ダマスカス県で駐シリア米大使の車列が襲撃される、国連安保理の西側諸国はシリア政府非難決議の原案を緩和することで妥協点を模索するも米国は関心を示さず(2011年9月29日)

米大使襲撃

ロバート・フォード駐シリア米大使が乗った車列がダマスカス県内にある反体制活動家のハサン・アブブドゥルアズィーム弁護士(国民民主諸勢力国民調整委員会代表)の事務所を訪問した際、市民の襲撃を受ける。http://www.youtube.com/watch?v=3PzqdON1_eI

http://www.youtube.com/watch?v=3PzqdON1_eI

Kull-na Shurakā’, September 29, 2011
Kull-na Shuraka’, September 29, 2011

ラジャー・ナースィル弁護士はAKI(9月29日付)に対して、数百人の市民、治安要員、シャッビーハが事務所周辺を包囲しており、あたかも明確な襲撃命令を受けているかのようだった、と述べた。

米大使が反体制勢力指導者らと会談を続けるなか、西側消息筋によると、シリア政府は米大使「追放を検討」しているという。

またSANA(9月30日付)は、外務省筋が、「暴力の助長に関与」していると非難したと報じた。

**

なおAKI(9月29日付)によると、国民民主諸勢力国民調整委員会は、米国だけでなく、スペイン、トルコの外交団の訪問も受けているという。

離反兵掃討作戦続く

シリア軍部隊はヒムス県ラスタン市とタルビーサ市での攻撃を拡大した。

複数の活動家、住民によると、約200輌の戦車が昨日、ラスタンに新たに向かう一方、タルビーサは、武装部隊と民間人への発砲を拒否して離反した兵士との間の戦闘のなかで激しい砲撃に曝された。

**

ラスタン市では多くの犠牲者が出て、その数は3日前の戦闘開始以来27人にのぼった。

地元調整委員会によると、ラスタン市での犠牲者のうち、2人が離反兵、それ以外が住民だと発表した。

**

タルビーサ市では、複数の目撃者によると、サウラ通り、ブサンクー通りで空爆により火災が発生。複数の住居が完全に破壊。貯水槽などが標的となり、ライフラインが寸断。

その他の反体制運動をめぐる動き

イドリブ県のマアッラト・ヌウマーン市で生徒たちがデモを行い、シャッビーハや軍・治安部隊の弾圧に曝された。

一方、SANA(9月30日付)は、マアッラト・ヌウマーン市北の国際幹線道路沿いのハーン・スブル村で、「武装テロ集団」がムハンマド・アブドゥルアズィーズ・ダフルージュくんを殺害したと報じた。

**

SANA(9月30日付)は、「武装テロ集団」のメンバーの一人、ビラール・ハッスーン氏が、シリア・アラブ・テレビでヒムス市国立病院のハサン・イード外科部長暗殺や軍・民間人への発砲を計画、実行したと証言したと報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官は、9月30日、10月1日の2日間の予定でイスタンブールで非公式会合を開くと発表した。

同報道官によると、会合には、シリア・ムスリム同胞団、ダマスカス国民民主変革宣言、ブルハーン・ガルユーン氏、クルド民族主義諸政党、国民民主変革諸勢力国民調整委員会などが参加し、シリア国民評議会のメンバーを最終確定し、諸委員会を設置するという。

**

ミシェル・キールー氏は国民民主諸勢力国民調整委員会に参加する政党・政治組織、活動家がシリア国民評議会に参加する意思がないことを明らかにした。

その理由としてキールー氏は「国民評議会に参加した反体制活動家がシリア国内の危機解決のため外国の干渉を指示している」ためと述べ、「これに対して、国内の反体制勢力はこのような介入に反対している」と明言した。

**

SANA, September 29, 2011
SANA, September 29, 2011

AKI(9月29日付)は、シリア人権協会のファーイズ・ファウワーズ所長が、ロシア上院の使節団との会談に関して、自身が国民民主諸勢力国民調整委員会を代表していないことを明らかにしたうえで、個人の見解として、「シリア革命の根本に持てる者と持たざる者の亀裂の拡大」という原因があることを説明したと語ったと報じた。

アサド政権の動き

『ダマス・ポスト』(9月29日付)は、シリア政府の複数の高官が近く発足予定の憲法改正委員会に反体制勢力のメンバーが参加する見込み、だと報じた。

**

タルトゥース市で市民数十万人が参加し、全長2.3キロの巨大なシリア国旗を掲揚し、アサド大統領による改革路線支持、外国の干渉拒否を訴えた。

**

シリア高官は、6月以来、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相が、破壊行動停止への協力の条件として、シリア・ムスリム同胞団に主要閣僚ポスト四つを与えるよう求めてきたが、アサド大統領はこの提案を拒否した」ことを明らかにした。

シリア高官によると、8月9日、アフメト・ダウトオール外務大臣はシリア側にこの提案を行った、という。

SANA, September 29, 2011
SANA, September 29, 2011

諸外国の動き

国連安保理メンバーの西側諸国は、シリア政府を非難する声明案において国際刑事裁判所に関する文言を削除する一方、制裁発動への猶予を15日から30日に延ばすことで、妥協点を模索した。

この修正案に関して、ブラジルが支持する意向を示した。

一方、米国は西側の決議案に関して「歯の抜けた弱い」内容とみなし、採択に向けた動きに参加しなかった。

**

レバノンのウマル・カラーミー元首相がシリアを訪問し、アサド大統領と会談。

**

ロイター通信(9月29日付)は、レバノンの北部県アッカール郡ワーディー・ハーリドに避難するシリア人たちが、「体制が打倒されるまで戻ることはできない」と述べるとともに、シリアによるレバノン主権侵害が続くなかで自らの身の安全も保障されていないと語ったと報じた。

同報道によると避難民たちは地元小学校に仮住まいをして、地元NPOの支援を受けているという。

ただし本ウェブサイト作成者が9月下旬に行った調査によると、ワーディー・ハーリドに滞在するシリア人のほとんどは半定住労働者、ないしは季節労働者であり、また同村は反シリアのムスタクバル潮流が有力だという。

**

レバノンのベカーア県ヒルミル郡ダイル・アシャーイル村で、たばこ、アルコール類をシリア国内密輸しようとしたシリア軍兵士を逮捕。

AFP, September 29, 2011、Akhbar al-Sharq, September 29, 2011、AKI, September 29, 2011、Damas Post, September 29, 2011、al-Hayat, September 30, 2011、Kull-na Shuraka’, September 29, 2011, September 30,
2011、Reuters, September 29, 2011、SANA, September 30, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド大統領が政令を発し選挙法に基づく「選挙最高委員会」を新設、国連安保理ではシリアに対する決議をめぐって西側諸国・ロシア間で駆け引きが行われる(2011年9月28日)

ヒムス市での暗殺

シリア人権監視団によると、何者かが科学技術技師のアブドゥルカリーム・ハリール氏をヒムス市で暗殺した。

またSANA(9月29日付)は、ヒムス市にあるバアス大学に勤める同氏が「妻を職場に送る途中、武装テロ集団」に撃たれたと報じた。

Kull-na Shurakā, September 28, 2011
Kull-na Shuraka, September 28, 2011

シリア人権監視団によると、ハリール氏が暗殺される前日(27日)にもヒムスの反体制指導者2人が何者かに暗殺された。暗殺されたのは、バアス大学のナーイル・ダヒール理学部長、同大学建築工学部のムハンアド・アリー・アキール教授。

またヒムス市の病院のフサイン・イード外科医もヒムス市で27日に暗殺されたという。

複数の活動家によると、ハリール氏、イード外科医はいずれもアラウィー派、アキール氏はシーア派、ダヒール氏はキリスト教徒で、バッシャール・アサド政権がヒムス市内で宗派主義対立を助長するために標的としたと断じているが、真相は定かでない。

事実、シリア人権監視団は、アサド政権に近い技術者たちの暗殺を相次いで批判するとともに、ヒムス市住民に対して、「これらの暗殺にかかわった者」をつきとめるとともに、暗殺を非難し、暗殺をはじめとする暴力行為を控えるよう呼びかけ、反体制勢力のなかに暴力行為を行っている者がいることを暗に認めてしまった。

離反兵の掃討

シリア人権監視団によると、ヒムス県ラスタン市での離反兵と軍・治安部隊の戦闘で離反兵3人が殺害された。また士官のアフマド・ハラフも重傷を負い死亡した。

ラスタン市では、軍・治安部隊による離反兵の逮捕・掃討作戦が続いている。

**

シリア革命調整連合は、ダイル・ザウル県で、離反兵が「ウマル・ブン・ハッターブ大隊」を結成し、軍・治安部隊、シャビーハと交戦したことを明らかにした。

その他の反体制運動をめぐる動き

軍・武装部隊による各地での逮捕・掃討作戦で、少なくとも9人が死亡した。犠牲者の多くはラスタンで殺害された。

**

複数の目撃者によると、軍・治安部隊のバス10台がダマスカス県カダム区に進入し、逮捕・追跡作戦を行った。

**

SANA(9月29日付)は、ヒムス市バイヤーダ地区でクビが切り落とされたアブドゥッラフマーン・マグリビー氏の遺体が発見されたと報じた。

**

SANA(9月29日付)は、ハマー県ハマー市タアーウニーヤ地区でタイスィール・ウクラ大佐が武装テロ集団によって撃たれて戦士した、と報じた。

**

『クッルナー・シュラカー』(9月28日付)は、バースィル・サイード・マーニウ弁護士(弁護士組合ダマスカス支部)が、9月10日軍事裁判所に起訴されたと報じた。容疑はマーヒル・アサド大佐誘拐未遂。

マーニウ弁護士は7月4日にダマスカス県内の事務所で身柄拘束されていた。

**

イスラーム無所属民主潮流は声明を出し、イスタンブールの会合には国内で活動する自分たち自身に加えて、ダマスカス国民民主宣言(シリア民主人民党、イスラーム無所属民主潮流、クルド民族主義政党5党、アッシリア変革機構、労働者党、リベラル・左派・世俗主義活動家)、シリア・ムスリム同胞団、国民行動委員会、在外反体制勢力諸会議代表、調整諸委員会、革命調整諸連合、革命自由運動家、シリア革命総合委員会、シリア革命最高評議会などが参加していると述べた。

アサド政権の動き

バッシャール・アサド大統領は2011年政令第374号を発し、選挙法に基づき「選挙最高委員会」を設置した。大統領府声明で発表された。

委員会メンバーはハラフ・アッザーウィー(控訴裁判所顧問)、ムハンマド・ハイダル・ジャッディー(同左)、アブドゥルファッターフ・イブラーヒーム(同左)、ムハンマド・アニース・スライマーン(同左)、フサナー・アスワド(同左)。また以下5人をメンバー候補とした。アントワーン・フィールー(控訴裁判所顧問)、アフマド・アルムーシュ(同左)、アブドゥー・シャフラー(同左)、ヒシャーム・シャッアール(同左)、ヒシャーム・ザーザー(同左)。

これを受け、選挙最高委員会がダマスカス県の控訴裁判所で第1回会合を開き、各選挙区の分科会を設置、そのメンバーを任命する。各分科会は3名からなり、検事、弁護市からなる。

SANA, September 28, 2011
SANA, September 28, 2011

**

レバノンのサリーム・フッス元首相がシリアを訪問し、アサド大統領と会談。シリア国内情勢について意見交換。アサド大統領は「おかげさまで痛ましい事件は終わった。事件に遭ったシリアの各都市は完全に安定を取り戻した」と述べた。

**

ブサイナ・シャアバーンは、BBC(9月26日付)のインタビューに応え、アサド大統領が憲法改正委員会の設置を準備していると述べた。

**

ムハンマド・ニダール・シャッアール経済通商大臣は、輸入規制に関して、一部の生活必需品を除外する可能性があると述べた。

**

ワリード・ムアッリム外務大臣は国連総会出席のために訪問中のワシントンD.C.でがベネズエラ、パキスタン、ベラルーシ、マレーシアの外相と相次いで会談。

SANA, September 28, 2011
SANA, September 28, 2011

諸外国の動き

国連安保理では、シリアに対する決議をめぐって、西側諸国とロシアの駆け引きが行われた。

西側消息筋によると、ロシアの国連代表は英国代表に対して、西側が決議案を公式発表する前に内容の検討を行うことを求める一方、西側に先んじてロシアの決議案を公式発表し、同案の採決に持ち込もうとしているという。

『ハヤート』(9月29日付)は西側およびロシアの決議案をそれぞれ入手、それによると西側の決議案は、シリア政府による弾圧を「人権侵害」と断じ、即時暴力停止を求めている。またシリア政府が2週間以内に弾圧を停止せず、また真摯な改革措置を講じなければ、制裁を科すとして、制裁発動に猶予を設けている。また人権侵害に関与している関係者の処罰、国際人権監視団と国連人権理事会の真相調査委員会の受け入れを求めている。またシリア政府の弾圧に関して「国際刑事裁判所に起訴されねばならない」と指摘し、シリア国民自身の指導のもとに包括的な政治プロセスを開始し、国民の要求を実現するよう呼びかけている。

これに対して、ロシアの決議案は、シリア政府と反体制運動双方の暴力停止を求めるとともに、アラブ連盟に対して当事者間の政治対話に向けた努力を行うよう呼びかけている。またシリアの反体制勢力に対しては過激派を排除するよう要求、シリアの危機解決が「平和的で、外国の干渉なし」に行われるよう求めている。

**

『シャルク・アウサト』(9月28日付)は、レバノンの北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド出身の青年2人が失踪したと報じた。家族は何者かが2人を国境地帯で誘拐し、シリアのシャッビーハに引き渡したと疑っているという。

**

英国大使はアサド政権は存続のためなら何でもすると述べた。

AFP, September 28, 2011、Akhbar al-Sharq, October 2, 2011、al-Hayat, September 29, 2011、Kull-na Shuraka’, September 28, 2011、Reuters, September 28、SANA, September 29, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 28, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ムアッリム外務大臣と潘国連事務総長との会談は「きわめて悪かった」、シリア国内では軍・武装部隊が戦車やヘリコプターなどを用いて離反兵の大規模逮捕・掃討作戦を開始(2011年9月27日)

反体制運動をめぐる動き

一般市民による反体制デモがバッシャール・アサド政権の弾圧によって低迷し、離反兵の活動が顕在化するなか、複数の住民・活動家や地元調整諸委員会によると、各地で軍・武装部隊が戦車、ヘリコプターなどを投入し、離反兵の逮捕・掃討作戦を大規模に展開し、複数の死傷者が出た。

Youtube
Youtube

**

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市(人口40,000人)で早朝から、軍・武装部隊が大規模な作戦を開始、少なくとも20人が負傷し、うち7人が重傷だという。

複数の住民によると、治安部隊は戦車、ヘリコプターが砲撃を行うなかで、離反兵の追跡・掃討を行った。

また数十台の車輌が市内に進入したとの目撃情報もある。

こうしたなかデモ参加者への発砲命令を拒否した離反兵数百人が「ハーリド・ブン・ワーリド大隊」の名で反乱軍を結成し、インターネット上で声明を読み上げ、「ラスタンはシリア軍の墓場になるだろう」と連呼した(http://www.youtube.com/watch?v=UAVKpd8AnXM、9月26日付)。

同大隊はアブドゥッラフマーン・シャイフ少佐が指揮しており、戦車数輌を保有しているという。

またラスタン市では、離反兵のなかでもっとも階級が高いリヤード・アスアド大佐も活動を行っているという。

http://www.youtube.com/watch?v=UAVKpd8AnXM

ヒムス市では、シリア人権監視団によると、バイヤーダ地区で離反兵が装甲車や戦車を破壊、その後軍・治安部隊が攻撃を行い、少なくとも6人の民間人を殺害、7人が負傷した。

シリア人権監視団によると、ティールマアッラ村、タルビーサ市でも軍・治安部隊が展開し、発砲した。

SANA(9月28日付)は、ヒムス市ワアル地区で大量の武器弾薬を押収したと報じた。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ザーウィヤ山のカフルルーマー村で民間人2人が殺害された。

Youtube
Youtube

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、タファス市で治安部隊の発砲で民間人1人が殺害、5人が負傷した。まトゥスィール村でも軍・武装部隊が展開し、発砲した。

**

アレッポ県では、地元調整諸委員会によると、タッル・リフアトに「治安部隊とシャッビーハの車」が進入した。

**

ラタキア県では、地元調整諸委員会によると、ラタキア市とジャブラ市で生徒数十人が反体制デモを行った。

**

ダイル・ザウル県では、地元調整諸委員会によると、生徒数十人が体制打倒を求めるデモを行った。

**

SANA(9月28日付)は、ハマー県サラミーヤ地域のバルドゥーナ村で武装テロ集団が役場を襲撃し、職員1人が死亡したと報じた。

**

Kull-na Shuraka', September 28, 2011
Kull-na Shuraka’, September 28, 2011

ダマスカス民主国民変革宣言が声明を出し、反体制勢力の統合に反対しているとの一部非難に反論した。

同声明によると、反体制勢力の統合を求めるシリア国民の要求を「当然の要求」としたうえで、国内外の反体制勢力を区別し、在外の反体制勢力の意図を疑問視する風潮を非難した。

そのうえで反体制勢力の統合が「共通の政治的ビジョン」に基づいて行われるべきと述べ、このビジョンが現段階においては、革命に対する姿勢、およびその目的実現に奉仕する活動に重点を置くべきと主張した。

**

シリア民主世俗主義諸勢力連立は声明を出し、シリア国内での平和的革命に向けたあらゆる努力を支援することを表明した。

**

シリア国民評議会メンバーのウサーマ・ムナッジド氏は『ハヤート』(9月28日付)に対して、国連総会出席のため訪米中のレジェップ・タイイップ・エルドアン・トルコ首相、アフメト・ダウトオール外務大臣、AKP代表らと会談したと述べた。

同氏によると、会談ではアサド政権による反体制運動弾圧をめぐる「トルコの新たな役割」について話し合われ、そのなかでトルコ側は同問題に粛々と対処し、すべての選択肢を検討していることを明らかにしたという。

また近くトルコが経済制裁を宣言するとの意思を示したことも明らかにした。

**

9月18日に複数の地元活動家によって結成された「ガド」(明日)同盟は声明を出し、軍・治安部隊による弾圧を改めて強く非難した。

アサド政権の動き

ワリード・ムアッリム外務大臣は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、イランのアリー・アクバル・サーリヒー外務大臣、ブラジルのアントニ・パトリアタ外務大臣、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長、潘基文国連事務総長と相次いで会談した。

SANA, September 28, 2011
SANA, September 28, 2011

このうち潘国連事務総長との会談は、複数の消息筋は、「きわめて悪かった」と評した。

同消息筋によると、会談では「激しいやりとりが行われ、事務総長は会談の雰囲気、ムアッリムの言葉に激しい怒りを示した」という。またムアッリム外務大臣が「外交的でない言葉」を発したという。

諸外国の動き

国連安保理が会合を開き、パレスチナ問題を含む中東問題に関する審議が行われた。

『ハヤート』(9月28日付)によると、同会合において、フランスはシリア情勢に関するあらたな決議案を回付したという。

新決議案は「即時の制裁発動を定めていないが、2週間後にそうした措置を講じるとの警告が盛り込まれている」という。

複数の消息筋は、「2週間という事件的猶予は、シリア政府に改革と殺戮停止への真摯な姿勢を示す機会を与えるためのもの」だとしたうえで、ロシアは即時の制裁が盛り込まれていなければ反対はしないと楽観視した。

**

国連安保理会合に出席したレバノンのナジーブ・ミーカーティー首相は会談後の記者団との懇談のなかで「レバノンの特殊性を踏まえると、我々は対シリア制裁決議を支持することはできない。なぜなら我々は制裁を実行できないからだ」と述べた。

またレバノンの銀行部門に関して、「国際社会の影響は受けないし、国際社会の要求に反対することもないだろう」と述べたが、ヒラリー・クリントン米国務長官との会談では、「レバノンの銀行におけるシリア人の預金」については議論されなかったと指摘した。

SANA, September 28, 2011
SANA, September 28, 2011
SANA, September 28, 2011
SANA, September 28, 2011

**

サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣は国連総会で演説、改めて「姉妹国シリアで孤立する国民に対して行われている軍事攻撃を非難」し、「アラブ連盟の決定に従い、攻撃を即時停止し、シリア国民の合法的要求に応えるための包括的改革を遅延なく実施する」よう呼びかけた。

**

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はロシア24チャンネルのインタビューに答え、西側諸国のシリアに対する姿勢を「安易だが安全でない戦略」と形容し、バッシャール・アサド大統領退任要求が「予測できない厳しい結果をもたらしかねない挑発」と非難し、国連安保理での対シリア制裁決議を支持しないと改めて述べた。

その一方で「再三にわたる提案にもかかわらず、シリア政府は外国メディアの取材をなかなか解禁せず、多いに曖昧な点が残る」と述べ、アサド政権の姿勢も批判した。

**

米国務省マーク・トナー副報道官は、「過去数ヶ月の暴力のレベルを踏まえると、我々が今…反体制勢力がシリア軍に対して自衛のために武器を用い始めているとしても驚くべきことではない」と述べ、一般市民による反体制デモの収束に伴い、離反兵による散発的反乱が反体制運動の主流になりつつある現状を暗に黙認した。

一方米国財務省は米国のNPOや一部金融機関に、シリアに対する「人道支援」と「シリアの民主主義」や「非営利プロジェクト」を支援する「サービス」を提供することを決定した。

**

レバノンの軍事裁判所で、シリア人アブドゥッラー・イブラーヒーム・ダギール氏の「武器弾薬密輸」容疑に関する裁判が行われ、禁固6ヵ月の有罪判決が下された。

ダギール氏はバアス党員でトリポリのレバノン大学で歴史学を専攻、トリポリの下宿で武器弾薬を押収された。

ダギール氏は1,400ドル相当の弾薬を購入したことを認めたが、密輸容疑は否定した。

またダギール氏の代理人は、シリア国内での「革命」、暴動が続くなかで、自らの身の安全を恐れて武器・弾薬を所有していたと述べた。

**

FIDHはシリアでの反体制抗議行動に対する弾圧を改めて非難した。

そのほか

CNN(9月27日付)がDemocracy Councilと合同でシリアで世論調査を行った。

同調査によると、86%がアサド政権のパフォーマンスを否定的に評価し、88.2%が現政権では国の問題を解決できないと考えている。また71.1%が反体制運動を前向きに評価し、消極的な評価をしたのは5.5%に過ぎず、88%がデモ参加者と共通の関心を持っている(share the protestors’ concerns)という。

さらに3分の2以上が「民主主義が他の政治体制よりも好ましい」と考えており、アサド政権の改革だけでは国民の怒りは収まらないと考えていると答えた。アサド政権の存続を望んでいるのは11.5%に過ぎず、87.9%がアサド政権による改革ではデモ参加者を満足させられず、81/7%が政権交代を望んでいるとの結果が出た。

シリアの反体制勢力はトルコのイスタンブールで「円卓会議」開催のための準備会合を27日から本格化させ、反体制勢力の統合をめざした。

複数の消息筋によると、準備会合にはシリア・ムスリム同胞団、アンタルヤ会議の使節団、シリア国民保湯議会メンバーなどが参加するという。

シリア革命総合委員会はワシントンDCで27日に記者会見を開き、民間人保護のための飛行禁止空域の設定への支持を表明、また国連の潘基文事務総長とバラク・オバマ米大統領に書簡を提出し、武器禁輸措置とシリア政府高官の資産凍結を求めた。

地元調整諸委員会などとともに国内で反体制デモを組織・指導していたはずのシリア革命総合委員会が米国で過激な発言を行ったことは、シリアの反体制運動が外国に扇動されているとのアサド政権の主張に説得力を与えてしまうことは必至である。

AFP, September 27, 2011、Akhbar al-Sharq, September 27, 2011, September 28, 2011、AKI, September 27, 2011、CNN, September 27, 2011、al-Hayat, September 28, 2011、Kull-na Shuraka’, September 27, 2011、Reuters, September
27, 2011、SANA, September 28, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ムアッリム外務大臣が国連総会での演説のなかで「国民を保護、治安・安全を維持し、外国の介入に対抗する」必要性を強調、一方ヒムス県ではバアス大学の関係者2名が暗殺される(2011年9月26日)

反体制運動弾圧

複数の活動家・目撃者によると、軍・治安部隊は、抗議行動と軍離反者を掃討するため、ヒムス市、ラスタン市、クサイル市、ダルアー県各都市、ダマスカス郊外県各都市、イドリブ県各都市などで引き続き作戦を行った。

またクサイル市とイドリブ県内では離反兵4人がシリア軍によって殺害された。

SANA, September 27, 2011
SANA, September 27, 2011

**

ヒムス県では、SANA(9月27日付)は、何者かが、ヒムスのバアス大学理学部に所属するナーイル・ダヒール准将と、同工学部のムハンマド・アリー・アキール副学部長を暗殺したと報じた。シリア人権監視団も殺害の事実を発表した。

シリア人権監視団によると、アースィー川で、身元不明の遺体2体が発見された。またヒムス市では、バイヤーダ地区で何ものかがシャマカ家の男性2人を誘拐した、という。さらにヒムス再生諸委員会のマルワーン・マルイー委員長が誘拐未遂に遭い、銃で撃たれ負傷した。

SANA(9月27日付)は、ヒムス市ハーリディーヤ地区で、イスラエル製の武器、爆弾、最新の通信機器を積んだ自動車を摘発した、と報じた。

これに対して、ヒムス大学自由学生連合が声明を出し、アキール副学部長が治安部隊の発砲により射殺されたことを主張、ロシア上院使節団がヒムス市訪問時に面談し、同市の実情について説明したことが、暗殺の原因と推定した。

http://www.facebook.com/notes/اتحاد-الطلبة-الأحرار-جامعة-حمص/بيان-هام-بشأن-اغتيال-الدكاترة-في-حمص-بتاريخ-26-9/219612531432929

**

イドリブ県では、複数の目撃者によると、カフルアミーム村、ライヤーン村、シャイフ・イドリース村に軍・治安部隊が突入し、少なくとも17人を逮捕した。

しかしSANA(9月27日付)は、イドリブ県で武装集団が、マイクロバスをハイジャックし、カフルルーマー村の農村開発プロジェクトに所属する14人を誘拐したと報じた。

**

ダルアー県では、複数の目撃者によると、ダーイル町で、市議会議事堂が放火されたのち、激しい発砲があった、という。

地元調整諸委員会によると、ダーイル町では25日晩からの軍・治安部隊の掃討作戦で5人が負傷した。またサナマイン市にも軍・治安部隊が突入したという。

一方、地元調整諸委員会によると、ナマル町から戦車が撤退したが、検問所が3カ所残されているという。

SANA(9月27日付)は、ダルアー県のヨルダン国境近くのナスィーブ村の家で、当局が大量の武器弾薬を押収したと報じた。またダルアー市内のダルアー大学近くに設置されていた爆弾を当局が撤去したと報じた。

Kull-na Shurakā’, September 26, 2011
Kull-na Shuraka’, September 26, 2011

**

ハマー県では、地元調整諸委員会によると、ハラファーヤー市などで6人が殺害された。

反体制勢力の動き

国民民主諸勢力国民調整委員会の執行部はダマスカスで会合を開き、在外の反体制勢力などとの糾合について議論、ダマスカス民主国民宣言、イスラーム主義諸勢力との運動の統合をめざすための交渉を続けることで合意した。

**

人民変革解放人民戦線の使節団がトルコ訪問を終えて、シリアに帰国。帰国直後に記者会見を行おうとしたが、会場を確保できずに中止となった。

これに関して、シリア民族社会党インティファーダ派のアリー・ハイダル党首は、労働総同盟が当局の許可なく9月25日の記者会見会場を提供したためと述べた。

**

反体制活動家でシリア国家建設潮流を発足したばかりのルワイユ・フサイン氏がモスクワ・ニュース(9月26日付)のインタビューに応えた。

このなかでルワイユ氏は、「政権と対決するため、単一の政治的局を作る必要などない。我々は自由と権利のために闘っている。それは政治生活の産物であり、おそらく国内の政治や市民生活にかかわる様々な問題が濃縮されるだろう…。つまりそれは多様性であって断片化ではない。活力を意味している」と述べた。

また反体制勢力が諸外国に使節団を送っていることに関して、仲介は中立的であるべきとしたうえで、ロシアやトルコの仲介に関して、その真意が計りかねるため、「きわめて慎重になっている」と述べ、あくまでも国内の当事者のみでの問題解決をめざす意向を示した。

**

シリア革命総合委員会が米国ワシントンDCで記者会見を行うとのプレスリリースを出した。

アサド政権の動き

中東諸国訪問中のレバノンのマシュリク・キリスト教会合の使節団(ルーカー・フーリー司教代表)はシリアを訪問しバッシャール・アサド大統領と会談した。

大統領府声明によると、アサド大統領は会談で、宗教・宗派間の差別を拒否し、過激主義に反対するとの立場を明らかにした。

SANA, September 27, 2011
SANA, September 27, 2011
SANA, September 27, 2011
SANA, September 27, 2011

**

ワリード・ムアッリム外務大臣は国連総会で演説し、シリアが国内で政治・経済・社会改革を行う必要があるとしつつ、「現下の政治的圧力のもと…、国内の諸要求は二義的なものとなり、最優先課題は外国の圧力への対抗」となっていると述べた。

また「現在シリアが直面しているのは、国民のニーズや要求が、シリア国民の願望や利益とまったく異なる目的で利用されているという事態であり、平和的なこれらの要求は、武装集団による内乱助長や治安悪化をエスカレートさせ、それが外国の介入の口実となっている」と述べ、シリアが自らの力で国民を保護、治安・安全を維持し、外国の介入に対抗する、との意思を示した。

**

ジャーナリスト連合のイリヤース・ムラード総裁、同連合執行部メンバー、メディア機関の代表ら数十人がダマスカス空港街道沿いにあるドゥンヤー・チャンネルの本社前で集会を行い、外国メディアによる「煽動」に反対するプラカードを掲げ、西側諸国の経済制裁に関して「シリア国民の意見の表明や選択の権利を奪う敵対行為」と非難した。

**

『スーリーユーン・ネット』(9月26日付)は、複数の消息筋の話として、副参謀長のバッサーム・ナジュムッディーン・アンターキーヤ中将がアサド政権に対するクーデタを画策したため、アースィフ・シャウカト副参謀長(中将)に暗殺された、と報じた。

**

『クッルナー・シュラカー』(9月26日付)は、シリア首脳に近い消息筋の話として、数日以内に憲法改正委員会が設置され、そのなかには複数の反体制活動家もメンバーとして参加すると報じた。

**

AFP(9月26日付)は、ダマスカスの自動車ディーラーの話として、自動車等の輸入規制により、自動車の価格が高騰している、と報じた。

**

内務省は9月26日付で「凶悪犯」による政党結成を禁じる決定(決定第1134号)を発した。

諸外国の動き

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は米国の国営ラジオとのインタビューで、「状況改善のために改革措置を講じる代わりに、アサドは自らの地位の保身を望み、より攻撃的、暴力的になった」と非難した。

**

ロバート・フォード駐ダマスカス米大使は、キリスト教徒などシリアのマイノリティ宗派はアサド政権が崩壊した後にイスラーム主義者が台頭することを懸念している、と述べた。

**

フランス外務省報道官は、ダマスカス県旧市街での大使に対する政権支持者の暴行を強く非難した。

Kull-na Shurakā’, September 26, 2011
Kull-na Shuraka’, September 26, 2011

**

米国務省高官は匿名を条件に、ヒラリー・クリントン米国務長官が、国連安保理での対シリア制裁決議採択に向けた支援を中国の楊潔チ外務大臣に求めたことを明らかにした。

AFP, September 26, 2011、Akhbar al-Sharq, September 26, 2011, September 27, 2011、al-Hayat, September 27, 2011、Kull-na Shuraka’, September 26, 2011, September 27,
2011, September 28, 2011, October 14, 2011、Sooryoon.net, September 26,
2011、SANA, September 27, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア当局が原材料・穀物を除くほとんどの製品の輸入を規制するなか、シリア青年議会の主催により全国でシリア・アラブ共和国憲法をめぐる対話を行うための会合が開始(2011年9月25日)

反体制デモ弾圧

シリア人権監視団によると、24日から25日にかけてヒムス県、ハマー県で治安部隊によって13人が殺害された(うち12人がヒムスで殺害)。

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍部隊はトルコ国境近くサルミーン市、ナイラブ村、クマイナース村で突入・逮捕を行い、大規模な治安回復作戦を実施した。

これに先立ち、ナイラブ軍事基地の兵士40人が離反した。

**

ヒムス県では、ラスタン市、クサイル市で軍の増援部隊が派遣された。

また避難しようとする市民を阻止するかたちで対レバノン国境地域にも軍部隊が増強され、レバノンのベカーア県ヘルメル郡カーア村に接する国境の通行所近くまで軍が展開した。

ヒムス市ハドル地区で数日前に重傷を負った少年が死亡した。

また負傷した後に市内の病院に搬送され、そのまま失踪していた少年の遺体が遺族に引き渡された。

また同市では、シリア人権監視団によると、ヒムス国立病院のハサン・イード外科部長が自宅前で殺害された。シリア・アラブ・テレビは「武装テロ集団」が暗殺したと報じた。

タルビーサ市では数日前に逮捕されていた少年の遺体が遺族に引き渡された。

SANA(9月26日付)は、ヒムス県ジスル・タッル・シュール近くで大量の武器弾薬、爆発物を積んでいた車輌を摘発したと報じた。

**

ダマスカス郊外県では、ドゥーマー市に治安部隊が展開した。

また複数の目撃者によるとザアファル市に複数の戦車、兵員輸送車が進入した。タルビーサ市とラスタン市を結ぶ地点に位置する同市では2日前から抗議行動が発生したという。

またハラスター市で9月23日(金曜日)に逮捕された青年の遺体が家族に引き渡された。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市中心のジスル・ミズラーブ近くで28人の男性が帰宅途中に治安部隊の無差別発砲で撃たれて死亡した。

**

フェイスブックでは、夜にザイナブ・ヒスニーさんの拷問・殺害に抗議するデモが呼びかけられたが、これに呼応する動きはほとんど見られなかった。

反体制勢力の動き

国内で活動を続ける共産主義者統一国民委員会のカドリー・ジャミール代表は、『ハヤート』(9月26日付)に対して、今週末にモスクワを訪問する使節団(7人)発足の連絡調整が行われていると述べた。

モスクワでは、外務省、ロシア連邦議会(上下両院)を訪問するという。

「使節団が国内の反体制勢力のみに限定されている点が重要だ」という。

思想家・社会学者のタイイブ・ティーズィーニー氏によると、使節団には、ジャミール氏のほか、シリア民族社会党インティファーダ派のアリー・ハイダル党首、アーリフ・ダリーラ氏が含まれるという。

一方、サリーム・ハイルベク氏によると、ファーイズ・サーラ氏は参加を辞退した。

Kull-na Shurakā’, September 25, 2011
Kull-na Shuraka’, September 25, 2011

**

共産主義者統一国民委員会とシリア民族社会党インティファーダ派によって構成される人民変革解放人民戦線は労働者総連合本部で記者会見を行い、9月23日にトルコのイスタンブールを同戦線の使節団が訪問し、トルコの左派系諸政党10党の代表と会談したことを明らかにした。

ジャミール氏はこの記者会見で、10月21日に、戦線発足を正式宣言し、メンバー構成などを発表すると述べた。

**

『ダマス・ポスト』(9月25日付)など複数のメディアは、ロシア高官と反体制勢力との折衝において議論されている危機打開に向けた「ロシア解決案」において、ブルハーン・ガルユーン氏ないしはハイサム・マーリフ氏のいずれかを首班とする構想が浮上していると報じた。

**

シリア・クルド青年調整連合はカーミシュリー市、アームーダー市、ダルバースィーヤ市、ラアス・アイン市などで反体制デモを呼びかけた。

**

「シリア・クルド無所属活動家の声」を名乗るグループが声明を出し、内外の反体制勢力に糾合を呼びかけた。

**

フェイスブックの「シリア革命2011」ページは、9月25日に「シリア殉教者の花ザイナブ・フスニー」、27日に「シャイフ・ナウワーフ・バシールへの忠誠」、そして29日に「怒りのラタキア」と銘打ってデモを呼びかけた。

Facebook
Facebook

アサド政権の動き

『ジュムフーリーヤ』(9月25日付)は、ワシントン、パリ、ブリュッセルで、バッシャール・アサド政権使節団とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の使節団が秘密裏に会合を重ねている、としたうえで、イスラエルがシリアの現政権の存続を「戦略上、国益にかなっている」とみなしていると報じた。

しかし、同紙が入手したとされる報告書によると、両国の秘密裏の接触は、ナクバ記念日のパレスチナ人による越境デモを通じてアサド政権が発した「メッセージ」を受けるかたちで再開された、という。

その際、ネタニヤフ首相は、シリア国内での弾圧に対する非難に国際社会が翻弄されないことを接触再開の条件とし、第3の当事者として米国やフランスが加わった、という。

またフランスでの接触では、アサド政権に近いレバノン人が仲介に当たっているという。

**

『ナハール』(9月25日付)は、アサド大統領がムハンマド・サルマーン元情報大臣との接触を開始したと報じたうえで、この動きが反体制派との(水面下の)対話の始まりになり得るとの評価を下した。

**

『クドス・アラビー』(9月25日付)は、アサド政権が国民対話会合に国内の反体制勢力を参加させるべく折衝を行っていると報じた。

同報道によると、シリア共産党ファイサル派のフナイン・ニムル議員と経済学者のムニール・ハムシュ氏が、国民民主諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表と会談し、国民対話会合への参加を促した、という。

アサド政権は、同調整委員会が第2回大会(9月18日)で発表した声明内容において、外国の干渉と混乱が拒否されたことに満足しており、「三つのいいえ」を国民対話会合において審議する意向を示したという。

一方、アブドゥルアズィーム氏は、声明において提示した諸要求が満たされることを国民対話会合出席の条件とする構えを見せた、という。

**

SANA(9月26日付)は、国連総会出席のためニューヨークを訪問中のワリード・ムアッリム外務大臣が、オマーン、スーダン、キューバ、ウクライナの外務大臣とそれぞれ会談した、と報じた。改革実施や国民対話への決意を伝えた。

**

ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣はヒムス県のアブドゥッラッザーク・バラカート警察署長を解任し、アドナーン・マフムード警部補を後任に着任させた。

**

SANA(9月26日付)は、シリア青年議会(旧青年慈善活動委員会、イーハーブ・ハーミド議長)の主催により25日から全国各地でシリア・アラブ共和国憲法をめぐる対話を行うための会合が開始されたと報じた。会合は22カ所で行われ、9月27日まで続く。

各地で行われた会合では、憲法改正、政党法や情報法の実施・尊重、複数政党制など多角的に議論が展開された。

SANA, September 25, 2011
SANA, September 25, 2011

**

EUの追加制裁に備えるかたちでシリア政府が発表した自動車・装飾品などの輸入禁止措置に関して、ダマスカス県サブウ・バハラート地区で自動車業を営む商人は匿名を条件に国内のビジネス界で「ショック」を引き起こしたと述べ、さらなる損害を被るだろうと懸念する者も現れたと危機感をあらわにした。

彼はまた「取引はない。状況は悪い。商人やビジネスマンはキャッシュでもクレジットでも物が買えなくなってしまっている…。この措置(自動車などに対する輸入規制)は、状況をさらに悪化させ、不確実性を増大させるだけだ」と述べた。『ハヤート』(9月25日付)が報じた。

またロイター通信(9月25日付)は、ビジネスマンの話として、シリア当局は、原材料、穀物を除くほとんどの製品の輸入を規制したと報じた。

**

『アフラーム』(9月25日付)はイラクの消息筋の話として、シリア当局がイラク軍に対イラク国境に位置するダイル・ザウル県へのブーカマール市での密入国阻止を目的とした軍事行動を許可したと報じる。

レバノンの動き

国連総会出席のために訪米中のレバノンのムハンマド・サファディー財務大臣は、ワシントンDCで、クリスティン・ラガードIMF専務理事、チャールズ・コリンズ米財務次官、サウジアラビアのイブラーヒーム・アッサーフ財務大臣らと相次いで会談した。

ラガードIMF専務理事との会談では、EUによる追加制裁(石油部門への新規投資禁止など)など西側諸国による対シリア制裁に関して意見が交わされ、そのなかでサファディー財務大臣は、「レバノンがシリアの”肺”のようにみなされることはレバノンにとって有害だ…。国際社会がシリアへの制裁を望むのであれば、レバノンは代償を払わねばならない…。レバノンの銀行は、国際社会に反することを行わないよう措置を講じてきた」と述べた。

**

AFP(9月26日付)は、シリア国境に接するレバノンの北部県アッカール郡ブカイア村(ワーディー・ハーリドを包摂)の経済、シリアでの反体制デモに伴う混乱、経済制裁で打撃を被っていると報じた。

現地住民の話によると、レバノンでもっとも貧しい地域の一つであるブカイア村は、シリアと舗装されていない数十の道で結びついており、この道を通じて日々行われる日用雑貨やサービスなどの「違法」な取引によって生活が支えられていた。

しかし数ヶ月前に、シリア軍がこれらの通路を制圧して以降、密輸は不可能となった。

またシリアから毎日訪れていた顧客も姿を見せなくなっているという。

**

レバノン北部県のアリーダム村住民は、アサド政権支持者が乗るバス2台のシリアからの入国を阻止した。

諸外国の動き

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はCNNのインタビューに応え、アサド大統領に向けて「あなたはこのような残酷な行為によっては権力の座にとどまることはできない。国民の要求に答えることはできない」と述べた。

また「この動きはもう少し続くだろうが、遅かれ早かれ収束する。人々はシリアでさまざまなことを決め、それらは行われるだろう。シリア国民は、エジプト、チュニジア、リビア同様自由を欲している…。独裁体制は炎上し、崩壊する」と述べた。

AFP, September 25, 2011、al-Ahram, September 25, 2011、Akhbar al-Sharq, September 25, 2011, September 26,
2011、Damas Post, September 25, 2011、al-Hayat, September 25, 2011, September 26, 2011、al-Jumhuriya, September 25, 2011、Kull-na Shuraka’, September 25, 2011, September 26,
2011、al-Nahar, September 25, 2011、al-Quds al-‘Arabi, September 25, 2011、Reuters, September 25, 2011、Syria News, September
25, 2011、SANA September 25, 2011, September 26, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

EUはシリアテル社を含む6社および2個人に対する追加制裁を承認、ニューヨーク訪問中のムアッリム外務大臣が、アルゼンチン、カザフ、レバノンの外相と会談(2011年9月24日)

諸外国の動き

反体制デモの動員力が減退するなか、EUはシリアに対する追加制裁の承認を正式に発表し、発動した。

第7弾にあたる今回の追加制裁では、バッシャール・アサド大統領のいとこラーミー・マフルーフ氏が所有するシリアテル(携帯電話会社)、シャーム・ホールディング(持ち株会社)、サルーフ社(シリアの軍事産業に投資しているとされる)を含む6社、そしてタイスィール・カラー・アウワード法務大臣、アドナーン・ハサン・マフムード情報大臣の2人が対象となった。

この追加制裁により、制裁対象となった個人・機関は合わせて56人、18社・機関となった。

なお、制裁リストへの追加に関して、アウワード法務大臣は「無差別逮捕・投獄にかかる政策・行為を支持した」こと、マフムード情報大臣はシリア政府の「情報政策」に寄与したことを理由としてあげられている。

だが、閣僚の日常の執務以外に制裁の根拠を示せないEUの姿勢には手詰まり感がある。

この追加制裁をめぐり、『ハヤート』(9月24日付)は、複数の商人や専門家の証言をもとに、アサド政権への影響を分析した。

それによると、これまでの制裁によってシリアの石油の輸出は事実上不可能となり、アサド政権の収入が大幅減となってはいるが、現在までのところ支配力を脅かしてはいないという。

シリア政府はこれまでロシア、中国、インドなどに石油輸出先を転じようとしているが、現在までのところこれらの国々からの需要は高くない、という。

ある商人は「中国人やインド人に関して言うと…、もちろんいくらかは購入しようとしている。しかし経済的な実現性はなく、また購入に伴うビジネス上のリスクが解消されるほどの取引量にもなり得ない」と述べた。

**

エリク・シュヴァリエ駐シリア・フランス大使は、ダマスカス県の旧市街キリスト教地区で「シャッビーハが鉄棒などで私たちの一行を襲い、女性たちが卵や石を投げてきた。彼らの行動は敵対的で、私たちは車に引き返した」と述べた。

大使ら一行は、襲撃を受ける前に、イグナーティーウス4世ハズィーム・アンタキア総大司教をはじめとするギリシャ正教司祭らと会談していた。

Kull-na Shurakā’, September 24, 2011
Kull-na Shuraka’, September 24, 2011

複数の目撃者によると、若い男女がアサド大統領を支持するシュプレヒコールを連呼し、襲撃した、という。

**

国連総会出席のためニューヨーク滞在中のトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、24日(現地時間23日晩)、「トルコはシリア国旗を掲揚し武器を輸送していた船舶を繋留した…我々はシリアに武器を輸送するあらゆる船舶の航行を禁じると決定した。我々はこの決定をダマスカスに通達し、近隣諸国にも伝えた…。今後、空路および陸路でも武器を輸送する貨物車両、貨物機に対して同様の対応を行う」と述べた。

首相は詳細について明らかにしなかったが、アナトリア通信によると、マルマラ海で繋留したと報じた。

**

CNN(9月24日付)は、国連人権高等弁務官事務所が、シリアでの反体制運動弾圧に「強い懸念」を感じており、「安保理がシリアをめぐる問題を国際刑事裁判所に提訴することが重要」との見解を持ちつつあると報じた。

**

SANA, September 24, 2011
SANA, September 24, 2011

『イクティサーディー』(9月24日付)は、在シリア米大使感高官の話として、米国当局がシリア中央銀行のアディーブ・マイヤーら総裁にビザを発給したと報じた。

**

SANA(9月25日付)は、ロシア外務省が声明を出し、BRICS諸国外相がシリアへの制裁強化が危機を激化させ、そのことが国内情勢をさらに複雑にし、地域の平和と安全を危機にさらすと考えていることを明らかにしたと報じた。

BRICS諸国外相は国連総会出席のため訪問中のニューヨークで会談を行った。

**

SANA(9月25日付)は、ジャズィーラ・インターナショナル(英語放送)のニール・ルースィン(米国人)特派員が自らの記事(9月24日付)で、シリア国内の各所に武装集団がおり、治安維持部隊兵士約700人を要撃によって殺害したことを認めた。

同記事によると、シリアの複数の地域で7週間にわたり取材を行い、ダルアー、ハマー、ラタキア、アレッポ、ヒムス、ダマスカスを訪れた結果、多数の民間人の青年が村々やさまざまな地区で武装していることが確認できたという。

また取材を行った武装集団の指導者たちは、自らが治安部隊を要撃し6人の兵士を殺害したほか、ハマー・ヒムス街道でも要撃を行い、士官を殺害したことを認めた。

**

イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領は国連総会出席のため訪問中のニューヨークで『ニューヨークタイムズ』(9月24日付)の取材に応じ、シリア情勢に関して、反体制デモに伴う混乱を「陰謀」と断じたうえで、問題解決のため相互理解・尊重に基づく対話を行う必要があるとの見解を示すともに、外国による内政干渉が事態を悪化させるだけだと非難した。

アサド政権の動き

SANA(9月24日付)は、シリア軍副参謀長のバッサーム・アンターキーヤ中将が23日(金曜日)、「心臓発作」を起こして死亡したと報じた。

Kull-na Shurakā’, September 24, 2011
Kull-na Shuraka’, September 24, 2011

**

SANA(9月25日付)は、国連総会出席のためニューヨークを訪問中のワリード・ムアッリム外務大臣が、アルゼンチン、カザフ、レバノンの外務大臣とそれぞれ会談したと報じた。

これらの外務大臣はアサド政権の改革路線への支持を表明するとともに、シリアが受けている外国の干渉やメディアの煽動がシリアの安定に抵触する動きだと理解を示したという。

**

ファイサル・ミクダード外務次官は23日(現地時間22日)、ニューヨークの国連本部で開催されたOIC外相年次調整会合に出席し、演説を行い、外国と結びついた過激派のテロ行為にシリアが曝されていると強調した。

**

共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師は『ナハール』(9月24日付)のインタビューに応え、フランス帰国後のレバノン・マロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教と電話で会談し、シリア情勢をめぐる姿勢への謝辞を述べたと語った。

また近くレバノンを訪問する予定があることを明らかにした。

SANA, September 24, 2011
SANA, September 24, 2011

反体制運動をめぐる動き

複数の反体制活動家によると、ダルアー県フラーク市、ヒムス市、ハマー市、バーニヤース市、ダイル・ザウル市で反体制デモが発生し、死傷者が出た。

シリア人権監視団によると、15人が殺害された。

**

シリア世俗主義者連盟設置委員会が発足し、第1回会合を開いた。

会合では暫定執行委員会のメンバー11人が選出された。暫定執行委員会は政党法に基づき公認申請を行う。

暫定執行委員会が出したプレスリリースによると、メンバーは以下の通り。イリヤース・ハルヤーニー、マーヒル・サッルーム、ムハンマド・ハッサーン・ムニール、イーリヤー・マアリー、マーズィン・ビラール、ムハンマド・ハーッブー、ハーラー・トゥーマー、サラーム・アイユーブ、ターミル・ラスーク、ハーリド・リファーイー、サーバー・トゥーバー。

メンバーの一人のマアリー氏は会見で「連盟は世俗的思考の普及を通じて単一のシリア社会の建設をめざす」と述べた。

**

「ドゥルーズ山自由運動家」を名乗る集団が声明を出し、シリア「革命」への支持を表明した。

**

シリア軍を離反したイブラーヒーム・マジュブール大尉はアラビーアの取材に対して、シリア軍を離反し、自由将校運動や自由シリア軍に参加している兵士の数は10,000人を越えていると述べた。

AFP, September 23, 2011, September 24, 2011、Akhbar al-Sharq, September 24, 2011、Alarabia.net, September 24, 2011、CNN, September 24, 2011、DPI, September 24, 2011、al-Hayat, September 24, 2011, September 25, 2011、al-Iqtisadi, September 24, 2011、Kull-na Shuraka’, September 24, 2011、al-Nahar, September 24, 2011、The New York Times, September 24, 2011、Reuters, September 23, 2011, September 24, 2011、SANA,
September 25, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ハヤート紙が国内の抗議行動の規模縮小に関する反体制側・政権側の見方を紹介、仏外相いわくシリアでは「宗派どうしが殺し合っている」(2011年9月23日)

反体制運動の規模縮小への反体制活動家、親政府顧問の評価

『ハヤート』(9月23日付)は、9月に入って以降、シリア国内での抗議行動の規模が低迷していることに関して、反体制側、政権側の見方を紹介した。

同記事によると、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長(在ロンドン)は次のように述べて、規模の縮小が逮捕・弾圧の結果であることを認めつつも、抗議行動そのものが低迷していないと主張した。

「ダルアーからカーミシュリー、イラク国境のブーカマールから海岸に至るまでデモは拡大しているが、大規模ではない…。ダイル・ザウル、ハマーは、国家の支配を脱却する段階に達していた…。両市では、数十万人が金曜日のデモで集まっていたが、現在はダイル・ザウルで数千人が集まるのみである」。

シリア革命調整連合報道官のウマル・イドリビー氏(在レバノン)は、次のように述べた。

「デモが縮小していないのは確かだ。体制による激しい弾圧がある場所での1日あたりの規模や密度を我々が縮小しているのであって、別の場所でのデモを準備している…。シリア軍がすべての地域を制圧しているなかでデモの再配置は複雑な状況下で行わざるを得ない。また数万人がこれまでに逮捕されたことでデモが妨げられていることも確かだ…。しかし運動は続いており、国民が革命の目的を実現しようとする意思は変わらない…。国際社会の対応が遅れていることが、おそらくは革命が平和的路線を逸脱する要因となっている…。むろん、このことは体制の責任だ。なぜなら体制は厳しい弾圧を行っているからだ。しかし、我々はすべてのデモが依然として平和的性格を維持していると確信している」。

一方、アサド政権に近いハーリド・アフマド氏は次のように述べた。「先週の金曜日はせいぜい25,000人から30,000人が各地でデモを行ったに過ぎない。つまり、8月の数値の10分の1に過ぎない…。抗議行動は止むことはない。しかしそれは衰退している。なぜならデモ参加者は、シリアの体制がチュニジアやエジプトとは異なり、張り子の宮殿のように崩壊しないと悟ったからだ」。

また国内の不安要因に関して、以下のように指摘した。

「4,000人の武装したサラフィー主義者がザーウィヤ山、ワアル地域に、そして2,000人がヒムスに潜伏しており、彼らを掃討するには多大な人的被害を伴うことになる…。これらの破壊分子は、武器という言葉以外理解しない」。

反体制デモ

シリア革命調整連合はフェイスブックの「シリア革命2011」ページで「反体制勢力統一の金曜日」のデモを呼びかけていたが、(この呼びかけに応じたか否かはともかく)、シリア国内でのデモは小規模・散発的なものに終わった。

複数の活動家らによると、金曜礼拝後に、ダマスカス郊外県(ハジャル・アスワド市など)、ダイル・ザウル県(約2,000人が参加)、ダルアー県、イドリブ県、ヒムス県などで体制打倒と民間人の国際的保護を求めるデモが発生したが、参加者は全国あわせて数千人に過ぎなかった。

なおシリア人権監視団によると、ハサカ県のカーミシュリー市、アームーダー市、ダルバースィーヤ市(約2,000人が参加)、ラアス・アイン市でもデモが行われたという。

Facebook
Facebook

**

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、バーブ・ドゥライブ地区、バイヤーダ地区で6人が殺害された。

クサイル市では少女1人が、タルビーサ市では少年1人が、そしてザアファラーニーヤーでは1人が殺害された。

またシリア人権監視団によると、ヒムス市では活動家のムハンマド・サーリフ氏が空軍情報部に一時身柄を拘束されるが、まもなく釈放された。

サーリフ氏はロシア連邦議会の使節団と会談した反体制活動家の一人で、身柄拘束中、この会談の内容について尋問を受けたという。また数時間にわたる尋問で暴行を受けたという。

**

イドリブ県では、シリア革命調整連合によると、青年1人が重傷を負い、死亡した。

**

ダマスカス郊外県では、ザバダーニー市で22日に重傷を負っていた女性が死亡した。

**

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ダルバースィーヤ市で反体制デモが発生、空軍情報部がフランス在住の反体制活動家マスウード・ハームド氏の兄弟を逮捕した。

複数の人権活動家によると、カーミシュリー市で少なくとも70人が逮捕される。治安当局はデモを強制排除するため催涙ガスを使用した他、活動家の家を捜索、逮捕を断行したという。

**

SANA(9月23日付)は、ダイル・ザウル市で、武装テロ集団が治安維持部隊を要撃し、6人の兵士が負傷したと報じた。

**

シリア・ムスリム同胞団シューラー会議が声明を出し、反体制勢力統一のためにすべての努力を行うことを発表した。

**

ニューヨークでの国連総会出席のため、ワリード・ムアッリム外務大臣がオーストリアのウィーンを一時訪問。

「アフバール・シャルク」(9月23日付)によると、宿泊先のインターコンチネンタル・ホテル前ではオーストリア在住のシリア人が抗議の座り込みを行った。

ムアッリム外務大臣はEUの制裁(ビザ発給禁止)の対象となっている。

アサド政権の動き

SANA(9月23日付)は、ムハンマド・ニダール・シャッアール経済通商大臣が、「内閣は、関税率が5%を越える一部製品の輸入を、国民生活に不可欠で国内で生産されていない必需品を除き一時的に制限することを決定した」と発表したと報じた。

この決定は22日になされたもので「装飾品、観光用の車輌などが対象となり、国庫を外国セクターから保護することが目的」だという。

また同措置は「一時的」であることが強調された。

**

『ラアユ』(9月23日付)は、8月29日に行われた在外シリア人の使節団とアサド大統領の会談での大統領の発言内容を報じた。

この会談で、アサド大統領は、湾岸諸国のシリアへの対応に関して、「矛盾した異なる姿勢で我々に対処している。第1の対応とは、高官の声明やメディアでの報道を通じた批判的なものであり、第2の対応とは、連日行われている連絡・接触を通じた改革への支持である」と述べたという。

またカタールとの関係悪化に関して、サアド・ハリーリー前首相の残留をめぐる意見の不一致と、リビアでの政変をめぐるシリアとGCCの意見の相違が根底にあると述べた。

トルコとの関係をめぐっては、「エルドアン首相、トルコ軍・治安当局は我々を支持している。唯一の反対者はアフメト・ダウトオール外務大臣で、彼はもとはというとムスリム同胞団のメンバーでその後サラフィー主義者になった」と非難した。

国内での反体制運動弾圧をめぐっては、一部の兵士がアサド大統領やマーヒル・アサド大佐を神聖視するような言動を行ったことを「誤り」と率直に認めたうえで、彼らがアル=カーイダ掃討のために訓練されており、そのことがデモ弾圧時にこのような行動を招いたと述べた。

またマーヒル・アサド大佐が「ジャージ姿」で国内での治安回復作戦を指揮していたとの噂に関しては、強く否定した。

諸外国の動き

フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、フランスのテレビのインタビューに対して「我々はすべての場所で(リビアで行ったような)戦争を行う意思はない」とつつ、シリアで「キリスト教徒対アラウィー派、スンナ派といったようにあたかも宗派どうしが殺し合っているようである。そして内戦になるという恐怖が高まっている。それゆえに断固たる行動が不可欠だ」と述べた。

また「一部の学校で子供たちが抗議行動を行い…軍が学校に介入している」と述べ、バッシャール・アサド政権の弾圧を非難した。

だが学校で具体的にどのような弾圧がなされているかについては詳述しなかった。

**

スイスはEUによる制裁強化に追随するかたちで、シリアの石油部門に対する経済強化に踏み切った。経済省が発表した。

**

国連人権高等弁務官報道官は、記者会見で、シリアでのデモ弾圧に関して懸念を表明、とりわけ国内外の反体制活動家の家族らが治安当局の弾圧の標的となっていることに警鐘を鳴らした。

**

ファイサル・ミクダード外務次官は北朝鮮の朴吉淵(パク・キルヨン)外務次官とニューヨークで会談。

シリア情勢に関して、朴外務次官は外国の陰謀に対抗するシリア政府の姿勢への支持を表明した。

AFP, September 22, 2011, September 23, 2011、Akhbar al-Sharq, September 23, 2011、al-Hayat, September 23, 2011, September 24, 2011、Kull-na Shuraka’, September 23,
2011, September 24, 2011、al-Ra’y, September 23, 2011、Reuters, September 22, 2011, September 23, 2011、SANA, September 24, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス郊外県やヒムス県で治安作戦が強化、ベイルートではレバノン・シリア分科委員会が開催される(2011年9月22日)

反体制運動をめぐる動き

治安部隊はダマスカス郊外県の複数の都市における展開を強化し、電話、インターネットを遮断した。またヒムスでも作戦を続行し、1人を殺害した。

**

ダマスカス郊外県では、シャーム・ニュース・ネットワークによると、キスワ市に、第4師団の兵士数百人が到着した。同部隊はピックアップ・トラック、対空砲を従えていた、という。また軍・治安部隊が検問所・バリゲードを設置し、市内への出入りを禁止。

SANA, September 23, 2011
SANA, September 23, 2011

またキスワ市を含む複数の都市で、携帯電話、インターネットを遮断した。

**

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で1人が軍・治安部隊の発砲で殺害された。また地元調整委員会によると、ヒムス市のバーブ・アムル地区が包囲され、殺戮が行われた。

一方、シリア人権監視団によると、反体制活動家のムハンマド・サーリフ氏がヒムス市で逮捕された。

**

ダルアー県では、SANA(9月22日付)が報じたところによると、武装テロ集団がジーザ町の街道で旅客バスを要撃し、治安維持部隊兵士5人を殺害、17人を負傷させた。武装集団は救急車両が負傷者を搬出することを阻止したという。

またSANA(9月22日付)は、ダルアー市11月16日広場の西側の家の庭で、治安当局が武装テロ集団が製造した爆薬(3キロ)を押収したと報じた。サッド地区でも5~20キロ掃討の爆薬を押収したと報じた。

**

シリア革命調整連合はフェイスブックの「シリア革命2011」ページで「反体制勢力統一の金曜日」を呼びかけ、「体制打倒のための反体制勢力の糾合は国民的義務」と強調するとともに、「革命の原則に同調する国民評議会を支持しよう」と主唱し、シリア国民評議会への支持を表明した。

SANA, September 23, 2011
SANA, September 23, 2011

**

ハイサム・マーリフ弁護士はアラビーヤ(9月22日付)のインタビューに応え、「シリアの反体制勢力の統合は間近であり、現在作業が進行中である」としたうえで、反体制勢力内でのさまざまな意見の存在が「自然なこと」と述べた。

また「反体制勢力は大きな一歩を踏み出しており、体制打倒と多元的・民主的国家への変革で合意に達した。それ以外の副次的な意見の相違はその後に議論されるだろう」と付言した。マーリフ弁護士は、国連人権理事会にNPO代表として参加している。

**

シリア・アラブ・テレビは9月22日、アブドゥルカーディル・ハッラークを名乗る「シリア人テロリスト」が証言し、レバノンのムスタクバル潮流が「テロ攻撃の資金を援助している」と自供した。

SANA(9月23日付)によると、ハッラーク氏は「外国が資金援助する武装テロ集団に参加して多くの殺戮、脅迫、破壊行為を犯したことを自供」し、反体制抗議行動への参加に関しては、「モスクのイマーム、ハーリド・アブドゥルワーヒド師が煽動し、レバノン経由でムスタクバル潮流から届けられた資金を我々に配った」と証言した。

アサド政権の動き

レバノン・シリア分科委員会がベイルートの首相府で開催され、レバノンのベカーア県ウマル・ヤースィーン知事、レバノン・シリア最高会議メンバーのアフマド・ハーッジ・ハサン氏、シリア軍のアブドゥッラッザーク・ムトラク准将、そして両国の軍高官が参加した。

会合では、両国の農耕従事者の往来の簡素化に加えて、シリアへの武器密輸問題が議論された。

『シャルク・アウワト』(9月24日付)は、ヤースィーン知事の話として、この会合で「シリア側は武器問題への懸念を表明し、武器密輸が行われている疑いがあると述べ」、レバノン側に「この手のいかなる違反も許さないよう」強く求めた、と報じた。

これに対して、レバノン側は、「灯油、商品などを含むこの手の密輸を完全に阻止し、両国国境をめぐる問題を解決するため最大限協力している」と答えたという。

**

シリア中央銀行のアディーブ・マイヤーラ総裁は、『ハヤート』(9月23日付)に対して、米国政府が同総裁へのビザ発給を禁じ、世界銀行、IMFの会合にシリアが代表を参加させることをはばんでいると非難した。

Kull-na Shurakā’, September 22, 2011
Kull-na Shuraka’, September 22, 2011

**

『ワタン』(9月22日付)によると、シリア世俗主義者連盟の執行委員会選挙が9月24日に実施される。同選挙では26人が委員として選出される。同連盟は、シリア民族社会党(ターミル・ラスーク、サラーム・ラスーク)、シリア共産党(ハサン・ザーザー)、シリア民主党(サーバー・ウーバー)、シリア人権ネットワーク(アフマド・ハーズィム)のメンバー、無所属(イリヤース・ハルヤーニー)などからなる。執行委員会選出後、同連盟は政党法に従い公認申請を出すという。

**

『ダマス・ポスト』(9月22日付)は、バアス党幹部の話として、近くアーディル・サファル内閣の改造が行われ、反体制勢力が入閣するかたちで多元主義の基礎が確立するだろうと報じた。

また同幹部は、近く実施予定の人民議会選挙、統一地方選挙に関しても、「これまでにないほどの民主的、多元的」になると述べたという。

**

ギリシャ正教のアターッラー・ハンナー主教はシリア・アラブ・テレビ(9月22日付)のインタビューで、シリアに対する危険な陰謀が、その政治体制だけでなく、愛国的、民族的、アラブ的、人道的、精神的な役割を果たしてきた国家そのものに対して向けられていると警鐘をならした。

**

ダルアー市郊外地域の国民対話会合で、治安・安定強化、メディアによる煽動と外国の内政干渉拒否に関して審議がなされた。

**

ラタキア市のティシュリーン大学での国民対話会合が閉幕。

**

シリアの女性総連合は声明を出し、トルコの避難民キャンプでのシリア人女性への暴行・強姦を強くに非難。

Kull-na Shurakā’, September 22, 2011
Kull-na Shuraka’, September 22, 2011

諸外国の動き

シリア訪問を終え帰国したロシア連邦議会使節団のイリヤス・オマハノフ副団長は、RTのインタビューで、アサド大統領が「反体制勢力と会談する意思と準備をしている」と述べた。また人民議会選挙、統一地方選挙に関して早期実施の可能性もあるとの見方を示した。

**

ロバート・フォード駐ダマスカス米大使は、ロイター通信の電話インタビューに応えて、「バッシャール・アサド大統領はシリア社会の主要なコミュニティにおいて持っていた支持を失い、民主主義を求めるデモ参加者への弾圧を強化することで、宗派主義的闘争の危険を冒そうとしている…。9月半ば以来、経済的な衰退、政権内部の分裂の兆候、軍のさらなる離反が起きているが、軍は依然として協力できわめて結束している」と述べた。

**

『ヒュッリーイェト』(9月22日付)は、トルコ政府がシリアへの軍事物資を輸送していた空輸便を停止したと報じた。

**

駐シリアEU委員会代表部は声明を出し、ヒムス市で赤新月社のフクム・ダッラーク・スィバーイー氏が銃で撃たれ死亡したことに哀悼の意を示した。

**

『シャルク・アウサト』(9月22日付)は、地元消息筋の話として、シリア人避難民を受け入れているレバノン北部県アッカール郡の村々、とりわけナスーブ村、ムワンサ村で日々、シリア軍が「避難民を受け入れれば攻撃する」との脅迫を受けていると報じた。なおムワンサ村は9月15日にシリア軍の誤射を受けた。

**

エジプト・ムスリム同胞団の離反者が結成した自由公正党は、アサド政権の正統性が失われ、革命の勝利は時間の問題、と発表。

AFP, September 22, 2011、Akhbar al-Sharq, September 22, 2011、Damas Post, September 22, 2011、al-Hayat, September 23, 2011, September 24, 2011、Kull-na Shuraka’, September 22, 2011、Reuters, September 22, 2011、SANA, September 23, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 22, 2011, September 24, 2011、al-Watan, September 22, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ヒムス県、イドリブ県で軍・治安部隊による活動家の逮捕・捜索作戦が続くなか、エルドアン首相はオバマ大統領との会談のなかでシリア政府との断絶を明らかにする(2011年9月21日)

対トルコ関係

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、バラク・オバマ米大統領と21日(現地時間20日)、ニューヨークで会談した。会談後の記者会見で、エルドアン首相は「シリア政府との連絡を絶った。このような段階に至るとはまったく期待していなかったが、残念ながら、この国の政府は我々にこのような決定をさせた…。我々は彼ら(米国)と協調して、可能な制裁を検討する…。もはやシリア政府を信頼できない」と述べた。

また首相は、アフメト・ダウトオール外相がヒラリー・クリントン米国務長官と会談を行い、ダマスカスに対して初となるトルコの制裁に関して調整を行うことを明らかにした。

ホワイトハウスのエリザベス・シャーウッド・ランダル報道官によると、両首脳は「シリア国民の要求に沿って事態を打開するため、シリア政府へのさらなる制裁を科す必要があるということを話し合い」、「さらなる圧力をかける必要」がある点で一致したと述べた。

**

トルコ外務省は、トルコ領内のシリア人避難民キャンプで非道徳的な行為が行われているとのシリア国営筋の報道に対して、「暗黒のプロパガンダにして虚言」と反論し、遺憾の意を表明した。

シリア・アラブ・テレビは、トルコ領内の避難民キャンプで強姦されたとするジスル・シュグール出身のシリア人女性の複数の証言を放映していた。

またトルコの避難民キャンプで暮らすシリア人女性もシリア・アラブ・テレビでの報道内容をYoutubeなどを通じて否定した。

反体制勢力の足並みの乱れ

「アフバール・シャルク」(9月21日付)は、シリア国民評議会発足宣言にいたるまでのブルハーン・ガルユーン氏と「イスタンブール・グループ」の対立を、同氏のフェイスブックの書き込みをもとにまとめた。

Akhbar al-Sharq, September 21, 2011
Akhbar al-Sharq, September 21, 2011

それによると、シリア国民評議会発足に先だって9月10日にカタールのドーハで発足した「シリア国民連立」に関して、「イスタンブール・グループ」は「反体制勢力の統一を完了するためのシリア国民評議会の一機関」と連立を位置づけた声明の内容を不服として、署名を拒否したという。

また「イスタンブール・グループ」はガルユーン氏らに知らせることなく、シリア国民評議会の発足を宣言し、メンバーを近く公開すると発表した。

これを受け、ガルユーン氏はメンバー発表を遅らせるか、イスタンブールで人選を行うための審議するよう求めたが、「イスタンブール・グループ」は「そう約束したから」との理由で、これに応じなかった、という。

**

地元調整諸委員会は声明を出し、イスタンブールで発足したシリア国民評議会への支持を表明。声明では「この評議会の活動、発足のしくみ、評議会内のメンバー構成に関していくつかコメントすべき点はあるが、地元調整委員会は、シリア国民評議会を支持し、同評議会が設置する各委員会への実質的な参加を決定し、反対政府勢力の統一と、分裂状態の克服をめざす」と述べた。またダマスカス国民民主変革宣言、クルド民族主義勢力などにシリア国民評議会への参加を呼びかけた。

なおシリア革命総合委員会は、20日に声明を出し、シリア国民評議会の発足について慎重な姿勢を見せている。

**

AKI(9月21日付)は、ダマスカスで開催された国民民主変革諸勢力国民調整委員会の大会の閉幕声明に関して、アッシリア教徒の政治組織、代表が呼ばれなかったことに対して、アッシリア教徒たちが憤りを感じていると報じた。

反体制運動をめぐる動き

ヒムス県、イドリブ県で軍・治安部隊による活動家の逮捕・捜索作戦が続く一方、シリア革命調整連合によると、治安当局は生徒たちによるデモを阻止するため、ダマスカス郊外県、ヒムス県、バーニヤース市、イドリブ県などの複数の学校に突入し、多数の生徒を逮捕した。

Akhbar al-Sharq, September 21, 2011
Akhbar al-Sharq, September 21, 2011

**

イドリブ県では、シリア人権監視団と複数の住民によると、ザーウィヤ山に近い対トルコ国境付近で潜伏する離反兵に対して軍・治安部隊が激しい攻撃を行った。

ラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、とりわけイドリブ県ザーウィヤ山一帯は離反兵の拠点となっている。またハーリドを名乗る住民によると、同地域では後ろ手に縛られた多数の遺体が発見された。また男性2人の遺体が家族に引き渡された。

**

ヒムス県では、シリア人権監視団などによると、ヒムス市で軍・治安部隊の逮捕・捜索活動により、バーブ・スィバーア地区などで民間人6人が殺害され、3人の負傷者が病院で逮捕された。またヒムス市内の裁判所では反体制活動家のイマード・ダルービー弁護士が逮捕された。

これに対して、SANA(9月22日付)は、ヒムス市バーブ・アムル地区で武装テロ集団が治安維持部隊を攻撃し、3人が負傷したと報じた。

住民によると、ヒムス市郊外のフーラで一昨日から軍・治安部隊による激しい戦闘が行われているが被害は明らかになっていない。

シリア人権監視団によると、ラスタン市入り口で、軍・治安部隊がバスを襲撃し、11歳の少年とその母親が殺害、5人が負傷した。こうしたなか、同市では、離反兵が「ハーリド・ブン・ワリード大隊」を名乗る反体制部隊の発足を宣言した。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、フワイズ村で、逮捕されていた若者の遺体が発見された。

**

バーニヤース市では、シリア人権監視団によると、反体制デモを行った生徒5人が逮捕された。

**

ダマスカス郊外県では、シリア革命調整連合によると、ハラスター市、アルバイン市などで、学校に治安当局が突入し、多数の生徒が逮捕された。

キスワ市でもデモに参加していた市民1人が軍・治安部隊の発砲で殺害された。

**

ダルアー県では、シリア革命調整連合によると、ジャースィム市で、学校に治安当局が突入し、多数の生徒が逮捕された。

これに対して、SANA(9月22日付)は、ダルアー市サッド地区の農場で、武装テロ集団を逮捕、彼らが隠し持っていた大量の武器弾薬を押収したと報じた。

**

「アフバール・シャルク」(9月21日付)は、アレッポで青年医師ハーリド・マラーイジー氏が失踪したと報じた。

**

世界的な芸術家のマーリク・ジャンダリー氏がフェイスブックの自身のページで、暴行を受けた両親の写真を掲載。

アサド政権の動き

AKI(9月21日付)は、シリアの複数の高官筋の話として、バッシャール・アサド政権が10月に2度目となる包括的対話大会の実施を計画していると報じた。

同消息筋によると、大会への出席は、一連の措置実施と結びついており、政府の対話への真剣な姿勢を示すことで、反体制勢力にとって満足のいくものだという。

具体的には、対話は、治安的解決に代えて、政治的解決を危機打開の唯一の策とし、軍・治安部隊を都市から完全に撤退させ、すべての政治犯を釈放し、弾圧の責任者を起訴するといった一連の措置の一環をなすという。

しかし、クルド民族主義反体制勢力筋は、この呼びかけにほとんどのクルド民族主義政党が拒否するとの姿勢を示している。

**

アンカブート・サイト(9月21日付)は、シリア反体制勢力筋の話として、ルストゥム・ガザーラ少将が20日夜にダマスカス郊外県ドゥーマー市で士官2人とともに襲撃され、死亡したと報じた。

しかし、フサイン・ハルムーシュ大佐が釈放されなければ士官を殺害すると予告していた自由将校運動は襲撃を否定。また『シリア・ニュース』(9月21日付)は信頼できる消息筋の話として、「治安機関高官への暗殺未遂に関する報道は事実無根である」と、暗殺の事実を否定した。

Kull-na Shuraka', September 21, 2011
Kull-na Shuraka’, September 21, 2011

 

諸外国の動き

バラク・オバマ米大統領は国連総会での演説で、アサド政権による反体制運動の弾圧を非難、以下のように述べて、国連安保理に対シリア制裁決議の採択を求めた。

「問われていることは明白である。我々は、シリア国民と連帯せねばならないのか、彼らを弾圧する者たちと連帯しなければならないのか…。合衆国はシリアの指導者らに厳しい制裁を科した。我々はシリア国民の要求に応えるような政権の交代を支持している。多くの同盟国が我々の努力に参加している。しかしシリアを解放し、世界の平和と安全のために声を一つにせねばならない…。行動しないことは許されない。安保理がシリア政府に制裁を科し、シリア国民と連帯する時が来た」。

**

ロバート・フォード駐ダマスカス米大使は自身がダマスカスにとどまって職務を継続していることに関して、米国がアサド大統領の退任をあきらめたわけではないと述べた。

**

EUは、石油部門への新規投資の禁止、複数の政権高官および機関を制裁リストに追加からなるダマスカスへの追加制裁(第7弾となる制裁)を科すことで加盟27カ国が合意に達したと発表した。同決定は9月23日に正式に発効する。

**

イラクのヌーリー・マーリキー首相の顧問は、イラク政府がアサド大統領に退任を求めたとの一部報道を否定した。この報道は『ワシントン・ポスト』(9月20日付)が最初に「イラク政府はアサド大統領が退任することを長らく望んでいた、と報道官が述べた」と報じたもので、アリー・ムーサウィー首相付広報顧問は、AFPに対して、「この発言(に関する報道)は正しくない…。イラク政府は他国の内政に干渉するような性格を持っておらず、またそのような方法もとらない。ましては退任を求めることはない…。この報道を完全に否定する」と述べた。

**

レバノンの自由国民潮流代表のミシェル・アウン議員はUPI(9月21日付)に対して、以下のように述べ、アサド政権のもとでの改革支持の姿勢を改めて示した。

「シリアの政権が崩壊しても、キリスト教徒とイスラーム教徒は自由を得られないだろう…。安定なき変化の導入は暴力と混乱をもたらす。変化のない安定の導入は独裁をもたらすだろう…。我々はシリアで自由と民主主義が実現する憲法改正を声高に支持している…。もし平和的解決が可能なら、暴力に訴えるかたちでの問題解決は支持できない」。

**

マイケル・ウィリアムズ国連事務総長中東問題特別顧問はレバノンのアウン議員と会談。シリア情勢に関して「暴力がまもなく収束し得ると希望している。我々はともに改革の必要を認識している。抜本的な改革がシリアだけでなくより広い地域の情勢を安定化させると考えている」と述べた。

**

IMFは中東地域の社会情勢や混乱がシリアの経済成長にマイナスに作用し、2011年の経済成長率は2%にとどまるとの見方を示し、4月時点の経済成長予測3%から1ポイント下方修正した。

**

アズハル機構のシャイフ、アフマド・タイイブ師が反体制勢力の使節団と会談し、シリア国内での流血を止めるようアサド政権に呼びかけた。

**

国連のIRINは9月21日付のレポートによると、シリアでの反体制デモ弾圧による犠牲者数は5,360人にのぼると発表した。シリア政府は犠牲者の数が1,400人と発表している。レポートはhttp://www.irinnews.org/report.aspx?reportid=93772を参照。

AFP, September 21, 2011、al-Akhbar, September 21, 2011、Akhbar al-Sharq, September 21, 2011、AKI, September
21, 2011、 al-Ankabut, September 21, 2011、al-Hayat, September 22, 2011、Kull-na Shuraka’, September 21, 2011、Naharnet.com,
September 21, 2011、Reuters, September 21, 2011、SANA, September 22, 2011、Syria
News, September 21, 2011、UPI, September 21, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ロシア議会の使節団がシリア訪問を終えるなか、米大統領とトルコ首相が会談しアサド政権に対する「さらなる圧力」をめぐって見解を一致させる(2011年9月20日)

反体制勢力の動き――ロシア連邦議会使節団との会談――

ロシア議会の使節団がシリア訪問を終えた。最終日には、ダルアー市、ヒムス市、ハマー市を視察し、地元の住民や代表らと会談した。またダマスカスで晩に反体制勢力の代表10人と会談した。

ロシアの使節団と会談したのは、マルワーン・ハバシュ人民議会議員、シリア共産党カースィユーン派のカドリー・ジャミール書記長、ハムザ・ムンズィル氏、ミー・ラフビー女史、経済学者のアーリフ・ダリーラ氏、そしてアントゥーン・ドゥーラー・マロン派神父、アフマド・ファーイズ・ファウワーズ氏、サリーフ・ハイルベク氏。

ロシア使節団の一人のミハイル・カーブラ連邦議会法務委員会委員長は、使節団の訪問目的が「ロシア政府に現状に関して可能な限り多くの情報と真実を伝え、それによりロシアの今後の対応を決定すること」と述べるとともに、「問題解決はシリア人の手によるべきである。なぜなら外国による解決は異なったものとなるからだ」と強調した。

ハバシュ人民議会議員はロシア使節団との会談後、「治安専制体制を終わらせ、民主的・多元的国家を建設し、そしてまた外国の内政干渉を拒否する必要があるとの点で一致した。このことは、ロシアがシリア国民を支援せねばならないということである。しかしシリアでの若者たちの革命の方法、活動家をめぐって見解は一致しなかった。一方、調整委員会のメンバーは、会談で、革命が外国の陰謀によるとの見方を否定した」と述べた。

これに対して、AKI(9月21日付)によると、国民民主変革国民調整委員会の複数の幹部はロシア連邦議会の使節団と会談した反体制勢力に関して、「使節団は委員会に接触してこなかった。委員会は使節団と会談するかなる使節団も結成しなかった。ロシア側と何らの対話も行わなかった。会談したメンバーは委員会の知らない間に個人の資格で対話したに過ぎない」と述べた。また「ロシアの使節団と対話した面々の見解は、シリア政府の見解とさして変わらない」と批判した。

反体制運動をめぐる動き

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のバーブ・アムル地区、インシャーアート地区で2人が殺害された。複数の活動家によると、軍・治安部隊はヒムス市の入り口を閉鎖した。

同市では19、20日と大規模な反体制デモが行われていた。

Kull-na Shuraka', September 20, 2011
Kull-na Shuraka’, September 20, 2011

ヒムス市郊外のフーラで小中学生が登校を拒否し、体制打倒を求めるデモを行った。これに対して軍・治安部隊、シャッビーハが発砲し、10歳の子供一人を含む5人を殺害。

またバアルバ市、ダイル・バアルバ市、タドムル市、ラスタン市、カラム・シャーミー市、タルビーサ市、そしてヒムス市内各地(ハッターブ村バーバー・アムル、インシャーアート、クスール)などでも小中学生が同様のデモを行った。

一方、ヒムス市バーブ・スィバーア地区の住民がシャッビーハの一人を捕らえ、その蛮行を自供させた。彼の自供によると、シャッビーハは活動家を降伏させるため、その姉妹を誘拐し、強姦したうえ殺害したと自供した。彼自身も、人権活動家のムハンマド・ディーブ・ヒスニーさんの妹のザイナブ・ヒムスィーさん(19歳)を8月17日に誘拐し、兄に投降を迫った。

9月17日、ヒスニーさんの父親は治安当局の聴取を受けた後、ヒムス市軍事病院で遺体を引き取った。遺体はクビ、手足が切り離され、黒い袋に入れられていた。

これを受け、さらにヒムス市各所ではザイナブ・ヒスニーさんを讃えるデモが断行された。

これに対して、SANA(9月21日付)は、ヒムス市クスール地区の大ハディージャ学校近くで武装テロ集団が治安維持部隊に発砲し、1人が殉職、3人が負傷したと報じた。

またヒムス市内の国立病院周辺でも同様の事件があったが死傷者は出なかった。またシリア軍部隊は、ヒムス市バーブ・アムル地区西のジュダイダ・アースィー地区を通る石油パイプラインにしかけられた爆発物(TNT25キロ)を撤去したと報じた。

SANA, September 20, 2011
SANA, September 20, 2011

**

ダマスカス郊外県では、キスワ市に兵員輸送車輌約40台が突入し、デモ参加者への逮捕・追跡作戦を展開。また活動家によると、治安部隊はドゥマイル市で離反兵8人に発砲し、2人を殺害、4人を逮捕した。2人は逃走したという。

**

ダマスカス県バルザ区でも生徒が反体制デモを行った。

**

イドリブ県では、カフル・ウワイド村で警官が何者かに殺害された。同村では軍・治安部隊による逮捕・捜索活動が続いていた。

**

フェイスブックの「シリア革命2011」ページは「フサイン・ハルムーシュへの忠誠の火曜日」を呼びかけたが、これに呼応するようなデモはほとんど発生しなかった。

**

アラビーヤ(9月20日付)は軍・治安当局に逮捕されたのち、拷問・殺害されたギヤース・マタル氏の家族の話が、同氏の遺体が家族に引き渡される前に臓器が盗まれたと語ったと報じた。

同氏の家族によると、マタル氏の腹部には大きな傷跡があったという。

またシリア人権委員会によると、複数の逮捕者の遺体から臓器が盗まれていたという。

**

地元調整諸委員会が声明を出し、イスタンブールで発足したシリア国民評議会への支持を表明。

Facebook
Facebook

**

「アフバール・シャルク」(9月20日付)は、シリアのキリスト教徒有識者が声明を出し、レバノン・マロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教やシリアのキリスト教会幹部のアサド政権支持の姿勢を拒否したと報じた。

**

ジャズィーラの「イッティジャーフ・ムアーキス」(9月20日放送)でアサド政権を支持する作家・研究者のアブドゥルマシーフ・シャーミー氏とシリア国民評議会のムハンマド・アブドゥッラー氏が討論を行った。

番組終了直前にシャーミー氏がいすから落ちたことが、「アサド政権の崩壊を予兆する」、「体制を支持してきたことの報い」といった低俗な反響を呼ぶ。映像はhttp://www.youtube.com/embed/lKNqAx1BF5cを参照。

アサド政権の動き

ダマスカス県での国民対話会合が閉幕、挙国一致と社会的結束への参加と熱意に基づく充分な教育を通した社会的成長の重要性、家長による教育義務が確認されるとともに、対話、意見表明を通じた児童の教育を通じて、責任意識、リーダーシップ、自己への信頼を強化する必要が強調された。

また各県での開発・投資プロジェクトを通じて公正とバランスを実現すること、行政改革・制度再構築を通じた汚職撲滅、国内戦線の強化とレジスタンス支援などが確認された。

諸外国の動き

バラク・オバマ米大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はニューヨークで昨晩(現地時間19日)、シリア危機とシリアでの民主主義への移行段階支援に向けた両国の調整について話し合った。

『ハヤート』(9月21日付)は複数の高官の話として、トルコは、アサド政権が「戻れない地点」まで来ていると認識し、過渡期を直接支援する措置をとるための最善の方法を検討している、と報じた。

一方、米国は、「アサド政権の崩壊は差し迫ったものではないが…、現状が続くことはあり得ず」、国際的孤立が政権崩壊において実質的な役割を果たすことになるとの見方をしている、という。

ホワイトハウス報道官は、バラク・オバマ米大統領が、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相との会談し、「さらなる圧力をかける必要」がある点で一致したと述べた。

この会談をめぐって、『ワシントン・ポスト』(9月19日付)は、米国がトルコとの協調を通じて、シリアでの内戦の可能性に対処する方途を検討している、と報じた。米国高官によると、米国はシリアの反体制勢力に糾合を迫っているが、その背景には、イラク戦争後の状況の再発(ポスト・フセインへの具体的なビジョン計画を書いたままフセイン政権打倒に踏み切ったこと)への懸念があるという。

国連総会に先立って、ヒラリー・クリントン米国務長官は20日(現地時間19日)、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣が会見。複数の外交筋によると、この会談でクリントン国務長官は、「シリア政府が国民を殺害し、数千人を不当にも投獄するなかで、安保理で果たし得る確固たる役割を検討する」よう求めた。これに対して、ラブロフ外務大臣は、反体制勢力が「政府との対話を始め、過激派と距離を置こうとしている」と評価した。

また米国のスティーブン・チュー・エネルギー長官は、IAEA第55回年次大会で演説し、シリアに対して核開発疑惑問題解明のためIAEAに協力するよう求めた。

**

一方、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はニューヨークで、ロシアが「シリア問題に関する決議を支持しているだけでなく、特別な決議案を持っている」と述べ、「政府側および武装集団によるあらゆる暴力の停止」を求める安保理決議を準備していることを明らかにした。

**

英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、ジャズィーラのインタビューに対して、アサド政権が「戻れない地点にまで来て」おり、「我々は今安保理で、シリアへのさらなる国際圧力を科すための新たな決議を検討中である」と述べた。

**

ヒズブッラーが運営するマナール・チャンネルは、レバノン北部県クーラ郡でレバノン治安当局がシリアに武器を密輸していた集団を摘発した、と報じた。しかし同郡選出のファリード・ハビーブ議員(レバノン軍団)は、この報道を否定した。

**

アラブ議会連盟は第2回定例会合で、シリアとイエメンのメンバーシップを凍結し、本部をダマスカスから転出することをアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長に提言。

Aljazeera.net, September 20, 2011、AP, September 20, 2011、AFP, September 20, 2011、Akhbar al-Sharq, September 20, 2011、September 21, 2011、Alarabia.net, September 20, 2011、DPI, September 20, 2011、al-Hayat, September 21, 2011、Kull-na Shuraka‘, September 20, 2011、SANA, September
21, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 21, 2011、The Washington Post, September 19, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

国連人権理事会は、治安部隊によるデモ参加者への攻撃が「激しさを増した」と断言(2011年9月19日)

反体制運動をめぐる動き

複数の活動家によると、ヒムス県、ダマスカス郊外県各地での軍・治安部隊の逮捕・捜索活動により、少なくとも9人が殺害され、ダルアー、アレッポ、バーニヤース、ラタキア、ダイル・ザウルで数十人が逮捕された。

**

シリア人権監視団によると、ヒムス県のフーラ村での軍・治安部隊の逮捕・捜索活動により、5人が殺害された。

一方オガレット・ニュース・ネットワークによると、死者は8人にのぼるという。

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダーイル町に30台以上の兵員輸送車輌が突入した。同市では、体制打倒を求める大規模デモが発生した。

**

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市インシャーアート地区、ハーリディーヤ地区で女性が大規模デモを断行し、軍・治安部隊の発砲を受けた。またグータ地区、ハムラー地区通り、バイヤーダ地区、バーブ・アムル地区、クサイル市、タルビーサ市でもデモが発生した。

複数の活動家によると、ヒムス市郊外のフーラでの反対政府デモ発生を受けて、軍・治安部隊が同村に突入した際、検問所に配置された軍の兵士約12人が離反した。

アブー・ヤザンと名乗る住民は、「多くの離反兵が戦ったが、制圧された。また残された民間人も戦車からの無差別発砲で殺害された」と述べた。

**

イドリブ県のハーン・シャイフーン市に軍・治安部隊の増援部隊が派遣された。

一方、SANA(9月20日付)は、イドリブ県ダイル・ガルビー村で武装テロ集団が兵役を控えた男性を自宅前で誘拐しようとするが、抵抗に遭い、男性の母親を殺害し、また家族数名が負傷したと報じた。

**

ダマスカス郊外県ドゥマイル市で大規模な反体制デモが起き、2人が殺害された。

**

ワフィーク・ハンサ氏(元東京外国語大学客員教授、詩人)は『アフバール』(9月19日付)とのインタビューに応え、「私は今も昔もシリアで体制転換が起きることを望んでいる…。しかしオルターナティブが混沌、宗派主義的戦争、あるいはシリアに対するNATOの軍事攻撃なら、私は体制を支持する」と述べる。記事はhttp://www.al-akhbar.com/node/21498を参照。

al-Akhbar, September, 19, 2011
al-Akhbar, September, 19, 2011

**

『シャルク・アウサト』(9月19日付)は、ワシントンの米高官が、シリア軍を離反した兵士の数が約10,000人に上り、そのほとんどが自由シリア軍と自由将校運動に合流していると見ていると報じた。

**

ハリール・マアトゥーク弁護士は、シリア民主人民党のジョルジュ・サブラー氏が釈放されたと発表した。同氏は7月に自宅で逮捕されていた。

**

『ザマーン・ワスル』(9月19日付)は、ヒムス市で少女15人がシャッビーハに誘拐されたと報じた。

**

『クッルナー・シュラカー』(9月19日付)は、反体制技師がシリア国民技師委員会を発足したと報じた。同委員会は、シリア国内技師家族への支援、アラブ技師連合によるシリア人技師保護の要請、軍・治安部隊の弾圧の犠牲となった技師のリスト作成、逮捕された技師の人権保障のための必要な法整備などをめざす、という。

**

シリア言論犯擁護機構は声明を出し、弁護士組合ハサカ支部長が、反体制活動を行うムスタファー・ウースー弁護士、ファイサル・アブディー・バドル弁護士、ファーディル・ムハンマド・サリーム弁護士の懲戒処分とするための手続きを開始したことを非難。

諸外国の動き

国連人権理事会は、治安部隊によるデモ参加者への攻撃が「激しさを増し」、先週だけでも死者数が100人以上にのぼった、と警鐘をならした。

キユングワ・カン国連人権問題副高等弁務官は「今日までに2700人が軍・治安部隊の手で殺害され、しかもその中の少なくとも100人が子供である…。人道に対する罪を犯した者の処罰を行うことが重要である。高等弁務官事務所は、シリアでそのような罪が犯されている可能性があると見ている」と述べた。そのうえで、シリア政府の代表に対して、国際的刑事犯罪の調査への協力を求めた。

しかしシリアのファイサル・ハッバーズ・ハマウィー代表は、これに対して「バイアスがかかっている」と反論し、「シリアには多くの悪党がいて…、無実の民間人を攻撃し、警察署を破壊し、多くの治安部隊兵士を殺害した…。多くの者が逮捕され、暴力を煽るためにデモ参加者に発砲したと自供している」と述べた。

Akhbar al-Sharq, September 19, 2011
Akhbar al-Sharq, September 19, 2011

**

フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、ニューヨークで、ダマスカスの高官がシリアで犯した「人道に対する罪」で処罰されねばならない、と述べた。

**

『サフィール』(9月19日付)は、レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣が、国連総会に先立って、シリアのワリード・ムアッリム外務大臣とニューヨークで会談し、対応を協議・調整する予定である、と報じた。

AFP, September 19, 2011、al-Akhbar, September 19, 2011、Akhbar al-Sharq, September, 19, 2011, September 21, 2011、al-Hayat, September 20, 2011, September 21, 2011、Kull-na Shuraka‘, September 19,
2011、Naharnet, September 19, 2011、Reuters, September 19, 2011、al-Safir, September 19, 2011、SANA, September 20, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 19, 2011、Zaman al-Wasl, September 19, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

国民民主変革諸勢力国民調整委員会の呼びかけのもと開催されていた反体制派大会が閉幕、イスラーム民主無所属潮流はこうしたイニシアチブを非難し、反体制派内の分裂が浮き彫りに(2011年9月18日)

新学期(新年度)始まる

9月18日、シリアの学校の新学期(新年度)が始まった。

フェイスブックの「シリア革命2011」ページでシリア革命調整連合が「バアスの教育を打倒する金曜日」と銘打って、学生・生徒に抗議行動を呼びかけるなか、各地で小規模(100人規模)ながらも学生・生徒がデモを行った。

またアラビーヤ(9月18日付)によると、デモが行われた各地では約半数の学生が欠席した。

Facebook
Facebook

**

ダマスカス郊外県では、シリア革命調整連合によると、キスワ市で多数の小学生が街頭に出て「体制打倒まで授業はない」と連呼した。これに対して、治安部隊が空砲を発射し、排除した。犠牲者はでなかった。

またオガレット・ニュース・ネットワークによると、カナーキル村、ダーライヤー市でも学生がデモを行った。

シリア革命調整連合によると複数の学生・生徒が逮捕され、オガレット・ニュース・ネットワークによると、ダマスカス県ドゥンマル区でゼネストを呼びかけた12歳以下の生徒8人が逮捕された。

反体制勢力の動き

国内の反体制勢力は大会を閉幕。大会はダマスカス郊外県のハルブーン村で17日、18日に行われた。

国民民主変革諸勢力国民調整委員会の呼びかけのもと、アラブ民族主義勢力、社会主義勢力、マルクス主義勢力、クルド民族主義勢力、無所属活動家(ミシェル・キールー氏、アーリフ・ダリーラ氏ら)ら、300人が出席した。

閉幕声明では、「三つのいいえ」と題して、「外国の干渉に反対、暴力に反対、宗派主義に反対」との立場を掲げ、「専制治安体制」打倒ために活動を行うことを確認、「政治活動に際して外国の軍事介入と暴力行使を拒否」するとともに、「宗派主義的な煽動」を拒否した。

声明ではまた「政府が軍事的・治安的選択肢をとり続け、治安部隊、軍、シャッビーハが平和的デモ弾圧を行うことが、武力による復讐というリアクションをもたらす主な要因である」として、政権を批判しつつも、「革命の平和的性格」を維持する必要を強調し、抗議行動の「軍事化」を拒否した。

その一方、「政治的行動は原則として無視することはできない。しかし政治的解決は、軍事的・治安的解決が停止され、過渡期への道が開かれ、歴史的和解が実現し、民主的・代議制的・多元的市民国家建設の条件が満たされて初めて可能である」と条件付きながらも政治的解決の可能性を認めた。

また政治的解決への条件として、政権側による暴力の停止とともに、市民への殺戮・脅迫行為に関与した者の処罰を求めた。

閉幕声明全文はhttp://all4syria.info/web/archives/28591を参照。

**

『クッルナー・シュラカー』(9月18日付)は、ダーライヤーの地元調整委員会がフェイスブックで、ギヤース・マタル氏の家族が「米大使を出迎えたマタル家は滅びる」などと家の壁に落書きされたことを明らかにし、治安当局に嫌がらせをやめるよう求めたと報じた。

Kull-na Shuraka’, September 18, 2011
Kull-na Shuraka’, September 18, 2011

**

イスラーム民主無所属潮流が声明を出し、ダマスカスで開催された国民民主変革諸勢力国民調整委員会の大会を非難。

声明によると、「政府の目と耳が届くシリアの首都で青信号が出された後に開催された大会は、政府がこうした方法に満足しており、そのことが、殉教者の流血に引き続き奉仕するだけ」であるという。

イスラーム民主無所属潮流はシリア・ムスリム同胞団とともにイスタンブールでのシリア国民評議会に参加しており、この非難声明により、アラブ民族主義、社会主義諸政党からなる反体制政党連合のシリア国民民主連合との間で反体制の主導権争いが生じている実態が改めて明らかになる。

**

シリア・アラブ人権機構は声明を出し、軍・治安部隊がダマスカス郊外県のタッル市でウマル・ムニールバスラくん(12歳)が逮捕されたと発表。

アサド政権の動き

アサド大統領はロシア国会使節団と会談。ロシアの「バランスがとれた建設的な姿勢」を評価するとともに、「外国の干渉は地域諸国を分断と分裂の脅威にさらし、過激化を助長する」と述べた。

**

ダルアー県刑事保安局の処理班はダルアー市の商業地区(ハーナーヌー通り)に市かけられた時限爆弾(6キロ)を撤去。

**

SANA(9月20日付)は、ハマー市のダーヒリーヤ交差点で武装テロ集団が治安維持部隊を要撃し、4人が殉職、18人が負傷したと報じた。

SANA, September 18, 2011
SANA, September 18, 2011

**

ヒムス市で「市民性・帰属意識会合」と題した会合が同市のキリスト教徒らによって開催され、外国の内政干渉、外国メディアによる情報操作に反対。

AFP, September 18, 2011、Akhbar al-Sharq, September 18, 2011、September 21, 2011、Alarabia.net, September 18, 2011、AP, September 18, 2011、al-Hayat, September 19, 2011、Kull-na Shuraka’, September 18, 2011、Reuters AFP,
September 18, 2011、SANA, September 19, 2011, September 20, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ロシア連邦議会使節団がダマスカスを訪問し、アサド大統領および反体制勢力代表の間の仲介プロセス開始を試みる(2011年9月17日)

反体制勢力の動き

国民民主変革諸勢力国民調整委員会大会準備委員会の複数の消息筋はAKI(9月17日付)に対して、17日、18日に、「リビアのシナリオを回避するため」、シリア政府に対して行程表を示すための大会(第2回大会)を開催することを明らかにした。この行程表の内容に関して、以下7点が合意されるという。

1. 政府による大衆運動およびその合法性の承認。国民が民主的・多元的政体を建設する権利の承認。

2. 暴力と軍・治安部隊を通じた対応の停止、軍・治安部隊の都市からの撤退、治安維持のみへの治安維持部隊の任務の制限。

3. すべての政治犯釈放。

4. 軍・治安機関による事態収拾を選択した高官、殺戮、拷問を犯した者の起訴。

5. 平和的デモ権の承認。

6. 憲法第8条への対処、ないしは新憲法制定。

7. 新体制に向けた過渡期を指導する挙国一致内閣を通じた行政権を行使、移行期間の宣言。

**

フランスのパリで欧米諸国各国在住の反体制活動家が開会を開き、シリア世俗民主勢力連立の発足を発表。

主な参加者はランダ・カスィース(シリア近代民主主義党)、バッサーム・ビータール(在米)、ムルシド・ハズナウィー。

**

パリでシリア革命在外委員会を名乗る新たな組織が結成される。同組織は革命の諸目的を実現するために必要な支援活動を任務とする。

Kull-na Shuraka’, September 17, 2011
Kull-na Shuraka’, September 17, 2011

**

ダルアー市、ダイル・ザウル市、ヒムス市、ハマー市、イドリブ市、マアッラト・ヌウマーン市、ダマスカス郊外県各地などで、16日(金曜日)のデモの犠牲者の犠牲者の葬儀が行われ、数万人が参列した。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーン・シャイフーン市での軍・治安部隊の逮捕・捜索活動により、2人(男女それぞれ1人)が殺害された。

一方、SANA(9月18日付)は、イドリブ県ハーン・シャイフーンで武装テロ集団が治安維持部隊を要撃、1人が殉職、1人が負傷したと報じた。

ダルアー県では、地元調整諸委員会によると、ダーイル町、ジャースィム市、フラーク市、ナマル町などに軍・治安部隊、シャッビーハが突入し、逮捕・捜索活動を行った。

シリア革命調整連合によると、ヒムス市アシーラ地区、ナーズィヒーン地区、カラム・ザイトゥーン地区で軍・治安部隊が逮捕・捜索活動を行った。またラスタン市でも軍・治安部隊が逮捕・捜索活動を行った。

一方、SANA(9月18日付)は、ヒムス県クサイル地域のダブア村で、武装テロ集団が治安維持部隊を要撃し、5人が負傷したと報じた。

**

パリ在住の反体制活動家ブルハーン・ガルユーン氏は『ハヤート』(9月18日付)に対して、「デリケートな事情」が反体制勢力の統一を妨げている、と述べた。「デリケートな事情」が何を意味するかに関して詳述はなかった。

また「反体制勢力糾合のため様々なレベルで活動が行われている。そのなかには自ら統一に向かっている地元調整諸委員会も含まれている」と述べた。

**

在米反体制活動家のラドワーン・ズィヤーダ氏(ダマスカス人権研究センター創設者)は、『リベラスィオン』(9月17日付)のインタビューに応え、西側諸国に対して、国連での対シリア安保理決議採択のため「影響力を行使」するよう呼びかけた。

Kull-na Shuraka’, September 17, 2011
Kull-na Shuraka’, September 17, 2011

**

反体制活動家のサラーフッディーン・ビラール氏(在独)はパリで、自由将校運動司令官のフサイン・ハルムーシュ大佐は、「トルコの避難民キャンプ外で、トルコ人男性とシリアの反体制勢力への武器供与について話し合う約束をしていたが、約束当日に失踪、捕らえられて、シリアに強制送還された」ことを明かした。

**

ミシェル・キールー氏は、『シャルク・アウサト』(9月17日付)のインタビューに答え、レバノン・マロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教の発言に関して、「彼は自分の教会の名で話しただけで、シリアのキリスト教徒の同意を得て話したわけではない…。マロン派はシリアでは少数派で、アレッポとヒムス北東部のフルウ山、そしで暮らしているに過ぎない。またラタキアに限られた数が暮らしているに過ぎない…」と非難。

アサド政権の動き

シリア政府は、「すべての県」で新学期を開始すると発表した。教育省は「就業困難な学生、教育活動が困難な教員には適切な措置を講じる」と発表した。

**

タルトゥース県の県・大学レベルでの国民対話会合で、小説家のハイダル・ハイダル氏が7項目からなる報告書を提出。

ハイダル氏は、国民のニーズに応えるような憲法改正、具体的には、政教分離の保障、大統領の任期制限、一党支配の廃止、外国と関係のない国内の反体制勢力を含んだ挙国一致内閣の発足、殺戮の責任者の処罰、表現・批判の自由の保障などを求めた。

また反体制的スタンスで知られるイブラーヒーム・イスタンブーリー氏(作家、翻訳家)は、街頭での示威行動を通じた体制打倒が混乱をもたらすだけと述べ、反対の意思を示し、対話を呼びかけた。またすべての政治犯の釈放を要求した。

**

『クッルナー・シュラカー』(9月17日付)は、国民対話会合で、2000年のアサド大統領就任をめぐる軍、バアス党、進歩国民戦線、人民議会の動きを腐敗と絡めて批判したアミーン・サンマーン氏が17日午後にバッシャール・アサド大統領の命令により逮捕された、と報じた。

諸外国の動き

ロシア連邦議会使節団が昨日、ダマスカスを訪問し、バッシャール・アサド大統領および反体制勢力代表と会談し、両者の仲介プロセスの開始を試みた。

団長を務めるロシア議会上院(連邦会議)のイリヤス・ウマハノフ副議長は、SANA(9月18日付)に対して、「他国の内政干渉を受け入れないというロシアの政治原則に基づき、我々はシリアでの国民対話推進に参与・協力する用意がある。これは暴力ではなく、正常な雰囲気のもとで行われねばならない」と述べた。

訪問は4日間の予定である。

**

米国各地の大学の牧師からなる使節団がシリアを訪問し、17日にアサド大統領と会談。

**

レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣は、9月の国連安保理議長国を務めるレバノンが、シリアのアサド政権を非難するいかなる声明も支持しないことを改めて強調した。

**

『サフィール』(9月17日付)は、レバノン当局の話として、レバノン人1人(イブラーヒーム・M)、シリア人2人(アースィフ・F、バースィル・Q)がシリアに武器を密輸しようとして逮捕されたと報じた。

3人はベイルート郊外のジュダイダ街道で軍治安当局によって身柄を拘束され、またその際、RPG、カラシニコフ、暗視ゴーグルなどを押収した。これらの武器は反体制勢力の手に渡る予定だった。

**

トルコ外務省は、フサイン・ハルムーシュ大佐の逮捕に関して、「シリア人避難民の承諾を得ず、送還することは決してない」と述べ、同大佐を拘束し、シリア側に引き渡したことを否定。

AFP, September 17, 2011、AP, September 17, 2011、al-Hayat, September 18, 2011, September 19, 2011、Kull-na Shuraka’, September 17,
2011, September 18, 2011、Naharnet, September 18, 2011、Reuters, September
17, 2011、al-Safir, September 17, 2011、SANA, September 18, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 17, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

複数の都市で数千人規模のデモや治安部隊との衝突が発生するなか、欧米諸国はシリア革命評議会発足の動きを高く評価(2011年9月16日)

反体制抗議運動

シリアの複数の都市で金曜礼拝後に数千人規模のデモが発生し、少なくとも数十人が死傷した。複数の活動家、人権活動家らによると、軍・治安部隊の発砲により、少なくとも36人が殺害された(地元調整諸委員会によると死者数は27人、シリア革命調整連合によると32人)。

犠牲者のほとんどは、ハマー県郊外、イドリブ県ザーウィヤ山での掃討作戦によるもの。またヒムス県、ダマスカス郊外県でも死者が出て、そのなかには12歳の少年もいた。

Ugarit News Network, September 16, 2011
Ugarit News Network, September 16, 2011

デモに先立ってフェイスブックの「シリア革命2011」が抗議行動開始(3月15日)6ヵ月に合わせて「体制打倒まで突き進む金曜日」と銘打ってデモを呼びかけていたが、15日(木曜日)の「誓約更新」呼びかけが失敗に終わっていたことを踏まえると、毎週金曜日に発生するデモが、インターネットなどを通じて革命を唱導する活動家によって必ずしも指導・統制されていない実態が垣間見えた。

また国内外の反体制活動家をシリアの反体制抗議運動の代表と位置づけようとする安易な姿勢(とりわけシリア国民評議会の発足に歓迎の意思を示す西側諸国の姿勢)が、デモの原動力である人々の意思に応えられるのかとの疑問を改めて提起することとなった。

**

Facebook
Facebook

ダマスカス郊外県では、複数の活動家、人権活動家らによると、軍・治安部隊が多数展開した。

インターネットでは、ダーライヤー市、ドゥーマー市、ハラスター市、ランクース市など、ダマスカス郊外県主要都市での数千人規模のデモの映像がアップ・配信された。

シリア人権監視団によると、ドゥーマー市では1人が殺害された。ダーライヤー市ではファーリス・モスクに軍・治安部隊が突入し、デモを排除した。キスワ市では、「バッシャールよ、屠殺屋」というプラカードやバアス革命以前の国旗が掲げられた。

SANA(9月17日付)は、ダマスカス郊外県ドゥーマー市で武装テロ集団が軍・治安維持部隊を要撃、1人が殉死、16人が負傷した、と報じた。

**

ダマスカス県では、マイダーン地区、カフルスーサ区、カダム区、バルザ区、サーリヒーヤ区などで数百人規模のデモが発生した。

またシリア人権監視団によると、治安部隊は、ナフル・イーシャ地区で1人を殺害した。

**

ハマー県では、軍・治安部隊がハラファーヤー市に突入し、離反兵の捜索を行い、6人を殺害、11人が負傷した。

またシリア人権監視団によると、ハッターブ町での軍・治安部隊の捜索活動で1人が殺害された。

ハマー市では、治安部隊がサアド・ブン・アビー・ワッカース・モスクをデモ発生に先立って包囲し、また上空には戦闘機が旋回した。

**

イドリブ県では、ザーウィヤ山のサルジャ村、カフル・ウワイド村での軍・治安部隊の捜索活動で3人が殺害された。

またシリア人権監視団によると、ザーウィヤ山で女性の遺体8体が発見された。マアッラト・ニウマーン市には早朝、多数の戦車、兵員輸送車が到着し、デモ発生に備えた。

**

ヒムス県では、軍・治安部隊がヒムス市に集まった数千人のデモ参加者に発砲し、2人を殺害した。またシリア人権監視団によると、女性の遺体2体が発見された。

『ザマーン・ワスル』(9月16日付)は、複数の消息筋の話として、軍・武装部隊がヒムス市内の公園などに身元不明の犠牲者を埋葬する墓地を建設していると報じた。

『クッルナー・シュラカー』(9月16日付)ヒムス市住民がインターネットなどを通じて、軍・治安部隊が展開している限り、子供たちを学校に通わせないと宣言した、と報じた。

『ザマーン・ワスル』(9月16日付)は、住民の話として、新学期開始に備え、ヒムス市内の複数の住居を民間人の衣服を着た軍…治安部隊の兵士が占拠している、と報じた。

**

ダイル・ザウル県では、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区のラウダ・モスクで発生したデモを強制排除するため、軍・治安部隊が発砲した。

**

ダルアー県では、ダルアー市および郊外の村々でデモが発生した。しかしSANA(9月16日)は、武装テロ集団の攻撃で警官1人が殉職、4人が負傷した、と報じた。

SANA(9月17日付)は、ダルアー県ブスル・ハリール市で、治安維持部隊が武装テロ集団の攻撃を受け、4人が負傷した、と報じた。

**

ウェブサイト「シリアの殉教者」は、過去6ヵ月間の犠牲者数に関して、少なくとも3,272人が殺害され、数千人が負傷、逮捕、避難したとの数字を発表。

死者3,272人のうち、子供は198人、女性は143人にのぼった。県別では、ヒムス県が915人、ダルアー県が677人、イドリブ県が423人。また2011年6月10日の「部族たちの金曜日」の1日の死者が209人、4月29日の「怒りの金曜日」が163人、4月22人の「偉大なる金曜日」が153人、4月1日の「反抗の金曜日」が74人であった。

Ugarit News Network, September 16, 2011
Ugarit News Network, September 16, 2011

レバノンでの動き

北部県アッカール郡の国境地帯にあるカナイサ村、フナイディル村付近で、シリア領内からの発砲により、住民1人が負傷。レバノン国軍は声明を出し、シリア軍が越境者を追跡してレバノン領内に入り、発砲したと発表。

諸外国の動き

リビアを訪問したトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、首都トリポリで群衆を前に「あなたたちは国民の意思に反する体制は存続し得ないことを世界に示した。このことはシリアで国民を弾圧する者たちが理解せねばならないことだ」と述べた。

首相はバッシャール・アサド大統領のことを名指しにはしなかったが、「この手の指導者は、今や自らの時代が終わったと理解せねばならない。専制支配者の体制の時代が終わったからだ…。シリアで国民を弾圧する者は存続し得ないだろう。なぜなら弾圧と繁栄は両立しないからだ」と述べた。

一方、『ヒュッリーイェト』(9月16日付)は、エルドアン首相がチュニジアの記者団を前にして、イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領に「イランとの緊張関係があるかどうかを話すことはできない。しかし、シリアに関して、私は彼らに、イランの支援によってアサド政権が横暴になっていると警告した…。アフマディーネジャード大統領とは電話でこの問題を取り上げた」と述べたと報じた。

**

米国務省のマーク・トナー副報道官は16日(現地時間で15日)、イスタンブールでのシリア革命評議会に関して、反体制勢力の「努力を歓迎する」と述べた。

**

フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は「反体制派統合に向けたすべてのイニシアチブと、シリアのすべての国民を尊重する民主的シリア建設への門戸開放は、前向きなイニシアチブだ」と述べ、シリア革命評議会発足を高く評価。

**

イギリス外務省報道官も『グローバル・アラブ・ネットワーク』(9月16日付)に対して、「シリア国民評議会発足宣言は、シリアの反対政府勢力統合と隊列強化へのさらなる重要なステップである」と評価。

**

EU消息筋も、EUがシリア国民評議会発足を「前向き」な動きと見ていると述べる。

**

国際赤新月社連盟は、シリア国内で救急医療チームや救急車両が発砲を受けていることへの非難の意を表明した。

**

UNDPが発表した報告書によると、9月7日現在、レバノン北部で難民申請したシリア人避難民は3580人に上った。うち9月1日から7日にかけて600人以上が申請した。申請したシリア人の多くは、ヒムス県のヒート市、タッルカラフ市出身者。

AFP, September 16, 2011、Akhbar al-Sharq, September 15, 2011, September 16, 2011、Global Arab Network, September 16, 2011、al-Hayat, September 17, 2011、Kull-na Shuraka’, September 16, 2011、Naharnet, September
18, 2011、NNA, September 16, 2011、Reuters, September 16, 2011、SANA, September
16, 2011, September 17, 2011、Zaman al-Wasl, September 16, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

イスタンブールで「シリア国民評議会」が発足し反体制勢力の統一が表明される、結成大会にはカナダ、オランダ、日本、スーダンが外交官を派遣(2011年9月15日)

フサイン・ハルムーシュ大佐の証言

SANA(9月15日付)によると、シリア・アラブ・テレビは9月15日から、自由将校運動司令官のフサイン・ハルムーシュ大佐の証言を放映した。

SANA, September 15, 2011
SANA, September 15, 2011

証言のなかでハルムーシュ大佐は離反した理由について「街での血塗られた惨状を目の当たりにして軍を脱走した。街では多くの死者がいた。民間人を殺害しているのが武装集団であるのは確かだ…」と述べた。

また軍・治安部隊による民間人への発砲に関しては、「軍にいる間、民間人らへの発砲の命令は一度も受けなかった。また軍司令官がそのような命令したのを見たことも聞いたこともない…」と応え、否定した。

反体制勢力との関係に関しては以下のように述べ、シリア・ムスリム同胞団、ラフィーク・ハリーリー・レバノン前首相暗殺へのシリア(とヒズブッラー)の関与を証言・非難する勢力、アブドゥルハリーム・ハッダーム前大統領らがその背後にいると指摘した。

「軍から脱走すると、たくさんの人が私に連絡をとってきた。そのほとんどが在外の反体制勢力だった。だが、月日が経つなかで、彼らのほとんどが、私に連絡し、物的支援、武器兵站支援などを行うことを約束して、私に(武装闘争を)させようとしていることがわかった…」。

「シリア・ムスリム同胞団が最初に連絡を取ってきたが、彼らはみな偽名を使い、「アブー・ハーリド」を名乗る男が(避難していたトルコの)キャンプに会いに来た。また(ラフィーク・ハリーリー元首相暗殺へのシリアの関与を「偽証」した)ムハンマド・ズハイル・スィッディーク…、アブドゥルハリーム・ハッダーム(前副大統領)、ムハンマド・シャバクらアンタルヤ大会の面々も連絡してきた。その数は300人以上はいたと思う…」。

「私が「自由将校運動」の声明第1号を発表すると、リフアト・アサドの事務所が私に連絡してきた…」。

「ヒムス市のバーブ・ドゥライブ地区の(テロ)集団を率いるアブー・ムハンマド、アブー・サイフ地区の(テロ)集団、バーブ・アムル地区、バーブ・スィバーア地区の(テロ)集団との調整を行った…」。

「スィッディークとシリア・ムスリム同胞団がシリアに武器を密輸入していた…。トルコからこれらの地域(ヒムス、ハマー、イドリブ、ラタキア県ラムル地区など)への武器密輸は…承認を経由して行われた」。

**

SANA(9月15日付)は、シリア・アラブ・テレビが9月15日午後8:30にフサイン・ハルムーシュ大佐の証言を放映すると発表したと報じていた。また9月17日にはイマード・ムグニーヤ暗殺を共謀したとされるスパイの証言をシリア・アラブ・テレビが放映すると発表。

**

自由将校運動はハルムーシュ大佐の証言が放映された直後に声明を出し、トルコ政府がハルムーシュ大佐の逮捕とシリアへの引き渡しに対して「完全なる責任」を負っていたと発表し、トルコ政府を非難した。

同声明によるとハルムーシュ大佐は8月29日にトルコのキャンプで失踪した。

反体制運動をめぐるその他の動き

トルコのイスタンブールで、「シリア国民評議会」の発足が宣言された。

シリア国民評議会は140人のメンバーからなり、6ヵ月以内の体制打倒をめざすとともに、「アサド政権打倒までの闘争継続」、「平和的手段の行使」、「領土保全」の3原則のもとでの反体制勢力の統一を表明した。

記者会見でアブドゥルバースィト・スィーダー氏は、メンバーの60%が8月23日に発足した会議のメンバーで、40%が在外活動家であると述べた。メンバーはシリア・ムスリム同胞団、左派活動家、アラブ民族主義者、無所属、宗教団体、エスニック団体などの代表からなるが、「安全上の理由」により72人の氏名しか公表されず、また議長も任命されなかった。

結成大会にはカナダ、オランダ、日本、スーダンが、大会オブザーバーとして外交官を派遣した。

シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官は、「対話会合で最初の分裂が起きた後、革命青年組織、政治運動、活動家、テクノクラートはシリア国民評議会を発足することを決定した」と述べた。

また評議会は、6ヵ月以内の専制体制の打倒と暫定政府の発足を目的としている、という。同報道官は、外国の軍事介入を否定しなかったが、現時点ではアサド政権への外交・経済的圧力に力点を置いている、と述べた。

議長が任命されなかったことに関して、在米のヤースィル・タッバーラ弁護士は、「選任された評議会議長はまだいない。なぜなら我々は民主的プロセスのもとにあり、評議会が開放的な会合だからである」と述べた。

また「外国の行動に関して、評議会は国際社会がアサド政権後に懸念している真空を埋めることをめざす」と述べた。また諸外国、国連、アラブ連盟、イスラーム協力機構との非公式の折衝を行っている、と述べた。

メンバーの一人アディーブ・シーシャクリー氏は、評議会がシリア国民の希望に沿って活動することへの国際社会の承認を得ることが次のステップになると述べた。

シリア国民評議会発足声明全文は以下の通り。

 「シリア国民評議会発足声明」

image
シリア革命開始以来、反体制諸勢力は全国民的な枠組みを構築するための努力を統一するべく活動を行ってきた。その目的は、シリア国民の革命と、自由、尊厳、民主主義のためのその闘争を支援することにある。6ヵ月を経て、革命青年、政治勢力、愛国的個人が会する政治的傘下組織の創出をめぐる見解は凝縮された。この組織態勢のもと、国際社会の場においてシリア国民の対義を支援するためのあらゆる支援を動員し、体制、その象徴、さらにはその根幹を倒し、民主的・多元的市民国家の建設をめざす。

対話の第一段階を終え、革命青年、政治勢力、愛国的個人、専門家・活動家チームは、シリア国民評議会を発足することで合意に達した。これをもって、他の政治組織の参加への門戸を開き、彼らによって同評議会は多くの国民を代表する枠組みとなるべく発展を遂げるだろう。

シリア革命評議会の目的は以下の通り要約できる:

1. 体制打倒、あらゆる合法的手段を通じた国家機関の保護のための活動。

2. シリア革命の平和的性格の維持。

3. 国民統合の維持。

4. 革命への完全なる連帯、その原則、目的、メカニズムの遵守。

5. すべての国民の自由、公正、平等を保障する民主的・多元的体制の市民国家建設をめざす。

我らが殉教者にめい福を、我らが負傷者に回復を、我らが革命に勝利を、我らが国民に自由を。シリアが自由で親愛たるべく万歳。我らが人民が自由で寛大たるべく万歳。

シリア国民評議会メンバー

シリア国民評議会は以下のメンバーより構成される:

・評議会メンバーの60%は国内メンバー、40%は国外メンバーとする。

・評議会メンバーの52%は革命運動家と革命青年を代表する。

・ダマスカス国民民主変革宣言は在外代表を指名した。近日中に国内の代表が指名されることを期待する。

・ムスリム同胞団は近く評議会メンバーを指名する。またクルド国民主義ブロックの国内代表が指名されることを期待する。

・本評議会は国民的政治勢力・個人に開放されている。

・現評議会メンバーを140人とし、内外の71人の指名を公表する。

・評議会はその戦略的決定を識者委員会に委ねるものとする。同委員会は10人から15人によって構成され、国民的コンセンサス和解の拠点となり、近くそのメンバーの氏名は公開される。

シリア国民評議会の内外のメンバーのうち公表される氏名は以下の通り。

1. イブラーヒーム・ユースフ

2. アフマド・ラマダーン

3. アフマド・シャーキル
4. アディーブ・シーシャクリー
5. ウサーマ・シュルバジー
6. ウサーマ・ムナッジド

7. ウサーマ・カーディー
8. アナス・アブダ

9. アナス・アイルート

10. バドルッディーン・バフルー

11. バドル・ジャームース

12. バッサーム・ジャッアーラ

13. バスマ・カドマーニー
14. バッシャール・アイサミー
15. バッシャール・ハサン・ヒラーキー

16. ジャーン・アブドゥッラー
17. ジャマール・ワーディー
18. フサーム・カトラビー
19. ハッサーン・シルビー
20. ハッサーン・ハーシミー
21. ハーリド・ハーッジ・サーリフ

22. ハーリド・ハウジャ

23. ハリール・カッルー

24. ラーミー・ナフラ
25. ラドワーン・イルミー

26. ラドワーン・ズィヤーダ
27. リヤード・ハサン

28. ライムーン・マアジューン

29. ライムーン・ユーハンナー

30. リーナース・スィーヌー
31. ズィーワル・ウマル
32. サーリム・ムスラト

33. サーミル・カイラーニー

34. スィダード・アッカード

35. シャーディー・ジュナイド
36. アブドゥルイラーフ・ターミル・ムルヒム

37. アブドゥルバースィト・スィーダー

38. アブドゥルバーキー・ユースフ
39. アブドゥッラフマーン・ハーッジ

40. ウバイダ・ナッハース

41. アフラー・ジャラビー
42. イマードッディーン・ラシード
43. アンマール・ヒダーウィー

44. アンマール・カルビー

45. ウマル・イドリビー
46. アムル・アズム
47. フィダー・マジュズーブ

48. カーミーラーン・ハーッジュー

49. ルワイユ・サーフィー

50. マアムーン・ナッカール
51. ムハンマド・アブドゥッラー
52. ムハンマド・ターミル・ムハイド

53. ムハンマド・サルミーニー

54. ムハンマド・ヤースィル・タッバーラ
55. ムハンマド・ヤースィーン・ナッジャール
56. マフムード・カイラーニー

57. マフムード・ウスマーン
58. ムスタファー・サッバーグ

59. ムスタファー・カヤーリー

60. ムスタファー・ムハンマド
61. ムティーウ・バティーン
62. ムアーッズ・スィバーイー

63. ムナー・ムハンマド

64. ムーサー・ムーサー
65. ナジーブ・ガドバーン

66. ナズィール・ハキーム
67. フッバ・ファウズ

68. ヒシャーム・ムルーワ

69. ハイサム・ラフマ

70. ワーイル・ミルザー

71. ワジュディー・ムスタファー

なおシリア国民評議会発足声明全文(原文)はhttp://www.levantnews.com/index.php?option=com_content&view=article&id=9021:2011-09-15-11-52-07&catid=81:syria-politics-headlines&Itemid=55を参照。

**

フェイスブックの「シリア革命2011」ページは、抗議行動開始6ヶ月に合わせて「誓約更新」と銘打った反体制デモを呼びかける。しかし各地で大規模なデモは発生せず、軍・治安部隊による逮捕・追跡作戦が続いた。

Facebook
Facebook

**

ダマスカス県カッサーア地区、バーブ・トゥーマー地区の革命調整連合が声明(第2号)を出し、イスタンブールで発足が宣言されたシリア国民評議会に関して、宗派主義的なメンバー配分に基づいているとの理由で、評議会を承認しないと宣言、人選のやり直しを求めた。

**

ダマスカス郊外県では、軍・治安部隊がザバダーニー市、ハラスター市に展開し、数十人を逮捕した。

オガレット・ニュース・ネットワークによると、その際にザバダーニー市で、アフマド・アブドゥルアズィーズ氏と見られる人物が軍・治安部隊の発砲で殺害された。またザバダーニー市では住民が、住民の逮捕や家屋を破壊されたことに抗議して小規模なデモを行った。しかし軍・治安部隊はこれに対して実弾で応えた、という。

また複数の活動家らによると、ハラスター市では、軍・治安部隊と離反兵との間で戦闘が発生し、スィール地区では多数の負傷者が出たが、同地区が包囲されているため、負傷者を搬出できないという。シリア革命調整連合は、少なくとも15人が負傷したと発表した。オガレット・ニュース・ネットワークによると、ハラスター市には25台以上の車輌が突入し、無差別発砲を行った。

シリア人権監視団によると、ザバダーニー市とマダーヤー町での軍・治安部隊による大規模逮捕・捜索活動は三日目にはいり、これまでに126人が逮捕されている。

**

イドリブ県ザーウィヤ山一帯でも逮捕・捜索活動は継続。シリア人権監視団によると電話回線は依然として不通のまま。シリア人権監視団によると、カンスフラ村、アイン・ラールーズ村、カフル・ウワイド村、アブディーター村、イブリーン村、マアッラト・ハルマ村などで行われている軍・治安部隊による逮捕・捜索活動で、一昨日、2人が殺害され、9人が行方不明、73人が拘留された、という。

**

ヒムス県では、ヒムス市で軍・治安部隊が2人の若者を殺害した。

**

『シャルク・アウサト』(9月17日付)はシリアのキリスト教徒が声明を出し、レバノン・マロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教の発言を批判。「彼の声明は、シリア国民のアイデンティティ、オーセンティシティ、愛国心を貶めるものと見なしている」と非難したと報じた。

**

ハサカ県カーミシュリー市でクルド民族主義勢力がカーミシュリー対話会合を開催し、約100人の活動家、作家、有識者が出席した。3月以来の反体制運動やクルド問題について審議し、閉幕声明を発表。

声明の概要は以下の通り。

1. 民族、宗教に基づく差別のない民主的・多元的国家建設をめざす「革命」を支持。
2. 一部のクルド民族主義政党・組織の「革命」への不参加が、民衆参加の拡大を阻害している。
3. 民主主義の原則のもと、クルド人の立場の統一をめざす。
4. 憲法でクルド人の存在を認め、その権利を保障することを通じた、クルド問題の解決。
5. クルド民族主義政党・組織の改革への参画。
6. デモの平和性の維持。
7. クルド民族主義政党・組織以外の文化・社会・政治団体の役割増大。
8. クルド人青年の役割の評価。
9. 民主的・多元的国家建設。

アサド政権の動き

ブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問は『ハヤート』(9月16日付)の取材に対して、ロシア訪問中、ロシア高官が「近く実施に移される改革への全面支援」の意思を示したと述べ、来週、ロシア連邦議会の使節団がシリアを訪問すると述べた。

**

SANA(9月15日付)によると、ユースフ・アフマド・シリア代表は、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長が反体制勢力使節団を受け入れたことに対する「強い調子」の抗議文をアラブ連盟に提出し、「シリアの内政問題に関して、軍事干渉を含むあらゆる外国の干渉を準備することをめざそうとする」要求を反体制勢力使節団から受け取ったことを非難した。

また「シリアで起きていることがもはや内政問題ではない」とのアラビー事務総長の発言が、「シリアの内政問題への外国の干渉を奨励・扇動」する「暗黙の措置」だと非難した。

**

アレッポ県アレッポ市で、県・大学レベルの国民対話会合が開始された。

「対話ブロック」の名で参加したグループは、一部の国民と政府の間で失われてしまった信頼関係回復の必要と対話の重要性を強調した。また閉幕声明に向けた提言を示し、そのなかで「すべてのシリア人が平等となる憲法改正、平和的な大衆政治運動の承認、すべての政治犯、言論犯の釈放、聖域なき犯罪者の処罰」を求めた。また「内外メディアによる報道の機会の保障、シャッビーハの活動の即時停止、拷問の中止、国内メディアへの反体制勢力の出演許可」も要求した。

またアレッポ商業会議所理事の一人リユーン・ザキー氏も、アナス・アズラク氏(ジャーナリスト)も提言を行った。

しかし、シリア民族社会党インティファーダ派(北部支部代表はイサーム・アッズーズ氏)は不参加を決定した。

SANA, September 15, 2011
SANA, September 15, 2011

一方、アレッポ大学国民対話会合は9月14日に閉幕した。

4. レバノンをめぐる動き

9月15日午後、レバノン国軍の車輌が北部県の国境地帯でシリア軍の誤射を受けた。シリア軍が攻撃を行ったのは国境から約1キロの地点にあるレバノン領北部県アッカール郡ムワンサ村。

攻撃を受けたレバノン国軍の車輌には5人の兵士が搭乗し、ムウスィナ村でパトロールを行っていた。けが人はいなかった。

AFP(9月15日付)は、治安筋の話として、事件が約18人からなるシリア軍部隊が国境地区での掃討作戦を展開している最中に発生したと報じた。一方NNA(9月15日付)によると、シリア軍兵士15人がレバノン領内に進入し、誤射に至った。

**

レバノンのサアド・ハリーリー前首相は、滞在先のサウジアラビアから「国際民主主義の日」に合わせて声明を発表、「民主主義最大の的である武器の恐怖に曝されるなか、我々は今日民主主義への関心を声を大にして表明する」と述べ、ヒズブッラーのレジスタンスに疑義を呈する一方、シリア情勢に関して、「シリア国民がアラブの名誉を代表し、自由のために闘う人々の例となることを願う」と述べ、反体制運動への支持を改めて表明。

ハリーリー前首相は「暗殺の恐れ」があるとの理由で現在、レバノンを離れ、サウジアラビアで暮らしている。

4. 諸外国の動き

欧州議会は、デモ弾圧によりアサド政権が正統性を失ったと断じ、「即時」退陣を求める決議を採択した。

**

国連の潘基文事務総長は記者会見で、バッシャール・アサド大統領に対する「国際的な統一行動」を呼びかけ、同大統領が交わした多くの約束を履行していないと非難した。

**

アラブ議会連盟のアリー・サーリム・ディクバースィー議長は、火曜日のアラブ連盟外相会議会合に関する声明を出し、アラブ連盟に対してアサド政権への制裁、連盟をはじめとするアラブ地域組織のメンバーシップ凍結を決定するよう求めた。

**

イタリアとオランダの大使館が、ムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティー氏、バドルッディーン・ハッスーン氏の暗殺を計画している「シリア革命調整委員会」を支援しているとの『シリアステップス』(9月13日付)に関して、駐シリア・オランダ大使が記事内容を否定する声明を出した。

AFP, September 15, 2011、Akhbar al-Sharq, September 15, 2011、al-Hayat, September 16, 2011, September 17, 2011、Kull-na Shuraka‘ Suriya, September 15, 2011, September 16, 2011、September 17, 2011, September 19, 2011、Naharnet.com, September 15, 2011、NNA, September 15, 2011、Reuters, September 15, 2011、SANA, September 15, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 17, 2011、Syria News, September 16, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

新党「シリア国家建設潮流」がダマスカスで発足、「シリア国民支持支援週間」に参加していた反体制活動家がアラブ連盟に対し要求書を提出(2011年9月14日)

反体制運動をめぐる動き

ルワイユ・フサイン氏、ムナー・ガーニム女史など無所属の反体制活動家は、新党「シリア国家建設潮流」がダマスカスで発足したと発表。政党法制定や国民対話開始といった状況下で、政治生活への「実質的関与」をめざした。

Kull-na Shurakā’, September 14, 2011
Kull-na Shuraka’, September 14, 2011

党員は「必ずしも単一の理論的・イデオロギー的バックグラウンドを共有していないが、潮流発足時に発表される基本文書に同意し、政治生活へと実質的に関与する必要があると考える点で一致している。また現下の政治的対立、めざされるべき国家像、そしてその実現方法においても合意に達している」という。

結成声明には、潮流が「民主的市民国家の建設をめざし、それによってすべての社会勢力の参与を通じた社会的公正を実現、シリアの将来において勝者と敗者が分断されることを回避し、政治的、文化的な意見の相違のいかんにかかわらずシリア国民すべてが勝者となる」ことをめざすと記された。

また「政治生活に実質的・公的に関与」し、「公的生活における若者の実質的な関与など、シリア国民の強化のプログラムに沿って(活動し)…、すべてのシリア人が例外なく参加できる民主的市民国家建設への移行(をめざす)」とした。

**

カイロでの「シリア国民支持支援週間」に参加していた反体制活動家がアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と会談し、8項目からなる要求書を提出した。

要求書は①シリアのアラブ連盟メンバーシップの凍結、②抗議運動弾圧停止を目的とした飛行禁止空域、航行禁止海域の設定、③現政権の正統性剥奪、④殺戮・弾圧行為停止に必要なしくみ、方法の創出、⑤軍・治安部隊の展開地域からの完全撤退、⑥平和的デモ権の保障、⑦国際的な救援機関の入国を可能とするしくみの創出、⑧国際的・アラブ調査委員会の調査のための入国、アラブ・国際的メディアの入国と事実の報道、といった要求からなった。

アラビー事務総長と会談したのは、ムハンマド・マアムーン・ヒムスィー元人民議会議員、クルド・国民運動を指導するムルシド・ハズナウィー氏、シリア部族連合のイスマーイール・ハーリディー副議長、SWASIAHのバッサーム・イスハーク委員長、民主主義のための3月15日連合を指導するムンズィル・マーフース氏、クルド人作家のカッハール・マームクー氏、人権活動家のファーリス・シャウフィー、エジプト人活動家のアミーラ・リファーイー女史。

また反体制活動家の一人、ファフド・ミスリー氏が『ハヤート』(9月15日付)に対して、フサイン・ハルムーシュ大佐の行方調査をトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相に求めるよう要請したと述べた。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イブリーン村、バルユーン村、マルイヤーン村、イフスィム村、ラーミー村などザーウィヤ山一帯の村々で軍・治安部隊が大規模な逮捕・追跡作戦を継続。反体制活動家の掃討と離反兵の制圧が目的。

**

ダマスカス郊外県のザバダーニー市では軍・治安部隊の逮捕・捜索作戦で15人が逮捕。

**

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バサーティーン地区での軍・治安部隊による9月10日の逮捕・追跡作戦によって負傷した後に逮捕されていた青年の遺体が家族に引き渡された。

**

『クッルナー・シュラカー』(9月14日付)は、9月10日に身柄拘束された心理アナリストのラファー・ナーシド女史に対して逮捕状が発行され、ドゥーマー女性刑務所に収監されたと報じた。

**

AKI(9月14日付)は、過去数週間にわたって行われてきたアッシリア教徒の諸政党の合同会合が統一行動を行うための政治的枠組みの構築に失敗し、「アッシリア教徒の希望を奪った」と報じた。

合同会合には、シリア・アッシリア民主連合、アッシリア民主党、シリア・アッシリア民主機構、アッシリア民族評議会が参加していた。

レバノンをめぐる動き

『シャルク・アウサト』(9月14日付)は、現地消息筋の話として、シリア軍がレバノン北部県などの国境地帯に展開し、シリア人避難民が流出する違法な通過路を閉鎖したと報じた。

**

『リワー』(9月14日付)は複数の消息筋の話として、アサド政権が「シリア情勢に対する最近の姿勢を鑑み、進歩社会主義等のワリード・ジュンブラート党首との関係を凍結する決定を下した」と報じた。

諸外国の動き

9月13日にレバノンのベイルートに到着し、レバノン首脳との会談を行ったロシア大統領特使のミハイル・マルゲロフ連邦議会外交委員会委員長は、15日のシリア訪問に先立って、モスクワ、キプロス、ないしはそれ以外の合意された場所でのアサド政権と反体制勢力が参加する大会の開催をロシアがアサド政権に対して提案したことを明らかにした。

これは先週ロシアを訪問した反体制勢力との行為に基づく提案であったが、ブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問はこの提案を拒否した、という。

**

ロシア外務省高官は、アサド政権が抗議行動によって崩壊すれば、シリアにおける「テロ組織」のプレゼンスが強まるだろう、インテルファクス通信に対して述べた。

AFP, September 14, 2011、Akhbar al-Sharq, September 14, 2011、AKI, September 14, 2011、al-Hayat, September 15, 2011、Kull-na Shuraka’, September 14, 2011、al-Liwa’, September 14, 2011、Naharnet, September 14, 2011、Reuters, September 14, 2011、al-Safir, September 14, 2011、SANA, September 15, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 14, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

「シリア革命2011」がアサド政権に対するロシアの姿勢に反対するデモを呼びかける、アラブ諸国第136回定例外相会議が閉幕し発砲停止の必要性が改めて強調される(2011年9月13日)

反体制運動をめぐる動き

複数の活動家によると、シリア治安部隊がデモ抑止の新たな戦術として行っている各地での活動家逮捕・捜索活動により、昨日少なくとも8人が殺害、数十人が逮捕された。また逮捕者は殴打されるなどの蛮行を受け、その自宅も損害を被っているという。

Kull-na Shuraka', September 13, 2011
Kull-na Shuraka’, September 13, 2011

**

ハマー県では、カフルヌブーダ町で行われた犠牲者の葬儀に軍・治安部隊が発砲し、5人が殺害された。葬儀中、約200人の会葬者がバッシャール・アサド政権の打倒を叫んでいた。

**

ダイル・ザウル県では、軍・治安部隊による活動家の逮捕・追跡作戦で1人が殺害された。

一方、SANA(9月14日付)は、ダイル・ザウル県のクーリーヤ市、ブーカマール市で治安当局は、ライフル、ショットガンおよび弾薬など大量の武器を押収したと報じた。

**

ヒムス県では、オガレット・ニュースによると、ラスタンで2人が殺害された。

これに対して、SANA(9月14日付)は、ヒムス県サアン・アスワド村武装テロ集団が夜間に移動中の軍の車輌を要撃し、士官1人、民間人1人が死亡、兵士5人が負傷したと報じた。またラスタン県でも軍の車輌が要撃に遭い、兵士4人が負傷した。

**

フェイスブックの「シリア革命2011」は「ロシアに対する怒りの火曜日」と銘打って、バッシャール・アサド政権に対するロシアの支持に反対するデモを呼びかけていた。

Facebook
Facebook

これに呼応するかたちで、複数の活動家らによると、12日晩からダルアー県、ヒムス県、イドリブ県、ハマー県、ダマスカス郊外県の一部のみデモが行われ、参加者はロシア国旗を焼き、アサド政権を支持する同国の姿勢を批判した。

しかしこれに対して軍・治安部隊がただちに強制排除に乗り出し、シリア人権監視団と地元調整委員会がデモ参加の動員を行った。

ダマスカス郊外県のザバダーニー市では、13日早朝から軍・治安部隊が展開し、少なくとも34人が逮捕された。逮捕者は多かったが、「ロシアに対する怒りの火曜日」はラマダーン月後の反体制勢力の動員力の低さ、そして平日の一般国民のデモへの参加率の低さを示す結果に終わった。

**

9月9日からカイロで開催されていた「シリア国民支持支援週間」が閉幕した。

閉幕声明を発表するとともに、「シリア人のための国民倫理綱領」を作成・発表し、シリア国民による自由、尊厳、体制打倒という合法的要求への完全なる支持、公正、知識、道徳的価値、人道の普及、民主的市民国家の建設、宗派主義の根絶、平和的示威行動に対する暴力行使への反対という立場を確認。

また「アラウィー派宗徒に向けた声明」を出し、アサド政権がアラウィー派の宗派体制ではなく、特定の支配家族に奉仕する体制だと述べ、宗派主義的言動を拒否するとの姿勢を明示した。

「アラウィー派宗徒に向けた声明」にはシリア・ムスリム同胞団、シリア国民支援イスラーム教ウラマー大会、シリア・ウラマー連盟、マアシューク・ハズナウィー宗教対話・寛容・刷新機構などが署名した。

一方、カイロのアラブ連盟本部前では、シリア人約千人が、外相会議に合わせてアサド政権に対する連盟の態度を非難するデモを行った。デモでは、「エルドアンよ、エルドアン、ハルムーシュはどこだ」といったシュプレヒコールも行われ、外相会議に出席したトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相も非難の対象となった。

**

『シャルク・アウサト』(9月13日付)は、キリスト教徒の若者たちが、司祭たちの多くがアサド政権への支持を表明しているなかで、「キリスト教のもっとも基本的な人道的・精神的諸原則と矛盾している」とみなし、「キリスト教徒を祖国において正しい立場に回帰させる」ための会合・フォーラムの開催を検討している、と報じた。

**

パリに渡航しようとしていた心理アナリストのラファー・ナーシド女史がダマスカス国際空港で9月10日(土曜日)に逮捕されたと、夫でダマスカス大学のファイサル・ムハンマド・アブドゥッラー教授が明らかにした。これを受け、フランス外務省報道官は、ナーシド女史の即時釈放を要求した。

Kull-na Shuraka', September 13, 2011
Kull-na Shuraka’, September 13, 2011

**

シリア変革大会(アンタルヤで発足)は13日に声明を出し、GCC閣僚評議会に対して、「シリアでの殺戮装置の即時停止」を求めるよう呼びかけた。

**

DPI(9月14日付)は、シリアの複数の活動家の話として、治安当局が9月13日晩、ダマスカス郊外県ダーライヤー市でのギヤース・マタル氏の葬儀を襲撃したと報じた。襲撃に先立ち、アメリカ、フランス、デンマーク、日本の大使が弔問に訪れていた。

一活動家の葬儀への大使参列という「挑発行為」に対して当局が力を誇示し、西側諸国の干渉や扇動に断固たる姿勢を示したかたち。資料映像はhttp://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=jUJNfjcLzlEを参照。

アサド政権の動き

県・大学レベルの国民対話会合での審議が各県で引き続き行われた。

ダマスカス県の会合では、汚職撲滅(汚職に対抗し得る司法のしくみの創出)、行政改革、外国の陰謀への抵抗、国民統合強化、経済改革、市民社会を構成する組織・団体の活性化、市民意識の強化、社会保障の拡充、メディアの活性化、治安回復、脱税への対処、分権化、脱官僚化、地方への投資の奨励、武装テロ集団に対峙するシリア軍に対する支援の評価、産業育成・支援などが審議された。

**

『シャルク・アウサト』(9月13日付)は、国営のシリア石油販売会社(スィトロール)は、米国、EUなど西欧諸国による石油禁輸制裁に対抗するかたちで、10月半ばに原油の出荷量を160,000トン増加させることを決定。シリアの最大の石油輸出先であるEUは禁輸制裁を発動しているが、シリアは契約により11月15日までEUに原油を輸出できる、という。

**

Kull-na Shuraka', September 13, 2011
Kull-na Shuraka’, September 13, 2011

アーディル・サファル内閣高官は、「9月6日の閣議で決定第1/12562を出し、各省職員が大臣の許可なく、省の執務に関する報道発表を行うことを禁じ、施行前の新情報法によって保障されるはずの表現の自由を奪った」(『シリアン・デイズ』9月12日付)との報道を否定。

諸外国の動き

アラブ諸国第136回定例外相会議がカイロで開催され、「流血停止と、シリア国民に対するさらなる暴行・殺戮回避のため、早急に変革を行うこと」を求める声明を発表し、閉幕した。

閉幕声明では、「シリアの危機に関する様々なレベルでの折衝が行われ、またアラブ連盟が、国民の要求実現、シリアの治安、安全、領土保全、外国の干渉禁止などへの対処に寄与するための方法が審議された」したうえで、「発砲および暴力行為が停止した後に高官レベルの使節団を派遣し付託されたに無を実行する」と発表された。

外相会議ではシリアが8項目からなるイニシアチブ案を提示し、これを各国外相は声明において支持を表明した。このイニシアチブは、「アラブ諸国における民主主義と改革の強化、非常事態解除に向けた行動、包括的国民対話への呼びかけ、議会設置、政党発足などを含むすべての自由を保障する憲法の制定」などからなっている。

ナビール・アラビー事務総長はカタールのシャイフ・ハマド・ブン・ジャースィム首相兼外相との共同記者会見で、アサド大統領が使節団派遣を受け入れたが、連盟が発砲停止後に派遣することを決定したと述べた。また議長を務めたジャースィム首相兼外相は「シリアの暴力装置を停止させねばならない」と述べ、使節団派遣に向けて、シリア政府に改めて「シリアでの殺戮の停止と都市からの軍撤退」を求めた。

しかしSANA(9月15日付)によると、シリアのユースフ・アフマド・アラブ連盟代表は、声明「全体およびその詳細を拒否」すると述べた。外相会議で、アフマド代表は「危機解決に寄与しない消極的な姿勢をとり、陰謀を推し進め、シリアへの忌まわしい圧力を加える一部の国際社会の諸勢力に荷担するアラブの当事者がいる…。(声明の)全文、そしてその詳細を拒否し、それを敵対行為とみなし、シリアの危機への対処をめぐって非建設的で、アラブ連盟事務局長のミッションを失敗させようとする動きとみなす」と述べた。

一方、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、シリア政府が改革を実施していないとし、シリア国民がもはやバッシャール・アサド大統領を信頼してないとの考えを示した。またこれに先だって、「諸国民の合法的要求は力による弾圧されてはならない」と明言した。

**

SANA(9月13日付)によると、ロシアのミハイル・ボグダノフ外務次官はブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問との会談で、ロシア政府がアサド政権の「改革路線と、民主的選挙実施の意思に安堵している」、「シリア国民がこの危機を平和的に克服し、反映と発展を取り戻すと確信している」、「ロシアはシリアでリビアのシナリオが繰り返されないとの意思を持っている」と述べたと報じた。

これに対して、シャアバーン大統領府情報顧問は「シリアで起きていることは、地域で起きていることと切り離すことはできない」、「シリアの危機には…シリアに対する情報戦争といった側面もあり、それによってシリアの弱体化、信頼喪失、暴力行為のエスカレート、エスニック・宗派的亀裂の助長などが計られている」と応え、ロシアの姿勢を高く評価した。

シャアバーン大統領府情報顧問は9月10日から13日にかけてロシアを訪問・滞在していた。

**

フランスのアラン・ジュペ外務大臣が中国を訪問し、中国に国連での対シリア制裁決議への支持を求めたが、中国への説得工作に進展があったかとの問いに、「実際にはない…。我々の関係は良好だが、このことは我々がすべてのことで合意していることを意味しない」と答えた。

SANA, September 13, 2011
SANA, September 13, 2011

**

一方、FIDH、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、エジプトのNPO20団体、シリアの人権組織2団体、スーダン、イエメン、モロッコ、モーリタニア、ヨルダン、レバノン、パレスチナ、チュニジアなどアラブ諸国内外の市民団体176団体がアラブ連盟にシリアのメンバーシップ凍結を求めた。

**

レバノンをめぐる動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、自身がアサド大統領ないしは、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長との会談を願い出たとの一部報道を否定した。

しかし複数の消息筋によると、シリアの反体制運動に理解を示す最近のジュンブラートの発言は、アサド政権の怒りを買っており、進歩社会主義党の幹部であるガーズィー・アリーディー公共労働大臣が事態を収拾すべく、ジュンブラートのシリア訪問を3度にわたって調整したが、いずれも失敗に終わった、という。

AFP, September 13, 2011, September 14, 2011、DPI, September 14, 2011、al-Hayat, September 14, 2011, September 15, 2011、Kull-na Shuraka’, September 13,
2011, September 14, 2011、al-Liwa’, September 12, 2011、Naharnet, September 12, 2011, September 13, 2011, September 14, 2011、Reuters, September 13, 2011, September 14, 2011、SANA, September 13, 2011, September 14, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 13, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

カイロで「国民統合会合」に参加した勢力は「アラブ・イニシアチブ」を拒否、シャアバーン氏はロシア外務省での記者会見のなかで同国の姿勢を評価(2011年9月12日)

反体制運動をめぐる動き

反体制活動家のバスマ・カドマーニー女史はトルコのイスタンブールで開いた記者会見で、反体制勢力が9月15日にイスタンブールで会合を開き、国民評議会のメンバーを発表すると述べた。

カイロのアラブ連盟本部前でシリアの反体制活動家がデモを行い、シリア自由活動家連合などが組織した。彼らは、エジプトの活動家とともに、13日にも大規模なデモを予定しているという。

同連合執行部メンバーのワルド・ハッダード氏は『ハヤート』(9月13日付)に対して、「アラブ・イニシアチブは(シリア国民)のことを考えていない。国民に届いていない。それはシリア政府に示されたものに過ぎない。街の声、反体制勢力の声を考慮していない」と語った。

**

カイロで「国民統合会合」(11~12日)を開催していたシリア反体制勢力は、任期(2014年)終了までのアサド大統領の残留を認めたアラブ連盟の「アラブ・イニシアチブ」を拒否した。

会合には内外の反体制活動家約100人が参加、閉幕声明で、シリア革命への全面支持を表明するとともに、アル=アサド政権の存続を「一時たりとも」認めないと述べた。

また反体制勢力の使節団が駐カイロ・ロシア常駐代表と会談した。 使節団はハイサム・マーリフ弁護士、ムンズィル・ナークース氏、アブドゥルアハド・イスティーフワー氏(アッシリア民主機構代表)、バッサーム・イスハーク氏(SWASIAH代表)、アブドゥッラフーフ・ダルウィーシュ(民主主義のための3月15日連合代表)、アフマド・マンジューニー氏からなっていた。

カイロでの大会に参加したムハンマド・マアムーン・ヒムスィー前人民議会議員によると、皆伝で使節団が「ロシアのアル=アサド政権への姿勢に対する驚きの意を伝えた」という。

**

ハマー県では、『ハヤート』(9月13日付)によると、ムーリク市、カフルヌブーダ町、カフルズィーター市、ジャビーン村、カルナーズ町、カルアト・マディーク町などで、軍・治安部隊が強制捜査を行い、活動家17人を殺害した。

**

ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(9月13日付)によると、ドゥーマー市で、軍・治安部隊による活動家に対する追跡捜査が行われる一方、治安部隊が犠牲者葬儀の参列者に発砲し、イッザト・ラバービーディー氏が殺害された。 ドゥーマー市での葬儀には数千人が参列したという。

**

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市で軍・治安部隊が活動家への追跡捜査を続け、男性2人(父子)が死亡した。 複数の活動家、住民によると、ラスタン市には軍・治安部隊数千人、装甲車数百台が集結しているという。

また、アラビーヤ・チャンネル(9月12日付)によると、ヒムス市のアラウィー派シャイフ3人が声明を出し、自分たちはアサド政権による「蛮行」とは無関係だと発表した。 声明を出したのは、ムヒーブ・ニーサーフィー氏、ヤースィーン・フサイン氏、ムーサー・マンスル氏の3人。

**

ダルアー県では、『ハヤート』(9月13日付)によると、軍・治安部隊が活動家への追跡捜査を行った。

**

イドリブ県では、『ハヤート』(9月13日付)によると、軍・治安部隊が活動家への追跡捜査を行った。

**

ハマー県では、SANA(5月13日付)によると、サラミーヤ市で武装テロ集団が軍用バスを要撃、兵士2人が殉職した。

**

フェイスブックのページ「シリア革命2011」は、「ロシアに対する怒りの火曜日」と銘打って、アサド政権に対するロシアの支持に反対するデモを呼びかけた。

**

ザマーン・ワスル(9月12日付)は、ゴラン高原のシャイフたちが、アサド政権による反体制抗議行動弾圧に抗議する声明を出したと報じた。

アサド政権の動き

『ハヤート』(9月13日付)などによると、ダマスカス県で、アサド政権が主導する県・大学レベルでの国民対話会合が開催された。

参加者は、「政治的であれ、軍事的であれ、また国際的監視といった名目であれ、いかなる外国の干渉も拒否し」、「外国の陰謀に対抗」するとの立場を明示した。会合には、バアス党、進歩、国民戦線加盟政党、無所属、ビジネスマン、法曹界の代表約250人が参加した。

なお、ダマスカス郊外県、ダマスカス大学、ラタキア県での会合は11日から開催されている。 これらの会合では、経済・社会問題、福祉問題、そして政治問題の順での審議を予定しているが、ダマスカス県の会合は、準備委員会の提案に基づいて、初日から政治問題についての審議が行われた。

会合には、ナビール・サーリフ氏(作家)、アフマド・アマッラー(芸術家)、バッサーム・クーサー(芸術家)らが報告書を提出し、改革実施、外国の干渉拒否といった姿勢を明示しているという。

**

一方、クッルナー・シュラカー(9月12日付)によると、イドリブ県で開会された県・大学レベルの国民対話会合で、反体制勢力の代表者たちが、アサド政権と抗議運動の間の対話が行われていないと非難する声明を読み上げ、会合を拒否、退場した。

同声明には400人以上(そのほとんどが有識者)が署名しており、「政府は自分たちだけで対話している、なぜなら政権は、社会を代表しているかどうかを考慮せずに出席者を選んだからである。つまり対話は一方の当事者どうしが行っているに過ぎない」と記されていた。

そのうえで、この声明では、以下の条件が満たされた場合、対話に応じると締めくくっていた。

1. 治安機関による国民生活および国家機関への違法な介入の停止。 2. デモにかかわるすべての逮捕者の釈放。犯罪に関与したすべての関係者の裁判。 3. 逮捕、操作・追跡活動の停止。 4. 平和的デモへの対峙の停止。 5. 地元および外国メディアによる政治活動の報道認可。

国内の反体制活動家が条件付きであれ対話に応じる姿勢を示したのはこれが事実上初めて。

**

『ワタン』(9月12日付)は、イドリブ県の住民筋の話として、シリア軍を離反したフサイン・ハルムーシュ大佐が先週末、出身地であるイブリーン村(イドリブ県)で当局に逮捕されたと伝えた。

ハルムーシュ大佐は離反後、自由将校旅運動を結成し、シリアとトルコを往復して活動を行っていた。 逮捕当時、ハルムーシュ大佐は武器を携帯し、複数の指名手配者とともに行動していたという。

ハルムーシュ大佐の「失踪」に関して、兄弟のイブラーヒーム・ハルムーシュ氏は、アラビーヤ・チャンネルの電話取材(9月12日)に応え、「トルコ領内のシリア人避難民キャンプでトルコの士官と会談したのちに失踪し、彼らがまず連れ去った…。別の日にこの士官に彼(フサイン・ハルムーシュ大佐)のことを聞くと、知らないと応えた」ことを明らかにし、シリア領内にいる(逮捕された)との報道に疑義を呈した。

**

モスクワ訪問中のブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官は、ロシア外務省での記者会見で、西側諸国が「地域におけるテロと過激化を助長している」と非難、「西側が暴力を助長するような行動を呼びかけるのではなく、ロシアの姿勢を見倣うよう望む」と述べた。

また、ロシアの対応については「外国の干渉を排除した改革実施の機会を与える」と評価した。 しかしロシアがイニシアチブを発揮しようとしているとされる仲介に関して、「誰との仲介? そのようなものはありません」と存在を否定した。 アフバール・シャルク(9月12日付)などが伝えた。

SANA, September 23, 2011
SANA, September 23, 2011

**

クッルナー・シュラカー(9月12日付)によると、ダマスカス郊外県サイイダ・ザイナブ町郊外のフサイニーヤ町で治安当局が集団墓地を発見した問題で、当局は墓守を逮捕した。

**

レバノンのファーイズ・グスン国防大臣がシリアを訪問し、アサド大統領と会談した。 SANA(9月12日付)によると、国境管理に関する両国軍の協力態勢について議論され、武器密輸抑止や両国の政治的安定強化などが確認されたという。

SANA, September 23, 2011
SANA, September 23, 2011

**

『シャルク・アウサト』(9月13日付)は、国営のシリア石油販売会社(スィトロール)が、米国、EUなど西欧諸国による石油禁輸制裁に対抗するかたちで、10月半ばに原油の出荷量を16万トン増加させることを決定したと伝えた。

シリアの最大の石油輸出先であるEUは禁輸制裁を発動しているが、シリアは契約により11月15日までEUに原油を輸出できる、という。

諸外国の動き

ロシアのデミートリー・メドヴェージェフ大統領は、デヴィッド・キャメロン英首相とのモスクワでの会談後、「EUと米国が一方的に制裁発動を行った今となっては、シリア政府に対する追加制裁が正当化され得るとは考えていない」とのロシアの立場を明らかにした。

しかしその一方で、メドヴェージェフ大統領は、「暴力に対する強い非難声明の採択には反対しない」と述べ、「危機の両当事者に対してバランスのとれた」対応を呼びかけた。

**

アフバール・シャルク(9月12日付)によると、米国、EU、英、独、オランダの各国大使が、25日に暴行を受けた風刺漫画家のアリー・ファルザート氏が入院する病院を見舞い、同氏への支援を表明した。

**

米国務省報道官は、ギヤース・マタル氏の殺害(逮捕後拷問により殺害されたとされる)を非難した。 ジャズィーラ・チャンネル(9月12日付)によると、シリア革命支援ヨルダン人民委員会は、ヨルダン政府に対してバフジャト・スライマーン駐アンマン・シリア大使の追放を要求するための座り込みをアンマン市内で10日から開始した。

**

ナバネセム・ピレイ国連人権高等弁務官はジュネーブでの国連人権理事会(第18期)で、シリア情勢に関して、2011年3月以降の抗議デモ発生により2,600人が死亡していると述べた。

シリア情勢への対応が協議された国連人権理事会では、反体制抗議デモが行われるようになって以降のシリア国内での人権侵害を調査するための委員会を設置することが決定された。

委員長にはパウロ・セルジオ・ピネイロ氏(ブラジル)就任する見込み。 また国連人権理事会のローラ・デュプイ・ラセール議長は「委員会へのシリアの政府の完全なる協力が重要」との声明を出した。

**

スイス経済省は、シリア政府に関連する口座に預金されている4,500万スイス・フラン(5,000万米ドル相当)を凍結した、と発表した。

AFP, September 12, 2011、Akhbar al-Sharq, September 12, 2011、September 12, 2011、Alarabia.net, September 12, 2011、Aljazeera.net, September 12, 2011、al-Hayat, September 13, 2011、Kull-na Shuraka’, September 12, 2011、Reuters, September 12, 2011、SANA, September 12, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 12, 2011、al-Watan, September 12, 2011などをもとに作成。

ダマスカス県などで開催された国民対話会合で経済社会問題が審議される、湾岸協力会議は「アラブ・イニシアチブ」を支持(2011年9月11日)

反体制運動をめぐる動き

シリア革命総合委員会によると、9月11日(バッシャール・アサド大統領誕生日)に合わせて各地で行われたデモに軍・治安部隊が発砲、ヒムス、ダルアーでは戦闘機が低空で旋回、ヒムスでは戦車が多数展開した。

ダマスカス郊外県のキスワ市、ハラスター市、ザバダーニー市、ヒムス県ヒムス市、ダルアー県アトマーン郊外で夜間、アサド大統領の退任を求めるデモ。キスワのデモではロシアと中国の国旗が焼かれた。またアサド大統領誕生日を「祝して」大統領退任が求められた。http://www.youtube.com/watch?v=GCIZ47idhBsなどを参照。

**

イドリブ県ビンニシュ市では同日最大規模のデモが発生し、軍・治安部隊の弾圧に曝されているヒムス市、ハマー市との連帯が叫ばれた。

**

ヒムス県ではヒムス市で、アラブ連盟の弱腰を批判するプラガードが掲げられるとともに、国営メディアによる情報操作を非難した。

またシリア人権監視団によると、ヒムスの刑務所で拘束中の活動家ナジャーティー・タイヤーラ氏(66歳、8月31日に空軍情報部が逮捕)が、9日の尋問中に殴打された。

Kull-na Shuraka', September 11, 2011
Kull-na Shuraka’, September 11, 2011

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市、女性(40歳)が、指名手配者を捜査する軍・治安部隊の発砲で負傷、死亡した。

またシリア革命総合委員会によると、ブーカマール市で活動家に対する追跡・突入作戦が行われ数十人が逮捕。ラフマーン・モスク、法科専門学校を攻撃。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市で10日に行われていたギヤース・マタル氏(先週逮捕され、拷問で死亡)の葬儀に参列していた会葬者に対する軍・治安部隊の発砲で負傷していた少年(17歳)が死亡。葬儀には3,000人以上が参列。

**

『シャルク・アウサト』(9月12日付)によると、11日昼、ダマスカス県ルクンッディーン区で犠牲者の葬儀(アフマド・バグダーディー氏[19歳]、アフマド・スライマーン・アイルート氏[17歳])が反体制デモに発展。約1時間後に治安部隊によって排除された。

**

ハマー県のヒヤーリーン町では、軍・治安部隊が突入し、村のモスクを砲撃。

**

『クッルナー・シュラカー』(9月11日付)は、クナイトラ県出身者の話として、同県サアサア町に治安当局が設置した検問所で、子供に「国民は何を望んでいる?」と質問し、「体制打倒を望んでいる」と言ったら、父親を逮捕している、と報じた。

**

イスタンブール大会や国民救済大会を主催した反体制活動家のハイサム・マーリフ弁護士は『シャルク・アウサト』(9月11日付)に対して、「いかなる軍事介入であれ、リビアで起きたようにシリアを破壊するだろう…。シリア政府は革命が武装集団によると言うことで、革命運動家たちが武装することを余儀なくしている…。しかし、革命はこのような罠でおさまるものではない…。シリアの革命は、勝利、すなわち平和的な政権打倒によって終わるだろう」と述べた。

**

SANA(9月12日付)は、ヒムス県税関局が、ダッブースィーヤでシリア国内に密輸入されようとしていた金8キロを押収したと報じた。この金は、500,000ドル相当で、スイスで鋳造され、レバノン経由でシリアに持ち込まれようとしていたという。

**

SANA(9月12日付)によると、内務省は声明を出し、「破壊分子」がオートバイを用いて、複数の都市に進入し、破壊行為を行い、混乱をもたらしている、と述べた。

**

在西欧クルド人活動家でカーワー・クルド文化教会会長のサラーフ・バドルッディーン氏は『シャルク・アウワト』(9月12日付)に対して、シリア国内のクルド人が他の宗派・エスニック集団と等しくシリアの「革命」に参加し、弾圧の犠牲となっていると述べた。

しかし、他の地域と異なり、クルド人が多数派をなすハサカ県のハサカ市、カーミシュリー市、アレッポ県のアイン・アラブ市などで、軍・治安部隊が大規模弾圧を行ったとの情報は現在までのところない。

アサド政権の動き

県・大学レベルでの国民対話会合が開始され、ダマスカス県、ダマスカス郊外県などで、経済社会問題が審議された。同会合では、経済・社会問題のほか、福祉問題、そして政治問題が審議され、20日に閉会する予定。

SANA, September 11, 2011
SANA, September 11, 2011

バアス党ダルアー支部は対話会合出席者512人の氏名・所属を発表。出席者のなかにはバアス党代表、進歩国民戦線加盟政党代表、無所属活動家、そして反体制活動家が含まれている。

**

アーディル・サファル首相は、政党法の実施にかかる内閣決定第12793号(政党法実施リスト)を発令。同決定の全文はhttp://www.sana.sy/ara/2/2011/09/12/368797.htmを参照。

**

ロシアを訪問中のブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問は、モスクワでの記者会見で、「ロシアの立場は、権利、公正を支持し、シリア国民をはじめとする諸国民の権利を支持するものである。誰に対しても偏った見方をするよう求めず、真実を指示し、噂、ねつ造、国民や祖国の幸福を望まない者が提示するような論点をなくそうとしている」と評価。

**

トルコの避難民キャンプで避難生活を送ってきたジスル・シュグールの住民97人が帰国。

諸外国の動き

SANA(9月11日付)は、イスラエル政府が、イスラエル占領下のゴラン高原からの600人の訪問団のシリア入国を禁止したと報じた。

これに先立ち、イスラエル占領下ゴラン高原におけるシリア革命調整委員会が声明を出し、シリア国内での「平和的革命」への支持を表明するとともに、アサド政権を「国民を裏切った体制」と非難、また9月11日にシリアに派遣される毎年恒例の使節団に関して、その発言が占領下ゴラン高原の総意に基づくものではない、と表明していた。

**

アラン・ジュペ仏外相は、訪問先のオーストラリアで記者団に対して、「国連が(シリアでの)惨憺たる危機に明確な態度を示さないことは、スキャンダルに等しい」と発言。

**

レバノンのムスタクバル潮流のハーリド・ダーヒル国民議会議員は、ビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教によるアサド政権支持の発言に関して、「バッシャール・アサド大統領は二度にわたって使節団をビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教のもとに派遣し、レバノンのマイノリティを動員してシリア政府を支持するよう求めた」と述べた。

**

『シャルク・アウサト』(9月12日付)は、湾岸協力会議(GCC)のアブドゥッラティーフ・ザイヤーニー事務局長は、現在開催中のGCC外相会議との関連で、シリアの反体制運動に関して多くの時間を割いて審議されたことを明らかにし、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長がシリアに示す予定の「アラブ・イニシアチブ」をGCCが支持するとしつつ、GCC独自でシリアの危機打開のイニシアチブを別途提示することはないと述べたと報じた。

AFP, September 11, 2011、Akhbar al-Sharq, September 11, 2011, September 12, 2011、al-Hayat, September 12, 2011、Kull-na Shuraka, September 11, 2011、Reuters, September
11, 2011、SANA, September 12, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 12, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド大統領がアラブ連盟事務総長とダマスカスで会談するなか、自由将校旅団司令官が逮捕されたと報じられる(2011年9月10日)

国内の反体制運動の動き

シリアの日刊紙『ワタン』(9月10日付)は、自由将校旅団(自由将校運動)司令官で死亡・失踪に関する情報が錯綜しているフサイン・ハルムーシュ大佐が逮捕されたと報じた。数日前には70代になる同大佐の兄が殺害されていた。

同紙によると、治安部隊は、同大佐の出身地であるイドリブ県イブリーン村で「特殊作戦」を行い、「彼を生きたまま逮捕し、中火器、軽火器、通信機器、コンピュータなどを押収した」。

しかしシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長は、『ハヤート』に対して、「逮捕の報道に関して情報が錯綜している」と述べた。同所長は、「ある目撃者はハルムーシュ氏は、兄の死を知った直後にトルコから戻り、逮捕されたと述べているが、別の目撃者は、それを否定している。さらに、トルコの諜報機関が逮捕したと言っている人もいる…。我々は確認を試みている」と述べた。

**

ヒムス市では、金曜日のデモでの犠牲者の葬儀が行われ、約20,000人が参列。ヒムス市には、シリア軍・治安部隊の戦車、装甲車などが多数展開している。

Kull-na Shuraka', September 10, 2011
Kull-na Shuraka’, September 10, 2011

シリア人権監視団は、バーブ・アムル地区近くのバサーティーン地区で指名手配者の追跡を行う軍・治安部隊によって5人が殺害されたと発表した。一方、シリア革命総合委員会は、ヒムス市のバーブ・スィバーア地区とバーブ・アムル地区への砲撃で16人が殺害されたと発表した。

これに対しSANAは、シリア軍消息筋の話として、ヒムス市のダウワール・ファーフーラ近くで軍食糧配給部門の寝台バスが「武装テロ集団」に襲撃され、運転手が殺害、乗っていた食糧配給部門の労働者2人が負傷した、と報じた。

SANA, September 10, 2011
SANA, September 10, 2011

一方、シリア人権監視団によると、レバノン国境のヒート村に軍・治安部隊が突入。またレバノン国境のクサイル市も地元調整委員会によると、連日、軍・治安部隊による逮捕・捜索活動が続いており、「非常に困難な日々」だという。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団、地元調整諸委員会によると、2人が治安部隊の発砲により殺害された。1人(男性)はハーン・スブル村で、もう1人(女性)はサラーキブ市南部で殺害された。

**

『クドス』(9月10日付)は、「住民が遺族を公園などに埋葬している」とのハマー市住民の証言を掲載。

**

ダマスカスでは、新党「シリア国家建設潮流」の結成が発表された。発足者たちによると、同組織は民主的市民国家の建設、若者たちの政治生活、公的生活における「公的、実質的参与」の保障、民衆蜂起の目的に沿って専制体制の打倒をめざす、という。

国外の反体制活動家の動き

『ハヤート』(9月11日付)はカタールのドーハの信頼できる消息筋の話として、「ダマスカス宣言」、クルド民族主義諸政党、シリア・ムスリム同胞団の活動家および代表30人が挙国一致的な連立を組み、近く「国民評議会」を発足することをめざすことで合意したと報じた。

しかし『シャルク・アウサト』(9月10日付)は、ドーハでの反体制勢力の会合も、トルコなどでの反体制勢力の会合などと同様、国民評議会発足に関して合意に至ることに失敗したと報じた。

**

エジプトの首都カイロでも反体制活動家が二つの会合を開催した。

一つは、「シリア解放運動者連合」(シャーディー・ハッシュ代表)が主催した「我々はみな祖国のために」挙国一致会合で、カイロのドッキー地区のピラミザ・ホテルで開催された。

もう一つは、「在エジプト・シリア人連合」が主催した「シリア国民支援勝利週間」(9月9日開催)で、同じくドッキー地区のサフィール・ホテルで開催された。

同会合には、ハイサム・マーリフ弁護士、アブドゥルアハド・イスティーフワー(アッシリア民主機構代表)、ムハンマド・マアムーン・ヒムスィー元人民議会議員といった反体制活動家が招聘・出席し、記者会見を行った。

これらの会合は在外の他の反体制勢力との調整なくして開催された。

**

オーストリアのウィーンでは、スペイン、ロシア、ドイツ、スイス、ギリシャなど13カ国に滞在するシリア人活動家が反体制勢力を支援するための会合を開いた。

代表の一人であるアーミル・ハティーブ氏によると、参加者はウィーンのシリア大使館に向かい、アサド大統領の退任を求めることを決定。また「在外シリア人連合」を結成し、シリア国内の反体制運動の支援をめざすという。

**

フェイスブックの「シリア革命2011」ページによると、アブドゥッラッザーク・ラフムーン大佐がシリア軍を離反し、「自由シリア軍」に参加したと発表。

アサド政権の動き

アサド大統領がアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長とダマスカスで会談。

SANA, September 10, 2011
SANA, September 10, 2011

SANA(9月11日付)によると、アサド大統領は「現下のシリアの危機の出口を創出することの必要をアラブ諸国が強く望んでいる」とのメッセージをアラビー事務総長から受けとった。

またアラビー事務総長は「連盟は、数ヶ月にわたって続く流血を終わらせるべく、シリア政府と反体制勢力との間の国民和解対話において大きな役割を果たすことを提案した」と述べ、アサド大統領と一連の措置に関して合意、火曜日のカイロでのアラブ連盟外相会議でこれらの提案が提示されるという。

さらに会談では、「メディアのねつ造や扇動にだまされない」必要が強調され、アラブ連盟がシリアの治安と安定を望み、外国のいかなる内政干渉をも拒否する」とアラビー事務総長が強調したと報じた。

しかし、アラビー事務総長はカイロに帰国後に声明を出し、「アラブ連盟がシリア国民に対する暴力や流血を完全に停止するために早急に措置を講じる必要があり、シリア国民の表現への希求や改革を実現し、国民を保護し、シリアをとりまく危機を解消するための移行を保障する必要があるとの意思を伝えた」と発表した。

**

スポーツ連合との共催のもと、シリアの青年グループが、イラク、レバノン、パレスチナの青年使節団とともに、ダマスカス県内のジャラー・スタジアムで、シリアの治安、安定に対する陰謀への抵抗を支持する集会を行った。

諸外国の動き

『ハヤート』(9月10日付)は西側外交筋の話として、EUはシリアに対する石油禁輸措置に加えて、石油部門への投資を禁じることで原則合意したと報じた。

**

シリア革命支援ヨルダン人民委員会は、ヨルダン政府に対してバフジャト・スライマーン駐アンマン・シリア大使の追放を要求するための座り込みをアンマン市内で10日から開始した。

SANA, September 10, 2011
SANA, September 10, 2011

レバノンの動き

NNA(9月10日付)は、レバノン国軍がベカーア県ラーシャイヤー郡ダイル・アシャーイル山地で、シリアに密輸されようとしていた電気アンテナ、通信機器を押収したと報じた。これらの機器はピックアップ・トラックに積まれていたシリアに密輸入されようとしており、こうした動きは日々見られるという。

**

『ナハール』(9月10日付)は、ビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教がフランス訪問中のニコラ・サルコジ仏大統領との会談で「シリアのアサド政権は終わった」と告げられたと報じた。

**

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首と袂を分かったマルワーン・ハマーダ国民議会議員は、テレビでのインタビューで、3月14日勢力がシリアの内政に干渉しないとしつつ、「カマール・ジュンブラートからラフィーク・ハリーリー元首相にいたる暗殺以外の何ものもシリアの体制見出すことない」と述べ、「レバノンのすべての宗派がシリア政府の抑圧に曝されてきた」と強調、「シリアで今日起きていることは体制の終わりを示している」と断じた。

**

アブドゥルカリーム・アリー駐レバノン・シリア大使はヌール・ラジオのインタビューに対して、シリア国内の反体制抗議運動に対して否定的な見解を示しているビシャーラ・ラーイー・マロン派大司教の姿勢が「バランスのとれた思想的、国民的、政治的な見方で、地域全体を標的とした陰謀に対する抵抗において彼自身が代表している教会の役割と合致している。またそれは、バチカンの見解を表してもいる」と述べた。

**

レバノンのシリア・アラブ擁護委員会の使節団がダマスカス県のティシュリーン軍事病院を慰問。「武装テロ集団」弾圧時に負傷した兵士を見舞った。

AFP, September 10, 2011, September 11, 2011、AP, September 10, 2011、Facebook、Akhbar al-Sharq, September 10, 2011, September 12, 2011、al-Hayat, September 11, 2011, September 12, 2011、Kull-na Shuraka’, September 10,
2011, September 13, 2011、al-Nahar, September 10, 2011、NNA, September 10, 2011、al-Quds, September 10, 2011、Reuters, September 10, 2011, September 11, 2011、SANA,
September 11, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 10, 2011, September 11, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

大規模デモのなかで抗議運動開始以来初めて外国による外部介入が公に求められる、ロシア大統領特使がシリアの反体制勢力使節団と会談(2011年9月9日)

Facebook
Facebook

反体制運動をめぐる動き

シリアで昨日、治安部隊の発砲により8人が殺害された。同国の複数の都市では、「国際的保護の金曜日」と銘打った大規模デモが発生し、反体制勢力は、民間人保護のための国際監視団の派遣を呼びかけた。「国際的保護の金曜日」はフェイスブックの「シリア革命2011」で数日前から呼びかけられていた。

3月以来の反体制デモで「国際監視団の派遣」という要求のもとに外国の外部介入が要求されたのは今回が初めて。「リビア・シナリオの再来」を懸念し、外国の介入に消極的だった反体制勢力によるこうした要求は、彼らがバッシャール・アサド政権の弾圧を前に苦戦を強いられ、追い詰められていることを示すものと言える。

ユーチューブなどでは、「軍は裏切り者、自由なシリア万歳」、「我々は国際的保護を望む」、「ゲームオーバーだ、バッシャール」、「国民は大統領処刑を望んでいる」と連呼するデモ参加者を撮ったデモが配信され、ジャズィーラなどがこれらの映像を「垂れ流した」。

**

イドリブ県では、サラーキブ、サルミーン、ビンニシュ、タフタナーズ、ハーン・シャイフーン、マアッラト・ニウマーンでデモが発生し、数万人が参加した。

シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がザーウィヤ山に近いラーマ村で反体制デモ参加者に発砲し、15歳の少年1人が殺害された。

またイブリーン村に対する軍・治安部隊の突入で8日に逮捕された2人が殺害された。このうち1人は自由将校運動司令官のフサイン・ハルムーシュ大佐の兄のムハンマド・ハルムーシュ氏(74歳)。

**

ダイル・ザウル県では、ダイル・ザウル市で金曜礼拝後に反体制デモが発生し、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊が参加者に発砲し、1人が殺害された。

**

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がヒムス市各地区で反体制デモ参加者に発砲し、1人が殺害された。ダイル・バアルバ地区は約20,000人がデモに参加し、体制打倒を求めた。ハーリディーヤ地区でも同様のデモが発生し、軍・武装部隊の発砲で6人が負傷した。またラスタン市、タルビーサ市、クサイル市でもデモが発生した。地元調整委員会によると、タルビーサ市では電話、電気が不通となっていた。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊が「指名手配中」の男性1人をハッターブ村で射殺した。

**

ダマスカス県ではバルザ区でも金曜礼拝後にデモが発生したが、参加者は150人と小規模だった。

バルザ区でのデモでは、ロシアと中国に国連の制裁決議を認めるよう求めるプラカードが掲げられた。またカフルスーサ区、マイダーン地区、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市でもデモが発生した。

**

Facebook
Facebook

ダマスカス郊外県では、地元調整委員会によると、キスワ地区でのデモに対して、軍・治安部隊が発砲し、6人が負傷した。 9月6日にダマスカス郊外県サフナーヤー市で友人とともに行方不明になっていたギヤース・マタル氏の遺体が発見された。遺体には拷問の跡が残っていた。

**

スワイダー県では、地元調整委員会によると、スワイダー市で約100人が反体制デモを行った。

**

ダマスカスおよび同郊外自由運動家連合は、9月9日早朝、ダマスカス郊外県サイイダ・ザイナブ墓地で約50人の遺体を発見した、と発表。同連合は、発見された遺体が、ダマスカス県、ダマスカス郊外県で逮捕・殺害された人々のものだと思われると付言。

アサド政権の動き

『クッルナー・シュラカー』(9月9日付)は信頼できる消息筋の話として、共和国護衛隊第105旅団司令官のマナーフ・トゥラース准将が司令官職を凍結され、実務から遠ざけられたと報じた。

同筋によると、同准将の出身地で、父のムスタファー・トゥラース元国務長官の権威が及ぶと考えられているヒムス県ラスタン市での事態収拾のための仲介後に、アサド大統領にとって受け入れられない発言を行ったことが理由だという。

トゥラース准将の仲介によって住民との休戦が成功したにもかかわらず、軍・治安部隊による弾圧によって、その努力が無に帰し、准将が住民に謝罪、仲介を放棄し、その際感極まって発言した内容がアサド大統領の逆鱗に触れたという。

また先日、副参謀長就任に伴うアリー・アイユーブ少将(第105旅団の前司令官)の台頭もトゥラース准将の事実上の粛清に関係しているとの見方もある。

同様に、共和国護衛隊の別の旅団を指揮するタラール・マフルーフ准将も、「民間人の殺害によって反体制運動が宗派対立の様相を強めている」との発言が原因となり、監視下に置かれ、任務から遠ざけられたという。同准将は故バースィル・アサド准将の大学時代の親友として知られている。

**

ダーウード・ラージハ国防大臣はアサド軍事工科大学卒業式で訓辞を述べ、「自由を呼びかけるスローガンを利用して」、中東諸国を「分断」しようとする「忌まわしい計画」への警鐘をならした。

**

タルトゥース県ドゥライキーシュ市の若者数千人がアサド大統領の改革を支持する集会を開催・参加。

**

SANA(9月10日付)は、ハマー、ヒムス、ダマスカスでのデモに関するジャズィーラ、BBCなどの報道が事実と異なると批判。

諸外国の動き

ミハイル・マルゲロフ連邦議会外交委員会委員長(大統領特使)がシリアの反体制勢力使節団(ラドワーン・ズィヤード氏ら)とモスクワで会談。

会談後、「外国の干渉なしで危機の解決策を見出さねばならない」と述べるとともに、一部の反体制勢力が外国の干渉や国際監視団派遣を主唱していることに対して「リビアのシナリオ再来に向かうのを許してはらない」と警鐘をならした。

また「現地情勢の収集と係争地視察」のためロシア連邦議会の使節団を派遣することを検討していると述べ、「シリアの反体制勢力の代表はこれを歓迎した。月曜日に(ブサイナ・シャアバーン)大統領府政治情報担当報道官と議論する」と付言した。

これに対して、使節団の代表でシリア人権国民機構のアンマール・カルビー会長は、会談を「非常に開放的で前向きだった」と評価した。

同会長によると、会談では、国連安保理でのロシアの姿勢に関して意見交換を行い、「対話では、本質的に国際社会の対場に近い最終的な危機打開のかたちに関して意見が交わされた」としつつ、ロシアに「より積極的」な姿勢を示すよう呼びかけた。

またRT(9月10日付け)は、使節団の一人、アブドゥルイラーフ・ムルヒムの話として、反体制派がロシアにシリアへのロシア政府使節団派遣を求めたと報じた。

一方、ロシアのドミトリー・メドヴェージェフ大統領は、ユーロニュースのインタビューに応じ、そのなかで「我々はさまざまな措置をとるべく支援する用意がある。しかし、政府やアサド大統領が行うことに偏った非難を浴びせるべきではない…。交渉のテーブルにつき、合意に達し、流血を止めるよう、対立し合うすべての当事者たちに断固たるメッセージを伝えねばならない」と述べつつ、反体制デモを行う一部の人々を「テロリスト」と非難した。

**

Kull-na Shurakā‘, September 10, 2011
Kull-na Shuraka‘, September 10, 2011

在ダマスカス・サウジアラビア大使館は、シリアに滞在する約3,500世帯に対して、退避勧告を発した。

**

ビクトリア・ヌーランド米国務省報道官は、米国が来週、国連で西側諸国とともに、アサド政権に対する非難決議採択をめざす動きを「加速」させると述べた。

**

日本政府は、米・EUに追随するかたちで、アサド大統領および政府高官14人、政権に近い6機関の資産を凍結。

レバノンの動き

レバノン軍団のアントワーン・ザフラ国民議会議員は、シリア国内の反体制抗議運動に対して否定的な見解を示しているビシャーラ・ラーイー・マロン派大司教に関して、「アサド大統領にチャンスを与えるかどうかは、シリア国民が決めること」と非難。

**

レバノン・イスラーム集団は、シリア国内の反体制抗議運動に対して否定的な見解を示しているビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教、ミシェル・アウン国民議会議員の発言に関して、「宗派主義的、非宗派主義的感情を高めることは地域社会に寄与しないだろう」と非難。

AFP, September 9, 2011、Akhbar al-Sharq, September 10, 2011, September 11, 2011、al-Hayat, September 9, 2011, September 10, 2011, September 10, 2011、Kull-na Shuraka‘,
September 10, 2011、Naharnet.com, September 9, 2011、Reuters, September 9, 2011、SANA, September 10, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド大統領が政令第104号(国家総動員法)を発令、レバノンのアウン国民議会議員がインタビューのなかでシリア政府への支持を強く表明(2011年9月8日)

シリア軍兵士・バアス党員の離反をめぐる情報合戦

各地でシリア軍兵士の離反が伝えられるなか、バッシャール・アサド政権と反体制勢力が離反をめぐる情報合戦を繰り広げた。

**

シリア人権監視団によると、イドリブ県ザーウィヤ山のイブリーン村で、フサイン・ハルムーシュ大佐の家で離反したシリア国軍兵士3人が軍に支援された治安部隊によって殺害され、2人が逮捕された。また軍・治安部隊は装甲車7輌、四輪駆動車10輌でイブリーン村に突入し、指名手配者の捜索を行った。その際激しい銃声や重火器の発車音が聞こえた。

Shabaka Akhbar Idlib, September 8, 2011
Shabaka Akhbar Idlib, September 8, 2011

フサイン・ハルムーシュ大佐は6月はじめにインターネットを通じて自らの離反を宣言した士官で、自由将校運動(自由将校旅団)の結成を宣言した人物である。

これに関してSANAは、治安部隊がイドリブ県ザーウィヤ山(シリア北西部)のイブリーン村に対する作戦で、住民を脅迫していた「武装テロ集団」を多数逮捕し、その際複数名を殺害、また大量の武器弾薬を押収したと報じた。またこの作戦では、治安部隊兵士3人が殺害され、3人が負傷したと報じた。を包囲中に離反した兵士3人を殺害したと報じた。

しかしこれに先立って7日、自由将校運動(自由将校旅団)のダルアー県の高官カイス・クトアナ大尉が声明を出し、同運動司令官のフサイン・ハルムーシュ大佐が、8月29日にトルコ領内の避難民キャンプでトルコの治安当局高官と面談したのち失踪したと発表、トルコ当局に対して大佐の行方を調査するよう求める声明を出した。声明はYoutubeを通じて配信された。声明全文はhttp://www.alarabiya.net/mob/ar/165799.htmlを参照。

**

シリア政府筋が誘拐されていたとするバアス党ラスタン支局指導部のイッズッディーン・ウバイド書記長とアブドゥッラッザーク・ダーリー書記官がビデオで反体制デモ弾圧に抗議して離反したとの声明を出した。http://www.youtube.com/watch?v=CCEndzkY25wを参照。

http://www.youtube.com/watch?v=CCEndzkY25w

しかしこれに先立ち、SANA(9月8日付)は、ラスタン市で武装集団が両名を誘拐したと報じていた。

反体制勢力の動き

シリア革命総合委員会は声明を出し、「シリアの民間に対する国際的保護」を呼びかけ、「国際社会が責任をもって、国際法および文書の規定に従って、民間人保護のための措置を講じる」よう求めた。

委員会のアフマド・ハティーブ報道官は、反体制勢力が「国際的監視団の派遣を第1ステップとして要求している。もし政府がこれを拒めば、飛行禁止空域の設定、戦車使用禁止などといった次の動きへの扉が開かれることになろう」と述べた。

ラマダーン月の反体制抗議行動によって、アサド政権打倒が実現せず、9月に入って反体制運動の勢いに若干かげりが見え始めるなか、フェイスブック等で運動を指導してきた地元調整委員会などが生き残りをかけて外国の侵略を求めたかたちである。

**

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、7日の弾圧で負傷した市民8人が死亡、これにより7日のシリアでの死者数は31人(うち29人がヒムス市、2人がサルミーン市で殺害)となった。

**

AKI(9月8日付)によると、地元調整委員会は、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長が10日のシリア訪問時に伝えようとしているとされる「アラブ・イニシアチブ」(危機打開に向けた提案)に関して、「民衆のインティファーダに体制が暴力で対峙したことでもたらされた国の危機に対処するための正しい基礎」と支持しつつも、2014年の任期終了までアサド大統領の在任を認めた文言については態度を保留。

**

シリアのクルド民族主義政党11組織が9月半ばに呼びかけているクルド・クルド大会開催のイニシアチブに関して、シリア・クルド民主合意が声明を出し、原則支持の意を示しつつ、「いかなるクルド政党勢力も大会開催を独占してはならない」と述べ、牽制。シリア・クルド民主合意はシリア内外の反体制クルド民族主義勢力において主導的役割を果たすシリア・クルド政治会議加盟政党、シリア・クルド民主同盟加盟政党、シリア・クルド・ムスタクバル潮流などと一線を画している。

**

AKI(9月8日付)は、自由のためのシリア弁護士委員会が赤十字国際委員会に対して、刑務所でなく、治安機関の拘置所を視察するよう呼びかけたと報じた。

Kull-na Shurakā’, September 9, 2011
Kull-na Shuraka’, September 9, 2011

**

シリア・クルド・ムスタクバル潮流は、8日(木曜日)にミシュアル・タンムー報道官がカーミシュリー市内でシャッビーハによる暗殺未遂に遭ったと発表。

**

AKI(9月8日付)によると、国民民主的諸勢力国民調整委員会、ダマスカス民主的変革宣言(ダマスカス宣言)、国民行動グループ、民主的調整会合、イスラーム無所属潮流、革命調整諸委員会、青年革命運動家ら、国内外の反体制勢力が、国民評議会結成に関して原則合意し、近日中に大会が開催されることが決定。大会には250人の代表が集まるという。

**

シリア左派連立を名乗る組織が声明を発表。反体制勢力による国民評議会結成に向けた動きが、民衆蜂起に寄与せず、それを貶めているに過ぎないと非難。移行期間は体制打倒後に初めて設定されるべきと主張。また外国の干渉に関して強い拒否の姿勢を示した。

**

リヤード・アスアド大佐率いる自由シリア軍は9月8日に配信されたビデオで2大隊の新設を発表。ダマスカス県の「ムアーウィヤ・ブン・アビー・スフヤーン」大隊とダマスカス郊外県の「アブー・ウバイダ・ブン・ジャッラーフ」大隊。

**

シリア赤新月社はシャッビーハが赤新月社の救急車を攻撃したとの報告書を作成。全文はhttp://all4syria.info/web/archives/27507を参照。

アサド政権の動き

『シリア・ニュース』(9月8日付)、『イクティサーディー』(9月8日付)によると、アサド大統領は政令第104号(国家総動員法)を発令。10章43条からなる同法は、国家総動員の定義および実施原則、立法府および司法府の役割、国家機関、企業、国民の義務、予備兵役への国民の召集、召集にかかる手当、そして処罰などが規定された。

もっとも重要な規定は第3条で、大統領が国家総動員を発令する事態のなかに、1カ国ないしは複数の国と戦争状態に入る、地域・国際社会の関係の緊張によって戦争状態の恐れがある、自然災害などが発生するといった状況に加えて、「国家の安全が脅かされる内乱が発生する」という文言を付記した。

4月に非常事態令解除に合わせて、アサド政権は平和的デモ調整法を発令し、無許可のデモへの「合法的弾圧」を行ってきたが、これに加えて国家総動員を発令することで、デモ弾圧を強化しようとしている。

レバノンの動き

ビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教は、アラビーアに対して「国際社会はイスラエルにレバノンの占領地から撤退するよう圧力をかけるべきだ…。またパレスチナの帰還権を履行させるべきだ。そうすることでヒズブッラーは武器を手放すことを余儀なくされるだろう」。「シリアで政権転換が起きて、スンナ派が権力を握れば、レバノンのスンナ派と同盟を結び、シーア派とスンナ派の関係が悪化する」と述べた。

**

レバノンの自由国民潮流代表のミシェル・アウン国民議会議員(元国軍司令官)はLBCのインタビューに応じ、7日にビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教が「アサド大統領はシリアで改革を実施している。彼にチャンスを与えねばならない」と発言したことに関連して、「シリアの体制は崩壊せず、改革を実行すると強く確信している」と述べた。

また「私は人権を支持しているが、交代した政権が人権を支持するだろうか?彼らは多元的支配に反対していると一部の人々が言っているのに、彼らは人権を尊重するだろうか?現在起きているのはデモではない。狙撃兵や治安要員と衝突しているだけだ。暴動で体制を転覆させようとする者がいる場合、体制は自衛するだろうし、それは正しいことだ…。米軍がイラクに来て、サッダーム・フサインが処刑されたあと、独裁後のイラクで何が起きたのか?民主主義に移行したか?…我々はシリアに独裁体制を求めていない。むしろ民主制を求めている…。しかし(西側諸国や一部のアラブ諸国は)シリアが人権を尊重することを望んでいない。むしろハマース、ヒズブッラー、イランとの結びつきを立ってもらいたいだけだ…。人権問題をめぐってシリアを攻撃している人々はパレスチナ人を支援すべきだ…。アサド大統領は私に政治的自由を保障すると語った…。シリアでは安定なくして改革などあり得ない。体制はシリアを不安定化させようとする試みを前に屈服しないだろう。いかなる圧力をかけられようと」と付言した。

Naharnet, September 8, 2011
Naharnet, September 8, 2011

**

ベイルート県中心部にある「サミール・カスィール広場」でレバノン人活動家、ジャーナリスト、有識者、政治家らが「シリア国民の自由と尊厳」を支持する座り込みを行った。

座り込みに参加したのは、ハーリド・ダーヒル議員、マルワーン・ハマーダ議員、アフマド・ファトファト議員、ハーリド・ザフラマーン議員、ハサン・ムナイミナ元大臣、ファーリス・スアイド元議員、イリヤース・アターッラー元議員、アントワーン・ハッダード氏、カルロス・イッダ氏。また3月14日勢力執行部のメンバーが多数参加した。

一方、アサド政権の支持者もベイルート県庁前でデモを行った。

諸外国の動き

ロシア大統領特使のミハイル・マルゲロフ連邦議会外交委員会委員長は、9日のシリア反体制勢力との会談、10日のブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報担当報道官との会談に先立って、アサド政権崩壊の可能性を否定し、国連安保理でのシリア非難決議を阻止するとの姿勢を改めて明示したうえで「政治的関係正常化の機会はまだある…。我々は当事者である反体制勢力と政府を歩み寄らせようとしている。両者が会するしくみを作り出すことができると希望している」と述べた。

また「アサド大統領は世俗的で若い指導者であり、正しい指導を行い、開明的である…。もし支配階級がより開放的になり、新しい考え方を受け入れ、すべてのシリア人に対応できるのであれば、我々は彼が国を近代化できると考えている」と付言した。

**

イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領は8日晩、クウェートの記者団と会談し、シリアに赴き、「国民和解」実現を支援するための委員会を設置することでシリア国内の危機収束のための政治的イニシアチブを発揮するようイスラーム協力機構(OIC)に対して呼びかけた。

AFP, September 8, 2011, September 9, 2011、Akhbar al-Sharq, September 8, 2011、AKI, September 8, 2011, September 9, 2011、Alarabia.net, September 8, 2011、al-Hayat, September 9, 2011、al-Iqtisadi, September 8, 2011, September 10, 2011、Kull-na Shuraka’, September 8,
2011, September 9, 2011, September 12, 2011、Naharnet.com, September 8,
2011、NNA, September 8, 2011、Reuters, September 8, 2011, September 9, 2011、SANA,
September 9, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 10, 2011Syria News, September 8, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

政府はアラブ連盟事務総長にシリア訪問を延期するよう求める、仏外相が露外相に対し対シリア制裁決議への支持を呼びかけるも後者は無視(2011年9月7日)

反体制デモ

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市では軍・治安部隊の発砲で9人が殺害、20人が負傷。ハーリディーヤ地区のハーリド・ブン・ワリード・モスク周辺、バーブ・スィバーア、バーブ・フード、バーブ・タドムル地区、ハムラー地区通り、バーバー・アムルなどで、軍・治安部隊は重火器を使用し、バーブ・ドゥライブ地区では激しい発砲が行われ、ビルから黒煙が上がった。

また一部の地域では6日晩から地上電話回線が遮断された。

ジスル・クサイルから兵員輸送車20輌が進入し、スーク地区、県庁周辺で激しい銃声が聞こえた。さらにラスタン市からヒムス市周辺に戦車、兵員輸送車が増派された。

一方、地元調整委員会によると、ハマー県方面からも多数の戦車がヒムス市に進入、地上電話、携帯電話回線が遮断されたことを明らかにした。

なお『ハヤート』(9月8日付)は、人権活動家の話として、6日の死者数は少なくとも20人にのぼり、うち17人がヒムス市内で殺害されたと報じた。またヒムス市内で赤新月社の救急車が軍・治安部隊の発砲を受けた。

これに対して、SANA(9月8日付)は、武装テロ集団がヒムス市の軍病院をRPGで砲撃、また同市各所で市民や治安維持部隊を攻撃し、軍・治安部隊兵士8人が殺害、数十人が負傷し、公共財産や私有財産が破壊されたと報じた。またラスタン市で武装集団が、バアス党ラスタン支局指導部のイッズッディーン・ウバイド書記長とアブドゥッラッザーク・ダーリー書記官を誘拐したと報じた。

SANAは軍消息筋の話として、7日晩、軍・治安部隊がヒムス市ハミーディーヤ地区での武装テロ集団の追跡中に戦闘状態には入り、武装テロ集団メンバー複数を殺害、RPGなど武器を押収したと報じた。

Ugarit NN, September 7, 2011
Ugarit NN, September 7, 2011

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ヌアイマ村に軍・治安部隊が突入し発砲、複数の住民が負傷した。

これに対して、SANA(9月8日付)は、武装テロ集団がヌアイマ村で治安維持部隊のバスに対する爆弾攻撃を行い、兵士11人、市民4人が負傷し、そのなかには子供も含まれている、と報じた。

**

シリア人権監視団によると、イドリブ県サルミーン市で軍・治安部隊は大規模な捜索活動を行った。

アサド政権の動き

ムハンマド・ジャリーラーティー財務大臣は、UAEアブダビでのアラブ財務大臣会議での記者会見で、西側の制裁によって西欧諸国に輸出できなくなった石油をロシア、ないしは中国に輸出計画を進めていると述べ、制裁によって打撃を受けることはないと強調。

しかし、シリアの2011年の経済成長率が反体制デモの影響で1%から2%に落ち込むだろうと述べる。同大臣によると2010年の経済成長率は5.5%で、2011年のGDPは3%増を見込んでいる。西側の制裁に関して、「マイナスに作用するだろうが、改革を通じて困難を克服できると考えている」と述べた。

**

『クッルナー・シュラカー』(9月7日付)は、3月以来続く反体制デモに伴う混乱を踏まえ、教育省が初等学校、高等学校の新学期開始の延期を検討しているとの噂が広まっていると報じた。

**

SANAは、反体制活動家が運営するウェブサイト「シリア電子軍」を「愛国心」に基づき集い、メディアでの扇動やねつ造に対抗し、シリアで起きていることの真実を伝えようとしている若者たち、と絶賛。

SANA, September 7, 2011
SANA, September 7, 2011

**

SANAは、ダルアー県で反体制デモに参加し、軍・治安部隊によって殺害・遺棄された住民の集団墓地に関する情報がねつ造された者だったことを示す「活動家」ハッサーン・アブー・スルーウ(アブー・アラー)氏、ムハンマド・シャルア氏らの通話内容を公開。

**

SANAは軍消息筋の話として、武装集団に誘拐されていたマジド・イブン・アミード・ガッサーン・マンスールくんを解放した。マンスールくんは解放時、両手両足を縛られ、身体には拷問の痕跡があった。

**

シャッビーハがアレッポ氏のサアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)を占拠。当局の許可のもとテントを設営、拡声器などを設置し、宴会を開いた。

諸外国の動き

SANAはシリア政府がアラブ連盟のアラビー事務総長にシリア訪問を延期するよう求めたと報じた。

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はカイロで記者会見を行い、シリアへの訪問を9月10日に延期すると発表した。

これに関して、反体制活動家のマアムーン・ヒムスィー前人民議会議員は、アラビー事務総長がカイロで、ハイサム・マーリフ氏を団長とする反体制勢力使節団とアラブ連盟本部で会談したと述べ、それとアサド政権による拒否の姿勢がアラビー事務総長のシリア訪問延期の理由だと述べた。

**

アラン・ジュペ仏外相は、セルゲイ・ラブロフ露外相と共同記者会見を行った。仏外相は、「シリア政府は人道に対する罪を犯している」との国連人権理事会の決議に賛同の意を改めて示し、ロシアに国連での対シリア制裁決議への支持を呼びかけた。

しかし露外相はこの呼びかけを無視し、「シリアの当事者に対話の機会を与える」ことを呼びかけ、「政府が呼びかける対話に反体制勢力が応じないことは、リビアのシナリオを踏まえると、事態の進展を脅かす」と述べた。

**

スーザン・ライス米国連代表は、アサド政権にさらなる制裁を科すための国連安保理決議の採択の必要を強調した。

ロバート・フォード駐ダマスカス米大使はフェイスブック上の米大使館のページ声明を出し、アサド政権によるデモ弾圧を厳しく非難するとともに、現体制内には改革を実施できる者はいない、と断じた。フェイスブックの在シリア米大使館ページはhttp://www.facebook.com/search.php?q=US+embassy+damascus&init=quick&tas=0.48355811513452606#!/syria.usembassyを参照。

**

西欧の外交筋によると、EUはアサド政権へのさらなる追加制裁を検討中。追加制裁には、石油部門への投資の禁止、アサド政権に近い衛生テレビ局の放送禁止などが含まれているという。

レバノンの動き

LBC(9月7日付)が伝えたところによると、レバノンのビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教は訪問中のフランスでニコラ・サルコジ仏大統領らに対して「シリア・ムスリム同胞団の台頭がレバノンのキリスト教徒にとって脅威になる…。アサド大統領はシリアで改革を実施している。彼にチャンスを与えねばならない」と述べ、シリアの反体制抗議行動に消極的な姿勢を示した。

AFP, September 7, 2011、Akhbar al-Sharq, September 7, 2011, September 8, 2011、al-Hayat, September 8, 2011, September 9, 2011、Kull-na Shuraka’, September 7, 2011,
September 8, 2011, September 11, 2011、LBC, September 7, 2011、Naharnet.com,
September 7, 2011、Reuters, September 7, 2011、SANA, September 7, 2011, September
8, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アラブ連盟事務総長がアサド政権に対し「対話プロセスに参加することになる反体制勢力に受け入れられるような首相のもとでの暫定挙国一致内閣の発足」を提案(2011年9月6日)

反体制運動をめぐる動き

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市南部に軍が設置した検問所で、市民2人が射殺され、2人が負傷。犠牲者の一人は15歳の少年。

またシリア人権監視団は、元政治犯の話として、女性1人を含む5人の遺体がヒムス市スーク・ハシーシュ、ハンマーム・バーシャーで発見されたと発表した。

シリア人権監視団によると、ヒムス市のバイヤーダ地区、ハーリディーヤ地区、ジャウラト・シヤーフ地区、グータ地区、マルアブ通り、バーバー・アムルなどヒムス市の複数の地区では、5日晩(から6日に早朝にかけて)反体制デモが行われたという。

**

ダマスカス郊外県では、ザマルカー町で、デモで撃たれ死亡した市民の遺体が家族に引き渡され、葬儀が行われた。またザバダーニー市では、5日晩から6日にかけて、軍・治安部隊による逮捕・捜索活動が行われ、9人が身柄拘束された。またダーライヤー市でも5人の活動家が身柄拘束された。

一方、『クッルナー・シュラカー』(9月6日)がドゥーマー市の消息筋から得た情報によると、同市内に展開していた軍事情報局の要員が完全に撤退。

**

『シャルク・アウサト』(9月6日付)は「ダマスカス宣言」在オーストリア代表のアシュラフ・ミクダード氏は、支持する多くの反体制活動家・組織は外国の軍事介入に異議を唱えるなかで、国際社会による軍事介入こそが唯一の解決策と述べたと報じた。

ミクダード氏はその理由として、バッシャール・アサド政権による武器を独占し、その使用に対する抑止力がない点を挙げるとともに、体制打倒の別のシナリオとして、軍が大規模に離反すれば、市民が武装する必要はなくなり、多くの上級士官が(外国軍による)大規模な空爆を受ければ離反するとの意思を明示していると述べた。

**

SANAは、シリア人権ネットワークが武装テロ集団による民間人、軍人への殺戮、誘拐を非難したと報じた。

**

これまでたびたびアサド政権を批判してきたアレッポのムフティー、イブラーヒーム・サルキーニー氏の葬儀が反体制デモに発展、治安機関が強制排除を行い、数十人を逮捕。映像はhttp://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=Xihnd2uAOzYhttp://www.youtube.com/watch?v=YO0afP9eKEI&feature=relatedを参照。

**

SNS(9月6日付)は、複数のシリア筋の話として、「関係当局は、ヒムス市近くのラスタン地域での作戦の末、ハマーのアドナーン・バックール検事総長を解放した」と報じた。しかし『ワタン・オンライン』(9月6日付)によると、ハマー県は「シャームFM」の取材に対して検事総長は釈放されていないと応えたという。

**

AKI(9月6日付)によると、自由のためのシリア弁護士委員会は、赤十字国際委員会(ICRC)のヤコブ・ケレンベルガー総裁のシリア訪問を受けるかたちで、同総裁にシリア国内の刑務所ではなく、治安機関の拘置所を視察するよう呼びかけた。

**

『シャルク・アウワト』(9月6日付)が報じたところによると、シリア・ムスリム同胞団のリヤード・シャカファ最高監督者は、一部の反体制勢力がアサド政権とともに反体制運動の沈静化を望んでいるとしても、「体制との権力分有という発想は受け入れられない」と述べ、非妥協的な姿勢を示し、同胞団とアサド政権との関係正常化の可能性があるとの一部報道を否定した。

**

『シャルク・アウワト』(9月6日付)は、在外の反体制勢力はフランス外交筋を通じてイランと接触し、アサド政権との断交を求めている、と報じた。

**

『デイリー・スター』(9月6日付)は、UNHCRが先週だけで120人のシリア人がレバノンに避難してきたとの声明を発表したと報じた。同声明によると、2,300人のシリア人避難民がレバノンに避難している。レバノンのシリア人避難民の数に関しては5,500人との発表もある。

**

第7師団のザーヒル・アブドゥルカリーム少尉が、同師団の兵士数十が離反した発表するビデオをインターネット上にアップ。http://www.youtube.com/watch?v=Rqz4PLq-Xa0を参照。

アサド政権の動き

SANAは、アーディル・サファル内閣が政党法に関する実施リストを承認したと報じた。実施リストは、政党問題委員会の提案に基づいて作成されたもので、政党発足に関する実施要綱、認可にかかる措置、党員・入党の条件、財源、権利・義務などが記されている。

アサド大統領が設置した政党問題委員会はムハンマド・シャッアール内務大臣を委員長とし、控訴裁判所のムハンマド・ラキーヤ裁判長、イブラーヒーム・マーリキー弁護士、マフムード・ムラッシャハ博士、アリー・ムラッヒム弁護士から構成された。

シャッアール弁護士は5日の記者会見で、実施リストの承認によって新党の認可申請が可能になると述べていた。

**

SANAは、各地で行われている県・大学レベルの国民対話会合に関して引き続き報道した。同通信社によると、ダマスカス郊外県では準備会合が開かれ、市民の広範な参加を実現するための案が議論された。

またラタキア県では、5日に引き続き6日も準備会合が開催され、審議、提案とりまとめなどを行う三つの小委員会が設置され、経済、政治、開発関係者らがメンバーに就任した。小委員会は11日から会合を始めるという。

**

『イクティサーディー』(9月6日付)は、信頼できる消息筋の話として、アサド大統領が近く、憲法改正委員会を設置する、と報じた。

**

シリア外務省は、ブサイナ・シャアバーン氏が9月10日にモスクワを訪問し、同国首脳と会談すると発表した。この訪問は反体制勢力6人(ラドワーン・ズィヤーダら)のロシア訪問直後に設定された。

**

『イズベスチア』(9月6日付)は、軍消息筋の話として、シリアの軍使節団がロシアを訪問し、現在行われているCISの軍事演習を視察すると報じた。

駐ロシア・シリア大使館はこの報道の真偽についてコメントしていないが、同紙によると、訪問の目的は、防空システム(S-300、S-400)の使用について視察することにあるという。

**

DPA(9月7日付)によると、バッシャール・アサド大統領は政令第110号を発令。

刑法の第335号、第336号を改正。第335号は、集会としての性格を有しない集会・デモ(暴動)への参加者に対する刑罰、罰金を定めたもので、この改正により罰金が100シリア・ポンドから20,000シリア・ポンドに引き上げられた。

また第336号は以下の通り改正された。「公道ないしは民衆に開放されている場所でのすべての集会を暴動とみなし、1ヶ月から1年の禁固刑、50,000シリア・ポンドの罰金を科すものとする」。なお修正前の刑法全文はhttp://www.syrianbar.org/index.php?news=124を参照。

**

『シリアン・デイズ』(9月12日付)は、アーディル・サファル内閣が9月6日の閣議で決定第1/12562を出し、各省職員が大臣の許可なく、省の執務に関する報道発表を行うことを禁じ、施行前の新情報法によって保障されるはずの表現の自由を奪ったと報じた。

Kull-na Shurakā’, September 12, 2011
Kull-na Shuraka’, September 12, 2011

諸外国の動き

『ハヤート』(9月6日付)が得た情報によると、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は明日(7日)、シリアを訪問し、同国の危機収束のための提案(アラブ・イニシアチブ)を伝える模様。

『ハヤート』(9月6日付)によると、アラビー事務総長がアサド大統領に伝えるとされるアラブ・イニシアチブは、シリア政府に「民間人へのすべての暴力行為の停止」、「政治生活・市民生活と軍の分離」、「すべての被害者への補償と身柄拘束者の釈放」、「2014年の大統領任期終了に合わせて、資格を有する候補者の立候補を認める多元的な大統領選挙の実施」などを骨子とする。

またアサド大統領に対しては、「明確な諸原則を発表することで…、多元的支配体制への移行を誓約し、現下の顕現を駆使して改革プロセスを急ぐこと」を求める一方、「大統領と反体制勢力代表と、平等と国民和解を前提とした政治的な連絡を始め、暴力、宗派主義、そして外国の干渉によらない挙国一致の原則に基づく新段階への安定的以降をめざす」よう呼びかけている。

具体的には「対話プロセスに参加することになる反体制勢力に受け入れられるような首相のもとでの暫定挙国一致内閣の発足」を提案している。

同内閣は「司法の監督のもと、複数政党・個人が参加し得る透明性をある国会選挙の実施を任務とする」とともに、「最大議席を獲得したブロックの代表が組閣を行う」としている。

ハヤートが入手したアラブ・イニシアチブ(全13項目)全文はhttp://international.daralhayat.com/internationalarticle/304457を参照。

しかしSANA、シリア・アラブ・テレビは「情報筋」の話として5日、アラビー事務総長の訪問が「いかなるイニシアチブ、カードとも関係ない」と報じた。

これを受け、アラビー事務総長がシリア訪問に先立って、カイロで記者会見を行い、訪問の目的が連盟の「明確な任務のもと」、アサド大統領にシリア危機解決に向けたアラブ・イニシアチブを伝えることにある、と述べた。

また、アサド政権がアラブ・イニシアチブを拒否していることに関して、「それは正しくない。ダマスカスは手続き的な面でアラブ連盟が発した声明に抗議の意を示したに過ぎない。この点について充分な議論はされなかったが、彼らは(私の)訪問とメッセージを伝えることを受け入れた」と反論した。

**

フランスのアラン・ジュペ外務大臣はロシアのモスクワを訪問した。在モスクワ・フランス大使館筋によると、フランスは安保理決議を通じた「ダマスカスへの制裁に関してロシア側と検討することにもっとも重点を置いている」という。

ジュペ外務大臣は7日にセルゲイ・ラブロフ外務大臣、ドミトリ・メドヴェージェフ大統領と会談する。またロシア訪問に続いて中国の北京を訪問する予定。

**

米、英、仏、独、ポルトガルが、インド、ブラジル、中国、南アフリカと、ニューヨークの国連英国代表部で会合を開き、シリアへの制裁について審議した。しかし中国外交筋は、『ハヤート』(9月8日付)に対して、中国が対シリア制裁には反対で、ロシアが提案している安保理決議案を支持していると語った。

AFP, September 6, 2011、AKI, September 6, 2011、Alwatan Online, September 6, 2011、The Daily Star, September 6, 2011、DPI, September 7, 2011、al-Hayat, September 6, 2011, September 7, 2011, September 8, 2011、al-Iqtiṣādī, September 6, 2011、Kull-na Shuraka’, September 6, 2011, September 7, 2011,
September 12, 2011、Reuters, September 6, 2011、SANA, September 6, 2011,
September 7, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 6, 2011、Syrian Days, September 12, 2011、UPI, September 6,
2011、などをもとに筆者作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

政府が県・大学レベルでの国民対話会合を主催、赤十字国際委員会総裁がダマスカス郊外の刑務所を視察したのちアサド大統領と会談(2011年9月5日)

反体制運動とその弾圧

ハマー県では、軍・治安部隊、そしてシャッビーハがハマー市に再び突入し、デモ参加者に激しい発砲を加え、9人が射殺された。地元調整諸委員会のウマル・イドリビー報道官によると、軍・治安部隊の車輌30輌以上がハマー市のダウワール・スィバーヒーから突入し、市の中心部に向かい、発砲した、という。

**

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市の複数地区で激しい銃声が聞こえた。

装甲車4輌、兵員輸送車7輌がハーリディーヤ地区に進入、またバーブ・ドゥライブ地区にも複数の装甲車が突入した、という。同監視団によると、この突入により、ハーリディーヤ地区とバイヤーダ地区で数十人が逮捕され、逮捕者総数は80人に上った。

またブスターン・ディーワーン地区でバイクに乗った男性とその息子が何者かの発砲を受け殺害。同監視団はシャッビーハの犯行と見ている。一方、地元調整委員会のイドリビー報道官によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区で2人、バイヤーダ地区で1人が軍・治安部隊の発砲で殺害された。

Akhbar al-Sharq, September 5, 2011
Akhbar al-Sharq, September 5, 2011

タッルカラフ市では、イドリビー報道官によると、1人が殺害された。

**

イドリブ県では、イドリビー報道官によると、アイン・バイダー村で青年1人が狙撃兵によって射殺された。殺害されたアブドゥッサラーム・ハッスーン氏(24歳)は、越境してトルコに逃げようとしていた。

地元消息筋とトルコのNTVは、国境地帯のアイン・バイダー村で、複数の市民が軍の攻撃に晒され、ハタイ県から救急車両が出動し、負傷者を搬送したと伝えた。

複数の住民・活動家によると、デモ弾圧を避ける市民によるトルコへの逃走を阻止する作戦の一環だというが、地元調整委員会によると、アドナーン・バックール検事総長の捜索を目的としていると見ている。

別の目撃者によると、アイン・バイダー村北西のジャーヌーディーヤ町に軍の装甲車が突入し、トルコに逃げようとしていた離反兵と交戦した。目撃者によると、ラタキア、ハマー、ヒムスの攻撃後、避難民の数は先週再び増加したという。

地元調整委員会によると、マアッラ・ニウマーン地域のサビール村に治安部隊が突入し、複数の市民を逮捕。

また地元調整委員会によると、ザーウィヤ山に近いラーミー村近くで集団墓地が発見された。

**

シリア革命調整委員会はシリアテル経営者筋の話として、同社が秘密の事務局を設置し、アレッポでのデモの場所を携帯で治安当局に知らせる任務にあたっていると発表。これによりラマダーン月中、アレッポ市だけで110のデモが阻止されたという。

**

シリア人権機構Mafによると、アラビーヤのインタビューに応じた同機構メンバーのファイサル・バドル弁護士に対して、弁護士組合が懲戒処分を下す手続きを始めた。

**

治安当局はクルド人権活動家のジュワーン・アイユー氏がハサカ県ラアス・アイン市を身柄拘束する。

**

SANAは、夜にヒムス市ダウワール・ファーフーラで石油会社のバスが武装テロ集団の要撃を受け、4人が死亡、7人が負傷した、と報じた。

Akhbar al-Sharq, September 5, 2011
Akhbar al-Sharq, September 5, 2011

反体制勢力の動き

9月3日付で、「自由尊厳革命青年」を名乗るシリア人青年らがシリア革命最高指導評議会の発足を宣言。発足声明によると、評議会メンバーはシリア各地の代表からなり、アサド政権打倒をめざす。

各地の代表は以下の通り。

ラタキア市:カーリド・カマール、アフマド・サイイド
タルトゥース市・バーニヤース市:アナス・アイルート、ムハンマド・ムーサー
ハサカ市・カーミシュリー市:ムハンマド・ムッラー・ラシード・ワリーナース
アレッポ県:ヤースィル・ナッジャール他1人
ヒムス県:ハムザ・シャマーリー、マルワーン・リファーイー、サーミフ・ヒムスィー、フサーム・マルイー
ダマスカス県:ムハンマド・アリー・アーミル他1人。
ダルアー県:マティーウ・バティーン他1人
クナイトラ県:イマードッディーン・ラシード、ムハンマド・イナード・スライマーン
ラッカ県:ファルジュ・ハムード・ファルジュ、ハーリド・ヒンダーウィー
イドリブ県:サーリフ・ザクワーン他1人。

またハマー市、ダマスカス郊外、ダイル・ザウル、スワイダーは各2人が代表を務める。

シリア革命最高指導評議会についてはhttp://ar-ar.facebook.com/Syrian.Supreme.Councilを参照。

**

BBC(9月5日付)によると、アドナーン・バックール検事総長は、シリア治安部隊の追跡を逃れたと発表。その際、検事総長と同行する4人が殺害され、自身も軽傷を負ったという。

**

フェイスブックの「シリア革命2011」ページは9月第2週を「国際監視者たちの週」と銘打って、国際社会の監視団のシリア入国を要求した。ラマダーン中の宗教的シンボルに依拠した動員に代えて、外国の介入を求める同ページのスタンス、そしてプロパガンダが国民に浸透するかは未だ不透明。

アサド政権の動き

SANA(9月6日付)によると、県・大学レベルでの国民対話会合が昨日始まり、会合開催のための準備委員会の設置などが進められた。

ダマスカス大学では第1回会合が開かれ、準備委員会が設置、9月11日から15日の予定で審議を行うことを決定した。会合には大学職員らが出席した。

クナイトラ県でも第1回会合が開かれ、準備委員会が発足した。

県・大学レベルでの国民対話会合は9月20日まで続けられる予定。

**

『クドス・アラビー』(9月5日付)によると、アサド大統領はアリー・アイユーブ少将を副参謀長に任命。アイユーブ少将はラタキア出身で第1軍団司令官として、第1、第7、第9師団、ミサイル大隊を指揮してきた。またダマスカスの防衛を担当する共和国護衛隊第105師団も指揮下に置いてきた。この人事はダーウード・ラージハ参謀長の国防大臣就任とファフド・ジャースィム・フライジュ副参謀長の参謀長就任(8月)を受けたもの。

Facebook
Facebook

**

『シャルク・アウサト』(9月5日付)は信頼できる西側消息筋の話として、ハーフィズ・アサド前政権時代にシリア・ムスリム同胞団の掃討(1970年代末~1980年代半ば)などにあたった退役士官にアサド政権が反体制デモ弾圧の支援を要請していると報じた。同消息筋によると、アリー・ドゥーバー退役少将、ムハンマド・フーリー退役少将が大統領顧問として復職したという。しかし両名の復職については2月にすでにシリアの反体制メディアによって報道されていた。

諸外国の動き

シリアを訪問中の赤十字国際委員会(ICRC)のヤコブ・ケレンベルガー総裁は午前中ダマスカス郊外のサイドナーヤー中央刑務所を訪問した。ICRCによるシリアの刑務所訪問はこれが初めて。

ケレンベルガー総裁はまたアサド大統領と会談した。SANA(9月6日付)によると「国際赤十字の政治性を排除した中立的で独立した活動」を歓迎した。

午後シリアを発ち帰国の途についたケレンベルガー総裁は声明を出し、「近い将来すべての身柄拘束者を訪問」し得るとの楽観的な見通しを示すとともに、自身の主要な関心の一つは、負傷者、病人に必要な医療的保護を行うことになる」と述べた。

**

トルコの共和人民党のオスマン・ファルク・ローオール副党首を団長とする使節団(5人)がシリアを訪問。SANA(9月6日付)によると、マフムード・アブラシュ人民議会議長、ガッサーン・アブドゥルアール・ヒムス県知事らと会談。

またSANAによると、使節団はラタキアのラムル地区を訪問。使節団は、パレスチナ難民キャンプがあり、シリア海軍が攻撃したとされる同地区の住民に聴取を行った。

**

カタールのハマド・ブン・ハリーファ・アール・サーニー首長は、ジャズィーラのインタビューに応じ、アサド政権による弾圧を非難、「シリア国民は要求を取り下げないだろう…。現在提起されている問いとは、シリア国内のこの閉塞状態を以下に解消するかというものである」と述べ、アサド政権に「変化の要請に応える」よう呼びかけた。

**

イラン国営通信は「テヘランはシリア国民と政府が、暴力行使を控え、対話を通じて(問題を解決)できると信頼している」とのハサン・カシュカウィーガム副外務大臣の発言を報じるとともに、シリアに対するいかなる外国干渉をも拒否するとのイランの姿勢を改めて確認した。

**

SANA, September 6, 2011
SANA, September 6, 2011

ロシアのインテルファクス通信、RTなどは、ロシア連邦議会外交委員会のミハイル・マルギロフ委員長(大統領特使)が、9月8日と9日にモスクワでシリアの反体制勢力の代表と会談すると発表したと報じた。

AFP, September 5, 2011、Akhbar al-Sharq, September 5, 2011、BBC, September 5, 2011、al-Hayat, September 6, 2011、Aljazeera.net, September 5, 2011、Kull-na Shuraka’, September 6, 2011、al-Quds al-‘Arabi, September 5, 2011、Facebook、Kull-na Shuraka’, September 5, 2011、SANA,
September 6, 2011, September 7, 2011、Reuters, September 5, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 5, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ハッダーム前副大統領が国際社会の軍事介入に反対する反体制活動家らを批判、アラブ連盟事務総長は「今週中に」ダマスカスを訪問すると発表(2011年9月4日)

反体制勢力の足並みの乱れ

シリア・クルド・イェキーティー党メンバーで暫定国民会議のメンバーとして名前が挙げられているアブドゥルバースィト・ハムウ氏は、暫定国民会議発足をめぐる動きへの支持を改めて表明するとともに、一部のクルド民族主義政党や反体制勢力が同会議に参加してない理由に関して、意見の相違ではなく、体制への恐怖がある、と指摘。またクルド民族主義勢力がアサド政権打倒後に連邦制の確立や分離をめざすとの一部報道が、体制側のプロパガンダに過ぎないと一蹴した。

**

シリア革命支援国民連盟(ハイサム・ラフマ総合調整役)は声明を出し、暫定国民評議会の発足に向けて、ブルハーン・ガルユーン氏との対話・調整を行ったことを明らかにし、同氏のイニシアチブに賛同していると明言した。

**

反体制活動家で経済学者のアーリフ・ダリーラ氏は『ラアユ』(9月4日付)に対して、ガルユーン氏が進める暫定国民評議会発足の動きを「個人的で時期尚早な動き」と非難し、「国内の政治的停滞と国外の意見の相違に対する反応」とみなした。

反体制運動とその弾圧

デモの勢いは過去数日に比べて弱まったもの、複数の活動家などによると、各地でのデモ参加者、会葬者への治安作戦、さらには軍用バスに対して行われた攻撃により、軍人、女性を含む21人が殺害された。

**

ハマー県では、SANAが軍消息筋の話として、武装テロ集団がムハルダ市近くで士官や民間人労働者などが乗ったバスを要撃したと報じた。同消息筋によると、要撃によって、士官1人、准尉5人、民間労人労働者3人が殺害され、多数が負傷した。

SANA, September 5, 2011
SANA, September 5, 2011

またSANAが軍消息筋の話として伝えたところによると、治安部隊がハマー・ガーブ街道での殺人事件を追跡中に、9月3日にイドリブ県サラーキブ市のラジオ・テレビ・センターでピックアップトラックを盗んだ武装テロ集団4人と戦闘、治安部隊兵士1人が負傷、テロ集団メンバー3人を殺害、残る1人は負傷。大量のカラシニコフ銃、爆弾、医療機器を押収。

一方、地元調整諸委員会のスポークスマンであるウマル・イドリビー氏によると、ムハルダ市近くのカルナーズ町で4人が殺害された。

**

ヒムス県では、シリア革命調整連合によると、15人がヒムス市で軍・治安部隊の激しい銃撃を受けて負傷した。この銃撃は3日晩からバーブ・アムル地区西のバサーティーンで続いているという。

またシリア人権監視団によると、3日晩からハーリディーヤ地区、バーブ・フード地区、バーブ・スィバーア地区、クスール地区、バイヤーダ地区などでデモが発生し、軍・治安部隊の発砲があったが、死者はでなかった。

ダイル・バアルバ地区では軍・治安部隊が土曜の晩から日曜日にかけて大規模な捜索活動を行い、25人を身柄拘束。一方、軍・治安部隊はハムラー地区通りでの大規模な逮捕・捜索活動(17人を身柄拘束)を終えて撤退。なお軍・治安部隊はインシャーアート地区、バーブ・アムル地区にも展開している。

タルビーサ市で朝、2日(金曜日)のデモに参加して負傷していた青年が死亡。

**

イドリブ県では、地元調整諸委員会のスポークスマンであるイドリビー氏によると、女性1人を含む4人が軍・治安部隊の発砲で殺害された。またイドリブ市で治安部隊がバスに発砲し、1人が殺害された。

シリア革命調整連合によると、ハーン・シャイフーン市に軍・治安部隊が突入し、市内の病院を包囲、負傷者の搬入を阻止した。他方、サラーキブ市で約3週間前に身柄拘束されていた青年が拷問を受け死亡。

イドリブ県での作戦は、アドナーン・バックール検事総長捜索を目的としている、という。これに関して、『ワタン』(9月4日付)は、カルナーズ町付近で誘拐されたアドナーン・バックール検事総長がイドリブ県ザーウィヤ山にいる、と報じ、誘拐した「武装テロ集団」の捜査当局の追跡が大詰めに入ったことを示唆。

しかし反体制活動家でビジネスマンのムハンマド・マアムーン・ヒムスィー元人民議会議員は、アラビーヤのインタビューで、アドナーン・バックール検事総長がシリアを出国しトルコに逃れたことはほぼ確実だと述べた。

一方SANAは、9月2日(金曜日)晩に、ハーン・シャイフーン市で内務治安局のワーイル・アリー大尉が武装テロ集団によって誘拐された、と報じた。

**

ダイル・ザウル県では、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊による大規模な逮捕・捜索活動が行われ、23人が身柄拘束。

反体制運動をめぐるそのほかの動き

『クッルナー・シュラカー』(9月4日付)はハラスター市の信頼できる消息筋の話として、市民の抗議行動を弾圧するために同市に展開し、無差別発砲を行っていた空軍情報部の治安部隊の一部の兵士が離反、弾圧を指揮するアブドゥッラフマーン大佐の命令を拒否したと報じた。

同消息筋によると、空軍情報部の部隊および作戦に参加している車輌管理局内で激しい銃撃戦となり、双方合わせて35人の兵士が負傷した。

**

ジャーナリストのアーミル・マタル氏が逮捕。

**

在米シリア議会議長で政治学者のルワイユ・サーフィー氏は『シャルク・アウサト』(9月4日付)に対して、「シリア国民評議会は10日以内にメンバーの氏名を発表し、行動計画を明示し、反体制活動を調整するための部局・委員会を設置するだろう」と述べた。

また「国内外の反体制勢力のほとんどが武力による解決を拒否している」と述べ、「武装革命」への反対の意思を示すとともに、「政権打倒は…数ヶ月で実現する問題だ」と明言したうえ、「とりわけアレッポとダマスカスでの、学生の秋に期待する」と述べ、主要都市での学生の決起への期待感を示した。

**

パリ在住の反体制活動家、アブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領は自らが指導するシリア国民救済戦線のウェブサイト「自由シリア」を通じて声明を発表。「シリアの革命運動家たち」に充てた声明のなかで、ハッダーム前副大統領は、国際社会の軍事介入に反対する一部の反体制活動家を批判、「軍事干渉ではなく国際的な監視団の派遣を要求する声が一部から発せられているが、それは敗北主義的な姿勢を隠そうとするペテンである」としたうえで、「軍事介入は占領を意味しない」と述べた。

Free-Syria.com, September 4, 2011
Free-Syria.com, September 4, 2011

またハッダーム前副大統領は『シャルク・アウサト』(9月4日付)のインタビューに応じ、アラブ連盟の対応に関して、「犯罪」を議論することが遅すぎたと非難した。またイランによるアサド政権支持については、一貫して変わらないだろうとしつつ、シリアでの「革命」が成就すれば、イランのシリア、レバノン、イラク、そして中東地域全体の影響力が低下するだろうと指摘した。

一方、シリアの反体制勢力の活動については、「シリアの現実と何ら関係のない声」が一部から発せられていると非難し、国際社会への軍事介入の必要を指摘した。

**

『クッルナー・シュラカー』(9月4日付)によると、ダマスカス県内の学校に通っていた女子学生の一人が、大学への入学登録を行うため、高校の卒業証明書を受け取ろうとした際、学校当局から「貴方は反体制派か親体制派か?」と尋ねられたという。女学生の父によると、学校当局は、学生の政治的帰属、反体制デモへの態度を集計している、という。

**

ストックホルムのスウェーデン議会で、在外シリア・クルド人が9月3日から2日間の予定で在外クルド人青年大会を開催、欧州諸国の活動家やスウェーデンの議員らの参加のもと、シリアの反体制運動における在外クルド人の役割、国内のシリア革命調整連合への支援方法、大会閉幕時に発足が宣言される在外委員会の任務、組織編成などを議論した。

大会2日目にあたる4日には、ブルハーン・ガルユーン氏が参加。「クルド人はこの体制の抑圧の先頭に立ち、抑圧装置に対するレジスタンスの先頭に立ってきた」と述べた。

アサド政権の動き

SANAは、バッシャール・アサド大統領の指示に沿って、県・大学レベルでの国民対話が9月5日から2週間の予定で行われると発表した。

**

ワリード・ムアッリム外務大臣は、赤十字国際委員会のヤコブ・ケレンベルガー総裁と会談し、「当局が治安と安定回復、そして改革路線強化の努力を行っている」ことを伝えた。

ケレンベルガー総裁は5日、アサド大統領と会談する予定。同総裁はシリア高官と、政治状況改善や大統領退任を求める身柄拘束中の反体制活動家の支援を検討するためにシリアを訪問中。

**

『シリアステップス』(9月4日付)はシリア高官筋の話として、アーディル・サファル内閣の改造が統一地方選挙前に行われ、無所属および反体制活動家の入閣が検討されていると報じた。

同消息筋によると、この改造内閣をもって、統一地方選挙と2012年2月に実施が延期となっている人民議会選挙が監視されるという。

**

DP-News(9月4日付)によると、『クドス・アラビー』(9月1日付)で、アンマンのサウジ大使公邸での恒例のイフタールの祝典に出席したバフジャト・スライマーン・シリア大使が、(遅れて会場入りしたため)偶然同席したヨルダンの元首相らの前で「我々は倒れれば、我々とともにあなたたちも倒れる」と話したと報じられたことに関して、スライマーン大使が「断片的な作り話」と述べる。

**

サウジアラビアのインターネットサイト『ジダール』(9月4日付)によると、開発メディア局長のガーズィー・アブドゥルガフール氏は、シリアの報道番組やシリア・アラブ・テレビ報道局の監視命令を拒否したため、アドナーン・マフムード情報大臣がブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報担当報道官の指示のもと解任。

**

アリー・アッバース石油公社総裁は『シャルク・アウサト』(9月4日付)に対して、「あらゆる状況下において、西欧の制裁は金融、技術、さらには機器供給、ハイテクのソフトなどといったレベルにおいて大きな影響を及ぼす。しかし、これに対して、我々もまた石油・ガス部門で巨大な中国系企業がついており、その財政的な能力は巨大である」と述べ、西側の制裁に対処するための中国の役割に期待を寄せた。

SANAは、ジスル・シュグールからトルコに避難していたシリア人避難民103人が帰国したと報じた。また人民諸委員会のスィバーヒー・ハマドゥー会長が、トルコに避難したジスル・シュグール地域住民のほとんどが帰国、その数は14,300人を越えたと発表したと伝えた。

**

SANAは、シリア人権ネットワークが一部の反体制勢力が武装していると批判したと報じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、BRICs5カ国がシリアでリビアのシナリオが再来することに反対すると述べ、シリアへの空爆や軍事作戦への扉を開くようないかなる安保理決議に対しても反対するとの立場を示した。「新興5カ国、すなわちブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカは、リビアで行われたようないかなる行為にも反対する」と発表した。

**

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、シリア政府の合意のもと「今週中」にダマスカスを訪問すると記者会見で発表した。この訪問は8月28日のアラブ連盟外相会議での声明を受けた動きで、「事態へのアラブの懸念」を伝えることを目的とした。

**

ベカーア県バッル・イリヤース市のレバノン・イスラーム集団支部で、シリア国民との連帯を訴える世俗主義会合の第4回大会が実施され、ダール・ファトワーのアースィム・ジャッラーフ書記長、サラフィー運動創設者のダーイールイスラーム・シャッハール氏ら多くのシャイフが出席した。

AFP, September 4, 2011、Akhbar al-Sharq, September 4, 2011、Alarabia.net, September 4, 2011、AP, September 4, 2011、DP-News, September 4, 2011、Free-Syria.com, September 4, 2011、al-Hayat, September 5, 2011、Jidar.com, September 4, 2011、Kull-na Shuraka’, September
4, 2011, September 5, 2011、al-Quds al-‘Arabi, September 1, 2011、al-Ra’y, September 4, 2011、Reuters, September 4, 2011、SANA, September 5, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 4, 2011、Syriasteps.com, September 4, 2011、al-Waṭan, September 4, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

ガルユーン氏が国民評議会発足に向けた行程表が近く完成すると発表する一方、EUは官報でシリアへの追加制裁の内容を公表(2011年9月3日)

反体制勢力の足並みの乱れ

ジャズィーラは、ブルハーン・ガルユーン氏が、近く国民評議会発足に向けた行程表が完成すると発表したと報じた。ガルユーン氏によると、評議会のもとに反体制活動が指導され、国内外の反体制勢力による革命運動が調整され、重要な決定に参与する、という。行程表は、国内外の調整諸委員会、政治勢力から任じられており、連絡調整、対話を重ねたうえで策定が進められている、という。またメンバーは、青年らが組織する調整諸委員会の代表、調整諸委員会が選任した政党や政治・社会組織の代表などからなる。

Kull-na Shurakā‘, September 3, 2011
Kull-na Shuraka‘, September 3, 2011

**

シリア・アラブ人権委員会代表のハイサム・マンナーア氏はパリでRTのインタビューに応じ、そのなかで「ブルハーン・ガルユーン氏が発表したシリア革命評議会発足の呼びかけは、きわめて危険」としたうえで、「我々を急がす者には、国民に資するアジェンダがない」と非難し、こうした動きがシリアの大衆市民運動の統一に破壊的結果をもたらすと警鐘を鳴らした。

**

『サフィール』(9月3日付)によると、パリの反体制勢力は、ビジネスマンで反体制活動家のカマール・サンカル氏が暫定国民評議会構想を主導していたと考えている。同氏はアンタリアやイスタンブールでの反体制勢力会合に資金援助を行い、国外の反体制勢力による反体制運動の主導をめざしてきた。同氏はイフサーン・サンカル氏とともに1990年代はシリア・メルセデス代表として政権に与してきたが、その後ドバイに活動拠点を移し、反体制活動を行っている。

反体制運動をめぐるそのほかの動き

反体制蜂起開始から6ヶ月が経過しようとしているなか、シリアでの死者数が増加している。金曜日の犠牲者の葬儀に参列した会葬者ら10人を軍・治安部隊が襲撃し、十数人が死亡し、3月17日以降の軍・治安部隊兵士を除いた犠牲者数は2,200人に達した。またシリア革命調整連合によると、戦闘機が複数の都市・村の上空を音速で低空旋回し、デモに参加しないよう市民を脅迫。

**

イドリブ県では、シリア革命調整連合によると、マアッラト・ハルマ村を複数の戦車が包囲、シャッビーハと治安部隊を載せたバス50輌が突入。ハマー市出身の活動家ら3人が住民の前で見せしめとして殺害された。(イブラーヒーム・ハースード氏、アナス・イスマーイール氏、アブドゥッサマド・スライマーン・イーサー氏)。

シリア人権監視団によると、この作戦はハマーのアドナーン・バックール検事総長捜索を目的としているものと思われる。活動家のアリー・ハサン氏がハマーでアラビーヤの取材に答えたところによると、軍・治安部隊は複数の都市・村でバックール検事総長の捜索活動をしている。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、1ヶ月以上前に逮捕されていたクサイル村出身の市民の遺体が自宅前に放置されているのが発見された。遺体には拷問の跡が見られたという。

**

ラタキア県では、複数の活動家によると、バーニヤース市から軍・治安部隊が撤退し、ジスル・ナブウに再結集した。

**

ヒムス県では、複数の活動家によると、夜間のデモを弾圧するため、タッルカラフ市に軍・治安部隊の戦車・装甲車が進入した。ヒムス市ではダイル・バアルバ地区、シャーリウ・ザイル地区で軍・治安部隊の発砲で複数が負傷。またワルシャ地区、バーブ・タドムル地区などで朝からデモが行われた。

SANAが報じたところによると、ヒムス市で武装テロ集団の発砲で警官1人が殉職。

レバノンのCNA(al-Markaziya)が報じたところによると、シリア避難民のレバノンへの流入は続き、ワーディー・ハーリドを中心に約2,600人が避難生活を送っている。

**

ダイル・ザウル県では、治安部隊がフサイン・ターハー・ハイジー氏をダイル・ザウル市で逮捕したほか、多数の市民の捜索を行った。

**

ダマスカス県、ダマスカス郊外県では、ムウダミーヤト・シャーム市で、大規模な逮捕活動が行われ、ジバール・シャーリウ・アルバイーン前で激しい発砲があった。一方、アルバイン市では金曜日の犠牲者の葬儀が行われ、数千人がその後反体制デモを行った。

SANAが報じたところによると、ドゥーマー市で武装テロ集団の発砲で警官1人が殉職。

『クッルナー・シュラカー』(9月3日付)は複数の目撃者の話として、ダマスカス県のティシュリーン公園で「休憩中」のシャッビーハが訪れる女性市民らに暴言を吐くなどの嫌がらせを行った。

**

ダルアー県では、ナーフタ町に軍・治安部隊数百人が展開し、市民に発砲、数ヶ月前に辞任していたダルアー商業会議所のファイサル・フマイド前所長と活動家のムハンマド・ファッラーフ氏の身柄を拘束。

アサド政権の動き

『クッルナー・シュラカー』(9月3日付)が信頼できる消息筋の話として伝えたところによると、アサド大統領はスワイダー市のドゥルーズ派シャイフ・アクルを密かに訪問。訪問の目的などは不明。

**

情報法成立を受けて発足予定の国民情報会議メンバー候補がリークされた。D Pressによると、情報法制定委員会の座長を務めたターリフ・カーディー・アミーン氏が会長に就任するほか、イブラーヒーム・ヤーフール氏、アリー・ジャマールー氏、サービト・サーリム氏、ナーディヤー・ハウサト氏、ディヤーナー・ジャッブール氏らのメンバー入りが内定しているという。

諸外国の動き

EUが官報でシリアへの追加制裁の内容を公表。石油禁輸措置の発動と合わせて、シリア不動産銀行、シャーム投資グループ、マダー運輸会社との取引禁止、ダマスカス商工会議所のイマード・グラーイワーティー会長、アレッポ商工会議所のファーリス・シハービー会長、ヒムスの著名な商人でアスマー・アフラス大統領夫人の親戚のタリーフ・アフラス氏(アフラス・グループ)、イサーム・アンブーバ(イサーム・アンブーバ農産業)との取引およびビザ発給禁止を新たに制裁項目に追加。官報全文はhttp://eur-lex.europa.eu/JOHtml.do?uri=OJ:L:2011:228:SOM:EN:HTMLを参照。

新生リビア支援国際会議に同行している米高官は『ハヤート』(9月3日付)に対して、シリア国内外のビジネスマンは米国および西側諸国の制裁を免れることはできない、と述べるとともに、バッシャール・アサド大統領がこれまでに二度、レバノン情勢を「炎上」させることを検討していたと指摘。同高官は、「こうしたことは明らかに世界全体を巻き込むことになっただろう」としたうえで、「ヒズブッラーがアサド政権を政治的、戦術的に支援し続けることで、中東地域、そしてレバノン内外のスンナ派・シーア派の緊張が高まり、レバノン国内でのヒズブッラーへの非難を強めることになろう」と述べた。

米国およびEUの石油輸入禁止に関して、『ハヤート』(9月3日付)は信頼できる消息筋の話として、シリアの石油のほとんどは西側に輸出されているが、制裁により輸出不可能となった場合、アサド政権はアジアに代替市場を見つけることができるだろう、と指摘。また米国の制裁について、シリアの石油は米国に輸出されていないため内実はないと述べた。そのうえで、EUの制裁に関しては、デモ弾圧への資金流用を阻止することが最大の目的だと述べた。

**

フランスのアラン・ジュペ外相はソポト(ポーランド)でのEU外相会議で、「バッシャール・アサドが態度を変えず、体制が変わらないのなら、シリアへの圧力強化の必要があろう」と述べた。

**

英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣はソポトでのEU外相会議で、アサド政権による反体制デモ弾圧を「まったく受け入れられない」としたうえで、国際社会のさらなる圧力が必要だとの考えを示した。しかしEUの石油緊急制裁に関しては、シリアが他の国に石油を輸出することは可能だとしたうえで、英国がEU諸国企業のシリアへの投資禁止に制裁を拡大するか否かにするかは明言を避けた。

**

インテルファクス通信によると、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ドシャンベ(タジキスタン)で開催された独立国家共同体(CIS)会合で、「一方的な制裁は良いことではないとこれまでにも言ってきた。危機に対しては共同でアプローチする可能性がなくなるからだ」と述べ、EU(そして米国)によるシリアへの石油禁輸措置に意義を唱えた。

**

赤十字国際委員会(ICRC)のヤコブ・ケーレンバーガー会長がダマスカスに到着。アサド大統領との会談、逮捕者の慰問を予定している。

**

進歩社会主義党の指導者の一人、レバノンのガーズィー・アリーディー公共労働大臣はシャルク放送とのインタビューに答え、シリア情勢に関して「憎しみ、分裂、宗派主義的・教条主義的言説のなかで、ますます複雑になっている」としたうえで、「シリア国内外のすべてに否定的な影響をもたらしている。我々は、早急な事態の収拾を願っている」と述べた。また「ロシア、イランを含む諸外国は、明らかに、民間人への暴力行使を非難しており、政治的解決を行うよう求めている」と付言した。

AFP, September 3, 2011、Akhbar al-Sharq, September 3, 2011、AP, September 3, 2011、al-Hayat, September 3, 2011、September 4, 2011、Kull-na Shuraka‘, September 3, 2011、Aljazeera.net,
September 3, 2011、Naharnet.com, September 3, 2011、Reuters, September 3,
2011、al-Safir, September 3, 2011、SANA, September 3, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

EUはシリアの石油輸入禁止措置の発動日付を正式に発表、米国務長官は新生リビア支援国際会議でアサド政権へのさらなる圧力を呼びかける(2011年9月2日)

反体制運動をめぐる動き

ラマダーン明け最初の金曜日にあたる9月2日、ヒムス県、ハマー県、ダルアー県、ダマスカス郊外県、イドリブ県、ダイル・ザウル県などで反体制デモが午後の礼拝後に再び発生し、軍・治安部隊が実弾を用いて排除を試み、20人以上が殺害、数十人が負傷。

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン、カフルバトナー、ドゥーマー、ハムーリーヤで治安部隊の発砲により8人が殺害された。反体制デモは、ハジャル・モスクとマグリビー・モスクなどの屋根で狙撃兵が待ち構えていたにもかかわらず敢行されたという。

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、3人がヒムス市で殺害され、うち2人が早朝に殺害された。またタルビーサ市では3人が殺害された。また夜間にも、ヒムス市のバーブ・スィバーア地区では外出する市民などに激しい発砲が繰り返され、タルビーサ市でも無差別発砲が行われた。40,000人以上がデモを行ったヒムス市ワアル地区、ハーリディーヤ地区のハムラー地区通り、グータ通りには狙撃兵が展開した。

Youtube
Youtube

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、3人がダイル・ザウル市で殺害された。

ハマー県では、カフルズィーター市でデモが発生し、「死、不屈」と参加者が連行するビデオがネットで配信された。

イドリブ県では、カフルナブル市でデモが発生した。

これに対して、SANAなどシリア公式筋は、ダマスカス郊外県のハムーリーヤ、アルバイン、ヒムス県のタルビーサで「武装テロ集団」が治安維持部隊を襲撃し、3人が殉職し、イドリブ県のハーン・シャイフーン市では警察官が誘拐されたと報道した。

一方、シリア・アラブ・テレビは、「内務省は国民に以下なる理由であれ空砲発射、花火、クラッカーなどを行わないよう呼びかける」と報じた。これは軍・治安部隊が市民に対する発砲を、「武装テロ集団の襲撃と誤って行った」という口実を近い将来発表する際の伏線になると見られる。

**

ダマスカス医師調整委員会は、9月4日からダマスカス県内にある主要な病院、具体的には国立病院(アサド国立病院)、大学病院(ムワーサー病院)、ムジュタヒド病院、ダマスカス・イブン・ナフィース病院)で政治犯の釈放を求めるためのストライキを呼びかける。

アサド政権の動き

ムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティー氏はダマスカスのウマイヤ・モスクでの説教で、暫定評議会発足をめざすブルハーン・ガルユーン氏を批判、「7月4日、イスラエルのモサドと米国CIAが、とある国に集まった。その国の名前を私は言いたくないが、この会合での議論は、シリアの将来の行方に関して、どのような活動を行うべきかというものだった。会談ではまず、イスラエルの安全保障を守り…、いわゆるシリア革命暫定評議会を設立し、この評議会の議長にブルハーン・ガルユーンを選ぶことで合意した。そしてこれが実行され、数日前に評議会が設立され、ガルユーンが議長になった」と述べ、ガルユーン氏を米国・イスラエルの手先と評した。説教はhttp://www.naseemalsham.com/ar/Pages.php?page=readSpeech&pg_id=21205&bk_id=42を参照。

諸外国の動き

EUはシリアの石油輸入禁止措置を9月3日付で発動すると正式に発表するとともに、シリア政府高官4人と3機関を制裁リストに追加し、資産凍結とビザ発給を禁止した。

Youtube
Youtube

**

パリで開かれている新生リビア支援国際会議に参加中のヒラリー・クリントン米国務長官は、「シリアでの暴力は停止されねばならず、(アサド大統領は)されねばならない…。シリアの民主制への移行はすでに始まっている。アサド大統領はそのことを認め、シリア国民自身が将来を決定できるよう去るときがきた」と述べたうえで、アサド政権へのさらなる圧力を国際社会に呼びかけた。

**

アラン・ジュペ仏外相は駐フランス大使年次大会で、国連安保理でのアサド政権に対する制裁と民間人への暴力停止のための決議採択をめざして圧力をかけ続けると確認するとともに、シリアの反体制勢力との接触を進めると述べた。

複数の外交筋によると、西側諸国とロシアは「妥協的」な安保理決議採択でコンセンサスに達しており、採決に向けた「青信号」が出ている、という。

また国連安保理では、米国、西側4カ国(英仏独、ポルトガル)、インド、ブラジル、南アフリカの代表が、シリア情勢をめぐる安保理の対応に関する「ビジョンのすり合わせ」を行うための会合を開くという。これに先立ち9月1日には、安保理メンバー15カ国の専門家が、8月29日に引き続き、ニューヨークにある英国連代表部で決議案の内容に関する折衝を行った。

複数の外交筋によると、「妥協的」決議は、「西側が求める武器禁輸制裁とロシアが求める政治プロセスの間に落ち着くだろう」という。

**

フランスの石油会社トータルは、EUの石油輸入制裁に従い、シリアからの石油購入を停止するが、シリア国内での石油採掘は継続すると発表。

AFP, September 2, 2011、Akhbar al-Sharq, September 2, 2011、al-Hayat, September 3, 2011、Kull-na Shuraka’, September 2, 2011, September 3, 2011、Reuters,
September 2, 2011、SANA, September 3, 2011、Zaman al-Waṣl, September 3, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

各地でデモが続くなかハマー県検事総長が武装テロ集団によって誘拐されたことが発表される、しかし本人はすぐさま声明を出しこれを否定(2011年9月1日)

ハマー県検事総長誘拐・辞任の真偽

シリア当局は、ハマー県のアドナーン・バックール検事総長が、8月29日に武装テロ集団によって誘拐されたのち、脅迫を受け、弾圧に抗議して辞任を発表することを余儀なくされたとビデオで発表した。

Youtube
Youtube

またSANAはアナス・ナーイム・ハマー県知事の以下のようなコメントを報じた。「バックール検事総長は、誘拐犯に偽の情報を発表するよう強要された。複数の衛星チャンネルは、メディアでの反シリア・キャンペーンの一環として、ハマーの市民が粛正されているというこの情報を発信した。つまり、これらのチャンネルはシリアの無実の市民に対する武装テロ集団の犯罪の共犯者になったということだ」。

31日晩にバックール検事総長が辞任を発表するビデオを放映していたジャズィーラなどのメディアはこの発表を偽報道だと断じている。

**

しかし、アドナーン・バックール検事総長はYoutubeで声明を発表し、自身が「武装テロ集団に誘拐されたとのシリア・アラブ・テレビの報道が根拠がない。私は革命運動家の家族たちによって保護されている」と発表した。(資料映像はhttp://www.youtube.com/watch?v=MMj1sxKDn8gを参照)。

http://www.youtube.com/watch?v=MMj1sxKDn8g

反体制活動をめぐる動き

各地でシリアの治安部隊によるデモ参加者・市民の追跡・逮捕と反体制デモの応酬は続いた。

ハマー県では、シリア人権連盟のアブドゥルカリーム・リーハーウィー会長やシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、ハマー市の軍・治安部隊とシャッビーハによるデモ参加者の捜索が8月31日から続いた。1日現在、サーブーニーヤ地区、マラービト地区で集中的に捜索が行われており、その前日には他の地区で数十人が逮捕されたという。

「ハイダル」を名乗る地元の活動家はロイター通信に対して、特定の活動家の家宅捜索・逮捕を行っていた前日(31日)とは対象的に、ハマー市では無差別逮捕が行われた。

シリア人権連盟のリーハーウィー会長によると同市では水曜日の晩以降、デモが行われた。

またシリア人権監視団によると、サラミーヤ市で反体制活動家のハサン・ザフラ氏が治安当局に身柄拘束された。ザフラ氏(67歳)は共産主義行動党メンバーの元政治犯で、この数ヶ月間で数度にわたりデモを指導した容疑で身柄拘束されていた。

Youtube
Youtube

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のナーズィヒーン地区に軍・治安部隊が早朝、突入し、1人を殺害。また市内のバーブ・スィバーア地区などで銃声が聞こえた。シリア人権連盟のリーハーウィー会長らによると、ハーリディーヤ地区、バイヤーダ地区、クスール地区、ハムラー地区、グータ地区、バーブ・ドゥライブ地区、バーブ・スィバーア地区では昨日に引き続き大規模な反体制デモが続けられた。

イドリブ県では、シリア人権監視団やシリア人権連盟によると、ザーウィヤ山に近いラーマ村に軍・治安部隊が突入し、1人が死亡、5人が負傷。サルミーン市でも軍・治安部隊が突入し、13人を逮捕。同県各地でも水曜日の晩以降、デモが続けられた。

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、水曜日(8月31日)晩のダイル・ザウル市の弾圧で重傷を負った10歳の少年が死亡した。またシリア人権連盟のリーハーウィー会長によると同市では水曜日の晩以降、デモが続けられた。

ダマスカス県、ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市で軍・治安部隊が6人を逮捕された。ドゥーマー市は連絡が途絶えた。シリア人権連盟のリーハーウィー会長によると数十人がザバダーニー市、カーブーン区で水曜の晩までに逮捕された。またダマスカス県マイダーン地区、バルザ区、ハラスター、サクバー、ハムーリーヤ、ドゥーマー、キスワ、ドゥマイル、ザバダーニー、カダム、カーブーンでは水曜日の晩以降、デモが続けられた。

ダルアー県では、ダルアー市で女性数百人が喪服を着て、アサド政権打倒を求める行進を行った。またシリア人権連盟のリーハーウィー会長によると、ジーザ町で多数逮捕された。同県では水曜日の晩以降、デモが続けられた。

このほか、ハサカ県カーミシュリー市、ラタキア県などでもデモは続き、軍・治安部隊による捜索・逮捕活動が続いた。

**

反体制活動家はフェイスブックで「死と不屈の金曜日」のデモを呼びかける。

Facebook
Facebook

**

クルド人活動家のムハンマド・サイダー氏(準備委員会メンバー)が声明を発表し、オランダのストックホルムでクルド人活動家が大会を主催。シリアの抗議運動におけるクルド人の役割を強化することが目的。大会は2日の予定。

アサド政権の動き

『バアス』(9月1日付)は、バッシャール・アサド大統領の包括的改革プログラムに基づき、国民対話大会が9月5日から20日の予定で各県・大学で行われ、具体的な開催日程は各県の準備委員会が決し、最終的には中央国民対話大会がそこでの審議内容が総括される、と報じた。

各県・大学での国民対話大会では、(1)政治生活、望ましい政治改革、(2)経済・社会:現状、将来の展望、達成されるべき科学的・現実的計画、(3)福祉、開発、行政の改革に向けた県のニーズと地元の見解、という三つの議題を審議するという。

諸外国の動き

IAEAは、シリアが各活動に関する国連調査への迅速な協力の約束を取り下げたと発表した。しかし10月までにさらなる情報を開示ができず、また2007年にイスラエル戦闘機が空爆した核施設に関連する複数の使節へのIAEA査察団の訪問が許されない理由は明らかにしなかった。

複数の外交筋がAPに語ったところによると、こうしたアサド政権の姿勢は、シリアが核兵器への転用可能なウラン生産の秘密計画の第一段階に入ったとの懸念を強めるという。天野之弥IAEA事務局長は12日に予定されている国連安保理会合で、シリアの非協力によって調査ができない旨報告するという。

**

アラン・ジュペ仏外務大臣は、「シリア政府が行う弾圧は受け入れられない」「フランスはEUとともに、国連安保理の枠内で体制に制裁を科すべく集中的に活動してきたが、中国、ロシアがこの努力を妨害しているために事態は進展しない」と述べた。

AP, September 1, 2011、AFP, September 1, 2011、al-Ba‘th, September 1, 2011、al-Hayat, September 2, 2011、Kull-na Shuraka’, September 1, 2011、Reuters, September
1, 2011、SANA, September 2, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 2, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス郊外県、アレッポ県、ダルアー県、ヒムス県、ハマー県、イドリブ県など各地で反体制デモが行われる(2011年8月31日)

反体制運動をめぐる動き

ダマスカス郊外県、アレッポ県、ダルアー県、ヒムス県、ハマー県、イドリブ県など各地で反体制デモが行われ、数十人が軍・治安部隊によって逮捕された。

ダマスカス郊外県では、空軍情報部が在米の反体制活動家でシリア政治の研究者でもあるラドワーン・ズィヤーダ教授の弟ヤースィーン・ズィヤーダ氏を逮捕した。同氏はダマスカス郊外県のダーライヤー市でイード・アル=フィトルのデモに参加、身柄を拘束された。

アレッポ県では、人権活動家のイブラーヒーム・マラキー弁護士がAFPに語ったところによると、アレッポ市でムスタファー・スライマーン弁護士夫妻と訪問客の3人が逮捕された。

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハウラ地方に軍治安部隊が突入し、16人を逮捕、その際、少なくとも5人が負傷。突入の2日前、治安部隊が8月第1週に誘拐・殺害した13人の遺体を引き渡されていたハウラ地方の住民の怒りは頂点に達していたという。

シリア人権監視団や複数の住民によると、ハマー県では、軽戦車、輸送車輌数十両、軍・治安部隊兵士数百人がハマー市のクスール地区、ハミーディーヤ地区に突入、活動家の捜索を行った。

複数の活動家によると、イドリブ県では、カフルルーマー村で治安部隊がデモ参加者に発砲し、1人が殺害された。

**

アレッポ県の医師118人が連名で声明を出し、医師に対する身柄拘束、逮捕、拷問を行わないよう呼びかけた。

**

http://www.syrianeg.net/
http://www.syrianeg.net/

シリア人権監視団は、ラマダーン月の弾圧による死者数を発表した。それによると死者数は473人、うち民間人は360人、113人が軍人・治安要員。またうち28人がヒムス県で身柄拘束後に拷問を受け殺害、25人が18歳以下で、14人が女性だという。なお、8月3日から10日にかけてのハマー市での犠牲者は調査が困難だったため含まれていない。

諸外国の動き

ロシアのドミトリー・ロゴジン駐NATO大使は、RTのインタビューに対して、NATOがシリアへの軍事作戦はないとの考えを示した。その理由とした同大使は「イスラエルの安全保障に影響を及ぼすからだ」と述べた。

**

フランスのニコラ・サルコジ大統領は、駐フランス大使会議でシリアの反体制デモへのバッシャール・アサド政権の弾圧について触れ、「シリア大統領は改革できないことを犯した。フランスとその友好国はシリア国民の自由と民主主義への要求を実現するため、法的に可能なあらゆることを行うだろう」と述べた。

**

ビクトリア・ヌーランド米国務省報道官はシリアの刑務所での身柄拘束者への拷問を非難。

**

3月14日勢力事務局長のファーリス・スアイド氏はLBCに出演し、「シリアの体制は息詰まっている…。国際社会はシリアの体制が崩壊に向かっているとのシグナルを送っている」と述べる一方、シリアの混乱をヒズブッラーと結びつけ、「もしヒズブッラーがシリアの体制に固執し、革命に反対すれば、それは全世界に対抗することを意味する…。こうした行動は、ヒズブッラーだけでなくレバノンを非難に曝すことになる」と非難した。

**

Naharnet, August 31, 2011
Naharnet, August 31, 2011

ワリード・ジュンブラート党首は進歩社会主義党の若手メンバーとの会合で、バッシャール・アサド大統領と現下のシリアの体制を厳しく非難、取りまきの支配サークルに囚われの身となったアサド大統領が自らの退任を求めるデモや抗議行動に対処するため「治安的解決」を選択したことは、「アサドが早晩退任し、シリア国民の意思が最終的に勝利する」ことを示している、と述べた。

AFP, August 31, 2011, al-Hayat, September 1, 2011, September 2, 2011、Kull-na Shuraka’, August 31, 2011、Naharnet.com, August 31, 2011、Reuters, August 31, 2011。

(C)青山弘之All rights reserved.