2014年4月2日のシリア情勢:シリア政府の動き

アサド大統領はシリア正教アンティオキア全東方総主教区のイグナティウス・アフレム2世カリーム総主教を団長とするシリア正教使節団とダマスカスで会見した。

SANA, April 2, 2014
SANA, April 2, 2014

アサド大統領は会談で、総主教就任(イグナティウス・ザッカー1世イワースの死去を受けて2014年3月31日に選出)に祝辞を述べる一方、「過激なタクフィール主義思想の脅威」に立ち向かう意志を表明したという。

これに対して、イグナティウス・アフレム2世カリームは、シリア国民による「テロとの戦い」をシリア正教会として支持すると表明したという。

SANA(4月2日付)が伝えた。

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アサド大統領はシリアを訪問中のロシアの学術団体「帝国正教パレスチナ協会」(Императорское православное палестинское общество、セルゲイ・ステパシン代表)の使節団とダマスカスで会談し、シリア情勢、シリア・ロシア関係などについて意見を交わした。

アサド大統領は、会談でロシアによるシリア支援の姿勢を高く評価するとともに、「テロとの戦い」への意志を強調した。

SANA(4月2日付)が伝えた。

AFP, April 2, 2014、AP, April 2, 2014、ARA News, April 2, 2014、Champress, April 2, 2014、al-Hayat, April 3, 2014、Iraqinews.com, April 2, 2014、Kull-na Shuraka’, April 2, 2014、Naharnet, April 2, 2014、NNA, April 2, 2014、Reuters, April 2, 2014、SANA, April 2, 2014、UPI, April 2, 2014などをもとに作成。

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2014年4月1日のシリア情勢:シリア政府の動き

クッルナー・シュラカー(4月1日付)は、サフィーラ報道センターの情報として、ラタキア県カサブ町一帯でのシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団の進軍を止めるため、アレッポ県サフィーラ市で活動する「いわゆるシャッビーハ」に動員がかけられた、と報じた。

しかし、同報道によると、280人の「シャッビーハ」がカサブ町一帯での戦闘参加を拒否、当局によって逮捕、連行されたという。

また同様の命令拒否は、アレッポ市ナッカーリーン地区の「シャッビーハ」の間でも広まっているほか、ラタキア県で戦闘に参加している「タルトゥースのシャッビーハ」の間で、「自分たちの村を守る」との口実でカサブ町方面への転戦を拒否している者がいるとの情報があるという。

さらにマサーラート・ネット(4月1日付)によると、ダイル・ザウル県に展開しているシリア軍部隊がラタキア県方面に向け撤退を始めたという。

なおこうした報道に関連して、自由シリア軍参謀委員会メンバーのカースィム・サアドッディーン報道官は、アナトリア通信(4月1日付)に対し、シリア軍が数日前から、ダイル・ザウル県、ハサカ県、アレッポ県、イドリブ県、ダマスカス県、ダマスカス郊外県、ダルアー県に展開する各部隊をラタキア県方面に撤退させていると述べた。

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バッシャール・ジャアファリー国連代表大使はRT(4月1日付)に対して、反体制武装集団がダマスカス県ジャウバル区の化学兵器関連施設の襲撃を計画していると非難、国連事務総長、安保理事務総長に襲撃計画に関する情報(反体制武装集団の通信傍受記録)などを報告すると述べた。

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SANA, April 1, 2014
SANA, April 1, 2014

SANA(4月1日付)によると、ヒムス県のカルアト・ヒスン城(クラック・デ・シュヴァリエ)で、ワーディー大学学生らが軍による「テロとの戦い」と治安・安定回復を支持する集会を開き、全長60メートル、幅8メートルのシリア国旗を城壁に掛けた。

AFP, April 1, 2014、AP, April 1, 2014、ARA News, April 1, 2014、Champress, April 1, 2014、al-Hayat, April 2, 2014、Iraqinews.com, April 1, 2014、Kull-na Shuraka’, April 1, 2014、Masaratsyria, April 1, 2014、Naharnet, April 1, 2014、NNA, April 1, 2014、Reuters, April 1, 2014、RT, April 1, 2014、SANA, April 1, 2014、UPI, April 1, 2014などをもとに作成。

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2014年3月31日のシリア情勢:シリア政府の動き

SANA(3月31日付)によると、ヒムス県クタイナ市で軍による「テロとの戦い」を支持するデモが行われ、多数の市民が参加した。

AFP, March 31, 2014、AP, March 31, 2014、ARA News, March 31, 2014、Champress, March 31, 2014、al-Hayat, April 1, 2014、Iraqinews.com, March 31, 2014、Kull-na Shuraka’, March 31, 2014、Naharnet, March 31, 2014、NNA, March 31, 2014、Reuters, March 31, 2014、SANA, March 31, 2014、UPI, March 31, 2014などをもとに作成。

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2014年3月29日のシリア情勢:シリア政府の動き

クッルナー・シュラカー(3月29日付)は、バアス党シリア地域指導部のアンマール・サーアーティー氏(シリア学生国民連合総裁)に近い消息筋の話として、シリア学生国民連合指導部が、進歩国民戦線加盟政党に「バアス大隊」のもとで教練に参加することを「強要」している、と報じた。

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クッルナー・シュラカー(3月29日付)はロンドン駐在のシリア人外交官の情報として、リフアト・アサド前副大統領がラタキア県カルダーハ市を防衛するために戦闘員を動員することでアサド政権と合意したと報じた。

同報道によると、リフアト・アサド前副大統領は、ラタキア県の若者約800人を戦闘員として動員できるという。

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クッルナー・シュラカー(3月29日付)は、アアザーズ市(アレッポ県)で拉致されていたレバノン人巡礼者との「捕虜交換」の一環として2013年10月にシリア当局によって釈放された女性ブロガーのタッル・マルーヒーさんが、アドラー刑務所に再び収監されたとの情報を得たと報じた。

AFP, March 29, 2014、AP, March 29, 2014、ARA News, March 29, 2014、Champress, March 29, 2014、al-Hayat, March 30, 2014、Iraqinews.com, March 29, 2014、Kull-na Shuraka’, March 29, 2014、Naharnet, March 29, 2014、NNA, March 29, 2014、Reuters, March 29, 2014、SANA, March 29, 2014、UPI, March 29, 2014などをもとに作成。

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2014年3月28日のシリア情勢:シリア政府の動き

シリア民族社会党はフェイスブックで声明を出し、ラタキア県カサブ町一帯へのシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団の侵攻に関して、「テロと過激主義」との戦闘に参加することを決定したと発表した。

AFP, March 28, 2014、AP, March 28, 2014、ARA News, March 28, 2014、Champress, March 28, 2014、al-Hayat, March 29, 2014、Iraqinews.com, March 28, 2014、Kull-na Shuraka’, March 28, 2014、Naharnet, March 28, 2014、NNA, March 28, 2014、Reuters, March 28, 2014、SANA, March 28, 2014、UPI, March 28, 2014などをもとに作成。

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2014年3月27日のシリア情勢:シリア政府の動き

アサド大統領はアルメニア議員団(サムヴェル・ファルマニアン議員が団長)とダマスカスで会談した。

SANA(3月27日付)によると、会談でアルメニア議員団は、トルコの支援のもとに行われているラタキア県カサブ町へのテロ攻撃を非難する一方、同地の市民(アルメニア教徒ら)保護に向けたシリア国家の努力に謝意を示した。

SANA, March 27, 2014
SANA, March 27, 2014

また議員団は、シリアの治安・安定回復、避難民帰宅への全面支持を表明した。

これに対して、アサド大統領は、シリアの安定に向けたアルメニアの客観的支援を高く評価するとともに、西側諸国および一部中東地域諸国が支援するテロや過激思想の危険に警鐘を鳴らした。

議員団はまた、ムハンマド・ジハード・ラッハーム人民議会議長とも会談した。

AFP, March 27, 2014、AP, March 27, 2014、ARA News, March 27, 2014、Champress, March 27, 2014、al-Hayat, March 28, 2014、Iraqinews.com, March 27, 2014、Kull-na Shuraka’, March 27, 2014、Naharnet, March 27, 2014、NNA, March 27, 2014、Reuters, March 27, 2014、SANA, March 27, 2014、UPI, March 27, 2014などをもとに作成。

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2014年3月26日のシリア情勢:シリア政府の動き

外務在外居住者省は国連事務総長と安保理議長に宛てて書簡を送り、ラタキア県カサブ町一帯でのシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団の侵攻へのトルコの関与を非難するための措置を直ちに講じるよう求めた。

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SANA, March 26, 2014
SANA, March 26, 2014

SANA(3月26日付)によると、ダマスカス郊外県フジャイラ村で、軍による「テロとの戦い」を支持するデモが実施され、ゴラン高原出身者数千人が参加した。

またクッルナー・シュラカー(3月26日付)によると、ハサカ県カーミシュリー市で、軍による「テロとの戦い」を支持するデモ行進が行われ、アサド政権支持者多数が参加した。

AFP, March 26, 2014、AP, March 26, 2014、ARA News, March 26, 2014、Champress, March 26, 2014、al-Hayat, March 27, 2014、Iraqinews.com, March 26, 2014、Kull-na Shuraka’, March 26, 2014、Naharnet, March 26, 2014、NNA, March 26, 2014、Reuters, March 26, 2014、SANA, March 26, 2014、UPI, March 26, 2014などをもとに作成。

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2014年3月25日のシリア情勢:シリア政府の動き

SANA(3月25日付)によると、ヒムス市のバアス大学キャンパス内で、軍による「テロとの戦い」を支持するデモが行われ、多数の学生が参加した。

AFP, March 25, 2014、AP, March 25, 2014、ARA News, March 25, 2014、Champress, March 25, 2014、al-Hayat, March 26, 2014、Iraqinews.com, March 25, 2014、Kull-na Shuraka’, March 25, 2014、Naharnet, March 25, 2014、NNA, March 25, 2014、Reuters, March 25, 2014、SANA, March 25, 2014、UPI, March 25, 2014などをもとに作成。

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2014年3月24日のシリア情勢:シリア政府の動き

SANA(3月24日付)によると、23日にラタキア県カサブ町での戦闘で死亡したヒラール・アサド氏の遺体がラタキア市ザーヒー・アズラク軍病院からカルダーハ市郊外のジャバル・アッリーンに搬送され、埋葬された。

葬儀には、アフマド・シャイフ・アブドゥルカーディル県知事、ムハンマド・シュライティフ・バアス党ラタキア支部指導部書記長、アンマール・アサド人民議会議員、アイマン・ザイトゥーン師、ムハンマド・リダー・ハーティム師、アフマド・シャイフー師らイスラーム教(スンナ派)のウラマーらが参列した。

SANA, March 24, 2014
SANA, March 24, 2014
SANA, March 24, 2014
SANA, March 24, 2014
SANA, March 24, 2014
SANA, March 24, 2014
SANA, March 24, 2014
SANA, March 24, 2014

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『ハヤート』(3月25日付)は、反体制勢力が複数の目撃者から得た情報として、ヒラール・アサド氏の死亡報道直後、息子のスライマーン氏が、武装した仲間とともにラタキア市内のスンナ派が多く住む街区に四輪駆動車で乗り付けて、銃を乱射、手榴弾を投げるなどし、警察に逮捕されたと報じた。

Kull-na Shuraka', March 24, 2014
Kull-na Shuraka’, March 24, 2014

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SANA(3月24日付)によると、イドリブ県ムハムバル村で、軍による「テロとの戦い」を支持する集会が開かれ、多数の地元住民が参加した。

またヒムス市シーン町でも、女性数百人がデモを行い、軍による「テロとの戦い」支持を表明した。

さらにスワイダー市では、教員組合スワイダー支部の呼びかけのもと、同様のデモが行われた。

AFP, March 24, 2014、AP, March 24, 2014、ARA News, March 24, 2014、Champress, March 24, 2014、al-Hayat, March 25, 2014、Iraqinews.com, March 24, 2014、Kull-na Shuraka’, March 24, 2014、Naharnet, March 24, 2014、NNA, March 24, 2014、Reuters, March 24, 2014、SANA, March 24, 2014、UPI, March 24, 2014などをもとに作成。

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2014年3月23日のシリア情勢:シリア政府の動き

SANA(3月23日付)によると、タルトゥース県ハミーディーヤ村の住民が、軍による「テロとの戦い」を支持するデモを行い、住民ら数千人が参加した。

AFP, March 23, 2014、AP, March 23, 2014、ARA News, March 23, 2014、Champress, March 23, 2014、al-Hayat, March 24, 2014、Iraqinews.com, March 23, 2014、Kull-na Shuraka’, March 23, 2014、Naharnet, March 23, 2014、NNA, March 23, 2014、Reuters, March 23, 2014、SANA, March 23, 2014、UPI, March 23, 2014などをもとに作成。

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2014年3月22日のシリア情勢:シリア政府の動き

外務在外居住者省は、国連事務総長と安保理議長に宛てて書簡を送り、シリア国内でのテロリストに対するサウジアラビア政府の支援を改めて告発した。

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SANA(3月22日付)によると、ヒムス市郊外のいわゆる「ワーディー・ナサーラー」地方の住民が、軍によるカルアト・ヒスン市、ザーラ村一帯の制圧と治安回復を祝って行進を行い、軍による「テロとの戦い」への支持を訴えた。

AFP, March 22, 2014、AP, March 22, 2014、ARA News, March 22, 2014、Champress, March 22, 2014、al-Hayat, March 23, 2014、Iraqinews.com, March 22, 2014、Kull-na Shuraka’, March 22, 2014、Naharnet, March 22, 2014、NNA, March 22, 2014、Reuters, March 22, 2014、SANA, March 22, 2014、UPI, March 22, 2014などをもとに作成。

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最新論考「シリア:民主化なき戦い 東京外大教授 青山弘之氏」(『読売新聞』2014年2月22日朝刊)

最新論考「シリア:民主化なき戦い 東京外大教授 青山弘之氏」(編集委員が迫る/聞き手 鶴原徹也)『読売新聞』2014年2月22日朝刊。

シリア紛争は3月、3年が過ぎた。戦闘は今日も続き、死者は推計で14万人を超え、難民・避難民は900万人に及ぶ。一時は苦境に立ったアサド大統領だが、依然として政権にとどまっている。日本有数のシリア・ウオッチャー、青山弘之・東京外語大教授に情勢を読み解いてもらった。…

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http://info.yomiuri.co.jp/

2014年3月21日のシリア情勢:シリア政府の動き(追記)

大統領府は、ユーチューブ(3月21日付)を通じて、母の日(21日)にアスマー・アサド大統領夫人が紛争で家族を失った女性(母親)と面会する映像(http://www.youtube.com/watch?v=YfRQUP00nUQ&feature=player_embedded)を公開した。

Youtube
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Kull-na Shuraka’, March 25, 2014などをもとに作成。

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2014年3月20日のシリア情勢:シリア政府の動き

SANA(3月20日付)は、アサド大統領とアスマー・アフラス夫人が、教師の日を記念して、「武装テロ集団の脅威にさらされながらも、教育活動を続ける」教員らと懇談したと報じ、その写真を公開した。

SANA, March 20, 2014
SANA, March 20, 2014
SANA, March 20, 2014
SANA, March 20, 2014
SANA, March 20, 2014
SANA, March 20, 2014

AFP, March 20, 2014、AP, March 20, 2014、ARA News, March 20, 2014、Champress, March 20, 2014、al-Hayat, March 21, 2014、Iraqinews.com, March 20, 2014、Kull-na Shuraka’, March 20, 2014、Naharnet, March 20, 2014、NNA, March 20, 2014、Reuters, March 20, 2014、SANA, March 20, 2014、UPI, March 20, 2014などをもとに作成。

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2014年3月19日のシリア情勢:シリア政府の動き

軍武装部隊総司令部は声明を出し、18日のイスラエル軍によるゴラン高原のシリア軍陣地複3カ所への攻撃によって、1人が死亡、7人が負傷したと発表、「兵力引き離し協定への新たな違反」と批判した。

声明によると、イスラエル軍は18日早朝、クナイトラ県ゴラン高原のサヒーター村に近い1023高地を迫撃砲やロケット弾で攻撃、また戦闘機がクーム・ワイスィーヤ、ナブア・ファウワール、サアサアの陣地を空爆し、兵士1人が死亡、7人が負傷したという。

また声明は、この攻撃が「ヨルダン方面からテロリスト多数がダルアー市の中央刑務所に攻撃を仕掛けたのと同時に行われた」と指摘し、「軍がヤブルードなどで大いなる成果を上げ、テロ組織や、シオニスト政体を筆頭とするその支援者に電光石火の一撃を加え…、一連の勝利を治めていることから耳目を反らそうとするもの」と主張した。

そのうえで「テロ組織との戦いを続け、殲滅する意志」を表明、「こうした敵対的行為を繰り返すことで、事態の悪化と緊張を促すような無駄な試み」を行わないよう警告した。

しかし、声明では「イスラエルの攻撃に対して報復権を留保する」といった姿勢を明示することはなかった。

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外務在外居住者省は、国連事務総長と安保理議長に宛てて書簡を送り、そのなかで18日のイスラエル軍によるゴラン高原のシリア軍陣地複3カ所への攻撃を「兵力引き離し協定、国連憲章、国際法への新たな侵害」としたうえで、イスラエルの攻撃が「ウソの口実」に基づいていると非難した。

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外務在外居住者省は声明を出し、ダニエル・ルビンスタイン米シリア担当特使によるシリア大使館閉鎖と外交官国外退去命令に関して、「我々との外交領事関係にかかる合意へのあからさまな違反だ」と非難した。

声明によると、シリア政府は3月初め、同月末に赴任予定のシリア人外交官への入国ビザ発給を米当局に要請していたとしたうえで、近くワシントンのシリア大使館の閉鎖に踏み切るだろうと述べ、ワシントンに駐在する外交官にそのための諸手続をとるよう指示したことを明らかにした。

SANA, March 19, 2014
SANA, March 19, 2014

声明は「シリアに対する米国の政策の真の目的は…シリアでのテロへのさらなる支援と流血にある」と付言した。

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SANA(3月19日付)によると、ヒムス市ハムラー地区で、軍による「テロとの戦い」を支持するデモが行われ、地元住民ら数千人が参加した。

AFP, March 19, 2014、AP, March 19, 2014、ARA News, March 19, 2014、Champress, March 19, 2014、al-Hayat, March 20, 2014、Iraqinews.com, March 19, 2014、Kull-na Shuraka’, March 19, 2014、Naharnet, March 19, 2014、NNA, March 19, 2014、Reuters, March 19, 2014、SANA, March 19, 2014、UPI, March 19, 2014などをもとに作成。

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最新論考「シリア紛争から3年:アサド政権と反体制勢力の暴力の応酬をめぐる「善」と「悪」(Asahi中東マガジン)

青山弘之「シリア紛争から3年:アサド政権と反体制勢力の暴力の応酬をめぐる「善」と「悪」

Asahi中東マガジン、2014年3月18日 http://middleeast.asahi.com/report/2014031600001.html

「シリア革命」と呼ばれた反体制運動が高揚し、シリアが未曾有の混乱に苛まれてから3月15日で3年が経った。「今世紀最悪の紛争」と評されるこの武力紛争は、「政権崩壊は時間の問題」といった主張が欧米諸国や日本のメディアから姿を消して以降、大きく取り上げられることはなくなった。2013年8月のダマスカス郊外県グータ地方での化学兵器使用を受けて、シリア情勢への関心はにわかに高まりを見せたが、そこで注目されたのは、シリアそのものというよりは、むしろバッシャール・アサド政権に「懲罰的」な攻撃を行おうとした米英仏のヒステリーだった。
シリアの紛争への関心が薄れるなか、「自由を求める無垢な市民に対する独裁政権の一方的弾圧」というイメージだけが記憶にとどまり、多くの人がそれを現実だと錯覚している。だが、今日のシリアはこうしたイメージでは到底理解し得ない結末へと向かっており、実態に即した理解と対応が求められている。

* * *

「アラブの春」が波及するかたちで発生したシリアの紛争は、既存の政権(独裁政権)を「悪」、抗議行動を行う民衆を「善」と位置づけ、「悪」は滅び、その後に「善」なる「民主制」が実現する(実現せねばならない)という予定調和に沿って捉えられることが多い。しかし、拙稿(『混迷するシリア:歴史と政治構造から読み解く』岩波書店、2012年)で詳述した通り、この紛争は、争点や当事者を異にするさまざまな局面が折り重なるかたちで展開しており、重層性を無視した過度の単純化は、実態の把握を困難なものとした。
予定との調和を見せずに混迷を続けたシリア情勢は、中東政治を説明する際にしばしば引き合いに出される「宗派対立」という視点から説明されることもあった。アラウィー派政権とスンナ派からなる国民・反体制勢力の闘争、といった図式がそれである。しかし、宗派対立は、アサド政権を非難する欧米諸国と、シリアでのテロを自己正当化するアル=カーイダ系組織の言説が作り出す仮想現実だった。宗派への帰属やその教義は、…「続きはログイン・ご購入後に読めます」

2014年3月18日のシリア情勢:シリア政府の動き

クッルナー・シュラカー(3月18日付)は、司法当局が反体制活動家58人の財産没収を決定したとの未確認情報をシリア・ナウ(3月18日付)が伝えたと報じた。

シリア・ナウによると、資産募集の対象となった58人は以下の通り:

1. アブドゥルハリーム・ハッダーム

2. アスアド・ムスタファー

3. フィラース・トゥラース

4. ファーリス・フルウ

5. リヤード・ヒジャーブ

6. ナウワーフ・ファーリス

7. マナーフ・トゥラース

8. ヤーラー・サブリー

9. キンダー・アッルーシュ

10. イッザト・バフラ

11. サーミル・ミスリー

12. ジハード・アブドゥー

13. アリー・ファルザート

14. アサーラ・ナスリー

15. イヤード・ガザール

16. イフラース・バダウィー

17. マフムード・ハバシュ

18. ハビーブ・サーリフ

19. ムハンマド・ファーリス

20. ジハード・マクディスィー

21. ムハンマド・アブドゥッサラーム・サイイド

22. アブドゥルハキーム・クタイファーン

23. イマード・グライワーティー

24. マアムーン・ヒムスィー

25. リヤード・サイフ

26. リヤード・ナアサーン・アーガー

27. ジャマール・スライマーン

28. フクム・バーバー

29. マイ・スカーフ

30. マフムード・ハッドゥール

31. ミシェル・キールー

32. ブルハーン・ガルユーン

33. ムアーッズ・ハティーブ

34. アフマド・ウワイヤーン・ジャルバー

35. アリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー

36. ルワイユ・サーフィー

37. ジョルジュ・サブラー

38. ハイサム・マーリフ

39. バッサーム・ジャッアーラ

40. アブドゥー・フサームッディーン

41. ナジュムッディーン・サンマーン

42. リヤード・アスアド

43. ムハンマド・ムフリフ

44. サリーム・イドリース

45. ファドワーン・スライマーン

46. アービド・ファフド

47. ザイナ・ヤーズジー

48. マーリク・ジャンダリー

49. サッルーム・ハッダード

50. ハヤート・バーバー

51. アリー・バッシュ

52. アドナーン・スィルウ

53. ハーリド・サッラージャ

54. ミスカール・クタイシュ

55. ウサーマ・ヒラーキー

56. ハマーム・フート

57. マーズィン・ナートゥール

58. ヤースィル・マハーミード

AFP, March 18, 2014、AP, March 18, 2014、ARA News, March 18, 2014、Champress, March 18, 2014、al-Hayat, March 19, 2014、Iraqinews.com, March 18, 2014、Kull-na Shuraka’, March 18, 2014、Naharnet, March 18, 2014、NNA, March 18, 2014、Reuters, March 18, 2014、SANA, March 18, 2014、Syria Now, March 18, 2014、UPI, March 18, 2014などをもとに作成。

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2014年3月17日のシリア情勢:シリア政府の動き

SANA(3月17日付)やシリア・アラブ・テレビ(3月17日付)は、軍がヤブルード市中心街のアスワド広場にシリア国旗を掲揚したと報じ、その映像、写真を配信した。

SANA, March 17, 2014
SANA, March 17, 2014
SANA, March 17, 2014
SANA, March 17, 2014

国旗掲揚には、ファフド・ジャースィム・フライジュ国防大臣(兼軍武装部隊副司令官)ら総司令部の士官らが参列した。

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SANA(3月17日付)は、人民議会が、3月6日から継続してきた本会議の審議で、選挙法改正法案のすべての条文の承認を終えたと報じた。

選挙法改正法案では、大統領資格などが厳格に規定されており(選挙法改正法案における大統領資格に関する文言についてはhttps://syriaarabspring.info/wp/?p=5216を参照のこと)、アサド大統領再選の法的基礎をなすと目されている。

AFP, March 17, 2014、AP, March 17, 2014、ARA News, March 17, 2014、Champress, March 17, 2014、al-Hayat, March 18, 2014、Iraqinews.com, March 17, 2014、Kull-na Shuraka’, March 17, 2014、Naharnet, March 17, 2014、NNA, March 17, 2014、Reuters, March 17, 2014、SANA, March 17, 2014、UPI, March 17, 2014などをもとに作成。

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2014年3月16日のシリア情勢:シリア政府の動き

SANA(3月16日付)によると、ダイル・アティーヤ市(ダマスカス郊外県)では、軍による「テロとの戦い」を支持するデモが行われ、地元住民ら数千人が参加した。

AFP, March 16, 2014、AP, March 16, 2014、ARA News, March 16, 2014、Champress, March 16, 2014、al-Hayat, March 17, 2014、Iraqinews.com, March 16, 2014、Kull-na Shuraka’, March 16, 2014、Naharnet, March 16, 2014、NNA, March 16, 2014、Reuters, March 16, 2014、SANA, March 16, 2014、UPI, March 16, 2014などをもとに作成。

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2014年3月14日のシリア情勢:シリア政府の動き

『ハヤート』(3月15日付)は、ヒムス市ナザーハ地区、アフラーム通りに、2014年7月予定の大統領選挙へのアサド大統領の出馬を求める横断幕が掲げられた、と伝えた。

横断幕には、「あなたは我々の尊厳であり、栄光です。ゆえに我々はあなたに、シリア・アラブ共和国大統領職への立候補を求めます」、「バッシャール・アサド大統領閣下が次期大統領選挙で立候補する求めます。我々は血にかけて彼が大統領にとどまると誓います」などと書かれているという。

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人民議会は本会議で選挙法改正法案における大統領資格に関わる条項を承認した(選挙法改正法案における大統領資格に関する文言についてはhttps://syriaarabspring.info/wp/?p=5216を参照のこと)。

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ウムラーン・ズウビー情報大臣はシリア・アラブ・テレビ(3月14日付)に対して「シリアの大統領選挙をめぐるブラーヒーミー共同特別代表の(国連での)発言は、彼の任務から逸脱しており、このような発言をすることは認められない」と述べた。

ズウビー情報大臣はまた「ブラーヒーミー氏は仲介者としての役割を尊重し、精錬且つ中立的でなければならない…。自分の任務と役割を守るべきで、シリア国内の問題に介入する資格は彼にも、彼以外の(国連の)人間にもない」と付言するとともに、「ジュネーブ2会議でのシリア革命反体制勢力国民連立の言葉に沿った、アメリカの政策寄り」の発言だと非難した。

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣(73歳)が、ベイルート・アメリカン大学病院で、心臓のバイパス手術を受けた。

ムアッリム外務在外居住者大臣は13日に、陸路でレバノンに入国、同病院に入院した。

ナハールネット(3月14日付)によると、数時間に及ぶ手術は成功し、ムアッリム外務在外居住者大臣の容態は安定しているという。

また同報道によると、大臣は1週間、アメリカン大学病院に入院するという。

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『スードドイチェ・ツァイトゥング』(3月14日付)は、シリア当局がアレッポ中央刑務所に収監していたアル=カーイダのハンブルグ細胞に近い人物とされるムハンマド・ハイダル・ザンマール氏を釈放したと報じた。

同報道によると、ザンマール氏は、軍士官複数名とジハード主義武装集団メンバー5人との捕虜交換の一環として釈放されたという。

AFP, March 14, 2014、AP, March 14, 2014、ARA News, March 14, 2014、Champress, March 14, 2014、al-Hayat, March 15, 2014、Iraqinews.com, March 14, 2014、Kull-na Shuraka’, March 14, 2014、Naharnet, March 14, 2014、NNA, March 14, 2014、Reuters, March 14, 2014、SANA, March 14, 2014、Suddeutsche Zeitung, March 14, 2014、UPI, March 14, 2014などをもとに作成。

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2014年3月13日のシリア情勢:シリア政府の動き

ギリシャ正教会アンタキア総大司教区は声明を出し、3月9日に解放された聖タクラー修道院の修道女らの発言(https://syriaarabspring.info/wp/?p=5182)に関して、「過酷な拉致拘束から解放された一部の修道女らの発言は、教会の立場を表明したものではなく、長期間にわたる逮捕の影響を受けたものである…。教会はあらゆるテロ、背教宣告(タクフィール)、拉致、暴力…、モスク破壊、教会破壊を非難する」と表明した。

声明は「アッラーがシリア、その大統領、国民を守りますよう。我々が心底切望している平和を回復くださいますよう」と締めくくられている。

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ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は新華社通信に対して「アサド大統領は他のシリア国民と何ら変わりない。彼は、今後の復興プロセス…を保障する存在であり…、シリアの未来を真に保障する存在だ」としたうえで、「(大統領選挙への)被選挙権は、すべてのシリア国民に同権利を付与している憲法を通じて保障されねばならない…。アサド大統領はシリア生まれのシリア人であり、2000年以降、多大な実績を上げてきた」と述べた。

SANA(3月13日付)が伝えた。

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ワーイル・ハルキー首相はダマスカス郊外県ハルジャラ地方で建設中の避難民仮設住宅建設現場を視察した。

ハルキー首相は視察現場で、政府主導のもとで3,392ユニットの仮設住宅を増設する計画を推し進めていると述べた。

同計画では、ダマスカス郊外県で1,200ユニット、ヒムス県に800ユニット、ダルアー県に1,392ユニットの仮設住宅を建設が予定されているという。

SANA(3月13日付)が伝えた。

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アサド大統領は、2014年法律第3号(電子商取引規制法)を公布した。

SANA(3月13日付)が伝えた。

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人民議会では前日に引き続き、選挙法改正法案の審議が本会議で行われた。

SANA(3月13日付)が伝えた。

AFP, March 13, 2014、AP, March 13, 2014、ARA News, March 13, 2014、Champress, March 13, 2014、al-Hayat, March 14, 2014、Iraqinews.com, March 13, 2014、Kull-na Shuraka’, March 13, 2014、Naharnet, March 13, 2014、NNA, March 13, 2014、Reuters, March 13, 2014、SANA, March 13, 2014、UPI, March 13, 2014などをもとに作成。

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2014年3月12日のシリア情勢:シリア政府の動き

アサド大統領は、ダマスカス郊外県アドラー市にあるドゥワイル避難住宅センターを訪問し、避難生活を送るアドラー市住民と面談した。

 

SANA, March 12, 2014
SANA, March 12, 2014
SANA, March 12, 2014
SANA, March 12, 2014

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣はシリアを訪問中のUNICEFのアントニー・レーク事務局長と会談し、シリアの子供たちへの教育、衛生、食糧などの支援に関して協議した。

SANA(3月12日付)によると、ムアッリム外務在外居住者大臣は会談で、子供たちの苦難の原因であるテロ集団による学校、病院への攻撃、児童徴兵・軍事教練に対処する必要を強調した。

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『アフバール』(3月12日付)は、シリア政府が駐サウジアラビア、クウェート、米国のシリア大使館を閉鎖したと伝えた。

同報道は、シリア外交筋の話として、シリア大使館閉鎖は「政治的な理由によるものではなく、これらの国の在外公館が受けてきた嫌がらせに対する」動きだと付言した。

AFP, March 12, 2014、al-Akhbar, March 12, 2014、AP, March 12, 2014、ARA News, March 12, 2014、Champress, March 12, 2014、al-Hayat, March 13, 2014、Iraqinews.com, March 12, 2014、Kull-na Shuraka’, March 12, 2014、Naharnet, March 12, 2014、NNA, March 12, 2014、Reuters, March 12, 2014、SANA, March 12, 2014、UPI, March 12, 2014などをもとに作成。

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2014年3月11日のシリア情勢:シリア政府の動き

アサド大統領は2014年法律第2号を発し、有効なパスポートを所持し、在外公館において入国ビザを取得していない個人のシリアへの出入国を禁止する、ことを定めた。

SANA(3月11日付)が伝えた。

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クッルナー・シュラカー(3月11日付)は、3月10日に人民議会での審議を承認された選挙法改正法案における大統領資格要件に関する文言の詳細を明らかにした。

大統領資格用件の詳細は以下の通り:

1. 大統領選挙が実施される年初に40歳に達していること。

2. シリア国籍を持つ両親とし、シリア国籍を有すること。

3. 公共の信頼に背く極悪な重犯罪、軽犯罪で裁かれておらず、政治的権利、市民権を有すること。

4. シリア人以外の結婚していないこと。

5. 立候補時点で少なくとも10年間、継続的にシリアに居住していること。

6. シリア以外の国籍を有していないこと。

7. 選挙権行使を禁じられていないこと。

8. 大統領は国民によって直接選ばれ、現大統領任期終了の60~90日以内に人民議会議長は選挙を公示すること。

9. 選挙公示と合わせて、立候補者に人民議会議員の指示を得る旨告知すること。

10. 立候補受付機関開始(公示翌日)から最高憲法裁判所が選挙を監視すること。

11. 立候補は人民議会議員35人以上の指示がなければ受理されないこと。

12. 最高憲法裁判所は立候補申請を提出後5日以内に審査すること。

13. 最高憲法裁判所は官報で公表する立候補者一覧の作成を準備すること。

14. 立候補者がない場合、人民議会は改めて受付機関を発表すること。

15. 最高司法占拠委員会が最高憲法裁判所の監督のもと、選挙を監視すること。

これに関して、『ハヤート』(3月12日付)は、大統領資格が追加・厳密化されたことで、反体制組織の指導者らの立候補が事実上不可能となっていると解説した。

『ハヤート』によると、憲法で定められている大統領資格年齢(40歳)については「選挙が行われる年初に40歳になっていること」とされ、「極悪犯罪で裁かれていない」との用件については「公共の信頼に反する極悪な重犯罪、軽犯罪で裁かれていない」と厳格化されているという。

また「立候補時点で少なくとも20年シリア国内で居住している」との新条件が設けられているという。

さらに「両親がシリア・アラブ共和国国籍を持つシリア人」であるとの用件については、「シリア以外の外国籍を有さず、選挙権行使を禁じられていない」と定められているという。

そのうえで、『ハヤート』によると、大統領資格の追加・厳密化は、シリア国外に居住するハイサム・マンナーア氏(民主的変革諸勢力国民調整委員会在外局長)、カドリー・ジャミール(人民意思党党首)らの立候補を制限することをねらったものだと指摘している。

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SANA(3月11日付)によると、アサド大統領はロシア国会議員・政党使節団(ロシア共産党のアレクセイ・フォルニチョフ議員が団長)とダマスカスで会談し、シリア情勢、国際情勢について意見を交わした。

Champess, March 11, 2014
Champess, March 11, 2014

 

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SANA(3月11日付)によると、ダマスカス郊外県のジュダイダト・ヤーブース村、クファイル・ヤーブース村で、軍による「テロとの戦い」を支持するデモが行われ、多数の市民が参加した。

AFP, March 11, 2014、AP, March 11, 2014、ARA News, March 11, 2014、Champress, March 11, 2014、al-Hayat, March 12, 2014、Iraqinews.com, March 11, 2014、Kull-na Shuraka’, March 11, 2014、Naharnet, March 11, 2014、NNA, March 11, 2014、Reuters, March 11, 2014、SANA, March 11, 2014、UPI, March 11, 2014などをもとに作成。

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最新論考(再)「アサド政権にさらなるフリーハンド:和平会議「破綻⼨前」の裏事情」(Astand)

青山弘之「アサド政権にさらなるフリーハンド:和平会議「破綻⼨前」の裏事情(特集II・シリアの隘路)」
e-World、2014年2月26日号 https://janet.jw.jiji.com/
Astand、2014年3月10日 http://astand.asahi.com/webshinsho/jiji/eworld/product/2014030400003.html

■シリア政府に有利な戦況
■自国出身活動家の帰還恐れる西欧諸国

シリアでの紛争解決に向けた政府とシリア国民連合による初の直接和平交渉「ジュネーブ2会議」が、1月22日から2月15日にかけてスイスで開催された。2ラウンドにわたる会議は、「テロとの戦い」を優先しようとする政府代表団と、現政権を排除した形での移行期統治機関(移行期政府)の樹立を訴える「国民連合」の対立により紛糾し、今後の交渉日程についても合意できないままに閉幕した。
だが閉幕直前の12日の会合で、国民連合が政権退陣を求める文言の明記を取り下げ、また仲介者であるアフダル・ブラヒミ国連・アラブ連盟共同特別代表が13日の米ロ外務次官との協議を経て、移行期統治機関の審議を先送りにすると決断したことで、シリア政府は事態収拾のフリーハンドを得た形となった。

◇シリア政府に有利な戦況

シリアの紛争は「アラブの春」の体制転換劇からの類推で、政権退陣に解決の糸口があるようなイメージがつきまとう。しかし拙稿(「せめぎ合いのなか友好的敵対に軟着陸したシリア和平会議」Synodos、2月5日付)で詳述した通り、ジュネーブ2会議が履行を目指す2012年6月のジュネーブ合意は「現政権、反体制組織…から構成される移行期統治機関を当事者の総意の下に発足させる」と規定し、アサド政権の存続を含意していた。
このことは、昨年半ばにアサド政権が化学兵器廃棄に責任を有する「正統な代表」として、欧米諸国を含む国際社会から承認されたことで既定事実となり、今回の会議で改めて追認された。
国内の暴力についても、アルカイダ系武装集団に対する掃討作戦など軍のあらゆる行為を「たる爆弾による住宅地への無差別殺りく」と断じる一部の活動家のプロパガンダゆえ、政権の残忍さが強調されるきらいがある。しかし、ロンドンを拠点とする反体制人権団体のシリア人権監視団が発表した死者総数14万人のうち、約5万4000人が軍や親政権民兵の将兵であることは看過されるべきでない。むろん、同監視団によると、民間人(武装した市民を含む)の犠牲者も5万人弱に達するという。だが、民間人の死者数は過去2カ月でなぜか2万人も「減少」し、代わってジハード(聖戦)主義武装集団の戦闘員の死者が3万人強に急増した。武力紛争が政権の一方的暴力だとの主張はますます成り立たなくなっている。

アサド政権は昨年末以降・・・

2014年3月10日のシリア情勢:シリア政府の動き

アサド大統領は、ダマスカス県内の2地域の区画改編に関する会合を開催した。

区画改編の対象となっているのは、①マッザ区、カフルスーサ区、②ラワーン地区、西カダム地区、東カダム地区、アサーリー地区、ナフル・イーシャ地区、バヤーディル・ナーディル地区、ダハーディール地区の2地域。

SANA, March 10, 2014
SANA, March 10, 2014

会合には、ワーイル・ハルキー首相など関係閣僚、ダマスカス県知事および関係部局長が出席した。

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SANA(3月10日付)によると、人民議会は、内務地方自治委員会、憲法問題委員会で審議された選挙法改正法案の審議を行うことを本会議で承認した。

改正法案は2012年2月に交付された新憲法に沿って、2011年政令第101号(総選挙法)の文言を改正したもので、司法による選挙監視プロセスの強化などが盛り込まれているという。

AFP, March 10, 2014、AP, March 10, 2014、ARA News, March 10, 2014、Champress, March 10, 2014、al-Hayat, March 11, 2014、Iraqinews.com, March 10, 2014、Kull-na Shuraka’, March 10, 2014、Naharnet, March 10, 2014、NNA, March 10, 2014、Reuters, March 10, 2014、SANA, March 10, 2014、UPI, March 10, 2014などをもとに作成。

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2014年3月10日のシリア情勢:聖タクラー修道女解放をめぐる動き

反体制活動家のハーディー・アブドゥッラー(Hadi Homs)氏はユーチューブ(3月10日付)に、聖タクラー修道院の修道女13人ら16人(シリア人、レバノン人)が9日にダマスカス郊外県カラムーン地方(場所不明)の軟禁場所からレバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール地方の無人地帯に移送され、レバノンの総合情報総局に引き渡されるまでの映像(http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=L3ZZyRv3kSo)をアップ・公開した。

Youtube, March 9, 2014
Youtube, March 9, 2014
Youtube, March 9, 2014
Youtube, March 9, 2014

映像は3月9日付で、「アッラーの他に神なし、ヌスラ戦線」と書かれた黒旗を掲げる目出し帽の武装集団に、修道女らが連行され、シリア・レバノン国境に移送される様子、シリア当局に拘束されていた女性・子供と修道女が「捕虜交換」される映像などが写っている。

アブドゥッラー氏はAFP(3月10日付)に、シリア当局が「女性141人が釈放されたとの情報を得ている」と述べた。

この女性たちは、修道女らの到着に先だってバスでシリア・レバノン国境地帯に移送されたという。

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Naharnet, March 10, 2014
Naharnet, March 10, 2014

解放された修道女の一人ビーラージヤー・サイヤーフ修道長は記者団に対して「アッラー、私たちの主(ギリシャ正教会アンタキア総大司教)ヨハネ10世、アサド大統領…、カタール首長に感謝しています…。また(レバノン総合情報総局)アッバース・イブラーヒーム少将に感謝しています」としたうえで、「去年の12月初めに拉致されて以降、誰一人として悪い扱いを受けることはありませんでした…。私たち16人は誰も悪し様にはされませんでした…。(シャームの民のヌスラ戦線の)対応はよいものでした。またジョルジュ・ハスワーニーを名乗る人のおかげで、私たちは建物で自由に過ごせました」と述べた。

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Kull-na Shuraka', March 10, 2014
Kull-na Shuraka’, March 10, 2014

ジョルジュ・ハスワーニー氏は、修道女釈放の交渉にあたっていたとされる人物の一人で、ヤブルード市出身のビジネスマンで、アサド政権に近い人物。

クッルナー・シュラカー(3月10日付)によると、バーニヤース精油公社副所長を務めたのち、ロシアに滞在し、石油・ガス採掘事業を開始し、ロシアの関連企業、軍との取引を行ってきたという。

ハスワーニー氏の事務所(シリア)は、娘婿のユースフ・アブラシュ氏(シリア共産党ユースフ・ファイサル派元党員)が運営し、ロシアの事務所はアムジャド・ドゥーバー氏が統轄しているという。

なお妻はロシア人。

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『ハヤート』(3月11日付)によると、修道女を拉致していたシャームの民のヌスラ戦線のカラムーン地方のアミール、アブー・マーリク・クワイティー氏は、修道女解放に際してシリア当局と取引があったことについては認めたが、身代金を受け取ったことを否定した。

またクワイティー氏は「捕虜交換」の一環としてシリア当局が拘束している女性950人の釈放を要求したが、152人しか釈放されていないと述べた。

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ジャディードTV(3月10日付)などによると、レバノン総合情報総局のアッバース・イブラーヒーム少将は、修道女解放の交渉が「女性逮捕者が釈放されたことで完了した」と述べ、これによりシリア当局が交流していた女性150人以上が釈放されたことを明らかにした。

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なお、『ハヤート』(3月11日付)によると、聖タクラー修道女の解放交渉が行われいた間、シリア軍はカラムーン地方への砲撃を中断していたという。

また『ハヤート』は修道女らがダマスカス県に移動したと付言した。

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ウムラーン・ズウビー情報大臣は、聖タクラー修道院修道女の解放に関して、「シリア国民の血で手を染めていなかった者25人」を釈放したと述べ、約150人の女性(子供)を釈放したとの反体制活動家らの主張が正しく、誇張だと反論した。

SANA(3月10日付)が伝えた。

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レバノン大統領府は声明を出し、聖タクラー修道院の修道女13人らの解放に関して、ミシェル・スライマーン大統領がカタールのタミーム・ビン・ハマド首長に謝意を示したと発表した。

AFP, March 10, 2014、AP, March 10, 2014、ARA News, March 10, 2014、Champress, March 10, 2014、al-Hayat, March 11, 2014、Iraqinews.com, March 10, 2014、al-Jadid TV, March 10, 2014、Kull-na Shuraka’, March 10, 2014、Naharnet, March 10, 2014、NNA, March 10, 2014、Reuters, March 10, 2014、SANA, March 10, 2014、UPI, March 10, 2014などをもとに作成。

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2014年3月9日のシリア情勢:シリア政府の動き

アサド大統領は各県知事と会談し、各県での公共サービス、地方自治の現状などについて意見を交わした。

会談には、ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー福祉問題担当副首相兼地方自治大臣も同席した。

Champress, March 9, 2014
Champress, March 9, 2014

SANA(3月9日付)によると、アサド大統領は会談で、市民と常にコミュニケーションをとることが、地方自治への市民の参加を促すと述べる一方、戦死者、負傷者、失踪者、避難民に対する支援・補償の必要を強調した。

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ウムラーン・ズウビー情報大臣は、駐シリア北朝鮮大使と会談し、「シリアは勝利し、テロリストとその支援者に対するシリア・アラブ軍の勝利は、世界の自由勢力すべての勝利となるだろう…。陰謀に対するシリアの力は、植民地主義に対する北朝鮮人民の解放闘争を想起させる」と述べた。

これに対して北朝鮮大使は、北朝鮮人民が7年間にわたり米国と同様の戦いを行っているとしたうえで、シリア国民が勝利すると信頼していると応えた、という。

SANA(3月9日付)が伝えた。

AFP, March 9, 2014、AP, March 9, 2014、ARA News, March 9, 2014、Champress, March 9, 2014、al-Hayat, March 10, 2014、Iraqinews.com, March 9, 2014、Kull-na Shuraka’, March 9, 2014、Naharnet, March 9, 2014、NNA, March 9, 2014、Reuters, March 9, 2014、SANA, March 9, 2014、UPI, March 9, 2014などをもとに作成。

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2014年3月8日のシリア情勢:シリア政府の動き

アサド大統領は、「バアス革命」(3月8日付)記念日に合わせて開催されたダマスカス郊外県のバアス党幹部、人民諸組織幹部の会合に出席した。

SANA(3月8日付)によると、会合でアサド大統領は、ダマスカス郊外県一帯において、思想・イデオロギー面での活動に力点を置き、国民の日々の生活に関わる問題にエネルギーを注ぎ込むよう出席者に指示した。

SANA, March 8, 2014
SANA, March 8, 2014

アサド大統領はまた、党員から士気を奪おうとする動きが海外メディアなどで行われてきたと指摘、国家建設への党の貢献を踏まえて、こうした試みに対抗するよう求めた。

さらに、アラブ民族主義思想とイスラーム教を維持することで、民族アイデンティティを維持し、シリア社会に移植されようとしている過激思想に対抗できると強調した。

SANA, March 8, 2014
SANA, March 8, 2014
SANA, March 8, 2014
SANA, March 8, 2014
SANA, March 8, 2014
SANA, March 8, 2014

一方、「これまでに起きた個人レベルでの離党は健全な動きであり、日和見主義者の根絶に資する」との見方を示した。

他方、現下の紛争に関して、アサド大統領は「シリアを弱い国家にしようとするための当事者らによるテロ支援の試みは依然として続いている…。和解プロセスと並行してテロ撲滅を継続する必要がある」と主張、「今後求められるのは、適切な対話の仕組みの構築、汚職撲滅、民族思想強化、人々の日常問題解決に向けた活動の継続にある」と述べた。

なお、バアス革命記念日に合わせて、軍も祝典を行った。

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軍武装部隊総司令部は声明を出し、ヒムス県ザーラ村およびその周辺地域一帯を、軍が国防隊および住民の支援のもとに完全制圧したと正式に発表した。

SANA(3月8日付)が伝えた。

またシリア人権監視団も、ヒムス県ザーラ村が軍によって制圧されたと発表した。

同監視団によると、ザーラ村はジュンド・シャーム大隊などジハード主義武装集団の拠点だったという。

 

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アスマー・アサド大統領夫人は、世界女性デー(3月8日)に合わせて、ダマスカス県のダール・タウリード病院を訪問、出産を終え退院を控えた女性らを見舞った。

SANA(3月8日付)が伝えた。

SANA, March 8, 2014
SANA, March 8, 2014
SANA, March 8, 2014
SANA, March 8, 2014
SANA, March 8, 2014
SANA, March 8, 2014

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SANA(3月8日付)によると、世界女性デーに合わせて、女性数百人が集まってデモを行い、ダマスカス県の国連本部前で、シリアで活動するテロ組織に武器・資金を供与する国に圧力をかけるよう国連に訴えた。

またヒムス市の女性総連合ヒムス支部前、ハマー市のバアス党ハマー支部指導部前、タルトゥース市の女性総連合タルトゥース支部前、ラタキア県バイト・バーシュート村、スワイダー市の県庁前、アレッポ市の女性総連合アレッポ支部前でも同様のデモが行われた。

AFP, March 8, 2014、AP, March 8, 2014、ARA News, March 8, 2014、Champress, March 8, 2014、al-Hayat, March 9, 2014、Iraqinews.com, March 8, 2014、Kull-na Shuraka’, March 8, 2014、Naharnet, March 8, 2014、NNA, March 8, 2014、Reuters, March 8, 2014、SANA, March 8, 2014、UPI, March 8, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2014年3月7日のシリア情勢:シリア政府の動き

ロイター通信(3月7日付)は、化学兵器禁止機関の複数の消息筋の話として、シリア政府が化学兵器生産工場12カ所を期限(3月15日)までに解体できない旨伝えてきたと伝えた。

同消息筋によると、12カ所の工場のうち7カ所は航空機用の格納庫、残り5カ所は地下工場で、それらの解体作業はまったくの手つかずだという。

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バアス党民族指導部と同シリア地域指導部は、バアス革命記念日(3月8日付)に合わせて共同声明を出し、「搾取撲滅をめざす人民の意思に沿った…3月8日革命は継続され、刷新され続けるだろう…。バアス党は…「統一、自由、社会主義」に基づく国家建設という民衆の希望を実現すべく、民衆に犠牲を惜しまないよう働きかける」と発表した。

AFP, March 7, 2014、AP, March 7, 2014、ARA News, March 7, 2014、Champress, March 7, 2014、al-Hayat, March 8, 2014、Iraqinews.com, March 7, 2014、Kull-na Shuraka’, March 7, 2014、Naharnet, March 7, 2014、NNA, March 7, 2014、Reuters, March 7, 2014、SANA, March 7, 2014、al-Thawra, March 8, 2014、UPI, March 7, 2014などをもとに作成。

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2014年3月6日のシリア情勢:シリア政府の動き

ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(3月6日付)によると、カーミシュリー市で、アサド政権を支持するデモ行進が行われた。

Kull-na Shuraka', March 6, 2014
Kull-na Shuraka’, March 6, 2014

デモ参加者は「アサドのシリア」、「我ら男たちはあなたのためにある、バッシャール」などと連呼し行進、同市の治安を担当する民主統一党のアサーイシュは参加者たちのために道路を開放したという。

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SANA(3月6日付)によると、ラタキア県ジャブラ市で、軍による「テロとの戦い」を支持するデモが行われ、多数の市民が参加した。

またヒムス市のバアス大学では、アルメニア地区などに対するテロ行為に反対するデモが行われ、数千人の学生が参加した。

SANA, March 6, 2014
SANA, March 6, 2014
SANA, March 6, 2014
SANA, March 6, 2014

さらにダマスカス県では、労働省および社会問題省職員の集合住宅で、バアス革命(1963年3月8日)を祝うデモが行われ、「テロ行為」拒否などが叫ばれた。

なお、バアス革命を祝う祝典は、ダルアー市のバアス党支部でも行われたという。

一方、アレッポ市では、アレッポ大学学生がバアス党支部前で、イスラエルによるゴラン高原(ハミーディーヤ村)への砲撃に抗議するデモを行った。

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アサド大統領は、ロシアのヴラジミール・プーチン大統領に宛てた電報のなかで、ウクライナ情勢をめぐるロシアの姿勢に関して、「過激なテロリストによる正統性や民主制へのクーデタの試みに対抗し、友好国ウクライナの治安と安定の回復をめざす大統領の努力に連帯の意を示す」と支持を表明した。

SANA(3月6日付)が伝えた。

AFP, March 6, 2014、AP, March 6, 2014、ARA News, March 6, 2014、Champress, March 6, 2014、al-Hayat, March 7, 2014、Iraqinews.com, March 6, 2014、Kull-na Shuraka’, March 6, 2014、Naharnet, March 6, 2014、NNA, March 6, 2014、Reuters, March 6, 2014、SANA, March 6, 2014、UPI, March 6, 2014などをもとに作成。

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