ムワッヒド・ドゥルーズ精神部はフェイスブックを通じて、シリアにおけるドゥルーズ派の最高宗教指導者のヒクマト・ヒジュリー師のビデオ声明を発表した。
声明の内容は以下の通り:
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において
アッラーの平安をもって始め、真理と信仰の挨拶をもって語りかけたい。
まず冒頭にあたり、我らの高潔なる殉教者たちの魂に哀悼の意を表し、負傷者の一日も早い回復を願い、すべての強制失踪者の無事の帰還を祈る。
親愛なる同胞、子らよ。
この地域はいま、歴史的かつ決定的な転換点を迎えている。それは、その正当な歴史的基盤に立ち返り、闇・テロ・専制の勢力がもたらした数十年にわたる混乱と破壊に終止符を打つためのものである。
我々は、我らの民と土地に対する歴史的責任に基づき、同盟国による戦略的方向性を支持する立場を明確にする。すなわち、勇敢な歩みと大胆な決断を下した米国およびイスラエル、すなわちドナルド・トランプ大統領およびベンヤミン・ネタニヤフ首相の強力な指導のもとでの動きである。
これらの動きは、中東における破壊の根源を断ち切るための希望の光である。地域の安定を損なってきたイラン体制は、他者に先立って自国民に被害をもたらしてきた。本来であれば国家の資源を進歩と文明のために活用すべきところを、閉鎖性、他者不容、地域的敵対、そして平和な人々の安全と安定の破壊へと向けてきたのである。
我々バシャン山においても、旧体制期において大きな被害を受けてきた。特に経済発展や生活の糧を、強制的なシーア派化やイデオロギー的従属と結びつける政策、また人材を本来の地位から排除する介入が続いたためであり、とりわけ過去10年間において顕著であった。
また、あらゆるテロ勢力からの脅威と攻撃が繰り返されてきたことも忘れてはならない。2018年7月の流血の攻撃、そして2025年の「黒い7月」の襲撃では、現在のダマスカス政府とその追随者によって宗派的アイデンティティに基づく虐殺が行われた。支援者や後ろ盾は変わったとしても、目的は同じだ。我々に降りかかる悪の本質に基づき、いかなる源であれテロの根絶に真剣に取り組むあらゆる国際的動きを全面的に支持する。
親愛なる同胞、子らよ。
我々の社会の意識は屈することがないことを証明してきた。我々は従属と服従に浸された糧よりも尊厳を選び取ってきた。この姿勢は未だ十分な地域的評価を得ていないが、我々はこれを堅持する。
ゆえに我々は、我々のタウヒードの大義、そして我々が生まれながらにして持つ自決権利を誇示する。抑圧された人々の権利を保障する国際法および国際規範に基づき、我々の完全な権利の実現を目指すものである。我々自身の力と強力な同盟国、特にイスラエルの支援に依拠し、暴力とテロの支配から離れた安全で安定した未来を築く。
親愛なる同胞、子らよ。
バシャン山の住民に対する犯罪行為が続いている。不当な封鎖、経済的・軍事的締め付け、土地や家屋の占拠が、国際的・人道的な監視もなく行われている。この現実は永続するものではない。
無差別砲撃が民間人の住居に降り注ぎ、無実の人々や通行人が冷酷に殺害されている。人道的価値や国際法は踏みにじられている。バシャン山の安全な家々に憎悪の砲弾が降り注ぐのと同様に、イスラエルの民間人にもそれは向けられている。敵は思想的に一致しており、自由で尊厳ある生活を望むすべての者を標的としている。テロ集団はいかなる出自であれ、殺害の言語しか持たず、その存在のもとで安定は人道的に不可能である。
親愛なる同胞、子らよ。
強制的に拉致されていた民間人の帰還を祝福する。彼らはテロの牢獄で苦しみを受けてきた。我々の大義を国内外で発信してきたすべての若者と人々に感謝する。彼らの努力が、悲しみに暮れる家族に喜びをもたらしたのである。
また、この人道的行為の実現に向けて、公に、あるいは舞台裏で尽力したすべての人々に感謝する。我々は、残るすべての被拘束者の解放と、強制失踪者の運命の解明に向けて努力を継続することを確認する。
歴史に記されるであろう。我々は女性や子供、高齢者を含む民間人の解放のために、虐殺や犯罪に関与した最悪のテロリストや犯罪者と交換を行ったと。多くの国際機関やメディアが真実の発言を避け、事実を隠蔽したことに遺憾の意を表する一方で、我々の正当な訴えを公にし、その実態を伝えた個人や機関には感謝する。
親愛なる同胞、子らよ。
我々はいま、最大限の警戒を必要とする繊細な段階にある。我々は「黒い7月」前夜の無警戒に陥ることはない。今日、我々は自由な意志と覚醒した若者を持っている。老若男女すべてが目覚めている。
我々の社会は、自らを誠実に統治する能力を有していると確信している。我々は最高の国際基準に基づき、真理の灯を掲げ続け、我々の民を安全と完全な独立へと導くまで歩み続ける。
バシャンは自由で誇り高くあれ。勝利は我らと正義の同盟者に。
アッラーの助けを求める。
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スワイダー24は、ヒジュリー師の声明について、2013年から2021年にかけての発言や公式声明との間で本質的な矛盾を露呈しているとする批判的分析を行った。
スワイダー24によると、矛盾点は以下の通り:
1. アサド前政権およびイランへの批判に関わる矛盾:ヒジュリー師は長年にわたり両者を公然かつ明確に支持してきた。2013年には「我らの勇敢な軍と共に一列に立つ」と宣言し、「テロ組織」に対抗する姿勢を示し、2014年にはアサド前大統領を「この民族の救済の象徴」と評した。またイラクのヌジャバー運動の代表団らを受け入れ、「イスラーム抵抗の盾」を受け取っている。
2. 2018年のシリア南部に対する前政権の攻撃に関わる矛盾:ヒジュリー師はこの時、スワイダー県の若者に対して「強制兵役への参加」を呼びかけ、政府職員の復職の仲介も行っていた。
3. 自決権に関わる矛盾:ヒジュリー師はかつて国民統合やシリア国家の枠内での祖国防衛を訴え、2015年には前政権の監督下での武装を求め、2018年には軍務への参加を支持していた。
4. 米国とイスラエルへの支持に関わる矛盾:かつては両国に敵対する「抵抗の枢軸」に属する前政権を支持、イスラエルに対する肯定的立場は存在しなかった。
5. 社会の統治能力、テロに対する姿勢に関わる矛盾:スワイダー県の自治を担う軍関係者の多くが2023~2024年まで旧シリア軍やイランと協力していた。
6. イスラエルを戦略的同盟国と位置づける言説に関わる矛盾:過去にはパレスチナでの抵抗への支持や対イスラエル闘争への支持を呼びかけていた。
7. 2015年に発生した「尊厳の男たち」の創設者ワヒード・バルウース氏の暗殺や内部抗争の犠牲者についての言及がない。
8. バシャン山の住民の自決権の排他的主張に関わる矛盾:スワイダー県にはドゥルーズ派だけでなく、アラブ系ベドウィン部族やキリスト教徒も存在するが、その存在を無視している。
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スワイダー県では、シリア人権監視団によると、イラー村方面で、アフマド・シャルア移行期政権の軍部隊とこれを支持する部族系の武装集団が重火器で砲撃を行い、国民防衛部隊の隊員1人が負傷した。
国民防衛部隊は重火器が発射された地点に対して応戦した。
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