イドリブ県でのシリア軍と反体制派の戦闘は小康状態が続く(2019年9月17日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が一方的停戦を宣言してから17日目(爆撃を激化させてから138日目)を迎えた9月17日、シリア・ロシア軍は爆撃を実施しなかったが、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の散発的な戦闘は続き、シリア軍が反体制派拠点に対して190回以上の砲撃を行った。

シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より2人(民間人0人、シリア軍兵士1人、反体制武装集団戦闘員1人)増えて4,144人となった。

内訳は、民間人1,055人(うち女性189人、子供264人)、シリア軍兵士1,407人、反体制武装集団戦闘員1,673人。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がタフターヤー村で反体制武装集団と交戦する一方、ロシア軍偵察機が同地上空を旋回し、偵察活動を行った。

シリア軍地上部隊はまた、タッフ村、タッル・シャイフ村、ファルジャ村、ウンム・ジャラール村、ナキール村、カフルナブル市、ハーッス村、カフルルーマー村、アルマナーヤー村、ハザーリーン村、マアッラト・ハルマ村、カンスフラ村を砲撃・狙撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がサルマーニーヤ村、マンスーラ村を砲撃、これに対して反体制武装集団がフワイズ村のシリア軍拠点を砲撃した。

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ダルアー県では、HFL(9月18日付)によると、ダルアー市のバハール墓地近くでシリア軍第5軍団の兵士1人が何者かに撃たれて死亡した。

また、フラーク市でも、シリア政府と和解した元反体制武装集団メンバーの男性2人が何者かに撃たれて死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を37件(ラタキア県10件、アレッポ県10件、イドリブ県11件、ハマー県6件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を16件(ラタキア県3件、アレッポ県1件、イドリブ県8件、ハマー県4件)確認した。

AFP, September 17, 2019、ANHA, September 17, 2019、AP, September 17, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 17, 2019、HFL, September 17, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 17, 2019、Reuters, September 17, 2019、SANA, September 17, 2019、SOHR, September 17, 2019、UPI, September 17, 2019などをもとに作成。

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