ロシア外務省は声明を出し、シリア軍部隊によるイスラエル軍戦闘機の撃墜に関して、「重大な懸念」を表明、シリア軍が緊張緩和地帯設置にかかる合意を遵守しているなかで、シリア領内の緊張緩和地帯内、あるいはその一帯で事態を悪化させようとする動きに「特別な関心を喚起する」としたうえで、「主権、領土安全を尊重する必要があると考えている」と強調した。
また、ロシア軍も進駐するタイフール航空基地に対してイスラエル軍が(報復)爆撃を行ったことを踏まえ、「テロとの戦いへの支援という合法的政府の呼びかける基づいてシリア領内で駐留しているロシア軍兵士の声明と安全を脅かすことは受け容れられない」と警鐘を鳴らすとともに、「我々はすべての当事者に自制と、事態悪化をもたらすようないかなる措置を回避するよう求める」と強調した。
また、ロシア大統領府は声明を出し、ロシアのヴラジミール・プーチン大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話会談を行い、イスラエル側に事態悪化を回避するよう求めたと発表した。
**
イランのアリー・アクバル・ヴェラーヤティー最高指導者顧問は、シリア軍によるイスラエル軍機撃墜に関して、地域の平和や国民主権を尊重すべきとしたうえで、イランは、シリア、イラク、レバノンでのテロとの戦いを支援し続けると強調した。
またイラン外務省のブラハーム・カーセミー報道官も声明で、シリア軍には自衛権があると述べ、撃墜を支持した。
カーセミー報道官は「独立国であるシリアには領土の主権を防衛し、いかなる外敵であってもこれと対決する権利がある」としたうえで、イスラエルの無人航空機がイスラエル領に飛来したとのイスラエル側の発表について「嘲笑」せざるを得ない一蹴、「イランには、この国の合法的な政府の要請を受け、顧問を駐在させる根拠がある」と述べた。
さらに、イラン・イスラーム革命防衛隊のホセイン・サラーミー副司令官は報道声明で「イスラエル側からのいかなる報道も事実確認はしない。なぜなら、イスラエル人どもは嘘つきだからだ…。我々はシリア国内に駐留しておらず、顧問として駐在しているだけだ。シリアは十分自国領を防衛できる」と述べた。
**
レバノンのヒズブッラーは声明を出し、シリア軍防空部隊によるイスラエル軍機撃墜に関して、「シリアの領空、領土への侵犯を抑止するための新たな戦略的段階の始まり」と位置づけたうえで、テロやタクフィール主義集団へのあからさまな支援に拒否の姿勢を示した。
**
パレスチナのハマースのイスマーイール・ラドワーン報道官は、シリア軍防空部隊によるイスラエル軍戦闘機撃墜に関して、「シリアはイスラエルの攻撃に応戦する権利がある…。我々はこの応戦を称賛する。我々はパレスチナがシオニストの卑劣مな攻撃や海賊行為に対抗するシリアとともにあることを確認する」と述べるとともに、イスラエルの占領に抵抗する取り組みを強化する必要を強調した。
AFP, February 10, 2018、ANHA, February 10, 2018、AP, February 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, February 10, 2018、al-Hayat, February 11, 2018、Reuters, February 10, 2018、SANA, February 10, 2018、Tasnim News Agency, February 10, 2018、UPI, February 10, 2018などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.