YPG報道官「米国にはトルコの攻撃を阻止するために領空封鎖をする道義的責任がある」(2019年10月12日)

人民防衛部隊(YPG)総司令部のライドゥール・ハリール報道官は声明を出し、トルコのシリア北東部への侵攻(「平和の泉」作戦)を阻止するため米国に「道義的責任」を果たすよう呼びかけた。

ハリール総司令官は「シリア民主軍はダーイシュ(イスラーム国)と戦う米指揮下の有志連合との協力を続ける」としたうえで、「トルコ軍戦闘機に対処するため、シリア北部上空を封鎖する道義的責任が米国にはある…。我々は兵士を前線に送り、その声明を危険に晒すことを望んではいない…。領空封鎖は米国が容易にできることだ」と述べた。

AFP, October 12, 2019、ANHA, October 12, 2019、AP, October 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2019、Reuters, October 12, 2019、SANA, October 12, 2019、SOHR, October 12, 2019、UPI, October 12, 2019などをもとに作成。

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ダーイシュ・メンバーが収監されているハサカ市内の二つの刑務所近くで爆発と発砲(2019年10月12日)

ハサカ県では、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍のムスタファー・バーリー報道官が声明を出し、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるハサカ市グワイラーン地区(北・東シリア自治局支配地区)のグワイラーン刑務所前で爆弾が仕掛けられた車が爆発したと発表した。

またこの爆発の直後にハサカ市中央刑務所一帯でも発砲があったという。

いずれの刑務所にも、ダーイシュ(イスラーム国)のメンバーが収監されており、その数は数千人に達するという。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局支配下のタヤーナ村で車に仕掛けられていた爆弾が爆発した。

AFP, October 12, 2019、ANHA, October 12, 2019、AP, October 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2019、Reuters, October 12, 2019、SANA, October 12, 2019、SOHR, October 12, 2019、UPI, October 12, 2019などをもとに作成。

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アイン・アラブ市(アレッポ県)の住民数十世帯が、トルコ軍の爆撃・攻撃を回避するため、米軍基地近くに避難(2019年10月12日)

アレッポ県では、ANHA(10月12日付)によると、アイン・アラブ(コバネ)市の住民数十世帯が、トルコ軍の爆撃・攻撃を回避するため、同市近郊のハッラーブ・ウシュク村にある米軍基地近くに避難した。

AFP, October 12, 2019、ANHA, October 12, 2019、AP, October 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2019、Reuters, October 12, 2019、SANA, October 12, 2019、SOHR, October 12, 2019、UPI, October 12, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍はハサカ県の要衝ラアス・アイン市、ラッカ県タッル・アブヤド市一帯の村々を制圧(2019年10月12日)

トルコ軍が反体制武装集団の国民軍とともに開始したシリア北東部への侵攻作戦「平和の泉」作戦は4日目に入り、トルコ軍はラッカ県タッル・アブヤド市および同市一帯、ハサカ県ラアス・アイン市および同市一帯、カーミシュリー市および同市一帯などへの爆撃、砲撃を続け、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍と交戦した。

戦闘はラアス・アイン市内でも行われ、トルコ国防省とシリア国民軍の発表によると、トルコ軍と国民軍は、国境地帯の要衝であるラアス・アイン市、タッル・アブヤド市とスルーク町近郊のナッス・タッル村、ラジャム・ウヌーワ村、ウンム・ジャラン村、サワーウィーン村、ジャームース村、ラズカ村、アリーダ村、フワイラーン村、ワースィタ村、シューカーン村、タルワーズィーヤ村、ザイディー村、ナッバハーン村、ハーリディーヤ村、大フワイラ村、小フワイラ村、フィールー村、ガジール村、ガズィール村、ダブア村、ダーダート村、サルド村、ダブア・サイーダ村、ジャンダーウィー村を制圧した。


これによりトルコ軍と国民軍が制圧した市町村農場は31となった。

国民軍は、タッル・アブヤド市近郊に建設されていたシリア民主軍の地下トンネルの写真を公開した。

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シリア人権監視団によると、「平和の泉」作戦が開始されて以降の死者数は、シリア民主軍戦闘員が81人、トルコの支援を受ける国民軍の戦闘員が59人、トルコ軍兵士が8人。

トルコ国防省によると、シリア民主軍の戦闘員459人を無力化した。

また、民間人30人あまりが死亡、10万人が戦闘地域から避難したという。

なお、トルコ軍とともに「平和の泉」作戦に参加している国民軍は、タッル・リフアト市の南を走る高速道路沿いで、民間人6人を機関銃で撃ち、処刑した。

AFP, October 12, 2019、Anadolu Ajansı, October 12, 2019、ANHA, October 12, 2019、AP, October 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2019、Reuters, October 12, 2019、SANA, October 12, 2019、SOHR, October 12, 2019、UPI, October 12, 2019などをもとに作成。

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シリア軍がイドリブ県各所を砲撃し、子供1人が死亡(2019年10月12日)

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターがシャーム解放機構などの支配下にあるカッバーナ村一帯を「樽爆弾」で爆撃、地上部隊も同地一帯、フドル丘、トゥッファーヒーヤ村を砲撃した。

これに対して、反体制武装集団はカルカート丘のシリア軍拠点を狙って砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がジスル・シュグール市一帯、アイン・バーリダ村、タッフ村、ウンム・ジャラール村、ラッファ村、ブライサ村、ラカーヤー・サジュナ村、マアッラト・ハルマ村、マアッルズィーター村、カフルサジュナ村、ハルバ村、シャイフ・ダーミス村、カフルルーマー村、バーラ村を砲撃した。

この砲撃により、カフルルーマー村で子供1人が死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府との和解に応じた反体制武装集団の元メンバーがサマン丘近くで遺体で発見された。

何者かによって殺害されたものと見られる。

また、ドゥラル・シャーミーヤ(10月12日付)によると、ダーイル町とタファス市を結ぶ街道で、スハイル・ハサン准将指揮下のいわゆる「虎」部隊の兵士1人が武装集団に襲われ、死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を28件(イドリブ県10件、ラタキア県9件、アレッポ県3件、ハマー県6件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を17件(イドリブ県3件、ラタキア県4件、アレッポ県2件、ハマー県8件)確認した。

AFP, October 12, 2019、ANHA, October 12, 2019、AP, October 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, October 12, 2019、Reuters, October 12, 2019、SANA, October 12, 2019、SOHR, October 12, 2019、UPI, October 12, 2019などをもとに作成。

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ロシア軍使節団がシリア政府とYPG主体のシリア民主軍を仲介するためカーミシュリー市を訪問(2019年10月11日)

ハサカ県では、スプートニク・ニュース(10月12日付)によると、ロシア軍使節団がシリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるカーミシュリー市を訪問した。

シリア政府が管理するカーミシュリー空港に到着した使節団は、トルコのシリア北東部への侵攻(「平和の泉」作戦)によって、北・東シリア自治局が支配地域を喪失するのを回避するため、同自治局の防衛を担う人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍とシリア政府を仲介することを任務としているという。

また、この動きと並行して、シリア民主軍の使節団が首都ダマスカス入りした。

訪問はシリア政府高官との会談が目的だという。

AFP, October 12, 2019、ANHA, October 12, 2019、AP, October 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2019、Reuters, October 12, 2019、SANA, October 12, 2019、SOHR, October 12, 2019、UPI, October 12, 2019などをもとに作成。

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シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構と共闘を続けてきたイッザ軍の戦闘員の500人が離反し、国民軍に統合された国民解放戦線に合流(2019年10月11日)

スマート・ニュース(10月11日付)は、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構とイドリブ県、ハマー県北部、アレッポ県西部などで共闘を続けてきた「穏健な反体制派」のイッザ軍の戦闘員約500人が組織を離反し、10月4日に国民軍に統合された国民解放戦線に合流したと伝えた。

離反した戦闘員のなかには、マナーフ・マアッラーティー副司令官、ムスタファー・マアッラーティー報道官も含まれているという。

なお、イッザ軍の戦闘員は約1,100人とされ、8月下旬にシリア軍によって制圧されたハマー県のラターミナ町を拠点としていた。

同組織には、「革命のサヨナキドリ」として知られ、ドキュメンタリー映画『それでも僕は帰る:シリア、若者たちが求め続けたふるさと』にも出演していたアブドゥルバースィト・サールート氏(6月死亡)もヒムス・アディーヤ旅団司令官として参加していた。

AFP, October 11, 2019、ANHA, October 11, 2019、AP, October 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 11, 2019、Reuters, October 11, 2019、SANA, October 11, 2019、SOHR, October 11, 2019、UPI, October 11, 2019などをもとに作成。

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ハサカ県ではトルコによるシリア北東部への侵攻(「平和の泉」作戦)に反対するデモ(2019年10月11日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局支配下のマーリキーヤ(ダイリーク)市で金曜日の集団礼拝後にデモが行われ、トルコの侵攻(「平和の泉」作戦)に反対を表明した。

また、SANA(10月11日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の支配下にあるハサカ市とカーミシュリー市で、トルコの侵攻(「平和の泉」作戦)に抗議するデモが行われ、イスラーム教・キリスト教の宗教関係者や市民が参加した。

デモでは、トルコの侵攻が非難されるとともに、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に対してシリア政府の支配下に復帰するよう呼びかけられた。

AFP, October 11, 2019、ANHA, October 11, 2019、AP, October 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 11, 2019、Reuters, October 11, 2019、SANA, October 11, 2019、SOHR, October 11, 2019、UPI, October 11, 2019などをもとに作成。

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イドリブ県、アレッポ県北部でトルコによるシリア北東部への侵攻(「平和の泉」作戦)を支持するデモ(2019年10月11日)

イドリブ県では、シリア人権監視団、ドゥラル・シャーミーヤ(10月11日付)などによると、シャーム解放機能が軍事・治安権限を握るマアッラト・ヌウマーン市、カフルタハーリーム町、カフルルーマー村、ビンニシュ市、サルマダー市、カッリー町で、金曜日の集団礼拝後に、トルコによるシリア北東部への侵攻(「平和の泉」作戦)とシリア革命を支持するデモが行われ、数百人が参加した。

デモではまた、アサド政権打倒、逮捕者釈放も主唱された。

一方、ダーナー市では、シャーム解放機構が拘束したアブー・アブド・アシッダー氏の釈放を求めるデモが行われた。

アシッダー氏はシャーム解放機構内の腐敗を告発し、離反した幹部の1人で、アレッポ・ブロックを名乗る部隊とウマル・ブン・ハッターブ軍を名乗る部隊の司令官を務めていた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、バーブ・サラーム国境通行所、トルコ占領下のジンディールス町では、金曜日の集団礼拝後に、トルコによるシリア北東部への侵攻(「平和の泉」作戦)を支持するデモが行われ、数百人が参加し、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるアレッポ県タッル・リフアト市一帯や北・東シリア自治局の拠点都市であるマンビジュ市にも作戦を活動するよう訴えられた。

デモではまた、アサド政権打倒も主唱された。

AFP, October 11, 2019、ANHA, October 11, 2019、AP, October 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 11, 2019、Reuters, October 11, 2019、SANA, October 11, 2019、SOHR, October 11, 2019、UPI, October 11, 2019などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県南東部の北・東シリア支配地域をシリア軍と「イランの民兵」が砲撃、米主導の有志連合が対抗措置としてシリア軍陣地1カ所を爆撃で破壊(2019年10月11日)

ユーフラテス・ポスト(10月11日付)、ジスル・プレス(10月11日付)は、ダイル・ザウル県ブーカマール市近郊のサーリヒーヤ村(ユーフラテス川西岸)に展開するシリア軍が、北・東シリア自治局支配下のハジーン市(ユーフラテス川東岸)を砲撃した。

これを受け、米軍主導の有志連合ヘリコプター1機が、ハジーン市に面するユーフラテス川西岸のアッバース村を爆撃、シリア軍の砲台1カ所を破壊した。

ジュルフ・ニュース(10月11日付)によると、「イランの民兵」もハジーン市とブーハーティル村を砲撃した。

これを受け、住民数十世帯が避難した。

一方、シリア人権監視団によると、所属不明の無人航空機(ドローン)がブーカマール市上空に飛来、「イランの民兵」が防空兵器でこれを迎撃した。

AFP, October 11, 2019、ANHA, October 11, 2019、AP, October 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 11, 2019、Euphrates Post, October 11, 2019、Jisr Press, October 11, 2019、Jurf News, October 11, 2019、Reuters, October 11, 2019、SANA, October 11, 2019、SOHR, October 11, 2019、UPI, October 11, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍がカーミシュリー市(ハサカ県)の刑務所を砲撃したのに乗じて、投獄されていたダーイシュ・メンバー5人が脱獄(2019年10月11日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍が北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるカーミシュリー市で、北・東シリア自治局が管理するジールキーン刑務所を砲撃、同刑務所に収監されていたダーイシュ(イスラーム国)のメンバーらが脱獄した。

アラビー21(10月11日付)が人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の軍事広報部隊の高官から得た情報によると、脱獄したのは5人。

なお、米国務省が11日に発表したところによると、北・東シリア自治局支配下の刑務所に拘置されているダーイシュ(イスラーム国)・メンバーは約10,000人に達するという。

AFP, October 11, 2019、ANHA, October 11, 2019、AP, October 11, 2019、Arabi 21, October 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 11, 2019、Reuters, October 11, 2019、SANA, October 11, 2019、SOHR, October 11, 2019、UPI, October 11, 2019などをもとに作成。

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ハサカ県カーミシュリー市内の北・東シリア自治局支配地域でダーイシュが車に爆弾を仕掛けて爆破、10人死亡(2019年10月11日)

ハサカ県では、シリア人権監視団やSANA(10月11日付)によると、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるカーミシュリー市のムニール・ハビーブ通り(北・東シリア自治局支配地区)で、車に仕掛けられていた爆弾が爆発した。

北・東シリア自治局のカーミシュリー市内務治安部隊のアリー・ハサン報道官によると、この爆発で10人が死亡、20人以上が負傷した。

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この爆発に関して、ダーイシュ(イスラーム国)に近いアアマーク通信は、PKK(クルディスタン労働者党)の治安センター前で車に仕掛けた爆弾を爆発させ、戦闘員数十人を殺傷したと発表した。

AFP, October 11, 2019、ANHA, October 11, 2019、AP, October 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 11, 2019、Reuters, October 11, 2019、SANA, October 11, 2019、SOHR, October 11, 2019、UPI, October 11, 2019などをもとに作成。

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北・東シリア自治局はハサカ県北西部のマブルーカ・キャンプから国内避難民を県南部のアリーシャ・キャンプに移送(2019年10月11日)

北・東シリア自治局は声明を出し、トルコ軍の侵攻に伴う戦闘激化を受けて、ハサカ県北西部のマブルーカ・キャンプに収容されている国内避難民(IDPs)を県南部のアリーシャ・キャンプに移送したと発表した。

アリーシャ・キャンプは2015年末に建設され、ダイル・ザウル県からのIDPs(ほとんどが女性と子供)約7,000人をすでに収容している。

AFP, October 11, 2019、ANHA, October 11, 2019、AP, October 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 11, 2019、Reuters, October 11, 2019、SANA, October 11, 2019、SOHR, October 11, 2019、UPI, October 11, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍は米主導の有志連合の基地があるアレッポ県アイン・アラブ市近郊への攻撃を開始、米軍が照明弾でトルコ軍の砲撃に応戦(2019年10月11日)

トルコ軍が反体制武装集団の国民軍とともに開始したシリア北東部への侵攻作戦「平和の泉」作戦は3日目に入り、トルコ軍はラッカ県タッル・アブヤド市および同市一帯、ハサカ県ラアス・アイン市および同市一帯、カーミシュリー市および同市一帯などへの爆撃、砲撃を続け、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍と激しく交戦する一方、アレッポ県アイン・アラブ市近郊のミシュターヌール丘一帯に対する攻撃も開始し、シリア民主軍と交戦した。

スマート・ニュース(10月11日付)によると、攻撃はミシュターヌール丘に設置されている有志連合の基地近くにも及び、米軍は、トルコ軍の砲撃に対して照明弾を撃って応戦した。


国民軍によると、この戦闘で、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍は、ラアス・アイン市近郊のタッル・ハラフ村、アスファル・ナジュル村、タッル・アブヤド市近郊のムハルビル村、ハラーワ村を制圧した。

シリア人権監視団によると、「平和の泉」作戦が開始されて以降の死者数は、シリア民主軍戦闘員が60人、トルコの支援を受ける国民軍の戦闘員が42人、トルコ軍兵士が6人。

また、民間人17人が死亡、7万5000人が戦闘地域から避難したという。

 

なお、トルコ国防省はシリア民主軍戦闘員342人を無力化したと発表した。

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アレッポ県では、ANHA(10月11日付)によると、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のシャイフ・イーサー村をトルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が砲撃し、子供2人を含む住民6人が負傷した。

AFP, October 11, 2019、ANHA, October 11, 2019、AP, October 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 11, 2019、Reuters, October 11, 2019、SANA, October 11, 2019、SOHR, October 11, 2019、UPI, October 11, 2019などをもとに作成。

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ロシア軍がシリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握るカフルナブル市一帯(イドリブ県)を爆撃(2019年10月11日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機複数機が、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握るカフルナブル市一帯を3度にわたり爆撃した。

死傷者はなかった。

また、シリア軍地上部隊がヒーシュ村一帯、タッフ村、マアッラト・スィーン村、マアッラト・ハルマ村一帯を砲撃した。

一方、サルキーン市では、何者かが仕掛けた爆弾が爆発し、シャーム解放機構のメンバー1人が死亡した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構がトルコマン山のズィヤーラ丘一帯でシリア軍部隊を攻撃、兵士3人を殺害した。

これに対し、シリア軍ヘリコプターがシリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構の支配下にあるカッバーナ村一帯を「樽爆弾」で爆撃、地上部隊も同地を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がザンマール町、ジャズラーヤー村、放棄された大隊基地一帯でシャーム解放機構などからなる反体制武装集団と交戦した。

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ダルアー県では、HFL(10月11日付)によると、インヒル市とジャースィム市を結ぶ街道に仕掛けられていた爆弾が爆発し、ロシア軍憲兵隊兵士1人とシリア軍兵士2人が負傷した。

また、ノールス研究センター(10月11日付)によると、シリア軍の第4師団所属部隊が、タファス市、とダルアー市を結ぶ街道で要撃を受け、兵士3人が死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を28件(イドリブ県10件、ラタキア県7件、アレッポ県7件、ハマー県4件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を32件(イドリブ県17件、ラタキア県4件、アレッポ県7件、ハマー県3件)確認した。

AFP, October 11, 2019、ANHA, October 11, 2019、AP, October 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 11, 2019、HFL, October 11, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, October 11, 2019、Nors for Studies, October 11, 2019、Reuters, October 11, 2019、SANA, October 11, 2019、SOHR, October 11, 2019、UPI, October 11, 2019などをもとに作成。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、トルコによるシリア北東部への侵攻(「平和の泉」作戦)への支持を表明(2019年10月10日)

トルコで活動するシリア・ムスリム同胞団は声明を出し、トルコによるシリア北東部への侵攻(「平和の泉」作戦)への支持を表明した。

シリア・ムスリム同胞団は「我々はこの作戦を支持、支援する。我々はまた、シリアの領土の一体性、シリア社会の統合を支持すると明言する」としたうえで「我らがクルド同胞はシリア国民を構成する基本要素であり、ラッカ住民を強制移住させ、アフリーンの自由シリア軍兵士を死に至らしめてきた分離主義テロ民兵の罪を彼らに帰せることを認める訳にはいかない…。分離主義テロ民兵が「平和の泉」作戦の標的なのであって、クルド人同胞は一つの祖国の傘の下でくらす皆のパートナーだ。テロや分離主義と手を切ることが皆の利益になる」と強調した。

AFP, October 10, 2019、ANHA, October 10, 2019、AP, October 10, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 10, 2019、Reuters, October 10, 2019、SANA, October 10, 2019、SOHR, October 10, 2019、UPI, October 10, 2019などをもとに作成。

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制憲委員会(憲法委員会)のカイロ・プラットフォームとモスクワ・プラットフォームは、トルコによるシリア北東部への侵攻を拒否、リヤド・プラットフォームは沈黙(2019年10月10日)

制憲委員会(憲法委員会)にメンバーを輩出している反体制派の連合体である最高交渉委員会のカイロ・プラットフォームとモスクワ・プラットフォームは、トルコによるシリア北東部への侵攻(「平和の泉」作戦)を拒否する姿勢を示した。

カイロ・プラットフォームは「作戦は、民間人を中心にさらなる犠牲者と、さらなる避難・移住をもたらす」と警鐘をならし、即時停戦を呼びかけた。

モスクワ・プラットフォームも「作戦は、あからさまな敵対行為」だと非難し、攻撃の停止と国際法、アスタナ会議での決定を遵守するよう求めた。

そのうえで、「クルド問題は、国連安保理決議第2254号が定めるシリア人どうしの対話と政治プロセスのなかで解決し得るもので、それがシリアの領土の一体性と主権を維持する唯一の道だ」と強調した。

なお、両プラットフォームとは対象的に、リヤド・プラットフォームは、「平和の泉」作戦への姿勢を明示していない。

ドゥラル・シャーミーヤ(10月10日付)が伝えた。

AFP, October 10, 2019、ANHA, October 10, 2019、AP, October 10, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 10, 2019、Reuters, October 10, 2019、SANA, October 10, 2019、SOHR, October 10, 2019、UPI, October 10, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍と国民軍はラッカ県、ハサカ県の16の村と農場を制圧、住民7万人が戦闘地域から避難(2019年10月10日)

トルコ軍が反体制武装集団の国民軍とともに開始したシリア北東部への侵攻作戦「平和の泉」作戦は2日目に入り、トルコ軍はラッカ県タッル・アブヤド市および同市一帯、ハサカ県ラアス・アイン市および同市一帯、カーミシュリー市および同市一帯などへの爆撃、砲撃を続けた。

トルコ軍の攻撃を受けた主な市町村は、ラッカ県タッル・アブヤド市、アイン・イーサー市、ラアス・アイン市、ナダース村、アルーク村、ハミード村、タッル・アルカム村、ルマイラーン油田サイーダ配給所、マーリキーヤ市、ズハイリーヤ村、ダルバースィーヤ市、タッル・ティシュリーン村、シャトル村、カルマーニーヤ村、ドゥワイラ村、ビール・ヌーフ村、アサディーヤ村、サフフ村、タッル・ズィヤーブ村、アームーダー市、カーミシュリー市カッドゥール・ビーク地区、同西地区。

トルコ国防省によると、トルコ軍は作戦が開始された9日晩以降、ユーフラテス川東岸地域で人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に対して181回の砲撃を実施し、シリア民主軍の戦闘員170人以上を無力化した。

またトルコ軍地上部隊が国民軍とともに同地に侵攻し、ドゥラル・シャーミーヤ(10月10日付)、スマート・ニュース(10月10日付)、シリア人権監視団などによると、ラッカ県タッル・アブヤド市の東に位置するタバーティーン村、タバーティーン村、ムシャイリファ村、ダーダート村、ヤービサ村、タッル・ファンダル村、マスィーヒー農場、ビール・アーシク村、ハミーダ村、アクサース村、マシュラファト・ハーウィー村、バルザーン村、ハーッジ・アリー農場、バニー・マシュフール農場、ハサカ県ラアス・アイン市に近い西カシュトゥー村、下カシュトゥー村を制圧した。



しかし、シリア人権監視団やSANA(10月10日付)などによると、一連の攻撃で、民間人少なくとも8人が死亡、多数が負傷した。

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これに対して、北・東シリア支配地域の防衛にあたる人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍も応戦し、シリア人権監視団によると、トルコ軍地上部隊と交戦の末、ヤービサ村、ラアス・アイン市近郊の拠点複数カ所を奪還した。

この戦闘でトルコ軍兵士1人が死亡したという。

アナトリア通信(10月10日付)によると、シリア民主軍はまた、シャンルウルファ県アクチャカレ郡、ジェイランピナル郡各所に越境砲撃を行い、民間人6人が死亡、多数が負傷した。

死亡した6人には9歳のシリア人児童、トルコ人女児も含まれているという。

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一方、シリア人権監視団は、トルコ軍が侵攻して以降30時間で、国境地帯から避難した住民の数が7万人を超えていると発表した。

これにより、ハサカ県のダルバースィーヤ市、ラアス・アイン市はほぼ無人状態となったという。

スマート・ニュース(10月10日付)によると、避難民はラッカ市、タブカ市、ハサカ市などに避難したという。

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他方、SANA(10月10日付)によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がタッル・タムル町および同地一帯の村々でシリア民主軍に従軍させるために若者を拘束、連行した。

これに対して、ハサカ市のグワイラーン刑務所前では、シリア民主軍によって拘束された若者らの釈放を求めるデモが行われた。

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アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(10月10日付)によると、トルコ占領下のバーブ市でオートバイに仕掛けられていた爆弾が爆発し、住民多数が負傷した。

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(注記)10月9日にトルコ軍がシリア北東部で開始した侵攻作戦の名称に関して、アラビア語名の「نبع السلام」に従い、「平和の芽生え」と和訳していましたが、今後はトルコ語の「Barış Pınarı」の意味に合わせ、「平和の泉」と訳します。なお、10月9日付の記事における標記も「平和の芽生え」から「平和の泉」に変更しました。

AFP, October 10, 2019、Anadolu Ajansı, October 10, 2019、ANHA, October 10, 2019、AP, October 10, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 10, 2019、Reuters, October 10, 2019、SANA, October 10, 2019、SMART News, October 10, 2019、SOHR, October 10, 2019、UPI, October 10, 2019などをもとに作成。

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シャーム解放機構、国民解放戦線(国民軍に統合)、イッザ軍などからなる「必勝」作戦司令室はハマー県北部での攻撃でシリア軍兵士4人を殺害(2019年10月10日)

ハマー県では、シャーム解放機構に近いイバー・ネット(10月10日付)によると、シャーム解放機構、国民解放戦線(国民軍に統合)、イッザ軍などからなる「必勝」作戦司令室はタッル・フワーシュ村を砲撃し、シリア軍兵士6人を殺害した。

シリア人権監視団によると、死亡したシリア軍将兵の数は4人。

反体制武装集団はまた、シリア政府支配下のアズィーズィーヤ村、ラスィーフ村を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構などの反体制派の支配下にあるハーン・トゥーマーン村一帯をシリア軍地上部隊が砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構などの反体制派の支配下にあるマアッラト・ハルマ村、タフターヤー村、ダイル・シャルキー村、ナキール村、放棄された大隊基地、カフルサジュナ村、ラカーヤー村、タッル・マンス村、タッフ村、タウィール・ハリーブ村をシリア軍地上部隊が砲撃し、サウジアラビア人を含む戦闘員2人が死亡した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構などの反体制派の支配下にあるカッバーナ村一帯をシリア軍ヘリコプターが「樽爆弾」で爆撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を21件(イドリブ県5件、ラタキア県7件、アレッポ県6件、ハマー県3件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を21件(イドリブ県5件、ラタキア県7件、アレッポ県6件、ハマー県3件)確認した。

AFP, October 10, 2019、ANHA, October 10, 2019、AP, October 10, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 10, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, October 10, 2019、Reuters, October 10, 2019、SANA, October 10, 2019、Shabaka Iba’ al-Ikhbariya, October 10, 2019、SOHR, October 10, 2019、UPI, October 10, 2019などをもとに作成。

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ダーイシュがダイル・ザウル県南東部のT2近くでファーティミーユーン旅団を襲撃、戦闘員5人を殺害(2019年10月9日)

ダイル・ザウル県では、ジュルフ・ニュース(10月9日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が県南東部のT2(第2石油輸送ステーション)近くでファーティミーユーン旅団を襲撃、戦闘員5人を殺害した。

AFP, October 9, 2019、ANHA, October 9, 2019、AP, October 9, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 9, 2019、Jurf News, October 9 2019、Reuters, October 9, 2019、SANA, October 9, 2019、SOHR, October 9, 2019、UPI, October 9, 2019などをもとに作成。

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トルコの支援を受ける国民軍は、投降、離反、負傷したシリア民主軍戦闘員を厚遇するよう将兵に指示(2019年10月9日)

トルコの支援を受ける国民軍の参謀委員会は声明を出し、「平和の泉」作戦に際して投降した戦闘員を厚遇するよう将兵に対して指示を出した。

声明では、「テロリストの悪党どもに気をつけろ…。彼らを鉄拳で打ちのめし、臆病な暴君に教訓を与えよ」としつつ、「武器を棄てた者、戦闘を回避した者、離反し身の安全を求める者…捕虜には、食事と身を隠す場所を与えるよう善処し、負傷者に対しては治療を施し、民間人を保護し、彼らの財産を守る」よう指示した。

AFP, October 9, 2019、ANHA, October 9, 2019、AP, October 9, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 9, 2019、Reuters, October 9, 2019、SANA, October 9, 2019、SOHR, October 9, 2019、UPI, October 9, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍の爆撃・越境砲撃を受け、ラッカ県とハサカ県の住民が避難を開始する一方、シリア民主軍は教員に「人間の盾」になるよう指示(2019年10月9日)

CNN Turk(10月9日付)、スマート・ニュース(10月9日付)などによると、トルコ軍の爆撃・越境砲撃を受け、ラッカ県タッル・アブヤド市の住民の住民数約世帯が、ラッカ市、タブカ市方面に避難を開始した。

また、ハサカ県カーミシュリー市、ダルバースィーヤ市、ラアス・アイン市の住民の住民数約世帯が避難を開始したという。

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一方、ユーフラテス・ポスト(10月9日付)によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍はラッカ県の教員に対して、タッル・アブヤド市に向かうよう指示を出した。

同サイトによると、シリア民主軍は教員を「人間の盾」として利用しようとしているという。

AFP, October 9, 2019、ANHA, October 9, 2019、AP, October 9, 2019、CNN Turk, October 9, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 9, 2019、Euphrates Post, October 9, 2019、Reuters, October 9, 2019、SANA, October 9, 2019、SOHR, October 9, 2019、UPI, October 9, 2019などをもとに作成。

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トルコはシリア北西部に対する侵攻作戦「平和の泉」作戦を開始、ラッカ県、ハサカ県の国境地帯に越境砲撃、爆撃を加え、国民軍も侵攻を開始(2019年10月9日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、シリア北西部に対する侵攻作戦「平和の泉」作戦を開始すると発表した。

アナトリア通信(10月9日付)によると、エルドアン大統領は「シリアの地元部隊の支援を受けたトルコ軍は、シリア北部でテロ組織PKK(クルディスタン労働者党)/YPG(人民防衛隊)に対する「平和の泉」作戦を開始した」と発表、「我々の目的は我が国の南部国境近くに作られたテロ回廊を壊滅し、この地域に平和をもたらすことだ」と強調した。

エルドアン大統領はまた「我々は、「平和の泉」作戦を通じて設置する「安全地帯」などへのシリア難民の帰国を保障するとともに、シリアの領土の一体性を維持し、地域住民をテロのかぎ爪から解放する」と付言した。

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シリア人権監視団、アナトリア通信(10月9日付)によると、侵攻作戦「平和の泉」開始を受けて、トルコ軍地上部隊は、北・東シリア自治局の支配下にあるラッカ県タッル・アブヤド市一帯、ハサカ県ラアス・アイン市一帯、アームーダー市西のハムドゥーナ村、ハルズィー村、そして北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるカーミシュリー市に対して越境砲撃を行った。

この砲撃でラッカ県とハサカ県で、民間人8人が死亡、少なくとも13人が負傷した。

死者内訳は、ラッカ県のタッル・アブヤド市近郊で民間人1人、同市に近いマトカルト村で女性1人と子供2人、カーミシュリー市バシーリーヤ地区で女性1人を含む民間人2人、カフターニーヤ市で女児1人、ラアス・アイン市近郊で民間人1人。

またシリア民主軍戦闘員も7人が死亡、28人以上が負傷した。

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CNN Turk(10月9日付)によると、トルコ軍はまた、F-16戦闘機複数機がディヤルバクル県の第8航空基地を離陸、ラアス・アイン市一帯、同市に近いマシュラーファー村、ラッカ県アイン・イーサー市にある人民防衛隊(YPG)の拠点7カ所を爆撃した。

https://twitter.com/shervanderwish/status/1181945722637291520

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ドゥラル・シャーミーヤ(10月9日付)によると、トルコ軍地上部隊と国民軍の部隊が越境し、タッル・アブヤド市、ラアス・アイン市方面への進軍を開始した。

また、同サイトよると、ドゥラル・シャーミーヤ(10月9日付)は、トルコの支援を受ける国民軍は、ユーフラテス川西岸のマンビジュ市北の北・東シリア自治局支配地域とトルコ占領地の境界地域に数百人からなる部隊を派遣したとして、その映像を公開した。

https://youtu.be/YSxU650j-2w

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アレッポ県では、シリア人権監視団、ドゥラル・シャーミーヤ(10月9日付)によると、これに対して、シリア民主軍に所属するジャラーブルス軍事評議会が、ユーフラテス川東岸のズール・マガール村からトルコ占領下のジャラーブルス市およびその一帯を砲撃し、1人が死亡、少なくとも7人が負傷した。

砲弾の一部は、ハブル国内避難民(IDPs)キャンプにも着弾した。

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このほか、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のカスル・ディーブ村一帯、アイン・ディーワール村を砲撃し、シリア民主軍が応戦した。

これに対してYPGも応戦し、トルコ占領下のジャラーブルス市およぼ同市一帯を砲撃した。

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SANA(10月9日付)は、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるカーミシュリー市での被害の様子を撮影したスマホの映像や、シリア政府支配地域の病院に搬送された負傷者の写真を公開した。

SANAはまた、北・東シリア自治局の共同支配下にあるラアス・アイン市での被害の様子を撮影したスマホの映像を公開した。

 

AFP, October 9, 2019、Anadolu Ajansı, October 9, 2019、ANHA, October 9, 2019、AP, October 9, 2019、CNN Turk, October 9, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 9, 2019、Reuters, October 9, 2019、SANA, October 9, 2019、SOHR, October 9, 2019、UPI, October 9, 2019などをもとに作成。

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北・東シリア自治局はトルコ侵攻に先立って非常警報を発し、住民に「国境地帯に向かい、道徳的義務を果たし、抵抗の意思を示す」よう呼びかける(2019年10月9日)

北・東シリア自治局は声明を出し、トルコ軍による侵攻作戦(「平和の泉」作戦)開始に先立って、9日から11日までの3日間、同地で非常警報を発すると発表、自治局内の各組織、住民に対して、「国境地帯に向かい、道徳的義務を果たし、抵抗の意思を示す」よう呼びかけた。

AFP, October 9, 2019、ANHA, October 9, 2019、AP, October 9, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 9, 2019、Reuters, October 9, 2019、SANA, October 9, 2019、SOHR, October 9, 2019、UPI, October 9, 2019などをもとに作成。

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シリア軍ヘリコプターはシャーム解放機構などが活動を続けるカッバーナ村一帯を「樽爆弾」で爆撃(2019年10月9日)

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターがシャーム解放機構などが活動を続けるカッバーナ村一帯を「樽爆弾」で爆撃した。

一方、シリア駐留ロシア軍の司令部があるフマイミーム航空基地近くでは複数回の爆発が発生した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がシャリーア村、フワイズ村を砲撃した。

これに対して、シリア軍地上部隊はアムキーヤ町、サルマーニーヤ村、シャフルナーズ村を砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がアブー・ズフール町西部一帯、カフルサジュナ村、マアッラト・ハルマ村、ラカーヤー村、マアッルズィーター村を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を26件(イドリブ県10件、ラタキア県6件、アレッポ県7件、ハマー県3件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を34件(イドリブ県16件、ラタキア県10件、アレッポ県6件、ハマー県2件)確認した。

AFP, October 9, 2019、ANHA, October 9, 2019、AP, October 9, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 9, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, October 9, 2019、Reuters, October 9, 2019、SANA, October 9, 2019、SOHR, October 9, 2019、UPI, October 9, 2019などをもとに作成。

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ダーイシュがヒムス県東部砂漠地帯でシリア軍部隊を要撃し、兵士17人を殺害(2019年10月8日)

ヒムス県では、ダーイシュ(イスラーム国)に近いアアマーク通信(10月9日付)によると、ダーイシュがスフナ市近郊の砂漠地帯でシリア軍部隊を要撃し、兵士17人を殺害した。

AFP, October 9, 2019、ANHA, October 9, 2019、AP, October 9, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 9, 2019、Reuters, October 9, 2019、SANA, October 9, 2019、SOHR, October 9, 2019、UPI, October 9, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍のシリア北東部への侵攻作戦の名は「平和の泉」、マンビジュ市も標的になる模様(2019年10月8日)

トルコの支援を受けるシリア・ムスリム同胞団系のシャーム軍団に近いムハッラル・ネット(10月8日付)は、反体制派の軍事消息筋の情報をもとに、トルコと国民軍によるシリア北東部への侵攻作戦の詳細を明らかにした。

準備されている侵攻作戦は「平和の泉」と命名され、作戦に参加する部隊はまずはトルコ領内に移送され、複数の戦線に配置される。

作戦は同時に複数の戦線で開始され、第1段階は、全長50キロ、幅30キロからなる国境地域を、ハサカ県ラアス・アイン市一帯とラッカ県タッル・アブヤド市一帯という二つの地域に分けて、両地から人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍を浄化することをめざすという。

また、これと合わせて、アレッポ県マンビジュ市一帯地域でも戦端を開き、同市を解放する計画だという。

上記の第1段階が完了したのち、第2段階として、トルコが想定している「安全地帯」(総面積14,000平方キロ)の解放がめざされるという。

作戦に参加する国民軍の将兵は、「ユーフラテスの盾」地域、「オリーブの枝」地域から動員されるという。

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トルコ国防省は声明を出し、シリア北東部への軍事作戦開始に向けたすべての準備を完了、「国境地帯にテロの回廊が作られることに決して寛容にはならない」との意思を表明した。

ドゥラル・シャーミーヤ(10月8日付)などによると、トルコ軍部隊がシリアとの国境地帯に派遣された。

AFP, October 8, 2019、ANHA, October 8, 2019、AP, October 8, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 8, 2019、Reuters, October 8, 2019、SANA, October 8, 2019、Shabaka al-Muharrar al-I’lamiya, October 8, 2019、SOHR, October 8, 2019、UPI, October 8, 2019などをもとに作成。

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トルコの支援を受ける国民軍は声明を出し、シリア北東部住民に危害を加えないと表明、YPG主体のシリア民主軍に「武器を棄て、家に引き籠もる」よう呼びかける(2019年10月8日)

トルコの支援を受ける国民軍の参謀委員会の議長を務めるサリーム・イドリース暫定内閣国防大臣は、北・東シリア自治局支配下の住民に向けて声明を出した。

声明のなかで、イドリース国防大臣は「シリア民主軍の民兵から(シリア北東部の)地域住民を解放するため、住民と会うことできる時間が近づいている」としたうえで、「アラブ人、アッシリア教徒、トルコマン人、シリア正教徒といったこの地域のさまざまな民族、彼らの財産、モスク、協会は安全だ。国民軍はこの地域の住民に危害を加えない」と表明した。

そのうえで、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に対して「武器を棄て、家に引き籠もり、「オリーブの枝」作戦に際してアフリーン市で起きたことを繰り返さないよう」求めた。

AFP, October 8, 2019、ANHA, October 8, 2019、AP, October 8, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 8, 2019、Reuters, October 8, 2019、SANA, October 8, 2019、SOHR, October 8, 2019、UPI, October 8, 2019などをもとに作成。

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北・東シリア自治局のジャズィーラ地方顧問「アサド政権、あるいはロシアと協議し、トルコの攻撃に対抗する」(2019年10月8日)

北・東シリア自治局のジャズィーラ地方顧問を務めるバドラーン・ジヤー・クルド氏は、米軍が撤退したシリア北東部にトルコ軍が侵攻を準備していることに関して、「米国が国境地帯から部隊を撤退させたら、シリア民主軍はすべての選択しを健闘せざるを得ない」としたうえで、「おそらく、アサド政権、あるいはロシアとの協議が行われ、空白状態を解消し、トルコの攻撃に対抗することになる。空白状態が生じたら会合や連絡が行われるだろう」と述べた。

ロイター通信(10月8日付)が伝えた。

AFP, October 8, 2019、ANHA, October 8, 2019、AP, October 8, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 8, 2019、Reuters, October 8, 2019、SANA, October 8, 2019、SOHR, October 8, 2019、UPI, October 8, 2019などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍司令官「トルコ軍の攻撃に対抗するため、シリアの政権と協力することも選択肢の一つだ」(2019年10月8日)

米NBCニュース(10月8日付)は、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるハサカ県ハサカ市で、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍のマズルーム・アブディー(マズルーム・コバネ)総司令官に対するインタビューを行った。

アブディー総司令官は、シリア北東部から米軍が撤退したのを受けて、トルコ軍が同地への侵攻の準備を進めていることに関して、インタビューのなかで、「ダーイシュ(イスラーム国)の捕虜数千人を監視する任務についているシリア民主軍の戦闘員は、予想されるトルコ軍の攻撃の前に国境地帯に駆けつける」と述べた。

アブディー総司令官はまた「シリアで処罰されているダーイシュの捕虜監視は、米国がトルコに攻撃の道を譲り、国境一帯で我が部隊を標的にしようとしている今、「第2の優先事項」となった」と強調、「これはきわめて重大な問題だ。なぜなら、誰もこのことで我々を支援してくれないからだ」と危機感を示した。

そのうえで「トルコ軍の攻撃に対抗するため、シリアの政権と協力することも選択肢の一つだ」と付言した。


なお、北・東シリア自治局支配地域には、ハサカ県のフール・キャンプなどの複数施設にダーイシュのメンバーとその家族12,000人が収容されている。

うち10,000人がシリア陣とイラク人、2,000人が外国人だという。

AFP, October 8, 2019、ANHA, October 8, 2019、AP, October 8, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 8, 2019、MSNBC, October 8, 2019、Reuters, October 8, 2019、SANA, October 8, 2019、SOHR, October 8, 2019、UPI, October 8, 2019などをもとに作成。

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