軍・治安部隊がラスタン市とクサイル市に対して大規模な砲撃を行い数十人が死傷、一方サウジアラビア外相が記者会見のなかで反体制派による武装闘争を煽動(2012年3月4日)

Ugarit News Network, March 4, 2012

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国内の暴力

ヒムス県のラスタン市とクサイル市に対して、軍・治安部隊が大規模な砲撃を行い、反体制活動家らによると、数十人が死傷、数千人がレバノンへの避難を余儀なくされた。

シリア人権監視団によると、「これらの都市は中部における離反兵の拠点で、近く政権による離反兵への作戦の標的になることが予想され」、ラスタン市では軍・治安部隊の砲撃で市民7人が死亡したという。

自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐は、クサイル市に対する攻撃で、軍・治安部隊はレバノン国境に通じる橋を破壊し、避難民のレバノンへの避難を阻止したと述べた。

こうしたなか、国連難民高等弁務官はクサイル市への大規模攻撃によって約2,000人がレバノンに避難したと述べた。

一方、SANA(3月4日付)は、軍・治安部隊が完全制圧したヒムス市バーブ・アムル地区で関係機関ががれきなどの撤去を行っていると報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カフルナブル市の検問所で軍・治安部隊と離反兵が交戦した。

またこれに先だって、同市では市民1人と軍兵士1人が死亡、離反兵複数が負傷した。

一方、TRT(3月4日付)は、複数の消息筋の話として、シリアでの激しい弾圧を逃れ市民22人がトルコ領内(ハタイ県)に避難したと報じた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で市民1人が殺害された。

また複数の戦車がダイル・ザウル市内に入った。離反兵掃討の準備を進めていると見られる。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ジャルマ村、ヒヤーリーン町に軍・治安部隊が突入し、活動家らを逮捕した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ムライハ市に軍・治安部隊が展開し、離反兵と交戦した。

またインヒル市では治安機関の士官1人が誘拐され、また市民1人が治安部隊の発砲で死亡した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ大学の学生1,000人以上がデモを行い、治安部隊が催涙弾などを使って強制排除した。

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ダマスカス県では、アサド政権を支持する市民がロシア大使館前で、アサド政権の改革プログラム支持とロシアでの大統領選挙でのウラジーミル・プーチン首相支持を訴えるデモを行った。

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シリア人権委員会によると、マダーヤー町で、シリアの治安当局は6人の遺体を遺族に引き渡した。

この6人はいずれもアフラク家の子息で2月半ばに軍事情報局によってデモ煽動の容疑で逮捕されていた。

遺体には拷問の跡が残っていたという。

アサド政権の動き

SANA(3月4日付)は、アブドゥルファッターフ・アムーラ外務次官が、「我々は現下の危機や圧力をより力強く克服するだろう」と述べたと報じた。

反体制勢力の動き

ユーチューブ(3月4日付)では、第14空挺師団の迫撃連隊司令官のアナス・アブドゥッラー・アラウ少佐が民衆弾圧の命令を拒否して、部隊の他の士官らとともに離反し自由シリア軍に参加すると宣言する映像が配信された。

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国内で反体制活動を行うシリア国家建設潮流は記者会見を開き、「自らの意思で自らの運命を決め、自らの手で未来を建設する」とのスローガンを掲げ、ダマスカスで3月16日に「国民和解大会を開催するとの声明を発表し、すべての政治勢力、活動家に協力を呼びかけた。

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『クッルナー・シュラカー』(3月4日付)は、シリア国民評議会から「離反」した指導的活動家約20人が立ち上げた国民行動戦線(国民行動グループ)が声明を出し、内外の活動家に対して、「シリア解放のための総合的・詳細な計画作成への参画を調整するため」の連絡調整グループの設立を呼びかけ、これによりシリア国民評議会の分裂がより決定的なものとなったと報じた。

レバノンの動き

NNA(3月3日付)は、レバノン軍がベカーア県バアルベック郡カーア地方で、武装したシリア人33人を逮捕したと報じた。

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ベイルート県中心の殉教者広場で、イスラーム原理主義者(サラフィー主義者)がアサド政権の弾圧に抗議するデモを実施した。

Naharnet.com, March 4, 2012

Naharnet.com, March 4, 2012

デモを主導したのは、南部県サイダー市(ハリーリー家の出身地)のサラフィー主義イマーム、アフマド・アスィール師で、国際社会が内政干渉に躊躇している現状を批判し、「シリア国民を救うために国連に頼らない。我々はアッラーとすべての自由なイスラーム教徒と非イスラーム教徒を頼みにする」と述べた。

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一方、時を一にしてシリアへの外国の干渉に反対するデモも実施された。

デモを組織したのはバアス党レバノン地域で、代表の一人イブラーヒーム・イーサー氏は、「地域に対する陰謀を拒否する」と述べ、参加者はロシアや中国の国旗を掲げ、ワリード・ジュンブラート進歩社会主義党党首の写真を焼き、カタールを非難した。

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レバノン軍団のサミール・ジャアジャア代表は訪問先のカタールで在留レバノン人が主催する晩餐会に出席し、「シリアでの危機が長引けば、過激派が権力を掌握する機会が増す」と述べた。

諸外国の動き

新華社通信(3月4日付)によると、中国外交部は声明を出し、「人道問題を口実にシリア内政に干渉することを拒否する」との意思を明示し、外国の干渉への拒否の姿勢を示した。

また、シリア政府とそのほかのすべての当事者に対して、暴力停止を呼びかけた。

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ヒズブッラーが運営するパレスチナ紙『マナール』(3月4日付)は、シリア軍・治安部隊によるヒムス市バーブ・アムル地区などに対する掃討作戦で、外国の諜報機関の工作員137人が逮捕された、と報じた。

逮捕された工作員は米国人、フランス人、イスラエル人、トルコ人、湾岸諸国人ら。

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イスラエルのアビグドール・リーベルマン外務大臣はイスラエル軍のラジオとのインタビューで、シリア情勢に関して「我々はイスラエルで、停戦が必要だと考えている。我々は必要な人道支援を行う用意がある」と述べた。

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クウェートのアブドゥッラー・マアトゥーク世界慈善委員会会長は、シャイフ・スハーフ・アフマド首長が「シリア国民の被害者救援のため500万ドルを寄付する」と発表した。

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サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣がGCC外相会議後に記者会見を行い、シリア情勢に関して、「国民に対するシリア軍の行為は痛ましい…。我々はシリア人を保護し、シリアを安定化させたい」と述べ、シリア国民の自衛権を主張し、その武装闘争を暗に扇動した。

またロシアとの関係に関しては、「我々はロシアと対話を続け、ロシアにGCCだけでなく、アラブ連盟とも会合を持つことをアドバイスした」と述べた。

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赤十字国際委員会のサーリフ・ダッバーカ報道官は、ヒムス市バーブ・アムル地区周辺に人道物資配給を行ったと発表し、それを「前向きなステップ」としつつ、バーブ・アムル地区そのものへの人道支援を改めて求めた。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチ中東・北アフリカ責任者のサラ・ワトソン氏は、離反兵や民間人への処刑が多数行われたとしたうえで、これらの行為を「人道に対する罪とみなす」と非難した。

AFP, March 4, 2012、Akhbar al-Sharq, March 4, 2012, March 7, 2012、al-Hayat, March 5, 2012、Kull-na Shuraka’, March 4, 2012、al-Manar, March 4, 2012、Naharnet.com, March 4, 2012, March 5, 2012、NNA, March 4, 2012、Reuters, March 4, 2012、SANA, March 4, 2012、Youtube, March 4, 2012などをもとに作成。

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