ロイター通信は、アフマド・シャルア暫定大統領が官僚に対して倹約に努めるよう叱責していると伝えた。
シャルア暫定大統領は、8月30日にイドリブ県を訪れた際、高級車を所有する公務員らに対し、車の鍵を提出するか、不正蓄財の調査を受けるよう命じ、数人が鍵を差し出した。
イドリブ県への訪問は、政権支持者らとの会合が目的で、100人以上が出席したが、彼らが高級SUVで会場に乗りつけるのを見て次のように叱責したという。
政府が支払ってる給与がこんなに高いとは知らなかった!
お前たちは革命の申し子だということを忘れたのか?
こうも早く誘惑に屈したのか?
シャルア暫定大統領は兄の1人のジャマール氏が、前政権崩壊後に首都ダマスカスに事務所を開き、輸出入や観光業など複数の事業を始め、黒のメルセデスSクラス(ナンバープレートなし)で高級ホテルやレストランに頻繁に姿を現すようになっていたことに対して、8月、事務所を閉鎖するよう命じ、政府機関に対し兄との取引を禁じた。
その理由は、ジャマール氏が「大統領の兄」という地位を利用し、政府関係者や実業家との会談を数多く設定して私益を図ったとされるためだという。
こうした動きは、8月初めに開かれた市民との懇談会で寄せられた苦情を受けたものだという。
市民らは、一部の元反体制派が公務員となり、ぜいたくな暮らしを始めたという不満を寄せていた。
その一方、釈放時や没収資産(住宅、車、工場など)の返還を求める際に賄賂が横行しており、ある工場経営者は従業員1人の釈放に10万ドルを払ったが、再び職場復帰させるにはさらに10万ドルを要求されたと証言、別の人物は2万5000ドルで釈放されたと証言したという。
このほか、現在の最大の懸念は、前アサド政権関係者とみなされた人々との「和解取引」の不透明さだという。
この取引では、資産を政府に引き渡す代わりに、国内での事業再開を許可され、5月に設立された不正蓄財委員会を通じてこれらの取引は処理され、没収資産は新設された主権基金に移管されることになっている。
この基金には、前政権関係者に関連するとされる数百の企業、ビル、工場がすでに登録されているが、同基金の顧問弁護士2人が汚職の疑いで逮捕されるといった事案も発生している。
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シリア・クルド国民評議会のムハ…