米主導の有志連合のドローンがイドリブ県でアル=カーイダ組織フッラース・ディーン機構の司令官2人を攻撃し殺害(2021年9月20日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、米主導の有志連合所属の無人航空機(ドローン)が、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ市とビンニシュ市を結ぶ街道を移動中の乗用車(KIA Rio)を攻撃し、「アル=カーイダに近い組織」の司令官ら2人を殺害した。

ドゥラル・シャーミーヤ(9月20日付)、トルコのイスタンブールを拠点とする反体制系サイトのシリア・テレビ(9月20日付)によると、ドローンの攻撃を受けたのは、フッラース・ディーン機構の車で、ビンニシュ市の入口で狙われた。

アブー・バラー・トゥーニスィーを名乗るチュニジア人司令官とイエメン人と思われるアブー・ハムザ・ヤマニーの2人。

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アブー・バラー・トゥーニスィーは、チュニジアのアンサール・シャリーアの元メンバーで、トルコを経由してシリアに不法入国、当初はシャームの民のヌスラ戦線(現在のシャーム解放機構)に加入した。

だが、シャーム解放機構への改称時に離反し、フッラース・ディーン機構に合流していた。

当初は一般のメンバーだったが、3年間の活動を経て昇進して司令官になるとともに、組織内きってのイスラーム法学者・イデオローグとなったという。



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米中央軍は声明を出し、シリアのイドリブ県で機動的な対テロ攻撃を実施したと発表した。

声明の内容は以下の通り。

米空軍は今日、シリアのイドリブ市近くで、アル=カーイダの幹部リーダーに対する機動的な対テロ攻撃を実施した。初期情報は、標的としていた個人を攻撃したことを示している。また、攻撃の結果市民に犠牲者が出たとの兆候はない。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を30件(イドリブ県13件、ラタキア県11件、アレッポ県3件、ハマー県3件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は20件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を7件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, September 20, 2021、ANHA, September 20, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 20, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 20, 2021、Reuters, September 20, 2021、SANA, September 20, 2021、SOHR, September 20, 2021、Syria TV, September 20, 2021などをもとに作成。

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