米国防総省のケネス・マッケンジー統合参謀本部事務局長は、米軍のシリアからの撤退の是非に関して、ドナルド・トランプ米大統領との協議を経ても、シリアでダーイシュ(イスラーム国)に対して「テロとの戦い」を行うとの方針に変化はなかったことを明らかにした。
ロイター通信(4月5日付)によると、マッケンジー統合参謀本部事務局長は「我々の考え方は常に、シリアでダーイシュと戦うとの意見で決着してきた。我々はこの点に基づいて同地での駐留のレベルを修正するかもしれないが、実質的には何の変更もなされていない」と述べた。
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AP(4月5日付)は、米複数高官の話として、ドナルド・トランプ米大統領がシリア国内に進駐させている米軍約2,000人の撤退時期をまだ決めておらず、「ダーイシュ(イスラーム国)の最後の戦闘員を殲滅した直後に撤退を開始する」と述べているに過ぎない、と伝えた。
APによると、国防総省と国務省は、米軍撤退により、シリア領内に権力の真空が生じることに危機感を強めているという。
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米ホワイト・ハウスのサラ・サンダース報道官は「我々はダーイシュ(イスラーム国)が再び台頭しないように、地元の部隊に責任を移譲することに集中している。この点でいくつかの進展があった…。大統領が当初から述べている通り、彼は無作為に工程を定めることはない…。ダーイシュを打ち負かすのが目標だ。これが完全に実現し…、部隊駐留の必要がなくなったら、我々は地元部隊に権限を移譲できるようになる」と述べた。
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ドナルド・トランプ米大統領はフランスのエマニュエル・マクロン大統領と電話会談を行い、シリア情勢、とりわけ同国内での部隊駐留について意見を交わし、ダーイシュと最後まで戦うため有志連合の作戦を継続することを確認した。
AFP, April 5, 2018、ANHA, April 5, 2018、AP, April 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 5, 2018、al-Hayat, April 6, 2018、Reuters, April 5, 2018、SANA, April 5, 2018、UPI, April 5, 2018などをもとに作成。
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