シリア・ロシア軍は爆撃を停止するも、ハマー県、イドリブ県、アレッポ県、ラタキア県では戦闘が続く(2019年6月17日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから48日目となる6月17日、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より21人(民間人1人、シリア軍兵士および反体制武装集団戦闘員20人)増えて1,621人となった。

うち、429人が民間人(女性90人、子供103人を含む)、555人がシリア軍兵士、675人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍は地上部隊が300回以上の砲撃を実施したが、シリア・ロシア両軍による爆撃は実施されなかった。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアルバイーン村、ジャビーン村、ラターミナ町、カフルズィーター市、ザカート村、ムーリク市を砲撃した。

一方、SANA(6月17日付)によると、シリア軍がカフルズィーター市にあるシャーム解放機構の拠点を砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシャフシャブー山、マルアンド村、ビダーマー町、スフーフン村、ファッティーラ村、ハーン・シャイフーン市、マアッラト・ハルマ村、ハザーリーン村、カルサア村を砲撃した。

一方、SANA(6月17日付)によると、シリア軍がカフルサジュナ村一帯で反体制武装集団を攻撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がザンマール町、フワイル・アイス村を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がトルコマン山にアイン・アシーラ村一帯のシリア軍拠点を攻撃し、兵士7人が死亡した。

また同地での戦闘で、反体制武装集団1人も死亡した。

これに関して、新興のアル=カーイダ系組織フッラース・ディーン機構、アンサール・ディーン戦線、アンサール・タウヒード、アンサール・イスラーム集団からなる「信者を煽れ」作戦司令室は声明を出し、シリア軍の海兵部隊に対する特殊作戦(自爆攻撃)を実施し、兵士9人を殺害したと発表した。

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ダルアー県では、ドゥラル・シャーミーヤ(6月17日付)によると、アトマーン村の和解委員会の委員長を務めるムハンマド・マフムード・ハーリー氏がヤードゥーダ村とムザイリーブ町を結ぶ街道で武装集団に襲われ、死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を14件(ラタキア県9件、ハマー県4件、アレッポ県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を23件(アレッポ県15件、ラタキア県1件、ハマー県7件)確認した。

AFP, June 17, 2019、ANHA, June 17, 2019、AP, June 17, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 17, 2019、al-Hayat, June 18, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, June 17, 2019、Reuters, June 17, 2019、SANA, June 17, 2019、SOHR, June 17, 2019、UPI, June 17, 2019などをもとに作成。

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