ドイツに入国したシリア難民のうち3分の2がシリア政府の暴力、3分の1がダーイシュ(イスラーム国)の暴力から逃れて移民(2015年10月10日)

『ハヤート』(10月11日付)は、ドイツに入国したシリア難民を対象とした世論調査の結果、92%の回答者が国内での暴力を逃れてきたと回答した。

同報道によると、そのうち約3分の2がシリア軍の暴力、3分の1がダーイシュ(イスラーム国)の暴力を逃れてきたと回答したという。

世論調査は、シリア難民を支援するベルリンの社会学センターの研究スタッフの支援のもと、9月24日から10月2日にかけてドイツ国内(ベルリン、ハノーバー、ブレーメンなど5都市)で居住するシリア難民889人を対象に実施された。

また52%の回答者が、帰国を検討するにあたって、アサド大統領が退任すべきだと答えた。

ドイツに留まりたいと答えた回答者は8%だけだった。

一方、58%の回答者が、欧州あるいは国際社会が、シリア軍の「樽爆弾」投下を阻止するための飛行禁止空域をシリア領内に設置すれば、シリア国内にとどまっていただろうと答え、24%の回答者が、人道支援の増大があれば、シリア国内にどまっていただろうと答えた。

また、86%の回答者が、シリア国内にとどまっていたら、逮捕、拉致されると恐れていたと回答、うち77%が政府によって、42%がダーイシュによって拉致されることを恐れていたと答えた。

他方、シリアでの紛争の原因に関しては、回答者の79%がシリア政府によるデモへの軍事的弾圧を、31%がダーイシュなどジハード主義武装集団の暴力が主因だと答えた。

また、回答者の8%が紛争下での兵役を嫌って難民となったと回答、うち75%がシリア軍の兵役忌避者だった。

兵役忌避者の84%は国民を殺すことを嫌い、また21%は死ぬことを恐れて、難民となったという。

AFP, October 10, 2015、AP, October 10, 2015、ARA News, October 10, 2015、Champress, October 10, 2015、al-Hayat, October 10, 2015、Iraqi News, October 10, 2015、Kull-na Shuraka’, October 10, 2015、al-Mada Press, October 10, 2015、Naharnet, October 10, 2015、NNA, October 10, 2015、Reuters, October 10, 2015、SANA, October 10, 2015、UPI, October 10, 2015などをもとに作成。

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ムジャーヒディーン軍がアレッポ市でロシア軍偵察機を撃墜か?(2015年10月10日)

ムジャーヒディーン軍のアレッポ市ラーシディーン地区作戦司令室のアミーン大尉を名乗る戦闘員は、クッルナー・シュラカー(10月10日付)に対して、7日にハーン・アサル村近郊で、ロシア軍の偵察機を撃墜したと述べた。

Kull-na Shuraka', October 10, 2015
Kull-na Shuraka’, October 10, 2015

AFP, October 10, 2015、AP, October 10, 2015、ARA News, October 10, 2015、Champress, October 10, 2015、al-Hayat, October 10, 2015、Iraqi News, October 10, 2015、Kull-na Shuraka’, October 10, 2015、al-Mada Press, October 10, 2015、Naharnet, October 10, 2015、NNA, October 10, 2015、Reuters, October 10, 2015、SANA, October 10, 2015、UPI, October 10, 2015などをもとに作成。

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米国防総省は「穏健な反体制派」への教練プログラムを廃止、シリア国内の反体制派への限定的武器供与に方針転換し、高性能兵器が「テロリスト」の手に渡らないよう配慮!(2015年10月9日)

『ニューヨーク・タイムズ』(10月9日付)は、バラク・オバマ米政権が、トルコ領などでの「穏健な反体制派」教練プログラムを廃止し、同プログラムのために計上された予算(5億米ドル)の残額を、今後はシリア国内ですでに活動している反体制武装集団への支援に充てることを決定した、と伝えた(http://www.nytimes.com/2015/10/10/world/middleeast/pentagon-program-islamic-state-syria.html?_r=0)。

米ホワイトハウスおよび国防総省の複数の高官によると、米国防省(米軍)は今後は、シリア国内の「有力な在地の勢力」(capable, indigenous forces)の指導者を特定し、彼らに対して武器などを配給する、という。

シリア国内の反体制武装集団への支援は、CIAがすでに行っている。

米ホワイトハウスおよび国防総省の複数の高官によると、シリア国内の反体制武装集団に供与されるのは「基本的」(basic)な兵器のみで、対戦車ロケット砲や高性能の兵器は、それらが「テロリスト」の手に渡らないように供与されない、という。

なお、新たな支援策は、数日中に開始されるという。

The New York Times, October 9, 2015をもとに作成。

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イラン領内にロシアの巡航ミサイルが着弾したとの米高官の主張をイラン、ロシアともに否定(2015年10月9日)

イラン外務省報道官は、カスピ海に配備されているロシア海軍のフリゲート艦から発射された巡航ミサイルがイラン領内に着弾したとの米高官の発言(8日)に関して、「着弾は確認されていない」と述べ、これを否定した。

また、これに先立ってロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官も、米高官の発言を否定していた。

AFP, October 9, 2015、AP, October 9, 2015、ARA News, October 9, 2015、Champress, October 9, 2015、al-Hayat, October 10, 2015、Iraqi News, October 9, 2015、Kull-na Shuraka’, October 9, 2015、al-Mada Press, October 9, 2015、Naharnet, October 9, 2015、NNA, October 9, 2015、Reuters, October 9, 2015、SANA, October 9, 2015、UPI, October 9, 2015などをもとに作成。

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イラン革命防衛隊幹部がアレッポ県で死亡(2015年10月9日)

『ハヤート』(10月10日付)などによると、イラン・イスラーム革命防衛隊は、アレッポ県でのシリア軍の顧問として派遣されていたホセイン・ハムダーニー少将が8日夜に死亡したと発表した。

シリア政府に近い消息筋によると、ハムダーニー少将は、ダーイシュ(イスラーム国)によってアレッポ市近郊で殺害されたという。

AFP(10月11日付)によると、ハムダーニー少将は、2011年にシリアに派遣され、国防隊の創設に関わり、シリア国内での80の作戦に参加したという。

ARA News, October 9, 2015
ARA News, October 9, 2015

AFP, October 9, 2015、October 10, 2015、AP, October 9, 2015、ARA News, October 9, 2015、Champress, October 9, 2015、al-Hayat, October 10, 2015、Iraqi News, October 9, 2015、Kull-na Shuraka’, October 9, 2015、al-Mada Press, October 9, 2015、Naharnet, October 9, 2015、NNA, October 9, 2015、Reuters, October 9, 2015、SANA, October 9, 2015、UPI, October 9, 2015などをもとに作成。

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エジプト外相がロシア外相と電話会談:地域諸国とのより広範な同盟をロシアに要請(2015年10月9日)

『ハヤート』(10月10日付)によると、エジプトのサーミフ・シュクリー外務大臣は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣と電話会談を行い、シリア情勢などへの対応について意見を交わした。

両国外相の電話会談は、8日のアブドゥルファッターフ・スィースィー大統領とヴラジミール・プーチン大統領の電話会談に次ぐもの。

エジプト外務省のアフマド・アブー・ザイド報道官によると、両国外相の電話会談では、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表の計画に沿って、シリアの危機の政治的解決への努力を継続し、当事者らに対話を呼びかけることで合意、また中東地域における「テロとの戦い」への対応について議論がなされたという。

なお、『ハヤート』は、複数の消息筋の話として、エジプト・ロシア両国首脳間の電話会談などを通じて、エジプトがロシアに対して、空爆の目標を効果的に実現するため、地域諸国への同盟と調整の拡大を要請した、と伝えた。

AFP, October 9, 2015、AP, October 9, 2015、ARA News, October 9, 2015、Champress, October 9, 2015、al-Hayat, October 10, 2015、Iraqi News, October 9, 2015、Kull-na Shuraka’, October 9, 2015、al-Mada Press, October 9, 2015、Naharnet, October 9, 2015、NNA, October 9, 2015、Reuters, October 9, 2015、SANA, October 9, 2015、UPI, October 9, 2015などをもとに作成。

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ダーイシュ(イスラーム国)は米トルコ両政府が設置合意した「安全保障地帯」で新たに勢力拡大(2015年10月9日)

アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(10月9日付)などによると、ダーイシュ(イスラーム国)が、アレッポ市北部のファーフィーン村、タッル・カッラーフ村、ハリーサ村、カフル・カーリス村、タッル・スースィーン村、アフダース刑務所、自由貿易地区など、反体制武装集団の支配地域に侵攻し、同地を制圧した。

ダーイシュが新たに勢力を拡大した地域は、米トルコ両政府が設置合意した「安全保障地域」に含まれている。

また、SANA(10月9日付)によると、サブイーン丘、ナアーム丘一帯、ジャディーダ村、バクジーヤ村、フワイジーナ村、カスィール・ワルド村、シャイフ・アフマド村で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、シャーム戦線は、ダーイシュ(イスラーム国)によるタッル・カッラーフ村襲撃で、同戦線シャリーア局長のムハンマド・タブシュー氏が死亡したと発表した。

他方、アナトリア通信(10月10日付)は、同通信のシリア人記者サーリフ・マフムード・ライラー氏(27歳)が8日、アレッポ県フライターン市内の市場で爆弾が仕掛けられた車の爆発に巻き込まれて死亡したと伝えた。

この爆発では、ライラー氏のほか20人が死亡した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市内で空爆によると思われる大きな爆発が発生し、ダーイシュ(イスラーム国)メンバー少なくとも14人が死亡、20人以上が負傷した。

爆発が、有志連合、ロシア軍、シリア軍のいずれの空爆によるものかは不明だという。

また、ラッカ市内のマシュラブ地区では、戦闘機(所属不明)がダーイシュの司令官の乗った車を空爆、この司令官は死亡した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がウカイリバート町一帯を空爆した。

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ヒムス県では、SANA(10月9日付)によると、シリア軍がシャーイル・ガス採掘所一帯、イッズッディーン村一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、ARA News(10月9日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がタドムル市で、住民3人を国防隊に従軍していたとの罪で斬首した。

また、ARA News(10月10日付)によると、スィッリーン町一帯で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(10月9日付)によると、シリア軍がマリーイーヤ村、ジャフラ村、マヤーディーン市、ダイル・ザウル航空基地一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、クッルナー・シュラカー(10月9日付)は、ダーイシュ(イスラーム国)ハイル州衛生局が数日前に、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区のファールマクス病院を接収し、医療機器などを応酬、ダーイシュ戦闘員のための軍事病院施設への搬出した、と伝えた。

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米中央軍(CENTCOM)は、10月9日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して25回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は5回におよび、ハサカ市近郊(1回)、ラッカ市近郊(1回)、マンビジュ市近郊(1回)、マーリア市近郊(1回)、タドムル市近郊(1回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, October 9, 2015、Anadolu Ajansı, October 9, 2015、AP, October 9, 2015、ARA News, October 9, 2015、Champress, October 9, 2015、al-Hayat, October 10, 2015、Iraqi News, October 9, 2015、Kull-na Shuraka’, October 9, 2015、October 10, 2015、al-Mada Press, October 9, 2015、Naharnet, October 9, 2015、NNA, October 9, 2015、Reuters, October 9, 2015、SANA, October 9, 2015、UPI, October 9, 2015などをもとに作成。

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ロシア軍はアル=カーイダ系組織と共闘する「穏健な反体制派」のハック旅団、第13師団拠点を爆撃により破壊(2015年10月9日)

Sputnik News(10月8日付)などによると、ロシア軍参謀本部のイゴール・マクシェヴ副参謀長は声明を出し、ロシア軍戦闘機Su-34、Su-25SMが、シリア領内のダーイシュ(イスラーム国)などのテロ組織の拠点60カ所に対して67回の空爆を行ったと発表した。

マクシェヴ副参謀長によると、空爆はアレッポ県、ラッカ県、ハマー県、イドリブ県、ラタキア県に対して行われ、これにより、戦闘員300人を殲滅、司令・通信本部6カ所、武器弾薬庫6カ所、教練キャンプ17カ所、地下施設3カ所、防衛拠点16カ所、予備部隊集結拠点11カ所、車輌・装甲車・ロケット砲発射台17基などを破壊したという。

アレッポ県では、ロシア軍の空爆で、武器庫、基地が破壊され、戦闘員100人が死亡したという。

ロシア軍の高官によると、アレッポ県以外での空爆では、バンカー・バスター「BETAB-500」が使用され、ハック旅団の本部が破壊され、またダーイシュの司令官2人を含む約200人が死亡したという。

ハック旅団は、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室に参加する武装集団で、シリア北部(イドリブ県、アレッポ県)でアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などと共闘している。

一方、クッルナー・シュラカー(10月9日付)は、ロシア軍が、イドリブ県ハーン・シャイフーン市内にある「自由シリア軍」の拠点を空爆で破壊したと伝えた。

現地の複数の消息筋によると、破壊されたのはハーン・シャイフーン大隊連合(第13師団)の本部で、ロシア軍が同施設に対してミサイル4発を発射し全壊させたという。

第13師団は、アレッポ・ファトフ作戦司令室に参加する武装集団で、イドリブ県、ハマー県での戦闘でアル=カーイダ系組織などからなるファトフ軍と共闘している。

Kull-na Shuraka', October 9, 2015
Kull-na Shuraka’, October 9, 2015

一方、シリア人権監視団は、ロシア軍の戦闘機がイドリブ県カフルヌブーダ町各所を空爆したと発表した。

https://youtu.be/BYryDwhF-Qc

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一方、RT(10月8日付)は、ロシア軍参謀本部筋の情報として、ダーイシュ(イスラーム国)がシリア軍との戦闘で塩素ガスを使用した可能性が高いと伝えた。

同消息筋によると、ロシア軍の空爆後に傍受したダーイシュ戦闘員の通信会話から、シリア軍との戦闘の前線に、化学物質を争点した手榴弾と思われる「特殊な装備」の搬入に関するやりとりがあったという。

AFP, October 9, 2015、AP, October 9, 2015、ARA News, October 9, 2015、Champress, October 9, 2015、al-Hayat, October 10, 2015、Iraqi News, October 9, 2015、Kull-na Shuraka’, October 9, 2015、al-Mada Press, October 9, 2015、Naharnet, October 9, 2015、NNA, October 9, 2015、Reuters, October 9, 2015、RT, October 9, 2015、SANA, October 9, 2015、Sputnik News, October 9, 2015、UPI, October 9, 2015などをもとに作成。

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フランス空軍がシリア領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して2度目となる爆撃を実施(2015年10月9日)

フランスのジャン・イヴ・ル・ドリアン国防大臣は、フランス空軍戦闘機が8日夜から9日未明にかけて、シリア領内ラッカ市近郊のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して2度目となる空爆を行ったことを明らかにした。

ル・ドリアン国防大臣はEuro 1に対して「ラファール戦闘機2機が(ダーイシュの)教練キャンプを空爆し、標的に損害を与えた」と述べた。

空爆は有志連合の作戦として行われ、空爆を行ったフランス空軍の戦闘機のほかに、UAEの戦闘機も参加したという。

ル・ドリアン国防大臣はまた「シリア、とりわけラッカ市一帯には外国人戦闘員を教練するためのキャンプがあり、彼らは地域(シリア・イラク)でダーイシュのために戦うだけでなく、フランス、そして欧州にやって来て、攻撃を行おうとしている」と述べ、空爆を正当化した。

その一方で、ロシア軍による空爆に関しては、「80~90%がダーイシュではなく、アサド政権を守るために行われている」と主張した。

AFP(10月10日付)などが伝えた。

AFP, October 9, 2015、AP, October 9, 2015、ARA News, October 9, 2015、Champress, October 9, 2015、al-Hayat, October 10, 2015、Iraqi News, October 9, 2015、Kull-na Shuraka’, October 9, 2015、al-Mada Press, October 9, 2015、Naharnet, October 9, 2015、NNA, October 9, 2015、Reuters, October 9, 2015、SANA, October 9, 2015、UPI, October 9, 2015などをもとに作成。

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ロシア軍の爆撃と並行して、シリア軍がアレッポ県、ヒムス県でのダーイシュ(イスラーム国)への攻撃を続ける(2015年10月8日)

アレッポ県では、SANA(10月8日付)によると、ロシア軍の空爆と並行して、シリア軍がアレッポ市東部の航空士官学校一帯、クワイリス航空基地一帯、アレッポ市サイフ・ダウラ地区などでダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、アルバイド村、シャルバア村東部、ザアラーヤー村、バクジーヤ村、フワイジーナ村、タッル・イスタブル村、ナアーム丘一帯、カスィール・ワルド村のダーイシュ拠点を空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

なお、地元住民らによると、ロシア軍、シリア軍の攻勢を受け、ダーイシュの主要拠点の一つバーブ市から、ダーイシュ戦闘員約40人が逃亡したという。

一方、ARA News(10月8日付)によると、フライターン市で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、約20人が死亡した。

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ヒムス県では、SANA(10月8日付)によると、ロシア軍の空爆と並行して、シリア軍が、ハフル村南部、ハドス村、カルヤタイン市西部、ウンム・サフリージュ村一帯、シャーイル・ガス採掘所一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、ARA News(10月8日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がタッル・アブヤ市郊外のシャルカラーク村一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、戦闘員17人を殲滅した。

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米中央軍(CENTCOM)は、10月8日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して15回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は2回におよび、ラッカ市近郊(1回)、マーリア市近郊(1回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, October 8, 2015、AP, October 8, 2015、ARA News, October 8, 2015、Champress, October 8, 2015、al-Hayat, October 9, 2015、Iraqi News, October 8, 2015、Kull-na Shuraka’, October 8, 2015、al-Mada Press, October 8, 2015、Naharnet, October 8, 2015、NNA, October 8, 2015、Reuters, October 8, 2015、SANA, October 8, 2015、UPI, October 8, 2015などをもとに作成。

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ロシア軍がヒムス県、ラッカ県、ハマー県、ラタキア県のテロ組織拠点への爆撃を実施し、ヌスラ戦線戦闘員100人以上を殲滅(2015年10月8日)

RT(10月8日付)などによると、ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は、過去24時間で、ヒムス県、ラッカ県、ハマー県、ラタキア県のテロ組織の拠点27カ所に対して22回の空爆を行ったと発表した。

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コナシェンコフ報道官によると、ヒムス県において、ロシア軍は、反体制武装集団の拠点8カ所を破壊した。

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コナシェンコフ報道官によると、ロシア軍は、ハマー県、ラッカ県でも拠点11カ所を空爆し、反体制武装集団の教練キャンプのインフラを破壊した。

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ラタキア県では、SANA(10月8日付)などによると、ロシア軍は、タルティヤーフ村、ドゥーリーン村、マギーリーヤ村、サルマー町、サフサーファ村近郊、アラーフィート村近郊、スィンディヤーン村、ドゥワイリカ村、ワーディー・ハズィーラーン一帯に対して行われ、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員100人以上を殲滅、車輌数十両、ロケット砲発射台、武器弾薬庫、教練キャンプ、避難壕を破壊したという。

一方、コナシェンコフ報道官によると、ロシア軍はSu-25による偵察活動でダーイシュの基地を発見、これを破壊したという。

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また、SANA(10月8日付)によると、シリア軍の支援を受けたロシア軍戦闘機、アレッポ県のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して空爆を行った。

空爆は、アナダーン市、アターリブ市、ダイル・ハーフィル市、マンスーラ村西部、バーブ市一帯に対して行われたという。

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一方、イドリブ県では、クッルナー・シュラカー(10月8日付)が、ロシア軍戦闘機1機がハーン・シャイフーン市の民家を空爆し、女性1人が死亡、住民10人が負傷した、と伝えた。

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https://youtu.be/gn_cGubYp0M

AFP, October 8, 2015、AP, October 8, 2015、ARA News, October 8, 2015、Champress, October 8, 2015、al-Hayat, October 9, 2015、Iraqi News, October 8, 2015、Kull-na Shuraka’, October 8, 2015、al-Mada Press, October 8, 2015、Naharnet, October 8, 2015、NNA, October 8, 2015、Reuters, October 8, 2015、RT, October 8, 2015、SANA, October 8, 2015、UPI, October 8, 2015などをもとに作成。

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シリア軍参謀長が「テロ集団根絶」と「テロに蹂躙された地域の解放」に向けた大規模攻撃を開始したと発表(2015年10月8日)

アリー・アブドゥッラー参謀長は、ダマスカスで異例の記者会見を開き、シリア軍が「テロ集団根絶」と「テロに蹂躙された地域の解放」に向けた大規模攻撃を開始したと発表した(http://www.sana.sy/?p=280623)。

アブドゥッラー参謀長は会見で「ダーイシュおよびそのほかのテロ集団の戦闘能力を減じたロシア軍の空爆を受け、シリア軍武装部隊は軍事的な主導権を維持し、第4突撃軍団を中心とする、武器・装備を増強した兵員部隊を結成した…。本日、シリア軍武装部隊は、テロ集団殲滅、テロおよびその災いと犯罪によって蹂躙された地域や町々の解放を目的とする大規模な攻撃を開始した」と述べた。
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AFP, October 8, 2015、AP, October 8, 2015、ARA News, October 8, 2015、Champress, October 8, 2015、al-Hayat, October 9, 2015、Iraqi News, October 8, 2015、Kull-na Shuraka’, October 8, 2015、al-Mada Press, October 8, 2015、Naharnet, October 8, 2015、NNA, October 8, 2015、Reuters, October 8, 2015、SANA, October 8, 2015、UPI, October 8, 2015などをもとに作成。

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シリア国民連合はフランスがシリア国内での飛行禁止空域の設定に「同意したようだ」と発表(2015年10月8日)

トルコのイスタンブールで活動するシリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、駐トルコ・フランス大使との会談において、シリア北部の飛行禁止空域設定を要請し、「フランスはシリア国内での安全保障地域設定に関して同意したようだ」と発表した。

AFP, October 8, 2015、AP, October 8, 2015、ARA News, October 8, 2015、Champress, October 8, 2015、al-Hayat, October 9, 2015、Iraqi News, October 8, 2015、Kull-na Shuraka’, October 8, 2015、al-Mada Press, October 8, 2015、Naharnet, October 8, 2015、NNA, October 8, 2015、Reuters, October 8, 2015、SANA, October 8, 2015、UPI, October 8, 2015などをもとに作成。

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9カ国が「穏健な反体制派」の教練プログラムから撤収、米軍の軍事教練を受けた第30師団の失敗はトルコが原因(2015年10月8日)

「穏健な反体制派」の第30師団(別名、「新シリア軍」)の司令官(匿名)はクッルナー・シュラカー(10月8日付)に対して、「穏健な反体制派」の教練プログラムを支援してきた国のうち9カ国が政策を変更し、プログラム支援から撤退したことを明らかにした。

第30師団は、トルコ領内で米軍から軍事教練を受けていた武装集団で、これまでに2つの部隊がシリア領内に侵入したが、1度目はアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線の攻撃を受け、事実上壊滅、2度目は隊の移動の安全を確保するために武器・弾薬の25%をヌスラ戦線に譲渡している。

9カ国の教練プログラムからの撤退に関して、この司令官は、第30師団の2次隊がヌスラ戦線に武器・弾薬を譲渡したことが背景にあると述べている。

また、第30師団の活動の失敗に関して、米国の支援を受けた「穏健な反体制派」がアレッポ県北部の「安全地帯」の実効支配者となることをトルコが嫌ったためだと説明、第30師団のシリア国内への進入が極秘事項だったにもかかわらず、トルコ側がこれをヌスラ戦線に漏らしたことで、ヌスラ戦線が第30師団を襲撃できたと述べた。

AFP, October 8, 2015、AP, October 8, 2015、ARA News, October 8, 2015、Champress, October 8, 2015、al-Hayat, October 9, 2015、Iraqi News, October 8, 2015、Kull-na Shuraka’, October 8, 2015、al-Mada Press, October 8, 2015、Naharnet, October 8, 2015、NNA, October 8, 2015、Reuters, October 8, 2015、SANA, October 8, 2015、UPI, October 8, 2015などをもとに作成。

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エジプトのスィースィー大統領がロシアのプーチン大統領と電話会談(2015年10月8日)

エジプトのアブドゥルファッターフ・スィースィー大統領は、ロシアのヴラジミール・プーチン大統領と電話会談し、シリア危機など中東情勢について意見を交わした。

エジプトのテレビなどが伝えたところによると、スィースィー大統領は電話会談で、中東地域の危機を政治的に解決し、治安と安定を強化することが重要だと伝えた、という。

AFP, October 8, 2015、AP, October 8, 2015、ARA News, October 8, 2015、Champress, October 8, 2015、al-Hayat, October 9, 2015、Iraqi News, October 8, 2015、Kull-na Shuraka’, October 8, 2015、al-Mada Press, October 8, 2015、Naharnet, October 8, 2015、NNA, October 8, 2015、Reuters, October 8, 2015、SANA, October 8, 2015、UPI, October 8, 2015などをもとに作成。

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ロシア軍のシリア爆撃により、米国主導の有志連合はシリア領内での航路変更を余儀なくされる(2015年10月8日)

米国防総省のジェフ・デイヴィス報道官は、米国が主導する有志連合の戦闘機が、ロシア軍戦闘機への接近を回避するために、シリア領内での航路変更を余儀なくされたことを明らかにした。

ペンタゴン高官によると、米空軍のF-16戦闘機2機が、シリア国内での空爆の任務に、ロシア軍戦闘機への接近を避けるため、航路を変更したという。

『ハヤート』(10月9日付)などが伝えた。

一方、ジョン・カービー米国務省報道官は、ロシア軍によるシリア空爆に関して「空爆の90%はダーイシュ(イスラーム国)やアル=カーイダとつながりのある組織ではなく、反体制組織に対して行われている」と述べた。

カービー報道官はまた「(ロシア軍の)シリア国内での軍事行動が…ダーイシュにも、アル=カーイダとつながりのある組織にも属していない集団に影響することを…より懸念している」と付言した。

一方、ジョン・ケリー米国務長官が数日前に大統領府にシリア北部での飛行禁止空域設置に関する計画を提起したとのCNNの報道に関して、カービー報道官は、「この問題は検討中である」としながらも否定した。

他方、ジョシュ・アーネスト米ホワイトハウス報道官も、飛行禁止空域設定計画に関して、「現時点でこの問題は検討されていない」と述べた。

AFP, October 8, 2015、AP, October 8, 2015、ARA News, October 8, 2015、Champress, October 8, 2015、al-Hayat, October 9, 2015、Iraqi News, October 8, 2015、Kull-na Shuraka’, October 8, 2015、al-Mada Press, October 8, 2015、Naharnet, October 8, 2015、NNA, October 8, 2015、Reuters, October 8, 2015、SANA, October 8, 2015、UPI, October 8, 2015などをもとに作成。

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シリア軍がアレッポ県、ハマー県でヌスラ戦線などに対する攻撃を激化(2015年10月7日)

アレッポ県では、SANA(10月7日付)によると、シリア軍がアレッポ市北部のシュカイイフ地区で、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団の拠点に対して正確な攻撃を行い、ヌスラ戦線戦闘員40人を殲滅、65人を負傷させ、ロケット発射台などを破壊した。

シリア軍はまた、フライターン市・アレッポ市ライラムーン地区街道、アレッポ市カースティールー地区・サカン・シャバービー地区回廊を空爆し、反体制武装集団の車輌8輌を破壊したほか、アレッポ市サラーフッディーン地区、バニー・ザイド地区、ブスターン・バーシャー地区、ラーシディーン地区、シャイフ・ハドル地区、カルム・タッラーブ地区に対しても空爆を行い、複数の戦闘員を殺傷、武器・拠点を破壊した。

シリア軍はさらに、マンスール村、科学技術センター施設一帯、アナダーン市、フライターン市、ナースィリーヤ村、アーミリーヤ村でもヌスラ戦線などに対して集中的に攻撃を加え、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍の空爆が行われるなか、ラトミーン村、カフルヌブーダ町近郊で、シリア軍、国防隊がジハード主義武装集団と交戦した。

また、ムーリク市(シリア政府支配下)一帯をシリア軍が砲撃する一方、ジハード主義武装集団はカルナーズ町を砲撃し応戦した。

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ヒムス県では、SANA(10月7日付)によると、アーミリーヤ村で、シリア軍がシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団の拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(10月7日付)によると、シリア軍が、ブスラー・シャーム市、ダルアー市Syriatelビル一帯など、西ガーリヤ村、ヒルバト・ガザーラ町一帯でシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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スワイダー県では、SANA(10月7日付)によると、ヒルバト・アンバーシー地区(砂漠地帯)でシリア軍が反体制武装集団の車輌10台からなる車列を攻撃、破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(10月7日付)によると、ハラファー村一帯、ハーン・アルナバ市、ジャバータ・ハシャブ村、タルジャナ村、ウーファーニヤー村など県北部一帯で、シリア軍がシャーム自由人イスラーム運動、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, October 7, 2015、AP, October 7, 2015、ARA News, October 7, 2015、Champress, October 7, 2015、al-Hayat, October 8, 2015、Iraqi News, October 7, 2015、Kull-na Shuraka’, October 7, 2015、al-Mada Press, October 7, 2015、Naharnet, October 7, 2015、NNA, October 7, 2015、Reuters, October 7, 2015、SANA, October 7, 2015、UPI, October 7, 2015などをもとに作成。

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シリア軍が、アレッポ県、ヒムス県でロシア軍の爆撃と並行して、ダーイシュ(イスラーム国)拠点を攻撃(2015年10月7日)

アレッポ県では、SANA(10月7日付)によると、ロシア軍の空爆と並行して、シリア軍が、西クワイリス村、ダイル・ハーフィル市、ジュッブ・サファー村、シャイフ・アフマド村、アルバイド村、ジャディーダ村、ジャッブール村、タッル・イスタブル村、ナアーム丘一帯、タイバ村、航空士官学校一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(10月7日付)によると、シリア軍がタドムル市西部のシャーイル・ガス採掘所一帯、カルヤタイン市北部一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、ウンム・サフリージュ村、ムシャイリファ村でダーイシュの拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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スワイダー県では、SANA(10月7日付)によると、シリア軍と人民防衛諸組織が、サアド遺跡、ザルファア丘でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、SANA(10月7日付)によると、シリア軍がハサカ市東部のマブト丘、アブドゥルアズィーズ山南部のタッル・バールード村一帯で、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、ARA News(10月8日付)によると、ダーイシュはカウカブ山近郊のタニーニール村にあるシリア軍検問所を襲撃した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(10月7日付)によると、シリア軍がマリーイーヤ村一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、ARA News(10月7日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がタッル・アブヤド市近郊の西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の検問所を襲撃した。

一方、クッルナー・シュラカー(10月8日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)の治安組織メンバー5人がラッカ市内で何者かに殺害された。

殺害されたメンバーのうち、2人はチュニジア人、1人はエジプト人、1人はイラク人、1人はサウジアラビア人だったという。

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米中央軍(CENTCOM)は、10月7日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して20回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は2回におよび、フール町(ハサカ県)近郊のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, October 7, 2015、AP, October 7, 2015、ARA News, October 7, 2015、October 8, 2015、Champress, October 7, 2015、al-Hayat, October 8, 2015、Iraqi News, October 7, 2015、Kull-na Shuraka’, October 7, 2015、October 8, 2015、al-Mada Press, October 7, 2015、Naharnet, October 7, 2015、NNA, October 7, 2015、Reuters, October 7, 2015、SANA, October 7, 2015、UPI, October 7, 2015などをもとに作成。

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ロシア海軍がカスピ海からシリア領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などを巡航ミサイルで攻撃(2015年10月7日)

SANA(10月7日付)などは、シリア軍消息筋の情報として、カスピ海に配備されているロシア海軍のフリゲート艦などから巡航ミサイル26発を発射し、約1,500キロ離れたラッカ県、アレッポ県、イドリブ県のダーイシュ(イスラーム国)拠点11カ所を攻撃したと伝えた。

この攻撃で、爆弾製造工場1棟、司令部複数カ所、武器弾薬燃料庫複数棟、教練キャンプ複数カ所が破壊されたという。

ロシア国防省が公開した映像などによると、巡航ミサイルは、イラン、イラクの領空を通過し、シリア北部3県に着弾した。

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ロシアのヴラジミール・プーチン大統領は、セルゲイ・ショイグ国防大臣と会談し、カスピ海に配備されているフリゲート艦からのシリア北部に対する巡航ミサイルでの攻撃の報告を受けた。

会談で、ショイグ国防大臣は、攻撃によってすべての標的を破壊し、民間人に死傷者はなかったと報告したほか、9月30日以降のロシア軍が112カ所への空爆を実施したと報告、今後空爆をさらに増加させると伝えた。

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ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は、ロシア軍によるダーイシュ(イスラーム国)などの拠点への空爆を受け、ダーイシュが都市部に武器を移動させ、攻撃を回避しようとしていると述べた。

コナシェンコフ報道官によると、ダーイシュは「ロシア軍機が攻撃しないということを承知のうえで、走行車輌をモスクの近くに展開させている」のだという。

SANA, October 7, 2015
SANA, October 7, 2015
SANA, October 7, 2015
SANA, October 7, 2015
SANA, October 7, 2015
SANA, October 7, 2015
SANA, October 7, 2015
SANA, October 7, 2015
SANA, October 7, 2015
SANA, October 7, 2015

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一方、シリア人権監視団は、ロシア軍がシリア領内(ハマー県、イドリブ県)で少なくと37回にわたって空爆を実施したと発表した。

空爆は、ハマー県のラターミナ町、カフルヌブーダ町、カフルズィーター市、ラトミーン村に対して23回、イドリブ県のバーラ村近郊、ハーン・シャイフ市、マアッラト・ハルマ村、フバイト村、サラーキブ市近郊、マアッラト・ヌウマーン市、バービーラー村、イフスィム町、マルイヤーン村に対して14回にわたって行われたという。

ハマー県カフルズィーター市に対するロシア軍の空爆では児童1人が死亡し、イドリブ県バービーラー村での空爆でも女性、子供を含む4人が死亡したという。

またクッルナー・シュラカー(10月7日付)は、ムアーッズ・シャーミーを名乗る活動家の情報(https://youtu.be/mw1tJpddnfg)として、ロシア軍の空爆はマアッラト・ヌウマーン市郊外のムアスラーン村にも及び、住民9人が死亡、12人が負傷したと伝えた。

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アレッポ県では、SANA(10月7日付)によると、シリア軍の支援を受けたロシア軍戦闘機が、ダイル・ハーフィル市、バーブ市でダーイシュ(イスラーム国)の拠点に対して正確な空爆を行い、複数の戦闘員を殺害した。

AFP, October 7, 2015、AP, October 7, 2015、ARA News, October 7, 2015、Champress, October 7, 2015、al-Hayat, October 8, 2015、Iraqi News, October 7, 2015、Kull-na Shuraka’, October 7, 2015、al-Mada Press, October 7, 2015、Naharnet, October 7, 2015、NNA, October 7, 2015、Reuters, October 7, 2015、SANA, October 7, 2015、UPI, October 7, 2015などをもとに作成。

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シリアでの爆撃調整をめぐる米露の協議:米国はロシアへのダーイシュ(イスラーム国)関連の情報提供を拒否(2015年10月7日)

『ハヤート』(10月8日付)などは、シリア国内でのダーイシュ(イスラーム国)などに対するロシア軍と有志連合の空爆の調整を目的とした協議をめぐって、米国側は、ダーイシュの拠点に関する情報の交換を提案したロシア側の申し出を拒否していると伝えた。

ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官はこれに関して「ダーイシュを殲滅すべき真の敵だとみなす他の国々は基地、倉庫、司令拠点、教練キャンプなどについての情報で我々を支援してくれいている。しかし、彼ら(米国)はこのテロ組織に関して異なる見解を持っていて、国際的な「テロとの戦い」における協力を拒否する口実を探しているかのようだ」と批判した。

コナシェンコフ報道官は一方、米国など西側諸国がロシア軍の空爆に関してダーイシュ以外の組織を標的としていると非難していることに関して、「米国などの空軍は昨年から空爆を行っているが、彼らは常にテロリストだけを標的としているわけではない」と述べた。

これに対して、イタリアのローマを訪問中のアシュトン・カーター米国防長官は、「我々はこれまでにも、ロシアが間違った戦略を行っていると考えていると述べてきた。彼らはダーイシュ以外の標的を攻撃し続けている。我々はそれが根本的な間違いだと考えている」と述べた。

また「ロシアが何を言おうが、彼らが誤った政策を続け、空爆を続ける限り、ロシアとの協力には同意しない」と付言した。

米国防総省のスティーブ・ウォーレン報道官は、シリア領内での有志連合とロシア軍の偶発的な衝突を回避するための米ロシア両軍の協議が開始されたと発表した。

なお、コナシェンコフ報道官によると、ロシア政府は、シリア領内でのロシア軍と有志連合の空爆の調整を目的として米国側が提示した提案について検討しており、「これらの提案は総体的実施可能」だとしつつ、「技術面での詳細に関しての詳細な説明を米国側に求めており、両国国防相専門家の間でその内容について検討がなされる」予定だと述べた。

AFP, October 7, 2015、AP, October 7, 2015、ARA News, October 7, 2015、October 8, 2015、Champress, October 7, 2015、al-Hayat, October 8, 2015、Iraqi News, October 7, 2015、Kull-na Shuraka’, October 7, 2015、al-Mada Press, October 7, 2015、Naharnet, October 7, 2015、NNA, October 7, 2015、Reuters, October 7, 2015、SANA, October 7, 2015、UPI, October 7, 2015などをもとに作成。

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ロシア国防省報道官「トルコ国防省がシリア領内でのロシア軍の爆撃に関して、行動調整のための合同作業グループ設置を提案」(2015年10月7日)

ARA News(10月7日付)によると、ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は、記者団に対して、「トルコ国防省がシリア領内でのロシア軍の空爆に関して行動を調整するための合同作業グループの設置を提案してきた」と述べた。

コナシェンコフ報道官によると、トルコ国防省の提案は、イスタンブールのロシア領事館の軍高官に対して示されたという。

AFP, October 7, 2015、AP, October 7, 2015、ARA News, October 7, 2015、Champress, October 7, 2015、al-Hayat, October 8, 2015、Iraqi News, October 7, 2015、Kull-na Shuraka’, October 7, 2015、al-Mada Press, October 7, 2015、Naharnet, October 7, 2015、NNA, October 7, 2015、Reuters, October 7, 2015、SANA, October 7, 2015、UPI, October 7, 2015などをもとに作成。

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シリア領内のミサイル防空システムがトルコ軍戦闘機8機を標的として捕捉(2015年10月7日)

トルコ軍は、対シリア国境地帯を偵察飛行中のトルコ空軍のF-16戦闘機8機が、シリア領内に配備されたミサイル防空システムのレーダーによって標的として捕捉されたと発表した。

一方、アフメト・ダウトオール首相は、ロシア軍によるシリア領内での空爆に関して記者団に対し、「ダーイシュ(イスラーム国)を標的としたのは57回中たった2回で…それ以外の空爆がトルコや米国によって支援されている反体制組織に対して行われている」と主張した。

ダウトオール首相によると、この数値はトルコ軍の諜報機関のデータに基づくのだという。

ダウトオール首相はまた、「シリアの反体制派を弱体化させれば、ダーイシュを強大化させることになる…。ダーイシュに対して戦わねばならない」と付言した。

『ハヤート』(10月8日付)などが伝えた。

AFP, October 7, 2015、AP, October 7, 2015、ARA News, October 7, 2015、Champress, October 7, 2015、al-Hayat, October 8, 2015、Iraqi News, October 7, 2015、Kull-na Shuraka’, October 7, 2015、al-Mada Press, October 7, 2015、Naharnet, October 7, 2015、NNA, October 7, 2015、Reuters, October 7, 2015、SANA, October 7, 2015、UPI, October 7, 2015などをもとに作成。

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トルコのエルドアン大統領「ロシアがトルコのような友好国を失えば、多くを失うことになる」(2015年10月6日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、訪問先のブリュッセルでの記者会見で、ロシア軍による領空侵犯や「嫌がらせ」に関して、「トルコに対するいかなる攻撃もNATOへの攻撃とみなされる」と警告したうえで、「ロシアとの良好な関係は周知のものだ。しかし、ロシアがトルコのような友好国を失えば…、多くを失うことになる。ロシアはそのことを理解すべきだ」と述べた。

これに対して、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、「当初から述べている通り、我々はシリア軍を攻撃する標的に対して空爆を行う」と述べた。

一方、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、ロシアの有志連合への参加の是非に関して、「シリア政府の同意、あるいは安保理の同意を経ずに参加はしない」と述べた。

AFP, October 6, 2015、AP, October 6, 2015、ARA News, October 6, 2015、Champress, October 6, 2015、al-Hayat, October 7, 2015、Iraqi News, October 6, 2015、Kull-na Shuraka’, October 6, 2015、al-Mada Press, October 6, 2015、Naharnet, October 6, 2015、NNA, October 6, 2015、Reuters, October 6, 2015、SANA, October 6, 2015、UPI, October 6, 2015などをもとに作成。

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ロシア軍が3日に続いて、4日にもトルコに領空侵犯、また5日には地対空ミサイルのレーダーでトルコ軍機を捕捉(2015年10月6日)

トルコ軍は声明を出し、3日のロシア軍によるトルコ領内への領空侵犯に続いて、4日と5日にも、トルコ軍が「嫌がらせ」を受けたことを明らかにした。

声明によると、ロシア軍戦闘機は3日、シリア領からハタイ県上空に領空侵犯、緊急発進をしたトルコ軍戦闘機(F-16)に対して、5分40秒にわたって「嫌がらせ」(レーダーによる捕捉)を行っていたが、これに続き、4日にも、トルコ領内に領空侵犯した所属不明のSu-29戦闘機1機が、トルコ空軍のF-16戦闘機を4分30秒にわたってレーダーで捕捉するという「嫌がらせ」を行ったという。

また5日には、偵察飛行中のトルコ軍戦闘機(F-16)が、シリア領内に展開している地対空ミサイルの標的として捕捉されたという。

この「嫌がらせ」は4分15秒にわたって続いたという。

AFP, October 6, 2015、AP, October 6, 2015、ARA News, October 6, 2015、Champress, October 6, 2015、al-Hayat, October 7, 2015、Iraqi News, October 6, 2015、Kull-na Shuraka’, October 6, 2015、al-Mada Press, October 6, 2015、Naharnet, October 6, 2015、NNA, October 6, 2015、Reuters, October 6, 2015、SANA, October 6, 2015、UPI, October 6, 2015などをもとに作成。

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シリア軍は、ロシア軍の爆撃と並行してアレッポ県、ヒムス県、ダイル・ザウル県でダーイシュ(イスラーム国)拠点を爆撃(2015年10月6日)

アレッポ県では、SANA(10月6日付)によると、ロシア軍による空爆と並行して、シリア軍が、カフキーフ村、アイン・ハンシュ村、クワイリス航空基地一帯、ジャービリーヤ村、ジャディーダ村、アルバイド村、シャルバア村、航空士官学校一帯、ライヤーン村、アイン・サービル村、カッバーラ村、タッル・イスタブル村、フワイジーナ村、マフラサ村、ジュブ・サファー村、ラドワーニーヤ村でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、ARA News(10月7日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、イフラス村にあるシャーム戦線の拠点に対して、ダーイシュが爆弾を積んだ車で攻撃を行い、数十人が死傷した。

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ヒムス県では、SANA(10月6日付)によると、ロシア軍による空爆と並行して、シリア軍がカルヤタイン市でダーイシュ(イスラーム国)に対する空爆を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル航空基地一帯で、シリア軍、国防隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、シリア軍が同地を2回にわたり空爆した。

一方、SANA(10月6日付)によると、ロシア軍による空爆と並行して、シリア軍がダイル・ザウル航空基地一帯、ジャフラ村、ダイル・ザウル市工業地区、ラサーファ地区、ハウィーカ地区で、ダーイシュ(イスラーム国)に対して攻撃を加え、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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米中央軍(CENTCOM)は、10月6日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して23回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は3回におよび、ブーカマール市近郊のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, October 6, 2015、AP, October 6, 2015、ARA News, October 6, 2015、October 7, 2015、Champress, October 6, 2015、al-Hayat, October 7, 2015、Iraqi News, October 6, 2015、Kull-na Shuraka’, October 6, 2015、al-Mada Press, October 6, 2015、Naharnet, October 6, 2015、NNA, October 6, 2015、Reuters, October 6, 2015、SANA, October 6, 2015、UPI, October 6, 2015などをもとに作成。

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ロシア軍がタドムル市一帯(ヒムス県)、ダマスカス郊外県を初めて爆撃(2015年10月6日)

ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は、過去24時間でロシア軍戦闘機が、ヒムス県タドムル市一帯、ダマスカス郊外県、アレッポ県、イドリブ県、ダイル・ザウル県、ラタキア県の12カ所を20回にわたって空爆した。

またSANA(10月6日付)は、シリア軍消息筋の話として、シリア軍の支援を受けたロシア軍戦闘機による連日の空爆で甚大な被害を受けたダーイシュ(イスラーム国)、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線、ヤルムーク軍の戦闘員3,000人以上が、シリア領内の支配地域からトルコ、ヨルダンに逃亡している、と伝えた。

SANA, October 6, 2015
SANA, October 6, 2015

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ヒムス県では、SANA(10月6日付)によると、シリア軍の支援を受けたロシア軍戦闘機が、UNESCO世界文化遺産に指定されているパルミラ遺跡を擁するタドムル市一帯を空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)の車輌20輌、武器庫2カ所、ロケット弾発射拠点3カ所を破壊した。

タドムル市一帯への空爆は、9月末に米国が初めて実行していたが、ロシア軍による空爆が行われるのはこれが初めて。

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アレッポ県では、SANA(10月6日付)によると、シリア軍の支援を受けたロシア軍戦闘機が、ダイル・ハーフィル市、バーブ市を空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点を破壊した。

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イドリブ県では、ロシア国防省によると、ロシア軍は、戦闘機2機を投入し、カフル・ウワイド村にあるダーイシュの前線キャンプを破壊した。

コナシェンコフ報道官によると、この前線キャンプでは、外国語で無線連絡が交わされており、このことは、外国人戦闘員の教練基地として使用されていたことを示すものだという。

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ダイル・ザウル県では、ロシア国防省によると、ロシア軍戦闘機複数機が、ダイル・ザウル市近郊のダーイシュ司令部2カ所を地中貫通爆弾(バンカーバスター)を使用して破壊した。

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ダマスカス郊外県では、ロシア国防省によると、ロシア軍戦闘機複数機が、グータ地方のダーイシュの爆弾製造工場、車輌を空爆、破壊した。

ロシア軍がダマスカス郊外県で空爆を行うのはこれが初めてだが、空爆が行われた正確な場所は不明。

なおグータ地方一帯では、ダマスカス県南部を除くと、アル=カーイダ系組織のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、そしてイスラーム軍などが優勢で、ダーイシュの活動が確認されることは少ない。

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https://youtu.be/Y3gx4y7r_yw

https://youtu.be/HktgSG6BCIA

https://youtu.be/qoJuPy9XVoQ

AFP, October 6, 2015、AP, October 6, 2015、ARA News, October 6, 2015、Champress, October 6, 2015、al-Hayat, October 7, 2015、Iraqi News, October 6, 2015、Kull-na Shuraka’, October 6, 2015、al-Mada Press, October 6, 2015、Naharnet, October 6, 2015、NNA, October 6, 2015、Reuters, October 6, 2015、SANA, October 6, 2015、UPI, October 6, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

UNHCRヨルダン事務所連絡担当官「支援物資不足を受け、シリア人避難民が1日平均150人の割合でシリアに帰国している」(2015年10月6日)

UNHCRヨルダン事務所のムハンマド・ヒワーリー連絡担当官は、ARA News(10月6日付)などに対してヨルダンで避難生活を送ってきたシリア人避難民が1日平均150人の割合で、シリアに帰国していることを明らかにした。

ヒワーリー連絡担当官は、シリアへの帰国の手続きは24時間を要するとしたうえで、シリア人避難民の帰国が増加している理由が「物資や資金の支援の不足」にあると指摘、「22万9,000人の難民へのWFPからの支援が途絶えており…、1人あたりの支援は、1ヶ月7米ドルにまで落ち込んでおり…、多くの難民が支援を必要としており、国際的な貧困のレベルを下回る生活を強いられている」と述べた。

なお、ヨルダンにおけるシリア人避難民の数は、63万人に達しているとされる。

AFP, October 6, 2015、AP, October 6, 2015、ARA News, October 6, 2015、Champress, October 6, 2015、al-Hayat, October 7, 2015、Iraqi News, October 6, 2015、Kull-na Shuraka’, October 6, 2015、al-Mada Press, October 6, 2015、Naharnet, October 6, 2015、NNA, October 6, 2015、Reuters, October 6, 2015、SANA, October 6, 2015、UPI, October 6, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア国民連合はロシア軍の爆撃でイドリブ県の遺跡が破壊されたと主張(2015年10月6日)

トルコのイスタンブールで活動するシリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、ロシア軍が10月4日にイドリブ県で行った空爆によって、ザーウィヤ山に位置するサルジーラー村の遺跡が標的となり、大きな被害を受けたと主張した。

破壊された遺跡は2000年以上前に建設されたものだという。

イドリブ県は、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、ジュンド・アクサー機構などが主導するファトフ軍の支配地域だが、シリア革命反体制勢力国民連立は、遺跡一帯には、ダーイシュ(イスラーム国)は存在していなかったと強調、UNESCOなどに対して、「ロシアの占領」を非難し、シリアの歴史文化遺産破壊という犯罪に対して早急に対応するよう呼びかけた。

Kull-na Shuraka', October 6, 2015
Kull-na Shuraka’, October 6, 2015

AFP, October 6, 2015、AP, October 6, 2015、ARA News, October 6, 2015、Champress, October 6, 2015、al-Hayat, October 7, 2015、Iraqi News, October 6, 2015、Kull-na Shuraka’, October 6, 2015、al-Mada Press, October 6, 2015、Naharnet, October 6, 2015、NNA, October 6, 2015、Reuters, October 6, 2015、SANA, October 6, 2015、UPI, October 6, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

最新論考「シリア「反体制派」へのロシアの爆撃が欧米諸国にもたらす苦悩と恩恵」(Yahoo Japan! News)

青山弘之「シリア「反体制派」へのロシアの空爆が欧米諸国にもたらす苦悩と恩恵」

Yahoo Japan! News、2015年10月5日

http://bylines.news.yahoo.co.jp/aoyamahiroyuki/20151005-00050167/

2015年9月、今後のシリア情勢に大きな影響を及ぼすであろう二つの出来事が起きた。一つは、欧州への難民・移民の流入に対する関心の高まりであり、もう一つは、ロシア軍によるシリア領内での空爆開始である。
このうち、シリア領内でのロシア軍による空爆に対して、欧米諸国の首脳・政府高官、そしてメディアは、ダーイシュ(イスラーム国)だけでなく、「独裁体制」と戦う「反体制派」や民間人を標的としているとの批判を繰り返している。また、ロシアの空爆で「反体制派」が弱体化すれば、バッシャール・アサド政権とダーイシュの双方が勢力を伸ばし、シリア国内がさらに混迷するといった懸念が表明されている。
しかし、カッコ付きで敢えて標記したシリアの「反体制派」への空爆は、欧米諸国にとってどのような意味を持つのだろうか?・・・

論考「シリア反体制武装勢力の同質性と異質性」(『国際情勢紀要』より転載)

「シリア反体制武装勢力の同質性と異質性:アル=カーイダ系組織、ジハード主義者、「穏健な反体制派」

『国際情勢紀要』第85号(http://www.sekaiseikei.or.jp/kokujo2014.pdf、2015年3月、125~133ページ)より転載

青山 弘之(東京外国語大学)

図Ⅰ はじめに

シリアで紛争が発生してから2015年3月半ばで4年が経とうとしている。「アラブの春」の一環として始まったはずのこの紛争が「独裁政権」対「民主化運動」といったイメージとはほど遠く、混沌と暴力の応酬によって特徴づけられていることは今や周知の事実である。そこでは、シリア軍、国防隊、西クルディスタン移行期文民局人民保護部隊(Yekîneyên
Parastina Gel、略称YPG)、反体制武装勢力が入り乱れて戦いを続けるなか、米国が主導する有志連合が、一方でイスラーム国壊滅に向けて空爆を行いつつ、他方でバッシャール・アサド政権退陣をめざして「穏健な反体制派」を支援している。

本論では、現下の武力紛争における主要な当事者のうち、アル=カーイダ系組織、ジハード主義組織、「穏健な反体制派」といった言葉(カテゴリー)で分類されることが多い反体制武装勢力の組織間の関係に着目することで、その異質性と同質性を明らかにする。そのうえで、反体制武装勢力への支援や共鳴が持つ意味を考察する。なお2011年以降のシリア国内情勢の詳細な推移については「シリア・アラブの春顛末記――最新シリア情勢――」(https://syriaarabspring.info/)を参照されたい。

Ⅱ アル=カーイダ系組織、ジハード主義組織

2014年9月23日に米国およびアラブ5カ国がシリア領内のイスラーム国拠点への空爆を開始したことで、シリアの紛争においてもアル=カーイダ系組織の存在がようやく広く認識されるようになった。ここで言う「アル=カーイダ系」とは、明確な定義を持つものではなく、「ジハード主義」(Jihadism、al-Salafīya
al-Jihādīya、ないしはイスラーム過激派)と称される思想・運動の一部をなすものである(1)。だが、この言葉を敢えて定義するなら、それは、ウサーマ・ビン・ラーディンが創始し、アイマン・ザワーヒリーが指導者を務めるアル=カーイダ総司令部に忠誠(al-bayʻa)を誓った組織・個人、そして国連や米国がテロ組織と認定し、「アル=カーイダとつながりがある」(murtabiṭ
bi-al-qāʻida)と認知されている組織・個人と言うことができよう。

上記のような定義に基づいて、シリアの反体制武装勢力を俯瞰すると、イスラーム国、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、ムハージリーン・ワ・アンサール軍といった組織がアル=カーイダ系組織に含まれる(2)。またジハード主義組織には、これらに加えて、イスラーム軍、タウヒード旅団、ジュンド・アクサー機構、シャームの鷹旅団、シャーム・イスラーム運動、シャームの暁イスラーム運動、クルド・イスラーム戦線、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、ラフマーン軍団、ハビーブ・ムスタファー旅団、イスラーム・ウカーブ旅団などが含まれる。

このうちイスラーム国は、他のアル=カーイダ系組織やジハード主義組織から独立した存在として捉えられがちである。その理由として、イスラーム国が2013年末以降、他のジハード主義組織と全面的な武力衝突を繰り返していること、シリアからの撤退を求めるザワーヒリーの指示を拒否し、アル=カーイダ総司令部から「破門」されたこと、さらにカリフ制という「ハコ」を作ることで求心力を得ようとする「俗物的」、「実利的」な性格を持っていること(青山[2014])があげられる。だが、イスラーム国を含むアル=カーイダ系組織、そしてジハード主義組織は、以下3点において同質的である。

第1点は、これらの組織が共通の起源を有していることである。このことはイスラーム国とヌスラ戦線において顕著である。ヌスラ戦線は、イラクでの治安対策によって弱体化していたイラク・イスラーム国の「支部」として、2012年1月頃からシリアで活動を開始し、台頭した組織である。一方、イスラーム国は、ヌスラ戦線の吸収を企図して2013年4月にイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ(3))に改称したイラク・イスラーム国が、2014年6月のカリフ制樹立宣言に合わせて再改称した組織である。ダーイシュ結成は、ヌスラ戦線によって拒否され、以後両組織が徐々に対立を深めていったことは周知の通りである(髙岡[2014]などを参照)。

これに対し、シャーム自由人イスラーム運動は、「グラーバー・シャーム」(ghurabāʼ al-shām、シャームの奇異なる者たち)の一人としてアフガニスタンやイラクでの戦闘経験を持ち、ヌスラ戦線とイスラーム国の対立を仲裁するため、ザワーヒリーに仲介役を任じられたアブー・ハーリド・スーリー(4)らが結成した武装集団である。また、ムハージリーン・ワ・アンサール軍は、アブー・ウマル・シーシャーニー(チェチェン人)の指導のもと、チェチェン人など外国人戦闘員によって結成された武装集団である。同組織は、シーシャーニーのイスラーム国への合流により分裂し、イスラーム国への参加を拒否した派閥はヌスラ戦線などと共闘している。

なお、外国人戦闘員に関して、イスラーム国が外国人主導、それ以外のジハード主義組織がシリア人主導というイメージがある。だが、いずれの組織も、トルコなどを経由してシリアに潜入した外国人戦闘員が参加している点で違いはない。

第2点は、これらの組織・個人の所属が流動的だということである。例えば、2014年6月末、ヌスラ戦線のナンバー2と目されていたアブー・ムハンマド・アドナーニー報道官とダイル・ザウル県で活動していた同戦線のメンバー多数は、カリフ制樹立を宣言したイスラーム国に忠誠を表明し、同組織に参加した。また同県でのイスラーム国の勢力拡大を受けて、イスラーム軍、さらには後述する「穏健な反体制派」戦闘員も次々とイスラーム国に合流した。

これに対して、有志連合のシリア空爆によってイスラーム国の勢力が減退の兆しを見せるようになった2014年12月には、イスラーム国に忠誠を誓っていたイスラーム・ウカーブ旅団が、イドリブ県で攻勢に出たヌスラ戦線に追随するという逆の現象も起きている。こうしたことから、アル=カーイダ系組織、ジハード主義組織に分類される組織・個人の多くが、その時々の戦況において、より有力な集団に日和見的に所属を変更し、活動していることが推察できる。

第3点は、連合組織結成や共同戦線設置を通じた共闘である。例えば、2013年12月にサウジアラビアの後援のもとに結成されたとされるイスラーム戦線は、シャーム自由人イスラーム運動、タウヒード旅団、シャームの鷹旅団、イスラーム軍、クルド・イスラーム戦線、そして「穏健な反体制派」の自由シリア軍アンサール・シャーム大隊からなっている(5)。また2014年2月頃にアレッポ県で結成されたシャームの民の合同作戦司令室には、ヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、タウヒード旅団、そして「穏健な反体制派」のハズム運動が参加している。さらに同年8月以降、アレッポ市周辺でのシリア軍との戦闘を主導するようになったアンサール・ディーン戦線には、ムハージリーン・ワ・アンサール軍、シャーム・イスラーム運動、シャームの暁イスラーム運動、そして「穏健な反体制派」のハドラー大隊が参加し、同時期に結成された東グータ統一軍事司令部も、イスラーム軍、アシュナード・シャーム・イスラーム連合、ラフマーン軍団、ハビーブ・ムスタファー旅団、シャーム自由人イスラーム運動から構成されている。

また連合組織結成や共同戦線設置を明言せずに共闘するケースも多い。ダマスカス郊外県やダマスカス県ジャウバル地区での東グータ統一軍事司令部所属組織とヌスラ戦線の連携、ダルアー県の対ヨルダン国境地帯やクナイトラ県のゴラン高原一帯でのヌスラ戦線とシャーム自由人イスラーム運動の協調、ダマスカス郊外県カラムーン地方無人地帯やレバノンのアルサール地方(ベカーア県バアルベック郡)でのヌスラ戦線、イスラーム国、さらには自由シリア軍を名のる武装集団の共闘などがその典型である。

むろん、上記のような共通の起源、所属の流動性、共闘にもかかわらず、ダイル・ザウル県、アレッポ県などでは、イスラーム国とそれ以外のジハード主義組織が衝突を繰り返している。しかし、イスラーム国を「国際社会の脅威」として特別視し、他のアル=カーイダ系組織と区別すること、ないしはアル=カーイダ系組織を他のジハード主義組織と区別してその是非を評価することは、紛争の実態を見誤ることにつながりかねない。

Ⅲ 「穏健な反体制派」

「穏健な反体制派」(moderate opposition)は、ジハード主義組織が反体制武装勢力の主流を占めるようになるなか、「民主化」、「人道主義」というシリアへの内政干渉の根拠を誇示しようとする欧米諸国が2013年3月頃から頻繁に用いるようになった言葉である。この言葉は当初、欧米諸国が「シリア国民の唯一の正統な代表」として承認したシリア革命反体制勢力国民連立(いわゆるシリア国民連合)などの非武装組織を指していたが、次第にジハード主義組織以外の武装組織を指すようになった。2013年3月以前においては、「穏健な反体制派」ではなく、自由シリア軍という言葉が好まれる傾向があった。だが、自由シリア軍を名のる組織は、2013年末に最高意思決定機関と目されてきた参謀委員会(最高軍事評議会)がシリア領内(対トルコ国境地域)の主要な拠点をジハード主義組織に奪われ、また2014年9月にはシリア国民連合に解散を命じられたことで、欧米諸国の支援の受皿としてのプレゼンスを失った。

アル=カーイダ系組織と同様、「穏健な反体制派」は、シリアの紛争の文脈において明確な定義を持たないが、上記のような経緯を踏まえると、欧米諸国が積極的に支援し、なおかつ「シリア革命」の名のもと、アサド政権の打倒と世俗主義に立脚した民主制の樹立を支持する組織だと言うことができる。しかし、欧米諸国の支援には若干の補足説明が必要である。なぜなら、欧米諸国は当初、アサド政権の打倒をめざしていたが、2014年9月以降はイスラーム国に対抗し得る武装勢力の教練・育成に力点を置くようになっており、「穏健な反体制派」支援と「シリア革命」支援はもはや同義ではなくなっているからである。

いずれにせよ、上記の定義に基づいた場合、「穏健な反体制派」に分類できる組織としては、自由シリア軍を名のる参謀委員会、ダイル・ザウル軍事評議会、アレッポ革命軍事評議会、南部戦線(6)、クルド人戦線旅団、アンサール・シャーム大隊の他、ハズム運動(7)、ハドラー大隊、ウンマ軍(8)、シリア革命家戦線などをあげることができる。しかし、これらの組織も、以下四つの理由でアル=カーイダ系組織やジハード主義組織と同質化している。

第1の理由は、自由シリア軍参謀委員会(そしてシリア国民連合)などによる戦果の誇張(ないしはねつ造)である。例えば、2013年8月にヌスラ戦線などジハード主義組織がカサブ区(ラタキア県)の制圧を目的として開始したいわゆる「海岸解放作戦」に際して、参謀委員会は自由シリア軍が戦果をあげていると喧伝した(9)。むろん、ジハード主義組織とともに、自由シリア軍を名のる武装集団が戦闘に参加していたと見ることもできるが、こうした喧伝が事実と異なることは、2014年末には誰の目からも明らかなものとなった。2014年12月、イドリブ県で勢力を増大させたヌスラ戦線は、シャーム自由人イスラーム運動、ジュンド・アクサー機構とともに、マアッラト・ヌウマーン市郊外のワーディー・ダイフ軍事基地とハーミディーヤ航空基地を制圧したが、シリア国民連合はその際、ムハンマド・カッダーフ副代表が声明を出し、(自由シリア軍ではなく)ヌスラ戦線を「革命部隊」とみなし、その戦果を賞賛したのである。

第2の理由は、ジハード主義組織との戦闘での敗北である。例えば、2014年11月、イドリブ県ザーウィヤ山一帯を勢力圏としていたシリア革命家戦線は、ヌスラ戦線などの攻勢を受け、ジャマール・マアルーフ司令官以下戦闘員約1,400人がアレッポ県方面に敗走した。またこれに先立って、同年5月には、ダルアー県ハウラーン地方で、自由シリア軍南部戦線とヌスラ戦線が対立、前者の司令官複数名が後者に拘束される事件が発生した。さらに2015年1月には、ダマスカス郊外県でイスラーム軍によるウンマ軍掃討作戦が行われ、後者がドゥーマー市一帯から放逐された。

第3の理由は、自由シリア軍を名のる武装集団のジハード主義組織との共闘である。その最たる例が、自由シリア軍参謀委員会指揮下にあったダイル・ザウル軍事評議会のイスラーム国への合流である。2014年6月半ば、ダイル・ザウル軍事評議会はイスラーム国への忠誠を表明し、その傘下に入った。またハズム運動は、前述の通りシャームの民の合同作戦司令室においてヌスラ戦線やイスラーム戦線と共闘し、自由シリア軍アンサール・シャーム大隊とハドラー大隊もアレッポ県でジハード主義組織と共闘している。なお、ハズム運動、自由シリア軍南部戦線、ウンマ軍といった武装集団は、「穏健な反体制派」からなる連合組織だが、参加組織のなかにジハード主義組織が含まれていることは注6~8の通りである。

第4の理由は、シリア政府と戦略的な協力関係にあるYPGとの共闘である。もっとも代表的なケースは、アイン・アラブ市(アレッポ県)をめぐるイスラーム国とYPGの攻防に際して、地元の武装組織がとった姿勢である。すなわち、ラッカ県、アレッポ県でイスラーム国と戦闘を続けてきた自由シリア軍クルド人戦線旅団は、シリア政府への敵対的姿勢を維持しつつ、イスラーム国のアイン・アラブ市侵攻に対抗するため、2014年9月上旬にYPGとユーフラテスの火山合同作戦司令室を発足した。また、自由シリア軍アレッポ県革命軍事評議会前議長としてアレッポ市一帯でシリア軍との戦闘を続けてきたアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐も同年10月、トルコを経由してアイン・アラブ市に入り、YPGとともにイスラーム国と戦った。

なお、西クルディスタン移行期文民局との共闘の他に、2014年2月のヒムス市での停戦合意、同年3月のバービッラー市(ダマスカス郊外県)での「国民和解」などを通じてシリア政府と和解し、武装闘争を放棄した武装集団戦闘員が少なからずいることも看過すべきでない。

「穏健な反体制派」は、「シリア革命」成就に向けて「独裁政権」に抵抗し続ける「フリーダム・ファイター」のように見える。しかし、上述の通り、彼らはジハード主義組織に吸収されることで周縁に追いやられ、独立した主体としては事実上存在していないことが改めて確認できる。

Ⅳ おわりに

これまで各節では、アル=カーイダ系組織、ジハード主義組織、「穏健な反体制派」の特徴や組織間の関係を見てきた。そこから明らかになったのは、こうしたカテゴリーが、イデオロギー的傾向や政治目標を度外視して離合集散を繰り返す反体制武装勢力の実態を反映していないという事実である。

欧米諸国、そしてサウジアラビア、トルコ、カタールといった国々は、この事実を無視して、反体制勢力をジハード主義組織と「穏健な反体制派」に二分し、前者に対しては軍事行動(ただしトルコは不参加)、後者に対しては軍事教練を行っている。しかし、間断なく連関し合う反体制武装勢力のスペクトルのなかで、「穏健な反体制派」を仮想し、支援しようとすることは、自らが根絶しようとしているイスラーム国の同盟者を育てることに等しい。また、こうした矛盾を回避しようとして、反体制武装勢力全体を疎外するような消極的姿勢を示せば、アサド政権を利することにつながってしまう。アル=カーイダ系組織、ジハード主義組織、「穏健な反体制派」という分類は、イスラーム国殲滅、アサド政権打倒、シリアの「民主化」など、「アラブの春」波及後のシリア情勢のなかで夢想されたいかなる目標の実現にも資さないのである。

シリアの紛争においては、アサド政権に殺戮や混乱の責任のすべてを押しつけ、その打倒を目的化しようとする言説がいまだ散見される。同政権が「アラブの春」波及当初に行った過剰な弾圧が現下の混乱の起点にあることは明白である。だが、ORB[2014]やSADA[2014]といった反体制NGOや世論調査機関の調査からも読み取れる通り、シリア国民の間では、反体制勢力全般への支持が低落する一方で、アサド政権と反体制勢力の対話(そして国際社会による対話支援)を前提とした和解が希求されるようになっている。こうした現実を直視せず、「民主化」や「テロとの戦い」といった過度に単純化されたパラダイムに固執し、シリアへの介入を正当化し続けようとする無責任な姿勢こそが、実は混乱を長期化させる最大の要因になっているのである。

(1) ジハード主義(ないしはイスラーム過激派)とは、おおむね以下のような特徴を有する思想・運動だと言える――①現代社会における政治、経済、社会的な秩序が、西洋においてであれ、いわゆるイスラーム世界においてであれ、イスラーム教の教えに反していると全否定し、糾弾する、②イスラーム教を真に理解した前衛集団が非妥協的なジハード(暴力)をもって現代社会を打破することが不可避だと考える、③イスラーム法に基づき、初期イスラーム教世界を範とした政治、経済、社会的秩序の樹立(カリフ制の再興など)をめざす。

(2) 米国務省は、2004年12月17日にイラク・アル=カーイダを外国テロ組織(Foreign Terrorist Organization、FTO)に指定、2012年12月11日にヌスラ戦線を、また2014年5月14日に(イラク・シャーム・)イスラーム国をイラク・アル=カーイダの別名(Alias)として認定した。国務省はまた、2014年9月24日にシャーム自由人イスラーム運動、ムハージリーン・ワ・アンサール軍、そしてジュヌード・シャームの指導者でチェチェン人のムラド・マルゴシュヴィリを特別指定国際テロリスト(Specially
Designated Global Terrorists、SDGT)に追加した(US. Department of State[2014a][2014b][2014c])。一方、国連は、2013年5月13日にヌスラ戦線をイラク・アル=カーイダ(QE.J.115.04.)の別名(a.k.a.)としてアル=カーイダ制裁委員会のリストに登録、その後2014年5月14日に独立組織(QE.A.137.14.)として登録変更した。また(イラク・シャーム・)イスラーム国も2013年5月30日にイラク・アル=カーイダ(QE.J.115.04.)の別称として同リストに登録した(Al-Qaida
Sanctions Committee [2014]、United Nations[2013])。

(3) 「ダーイシュ」(Dāʻish)は、イラク・シャーム・イスラーム国のアラビア語「al-Dawla al-Islāmīya fī al-ʻIrāq
wa al-Shām」の頭字語。

(4) アブー・ハーリドは2013年2月にアレッポ市でダーイシュによるとされる自爆攻撃で暗殺された。

(5) イスラーム戦線の前身とされるシリア・イスラーム解放戦線(2012年9月結成)も、シャームの鷹旅団、ファールーク大隊、イスラーム旅団、タウヒード旅団などからなっていた。

(6) 自由シリア軍南部戦線に参加した組織は以下の通り――南部シリア革命家戦線、下カラムーン旅団、ヤルムーク旅団、ファッルージャ・ハウラーン旅団、ムハージリーン・アンサール旅団、アスワド・スンナ旅団、3月18日師団、ハムザ・アサドゥッラー旅団、第1特殊任務師団、イスラームの暁旅団、シャバーブ・スンナ旅団、イッズ・ブン・アブドゥッサラーム旅団、カラーマ旅団、シャーム解放師団、第1砲兵中隊、第1旅団、ドゥーマー殉教者旅団、グータ・ムジャーヒディーン旅団、アバービール・ハウラーン旅団、ハウラーン大隊統合、上カラムーン第11師団、ムウタッズ・ビッラー旅団、特殊任務旅団、クナイトラ軍事評議会、シャームの剣旅団、シャーム解放旅団、ダマスカス殉教者旅団、イスラーム殉教者旅団、自由殉教者旅団、ヤルムーク殉教者旅団、アームード・ハウラーン旅団、ラジャーの盾旅団、二大聖地旅団、ハビーブ旅団、建設大隊、ナワー自由人旅団、サラーフッディーン旅団、ハウラーンの嵐旅団、タバールク・ラフマーン大隊、ラジャー・タウヒード大隊、第1騎兵中隊、第2騎兵中隊、ムウタスィム・ビッラー大隊、ヒムス・ワリード旅団、イブン・ワリード末裔旅団、特殊任務中隊、ハウラーン殉教者旅団、西部郊外自由人大隊。

(7) ハズム運動に参加した組織は以下の通り――北部ファールーク大隊、第9師団特殊部隊、第1機甲師団、アッラーへの信仰旅団、アビー・ハーリス大隊(ハマー・ファールーク)、サラミーヤ自由人大隊(ハマー・ファールーク)、殉教者アブドゥッラフマーン・シャマーリー大隊、殉教者バクル・バッカール大隊、殉教者ハムザ・ザカリヤー大隊、ラシード大隊、アブー・アスアド・ニムル大隊、アフバーブ・アッラー旅団、ファーティフ大隊、第60歩兵旅団、アブドゥッラフマーン大隊、殉教者アブドゥルガッファール・ハーミーシュ大隊、ザアフラーナ・ファールーク大隊、殉教者アブドゥッラー・バッカール大隊、ラスタン殉教者大隊、殉教者アンマール・トゥラース・ファルザート大隊、真実の声連隊。

(8) ウンマ軍に参加した組織は以下の通り――ドゥーマー殉教者旅団、アスワド・グータ旅団、ファールーク・ウマル旅団、ファトフ・シャーム旅団、アルバイン殉教者旅団、アンサール・ウンマ旅団、特殊部隊中隊、ダマスカスの剣旅団、ハルマラ・ブン・ワリード大隊、ザイド・ブン・サービト旅団。

(9) 「海岸解放作戦」は、ダーイシュのイスラーム国への改称と時を同じくして、同地一帯に展開していたヌスラ戦線らが突如としてトルコ領内ないしはイドリブ県に撤退したことで、シリア軍の勝利に終わった。

文献リスト

青山弘之[2014]「「イスラム国」の正体を探る――「国家」を作って聖戦を仕掛ける逆転の発想――(特集 異次元動乱 世界を震撼させる「イスラム国」)」『外交』第28号(11月)、56~60ページ。

髙岡豊[2014]「「イラクとシャームのイスラーム国」は何に挑戦しているのか」『世界』第859号(8月)、20~24ページ。

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