トルコ軍はM4高速道路沿線でのロシア・トルコ軍合同パトロールに反対する座り込み現場近くに新たな拠点を設置(2020年3月16日)

英国を拠点に活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、5日のロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(5日深夜)してから11日目となる3月16日、シリア・ロシア軍、トルコ軍は爆撃を実施しなかったが、シリア軍、「決戦」作戦司令室による若干の停戦違反が確認された。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を7件(イドリブ県2件、ラタキア県2件、アレッポ県3件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を5件(イドリブ県5件、ラタキア県0件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がハザーリーン村一帯を砲撃した。

また、シリア軍と「イランの民兵」の増援部隊がザーウィヤ山に到着した。

一方、トルコ軍は戦車や装甲車など約60輌からなる車列を、カフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に進入させるとともに、カフル・ヌーラーン村に新たな軍事拠点を設置した。

ドゥラル・シャーミーヤ(3月16日付)によると、トルコ軍はまた、ロシア・トルコ軍のM4高速道路沿線での合同パトロールに反対する「尊厳の座り込み」デモが行われているナイラブ市の近くにも拠点を新設した。

このほか、トルコ軍憲兵隊が越境してハタイ県に入ろうとしたダルクーシュ町出身の男性1人を射殺した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がカッバーナ村一帯を砲撃した。

AFP, March 16, 2020、ANHA, March 16, 2020、AP, March 16, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 16, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, March 16, 2020、Reuters, March 16, 2020、SANA, March 16, 2020、SOHR, March 16, 2020、UPI, March 16, 2020などをもとに作成。

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