イラン・イスラーム革命防衛隊はアフワズでの軍事パレード襲撃事件の報復として、シリア南東部のダーイシュ拠点を弾道ミサイルで攻撃、米国、YPG主体のシリア民主軍は冷静な反応(2018年10月1日)

イラン・イスラーム革命防衛隊は、9月22日にイラン南西部アフワズ市で発生した軍事パレード襲撃事件(24人死亡)に対する報復として、ダイル・ザウル県南東部のユーフラテス川東岸にある実行犯の司令拠点を狙って弾道ミサイル6発を発射し、司令官やメンバー多数を殺傷したと発表した。
攻撃に使用されたのは、「ゾー・ファガール」(射程750キロメートル)、「ギヤーム」(射程800キロメートル)で、イラン西部のケルマンシャー州から発射されたという。

タスニーム通信(10月1日付)が伝えた。

Tasnim News Agency, October 1, 2018

**

ドゥラル・シャーミーヤ(10月1日付)は、イランの複数の反体制派筋やSNSから得た情報だとして、イラン・イスラーム革命防衛隊の弾道ミサイル少なくとも6発が、イラン国内のケルマンシャー市近郊の村々に着弾し、住民らが被害を受けたと伝えた。

**

しかし、有志連合の報道官を務める米軍のショーン・ライアン大佐は声明を出し、イランのミサイル攻撃がブーカマール市一帯にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点を狙ったものだとしたうえで、攻撃に際していかなる「警告も発しなかったが…、シリア民主軍が危険に曝されることはなかった。有志連合はどのような被害が生じたか精査している」と述べた。

CNN(10月1日付)が伝えた。

**

西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍のキーヌー・ガーブリイール報道官は報道向け声明を出し、「これまでに得た情報によると、シリア軍が包囲している(ダイル・ザウル県)ブーカマール市南部地域に対するイランのミサイル攻撃は行われておらず、またシリア民主軍も同地域で作戦を実施していない」と発表した。

スプートニク・ニュース(10月1日付)が伝えた。

AFP, October 1, 2018、ANHA, October 1, 2018、AP, October 1, 2018、CNN, October 1, 2018、al-Durar al-Shamiya, October 1, 2018、al-Hayat, October 2, 2018、Reuters, October 1, 2018、SANA, October 1, 2018、Sputnik News, October 1, 2018、Tasnim News Agency, October 1, 2018、UPI, October 1, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.