プライス米国務省報道官はトルコのエルドアン大統領がシリア難民100万人の「自発的」帰還に向けた「安全地帯」を設置するための軍事侵攻を示唆したことに「深い懸念」を表明(2022年5月25日)

米国務省のネッド・プライス報道官は記者会見で、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が23日にシリア難民100万人の「自発的」帰還に向けた「安全地帯」を設置するための軍事侵攻を示唆したことに関して、「深い懸念」を表明した。

プライス報道官は以下のように述べた。

我々はこの問題について同盟国トルコと取り組み、一例として、エルドアン大統領が最近になって表明した提案を深く学ぼうとしている。我々はこれまでにも大使館、さらには国務省を通じてこうした取り組みを行ってきた。
シリア北部で軍事活動増加の可能性があり、とくに同地の民間人に影響が生じるとの複数の報告や議論について深く懸念している。

ルダウ(5月25日付)が伝えた。

AFP, May 25, 2022、ANHA, May 25, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 25, 2022、Reuters, May 25, 2022、Rudaw, May 25, 2022、SANA, May 25, 2022、SOHR, May 25, 2022などをもとに作成。

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ナダー・フラート:「イランの民兵」がシリア人傭兵を徴兵し、イエメンでの戦闘に投入しようとしている(2022年5月24日)

反体制系サイトのナダー・フラート(5月24日付)は、複数の独自筋の話として、「イランの民兵」がシリア人傭兵を徴兵し、イエメンでの戦闘に投入しようとしていると伝えた。

同独自筋によると、イラン・イスラーム革命防衛隊は最近になって、ダイル・ザウル県のブーカマール市に徴兵事務所を開設し、シーア派の住民や戦闘員の募集を始めたという。

現時点で登録者は48人。

イラン・イスラーム革命防衛隊は約200人を集めて、3年間の予定で現地に派遣しようとしている。

募集に応じた民間人に対しては月1000米ドル、戦闘員に対しては月1200米ドルが支払われる予定だという。

AFP, May 25, 2022、ANHA, May 25, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 25, 2022、Nada al-Furat, May 24, 2022、Reuters, May 25, 2022、SANA, May 25, 2022、SOHR, May 25, 2022などをもとに作成。

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トルコ占領下のハサカ県北部でシリア国民軍の拠点が爆撃を受ける:ANHAは米主導の有志連合、シリア人権監視団はロシア軍が爆撃を行ったと発表(2022年5月25日)

ハサカ県ではANHA(5月25日付)によると、米主導の有志連合所属の戦闘機2機が、トルコ占領下のラアス・アイン市とシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・タマル町の間に位置するアズィーズィーヤ村とサイード村にあるシリア国民軍の拠点複数カ所に対して爆撃を実施した。

戦闘機2機は、偵察機1機を伴い爆撃を実施したという。

一方、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機3機が、トルコの占領下にあるラアス・アイン市とラッカ県タッル・アブヤド市の間に位置する地域の上空で空対空ミサイルを3回にわたり発射し、爆撃を実施した。

AFP, May 25, 2022、ANHA, May 25, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 25, 2022、Reuters, May 25, 2022、SANA, May 25, 2022、SOHR, May 25, 2022などをもとに作成。

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トルコ軍とシリア国民軍がアレッポ県北部、ラッカ県北部、ハサカ県北部を激しく砲撃(2022年5月25日)

アレッポ県では、ANHA(5月25日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のシャフバー・ダム、ウンム・フーシュ村、アキーバ村、スーガーニカ村、ズィヤーラティー村、バイナ村、ハルバキー村を砲撃した。

またシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマンビジュ市北のハルーンジー村、ムフスィンリー村を砲撃した。

一方、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるターディフ市から、同市北部のトルコ占領地に避難した住民が、シリア政府支配地とトルコ占領地の間に堀と土塁を建設しようとしているトルコの計画が白紙撤回されたことを受けて、抗議デモを終了した。

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ラッカ県では、ANHA(5月25日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍が、シリア軍と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアイン・イーサー市近郊のサイダー村、アイン・イーサー・キャンプを砲撃した。

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ハサカ県では、ANHA(5月25日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアブー・ラースィーン(ザルカーン)町近郊のダーダー・アブダール村、アクリーヤ村を砲撃した。

一方、シリア人権監視団によると、トルコの占領下にあるラアス・アイン市でアカイダート部族とマワーリー部族の民兵どうしが激しく交戦、トルコ軍が介入し、道路や市への入口を封鎖、事態を収拾した。

SANA(5月25日付)によると、戦闘はシリア国民軍に所属する東部自由人運動とハムザ師団のメンバーどうしによるもので、盗品の分配や勢力争いが原因で、多数が死傷したという。

AFP, May 25, 2022、ANHA, May 25, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 25, 2022、Reuters, May 25, 2022、SANA, May 25, 2022、SOHR, May 25, 2022などをもとに作成。

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アルメニア正教会のキリキア・カトリコスのアラム1世ケチチアンを代表とする使節団がダイル・ザウル県を視察(2022年5月25日)

シリアを訪問中のアルメニア正教会(アルメニア使徒教会)のキリキア・カトリコスのアラム1世ケチチアンを代表とする使節団は、ダイル・ザウル県を訪れ、現地の被害状況、復旧・復興状況を視察した。


SANA(5月25日付)が伝えた。

AFP, May 25, 2022、ANHA, May 25, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 25, 2022、Reuters, May 25, 2022、SANA, May 25, 2022、SOHR, May 25, 2022などをもとに作成。

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ナダー・フラート:「イランの民兵」がシリア人傭兵を徴兵し、イエメンでの戦闘に投入しようとしている(2022年5月24日)

反体制系サイトのナダー・フラート(5月24日付)は、複数の独自筋の話として、「イランの民兵」がシリア人傭兵を徴兵し、イエメンでの戦闘に投入しようとしていると伝えた。

同独自筋によると、イラン・イスラーム革命防衛隊は最近になって、ダイル・ザウル県のブーカマール市に徴兵事務所を開設し、シーア派の住民や戦闘員の募集を始めたという。

現時点で登録者は48人。

イラン・イスラーム革命防衛隊は約200人を集めて、3年間の予定で現地に派遣しようとしている。

募集に応じた民間人に対しては月1000米ドル、戦闘員に対しては月1200米ドルが支払われる予定だという。

AFP, May 25, 2022、ANHA, May 25, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 25, 2022、Nada al-Furat, May 24, 2022、Reuters, May 25, 2022、SANA, May 25, 2022、SOHR, May 25, 2022などをもとに作成。

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シリア民主軍がトルコ大統領による軍事作戦示唆に対して初のコメント(2022年5月24日)

シリア民主軍(SDF)は、トルコのエルドアン大統領がシリア北部で新たな軍事作戦の始動を示唆したことについて、初のコメントを発表した。

(関連記事:トルコのエルドアン大統領はシリア北部で安全地帯を設置するための新たな軍事作戦を実施する意思を表明(2022年5月23日)

ルダウ・ネットが伝えたところによると、シリア民主軍は「トルコ国家による情勢の過熱化および占領力の提示は、安定に打撃を与える試みとして、そしてイスラーム国の残党らを再び活発化させようとしている占領国(トルコ)による自然な反応として現れたものである」として、エルドアン大統領の発言を非難した。

さらにシリア民主軍の広報局局長はウェブサイト「シャルク・アウサト」によるインタビューのなかで、同軍傘下の部隊が「シリア北部・東部の諸地域に対して予想される、トルコがもたらす実際の脅威の程度を検討しており」、同時に「責任を持つ国際的諸勢力との情報交換を行っている」ことを明らかにしたという。

トルコには、これまでシリア民主軍に対して、2018年の「オリーブの枝作戦」と2019年の「平和の泉作戦」という2つの軍事作戦を実施してきた実績がある。

また直近では2日前、シリア民主軍はアイン・イーサー市東部でトルコのドローン1機を撃墜していた。

 

Rudaw.net, May 24, 2022、al-Sharq al-Awsat, May 24, 2022などをもとに作成。

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デュジャリック国連報道官はシリアでの新たな軍事作戦実施を示唆したトルコのエルドアン大統領を批判(2022年5月24日)

ステファン・デュジャリック国連報道官はニューヨーク国連本部での記者会見で、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がシリアへの新たな軍事作戦の実施を示唆したことに関して、「我々はシリアの領土保全を防衛する立場を遵守していることを明言したい。いかなる当事者によるものであれ、さらなる軍事作戦は必要なく、政治的解決とさらなる人道支援が必要なだけだ。この二つに我々は取り組んでいる」と述べた。

ANHA(5月24日付)、SANA(5月24日付)などが伝えた。

AFP, May 24, 2022、ANHA, May 24, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 24, 2022、Reuters, May 24, 2022、SANA, May 24, 2022、SOHR, May 24, 2022などをもとに作成。

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トルコ軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアレッポ県タッル・リフアト市近郊を砲撃(2022年5月24日)

アレッポ県では、ANHA(5月24日付)によると、トルコ軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のマンナグ村、アイン・ダクナ村、ワフシーヤ村、ウンム・クラー村、ウンム・フーシュ村を砲撃した。

一方、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のバーブ市に隣接するターディフ市一帯でシリア軍とシリア国民軍が交戦し、シリア国民軍の戦闘員1人が負傷した。

AFP, May 24, 2022、ANHA, May 24, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 24, 2022、Reuters, May 24, 2022、SANA, May 24, 2022、SOHR, May 24, 2022などをもとに作成。

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シリア・ロシア政府合同委員会がモスクワで開催され、欧米諸国によるシリアへの一方的な経済制裁に対抗する方途について意見交換(2022年5月24日)

シリア・ロシア政府合同委員会がロシアの首都モスクワで開催され、欧米諸国によるシリアへの一方的な経済制裁に対抗する方途について意見を交わした。

シリア側の議長を務めるマンスール・アッザーム大統領担当国務大臣とロシア側の議長を務めるユーリー・ボリソフ副首相は、両国関係やシリア経済の強化を通じて制裁に対抗することを確認した。

SANA(5月24日付)が伝えた。

AFP, May 24, 2022、ANHA, May 24, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 24, 2022、Reuters, May 24, 2022、SANA, May 24, 2022、SOHR, May 24, 2022などをもとに作成。

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カザフスタン外務省は、ロシア、トルコ、イランを保証国とするシリア政府と反体制派の停戦にかかるアスタナ18会議を6月14日から16日にヌルスルタンで開催すると発表(2022年5月24日)

カザフスタン外務省報道官は記者会見で、ロシア、トルコ、イランを保証国とするシリア政府と反体制派の停戦にかかるアスタナ18会議を6月14日から16日にヌルスルタンで開催すると発表した。

SANA(5月24日付)などが伝えた。

AFP, May 24, 2022、ANHA, May 24, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 24, 2022、Reuters, May 24, 2022、SANA, May 24, 2022、SOHR, May 24, 2022などをもとに作成。

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シリア人権監視団:アレッポ県アイス村でトルコ軍とイラン軍が会合を繰り返す(2022年5月24日)

シリア人権監視団は、複数の独自筋から得た情報として、アレッポ県西部のアイス村でトルコ軍とイラン軍の士官がこの数日間に複数回にわたって会合を繰り返していると発表した。

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ファイサル・ミクダード外務在外居住者大臣は、イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務大臣と電話会談を行い、両国共通の関心事や地域の諸問題への対応、両国協力関係の方途、戦略的関係などについて意見を交わした。

SANA(5月24日付)が伝えた。

https://www.facebook.com/Mofaexsy/posts/3273130266307411

AFP, May 24, 2022、ANHA, May 24, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 24, 2022、Reuters, May 24, 2022、SANA, May 24, 2022、SOHR, May 24, 2022などをもとに作成。

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アルメニア正教会のキリキア・カトリコスのアラム1世ケチチアンを代表とする使節団がアルメニアからシリアを訪れ、アサド大統領と会談(2022年5月24日)

アルメニア正教会(アルメニア使徒教会)のキリキア・カトリコスのアラム1世ケチチアンを代表とする使節団がアルメニアからシリアを訪問し、アサド大統領と会談した。

SANA(5月24日付)によると、アサド大統領は会談で、シリア国民を特徴づけるもっとも重要なものが人種や宗教の違いにもかかわらず各人が調和をなしていることだとしたうえで、この調和は融合を意味しておらず、すべてのすべての社会集団の構成員がアイデンティティを維持し、帰属意識や土地との結びつきを強め、数千年にわたって共存していることだと述べた。

https://www.facebook.com/SyrianPresidency/posts/380237857475867

アラム1世ケチチアンら一行はまた、フサイン・アルヌース首相とも個別に会談した。

AFP, May 24, 2022、ANHA, May 24, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 24, 2022、Reuters, May 24, 2022、SANA, May 24, 2022、SOHR, May 24, 2022などをもとに作成。

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トルコのエルドアン大統領はシリア北部で安全地帯を設置するための新たな軍事作戦を実施する意思を表明(2022年5月23日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は閣議のテレビ演説で、シリア北部で新たな軍事作戦を実施する意思を表明した。

エルドアン大統領によると、新たな軍事作戦はシリアの国境地帯に幅30キロの安全地帯することが目的になり、26日に国家安全保障会議を開き、決定を下すという。

アナトリア通信(5月23日付)が伝えた。

トルコはフィンランドとスウェーデンがNATOへの加盟を申請したことに対して、この両国が「分離主義テロリスト」のクルディスタン労働者党(PKK)の国内での活動を許していると非難、活動家らの身柄引き渡しを要求している。

AFP, May 24, 2022、Anadolu Ajansı, May 23, 2022、ANHA, May 24, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 24, 2022、Reuters, May 24, 2022、SANA, May 24, 2022、SOHR, May 24, 2022などをもとに作成。

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クルトゥルムシュAKP副党首:「シリア北部に安全地帯を設置し、100万人の帰還を保障する努力をしているなか、「アサドとの関係正常化は困難だ」(2022年5月23日)

トルコの与党公正発展党(APK)のヌーマン・クルトゥルムシュ副党首は、シリア難民100万人の「自発的」機関をめざすトルコの新プロジェクトに関して、CNN Turk(5月23日付)の取材に対し、シリア政府との関係正常化は行わないと明言した。

クルドゥムシュ副党首は「アサドとの関係正常化は非常に困難だ。トルコはシリア北部に安全地帯を設置し、100万人の帰還を保障する努力をしている」と述べた。

AFP, May 23, 2022、ANHA, May 23, 2022、CNN Turk, May 23, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 23, 2022、Reuters, May 23, 2022、SANA, May 23, 2022、SOHR, May 23, 2022などをもとに作成。

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兵站物資を積んだ米軍の貨物車輌30輌からなる車列がイラクからワリード国境通行所を経由してシリア領内に侵入、ハサカ県シャッダーディー市の基地に向かう(2022年5月23日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、兵站物資を積んだ米軍の貨物車輌30輌からなる車列が、イラクからワリード国境通行所を経由してシリア領内に侵入、シャッダーディー市に違法に設置されている米軍基地に向かった。

AFP, May 23, 2022、ANHA, May 23, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 23, 2022、Reuters, May 23, 2022、SANA, May 23, 2022、SOHR, May 23, 2022などをもとに作成。

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トルコ軍とシリア国民軍はアレッポ県北部、ハサカ県北部で砲撃を続ける(2022年5月23日)

アレッポ県では、ANHA(5月23日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のウンム・クラー村、シャフバー・ダムを砲撃した。

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ハサカ県では、ANHA(5月23日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のクーザリーヤ村を砲撃した。

AFP, May 23, 2022、ANHA, May 23, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 23, 2022、Reuters, May 23, 2022、SANA, May 23, 2022、SOHR, May 23, 2022などをもとに作成。

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『ガーディアン』:ロシアは原始的な兵器であるはずの「樽爆弾」の製造配置の「専門家」50人以上をシリアから受け入れる(2022年5月22日)

『ガーディアン』(5月22日付)は、複数の諜報員の話として、「樽爆弾」の製造配備にかかる豊富な経験を持つ50人以上の専門家が、数週間にわたってロシアに滞在し、同国軍と行動をともにしている、と伝えた。

専門家のロシア入りは、ロシア軍がウクライナ侵攻において化学兵器の使用を準備していると米国や欧州諸国が警鐘を鳴らし続けている要因の一つとしても理解され得るものだという。

対空兵器や航空兵器を有していなかったシリアの反体制派がシリア軍の制空権を奪えなかったのとは対象的に、ウクライナ軍は地対空ミサイルによって、ロシア軍の戦闘機やヘリコプターを撃墜している。

ある欧州の高官は「これがおそらく、彼ら(シリアからの専門家)が国境を越えて(ウクライナに入って)こない理由だろう…。その能力があることは知っている。だが、彼らがそれ(樽爆弾)を使えば、負ける。我々は誰がそれを使ったかを突き止めて、彼らをどんなかたちであれ殺害するだろう」と述べている。

同紙によると、樽爆弾の製造配置の専門家は、シリア政府がロシアに派遣した部隊の前衛をなしているのだと言う。

複数の諜報機関高官らは、ロシアに義勇兵として赴いたシリア軍兵士の数が800人から1,000人に達し、ロシア政府が彼らに月1,500~4,000米ドルを20ヵ月にわたって支給することを約束したと信じている。

なお、「樽爆弾」は円筒形の容器やドラム缶に爆薬や釘、金属片などを詰めて、ヘリコプターから投下し、起爆させるだけの原始的な兵器で、その製造に専門的な知識は必要ない。

AFP, May 23, 2022、ANHA, May 23, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 23, 2022、The Guardian, May 22, 2022、Reuters, May 23, 2022、SANA, May 23, 2022、SOHR, May 23, 2022などをもとに作成。

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米軍が違法に駐留するタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)内にあるルクバーン・キャンプで暮らしていた7家族が、キャンプ内の劣悪な生活環境を理由にシリア政府の支配地に脱出(2022年5月22日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、米軍が違法に駐留するタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)内にあるルクバーン・キャンプで暮らしていた7家族が、キャンプ内の劣悪な生活環境を理由に、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由してシリア政府の支配地に脱出した。

AFP, May 22, 2022、ANHA, May 22, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 22, 2022、Reuters, May 22, 2022、SANA, May 22, 2022、SOHR, May 22, 2022などをもとに作成。

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シリア民主軍が米主導の有志連合の支援を受けて、ダイル・ザウル県アブリーハ村を強襲し、IDPsの男性1人を拘束(2022年5月22日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が米主導の有志連合の支援を受けて、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるアブリーハ村を強襲し、男性1人を拘束した。

拘束された男性は、シリア政府の支配下にあるブーライル村出身の国内避難民(IDPs)。

AFP, May 22, 2022、ANHA, May 22, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 22, 2022、Reuters, May 22, 2022、SANA, May 22, 2022、SOHR, May 22, 2022などをもとに作成。

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トルコ軍のドローンがラッカ県アイン・イーサー市東のムシャイリファ村近くで25歳の男性を狙って爆撃(2022年5月22日)

ラッカ県では、ANHA(5月22日付)によると、トルコ軍の無人航空機(ドローン)がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアイン・イーサー市東のムシャイリファ村近くで25歳の男性を狙って爆撃を実施、男性が重傷を負った。

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ハサカ県では、ANHA(5月22日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・タムル町近郊の発電所、ダルダーラ村、タッル・シャンナーン村、タッル・ジュムア村、ウガイビシュ村、カスル・トゥーマー・ヤルダー村、タウィーラ村、M4高速道路沿線、アブー・ラースィーン(ザルカーン)町近郊のタッル・ワルド村、ヒルバト・シャイール村、ダーダー・アブダール村を砲撃した。

一連の砲撃により、タッル・ジュムア村近郊の農地で農作業を行っていた住民3人が負傷した。

 

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコの占領下にあるマーリア市で、シリア国民軍に所属するムウタスィム旅団と麻薬密売業者が撃ち合いとなった。

衝突は、21日深夜から22日未明にかけて、同市で10人が麻薬密売の容疑で拘束されたのを受けたもの。

AFP, May 22, 2022、ANHA, May 22, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 22, 2022、Reuters, May 22, 2022、SANA, May 22, 2022、SOHR, May 22, 2022などをもとに作成。

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ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表がシリアを訪問し、ミクダード外務在外居住者大臣と会談(2022年5月22日)

ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表がシリアを訪問し、ファイサル・ミクダード外務在外居住者大臣と会談した。

SANA(5月22日付)によると、会談では、双方共通の関心事、和解プロセス実施地域拡大などを通じたシリア政府による安定強化に向けた取り組みなどについて意見が交わされた。

ミクダード外務在外居住者大臣は、4月30日に施行されたテロ犯罪に対する恩赦(法令第7号)の重要性が説明されるとともに、トルコがシリア難民100万人の「自発的」帰還を目的とした新たなプロジェクトの開始を宣言したことへの危機感を伝え、国連にこうした試みに与しないよう求めた。

https://www.facebook.com/Mofaexsy/posts/3271626719791099

AFP, May 22, 2022、ANHA, May 22, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 22, 2022、Reuters, May 22, 2022、SANA, May 22, 2022、SOHR, May 22, 2022などをもとに作成。

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トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアレッポ県北部、ハサカ県北部を砲撃(2022年5月21日)

アレッポ県では、ANHA(5月21日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のスーガーニカ村、スムーカ村、タッル・カッラーフ村を砲撃した。

また、シリア人権監視団によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治地域からトルコ占領下のマーリア市一帯に向けて砲撃が行われた。

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ハサカ県では、ANHA(5月21日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・タムル町近郊のタッル・タウィール村を砲撃した。

AFP, May 21, 2022、ANHA, May 21, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 21, 2022、Reuters, May 21, 2022、SANA, May 21, 2022、SOHR, May 21, 2022などをもとに作成。

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外務在外居住者省は国連事務総長と安保理議長に宛てて書簡を送り、前日のイスラエル軍による越境ミサイル攻撃を非難(2022年5月21日)

外務在外居住者省は、国連事務総長と安保理議長に宛てて書簡を送り、前日のイスラエル軍による越境ミサイル攻撃について報告し、これを非難、イスラエルに1974年5月31日にスイスのジュネーブで交わされたイスラエル・シリア間兵力引離し協定を順守させるよう要請した。

SANA(5月21日付)が伝えた。

https://www.facebook.com/Mofaexsy/posts/3270728099880961

AFP, May 21, 2022、ANHA, May 21, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 21, 2022、Reuters, May 21, 2022、SANA, May 21, 2022、SOHR, May 21, 2022などをもとに作成。

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国連安保理でシリア情勢への対応を協議するための会合が開かれ、ロシアとシリアは越境(クロスボーダー)での人道支援の廃止を訴える(2022年5月20日)

国連安保理で、シリア情勢への対応を協議するための会合が開かれた。

会合では、国連人道問題調整事務所(OCHA)の代表を務めるマーティン・グイフィス人道問題担当国連事務次長が、5月上旬に開催された「シリア及び地域の将来の支援に関する第6回ブリュッセル会合」で67億米ドルの支援が約束されたことに関して、2022年にシリアへの人道支援において必要とされる資金の半分にも満たないことを報告し、世界食糧計画(WFP)が支援の削減を強いられかねないと警鐘を鳴らした。

続いて、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ県中部一帯で活動を続ける米国のNGOシリア米医療協会(SAMS)のファリーダ・ムスリム氏が報告を行い、越境(クロス・ボーダー)での人道支援の継続の必要を訴えた。

これに対して、ロシアのドミトリー・ポリャンスキー国連第1常駐副代表は、昨年半ば以降4度にわたって行われた政府支配地から反体制派支配地への境界経由(クロス・ライン)が「成功などとはほとんど言えない」と指摘、早期復旧や復興にかかるプロジェクトが支援国の政治的思惑によって左右されていると問題点を指摘した。

また、あらゆる代償も顧みずに越境人道支援を維持しようとする試みについて、「停学処分を受けている怠惰な生徒の親に似ている…。こうした甘やかされた子供に何も良いことはない」と欧米諸国を批判した。

そのうえで、国連がシリアに対する欧米諸国の一方的な制裁を無視し続けていると指摘した。

シリアのバースィム・サッバーグ国連代表は、越境人道支援がシリアの主権を侵害しているとしたうえで、境界経由での人道支援を強化したいと表明するとともに、4月30日の恩赦などを通じて人権状況の改善、難民・国内避難民(IDPs)の帰還、国民和解を推し進めていると強調した。

その一方で、「一部の国」がこうした取り組みを反故にしようとしていると批判した。

米国のリンダ・トマス=グリーンフィールド国連代表大使は、越境人道支援の成果を強調、安保理がその仕組みを継続するだけでなく、反体制派支配地における人道上のニーズを踏まえて、越境人道支援を行うことができる通行所を増やすべきだと主張した。

このほか、ブラジルの代表は、越境人道支援と境界経由での人道支援の双方を継続する必要があると述べた。

また、中国の代表は、シリアの主権と領土保全を尊重し、人道支援を政治利用すべきでないと発言した。

イランの代表は、越境人道支援に代えて境界経由での人道支援を行うことを支持し、そのためにシリア政府や国連に全面協力すると表明した。

一方、トルコは、越境人道支援の維持を訴えた。

AFP, May 20, 2022、ANHA, May 20, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 20, 2022、Reuters, May 20, 2022、SANA, May 20, 2022、SOHR, May 20, 2022などをもとに作成。

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ロシアのボクダノフ外務副大臣はイスラエル軍戦闘機に対してS-300が発射されたとの報道を否定(2022年5月20日)

ロシアのミハイル・ボクダノフ外務副大臣は、5月13日のイスラエル軍戦闘機によるハマー県ミスヤーフ市一帯への爆撃に際して、S-300防空システムが使用されたとのイスラエル・メディアの報道に関して「正しくない」と述べ否定した。

ボグダノフはまた、「ロシアとイスラエルの軍関係者はシリア情勢に関して連絡を続けている」と付言した。

マヤーディーン(5月20日付)などが伝えた。

AFP, May 20, 2022、ANHA, May 20, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 20, 2022、Qanat al-Mayadin, May 20, 2022、Reuters, May 20, 2022、SANA, May 20, 2022、SOHR, May 20, 2022などをもとに作成。

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トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアレッポ県北部、ハサカ県北部を砲撃(2022年5月20日)

アレッポ県では、ANHA(5月20日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市、同市近郊のスムーカ村、タッル・マディーク村、シャフバー・ダム、マドユーナ村を砲撃し、民家複数棟に被害が出た。

トルコ軍とシリア国民軍はまた、マンビジュ市北のフーシャリーヤ村を砲撃し、シリア国民軍に所属するスィルヤーニー軍事評議会の兵士1人が負傷した。

これに対して、シリア軍はアイン・アラブ(コバネ)市近郊のシュユーフ・ファウカーニー町、シュユーフ・タフターニー町上空でトルコ軍の小型無人航空機(ドローン)を撃墜した。

一方、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるターディフ市から、同市北部のトルコ占領地に避難した住民が、シリア政府支配地とトルコ占領地の間に堀と土塁を建設しようとしているトルコの計画に反対して、抗議デモを行った。

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ハサカ県では、ANHA(5月20日付)によると、トルコ軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるダルバースィーヤ市近郊のジャトラ村で農作業に従事していた住民らに向けて発砲した。

トルコ軍はまた、シリア国民軍とともにタッル・タムル町近郊のダルダーラ村を砲撃した。

AFP, May 20, 2022、ANHA, May 20, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 20, 2022、Reuters, May 20, 2022、SANA, May 20, 2022、SOHR, May 20, 2022などをもとに作成。

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イスラエル軍が占領下のゴラン高原からダマスカス県の南方に向けて地対地ミサイル多数を発射、シリア軍防空部隊の兵士3人死亡(2022年5月20日)

シリア軍は、イスラエル軍が午後11時頃、占領下のゴラン高原からダマスカス県の南方に向けて地対地ミサイル多数を発射、シリア軍防空部隊が迎撃し、そのほとんどを撃破したが、3名が死亡、若干の物的被害が出たと発表した。

SANA(5月20日付)が伝えた。

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シリア人権監視団によると、ミサイル攻撃はダマスカス郊外県のキスワ市市近郊のマーニア山山一帯、ジュムラーヤー村一帯、ダマスカス国際空港一帯、サイイダ・ザイナブ町一帯の「イランの民兵」の拠点や倉庫に対するもので、シリア軍防空部隊の士官3人が死亡、4人が負傷した。

また、このミサイル攻撃と前後して、シリア軍防空部隊が地中海沖上空でミサイルを迎撃、地中海沿岸地域、ハマー県ミスヤーフ市一帯で複数の爆発音が聞こえた。

なお、シリア人権監視団はその後、死亡した3人のなかには、ダマスカス国際空港の貨物局労働者部門の責任者も含まれていたと発表した(シリア人権監視団によると、死者はその後4人となった)。

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ロシアのボクダノフ外務副大臣:「ロシアはトルコに対してシリアからの兵員を輸送するため、ロシアの航空機の領空通過を認めるよう要請している」(2022年5月19日)

ロシアのミハエル・ボクダノフ外務副大臣はタス通信(5月19日付)の取材に応じ、そのなかで、ロシアがトルコに対してシリアからの兵員を輸送するため、ロシアの航空機の領空通過を認めるよう要請していることを明らかにした。

また、シリア情勢をめぐる米国との関係については、「現在中断している」としたうえで、「シリアが苦しんでいる問題への理想的な解決策について対話・議論する用意があるが、アメリカは現在、我々との連絡を絶っている」と批判した。

AFP, May 19, 2022、ANHA, May 19, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 19, 2022、Reuters, May 19, 2022、SANA, May 19, 2022、SOHR, May 19, 2022、TASS, May 19, 2022などをもとに作成。

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トルコのエルドアン大統領はシリア難民の自発的帰還プロジェクトの開始を宣言、NATOの非協力を非難(2022年5月19日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は与党公正発展党(AKP)の議員らを前に演説し、シリア北部の「安全地帯」にシリア難民を自発的に帰還させるプロジェクトが開始されたことを明らかにした。

エルドアン大統領はまた「NATOはこのプロジェクトをまだ支援してないし、シリア北東部でのクルディスタン労働者党(PKK)とつながりのある人民防衛隊(YPG)に代表されるテロとの戦いにおけるトルコの取り組みにも支援を行わなかった」と批判、NATO加盟国に対して、難民帰還プロジェクトを妨害しないよう呼び掛けた。

『シャルク・アウサト』(5月19日付)が伝えた。

AFP, May 19, 2022、ANHA, May 19, 2022、al-Durar al-Shamiya, May 19, 2022、Reuters, May 19, 2022、SANA, May 19, 2022、al-Sharq al-Awsat, May 19, 2022、SOHR, May 19, 2022などをもとに作成。

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