ボレルEU外務・安全保障政策上級代表はシリア大統領選挙を「真の民主的投票の基準を満たしておらず、紛争解決に資さない」と非難、欧州理事会は政府要人らへの制裁を1年延長(2021年5月27日)

ジョセップ・ボレル欧州連合外務・安全保障政策上級代表は声明を出し、5月26日に投票が行われたシリアの大統領選挙に関して、「真の民主的投票の基準を満たしておらず、紛争解決に資さない」と非難した。

声明の内容は以下の通り。

5月26日にシリアで行われた選挙は、真に民主的な投票の基準を満たしておらず、紛争の解決に資さない。シリアでの選挙は、国連安保理決議第2254号に沿って、真の政治プロセスの枠組みの中でのみ行われるべきである。選挙は、国内避難民(IDPs)、難民、ディアスポラを余儀なくされた人々を含むすべてのシリア人が、脅迫を受けない安全且つ中立的な環境のもと、自由で公正な政治的競争のなかで、参加できる場合にのみ、信頼できるものとなる。

EUは、昨日の選挙がシリア紛争の持続可能な解決策を見つける努力を弱めると考える。それが、シリアの体制との国際的な関係正常化措置によってもたらされることはあり得ない。政治的プロセスは、シリアの社会のすべての成員が国の将来の統一と和解の実現に関与することを確固たるものとするため、完全に包括的でなければならない。

EUは、国連安保理決議第2254号に従い、国連監視下で、最高の国際的水準の透明性と説明責任に従い、ディアスポラを余儀なくされた人々を含むすべてのシリア人が参加するかたちでの自由で公正な選挙をシリアで支援する用意がある。

EUは抑圧の停止、拘束者の解放、シリアの体制およびその同盟者が国連安保理決議第2254号の完全実施に向けて意味のある取り組みを行うことを要求し続ける。EUは同決議のすべての面を進展させるため、ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表による取り組みを支援する。

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欧州理事会は、シリア政府の首脳や関係者・機関(283人、70団体)に対する資産凍結や渡航禁止といった制裁を2022年6月1日まで延長することを決定した。

AFP, May 27, 2021、ANHA, May 27, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 27, 2021、Reuters, May 27, 2021、SANA, May 27, 2021、SOHR, May 27, 2021などをもとに作成。

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