イドリブ県の反体制派支配地域で新型コロナウイルス感染予防策進まず(2020年3月21日)

「イドリブ保健局」(Mudiriya Sihha Idlib、https://www.facebook.com/Idleb.Health.Directorate/ムンズィル・ハリール局長)は声明を出し、イドリブ県内の「解放区」において新型コロナウイルスの感染者は確認されていないと発表した。


声明は「解放区」内での感染拡大の噂が広まるなかで発表された。

イドリブ保健局はまた「一部病院で予防策が取られているのは当然のことだ。これは感染が疑われる患者と接するにあたって行われている」と付言した。

そのうえで、「我々はすべての関係機関、住民に信用できない筋が発信する情報を拡散しないよう、また噂を鵜呑みにしないよう求める…。イドリブ保健局は感染者が確認された場合、公式に発表する」と強調した。

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イドリブ保健局はこれに先だって、新型コロナウイルス感染に備えて、医療体制を強化すると発表、住民に通院・手術のスケジュールの変更を呼びかけるとともに、感染が疑われる場合の通院方法について告知した。

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シリア人権監視団は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県の反体制派支配地では、ほとんどの住民が、新型コロナウイルスの世界的な感染に対して関心を向けないまま生活を続けていると発表した。

「イドリブ県の保健局」(Mudiriya al-Sihha bi-Idlib)によると、感染を予防するためのマスクや医療用手袋はほとんどなく、また値段も高騰しているほか、感染者の隔離や治療が可能な医療施設、病院十分ではない。

また、市場、公園、病院、モスクは、通常通り住民で賑わっており、感染拡大が予想される現状を踏まえていかなる決定も下されていない。

イドリブ大学も授業の中止には踏み切っていない。

なお「イドリブ県の保健局」が上記のイドリブ保健局と同一機関なのかは不明。

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トルコのガジアンテップで活動する暫定内閣のアブドゥッラフマーン・ムスタファー首班は、住民に必要のない外出を控えて、自宅にとどまるよう呼びかけて、状況次第では外出禁止令を発出すると表明している。

だが、イドリブ県の反体制派支配地は、暫定内閣ではなく、シリア救国内閣や地元の評議会が自治を担っており、暫定内閣の呼びかけにはほとんど効果がない。

暫定内閣はシリア革命反体制勢力国民連立(シリア国民連合)傘下組織で、同内閣の保健省は、「イドリブ保健局」(Mudiriya Sihha Idlib)を所轄している。

この保健局は通称「自由イドリブ保健局」(Mudiriya Sihha Idlib al-Hurra)と呼ばれている。

シリア救国内閣はシャーム解放機構に自治を委託されている組織。

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シリア人権監視団によると、反体制派の支配地には400万人が暮らしており、その半数以上が国内避難民(IDPs)としてキャンプでの生活を余儀なくされているという。

AFP, March 21, 2020、ANHA, March 21, 2020、AP, March 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 21, 2020、Reuters, March 21, 2020、SANA, March 21, 2020、SOHR, March 21, 2020、UPI, March 21, 2020などをもとに作成。

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