SANA(5月16日付)は、大統領選挙に立候補しているアブドゥッラー・サッルーム・アブドゥッラー氏、アサド大統領、マフムード・マルイー氏が選挙活動を開始したと伝えた。
アブドゥッラー氏は「我々の力は我々の統合によって」、アサド大統領は「希望は労働によって」、マルイー氏は「ともに」をスローガンとして選挙戦に臨み、各県の街頭には、三候補のポスターが掲示され、インターネット上でも画像が拡散された。
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このうち、マルイー氏は、ロシアのスプートニク・ニュース(5月15日付)、国営のシリア・テレビ(5月15日付)、そして英国を拠点とする反体制系NGOのシリア人権監視団への取材に応じ、自らの選挙綱領を明らかにした。
マルイー氏はスプートニク・ニュースに対して、愛国的共通項の強調、言論犯の釈放、反体制派の真の参加を通じた国民統合の強化、外国の占領との戦い、首都ダマスカスでの政府と国内外の反体制派の対話会合を通じた危機の解決と復興の実現、イスラーム教徒以外も大統領選挙への立候補を可能とする法律改正の改正、三権分立の拡充をめざすと述べた。
一方、野党の青年建設変革党(バールウィーン・イブラーヒーム書記長)が、マルイー氏が「立候補届出時にシリア・アラブ共和国に10年以上継続して居住していること」ことを定めた憲法第84条第5項に反しているとして、最高憲法裁判所に異議申し立て提出したことについては、次のように述べた。
彼らは反体制派ではないし、1日たりとも反体制派であったという過去はない。彼らは逮捕されたこともないし、シリアの反体制派に何も与えていない。
彼らは認可を受けた政党に過ぎず、異議申し立ての資格もない。彼らは立候補者でもないし、彼らの政党から立候補者を擁立していないからだ。
シリア人権監視団の取材に対しては、以下のように述べた。
私はシリア国内の愛国的な反体制派の立候補者で、シリアの主権、統合、独立を支持し、米国、トルコ、イスラエルの占領に反対し、シリア国民に対して米国とその同盟国が科している経済制裁に反対する。
私は、政治犯、言論犯の釈放を重視する。
選挙綱領を通じて、反体制派が真に、そして真摯に参加するかたちでの挙国一致政府の樹立、三権分立、ダマスカスでのシリア人どうしの対話を表明している。
私はこうした主張(選挙は違法で、ボイコットすべきだとの主張)を拒否する。
選挙結果がすでに決まっている一部に非難には対応しない。
AFP, May 16, 2021、ANHA, May 16, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 16, 2021、Reuters, May 16, 2021、SANA, May 16, 2021、SOHR, May 16, 2021、Sputnik News, May 16, 2021などをもとに作成。
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