英仏、トルコ、シリア国民連合は「我々は最後には交渉しなければならない」とのケリー米国務長官発言に反発(2015年3月16日)

フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、ジョン・ケリー米国務長官が「我々は最後には(シリア政府と)交渉しなければならない」と発言したことに関して、「シリアにおける危機の解決は、政権の組織を維持するような政治的移行プロセスを通じて行われるもので、アサドを残留させることを通じてではない…。アサドを前面に押し出すようないかなる解決策もテロ組織ダーイシュ(イスラーム国)への不名誉なプレゼントになるだろう」と述べた。

またフランス外務省報道官も「フランスはシリアの当事者どうしの政治的解決を望んでいるが、バッシャール・アサドはこの解決策のなかには含まれ得ない」と発表した。

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英外務省報道官は、ジョン・ケリー米国務長官が「我々は最後には(シリア政府と)交渉しなければならない」と発言したことに関して、「アサドには、シリアの将来に居場所はない…。フィリップ・ハモンド外務大臣が先週述べた通り、我々はこの政権に制裁を通じて圧力をかけ続け、暴力を停止させ、穏健な反体制派との交渉に真剣に臨ませる」と発表した。

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トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は、ジョン・ケリー米国務長官が「我々は最後には(シリア政府と)交渉しなければならない」と発言したことに関して、「20万人以上を殺し、化学兵器を使用した政権とどういう交渉を行うというのか? これまで、(アサド政権との)交渉を通じて、何か結果は出たのか?」と述べ、拒否の姿勢を示した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のサーリム・ムスラト報道官は、ジョン・ケリー米国務長官が「我々は最後には(シリア政府と)交渉しなければならない」と発言したことに関して、「体制のトップと、シリア国民に対する犯罪に責任を負っているすべての者を退陣させることが連立の主要な目的で有り、それによって、全市民の自由と権利を保障する民主的・文民的・多元的な体制に移行する」と述べ、政権の存続を改めて拒否した。

同時に、ムスラト報道官は「1月のカイロでの(反体制勢力の)大会には参加しなかし、そこから派生した準備委員会にも参加していない。連立メンバーの参加は、連立代表としてではなく、個人的なものだ」と付言した。

AFP, March 16, 2015、AP, March 16, 2015、ARA News, March 16, 2015、Champress, March 16, 2015、al-Hayat, March 17, 2015、Iraqi News, March 16, 2015、Kull-na Shuraka’, March 16, 2015、al-Mada Press, March 16, 2015、Naharnet, March 16, 2015、NNA, March 16, 2015、Reuters, March 16, 2015、SANA, March 16, 2015、UPI, March 16, 2015などをもとに作成。

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