イドリブ県ではシャーム解放機構系の石油会社の販売所が、ハマー県では「イランの民兵」の拠点が所属不明のドローンの爆撃を受ける(2020年7月18日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから135日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サルマダー市でシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」で灯油、ガソリンなどの燃料の取引を牛耳るワタド石油の燃料販売所を所属不明の無人航空機(ドローン)が爆撃した。

死傷者はなく、物的被害にとどまったという。

一方、シリア軍は、「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のダイル・サンバル村、ルワイハ村、バイニーン村の灌木地帯、バーラ村、カンスフラ村、スフーフン村、ファッティーラ村、フライフィル村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、所属不明の無人航空機(ドローン)が県東部のサラミーヤ市近郊に展開する「イランの民兵」の拠点複数カ所を複数回にわたり爆撃し、爆発が発生した。

また、サルマーニーヤ村一帯では、シリア軍と「決戦」作戦司令室が砲撃戦を行った。

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ダマスカス県では、SANA(7月18日付)によると、ナフル・イーシャ地区で、売店近くに仕掛けられていた爆弾2発が相次いで爆発し、住民1人が死亡、1人が負傷した。

シリア人権監視団によると、この爆発で死亡したのは、総合情報部のメンバーとその兄弟だという。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、イズラア市近郊の街道で、シリア軍1人兵士の遺体が発見された。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を確認しなかったと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

AFP, July 18, 2020、ANHA, July 18, 2020、AP, July 18, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 18, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 18, 2020、Reuters, July 18, 2020、SANA, July 18, 2020、SOHR, July 18, 2020、UPI, July 18, 2020などをもとに作成。

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