治安機関拠点への「武装集団」の攻撃によって、別の治安部隊の要員37人が殺害された。

この攻撃でも「武装組織」は中火器、機関銃、手榴弾、RPGなどを使用し、家屋の屋上から民間人、警察・治安要員を狙撃したという。

さらに「武装組織メンバー数百人がジスル・シュグール内の複数の政府施設を攻撃し、守衛3人を殺害した。また同組織はこれらの施設に放火、破壊した…。武装集団は治安・警察要員の遺体を傷つけ、その一部をアースィー川(オロンテス川)の土手に遺棄した。また市内の住民を脅迫し、道路を封鎖し、市民の家を攻撃し、公共施設、民間施設、商店などを襲撃した…裁判所は、武装組織によって二度、破壊・放火にあった。また武装集団は、ワーディー・アブヤド・ダムの施設を攻撃したのち、同施設に保管されていたダイナマイト5トンを盗んだ」という。

なおジスル・シュグール市での戦闘に関して、シリアのムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣は「断固として法に従って行動し、国家の治安を標的としたいかなる武力攻撃にも沈黙しない」と述べた。

これに対し、反体制活動家はAFP(6月5日付)に「(ジスル・シュグールの)軍事情報局本部で爆発音が聞こえたのは発砲の後だった。破壊工作が終わったあとに爆発が起きたようだ」と述べた。

同活動家はまた「事件は日曜日、治安部隊の狙撃手が市内のデモ参加者に発砲したことをきっかけに始まった。この発砲ではデモ参加者10人が死亡したが、その直後に、デモ参加者が軍事情報局前に集まった」と主張した。

また別の活動家は、軍事情報局前で発砲音を聞いたとしたうえで、「彼らはデモ参加者への発砲を拒否した警察官を処刑したのだと思う…。殺戮は治安部隊内で発生した」と主張した。

他方、シリア人権監視団などによると、ジスル・シュグール市で治安維持・軍事作戦による市民や命令拒否を理由に殺害された治安要員の死者数が37人に達しているという。

同監視団によると、ジスル・シュグール市は軍・治安部隊の包囲を受けており、「軍突入の恐怖に曝されている」という

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同じくイドリブ県では、『ハヤート』(6月7日付)によると、イドリブ市で6日晩に反体制デモが発生し、1,500人が参加したが、治安部隊によって強制排除された。

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ラタキア県では、『ハヤート』(6月7日付)によると、ジャブラ市で、市民2人が治安部隊に撃たれて死亡した。

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ダイル・ザウル県では、『ハヤート』(6月7日付)によると、ダイル・ザウル市内のバアス党本部前で反体制デモが発生し、治安部隊が参加者に向けて発砲、シリア人権監視団によると3人が死亡した。

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ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(6月6日付)によると、人民議会議事堂前で座り込みを行った女性11人が治安当局によって逮捕された。

諸外国の動き

IAEAの天野之弥事務局長は、2007年にイスラエルが破壊した原子炉とされるダイル・ザウル県キバルの施設をめぐって、シリア政府に対して、約束に従い「具体的な成果」を示すよう求めた。

天野事務局長はウィーンでのIAEA理事会開会で、同機構が入手した情報に基づき、シリアのダイル・ザウル県キバルの施設が同機構に「申告すべき原子炉だった」と述べた。

天野事務局長はまた「IAEAはシリア政府に、ダイル・ザウル(の施設)をめぐって完全な協力を行う猶予を与えたが、シリアはそれに応えなかった」と付け加えた。

天野事務局長はさらに「我々は結果を出すに充分な情報を得た。我々が現段階で達した結論を加盟国に申告するのが適切だと考える。このような状況が無期限に続くのを許すことは、いかなる当時者にとっても利益にならない…。未解決の問題を解決するためシリアとともにさらなる行動をとっていきたい」と述べた。

シリアは先月、天野事務局長に書簡を送り、IAEAに「完全なる協力」の意思を示していた。

しかし、天野事務局長はIAEAがこの書簡を受け取る前にシリア高官と会談したが、何らの結論にも至らなかったと指摘、「意思表明だけでは不十分だ。我々は具体的な結果を見たい」と述べた。

一方、天野事務局長は「イスラエルによるとされる空爆で施設が破壊され、IAEAが調査する機会を与えられなかったことに深い遺憾の意」を示し、「力を行使するのではなく、IAEAに問題を提訴せねばならなかった」と述べた。

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ヨルダン・ムスリム同胞団は、シリア情勢に関して、「眉をひそめたくなるような恐るべき犯罪」と評し、「無防備の国民に発砲を命じ、表現の権利を奪い、鉄拳により行動を抑える指導者は、その存在と支配の正統性を失っている」とアサド政権を非難した。

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世界イスラーム教徒ウラマー連盟(ユースフ・カラダーウィー代表)は声明を出し、アサド政権に対して「殺戮の停止、都市・村に対する包囲解除、軍および戦車の都市・村からの撤退」を求めた。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、ワシントンDCで、アサド大統領が「シリアを統治する正統性を失った」と述べた。

ジュペ外務大臣はまた、フランスがシリアでの暴力行使を非難する安保理決議の即時採択をめざしていることを明らかにするとともに、予想されるロシアの「拒否権」発動に関して、「我々は、ロシアがシリアに関するあらゆる決議に拒否権を発動するだろうということを知っている…。彼らが拒否権発動を選択した場合、彼らが責任を負わねばならない。決議に安保理の11カ国が賛成していることを彼らが目の当たりにしたら、見解を変えるだろう。リスクはあるが、我々にはそれに対する備えがある」と述べた。

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『デイリー・テレグラフ』(6月6日付)は、英国外務省の複数消息筋の話として、シリアのデモ弾圧にイランが協力していることを示す信頼できる情報がある、と報じた。

同報道によると、イランは弾圧に使用する装備のほか、イラン・イスラーム革命防衛隊関係者が技術支援を行っているという。

しかし、イランがアサド政権を支援するために技術者などを実際に派遣しているかどうかは定かではなく、ヒズブッラーはアサド政権を支援するために弾圧に参加することを躊躇しているという。

AFP, June 6, 2011、Akhbar al-Sharq, June 6, 2011、The Daily Telegraph, June 6, 2011、Damas Post, June 6, 2011、al-Hayat, June 7, 2011, June 8, 2011、Kull-na Shuraka’, June 6, 2011、June 7, 2011、Naharnet,
June 6, 2011、Reuters, June 6, 2011、SANA, June 6, 2011、SNS, June 6, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラエルへの越境デモを行ったシリア人、パレスチナ人数十名がイスラエル軍の発砲により死亡(2011年6月5日)

シリア人、パレスチナ人のイスラエルへの越境デモ

SANA(6月5日付)などによると、ナクサ(1967年6月5日)記念日に合わせて、シリア人およびパレスチナ人市民数百人が、クナイトラ県マジュダル・シャムス村からイスラエル占領下のゴラン高原への徒歩での越境を試み、イスラエル軍の発砲を受け、少なくともパレスチナ人とシリア人20人が死亡、325人が負傷した。

al-Hayat, June 6, 2011
al-Hayat, June 6, 2011

SANAによると、犠牲となったシリア人、パレスチナ人は「占領下のゴラン高原に迫り、有刺鉄線を切断し、イスラエル占領軍が敷設した地雷原を越えようとした際、イスラエル軍の発砲を受けた」という。

ゴラン高原への越境行進は、SNSなどを通じて活動家が呼びかけていたが、『ハヤート』(6月6日付)によると、シリア当局はこれを阻止しようとしなかったという。

反体制勢力の動き

シリア人権監視団は、5月31日の恩赦を受けるかたちで、イスラーム主義者、クルド人など450人以上の政治犯が釈放されたと発表した。

これらの政治犯は、シリア最大の刑務所の一つであるサイドナーヤー刑務所に収監されており、なかには25年以上収監されていた者もいるという。

また同監視団は、ダマスカス民主変革宣言運動幹部のアリー・アブドゥッラー氏が5月31日の恩赦に基づいて釈放されたと発表した。

シリア政府の動き

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣はUAEアブダビ首長国のシャイフ・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン皇太子とダマスカスで会談した。

『ハヤート』(6月5日付)によると、ムハンマド皇太子は改革とともに安定が不可欠と述べたという。

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SANA(6月5日付)によると、アーディル・サファル首相は、政党法案準備委員会を設置することを正式に決定した。

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団などによると、ジスル・シュグール市およびその周辺一帯での治安部隊による「治安維持・軍事作戦」により28人が死亡した。

同監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、過去2日間での同地域での死者数は、治安要員6人を含め38人に達しており、「治安維持・軍事作戦」は継続中だという

一方、SANA(6月5日付)は、「武装テロ集団」がジスル・シュグール市内の多数の政府施設、警察署を攻撃し、「市民、公共財産、私有財産を守る任務についていた警察官、治安要員4人が死亡、20人以上が負傷し、そのなかには同地域を管轄する局長、士官、さらに市民多数が含まれている」と報じた。

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ハマー県では、AFP(6月5日付)によると、金曜日のハマー市でのデモでの犠牲者を追悼するためのストライキが行われた。

同市の住民によると、「我々は土曜日、殉教者を追悼するため3日間の予定でストを始め…、商店(スーパーマーケット)などすべてがしまっており、治安部隊は市の郊外に撤退した」という。

シリアの複数の高官筋は『ハヤート』(6月6日付)に対し、ハマー市東部入口に軍戦車が展開し、同市を包囲しているとの複数の情報を「根拠がない」と否定した。

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ダイル・ザウル県では、ロイター通信(6月5日付)などによると、ダイル・ザウル市内で夜間に抗議デモが行われ、約7,000人が参加し、故ハーフィズ・アサド前大統領の銅像を倒そうとした。

これに対して治安部隊が発砲し、数十人が負傷した。

同市の住民によると、デモ参加者は、金曜日のデモで死亡したムアーッズ・ラカードくん(14歳)の家の周辺で集会を行っていたという。

諸外国の動き

ブリュッセルで反体制活動家らが開催していた「シリア革命支援国民連立大会」が閉幕した。

大会には200人以上の活動家が出席し、閉幕声明でアサド政権に「さらなる圧力をかける必要がある」と強調、同政権を「外交的に孤立させ、国際社会のメンバーたることを認めないのが肝要」との立場を示した。

またシリア政権による「国民対話委員会」の設置と会合を「茶番」と一蹴し、政権による弾圧が続いているなか「国民対話について云々することはできない」と非難した。

そのうえでアサド政権の「人権侵害を評価するための法的委員会」の設置を宣言し、「責任者の告訴」、「国際司法裁判所へのシリアの問題の付託」を主唱した。

AFP, June 5, 2011、Akhbar al-Sharq, June 5, 2011、al-Hayat, June 6, 2011、Kull-na Shuraka’, June 5, 2011、Naharnet, June 5, 2011、Reuters, June 5, 2011、SANA, June 5, 2011などをもとに作成。

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反体制活動家約200人がブリュッセルで「シリア革命支援国民連立大会」を開催、アサド大統領はクルド民族主義諸政党の幹部らと面会(2011年6月4日)

反体制勢力の動き

ベルギーをはじめとする欧州諸国から集まった反体制活動家約200人がブリュッセル市内のホテルで「シリア革命」を支持する大会(シリア革命支援国民連立大会)を開催し、アサド大統領に退任要求を行うデモへの血塗られた弾圧を停止するよう求めた。

アフバール・シャルク(6月4日付)によると、シリア・ムスリム同胞団前最高監督者のアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー氏、ラドワーン・ズィヤード氏、中道党、シリア自由団結運動、シリア革命青年らが大会に参加した。

大会は2日間の予定で、主催者の一人で活動家のバースィム・ハターヒト氏はAFP(6月4日付)に対して「我々の目的は、アサドにメッセージを送ることであり、その内容とは「彼が本当の首領なら、自らの犯罪を止めねばならない。彼の軍隊がデモ参加者を捕らえ、拷問し続けるのなら、体制転換が不可避である」というものだ」と述べた。

また「国内のシリアの青年たちによる革命を支持すべく、反体制活動家たちは日曜日にトルコのアンタルヤ市で大会を開き、今日はブリュッセルで会合を開いている。そして明日は別の場所で革命を支持すべく集まる」と付言した。

シリア政府の動き

DP-News(6月4日付)は、複数の消息筋の話として、アサド大統領がクルド民族主義諸政党12団体の幹部と4日に会談し、国内情勢について協議することを決断したと報じた。

これに関して、シリア・クルド・イェキーティー党のフアード・アリークー氏はUPI(6月3日付)に、ハサカ県知事から、アサド大統領がクルド民族主義団体の代表らと4日に会談すると知らされたことを明らかにしていた。

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SANA(6月4日付)によると、内務省は声明を出し、4日に各地で行われた反体制デモで、市民と治安要員合わせて20人が武装集団の射殺されたと発表した。

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SANA(6月4日付)によると、「国民対話委員会」が、シャルア副大統領を議長として会合を開き、「(委員会の)門戸は国内外のあらゆる個人、国民諸組織に対して開かれている」、そして国内外のいかなる個人に対しても、対話への参加に「拒否権」は発動されないこと確認した。

委員会会合ではまた対話のしくみを活性化する方途、現下の課題への政治的解決策案出などが健闘されたという。

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SANA(6月4日付)によると、3日にダマスカス県バルザ区の自宅に帰宅する途中に武装集団に殺害された治安部隊隊員の葬儀が、ティシュリーン軍事病院で行われた。

国内の暴力

ハマー県では、『ハヤート』(6月5日付)によると、ハマー市での前日のデモで死亡した市民の合同葬儀が行われ、約10万人(シリア人権監視団発表、別の市民によると参列者は15万人)が参列した。

al-Hayat, June 6, 2011
al-Hayat, June 6, 2011

住民らによると、「治安部隊は市内にはおらず」、「交通警官もどこかに撤退してしまった」という。

また住民の1人はインターネット・サービスが再びハマー市で不通となっていると指摘した。

シリア人権監視団によると、3日の反体制デモによる犠牲者73人で、うちハマー市では48人が死亡したという。

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イドリブ県では、『ハヤート』(6月5日付)によると、軍ヘリコプターがジスル・シュグール市で反体制活動家らに攻撃を加え、10人を殺害した。

これに関して、SANA(6月4日付)は内務省の話として、未明から早朝にかけて「武装集団がジスル・シュグール市一帯の警察署を攻撃し、兵士1人が殉職、警察官1人が負傷、また武装犯罪集団の1人も死亡した」と伝えた。

また「複数の武装犯罪集団が、ジスル・シュグール市のズアイニーヤ公道管理センターを襲撃し、職員と交戦し、警察官のユースフ・カッスーム氏が撃たれて負傷した」という。

さらに別の集団がビダーマー町とユースフィーヤ村の警察署を襲撃し、ユースフィーヤ村では警官1人とその家族が監禁され、武器を奪われ、また別の集団がフサイニーヤ村の軍の拠点を襲撃、兵士1人と武装集団戦闘員1人が死亡したという。

レバノンの動き

ナハールネット(6月4日付)によると、ベイルート県南部郊外(ダーヒヤ)のサッルーム地区で、アサド政権支持者がデモを行い、約700人のシリア人、レバノン人が参加した。

AFP, June 4, 2011、Akhbar al-Sharq, June 4, 2011、DP-News, June 4, 2011、al-Hayat, June 5, 2011、Kull-na Shuraka’, June 4, 2011、Naharnet, June 4, 2011、Reuters,
June 4, 2011、SANA, June 4, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ハマー市、ダルアー市を含む多くの都市で「数万人」規模の反体制デモが発生、「アノニマス」は在外のシリア大使館に対するサイバー攻撃を予告(2011年6月3日)

国内の暴力

『ハヤート』(6月4日付)によると、ハマー市、ダルアー市、ダイル・ザウル市、イドリブ市、カーミシュリー市(ハサカ県)、アームーダー市(ハサカ県)、ヒムス市、ダマスカス県・ダマスカス郊外県、バーニヤース市(タルトゥース市)などで、金曜礼拝後に反体制デモが発生し、「数万人」が参加した。

al-Hayat, June 4, 2011
al-Hayat, June 4, 2011

『ハヤート』(6月5日付)によると、複数の活動家がインターネットを通じて、デモの様子を撮影したビデオ映像を公開した。

映像のなかには、参加者がヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長の写真を掲げて、アサド大統領と同盟関係にある同書記長に厳しい言葉を浴びせるものなどもあったという。

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反体制デモに対して、治安部隊が催涙弾だけでなく、実弾で強制排除を試み、民間人数十人が死亡、数百人が負傷した。

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ハマー県では、シリア人権監視団やロイター通信(6月3日付)などによると、ハマー市での大規模デモに対する治安部隊の弾圧で、少なくとも34人が死亡、数百人が負傷した。死者はさらに増える見込みだという。

また活動家らによると、市内の複数の病院で負傷者に輸血するための血液提供を呼びかけているという。

ハマー市の住民らによると、治安部隊と狙撃手は旧市街およびその近くのアースィー広場でデモ参加者数千人に自動小銃で発砲し、これを受けてデモ参加者数は「5万人」に再び膨れあがったという。

複数の市民はまた、狙撃手を含む治安部隊が、で数千人のデモ参加者に発砲したと述べた。活動家の一人は「彼らはデモ参加者に直接発砲した。催涙弾ではデモ参加者を排除できなかった。最初に催涙弾を使用し、その後発砲してきた」と述べた。この活動家はまたデモ参加者が「平和的に」自由を求めるシュプレヒコールを連呼し、体制打倒を求めていたことを明らかにした。別の活動家は、死者数が「50人以上になるだろう」と述べた。

一方、シリア・アラブ・テレビ(6月3日付)はデモ参加者が「約10,000人」に上ったとしたうえで、「暴徒がハマー市の政府施設を襲撃・放火し、警察部隊に反抗した破壊分子3人を殺害した」と報じた。

また、SANA(6月3日付)によると、ハマー市で数百人が反対デモを行った。

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イドリブ県では、『ハヤート』(6月4日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市で反体制デモが行われ、周辺地域から数千人が集まった。

一方、SANA(6月3日付)によると、県内複数でデモ集会が行われた。

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ハサカ県では、『ハヤート』(6月4日付)によると、カーミシュリー市、ラアス・アイン市、アームーダー市で反体制デモが発生し、5,000人以上が参加した。

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タルトゥース県では、『ハヤート』(6月4日付)によると、バーニヤース市で反体制デモが発生し、5,000人以上が参加した。

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ダルアー県では、『ハヤート』(6月4日付)によると、ジャースィム市で、治安部隊がデモを排除するため空砲を発射した。

レバノンの動き

NNA(6月3日付)によると、ベイルート県ダウンタウンのウマリー・モスク内でアサド政権に反対するデモが行われ、イスラーム解放党支持者ら約200人が参加する一方、モスクの外ではアサド政権を支持する活動家ら約200人が集まり、デモを行った。

諸外国の動き

フランス外務省は声明を出し、「シリアの複数の都市の住民、とりわけラスタン市、タルビーサ市、ダルアー市の住民が、現在、非人道的な状況に直面している。彼らは水、生活物資、電気、医療サービスを奪われ、殺戮行為と無差別逮捕に曝され、それは病院内でも行われている」と非難、アサド政権に「野蛮な暴力行為の停止」を求めた。

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ニューヨークでは、国連報道官によると、潘国連事務総長がシリア当局によるデモ参加者への暴力行為激化に「深い懸念」を表明した。

国連報道官は「事務総長は、先週だけで70人以上が死亡したとされるシリアでの暴力の激化を深く懸念しており、犠牲者総数は…1,000人以上に達し、負傷者はさらに多数にのぼり、数千人が逮捕されている」と述べた。

国連がデモの死者数を発表するのはこれが初めて。

また潘事務総長は「拷問、実弾、砲撃による児童の殺害なども報告されている深刻な人権侵害状況に対して懸念」を表明し、「すべての殺戮行為に対する完全で独立した透明性のある調査の実施が行われなければならない」と述べたという。

また治安部隊と軍が行っている弾圧を即時停止する必要を強調、それによって、「すべての人々を包摂する真の対話を実現し、シリア国民が求める包括的な改革と変革を行うべき」との考えを示した。

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ハッカー集団「アノニマス」はPastebin.com(6月3日付)に書き込みを行い、在外のシリア大使館のウェブサイトに対してサイバー攻撃を行うと宣言した。

「暴君にして人権侵害者のバッシャール・アサドが…シリア国内のインターネットを遮断した」ことが攻撃の理由だという。

AFP, June 3, 2011、Akhbar al-Sharq, June 3, 2011、al-Hayat, June 4, 2011, June 5, 2011、Kull-na Shuraka’, June 3, 2011、Naharnet, June
3, 2011、NNA, June 3, 2011、Pastebin.com, June 3, 2011、Reuters, June 3, 2011、SANA,
June 3, 2011などをもとに作成。

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トルコで「シリア変革大会」が閉幕、米国務長官によるとアサド大統領の正統性は「消滅してはいないが、ほぼ失われた」(2011年6月2日)

反体制勢力の動き

トルコのアンタルヤ市で開催されていたシリア反体制勢力の大会(シリア変革大会)が声明(閉幕声明)を発表し、閉幕した。

閉幕声明では、アサド大統領の「即時退任」と「副大統領への権限移譲」を求め、体制打倒への決意が改めて表明された。

しかし、『ハヤート』(6月3日付)によると、大会閉幕声明発表直前まで、出席者は激しい議論を交わし、日程が遅れ、執行委員会、監視委員会の選挙が先送りになるかに思われた。

この対立は閉幕声明に盛り込む政治的課題をめぐるもので、一部の出席者は抗議行動のみに重点を置こうとしたのに対し、他の出席者は、体制打倒に向けた「移行期」の準備を進めることを主張したという。

さらにこれ以外にも、「過渡期」だけでなく「新国家の形態」についてのヴィジョンを示すべきだと主張する出席者もいたという。

また、大会出席者は、政教分離の是非をめぐっても対立したという。

最終的に、閉幕声明では「憲法作成のための暫定会議の選出したうえで、国会、大統領選挙を大統領辞任から1年以来に実施する」と呼びかけることを確認、「目的実現まで我らが国民の革命を支援し続け、領土の統一性の維持、外国の介入拒否という国民的な基軸を誇示し、革命が特定の集団に利用されるものではないことを強調する」との姿勢を打ち出した。

また「シリア国民はアラブ人、クルド人、アッシリア人、チェルケス人、アルメニア人などさまざまな民族からなっており、シリアの新憲法ではこれらの集団すべての法的且つ対等な権利を保障することを確認する」と明言し、「多元的議会制に基づく文民国家」を呼びかけただ、政教分離問題に関しての言及は避けられた。

なお閉幕声明発表直後、出席者は31人からなる「国民委員会」を選出した。

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AFP(6月2日付)によると、トルコのアンタルヤ市での「シリア変革大会」に参加していた一部反体制活動からが、新たな反体制組織「世俗主義勢力連立」を結成した。

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シリアで抗議行動を行う活動家らは、「自由な子供たちの金曜日」と名づけた新たなデモを6月3日に実施するよう呼びかけ、ハムザ・ハティーブくん(13歳)など抗議行動で犠牲となった子供たちを抗議行動の象徴に掲げた。

ハムザくんは反体制勢力によると「拷問で死亡した」とされ、UNICEFによると、抗議行動開始以来治安部隊の手によって30人の子供が殺害されたという。

抗議行動を呼びかけるフェイスブック上の最大ページ「バッシャール・アサドに対するシリア革命2011」には「貴方たちの罪のない血と澄んだ魂のため、我々の革命は、体制を打倒するまで続く、“自由な子供たちの金曜日”も」と記された。

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シリア人権監視団は、シリア当局が5月31日の大統領恩赦に従い、政治犯数百人を釈放したと発表した。

釈放された政治犯のうち約50人がタルトゥース県バーニヤース市出身者で、ダマスカス県、ダマスカス郊外県、ヒムス県、ラタキア県、ダルアー県の政治犯も釈放されたという。

また釈放された政治犯のなかには、シリア・クルド・ムスタクバル潮流のミシュアル・タンムー氏、のマフナド・フスニー弁護士、詩人のアリー・バルバーク氏(76歳)が含まれているという。

シリア政府の動き

信頼できる複数の消息筋が『ハヤート』(6月3日付)に述べたところによると、アサド大統領が設置した「国民対話委員会」が第1回会合を開き、対話の仕組みや形式に関して議論した。

議長はファールーク・シャルア副大統領が務めた。

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シリア・アラブ・テレビ(6月2日付)は、ヒムス市で破壊活動を行ったとする犯罪集団メンバーの証言映像を放映した。

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SANA(6月2日付)によると、トルコのアンタルア市で、反体制活動家による「シリア変革大会」の会場前で、ラタキア県殉教者バースィル・アサド国際空港から現地入りした若者約250人が抗議の座り込みを行った。

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SANA(6月2日付)によると、6月1日にヒムス県ラスタン市で武装テロ集団に殺害された兵士4人の葬儀が、ヒムス軍事病院で行われた。

国内の暴力

ヒムス県では、『ハヤート』(6月3日付)によると、ラスタン市で市民15人以上が殺害された。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官はチェコのカレル・シュワルツェンベルグ外相との会談後の記者会見で、「アサド政権の変革を期待するあらゆる人にとって、正統性は重要で不可欠な問題」としたうえで、この正統性が「消滅してはいないが、ほぼ失われた」と述べた。

クリントン国務長官はまた「アサドが改革を指導しない場合、去らねばならない」と明言し、「どこに?それは彼の問題だ」と付言した。

一方、シリア問題に関する決議案をめぐって国連安保理内で対立があると指摘し、「国際世論は現在一つではない…。我々は安保理の一部のメンバーと合意に達していない」と述べ、ロシアと中国との意見の不一致を示唆した。

そのうえで「我々の考え方に彼らを近づけようとしており、彼らが自分で決めねばならない…。我々は歴史の正しい側に身を置くべきだと考えている」と付け加えた。

さらに「もっとも強い調子で、(シリアの当局に対して)明確な行動をとるよう呼びかけ続ける。それは恩赦の宣言に限定されるものではなく、政治犯の釈放、恣意的逮捕の停止、人権監視団の(シリアへの)入国である」と国際社会に訴えた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、国際社会において「シリア体制転換を促そうとする試み」があると非難した。

インテルファクス通信(6月2日付)によると、ラブロフ外相は「国際社会は状況全体に目を向けねばならず、シリアの体制転換を求める動きを許すべきでない…。このような試みは現に存在し、我々はそれが停止されねばならないと考えている」と述べた。

また「シリアの体制だけでなく、反体制勢力にも自制を求めねばならない。なぜなら反体制勢力の武装集団も激しい暴力に訴えているからだ…。シリアは地域の軸となる国家で、その安定を揺るがそうとする試みは、悲惨な結果をもたらすだろう」と続けた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、アサド大統領による恩赦(5月31日)に歓迎の意を示しつつ、「包括的改革」を行うよう呼びかけた。

AFP, June 2, 2011、Akhbar al-Sharq, June 2, 2011、al-Hayat, June 3, 2011、Kull-na Shuraka’, June 2, 2011、Naharnet, June 2, 2011、Reuters,
June 2, 2011、SANA, June 2, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア・ムスリム同胞団を含む反体制勢力はアンタルヤ市で開催中の「シリア変革大会」で改めて「体制打倒」を呼びかける(2011年6月1日)

反体制勢力の動き

シリアの反体制勢力はトルコのアンタルヤ市で今日閉幕予定の「シリア変革大会」で、アサド大統領による恩赦など、政権が発表した諸措置を黙殺し、「体制打倒」を呼びかけた。

al-Hayat, June 2, 2011
al-Hayat, June 2, 2011

シリア・ムスリム同胞団指導部メンバーのムルヒム・ダルービー氏は演説で、「疑いの目をもって…政令第61号(大統領恩赦)を見たが…、それは遅きに失しており、しかも不十分である。実際に恩赦を必要としているのは、自由を求めるシリア国民なのか、国民を殺害したものなのか、と問いたい」と述べるとともに、「(恩赦の)目的はアンタルヤ大会を妨害することにある。アサドはこの決定が同胞団などへの賄賂になると考えていたのだろう」と疑義を呈した。

そのうえでダルービー氏は、「シリア解放の行程表作成」と自由、民主主義のための革命支援を主唱した。

シリア政府の動き

アサド大統領は、国民対話の基礎を作るための委員会の設置し、委員会メンバーとの会談で、シリアの政治、経済、社会生活の将来に関して「すべての国民諸勢力が自らの考えを表現する」にふさわしい雰囲気を提供するための一般的基礎を確立し、「参加拡大に寄与するような広範な変革を実現する」ことが同委員会の役割となると明言した。

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アサド大統領は決定第19号を発し、ムハンマド・ナージー・アトリー前首相に代えて、アーディル・サファル首相を進歩国民戦線中央指導部メンバーに任命した。

『イクティサーディー』(6月1日付)が伝えた。

国内の暴力

ダルアー県では、『ハヤート』(6月2日付)によると、フラーク市を軍の装甲車・戦車が砲撃し、11歳の児童マリク・ムニール・カッダーフくんを含む市民8人が死亡し、数十人が逮捕された。

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ヒムス県では、AFP(6月1日付)によると、5月31日にラスタン市で銃殺された市民の遺体数十体がヒムス市の病院に搬送された。

ラスタン市、タルビーサ市、ティールマアッラ村での4日間での死者数は36人に達するという。

一方、SANA(6月1日付)は、軍高官筋の話として、ラスタン市で、軍・治安部隊が武装テロ集団メンバー多数を摘発したと報じた。

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アレッポ県では、シリア言論犯容疑機構によると、アレッポ中央刑務所の収監者約7,000人が、「シリア国民と団結すべく反乱を起こし、監房を破壊し、複数の看守を人質にとった」が、治安部隊と兵士によって弾圧された。

同機構によると、「兵士・治安部隊千人が刑務所を包囲し、殴打や催涙ガスを使用し、総長に刑務所を制圧した」という。

レバノンの動き

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長がテレビ演説を行い、シリア情勢に関して「シリアで起きているのは分割だ。米国の陰謀が…成功してしまえば、この動きはサウジアラビアにさえも及ぶだろう…。しかし、シリア政府とシリア国民の意志ゆえに、この試練は乗り越えられるだろう」と述べた。

諸外国の動き

『ハヤート』(6月2日付)によると、UNICEFはシリアでの当局によるデモ弾圧で少なくとも30人が殺害されたと発表し、負傷、拘束、避難を余儀なくされているだけでなく殺害された児童たちの報告が増えていると警鐘をならした。

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『ハヤート』(6月2日付)によると、ヒューマン・ライツ・ウォッチはダルアー県でのデモ弾圧時にシリア当局が「人道に対する犯罪」を犯したと非難した。

同組織は「これほどの残虐行為をかつて見たことがない」と題した57ページからなる報告書で、治安部隊が殺害目的で発砲し、ダルアー市だけで少なくとも418人が殺害されたことを明らかにした。

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ハマースの政治局(ハーリド・ミシュアル政治局長)が5月31日、6月1日の2日間にわたり会合を開き、組織内部の対立への対応、シリア情勢などへの対応を協議した。

『ハヤート』(6月3日付)が、パレスチナの複数の消息筋から得た情報によると、会合には、ミシュアル政治局長のほか、マフムード・ズッハール氏を除く政治局メンバー(ガザ地区、西岸地区などの代表)が出席した。

シリア情勢をめぐっては、ダマスカスからの本部の移転を行わない旨、確認したという。

AFP, June 1, 2011、Akhbar al-Sharq, June 2, 2011、al-Hayat, June 2, 2011、June 3, 2011、al-Iqtisadi, June 1, 2011、Kull-na Shuraka’,
June 1, 2011、al-Manar, June 1, 2011、Naharnet, June 1, 2011、NNA, June 1,
2011、Reuters, June 1, 2011、SANA, June 1, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.