アサド大統領はダマスカスでイランのラリージャーニー国会議長と会談(2020年2月16日)

アサド大統領は、首都ダマスカスでアリー・ラリージャーニー国会議長と会談した。

SANA(2月16日付)によると、会談において、アサド大統領はイドリブ県およびアレッポ県での「テロとの戦い」における最近の戦果について報告、シリア国民に敵対姿勢を示す一部諸外国が依然としてシリア領内のテロリストを支援し続けようとしていると指摘した。

これに対して、ラリージャーニー議長は、シリア政府によるテロ撲滅の取り組みを引き続き支援することを確認した。

会談ではまた、中東地域情勢、とりわけ米国をはじめとする西側諸国の介入による地域不安定化について意見を交わし、こうした政策を拒否する輪を国際社会で広げるために引き続き共に行動することを確認した。

会談には、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治報道補佐官、アイマン・スーサーン外務在外居住者省次官、アドナーン・マフムード駐イラン・シリア大使、ルーナー・シブル大統領府報道局長、ジャワード・トゥルク・アバーディー駐シリア・イラン大使が同席した。

AFP, February 16, 2020、ANHA, February 16, 2020、AP, February 16, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 16, 2020、Reuters, February 16, 2020、SANA, February 16, 2020、SOHR, February 16, 2020、UPI, February 16, 2020などをもとに作成。

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シリア軍がアレッポ市北西の反体制派支配地域を完全制圧(2020年2月16日)

アレッポ県では、SANA(2月16日付)、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室がシリア・ロシア軍の爆撃・砲撃による攻勢を受けて、マアーッラト・アルティーク村、フライターン市、アナダーン市、ハイヤーン町、バヤーヌーン町、バービース村、カフルダーイル村、フータ村、ジャワーニーヤ村、フータト・バッラーニーヤ村、バシュナトラ村、バシュカーティーン村、カイルーン村、カフルハムラ村、シュワイフナ村、ナビー・ナアマーン丘、バイト・ガーズィー村、ムサイビーン丘、カフルダーイル村アレッポ市北西部郊外の第2電力協会地区、製パン協会地区、アラブ連合協会地区、サマーフ協会地区、アーザール協会地区、マジーナ村、ファンナール協会地区、ハーディー協会地区、キリキア協会地区、退役軍人協会地区、ライラムーン地区、ダフラト・アブドゥラッブフ地区、裁判所地区、ナアナーイー住宅地区、ザフラー地区から撤退、シリア軍が同地を制圧した。

シリア軍が新たに制圧した町村は、アレッポ市北西に突出していた反体制派の支配地で、15日にシリア・ロシア軍が包囲・制圧に向けた攻撃を本格化させていた。

シリア軍は、同地の制圧に際してシャイフ・アキール山に設置されているトルコ軍監視所を砲撃し、トルコ軍兵士複数人が負傷した。

また、アナダーン市制圧により、シリア軍は同市に設置されているトルコ軍監視所を包囲した。

アレッポ市は、2012年半ば以降、反体制派にその一部を掌握され、2016年12月には東部地区がシリア政府によって奪還されたが、北部および西部郊外では反体制派の支配が続いていた。

今回の戦果によって、アレッポ市はその全域がシリア政府の支配下に復帰した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がアリーハー市を爆撃した。

これに対して、トルコ軍は、戦車、装甲車など60輌からなる車列がサルマダー市を派遣した。

一方、ロシア軍部隊は、マアッラト・ヌウマーン市以北のM5高速道路沿線一帯に展開した。

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ダマスカス郊外県では、サウト・アースィマ(2月16日付)によると、東グータ地方のサクバー市・ハッザ町間で、共和国護衛隊の車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、乗っていた隊員1人が死亡した。

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シリア人権監視団によると、1月24日以降の戦闘での死者は、シリア軍側が576人(うち「イランの民兵」18人)、反体制武装集団戦闘員が634人に達しているという。

AFP, February 16, 2020、ANHA, February 16, 2020、AP, February 16, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 16, 2020、Reuters, February 16, 2020、SANA, February 16, 2020、Sawt al-‘Asima, February 16, 2020、SOHR, February 16, 2020、UPI, February 16, 2020などをもとに作成。

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アルメニアでシリア人民議会がオスマン帝国でのアルメニア人大虐殺を認定する決議を採択したことに謝意を示すデモ行進(2020年2月16日)

アルメニアの首都エレバンでは、13日にシリアの人民議会が20世紀初頭のオスマン帝国でのアルメニア人大虐殺を認定する決議を採択したことに謝意を示すデモ行進が行われた。

デモは、ターシュナーク党などの呼びかけで行われ、オペラ・ハウスからシリア大使館に向かって行進した。

デモには在アルメニア・シリア人も参加した。

SANA(2月16日付)が伝えた。

AFP, February 16, 2020、ANHA, February 16, 2020、AP, February 16, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 16, 2020、Reuters, February 16, 2020、SANA, February 16, 2020、SOHR, February 16, 2020、UPI, February 16, 2020などをもとに作成。

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トルコのエルドアン大統領「政権軍が撤退しなければ、我々は2月末までにそれを強いるだけ」(2020年2月15日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は報道向け声明で、「我々はシリアの領土を占領したり、併合したりする意思はまったくない」としたうえで、「トルコは、共和国を建国した時のように、大いなる結果を生み出す闘争を行っている…。イドリブ県での問題は、シリア軍をソチでの合意で定められた境界線まで撤退させることなくして解決しない…。政権軍が撤退しなければ、我々は2月末までにそれを強いるだけだ」と述べた。

アナトリア通信(2月15日付)が伝えた。

AFP, February 15, 2020、Anadolu Ajansı, February 15, 2020、ANHA, February 15, 2020、AP, February 15, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 15, 2020、Reuters, February 15, 2020、SANA, February 15, 2020、SOHR, February 15, 2020、UPI, February 15, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍・国民軍がハサカ県、ラッカ県を砲撃(2020年2月15日)

ハサカ県では、ANHA(2月15日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がタッル・タムル町近郊のタウィーラ村を砲撃した。

一方、シリア人権監視団によると、米軍の大型車輌40輌以上からなる車列がスィーマルカー国境通行所からシリア領に入った。

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ラッカ県では、ANHA(2月15日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がタッル・アブヤド市近郊のスライブ村にあるシリア軍の拠点複数カ所を砲撃した。

トルコ軍と国民軍はまた、アフダクー村、クーバルラク村、ビールカヌー村、ハッラーブ・サーリーンジュ村、ビールキータク村を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコの占領下にあるバーブ市でオートバイに仕掛けられていた爆弾が爆発した。

AFP, February 15, 2020、ANHA, February 15, 2020、AP, February 15, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 15, 2020、Reuters, February 15, 2020、SANA, February 15, 2020、SOHR, February 15, 2020、UPI, February 15, 2020などをもとに作成。

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シリア軍はアレッポ市西の複数町村を新たに制圧、同市北西の反体制派支配地の包囲をめざす(2020年2月15日)

アレッポ県では、SANA(2月15日付)によると、シリア軍がシャーム解放機構や国民解放戦線などからなる「決戦」作戦司令室との戦闘の末、アウラム・クブラー町、カフルナーハー村、ラドワーン協会地区、アージル村、ウワイジル村を制圧した。

シリア人権監視団によると、シリア軍は反体制武装集団の撤退を受けて同地を制圧したほか、サアディーヤ村、電力協会地区、警察学校地区も制圧した。

一方、ロシア軍戦闘機はカフルハムラ村、アナダーン市、ハイヤーン町、フライターン市を爆撃、シリア軍も、トルコ軍の監視所が設置されているシャイフ・アキール山への攻勢を強めた。

シリア・ロシア軍は、カフルハムラ村、アナダーン市、ハイヤーン町、フライターン市、バヤーヌーン町などアレッポ市北西に突出している反体制派の支配地の包囲・制圧をめざしているという。

ANHA(2月15日付)によると、これに対して、トルコ軍とその支援を受ける「傭兵」(国民解放戦線、シャーム解放機構などのこと)がシーラーワー町近郊のバーシャムリー村を砲撃し、住民2人が負傷した。

バーシャムリー村は、シーア派(12イマーム派)の宗徒が暮らすシリア政府支配下のヌッブル市、ザフラー町の南、アレッポ市北西の反体制派支配地域の北端に位置しており、同地での包囲戦における要衝。

シリア人権監視団によると、トルコ軍はまた、ダーラト・イッザ市東の第111中隊基地、イドリブ県との県境に位置するタルマーニーン村に新たな拠点を設置した。

このほか、SANAによると、シリア軍は工兵部隊がM5高速道路での地雷、爆発物、瓦礫の撤去作業を行った。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍とシャーム解放機構、国民解放戦線などからなる「決戦」作戦司令室がシャイフ・ダーミス村一帯で交戦、「決戦」作戦司令室がナイラブ村などのシリア軍の拠点を砲撃した。

一方、シリア軍は、タッル・カラーマ村近郊にある国内避難民(IDPs)のキャンプを砲撃し、1人が死亡した。

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シリア人権監視団によると、一連の先頭でシリア軍兵士21人と反体制武装集団戦闘員28人が死亡した。

これにより、1月24日以降の戦闘での死者は、シリア軍兵士542人(うち「イランの民兵」10人)、反体制武装集団戦闘員605人となった。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を20件(イドリブ県4件、ラタキア県6件、アレッポ県5件、ハマー県5件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を14件(イドリブ県10件、ラタキア県0件、アレッポ県4件、ハマー県0件)確認した。

AFP, February 15, 2020、ANHA, February 15, 2020、AP, February 15, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 15, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, February 15, 2020、Reuters, February 15, 2020、SANA, February 15, 2020、SOHR, February 15, 2020、UPI, February 15, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民1,093人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は553,699人に(2020年2月15日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(2月15日付)を公開し、2月14日に難民1,732人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは1,093人(うち女性328人、子供558人)、ヨルダンから帰国したのは639人(うち女性192人、子供326人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は553,699人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者175,412人(うち女性53,017人、子ども89,756人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者378,287人(うち女性113,531人、子ども192,918人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,570,303人(うち女性1,971,091人、子供3,350,855人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 782,979人(うち女性235,206人、子供399,596人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 15, 2020をもとに作成。

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トルコ外務省報道官はシリア人民議会がアルメニア人大虐殺を認定する決議を採択したことを「虐殺の限りを尽くした体制の偽善と茶番」と非難(2020年2月14日)

トルコのハミ・アクソイ外務省報道官は、13日にシリアの人民議会が20世紀初頭のオスマン帝国でのアルメニア人大虐殺を認定する決議を採択したことに関して、「老若男女を問わずにありとあらゆる虐殺の限りを尽くし、何百万という人々を追い出し、化学兵器を使用することで知られている体制の偽善と茶番」と非難した。

AFP, February 14, 2020、ANHA, February 14, 2020、AP, February 14, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 14, 2020、Reuters, February 14, 2020、SANA, February 14, 2020、SOHR, February 14, 2020、UPI, February 14, 2020などをもとに作成。

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RTはトルコ軍部隊がマアッラト・ヌウマーン市近郊でM5高速道路を封鎖したと伝え、映像を公開(2020年2月14日)

RT(2月14日付)は、トルコ軍部隊がイドリブ県マアッラト・ヌウマーン市近郊でM5高速道路を封鎖したと伝え、その映像を公開した。

https://www.youtube.com/watch?v=d7TWjwPqNOs&feature=emb_err_watch_on_yt

SANA(2月14日付)は、シリア軍がアレッポ市から首都ダマスカスに至るM5高速道路全線の安全を確保したと伝えていた。

AFP, February 14, 2020、ANHA, February 14, 2020、AP, February 14, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 14, 2020、Reuters, February 14, 2020、SANA, February 14, 2020、SOHR, February 14, 2020、UPI, February 14, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍・国民軍はハサカ県、ラッカ県を砲撃(2020年2月14日)

ハサカ県では、ANHA(2月14日付)、SANA(2月14日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がタッル・タムル町近郊のタウィール村タウィール村、タッル・タウィール村、アブー・ラースィーン(ザルカーン)町一帯を砲撃した。

トルコ軍はまた、スッカリーヤ村に設置された通行所からアブー・ラースィーン町方面に車列を侵入させた。

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ラッカ県では、ANHA(2月14日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がアイン・イーサー市近郊のディブス村、ハーリディーヤ村、アイン・イーサー・キャンプ、M4高速道路沿線を砲撃した。

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アレッポ県では、アフリーン解放軍団が声明を出し、トルコ占領下のアアザーズ市に近いカフルハーシル村、カフル・カルビーン村でトルコの支援を受ける国民軍に所属するシャーム戦線、北部自由人の戦闘員3人を殺害したと発表した。

ANHA(2月14日付)が伝えた。

AFP, February 14, 2020、ANHA, February 14, 2020、AP, February 14, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 14, 2020、Reuters, February 14, 2020、SANA, February 14, 2020、SOHR, February 14, 2020、UPI, February 14, 2020などをもとに作成。

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トルコの庇護を受ける国民解放戦線がアレッポ県西部でシリア軍ヘリコプターを撃墜、対するシリア軍はアウラム・スグラー村、アウラム・クブラー町を制圧(2020年2月14日)

アレッポ県では、SANA(2月14日付)によると、シリア軍がシャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室との戦闘の末、アウラム・スグラー村を制圧した。

シリア人権監視団によると、シリア軍はまたアウラム・クブラー町を制圧したという。

これにより、シリア軍はアターリブ市の南東3キロの地点にまで到達した。

これに対して、トルコ軍はアターリブ市に装甲車や兵員輸送車数十両を新たに派遣、同地一帯に部隊を展開させた。

また、シリア人権監視団によると、アレッポ市西のカブターン・ジャバル村一帯に展開するトルコ軍が「樽爆弾」による爆撃のために同地上空に飛来したシリア軍ヘリコプターを撃墜し、乗組員2人が死亡した。

ドゥラル・シャーミーヤ(2月14日付)が、複数の現地情報筋の話として伝えたところによると、死者は2人ではなく、ターリク・リヤード・アリー大尉、バッシャール・イーサー大尉、ミーラード・スライマーン軍曹の3人。

これに関して、スプートニク・ニュース(2月14日付)は、アターリブ市一帯に展開するシャーム解放機構が地対空ミサイルを発射し、ヘリコプターを撃墜したと伝えた。

また、RT(2月14日付)は複数の地元筋の話として、ヘリコプターがダーラト・イッザ市近郊のトルコ軍監視所から発射された携帯式の地対空ミサイルによって撃墜されたと伝えた。

だが、その後、トルコの庇護を受ける国民解放戦線が声明を出し、ヘリコプターを撃墜したと発表した。

声明文は以下の通り:

「ヘリコプターと戦闘機が我らが民間人に対して行う虐殺への報復として、そしてまた彼らが爆発性の高い「樽爆弾」で女性、子ども、そして民間人が多くいる町や村を無差別に狙い、何脈万という無垢の人々を死に至らしめているがゆえ、国民解放戦線の防空大隊は犯罪者体制軍のヘリコプター1機をアレッポ市西部郊外上空で狙い、これを撃墜した」。


トルコ軍によるヘリコプター撃墜を受けて、シリア軍は戦闘機・ヘリコプターによる爆撃を中止した。

また、ドゥラル・シャーミーヤ(2月14日付)によると、反体制武装集団は、アレッポ市西部郊外のフルサーン協会、クルトバ丘を奪還した。

一方、ロシア軍はこの間、アウラム・クブラー町、第46中隊基地一帯、マアッラータ村、アターリブ市、カブターン・ジャバル村、ラドワーン協会地区などを爆撃し、マアッラータ村では子ども2人と女性1人を含む5人が死亡した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がトルコのハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)に近いサルマダー市を砲撃した。

これに対して、トルコ軍の戦車、装甲車など約100輌からなる増援部隊がカフルルースィーン村に違法に設置されている通行所からシリア領内に入り、M4高速道路沿線のアリーハー市近郊に展開するとともに、ザーウィヤ山地方ダイル・サンバル村近郊に新たな拠点を設置した。

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シリア人権監視団によると、一連の戦闘でシリア軍兵士14人、反体制武装集団戦闘員19人が死亡した。

一方、トルコ国防省はイドリブ県とアレッポ県でシリア軍兵士63人を無力化したと発表した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を18件(イドリブ県4件、ラタキア県7件、アレッポ県3件、ハマー県4件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームによる停戦違反確認の報告はなかった。

AFP, February 14, 2020、ANHA, February 14, 2020、AP, February 14, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 14, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, February 14, 2020、Reuters, February 14, 2020、SANA, February 14, 2020、SOHR, February 14, 2020、UPI, February 14, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民859人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は551,967人に(2020年2月14日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(2月14日付)を公開し、2月13日に難民859人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは224人(うち女性67人、子供114人)、ヨルダンから帰国したのは635人(うち女性191人、子供324人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は551,967人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者174,319人(うち女性52,689人、子ども89,198人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者377,648人(うち女性113,339人、子ども192,592人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,569,742人(うち女性1,970,923人、子供3,350,568人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 781,247人(うち女性234,686人、子供398,712人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 14, 2020をもとに作成。

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サウト・アースィマ:ロシアはシリア政府と和解した元戦闘員をリビアでの戦闘に参加させるために募集(2020年2月13日)

反体制派系サイトのサウト・アースィマ(2月13日付)は、複数の地元筋の話として、ロシアが今年に入って、ダマスカス郊外県ドゥーマー市などで、シリア政府との和解に応じた元反体制武装集団メンバーに募集をかけ、ハリーファ・ハフタル司令官率いる国民軍を支援するためにリビアでの戦闘に参加させようとしていると伝えた。

同地元筋によると、ロシアは募集に際して、月収800米ドルを支給し、リビアで3ヶ月間戦闘に参加した後に、1ヶ月の休暇を保証するという条件を出しているという。

募集に応じた若者は、シリア駐留ロシア軍司令部が設置されているラタキア県のフマイミーム航空基地から「ロシアの友人」であることを証明する身分証を支給されるという。

なお、25人が2月の第1週に、ダマスカス国際空港からベンガジに向かったという。

AFP, February 13, 2020、ANHA, February 13, 2020、AP, February 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2020、Reuters, February 13, 2020、SANA, February 13, 2020、Sawt al-‘Asima, February 13, 2020、SOHR, February 13, 2020、UPI, February 13, 2020などをもとに作成。

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マムルーク国民安全保障会議議長がエジプトを極秘訪問(2020年2月13日)

サウジアラビア日刊紙の『ハリージュ・ジャディード』(2月13日付)は、エジプト外交筋の話として、アリー・マムルーク国民安全保障会議議長が諜報、治安、外交担当者らを随行し、数日前に極秘でエジプトを訪問し、同国高官とシリア情勢への対応を協議したと伝えた。

同外交筋によると、マムルーク議長は、首都カイロを訪問し、1月13日にロシアの首都モスクワで行われたシリア・ロシア・トルコの治安関係者による三カ国会合の結果について報告するなどしたという。

AFP, February 13, 2020、ANHA, February 13, 2020、AP, February 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2020、al-Khalij al-Jadid, February 13, 2020、Reuters, February 13, 2020、SANA, February 13, 2020、SOHR, February 13, 2020、UPI, February 13, 2020などをもとに作成。

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イスラエル軍がダマスカス空港一帯の「イランの民兵」拠点をミサイル攻撃(2020年2月13日)

シリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県で、イスラエル軍のミサイル攻撃によると思われる爆発が複数回にわたって発生した。

攻撃は、貨物機(所属不明)がダマスカス国際空港に飛来したのを受けて実施され、ダマスカス国際空港・サイイダ・ザイナブ町間にある「イランの民兵」の拠点が狙われた。

シリア軍防空部隊が迎撃したが、ミサイル複数発が着弾、イラン人士官4人、士官2人を含むシリア軍兵士3人が死亡したという。

一方、SANA(2月13日付)は、シリア軍筋の話として、13日午後11時45分に占領下ゴラン高原上空から飛来したミサイルをシリア軍防空部隊が迎撃、多数を撃破したと伝えた。

 

サウト・アースィマ(2月14日付)によると、攻撃は5回にわたって行われ、ダマスカス国際空港一帯のほか、キスワ市近郊の第91旅団基地などが標的となった。

AFP, February 13, 2020、ANHA, February 13, 2020、AP, February 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2020、Reuters, February 13, 2020、SANA, February 13, 2020、Sawt al-‘Asima, February 14, 2020、SOHR, February 13, 2020、UPI, February 13, 2020などをもとに作成。

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ジェフリー米国務省シリア問題担当特使「イドリブ県でトルコ軍にさらなる諜報と軍事物資を提供する」(2020年2月13日)

トルコを訪問中のジェームズ・ジェフリー米国務省シリア問題担当特使は、イドリブ県へのシリア・ロシア軍の攻勢に関して、「米国はNATO(北大西洋条約機構)の枠組みのなかで、イドリブ県でのトルコへの支援方法について検討している。ここでの優先事項は、トルコ軍にさらなる諜報と軍事物資を提供するだ」と述べた。

ジェフリー特使はまた、トルコ高官との会談のなかで、米軍派遣を通じたトルコへの支援については話し合われなかったとしたうえで、シリアで米国、ロシア、トルコ、イスラエルといった「大物プレーヤー」が最大限の自制を行っており、これらの国が参加したかたちでの大規模な紛争は起こらないと述べた。

一方、トルコとの関係については、イドリブ県情勢をめぐって多くの合意を交わしたしたうえで、トルコには安全保障と国境を守る権利があると強調した。

AFP, February 13, 2020、ANHA, February 13, 2020、AP, February 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2020、Reuters, February 13, 2020、SANA, February 13, 2020、SOHR, February 13, 2020、UPI, February 13, 2020などをもとに作成。

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サウジアラビアのジュバイル外務担当国務大臣はトルコによるシリア侵略を非難(2020年2月13日)

サウジアラビアのアーディル・ジュバイル外務担当国務大臣は、記者会見で、トルコによるシリアへの侵略、ソマリア、シリア、そしてリビアの民兵へのトルコの支援に反対すると述べた。

ジュバイル大臣はまた、トルコが支援するシリア人傭兵(国民軍)がリビアに派遣されていることに懸念を表明するとともに、「ハリーファ・ハフタル氏とファーイズ・スィラージュ氏に政治的解決に至る必要があると伝えた」と強調した。

イエメン情勢については、「我々はイエメンで戦争を望んではいなかった。我々はヒズブッラーとフーシー派を静止するために介入したのであって、我々は安定を望んでいるだけだ」と述べた。

AFP, February 13, 2020、ANHA, February 13, 2020、AP, February 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2020、Reuters, February 13, 2020、SANA, February 13, 2020、SOHR, February 13, 2020、UPI, February 13, 2020などをもとに作成。

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ラッカ県でシリア民主軍がトルコ軍・国民軍と交戦、国民軍戦闘員16人を殲滅(2020年2月13日)

ラッカ県では、ANHA(2月13日付)、シリア人権監視団によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍傘下のシリア正教軍事評議会がタッル・アブヤド市近郊のアフマディーヤ村、アフダクー村一帯で、トルコ軍およびその支援を受ける国民軍と交戦、トルコ軍・国民軍が同地を砲撃した。

シリア民主軍はまた、シャルカラーク村の穀物サイロ一帯でトルコ軍・国民軍と交戦し、国民軍戦闘員7人を殺害、2人を捕捉した。

なお同地では、前日夜にも戦闘が発生、国民軍戦闘員9人が死亡したという。

一方、トルコの占領下にあるタッル・アブヤド市近郊のスルーク町の工業地区で爆弾が仕掛けられた車が爆発した。

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ハサカ県では、ANHA(2月13日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がタッル・タムル町近郊のクブール・ガラージナ村、ウンム・カイフ村を砲撃した。

一方、シリア民主軍は12日のタッル・タムル町近郊のアリーシャ村、カースィミーヤ村、ダーウーディーヤ村での戦闘で国民軍の戦闘員9人を殺害したと発表した。

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アレッポ県では、ANHA(2月13日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のハルバル村、シャイフ・イーサー村、マルアナーズ村、マーリキーヤ村、シャワーリガ村、シャワーリガ砦、スムーカ村、シャフバー・ダムを砲撃した。

一方、シリア人権監視団によると、ロシア軍憲兵隊がアイン・アラブ市一帯の国境地帯でのパトロールを単独で実施した。

トルコ軍は参加を拒否した。

AFP, February 13, 2020、ANHA, February 13, 2020、AP, February 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2020、Reuters, February 13, 2020、SANA, February 13, 2020、SOHR, February 13, 2020、UPI, February 13, 2020などをもとに作成。

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シリア軍がアレッポ県カフルジューム村、アレッポ市ムハンディスィーン第1および第2地区を新たに制圧、トルコ軍の砲撃とロシア軍の爆撃続く(2020年2月13日)

アレッポ県では、SANA(2月13日付)によると、シリア軍がシャーム解放機構などからなる反体制武装集団との戦闘の末、カフルジューム村、アレッポ市西部郊外のムハンディスィーン第1および第2地区を制圧した。

シリア人権監視団によると、シリア軍はまた、アレッポ市郊外のザフラト・マダーイン地区、CHEMCO地区を制圧した。

SANA、シリア人権監視団などによると、シリア軍はアウラム・クブラー町、アウラム・スグラー村一帯で反体制武装集団と戦闘を続けた。

一方ロシア軍戦闘機は、トルコ軍の拠点が新たに設置された第46中隊基地一帯、トルコ軍監視所が設置されているシャイフ・アキール山に近いカブターン・ジャバル村、カフルナーハー村、イッビーン村を爆撃し、カブターン・ジャバル村では住民が負傷した。

シリア軍も第46中隊基地一帯に進軍し、同地を砲撃した。

ロシア・シリア軍の攻勢に対して、第46中隊基地に展開するトルコ軍はカフル・ハラブ村、ミズナーズ村、シャイフ・アリー村にあるシリア軍拠点を砲撃した。

トルコ軍はまた、ジーナ村に新たな拠点を設置した。

シャーム解放機構などからなる反体制武装集団も、トルコ軍の砲撃支援を受けて、シリア軍に反撃、ムハンディスィーン第2地区とアウラム・スグラー村の複数カ所を奪還した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サラーキブ市一帯に展開するトルコ軍が同地のシリア軍拠点を砲撃した。

また、トルコ軍がマアッラトミスリーン市東部に新たな拠点を設置した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を24件(イドリブ県4件、ラタキア県8件、アレッポ県3件、ハマー県4件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を2件(イドリブ県1件、ラタキア県0件、アレッポ県1件、ハマー県0件)確認した。

AFP, February 13, 2020、ANHA, February 13, 2020、AP, February 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, February 13, 2020、Reuters, February 13, 2020、SANA, February 13, 2020、SOHR, February 13, 2020、UPI, February 13, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民844人と国内避難民(IDPs)1,383人が新たにシリア政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は551,108人、2019年以降帰還したIDPsは51,345人に(2020年2月13日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(2月13日付)を公開し、2月12日に難民844人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは251人(うち女性75人、子供128人)、ヨルダンから帰国したのは593人(うち女性178人、子供302人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は551,108人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者174,095人(うち女性52,622人、子ども89,084人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者377,013人(うち女性113,148人、子ども192,268人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,569,742人(うち女性1,970,923人、子供3,350,568人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 780,388人(うち女性234,428人、子供398,274人)となった。

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一方、国内避難民1,383人が新たに帰宅した。

うちダマスカス郊外県東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは1,383人(うち女性502人、子ども471人)、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは0人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は51,345人(うち女性16,785人、子供22,137人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,319,941人(うち女性399,344人、子供665,903人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 13, 2020をもとに作成。

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ストルテンベルグNATO事務総長「イドリブ県でトルコを支援する証として防空体制を強化する」(2020年2月12日)

NATO(北大西洋条約機構)のヤンス・ストルテンベルグ事務総長は加盟国国防大臣会合後の記者会見で、シリア軍がイドリブ県で市民に対して無差別爆撃を行っていると非難、トルコを支援する証として防空体制を強化すると表明した。

AFP, February 13, 2020、ANHA, February 13, 2020、AP, February 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 13, 2020、Reuters, February 13, 2020、SANA, February 13, 2020、SOHR, February 13, 2020、UPI, February 13, 2020などをもとに作成。

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ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が電話会談でソチでの合意を履行する必要を確認(2020年2月12日)

ロシアのヴラジミール・プーチン大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が電話会談を行った。

ロシア大統領府の発表によると、両首脳はシリア危機、とりわけイドリブ県の緊張緩和地帯での事態悪化への対応について協議、2018年9月17日にソチで交わされた合意(非武装地帯設置合意)を履行する必要があることを確認した。

AFP, February 12, 2020、ANHA, February 12, 2020、AP, February 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 12, 2020、Reuters, February 12, 2020、SANA, February 12, 2020、SOHR, February 12, 2020、UPI, February 12, 2020などをもとに作成。

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トルコのエルドアン大統領「トルコ軍がどんな些細な被害を受けようとも、シリア軍に打撃を与える。ソチでの覚書には縛られない」(2020年2月12日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は大国民議会(国会)で演説し、シリア・ロシア軍の攻勢が続くイドリブ県での今後の対応策について明らかにした。

エルドアン大統領は次のように述べた。

「現段階において、本日よりここに宣言したい。(シリア領内の)監視所、あるいはそれ以外の場所で我が軍の兵士がどんな些細な被害を受けたとしても、我々はあらゆる場所で政権軍に打撃を与える。それはイドリブ県境に制限されることも、ソチでの覚書に縛られることもない」。

「体制(シリア軍)がシリア北部に駐留する我が軍を標的とすることで、14人が死亡、41人が負傷した…。我が軍兵士の血が流されたいかなる場所においても、誰も安全ではいられない。自分のことを偉大なと考えていてもだ」。

「シリアの体制の航空機は今後、イドリブ県上空を好きに航行することはない…・体制の爆撃は、イドリブ県をたやすく占領するため、住民を我が国国境へと移動させ、この地域を完全に無人化するのが狙いだ」。

「トルコはイドリブ県で起きていることに沈黙はしない。みながそこで起きている悲劇を無視しようともだ」。

「我々はシリア国民の自由のための闘争が8,300万のトルコ市民の闘争であることを忘れてはならない。シリア国民には自国内にとどまる権利があり、そうさせることが我々の責任だ」。

「我々がシリアの体制、そしてこれを支援する体制に主導権を与えてしまったら、我々はトルコで安寧になどしていられない…。我々はシリア国民が領内にとどまるために犠牲を払う用意がある」。

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トルコのフルシ・アカル国防大臣は、トルコ政府がNATO(北大西洋条約機構)加盟国に、イドリブ県でのシリア軍の攻撃を停止させ、新たな難民流入の波を食い止めるために具体的な措置を講じることを期待していると述べた。

アナトリア通信(2月12日付)が伝えた。

AFP, February 12, 2020、Anadolu Ajansı, February 12, 2020、ANHA, February 12, 2020、AP, February 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 12, 2020、Reuters, February 12, 2020、SANA, February 12, 2020、SOHR, February 12, 2020、UPI, February 12, 2020などをもとに作成。

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オブライエン米国家安全保障問題担当大統領補佐官「米国はイドリブ県でのアサド政権とイランの悪行を止める立場にはない」(2020年2月12日)

ロバート・オブライエン米国家安全保障問題担当大統領補佐官はワシントンDCでのシンポジウムでイドリブ県への米軍の介入の可能性を否定した。

オブライアンは補佐官こう述べた。

「アサド体制はトルコ軍および同軍とともに活動する勢力を爆撃した。我々が世界の警察官としての役割を果たし、イドリブに降下し、すべての当事者に戦闘停止を求めることを期待されているのだろうか?」

「米国が何かしなければならないという発想が、本当の言い訳になるとは考えていない。ロシア、イラン、そしてシリアの部隊がトルコ軍のほかにもおり、我々がすべきはそうしたことをしないことだ」。

「イドリブ県の情勢はきわめて悪い。アサドは非常に悪いプレーヤーだ。イランもだ。トルコとロシアがすべき措置は、そこでの現状を改善することに資していない」。

「米政府はシリアの体制とイランの悪行を止めなければならない立場にはなく、イドリブ県の状況を終わらせるための魔法の解決策もない」。

「我々は民間人に対するいかなる攻撃に対しても反対する。恐ろしい内戦だが、我々がイドリブ県に軍事的に介入し、この悪い状況をただそうとするべきだとは考えていない」。

AFP, February 12, 2020、ANHA, February 12, 2020、AP, February 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 12, 2020、Reuters, February 12, 2020、SANA, February 12, 2020、SOHR, February 12, 2020、UPI, February 12, 2020などをもとに作成。

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ロシア外務省報道官「イドリブ県での混乱はソチでの合意をトルコが遵守していないのが原因」(2020年2月12日)

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官はモスクワでの記者会見で「(イドリブ県での)現下の混乱の原因は、2018年9月17日に発効したソチでの覚書が定める誓約をトルコが遵守していないことにある」と批判した。

ザハロワ報道官はしかし、「ロシアは今もアスタナ・プロセスの一環として交わされた合意に従うつもりで、これを完全なかたちで実施するため、(トルコと)共同で取り組み続けるつもりである」と付言したうえで、「現状において基本的な任務は、現地での暴力のレベルを軽減し、緊張緩和地帯内外に駐留する(アスタナ・プロセスの)保証国の軍人の保護を確実なものとし、軽率な軍事作戦によって炎上している対立を抑えることであり…、ロシア・トルコ首脳がイドリブ県の問題を包括的に解決するために今後行動することを期待している」と強調した。

AFP, February 12, 2020、ANHA, February 12, 2020、AP, February 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 12, 2020、Reuters, February 12, 2020、SANA, February 12, 2020、SOHR, February 12, 2020、UPI, February 12, 2020などをもとに作成。

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ハサカ県タッル・タムル町・アブー・ラースィーン町間に展開していたトルコ軍部隊が撤退(2020年2月12日)

ハサカ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(2月12日付)やシリア人権監視団によると、タッル・タムル町・アブー・ラースィーン(ザルカーン)町間の村々に展開していたトルコ軍が部隊を撤退させた。

RT(2月12日付)によると、撤退は、同地で国家情報機関(MIT)のメンバー1人が殺害されたのを受けたものだという。

一方、ANHA(2月12日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がタッル・タムル町近郊の村々を砲撃した。

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アレッポ県では、ANHA(2月12日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のバイルーニーヤ村、アイン・ダクナ村、マルアナーズ村を砲撃した。

一方、シリア人権監視団によると、トルコの占領下にあるバーブ市で、トルコの支援を受ける武装集団どうしが交戦した。

AFP, February 12, 2020、ANHA, February 12, 2020、AP, February 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 12, 2020、Reuters, February 12, 2020、RT, February 12, 2020、SANA, February 12, 2020、SOHR, February 12, 2020、UPI, February 12, 2020などをもとに作成。

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ハサカ県カーミシュリー市郊外で米軍と住民が衝突、有志連合が同地を爆撃、米軍車輌4輌が破壊され、住民1人死亡(2020年2月12日)

ハサカ県では、SANA(2月12日付)によると、シリア北東部に違法に駐留を続ける米軍部隊が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるカーミシュリー市の東に位置するヒルバト・アンムー村、ハームー村で住民に向かって発砲、1人が死亡、1人が負傷した。

住民は、ヒルバト・アンムー村、ハームー村に設置されているシリア軍の検問所前に集まり、米軍車輌4輌の通行を阻止しようとしたが、米軍が実弾や発煙弾を発射した。

両検問所前には数百人の住民が集まっていたという。

発砲を受けた住民は、軽火器などで応戦し、車輌4輌を破壊、米軍も戦闘機を派遣し、ヒルバト・アンムー村の農地を3回にわたって爆撃した。

なお、米軍兵士と破壊された車輌は、衝突の数時間後に現場に派遣された車輌5輌からなる米軍の別の部隊によって回収された。

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米主導の有志連合のマイルズ・コギンズ(Myles Caggins)報道官(米軍大佐)は事件に関して、ツイッターのアカウント(https://twitter.com/oirspox)を通じて以下のような声明を出した。

「2月12日、シリアのカーミシュリー市近郊でパトロールを行っていた有志連合は、親シリア体制部隊によって占領されたチェックポイントに遭遇した。有志連合は一連の警告と緊張緩和の試みを行ったものの、パトロール部隊は何者かから軽火器での発砲を受けた。自衛のため、有志連合は応戦した。事態は緩和し、調査が行われている。有志連合は基地に帰還した。

コギンズ報道官によると、この衝突で米軍兵士1人がかすり傷を負ったという。

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一方、北・東シリア自治局に近いANHA(2月12日付)は、事件に関して、シリア軍と国防隊がヒルバト・アンムー村でメディア関係者と米軍に対して発砲したと伝えた。

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また、シリア人権監視団は、米軍と交戦したのが「地元住民と体制軍寄りの地元武装集団」だとしたうえで、 米軍の爆撃が威嚇の目的としていたと発表した。

AFP, February 12, 2020、ANHA, February 12, 2020、AP, February 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 12, 2020、Reuters, February 12, 2020、SANA, February 12, 2020、SOHR, February 12, 2020、UPI, February 12, 2020などをもとに作成。

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シリア軍がアレッポ県の3カ村を新たに制圧、ロシア軍の爆撃で住民7人が死亡(2020年2月12日)

アレッポ県では、SANA(2月12日付)によると、シリア軍がシャーム解放機構などからなる反体制武装集団との戦闘の末、M5高速道路の西側に位置するシャイフ・アリー村、アッラーダ村、アルナーズ村を制圧した。

シリア人権監視団によると、シリア軍はまた、戦車、軍用車輌約100輌からなる増援部隊を、アレッポ市ラーシディーン地区、ハラブ・ジャディーダ地区、M5高速道路沿線に派遣した。

一方、同監視団によると、ロシア軍がイッビーン村、カフル・アンマ村を爆撃し、イッビーン村で住民3人が、カフル・アンマ村で4人が死亡した。

ロシア軍はまた、シャイフ・アリー村、アウラム・クブラー町、カフルナーハー村、カフルタアール村、アスウース村、ジーナ村、アターリブ市、カフル・ヌーラーン村、アレッポ市ムハンディスィーン第1および第2地区、第46中隊基地一帯を爆撃した。

これに対して、反体制武装集団側は、シャーム解放機構がシャイフ・アリー村近郊でシリア軍の拠点に対して爆弾を積んだ車で自爆攻撃を行った。

また、カフル・ハラブ村、ミズナーズ村一帯でシリア軍への反撃を行った。

なお、シリア人権監視団によると、シリア・ロシア軍の攻勢を受けて、過去24時間の間に住民7万人以上が避難した。

これにより、2019年12月初め以降に発生した国内避難民(IDPs)の数は95万人を記録した。

このうちの52万人が1月半ば以降、さらに35万人が1月24日以降に避難を余儀なくされたという。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がマアーッラト・ナアサーン村、アレッポ市とバーブ・ハワー国境通行所を結ぶ街道の沿線一帯を爆撃した。

また、シャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室が、トルコ軍の砲撃支援を受けて、マアーッラト・ナアサーン村一帯でシリア軍と交戦した。

一方、トルコ軍の戦車、装甲車など約350輌からなる増援部隊および特殊部隊がカフルルースィーン村に設置されている国境通行所からシリア国内に数回に分けて入った。

トルコ軍はまた、イドリブ県北のビンニシュ市・トゥウーム村間に新たな拠点を設置した。

これに対して、シリア軍も、戦車、軍用車輌など約100輌からなる増援部隊が県南部に派遣した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を22件(イドリブ県8件、ラタキア県9件、アレッポ県3件、ハマー県2件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を5件(イドリブ県3件、ラタキア県0件、アレッポ県2件、ハマー県0件)確認した。

AFP, February 12, 2020、ANHA, February 12, 2020、AP, February 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 12, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, February 12, 2020、Reuters, February 12, 2020、SANA, February 12, 2020、SOHR, February 12, 2020、UPI, February 12, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民695人と国内避難民(IDPs)2人が新たにシリア政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は550,264人、2019年以降帰還したIDPsは49,962人に(2020年2月12日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(2月12日付)を公開し、2月11日に難民695人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは307人(うち女性92人、子供157人)、ヨルダンから帰国したのは388人(うち女性116人、子供198人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は550,264人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者173,844人(うち女性52,547人、子ども88,956人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者376,420人(うち女性112,970人、子ども191,966人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,569,742人(うち女性1,970,923人、子供3,350,568人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 779,544人(うち女性234,175人、子供397,844人)となった。

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一方、国内避難民2人が新たに帰宅した。

うちダマスカス郊外県東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは2人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した2人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は49,962人(うち女性16,283人、子供21,666人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,318,558人(うち女性398,842人、子供665,432人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 12, 2020をもとに作成。

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トルコのエルドアン大統領「明日、イドリブ県で我々がとるであろうステップを発表する」(2020年2月11日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、フアド・エクタイ副首相、メヴリュト・チャヴシュオール外務大臣、フルシ・アカル国防大臣、ヤシャル・ギュレル参謀総長、ハカン・フィダン国家諜報機構(MİT)長官と首都アンカラで安全保障会議を開き、イドリブ県での戦況への対応について協議した。

アナトリア通信(2月11日付)などが伝えたところによると、会合ではイドリブ県、アレッポ県に展開するトルコ軍に対するシリア軍の攻撃が繰り返された場合、断固として対抗するとともに、緊張緩和地帯での戦闘阻止、国境地帯の安全確保、難民流入と人道危機発生阻止のためにシリア領内での部隊駐留を継続することが確認された。

エルドアン大統領は「シリア政府はイドリブ県でトルコ軍兵士を攻撃したことの大きな代償を支払うことになる…。我々はシリア側に最大級の報復を実行した。イドリブ県でも同じく実行した。だが、これで充分だとは思っていない。我々は報復を継続する」としたうえで、「明日、我々がとるであろうステップを発表する」と述べた。

AFP, February 11, 2020、Anadolu Ajansı, February 11, 2020、ANHA, February 11, 2020、AP, February 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 11, 2020、Reuters, February 11, 2020、SANA, February 11, 2020、SOHR, February 11, 2020、UPI, February 11, 2020などをもとに作成。

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