メイ英首相「同盟国と事件を究明するために緊急の行動をとる…。化学兵器使用の責任者を制裁する必要がある」(2018年4月10日)

英国のテリーザ・メイ首相は、7日にダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市で発生した塩素ガス使用疑惑事件に関して「同盟国と事件を究明するために緊急の行動をとる」と述べた。

だが、米国がシリアへの軍事介入に踏み切った場合、同調するかとの問いに対しては、「我々は攻撃の責任者を制裁する必要があると思う」と述べるにとどまった。

AFP, April 10, 2018、ANHA, April 10, 2018、AP, April 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 10, 2018、Europe 1, April 10, 2018、al-Hayat, April 11, 2018、Reuters, April 10, 2018、SANA, April 10, 2018、UPI, April 10, 2018などをもとに作成。

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ロシアのボグダノフ外務副大臣は8日のイスラエル軍によるタイフール航空基地爆撃を受け、外務省にイスラエル大使を呼び出す(2018年4月10日)

ロシアのミハイル・ボグダノフ外務副大臣は、9日のイスラエル軍によるヒムス県タイフール航空基地への爆撃をめぐって、駐モスクワ・イスラエル大使をモスクワの外務省に呼び出した。

ボグダノフ外務副大臣はこれに先だって「我々はシリアについて話すためだけにイスラエル大使を呼び出した…。同地情勢は急速に進展、変化している」と述べる一方、イスラエル軍によるタイフール航空基地爆撃の是非については「あらゆることを議論するが、事態「だけ」を協議する」と述べ、議題とすることを否定した。

AFP, April 10, 2018、ANHA, April 10, 2018、AP, April 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 10, 2018、al-Hayat, April 11, 2018、Reuters, April 10, 2018、SANA, April 10, 2018、UPI, April 10, 2018などをもとに作成。

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フォード前駐シリア米大使「米国諜報機関はアサド大統領の居場所を把握してない」(2018年4月10日)

ロバート・フォード前駐シリア米大使は、米国諜報機関がアサド大統領の居場所を把握してないと暴露した。

CNN(4月10日付)によると、フォード前大使は、ダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市での塩素ガス使用疑惑を受けて米軍が爆撃を行った場合、「米国の決定が断固たるもので、冗談ではないということをアサド大統領にメッセージとして伝えることになるだろう。彼は今後は、化学兵器を使う前に何度も考えることを余儀なくされるはずだ」と述べた。

AFP, April 10, 2018、ANHA, April 10, 2018、AP, April 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 10, 2018、al-Hayat, April 11, 2018、Reuters, April 10, 2018、SANA, April 10, 2018、UPI, April 10, 2018などをもとに作成。

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ロシア軍はシリア領空での米軍の行動を妨害、米軍はトマホーク弾道ミサイルを艦載する駆逐艦をシリア沖に派遣(2018年4月10日)

NBC(4月10日付)は、ロシア軍の無人航空機がシリア領空での米軍航空機の行動を妨害している、と伝えた。

同チャンネルが4人の米高官の話として伝えたところによると、複数の米軍航空機が、ダマスカス郊外県東グータ地方での一連の化学兵器攻撃以降、数週間にわたってロシア軍の無人航空機の妨害を受けているという。

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CNN Turk(4月10日付)は、トマホーク弾道ミサイルを60発を艦載する米海軍の駆逐艦ドナルド・クックがキプロスのラルナカ港からシリア方面に向かったと伝えた。

同艦は、タルトゥース県の海岸沖100キロの地点に到着、ロシア軍戦闘機4機がその上空を旋回し警戒にあたったという。

al-Durar al-Shamiya, April 10, 2018

AFP, April 10, 2018、ANHA, April 10, 2018、AP, April 10, 2018、CNN Turk, April 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 10, 2018、al-Hayat, April 11, 2018、MSNBC, April 10, 2018、Reuters, April 10, 2018、SANA, April 10, 2018、UPI, April 10, 2018などをもとに作成。

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ロシアのボグダノフ外務副大臣「米国がシリアに軍事介入に踏み切った場合、直接対峙する可能性もある」(2018年4月10日)

ロシアのミハイル・ボグダノフ外務副大臣は、米国がシリアに軍事介入に踏み切った場合、直接対峙する可能性もある、と述べた。

ボグダノフ副大臣は「ロシアはシリア情勢がロシアと米国の軍事対決にいたるレベルにまで悪化しないことを希望している…。ロシアは現在もシリアへの対応をめぐって米国と実質的な連絡をとりあっている。米国において知性が勝ることをロシア側は希望している…。メディアでの捏造がシリア情勢を悪化させるために利用されている…。これは受け入れることができず、極めて危険だ」と述べた。

スプートニク・ニュース(4月10日付)が伝えた。

AFP, April 10, 2018、ANHA, April 10, 2018、AP, April 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 10, 2018、al-Hayat, April 11, 2018、Reuters, April 10, 2018、SANA, April 10, 2018、Sputnik News, April 10, 2018、UPI, April 10, 2018などをもとに作成。

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トルコのエルドアン大統領「時が来たらアフリーンを住民に返還するが、その時期を決めるのは我々であって、ラヴロフ露外相ではない」(2018年4月10日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は首都アンカラでの与党公正発展党(AKP)の議員との会合後、1月に開始した「オリーブの枝」作戦で実質占領したアレッポ県アフリーン市および同地一帯地域の処遇に関して「我々は時が来たら、アフリーンを住民に返還する。我々がその時期を決めるのであって、(ロシアのセルゲイ・)ラブロフ外務大臣ではない」と述べた。

エルドアン大統領はまた、「まずは話さねばならないのは、その他の国の支配下にある地域をシリアに返還することだ」と付言した。

『ハヤート』(4月11日付)が伝えた。

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トルコのバクル・ブズダー副首相兼内閣報道官も、シリアの危機が終息したら撤退し、「もといた住民」に自治を委ねると述べた。

TRT(4月10日付)によると、ブズダー副首相兼内閣報道官は、「今もっとも重要なのは、危機の政治的な出口を作り出すことだ。それを作り出し次第、我々はそこ(アフリーン郡)から撤退する…。トルコはアフリーン市をもといた住民に引き渡すだろう。「ユーフラテスの盾」作戦で浄化した地域でも同じことをした。住民たちがアフリーン市の自治を担い、彼らが発足させるであろう評議会を通じて同市のニーズに対応する。トルコは彼らにあらゆる支援を提供する」と述べた。

ブズダー副首相兼内閣報道官はまた「シリアは権力の真空に苛まれている。我々はそこに占領者としてやって来た訳ではない。そこに居座る計画はない。我々はシリアの領土の一体性を尊重する」と付言した。

AFP, April 10, 2018、ANHA, April 10, 2018、AP, April 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 10, 2018、al-Hayat, April 11, 2018、Reuters, April 10, 2018、SANA, April 10, 2018、TRT, April 10, 2018、UPI, April 10, 2018などをもとに作成。

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イランのヴェラーヤティー最高指導者顧問「欧米はシリア軍の勝利に怒り、シリア軍が化学兵器を使用したとのウソをついている」(2018年4月10日)

イランのアリー・アクバル・ヴェラーヤティー最高指導者顧問はシリアを訪問し、ムハンマド・アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣と会談した。

会談後、7日にダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市で発生した塩素ガス使用疑惑事件に関して言及、米国と一部西側諸国による「ウソ」と非難、シリア政府が化学兵器を使用したとの嫌疑が、シリア軍とその同盟者の「テロとの戦い」における勝利への怒りに起因すると断じた。

SANA, April 10, 2018

SANA(4月10日付)が伝えた。

AFP, April 10, 2018、ANHA, April 10, 2018、AP, April 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 10, 2018、al-Hayat, April 11, 2018、Reuters, April 10, 2018、SANA, April 10, 2018、UPI, April 10, 2018などをもとに作成。

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OPCWはドゥーマー市での塩素ガス使用疑惑事件の真相究明のため調査チームを派遣する意向を表明(2018年4月10日)

化学兵器禁止機関(OPCW)は声明を出し、7日にダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市で発生した塩素ガス使用疑惑事件に関して、調査チームを派遣する意思を表明した。

声明によると、OPCWが事件発生の報が流れた当初から情報収集を行うとともに、アフメト・ウズムジュ事務総長が、真相究明のための調査チームを派遣することを検討してきたとしたうえで、シリア政府に対して派遣に必要な調整を行うよう要請、これと時を同じくしてシリア政府とロシアもOPCWによる調査を要請したという。

AFP, April 10, 2018、ANHA, April 10, 2018、AP, April 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 10, 2018、al-Hayat, April 11, 2018、Reuters, April 10, 2018、SANA, April 10, 2018、UPI, April 10, 2018などをもとに作成。

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シリア政府はOPCWにドゥーマー市での塩素ガス使用疑惑事件の調査を正式要請、ロシアも同地への専門家の派遣を定めた安保理決議案を国連安保理に提出する意向を表明(2018年4月10日)

シリアの外務在外居住者省は、7日にダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市で発生した塩素ガス使用疑惑事件に関して、化学兵器禁止機関(OPCW)に調査チームの現場への派遣を正式に要請した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣も、同地でへの専門家の派遣を定めた安保理決議案を国連安保理に提出する意向を示した。

AFP, April 10, 2018、ANHA, April 10, 2018、AP, April 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 10, 2018、al-Hayat, April 11, 2018、Reuters, April 10, 2018、SANA, April 10, 2018、UPI, April 10, 2018などをもとに作成。

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国連安保理でドゥーマー市での塩素ガス使用疑惑事件への対応協議:ロシアは独立国際調査機関設置に向けた米提案の決議案に拒否権発動(2018年4月10日)

国連安保理は9日から10日にかけて、7日にダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市で発生した塩素ガス使用疑惑事件への対応を協議するための緊急会合を開いた。

会合では、シリア国内での化学兵器の使用実態を調査するための「独立国際調査機関」(UNIMI)の設置を定めた米国提案の安保理決議案が審議された。

だが、決議案は、ロシアが拒否権を発動し否決された。

SANA, April 10, 2018

採決では、ボリビアも反対を表明、中国は棄権した。

採決に先立ち、ロシアのワシーリー・ネベンジャ国連大使は、決議案に関して2017年11月に安保理で任期延長が否決された国連とOPCWの合同査察機構(JIM)が有していたすべての欠点が依然としてあるとして、拒否の姿勢を示していた。

AFP, April 10, 2018、ANHA, April 10, 2018、AP, April 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 10, 2018、al-Hayat, April 11, 2018、Reuters, April 10, 2018、SANA, April 10, 2018、UPI, April 10, 2018などをもとに作成。

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ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは4件の停戦違反を、トルコ側は3件の違反を確認(2018年4月10日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(4月10日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を4件(ラタキア県)確認したと発表した。

またトルコ側の監視チームも3件(ダルアー県2件、ヒムス県1件)の停戦違反を確認したという。

一方、過去24時間にアレッポ県の1カ村の代表がシリア政府との停戦合意に署名した。

これにより、シリア政府との停戦に応じた自治体は2,500市町村、武装組織の数は234組織に達したという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, April 10, 2018をもとに作成。

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メイ英首相「化学兵器を使用するアサド政権を支援するロシアにも制裁を科すべき」(2018年4月9日)

英国のテリーザ・メイ首相は訪問先のデンマークで、7日に発生したダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市での塩素ガス使用疑惑事件に関して「シリア政府を支援する国々を制裁」するよう呼びかけた。

メイ首相は「事態はアサド政権の蛮行に関わる問題だ…。もちろん、ロシアもその支援国の一つだ…。この野蛮な、国民を攻撃している。我々はこの政権、そしてその支援国にも制裁を科す必要があると明らかに認識している」。

AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

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トルコのエルドアン大統領とロシアのプーチン大統領は電話会談でシリアでの塩素ガス使用への対応を協議(2018年4月9日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はロシアのヴラジミール・プーチン大統領と電話会談を行い、7日に発生したダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市での塩素ガス使用疑惑事件などへの対応について意見を交わした。

アナトリア通信(4月9日付)によると、会談では、東グータ地方での市民殺害を停止することが重要との点で一致、シリアでの事態収拾に向けて引き続き意見を交換することを確認した。

AFP, April 9, 2018、Anadolu Ajansı, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

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米国はシリアでの化学兵器使用を調査するための「独立国際調査機関」(UNIMI)設置を定めた安保理決議案を回付(2018年4月9日)

米国は、ダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市で7人に発生した塩素ガス使用疑惑事件への対応を協議するための国連安保理緊急会合に先立って、シリア国内での化学兵器の使用実態を調査するための「独立国際調査機関」(UNIMI)の設置を定めた安保理決議案を常任・非常任理事国に回付した。

AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

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ロシアのラヴロフ外務大臣「目的を達成したと言ったトルコはアフリーン郡をシリア政府に返還すべき」(2018年4月9日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、記者会見で、トルコによるアレッポ県アフリーン郡の実質占領に関して、アサド政権に同郡を引き渡すよう呼びかけた。

RT(4月9日付)が伝えたところによると、ラブロフ外務大臣は「(ロシア・イラン・トルコ首脳会談で)トルコ側代表は、自らが設定した目標がそこ(アフリーン郡)で実現したと述べた。であれば、すべての領土をシリア政府の支配下に返さねばならない」と述べた。

一方、ダマスカス郊外県東グータ地方で7日に発生した塩素ガス使用疑惑事件に関しては、「ロシア軍はこれまでに何度も、シリア政府が有毒化学物質を市民に対して使用したとの嫌疑をかけるための挑発行為の準備をしていると警告してきた…。負傷者が登場し、何の防護もしていない人が治療にあたっているのに負傷しない映像を見ると、ホワイト・ヘルメットとして知られる面々が過去に配信した映像を思い出す」と述べた。

また、イスラエル軍の爆撃に関しては、「非常に危険な展開」と非難、「公然、非公然のさまざまな目的を持った招かれざるプレーヤーがシリアにいる…。少なくとも米軍、そして有志連合に参加するその他の国の軍が事態を理解することを望む」と述べた。

AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、RT, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

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トランプ米大統領「シリアでの塩素ガス使用に対して24~48時間以内に重大な決断をする」(2018年4月9日)

ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスで開いた閣議の冒頭、ダマスカス郊外県東グータ地方で7日に発生した塩素ガス使用疑惑事件について「残忍で凶悪」と改めて非難、「今後24~48時間以内に重大な決断をする」との考えを示した。

トランプ大統領はまた「我々はドゥーマーの攻撃の背後にロシア、シリア、イラン、あるいはこれらすべてがいるかを突き止める」と強調した。

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ジャームズ・マティス米国防長官も、「現時点でいかなることも排除しない。まず協議しなければならないのは、ロシアが化学兵器引き渡しを保証する当時国だったにもかかわらず、なぜ今も化学兵器が使用されているのかということだ」と述べ、ロシアに批判的な姿勢を示した。

AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

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シリア駐留ロシア軍司令部当事者和解調整センター「ロシア軍医が患者を検査した結果、東グータ地方で化学兵器が使用されていなかったことが判明」(2018年4月9日)

ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置されている当事者和解調整センターは声明を出し、7日にダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市でシリア軍(およびロシア軍)が塩素ガスを使用したとの主張や報道に関して、ドゥーマー市での病院で治療を受けた患者に対してロシア軍の軍医が検査を行った結果、有毒ガスの症状が検出されなかったと発表した。

AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

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イスラエル軍戦闘機がロシア軍とイラン・イスラーム革命防衛隊も駐留するヒムス県中部のタイフール航空基地を爆撃、シリア軍がミサイル5発を撃墜するも、イラン人など14人が死亡(2018年4月9日)

SANA(4月9日付)は、シリア軍消息筋の話として、イスラエル軍のF-15戦闘機複数機がレバノン領空を侵犯し、ヒムス県中部のタイフール航空基地(T4、ティヤース航空基地)に対してミサイル攻撃を試みたが、シリア軍が防空兵器により迎撃し、ミサイルの一部を打ち落としたと伝えた。

イスラエル軍の攻撃では、複数の市民に死傷者が出たという。

これに先立ち、シリア・アラブ・テレビ(4月9日付)は、爆撃に関して「米国によると思われる」と速報で伝えたが、米国防総省は声明でただちにこれを否定した。

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これを受け外務在外居住者省は、国連事務総長と安保理議長に書簡を送り、イスラエル軍の越境攻撃について報告、「イスラエルの攻撃は…米国による無制限の支援がなければ行われ得ない」と非難、「シリアに対して繰り返されるイスラエルの攻撃をもってしても、イスラエルのパートナー、そしてその手先であるテロ組織を守ることに成功しなかったし、これからも成功はしない」と警告した。

そのうえで、国連安保理に対して、イスラエルの攻撃を非難するために自らの責任を果たすよう呼びかけた。

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ロシア国防省はこれと前後して声明を出し、イスラエル軍のF-15戦闘機2機がレバノン領空を侵犯し、同僚空からヒムス県中部のタイフール航空基地に向けてミサイル8発を発射したことを明らかにした。

これに対して、シリア軍の防空部隊が迎撃し、ミサイル5発を撃墜したが、3発が航空基地の西側に着弾した。

この爆撃で14人が死亡したが、航空基地に進駐しているロシア軍顧問に死傷者はなかったという。

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一方、レバノン軍司令部は、イスラエル軍戦闘機4機が午前3時35分にジューニエ市(レバノン山地県)西方の地中海上空から侵犯したと発表した。

またNNA(4月9日付)によると、領空侵犯したイスラエル軍戦闘機は、午前3時頃から4時頃までの約1時間、ナバティーヤ県上空などで旋回を続けた。

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イランのファルス通信(4月9日付)によると、この爆撃でイラン人3人が死亡したと伝え、その氏名(サイエド・アンマール・モーサヴィー、アクバル・ザウワール・ジャンナティー、マフディー・ロトフィー・ニヤーセル)を発表した。

またメフル通信(4月9日付)も、イラン・イスラーム革命防衛隊の大佐(氏名は明らかにせず)が死亡したと伝えた。

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なお、イスラエル側は空爆への関与についてのコメントを避けている。

だが米国のABC(4月9日付)は、米複数高官の話として、イスラエル軍が爆撃実施に関して、米国政府に事前に通知していた、と伝えた。

syria.liveuamap.com, April 8, 2018

ABC, April 9, 2018、AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、FARS, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Mehr News Agency, April 9, 2018、NNA, April 9, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

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ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは9件の停戦違反を、トルコ側は3件の違反を確認(2018年4月9日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(4月9日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を9件(ダマスカス県・ダマスカス郊外県2件、ラタキア県4件、アレッポ県3件)確認したと発表した。

またトルコ側の監視チームも3件(ダマスカス県・ダマスカス郊外県2件、ハマー県1件)の停戦違反を確認したという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, April 9, 2018をもとに作成。

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共和党のマケイン米上院議員「トランプ大統領がシリアから撤退すると言った途端、アサド政権が化学兵器を使用した」(2018年4月8日)

共和党のジョン・マケイン米上院議員は、自身のツイッターのアカウント(https://twitter.com/SenJohnMcCain/)で、「@POTUS(ドナルド・トランプ米大統領のツイッターのアカウント)がシリアからの撤退を誓約すると、ロシアとイランを後ろ盾とするアサド(大統領)は、ドゥーマーでさらなる戦争犯罪を犯した。@POTUSは去年の化学兵器攻撃の際は対応した。彼は再び何かすべきで、蛮行を行ったアサドに代償を払わせるべきだ」と綴った。

AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

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トルコはジャラーブルス市(アレッポ県)へのイスラーム軍の受け入れを拒否、戦闘員はシャーム解放機構支配下のイドリブ県北部へ(2018年4月8日)

反体制系サイトのイナブ・バラディー(4月8日付)は、トルコ政府が、ダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市から退去しているイスラーム軍の戦闘員をアレッポ県ジャラーブルス市に受け入れることを拒否した、と伝えた。

同サイトによると、この決定は、トルコ政府とイスラーム軍の協議を受けたもので、これによりイスラーム軍の戦闘員は、アレッポ県ではなく、イドリブ県のザーウィヤ山一帯に移動する予定で、同地を支配するアル=カーイダ系のシャーム解放機構との衝突を回避するための調整が行われるという。

ただし、イスラーム軍とともに退去した民間人(戦闘員の家族)はアレッポ県に受け入れられるという。

AFP, April 8, 2018、ANHA, April 8, 2018、AP, April 8, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2018、al-Hayat, April 9, 2018、‘Inab Baladi, April 8, 2018、Reuters, April 8, 2018、SANA, April 8, 2018、UPI, April 8, 2018などをもとに作成。

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ドゥジャリーク国連事務総長報道官「塩素ガス使用の情報を事実確認できないとしても、特別な懸念を表明する」(2018年4月8日)

ステファン・ドゥジャリーク国連事務総長報道官はダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市でシリア軍(およびロシア軍)が塩素ガスを使用したとの主張や報道に関して声明を出し、「アントニオ・グテーレス事務総長はすべての当事者に戦闘の停止の事態収拾を呼びかけている…。住民に対して化学兵器が使用されたとの主張に対して、これらの情報を事実確認できないとしても、特別な懸念を表明している。事務総長は、いかなる化学兵器であれ、その使用が確認された場合、それは不名誉なことで、具体的な調査が必要となる」と表明した。

AFP, April 8, 2018、ANHA, April 8, 2018、AP, April 8, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2018、al-Hayat, April 9, 2018、Reuters, April 8, 2018、SANA, April 8, 2018、UPI, April 8, 2018などをもとに作成。

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トルコ副首相「シリアでの化学兵器使用が今回も何の報復もないままで済まされないことを願っている」(2018年4月8日)

トルコのバクル・ブズダー副首相兼内閣報道官は、ダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市でシリア軍(およびロシア軍)が塩素ガスを使用したとの主張や報道に関してツイッターのアカウントで「我々はアサド政権が行った化学兵器による攻撃が、今回も何の報復もないままで済まされないことを願っている」と綴った。

AFP, April 8, 2018、ANHA, April 8, 2018、AP, April 8, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2018、al-Hayat, April 9, 2018、Reuters, April 8, 2018、SANA, April 8, 2018、UPI, April 8, 2018などをもとに作成。

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カタール外務省:シリアでの戦闘犯罪者の国際法廷への提訴を求める(2018年4月8日)

カタール外務省は、ダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市でシリア軍(およびロシア軍)が塩素ガスを使用したとの主張や報道に関して声明を出し、攻撃を厳しく非難、「シリアの戦争犯罪者を国際法廷に提訴」することを呼びかけた。

AFP, April 8, 2018、ANHA, April 8, 2018、AP, April 8, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2018、al-Hayat, April 9, 2018、Reuters, April 8, 2018、SANA, April 8, 2018、UPI, April 8, 2018などをもとに作成。

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サウジアラビア外務省高官:ドゥーマ市での塩素ガス使用を非難、国際社会にシリアでの民間人保護に向けた責任を果たすよう求める(2018年4月8日)

サウジアラビア外務省の高官筋は、ダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市でシリア軍(およびロシア軍)が塩素ガスを使用したとの主張や報道に関して、「深刻な懸念」を表明、「攻撃を厳しく非難する」としたうえで、「ジュネーブ宣言(2014年)と国連安保理決議第2254号に従った平和的解決をもってこうした悲劇を停止する必要」があると強調、「国際社会にシリアでの民間人保護に向けた責任を果たすことが肝要」と述べた。

SPA(4月8日付)が伝えた。

AFP, April 8, 2018、ANHA, April 8, 2018、AP, April 8, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2018、al-Hayat, April 9, 2018、Reuters, April 8, 2018、SANA, April 8, 2018、SPA, April 8, 2018、UPI, April 8, 2018などをもとに作成。

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ル・ドリアン仏外相「フランスは化学兵器拡散に対する戦いの名のもとに自らの責任を果たす」(2018年4月8日)

フランスのジャン=イヴ・ル・ドリアン外務大臣は、ダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市でシリア軍(およびロシア軍)が塩素ガスを使用したとの主張や報道に関して、アラビーヤ(4月8日付)に対し、「国際人道法への違反」としたうえで、「フランスはこれまで表明してきた自らの責任を放棄しない…。化学兵器拡散に対する戦いの名のもとに自らの責任を果たす」と述べた。

AFP, April 8, 2018、Alarabia, April 8, 2018、ANHA, April 8, 2018、AP, April 8, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2018、al-Hayat, April 9, 2018、Reuters, April 8, 2018、SANA, April 8, 2018、UPI, April 8, 2018などをもとに作成。

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英外務省:ドゥーマー市での塩素ガス使用を非難、緊急調査の実施を求める(2018年4月8日)

英国外務省は、ダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市でシリア軍(およびロシア軍)が塩素ガスを使用したとの主張や報道に関して、声明を出し、アサド政権の蛮行を非難、緊急調査の実施と国際社会の対応を呼びかけるとともに、アサド政権、ロシア、イランに民間人への攻撃を停止するよう求めた。

AFP, April 8, 2018、ANHA, April 8, 2018、AP, April 8, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2018、al-Hayat, April 9, 2018、Reuters, April 8, 2018、SANA, April 8, 2018、UPI, April 8, 2018などをもとに作成。

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ボサート米ホワイト・ハウス補佐官「我々は現在攻撃を検討している。何一つ排除しない」、ヘザー国務省報道官最終的にはロシアに責任がある(2018年4月8日)

米ホワイト・ハウスのトーマス・ボサート国土安全保障対テロ担当補佐官は、ダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市でシリア軍(およびロシア軍)が塩素ガスを使用したとの主張や報道に関して、ABC(4月8日付)の番組「ディス・ウィーク」で、「シリアの東グータ地方にある反体制派支配下の都市に対して化学兵器の攻撃がなされたとの新たな報告を受けて、ミサイル攻撃を行う可能性を排除しない」と述べた。

ボサート補佐官は「我々は現在攻撃を検討している。何一つ排除しない」と付言した。

al-Durar al-Shamiya, April 8, 2018

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米国防総省のヘザー・ノーアート報道官はまた、「恐るべき攻撃」としたうえで、「もし事実だと確認されたら国際社会はただちに対応する必要がある」と述べた。

ノーアート報道官は「アサド政権とそれを支援するロシアに責任がある。それ以外の攻撃も直ちに停止させる必要がある…。最終的にはロシアに責任がある」とも述べた。

ABC, April 8, 2018、AFP, April 8, 2018、ANHA, April 8, 2018、AP, April 8, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2018、al-Hayat, April 9, 2018、Reuters, April 8, 2018、SANA, April 8, 2018、UPI, April 8, 2018などをもとに作成。

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トランプ米大統領「アサド政権による塩素ガス使用の責任はロシアとイランにもある…大きな代償を払うことになるだろう」(2018年4月8日)

ドナルド・トランプ米大統領は、ダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市でシリア軍(およびロシア軍)が塩素ガスを使用したとの主張や報道に関して、ツイッターのアカウントを通じて、アサド政権を批判するとともに、ロシアとイランにも責任があると追及、大きな代償を払うだろうと警告した。

トランプ大統領はツイッターで以下のように綴った。

Many dead, including women and children, in mindless CHEMICAL attack in Syria. Area of atrocity is in lockdown and encircled by Syrian Army, making it completely inaccessible to outside world. President Putin, Russia and Iran are responsible for backing Animal Assad. Big price…
<blockquote class=”twitter-tweet” data-lang=”ja”><p lang=”en” dir=”ltr”>Many dead, including women and children, in mindless CHEMICAL attack in Syria. Area of atrocity is in lockdown and encircled by Syrian Army, making it completely inaccessible to outside world. President Putin, Russia and Iran are responsible for backing Animal Assad. Big price…

— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2018年4月8日

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トランプ大統領はまた、フランスのエマニュエル・マクロン大統領と電話で協議し、化学兵器使用に関し「アサド政権が責任を負うべき」との認識で一致し、「強力な合同の対抗措置」の実施も確認した。

AFP, April 8, 2018、ANHA, April 8, 2018、AP, April 8, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2018、al-Hayat, April 9, 2018、Reuters, April 8, 2018、SANA, April 8, 2018、UPI, April 8, 2018などをもとに作成。

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ロシア外務省「化学兵器使用疑惑はテロリストを擁護し、外国によるシリアへの攻撃を正当化することが目的…捏造されたウソを口実とするシリアへの軍事介入はロシアが駐留するなかで決して許されない」(2018年4月8日)

ロシア外務省は、ダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市でシリア軍(およびロシア軍)が塩素ガスを使用したとの主張や報道に関して、「捏造で外国の武力行使を正当化しようとするもの」と批判、「このような挑発は、テロリストを擁護し、外国によるシリアへの攻撃を正当化することが目的だと警鐘を鳴らしてきた」としたうえで、「こうした捏造されたウソを口実とする外国の介入は、合法的な政府の要請に基づいてロシア軍がシリアに駐留するなかで、決して受け入れられない」と発表した。

AFP, April 8, 2018、ANHA, April 8, 2018、AP, April 8, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 8, 2018、al-Hayat, April 9, 2018、Reuters, April 8, 2018、SANA, April 8, 2018、UPI, April 8, 2018などをもとに作成。

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