アル=カーイダ系組織のジュンド・アクサー機構、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などがダーイシュ(イスラーム国)との戦闘猶予で合意に向かいつつも、依然として対立(2015年11月5日)

シャームの民のヌスラ戦線に近いサウジアラビア人説教師のアブドゥッラー・ムハイスィニー氏(ジハード布教者センター代表)はツイッターの自身のアカウントを通じて、ファトフ軍の脱退を宣言していたアル=カーイダ系組織のジュンド・アクサー機構が「ファトフ軍の傘下に復帰した」と発表した。

ムハイスィニー氏はまた、ジュンド・アクサー機構の復帰を受けるかたちで「シャームの国の完全解放とアッラーの法による支配を実現するためのファトフ軍の路線を示す(新たな)憲章が作成された」と発表した。

しかし、SNN(11月5日付)によると、ジュンド・アクサー機構はこのムハイスィニー氏の発表に対してツイッターで反論、「ファトフ軍への復帰に関する合意を受理したことを正式には伝えていない」、「ジュンド・アクサー機構は現在のところ、ファトフ軍とは別に活動している」、「ファトフ軍への復帰に関する期待や観測は時期尚早であり、正しいものではない」と主張した。

SNNによると、ジュンド・アクサー機構は、ファトフ軍を主導するシャーム自由人イスラーム運動、シャーム軍団と主に対立しており、その主因は、ファトフ軍支配地域におけるダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の是非をめぐるもので、ジュンド・アクサー機構は、ダーイシュとの戦闘に反対し、中立の姿勢をとろうとしているという。

なお、SNNによると、ジュンド・アクサー機構のファトフ軍からの脱退を受け、メンバー数十人が、ハマー県、イドリブ県からダーイシュの拠点であるラッカ市、マンビジュ市(アレッポ県)に向かったという。

一方、ジュンド・アクサー機構の脱退に呼応するかたちで、シャームの民のヌスラ戦線もファトフ軍としての活動を一時中止し、ジュンド・アクサー機構と連帯し、ダーイシュとの戦闘を主張するシャーム自由人イスラーム運動に対抗しようとしたという。

ヌスラ戦線、ジュンド・アクサー機構と、シャーム自由人イスラーム運動、シャーム軍団との対立は、シャーム・ウラマー連盟のメンバーらの仲介によって、ダーイシュとの戦闘を猶予し、ヌスラ戦線、ジュンド・アクサー機構のファトフ軍を復帰させる方向で調整され、収束に向かっているという。

なお、ハマー県ムーリク市一帯でのファトフ軍の作戦とアレッポ市南部でのヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム戦線などの作戦は連動しているように見えるが、組織的な連携ではなく、戦闘員個人レベルでの連携だと考えられるという。

Kull-na Shuraka’, November 5, 2015

AFP, November 5, 2015、AP, November 5, 2015、ARA News, November 5, 2015、Champress, November 5, 2015、al-Hayat, November 6, 2015、Iraqi News, November 5, 2015、Kull-na Shuraka’, November 5, 2015、al-Mada Press, November 5, 2015、Naharnet, November 5, 2015、NNA, November 5, 2015、Reuters, November 5, 2015、SANA, November 5, 2015、SNN, November 5, 2015、UPI, November 5, 2015などをもとに作成。

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